(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121156
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】画像検査装置、画像形成システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20240830BHJP
G01N 21/892 20060101ALI20240830BHJP
H04N 1/56 20060101ALI20240830BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20240830BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G01N21/892 A
H04N1/56
H04N1/60
G06T1/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028099
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 一臣
【テーマコード(参考)】
2C061
2G051
5B057
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061KK26
2C061KK28
2G051AA34
2G051AB11
2G051AC21
2G051DA06
2G051EA17
5B057AA12
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5B057DA17
5B057DC25
(57)【要約】
【課題】画像検査精度の向上が図られた画像検査装置、画像形成システム、及び、プログラムを提供することを目的とする。
提供する。
【解決手段】プリントエンジンの初期設定時に取得された第1パッチデータに基づいて生成された第1色変換テーブルに基づいて、プリントエンジンに入力される入力画像データを色変換し、第1基本画像を生成する第1色変換処理部と、第1パッチデータの取得時とは異なる印刷条件又は/及びタイミングにおいて取得された第2色変換テーブルに基づいて、第1基本画像を色変換し、第2基本画像を生成する第2色変換処理部を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前に取得された第1パッチデータに基づいて生成された第1色変換テーブルに基づいて、プリントエンジンに入力される入力画像データを色変換し、第1基本画像を生成する第1色変換処理部と、
前記第1パッチデータの取得時とは異なる印刷条件又は/及びタイミングにおいて取得された第2パッチデータに基づいて生成された第2色変換テーブルに基づいて、前記第1基本画像を色変換して第2基本画像を生成する第2色変換処理部と、
前記第2基本画像と、プリントエンジンから出力された記録媒体上の画像を画像読取センサで読み取ることで得られた検査画像と、を比較して画像検査を行う検品処理部と、
を備える
画像検査装置。
【請求項2】
前記第1色変換テーブルは、プリントエンジンに入力される入力パッチデータと、前記入力パッチデータに基づいてプリントエンジンから出力されたパッチ画像を画像読取センサで読み取ることで得られた第1パッチデータと、前記パッチ画像を測色計で測色することで得られた測色データとに基づいて生成されている
請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記第1色変換テーブルは、CMYK形式の前記入力パッチデータからL*a*b*色空間の前記測色データを推定するプリンタプロファイル、及び、RGB形式の前記第1パッチデータから前記測色データを推定するスキャナープロファイルから生成されている
請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記第2色変換テーブルは、前記第1パッチデータと、前記入力パッチデータに基づいてプリントエンジンから出力されたパッチ画像を画像読取センサで読み取ることで得られた第2パッチデータとに基づいて生成されている
請求項2に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記第1パッチデータ及び前記第1色変換テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記第1色変換処理部は、前記記憶部に記憶された前記第1色変換テーブルを用いて色変換処理を行う
請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項6】
前記第1パッチデータと、前記第2パッチデータとから前記第2色変換テーブルを生成する第2色変換テーブル生成部を備え、
前記第2色変換テーブル生成部は、ジョブの実行時に、前記第2パッチデータを取得すると共に、前記記憶部から前記第1パッチデータを読み出して前記第2色変換テーブルを生成する
請求項5に記載の画像検査装置。
【請求項7】
前記第2パッチデータは、前記第2パッチデータの取得時におけるジョブの用紙設定、又は/及び、印刷設定を含む、前記印刷条件に紐づけて前記記憶部に記憶される
請求項6に記載の画像検査装置。
【請求項8】
記録媒体に画像を印刷するプリントエンジンと、
前記プリントエンジンから出力された画像を検査する画像検査装置と、を備え、
前記画像検査装置は、
事前に取得された第1パッチデータに基づいて生成された第1色変換テーブルに基づいて、前記プリントエンジンに入力される入力画像データを色変換し、第1基本画像を生成する第1色変換処理部と、
前記第1パッチデータの取得時とは異なる印刷条件又は/及びタイミングにおいて取得された第2パッチデータに基づいて生成された第2色変換テーブルに基づいて、前記第1基本画像を色変換し、第2基本画像を生成する第2色変換処理部と、
前記第2基本画像と、前記プリントエンジンから出力された記録媒体上の画像を画像読取センサで読み取ることで得られた検査画像とを比較して検品する検品処理部と、を備える
画像形成システム。
【請求項9】
事前に取得された第1パッチデータに基づいて生成された第1色変換テーブルに基づいて、前記プリントエンジンに入力される入力画像データを色変換し、第1基本画像を生成するステップと、
前記第1パッチデータの取得時とは異なる印刷条件又は/及びタイミングにおいて取得された第2色変換テーブルに基づいて、前記第1基本画像を色変換し、第2基本画像を生成するステップと、
前記第2基本画像と、前記プリントエンジンから出力された記録媒体上の画像を画像読取センサで読み取ることで得られた検査画像とを比較して検品するステップと、をコンピューターに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成システム、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されてくる記録媒体にインクジェットヘッドからインク滴を吐出して画像形成を行うインクジェット記録装置が利用されている。インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドのインク吐出口となる微細なノズルに異物の付着や、インクの残留、気泡の混在等に起因して、形成される画像にスジや汚れ等の画像欠陥が発生する。これらの画像欠陥の検査をする方法として、スキャンした画像同士を比較する方法や、基準画像データと、スキャンされた検査画像データとを比較する方法が採用されている。
【0003】
特許文献1では、スキャンした検査画像データと、基準画像データとを比較して画像検査する画像検査装置において、紙の種類に応じて基準画像データを補正する構成が開示されている。特許文献1では、用紙の属性情報を含む補正パラメータに基づいて、CMYK形式の基準画像データを、検査画像と同様のRGB又はLabの色空間の画像データに変換する。これにより、基準画像データの精度改善が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、出力される画像は、紙の種類の他、マシンの経時変化や、個別の機体間で発生する機差、印刷設定の影響を受ける。一方、特許文献1に記載の技術では、マシンの経時変化や、機差、印刷設定等については考慮されていない。したがって、画像検査装置においては、紙の種類の他、マシンの経時変化や、機差、印刷設定等の影響を考慮して、画像検査を高精度に行いたいという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、画像検査の精度を向上する画像検査装置、画像形成システム、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像検査装置は、第1色変換テーブルに基づいて、前記プリントエンジンに入力される入力画像データを色変換し、第1基本画像を生成する第1色変換処理部を有する。また、第2色変換テーブルに基づいて、第1基本画像を色変換し、第2基本画像を生成する第2色変換処理部を有する。また、第2基本画像と、プリントエンジンから出力された記録媒体上の画像を画像読取センサで読み取ることで得られた検査画像と、を比較して画像検査を行う検品処理部を備える。第1色変換テーブルは、事前に取得された第1パッチデータに基づいて生成される。第2色変換テーブルは、第1パッチデータの取得時とは異なる印刷条件又は/及びタイミングにおいて取得された第2パッチデータに基づいて生成されている。
【0008】
また、本発明の画像形成システムは、記録媒体に画像を印刷するプリントエンジンと、プリントエンジンから出力された画像を検査する、上記の画像検査装置とを備える。
【0009】
また、本発明のプログラムは、事前に取得された第1パッチデータに基づいて生成された第1色変換テーブルに基づいて、プリントエンジンに入力される入力画像データを色変換し、第1基本画像を生成するステップを有する。また、第1パッチデータの取得時とは異なる印刷条件又は/及びタイミングにおいて取得された第2色変換テーブルに基づいて、第1基本画像を色変換し、第2基本画像を生成するステップを有する。第2基本画像と、プリントエンジンから出力された記録媒体上の画像を画像読取センサで読み取ることで得られた検査画像と、を比較して画像検査を行うステップを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像検査装置において、画像検査の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態の画像形成システム1の制御系を示したブロック図である。
【
図3】第1色変換テーブルの生成方法を示すフローチャートである。
【
図4】第1色変換テーブルの生成に用いられる制御ブロックを示した図である。
【
図5】第1色変換テーブル生成部52で生成される第1色変換テーブルを示した図である。
【
図6】印刷ジョブの実行時において実施される第2色変換テーブルの生成方法を示すフローチャートである。
【
図7】第2色変換テーブルの生成に用いられる制御ブロックを示した図である。
【
図8】ステップS14で生成される第2色変換テーブルの一例である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る画像検査装置50における画像検査方法を示したフローチャートである。
【
図10】画像検査時に用いられる制御ブロックを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る画像検査装置を含む画像形成システム、及び、画像検査方法に係るプログラムの一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。また、説明は、以下の順に行う。
1.画像形成システムの全体構成
2.画像形成システムの制御構成
3.画像検査方法
【0013】
1.画像形成システムの全体構成
図1は、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る画像形成システム1の全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態の画像形成システム1は、プリントコントローラー(以下、DFE(Digital Front End))10と、画像形成装置70と、測色計60と、画像検査装置50とを備える。
【0014】
[DFE]
DFE10は、図示を省略するクライアントPC等の外部装置から送信された印刷ジョブに基づいて、印刷ジョブに含まれる画像データをRIP(Raster Image Process)処理し、CMYK(Cyan、Magenta、Yellow、Black)からなるビットマップ形式の画像データを生成する。画像データは、画像形成装置70に送信される。DFE10は、例えば、PCやサーバーなどの情報処理装置で構成される。
【0015】
[画像形成装置]
画像形成装置70は、DFE10から送信された画像データに基づいて、用紙等の記録媒体に画像形成して印刷する装置であり、本実施形態では、インクジェット記録装置を一例として示す。画像形成装置70は、給紙部20と、画像形成部30と、排紙部40とを有する。
【0016】
画像形成装置70は、制御部(図示を省略する)の制御の下、給紙部20に格納された記録媒体を画像形成部30に搬送し、画像形成部30で記録媒体に画像を形成し、画像が形成された記録媒体を排紙部40に排紙する。
【0017】
給紙部20は、例えば紙などで構成される記録媒体を格納する給紙トレーと、給紙トレーから画像形成部30へ記録媒体を搬送する搬送部とを有する。
【0018】
画像形成部30は、例えば、画像形成ドラム31、ヘッドユニット32、及び、照射部33で構成されるプリントエンジン35と、画像読取センサ34とを有する。
【0019】
画像形成ドラム31は、円筒状の部材で構成され、駆動モータ(図示を省略する)によって反時計回りに回転する。画像形成ドラム31は、円筒状の外周面に沿って記録媒体を担持し、その回転に伴って当該記録媒体を搬送する。画像形成ドラム31の搬送面は、ヘッドユニット32及び照射部33と対向しており、ヘッドユニット32及び照射部33は、画像形成ドラム31で搬送される記録媒体に対して画像形成に係る処理を行う。
【0020】
ヘッドユニット32は、記録媒体の搬送方向に垂直な方向(記録媒体の幅方向)について記録媒体の全体をカバーする長さ(幅)で設けられている。すなわち、画像形成装置70は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。ヘッドユニット32は、複数のインクジェットヘッドを配列してラインヘッドを構成することができる。
【0021】
また、ヘッドユニット32は、画像形成に用いられる各色(CMYK)について個別に設けられている。
図1に示す画像形成装置70には、画像形成ドラム31の回転に伴い搬送される記録媒体の搬送方向に沿って、上流からY、M、C、Kの色の順に、各色に対応したヘッドユニット32が設けられている。
【0022】
本実施形態における画像形成装置70で用いられるインクは、例えば紫外線(UV)硬化型のインクである。このUV硬化型のインクは、UVが照射されない状態では、温度に応じてゲル状態と液体(ゾル)状態との間で相変化する。このインクは、例えば、40℃~100℃程度の相変化温度を有し、この相変化温度以上に加熱上昇されることで一様に液化(ゾル化)する。一方、このインクは、通常の室温程度(0℃~30℃)を含む所定の温度以下ではゲル化する。
【0023】
照射部33は、本実施形態の画像形成装置70で用いられるインクが記録媒体上に吐出された後に当該インクを硬化させるためのエネルギー線を照射する。照射部33は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管を発光させて紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部33は、画像形成ドラム31の外周面の近傍であって、画像形成ドラム31の回転による記録媒体の搬送方向についてヘッドユニット32に下流側に設けられる。照射部33は、画像形成ドラム31に担持されてインクが吐出された記録媒体に対してエネルギー線を照射して当該エネルギー線の作用により記録媒体上に吐出されたインクを硬化させる。
【0024】
紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa~1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどが挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば発光ダイオード等)がより望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線の波長などに応じて置換される。
【0025】
画像読取センサ34は、インラインセンサ(ILS)などで構成されており、記録媒体に形成された画像を読み取る。本実施形態では、画像読取センサ34で読み取った読取画像データは、画像検査装置50に送られる。
【0026】
排紙部40は、画像形成部30から送り出された記録媒体を格納する。排紙部40は、板状の排紙トレー等を有し、この排紙トレー上に画像形成後の記録媒体を載置する。
【0027】
なお、本実施形態では、画像形成装置70として、インクジェット記録装置を例示したが、これに限られるものではない。カラーの電子写真方式のプリンター等、他の画像形成装置であってもよく、MFP(MultiFunction Peripheral)などの、装置種類が異なる他の画像形成装置としてもよい。
【0028】
[測色計]
測色計60は、物体により反射または透過された光をスペクトル分析することにより、物体の色の数値化等をする装置である。本実施形態では、画像形成装置70において、所定の画像が形成された記録媒体の測色を行う。本実施形態では、測色計60において、パッチ画像の測色が実施される。測色計60で計測された測色データは、後述する画像検査装置50で用いられる。
【0029】
[画像検査装置]
画像検査装置50は、上述したプリントエンジン35と画像読取センサ34とから構成される画像形成装置70から出力される印刷物の画像における欠陥の有無を検査する装置である。画像検査装置50は、後述する第1色変換テーブル生成部52(
図2参照)において第1色変換テーブルを生成すると共に、第2色変換テーブル生成部54(
図2参照)において第2色変換テーブルを作成する。そして、作成された第1色変換テーブル及び第2色変換テーブルに基づいて、CMYK形式の画像データを色変換し、RGB(Red、Green、Blue)形式の基準画像を生成する。また、画像検査装置50は、色変換により生成された基準画像と、画像読取センサ34で読み取られた検査画像とを比較して欠陥があるか否かの検品処理を行う。本実施形態では、画像検査装置50における画像検査方法に特徴を有する。第1色変換テーブル及び第2色変換テーブルの生成手順を含む画像検査方法については後で詳述する。
【0030】
2.画像形成システムの制御構成
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の制御系の構成について説明する。
図2は、本実施形態の画像形成システム1の制御系を示したブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の画像形成システム1は、上述した、DFE10、プリントエンジン35、画像読取センサ34、測色計60、及び、画像検査装置50を備える。そして、画像検査装置50は、パッチ解析部51、記憶部53、第1色変換テーブル生成部52、第2色変換テーブル生成部54、第1色変換処理部55、第2色変換処理部56、及び検品処理部57を備える。
【0031】
パッチ解析部51は、画像読取センサ34から送られてきた読取画像データ(パッチ画像)における各画素のRGB値を抽出し、RGBの色空間におけるパッチデータを抽出する。本実施形態では、パッチ解析部51では、所定のタイミングにおいて、第1パッチデータRGB1と、第2パッチデータRGB2とが抽出される。第1パッチデータRGB1及び第2パッチデータRGB2のそれぞれの抽出タイミングについては、後述する画像検査方法において説明する。第1パッチデータRGB1は、記憶部53に送信されると共に、記憶される。一方、第2パッチデータRGB2は、第2色変換テーブル生成部54に送信される。
【0032】
第1色変換テーブル生成部52は、プリントエンジン35から得られるCMYK形式のパッチデータCMYKと、測色計60から得られるパッチ画像の測色データL*a*b*と、記憶部53から得られる第1パッチデータRGB1(後述する)とに基づいて、第1色変換テーブルを生成する。第2色変換テーブル生成部54は、パッチ解析部51から得られる第2パッチデータRGB2と、記憶部53から得られる第1パッチデータRGB1都に基づいて、第2色変換テーブルを生成する。
【0033】
記憶部53は、第1パッチデータRGB1、第1色変換テーブル、第2色変換テーブルを記憶する。第1色変換処理部55は、DFE10から出力されるCMYK形式の入力画像データDを、第1色変換テーブルに基づいて色変換し、第1基準画像D1を生成する。第2色変換処理部56は、第2色変換テーブルに基づいて、第1基準画像D1を色変換して第2基準画像D2を生成する。検品処理部57は、第2基準画像D2と、プリントエンジン35で記録媒体上に形成され、画像読取センサ34でスキャンされた検査画像DSとに基づいて、検品処理を実施する。
【0034】
ところで、上述した、制御系を構成する各部は、それぞれ、図示を省略する制御処理部の制御の下、制御される。制御処理部は、例えば、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性ストレージを備える。
【0035】
CPUは、各部において、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROMから読み出してRAMに展開して実行する。なお、制御処理部は、CPUの代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えてもよい。RAMには、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0036】
不揮発性ストレージとしては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。この不揮発性ストレージには、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、制御処理部を機能させるためのプログラム等が記録される。なお、プログラムは、ROMに格納されてもよい。
【0037】
プログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。つまり、ROM又は不揮発性ストレージは、コンピュータによって実行されるプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。
【0038】
3.画像検査方法
次に、本実施形態の画像形成システム1における画像検査方法について説明する。
【0039】
[第1色変換テーブル生成方法(初期セットアップ)]
まず、記憶部53に記憶させておく第1色変換テーブルの生成方法について説明する。
図3は、第1色変換テーブルの生成方法を示すフローチャートである。また、
図4は、第1色変換テーブルの生成に用いられる制御ブロックを示した図である。
図4に示す各部において、網掛けで示した部分が、第1色変換テーブルの生成時に用いられる構成要素である。
【0040】
第1色変換テーブルの生成、及び、設定は、画像形成装置70(画像形成部30)のセットアップ時に実施されるものであって、機種ごとに実施されてもよく、また、ユーザー毎(装置毎)に実施されてもよい。なお、本実施形態では、第1色変換テーブルの生成は、セットアップ時に実施する例としたが、印刷ジョブを開始する前のタイミングにおいて、事前に行われていればよい。
【0041】
初期セットアップを開始する場合、DFE10において、CMYK形式のパッチ画像のデータ(入力パッチデータCMYK)を準備し、プリントエンジン35に送信する(ステップS1)。次に、プリントエンジン35では、DFE10から送信されてきた入力パッチデータCMYKに基づいて、記録部材へのパッチ画像の印刷を実行する(ステップS2)。ここで、ステップS2で用いられる記録部材は、一般的によく使用される標準的な用紙(標準紙)である。また、このとき、プリントエンジン35において出力される入力パッチデータCMYKは、画像検査装置50の第1色変換テーブル生成部52に送信される。
【0042】
次に、画像読取センサ34は、プリントエンジン35においてパッチ画像が形成され、排出された印刷物を読み取る(ステップS3)。画像読取センサ34で読み取られたパッチ画像の読取画像は、パッチ解析部51に送信される。パッチ解析部51では、ステップS2から送信されてきた読取画像データに基づいて、各画素のRGB値を抽出して、RGBの色空間における第1パッチデータRGB1を抽出する。パッチ解析部51で抽出された第1パッチデータRGB1は、記憶部53に送信され、記憶される。
【0043】
一方、プリントエンジン35においてパッチ画像が形成され、排出された印刷物を、測色計60を用いて測色する(ステップS5)。ステップS5における測色は、画像形成装置70から排出される印刷物の搬送経路上で行われてもよく、また、ユーザーによってパッチ画像が形成された印刷物を測色計60の位置まで運んで行う例としてもよい。測色計60で取得されたパッチ画像の測色データL*a*b*は、第1色変換テーブル生成部52に送信される。
【0044】
次に、第1色変換テーブル生成部52では、プリントエンジン35から送信されてきた入力パッチデータCMYKと、測色計60から送信されてきた測色データL*a*b*と、記憶部53から読み出される第1パッチデータRGB1とに基づいて、第1色変換テーブルを生成する(ステップS6)。
【0045】
図5に、第1色変換テーブル生成部52で生成される第1色変換テーブルを示す。第1色変換テーブル生成部52では、
図5に示すように、プリンタプロファイルと、スキャナープロファイルと、デバイスリンクプロファイル(第1色変換テーブル)とが生成される。
【0046】
プリンタプロファイルは、プリントエンジン35に出力される入力画像データ(CMYK値)と印刷物から取得した色彩値(L*a*b*値)との対応関係(プリントエンジンの出力特性)を表すものである。本実施形態では、測色データL*a*b*の色空間をプロファイルコネクションスペース(以下、PCS)として、入力された入力パッチデータCMYKから測色データL*a*b*を推定するプリンタプロファイルを作成する。
【0047】
スキャナープロファイルは、画像読取センサ34の読取値(RGB値)と、読取対象物から取得した色彩値(L*a*b*値)との対応関係(画像読取センサ34の読取特性)を表すものである。本実施形態では、測色データL*a*b*の色空間をPCSとして、第1パッチデータRGB1から測色データL*a*b*を推定するスキャナープロファイルを作成する。
【0048】
デバイスリンクプロファイル(第1色変換テーブル)は、プリントエンジン35に入力される画像データのCMYK値と、画像読取センサ34の読取値(RGB値)との対応関係を表すものである。本実施形態では、プリンタプロファイルと、スキャナープロファイルとにより、プリントエンジン35に入力される入力パッチデータCMYKと、パッチ解析部51で抽出された第1パッチデータRGB1との対応関係を示すデバイスリンクプロファイル(第1色変換テーブル)が作成される。
【0049】
図5に示す第1色変換テーブルは、記憶部53に送信され、記憶部53において記憶される。
【0050】
以上のようにして、初期セットアップを終了する。上述したように、初期セットアップ時においては、
図5に示す第1色変換テーブルと、
図5の太線で囲んだ第1パッチデータRGB1が記憶部53に記憶される。
【0051】
[第2色変換テーブル(用紙プロファイル)生成方法]
次に、実際の印刷ジョブの実行時において実施される第2色変換テーブルの生成方法について説明する。
図6は、印刷ジョブの実行時において実施される第2色変換テーブルの生成方法を示すフローチャートである。また、
図7は、第2色変換テーブルの生成に用いられる制御ブロックを示した図である。
図7に示す各部において、網掛けで示した部分が、第2色変換テーブルの生成時に用いられる部分である。なお、第2色変換テーブルは、使用される用紙の種類や、印刷設定等の印刷条件ごとに作成される、いわゆる、印刷条件別プロファイルである。
【0052】
第2色変換テーブルの作成が開始されると、まず、DFE10において、パッチ画像のデータ(入力パッチデータCMYK)を準備し、プリントエンジン35に送信する(ステップS10)。ステップS10で準備される入力パッチデータCMYKは、
図3のステップS1における入力パッチデータCMYKと同じである。
【0053】
次に、プリントエンジン35では、DFE10から送信されてきた入力パッチデータCMYKに基づいて、記録部材へのパッチ画像の印刷を実行する(ステップS11)。ステップS11で用いられる記録部材は、実際に実行されるジョブで使用される用紙である。
【0054】
次に、画像読取センサ34は、プリントエンジン35においてパッチ画像が印刷され、出力されてきた記録部材を読み取る(ステップS12)。画像読取センサ34で読み取られたパッチ画像の読取画像は、パッチ解析部51に送信される。
【0055】
パッチ解析部51では、ステップS12から送信されてきた読取画像データに基づいて各画素のRGB値を抽出し、RGBの色空間における第2パッチデータRGB2を抽出する(ステップS13)。パッチ解析部51で抽出された第2パッチデータRGB2は、第2色変換テーブル生成部54に送信される。
【0056】
次に、第2色変換テーブル生成部54では、記憶部53において初期セットアップ時に予め記憶されていた第1パッチデータRGB1と、ステップS13で抽出された第2パッチデータRGB2とから、第2色変換テーブルを生成する(ステップS14)。
【0057】
図8は、ステップS14で生成される第2色変換テーブルの一例である。
図8は、第2色変換テーブルは、第1パッチデータRGB1と第2パッチデータRGB2との対応関係を表すものである。
【0058】
本実施形態では、例えば、
図8に示すデータに基づいて、第1パッチデータRGB1に対して行列演算で第2パッチデータRGB2を推定する行列係数を算出し、その行列係数を第2色変換テーブルとする。下記の[数1]に、色変換テーブルを用いた行列演算の一例を示す。
【0059】
【0060】
上記の[数1]に示すように、第1パッチデータRGB1の各値(R1,G1,B1)を用いて第2パッチデータRGB2の各値(R2,G2,B2)に変換する行列係数を求める。この場合、例えば、誤差が最小となる行列係数M11~M33を求め、その行列係数M11~M33を第2色変換テーブルとすることができる。
【0061】
図8に示す第2色変換テーブル又は[数1]で示す行列係数は、記憶部53に送信され、記憶部53において記憶される。第2色変換テーブルは、第2パッチデータRGB2を取得した時の用紙の種類、エンジン設定(インク/トナー量、階調特性等)等の印刷条件と紐づけて、記憶部53に保持、及び、管理する。
【0062】
以上のようにして、実際のジョブの実行時で使用される用紙及びエンジン設定に対応した第2色変換テーブルが生成される。なお、第2色変換テーブルの生成タイミングは、各ジョブを実施する直前に行ってもよく、また、各用紙のプロファイルを作成する際に行ってもよい。ジョブの実施直前に第2色変換テーブルを生成する場合には、使用される用紙の種類や、エンジン設定の他、その時点におけるプリントエンジン35の特性、画像読取センサ34の特性を反映することができる。
【0063】
[画像検査法方法]
次に、第1色変換テーブル及び第2色変換テーブルを用いた画像検査方法について説明する。
図9は、本実施形態の画像検査装置50における画像検査方法を示したフローチャートである。また、
図10は、
図9で説明する画像検査時に用いられる制御ブロックを示した図である。
【0064】
画像検査に係るジョブがスタートされた場合、DFE10において、印刷ジョブに基づく入力画像データDを準備する(ステップS20)。ここで準備される入力画像データDは、ユーザーによって入力された実際の印刷ジョブに係る画像データであり、CMYK形式のRIPデータである。ステップS20で準備した入力画像データDは、プリントエンジン35及び画像検査装置50に送信される。
【0065】
プリントエンジン35では、入力された入力画像データDに基づいて、所定の用紙に画像を形成する(ステップS21)。その後、画像読取センサ34において、プリントエンジン35において画像が印刷され、出力されてきた記録部材を読み取る(ステップS22)。画像読取センサ34で読み取られた読取画像(検査画像DS)は、画像検査装置50の検品処理部57に送信される。
【0066】
一方、画像検査装置50では、DFE10から送信されてきた入力画像データDが、第1色変換処理部55に送信され、第1色変換処理部55において、色変換される(ステップS23)。第1色変換処理部55では、記憶部53に記憶されている第1色変換テーブルに基づいて、CMYK形式の入力画像データDを色変換して、RGB形式の第1基準画像D1を生成する。第1基準画像D1は、第1パッチデータRGB1に基づいて色変換なされた画像であり、各装置の機差が反映された画像データである。第1基準画像D1は、第2色変換処理部56に送信される。
【0067】
次に、第2色変換処理部56では、記憶部53に記憶されている第2色変換テーブルに基づいて、第1色変換処理部55から送信されてきた第1基準画像D1を色変換し、第2基準画像D2を生成する(ステップS24)。第2基準画像D2は、第2パッチデータRGB2に基づいて色変換なされた画像であり、用紙の種類、印刷設定、第2パッチデータを取得した際のプリントエンジン、及び、画像読取センサ34の特性が反映された画像データである。そして、第2基準画像D2は、検品処理部57に送信される。
【0068】
検品処理部57では、画像読取センサ34から送信されてきた読取画像である検査画像DSと、第2色変換処理部56から送信されてきた第2基準画像D2とを比較し、検査画像における画像不良の有無を検査する検品処理を行う(ステップS25)。本実施形態の検品処理は、印刷ジョブの開始前の事前に全ページ分行ってもよく、また、ジョブ中に各ページに対応してリアルタイムで行ってもよい。
【0069】
本実施形態では、第1色変換テーブルにより、機差を反映した第1基準画像D1を生成することができる。さらに、本実施形態では、第2色変換テーブルにより、用紙の種類、印刷設定、経時変化を反映させた色変換を行うことができる。したがって、第2基準画像D2は、元の入力画像データDに対して、機差、用紙の種類、印刷設定、装置の経時変化を反映させた画像データとなる。これにより、より精度の高い検品処理を行うことができる。
【0070】
また、本実施形態では、第1パッチデータRGB1及び第1変換テーブルは、予め記憶部に記憶されていればよい。すなわち、ジョブ毎や、ページ毎に行われる検品処理では、第2パッチデータRGB2のみを取得し、第2色変換テーブルを生成すればよい。また、第2パッチデータRGB2を用いた第2色変換テーブルの生成には、測色データは必要ない。したがって、印刷現場において、ジョブ毎、又はページ毎に実施される第2色変換テーブルの生成する際に、測色計60は不要となる。
【0071】
なお、本実施形態では、第1色変換テーブル生成部52を画像検査装置50に設ける構成としたが、DFE10で行う構成としてもよい。この場合には、測色計60で取得される測色データ及びパッチ解析部51で取得される第1パッチデータRGB1はDFE10に送信され、DFE10で記憶される。したがって、画像検査装置50には、マシンの種類別、又は、それぞれのマシン毎に生成された第1色変換テーブルの情報が記憶、又は、取得可能に構成されていればよい。
【0072】
上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…画像形成システム、10…DFE、20…給紙部、30…画像形成部、31…画像形成ドラム、32…ヘッドユニット、33…照射部、34…画像読取センサ、35…プリントエンジン、40…排紙部、50…画像検査装置、51…パッチ解析部、52…第1色変換テーブル生成部、53…記憶部、54…第2色変換テーブル生成部、55…第1色変換処理部、56…第2色変換処理部、57…検品処理部、60…測色計、70…画像形成装置