(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121157
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】愛護動物用供血ドナー紹介システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240830BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20240830BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240830BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H10/00
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028103
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】523069304
【氏名又は名称】株式会社Vanishing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100190160
【弁理士】
【氏名又は名称】隅田 俊隆
(72)【発明者】
【氏名】土岐 沙也香
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L049CC17
5L050CC01
5L050CC17
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】
輸血が必要な動物(レシピエント)に適したドナーを、治療を行う獣医師に対して速やかに紹介することができかつどの動物病院からでも利用することができる愛護動物用供血ドナー紹介システム及び方法を提供すること。
【解決手段】
ドナー候補及びその飼主に関する情報をドナー情報としてサーバ110の記憶部111に記憶させておき、病院端末120からサーバ110に送信されたレシピエントの情報に基づいて供血するのに適した条件を具備するドナー情報を選出し、このドナー情報にかかるドナー候補の飼主が操作するドナー端末130にその旨を通知し、飼主の承諾が得られたドナー情報を病院端末120に提示することによって、獣医師に供血ドナーを紹介する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸血を必要とするレシピエントにドナーを紹介する愛護動物用供血ドナー紹介システムであって、
複数の動物病院の獣医師によってそれぞれ操作される複数の病院端末と、複数のドナー候補の飼主によってそれぞれ操作される複数のドナー端末と、前記複数の病院端末及び前記複数のドナー端末とネットワークを通じて接続されるサーバとを備え、
前記サーバは、
前記複数のドナー候補に関するドナー情報が記憶される記憶部と、
前記病院端末から送信される前記レシピエントに関するレシピエント情報と前記ドナー情報とを照らし合わせて、前記ドナー情報の中から前記レシピエントへの供血に適したドナー情報を有するドナー候補を選出するドナー選出部と、
前記ドナー選出部によって選出された前記ドナー候補の飼主が操作する前記ドナー端末に対して、ドナーに選出された旨を通知して供血の可否を尋ねる通知部と、
前記通知を受信した前記ドナー端末から送信された供血の可否の回答に関する情報を受信し、飼主の承諾が得られた前記ドナー情報を前記病院端末に提示する提示部と、を備えることを特徴とする愛護動物用供血ドナー紹介システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記レシピエント情報がさらに記憶されることを特徴とする請求項1記載の愛護動物用供血ドナー紹介システム。
【請求項3】
前記ドナー端末は、前記供血の可否に関する情報を前記サーバに送信させる回答送信部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の愛護動物用供血ドナー紹介システム。
【請求項4】
前記ドナー端末は、前記ドナー情報を前記サーバに送信して前記記憶部に記憶させる登録情報送信部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の愛護動物用供血ドナー紹介システム。
【請求項5】
コンピュータにより、輸血を必要とするレシピエントにドナーを紹介する愛護動物用供血ドナー紹介方法であって、
前記コンピュータの記憶部にドナー候補に関するドナー情報を記憶するステップと、
前記ドナー情報の中から前記レシピエントへの供血に適したドナー情報を有するドナー候補を選出するステップと、
選出された前記ドナー候補の飼主が操作するドナー端末に対して、ドナーに選出された旨を通知して供血の可否を尋ねるステップと、
前記通知を受信した前記ドナー端末から送信された供血の可否の回答に関する情報を受信し、飼主の承諾が得られた前記ドナー情報を前記病院端末に提示するステップと、を備えることを特徴とする愛護動物用供血ドナー紹介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛護動物の治療において輸血が必要となったときに、血液を提供するドナーとなる他の愛護動物を迅速に紹介することができる愛護動物用供血ドナー紹介システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫に代表されるペットが多く飼育されるようになっている。ペットとして迎えられた動物は、その枠を超えて家族と同様の大切な存在となっている。一方で、ペットが病気やケガで治療が必要となったときには輸血が必要になることがある。しかしながら、血液提供のドナーとなる動物を獣医師が調達するのは難しく、また、ペットを対象とした輸血用血液製剤や血漿製剤は入手が困難であることから、輸血の実施は極めて難しい状況にある。このことは、犬猫といったペットに限らず、それら以外の愛護動物においても同様である。
【0003】
こうした事情に対処するために、獣医師や飼主によって様々な取り組みがなされている。例えば、必要なときに採血を行えるようにする供血犬や供血猫を動物病院で飼育したり、篤志家の飼主が自身のペットを動物病院にドナーとして登録しておき、必要なときにボランティアで供血したりすることが行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】いぬのきもち WEB MAGAGINE,「犬の命を助けてくれる『供血犬』とは 犬も献血できることを知っていますか?」,令和3年3月25日,[令和5年1月25日検索],インターネット<URL:https://dog.benesse.ne.jp/withdog/content/?id=98071>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、供血犬や供血猫を飼育している動物病院は極めて少数である。また、ボランティアのドナー登録を行っていても登録者が集まらない病院も多く、登録者がいても輸血されるペット(レシピエント)にドナーが適合するかの確認や飼主の承諾を得る作業に時間がかかってしまい、輸血が間に合わないことがあった。このため、ペットへの輸血用血液の手配は依然として難しい状況にある。
【0006】
そこで、本発明は、レシピエントに適したドナーを速やかに獣医師に紹介することができかつどの病院からでも利用することができる愛護動物用供血ドナー紹介システム及び方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明が採った手段は、輸血を必要とするレシピエントにドナーを紹介する愛護動物用供血ドナー紹介システムであって、複数の動物病院の獣医師によってそれぞれ操作される複数の病院端末と、複数のドナー候補の飼主によってそれぞれ操作される複数のドナー端末と、前記複数の病院端末及び前記複数のドナー端末とネットワークを通じて接続されるサーバとを備え、前記サーバは、前記複数のドナー候補に関するドナー情報が記憶される記憶部と、前記病院端末から送信される前記レシピエントに関するレシピエント情報と前記ドナー情報とを照らし合わせて、前記ドナー情報の中から前記レシピエントへの供血に適したドナー情報を有するドナー候補を選出するドナー選出部と、前記ドナー選出部によって選出された前記ドナー候補の飼主が操作する前記ドナー端末に対して、ドナーに選出された旨を通知して供血の可否を尋ねる通知部と、前記通知を受信した前記ドナー端末から送信された供血の可否の回答に関する情報を受信し、飼主の承諾が得られた前記ドナー情報を前記病院端末に提示する提示部と、を備えることを特徴とする愛護動物用供血ドナー紹介システム、である。
【0008】
すなわち、本発明は、ドナー候補として募られた動物及びその飼主に関する情報をサーバの記憶部に記憶させておき、輸血が必要な動物(レシピエント)の情報に基づいて供血に適した条件を有するドナー候補を選出し、その飼主から供血することについての承諾が得られたドナー情報を病院端末に提示して、獣医師に供血ドナーを紹介するシステムである。獣医師が本システムを利用することで、供血犬や供血猫を飼育できない動物病院や、ボランティアのドナー登録が行えない動物病院であっても、輸血のための血液の提供を迅速に受けられるようになる。
【0009】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、愛護動物とは、動物愛護管理法第44条第4項で規定する牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる、その他人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するものをいう。
【0010】
また、前記記憶部は、前記レシピエント情報がさらに記憶されるようにしてもよい。
【0011】
こうすることで、レシピエントに関する情報をサーバと病院端末との間で共有できるようになる。また、一度供血を行ったドナーは、次に供血できるようになるまでに1か月以上の時間を要するため、ドナー候補は常に数多く確保しておくことが好ましい。そこで、レシピエントの情報を記憶させておけば、輸血が終了したレシピエント情報をドナー情報として取り扱えるようになる。
【0012】
また、前記ドナー端末は、前記供血の可否に関する情報を前記サーバに送信させる回答送信部を備えてもよい。
【0013】
ドナー端末に回答送信部を備えることで、供血の可否についての回答をドナー端末からサーバに簡単に送信できるようになる。
【0014】
また、前記ドナー端末は、前記ドナー情報を前記サーバに送信して前記記憶部に記憶させる登録情報送信部を備えてもよい。
【0015】
登録情報送信部を備えることで、ドナー候補になることを希望する飼主は、サーバへのドナー情報の送信及び登録を自身のドナー端末から簡単に行えるようになる。
【0016】
また、本発明が採った別の手段は、コンピュータにより、輸血を必要とするレシピエントにドナーを紹介する愛護動物用供血ドナー紹介方法であって、前記コンピュータの記憶部にドナー候補に関するドナー情報を記憶するステップと、前記ドナー情報の中から前記レシピエントへの供血に適したドナー情報を有するドナー候補を選出するステップと、選出された前記ドナー候補の飼主が操作するドナー端末に対して、ドナーに選出された旨を通知して供血の可否を尋ねるステップと、前記通知を受信した前記ドナー端末から送信された供血の可否の回答に関する情報を受信し、飼主の承諾が得られた前記ドナー情報を前記病院端末に提示するステップと、を備えることを特徴とする愛護動物用供血ドナー紹介方法、である。
【0017】
すなわち、本発明にかかる方法は、上記の愛護動物用供血ドナー紹介システムを、コンピュータによって実行する方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる愛護動物用供血ドナー紹介システムによれば、登録された複数のドナー候補の中から、レシピエントへの供血に適するドナーの選出と、その飼主への供血への意思確認とを速やかに行なうことができるので、獣医師に供血ドナーを速やかに紹介することができる。これにより、これまで輸血ができないためにあきらめていた治療が可能になるとともに、輸血が間に合わないために動物が治療中に失血死するリスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例にかかる愛護動物用供血ドナー紹介システムの概略図である。
【
図2】実施例にかかる愛護動物用供血ドナー紹介システムが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、輸血が必要と判断された動物(レシピエント)に対して、レシピエントに適した供血ドナーを選出して獣医師に紹介する愛護動物用供血ドナー紹介システムである。
【0021】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
【実施例0022】
図1には、愛護動物用供血ドナー紹介システム100(以下単にシステム100という)が示されている。システム100は、犬猫等のペットに適用されるものであり、サーバ110と、各所の動物病院の獣医師によってそれぞれ操作される複数の病院端末120と、各所のペットの飼主によってそれぞれ操作される複数のドナー端末130とで構成され、複数の病院端末120及び複数のドナー端末130は、サーバ110と双方向通信可能にインターネットNに接続されている。
【0023】
サーバ110は、プロセッサやメモリ(RAM、ROM)を有するコンピュータであり、記憶部111と、ドナー選出部112と、通知部113と、提示部114とを備える。
【0024】
記憶部111は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の記憶媒体を有して構成されており、輸血の求めがあったときにドナーとなるペット(ドナー候補)に関する情報(ドナー情報)が複数記憶される。
【0025】
ドナー選出部112は、記憶部111に記憶された複数のドナー情報の中から、レシピエントとなるペットの供血ドナーとなるのに適した条件を備える1又は2以上のドナー情報を選出する手段であり、記憶媒体に格納されたプログラムがプロセッサにより実行されることで動作する。ドナー選出部112は、後に詳述する病院端末112から送信されるレシピエント情報を参酌して、記憶部111に記憶された複数のドナー情報の中からレシピエントへの供血に適した条件を備えるドナー情報を選出する。ドナー情報の選出には、動物の種類、供血履歴、必要な輸血量、既往歴、持病の有無等の情報が参酌される。
【0026】
通知部113は、ドナー選出部112によって選出されたドナー情報にかかるペットの飼主が操作するドナー端末130に向けてドナーに選出されたことを通知する手段であり、記憶媒体に格納されたプログラムがプロセッサにより実行されることで動作する。
【0027】
提示部114は、ドナー選出部112で選出されたドナー情報を病院端末120に提示させる手段である。これにより、獣医師はドナーの詳細を把握することができ、紹介された中から最終的なドナーの選定を行えるようになる。
【0028】
病院端末120は、インターネットNに接続されたサーバ110との間で送受信が可能なパーソナルコンピュータ、高機能携帯電話(スマートフォン)、タブレット端末であり、獣医師の他、看護師、事務員等の病院関係者によって操作される。病院端末120には、サーバ110及び次に詳述するドナー端末130との間で情報の送受信を行う情報送受信部121を備える。情報送受信部121の機能は、病院端末120にプリインストールされたウェブブラウザやチャット、メッセージング等のアプリケーションソフトウェアや、ユーザたる獣医師によってインストールされるアプリケーションソフトウェアによって実行される。
【0029】
ドナー端末130は、インターネットNに接続されたサーバ110との間で送受信が可能なパーソナルコンピュータ、高機能携帯電話(スマートフォン)、タブレット端末であり、ドナー候補の飼主によって操作される。ドナー端末130は、回答送信部131と、登録情報送信部132とを備える。回答送信部131は、サーバ110の通知部113から受信した通知に対して、供血の可否についての回答を送信する手段である。登録情報送信部132は、ドナー端末から飼主が入力したドナー情報をサーバ110に送信して記憶部111に記憶させる手段である。回答送信部131及び登録情報送信部132の機能は、ドナー端末130にプリインストールされたウェブブラウザやチャット、メッセージング等のアプリケーションソフトウェアや、ユーザたる飼主によってインストールされるアプリケーションソフトウェアによって実行される。
【0030】
次に、システム100の処理動作について説明する。
【0031】
図2には、システム100の処理動作を説明するフローチャートが示されている。最初に、病院端末120及びドナー端末130a、130bから、サーバ110への情報登録が行われる(ステップS1)。病院端末120からの情報登録は、まず、メールアドレスとパスワードの登録から行う。メールアドレスは、病院又は獣医師個人が使用するメールアドレスであり、パスワードは任意に設定される文字列からなる。メールアドレス及びパスワードを登録したら、サーバ110に招待コードの送信を要求する。招待コードは、サーバ110に事前に登録された病院の基本情報と紐付けされた文字列からなる。病院端末120が招待コードを受信したら、その招待コードを病院端末120に入力してサーバ110に送信する。そして、受信した招待コードが、登録されている招待コードと一致するとサーバ110が確認したら情報登録が完了する。情報登録完了後は、病院端末120にメールアドレス及びパスワードを入力しサーバ110に送信すれば、システム100にログインすることができる。なお、情報登録時には、メールアドレスの代わりに、任意の文字列から作成したIDを登録してもよく、また、ログイン時には、メールアドレスの代わりに登録されたIDや招待コードといった、登録者であることを確認できる少なくとも1つの一意の情報を入力し送信するようにしてもよい。
【0032】
ドナー端末130a、130bからの情報登録の送信は、飼主のメールアドレスと任意のパスワード、ペット及び飼主の情報を含むドナー情報を登録情報送信部132からサーバ110に送信することで完了される。ここで、ドナー情報には、ペットの種類、年齢、体重、既往歴及び持病の有無の情報及び飼主の氏名又はユーザネーム、郵便番号、住所の一部又は全部、電話番号等の情報が含まれる。そして、サーバ110で受信されたドナー情報はデータベース化されて記憶部111に記憶される。情報登録完了後は、ドナー端末130a、130bにメールアドレス及びパスワードを入力しサーバ110に送信すれば、システム100にログインすることができる。なお、情報登録時には、メールアドレスの代わりに、任意の文字列から作成したIDを登録してもよく、また、ログイン時には、メールアドレスの代わりに登録されたIDを入力し送信するようにしてもよい。
【0033】
ドナー端末130bを操作する飼主は治療が必要なペットの飼主であって、サーバ110に登録された動物病院にペットを受診させ、獣医師による診察を受けて輸血の要否が判断される(ステップS2、S3)。ステップS3で、要輸血と判断されたら、獣医師はレシピエントとしての情報を病院端末120で取得する(ステップS4)。レシピエント情報の取得方法は、レシピエントがサーバ110にドナー情報を登録しているか否かによって異なる。レシピエントがドナー情報登録者である場合、獣医師は記憶部110に記憶されたドナー情報をレシピエント情報として病院端末110に取り込んで利用することができる。一方、レシピエントがドナー情報登録者でない場合、レシピエントの飼主にドナー端末130bからサーバ110に情報登録をしてもらい、その後でサーバ110から病院端末120にドナー情報を取り込んで利用する。または、サーバ110へのレシピエント情報の登録を行わずに、獣医師が病院端末120に必要情報を入力してサーバ110送信するようにしてもよい。なお、レシピエント情報には、少なくとも、動物の種類と輸血に必要な血液量が含まれる。
【0034】
レシピエント情報が取得できたら、獣医師は病院端末120からレシピエント情報をサーバ110に送信してドナーの選出を依頼する(ステップS5)。サーバ110がレシピエント情報を受信すると、ドナー選出部112が記憶部111に記憶されたドナー情報の中から当該レシピエントに適合する条件を具備するドナー情報を抽出し、このドナー情報にかかるドナー候補をドナーに選出する(ステップS6)。ドナー選出部112では、少なくともレシピエントと同種の動物であるか、必要量の供血が可能か否か、既往歴や持病の有無が参酌される。例えば、レシピエントが犬であればドナーは犬となり、必要な血液量が多量であれば体重のある個体が選ばれる。なお、上記条件を満たしていても、犬であれば狂犬病、猫であればエイズや白血病といった特定の病気を現在又は過去に患っている場合には、ドナーには選出されない。
【0035】
ドナー選出部112によるドナーの選定が完了したら、通知部113によって選定されたドナーの飼主のドナー端末130bにその旨が通知される(ステップS7)。そして、ドナー端末130bで通知を確認した飼主は、ドナー端末130bの回答送信部131から供血を承諾するか否かの回答をサーバ110に送信する(ステップS8)。ここで、飼主が供血に承諾する旨の回答をサーバ110に送信した場合には、選定されたドナー情報が回答提示部114から病院端末120に送信されて、獣医師は当該ドナー情報を確認することができる(ステップS9)。一方、飼主が供血を拒否する旨の回答をサーバ110に送信した場合であって、他に選出されたドナーの飼主からも供血の承諾が得られなかった場合には、再度ステップS5~S8が実行される。
【0036】
病院端末120でドナー情報を確認した獣医師は、そのドナー情報にかかる飼主のドナー端末130aに向けて来院依頼を送信して飼主の来院の意思確認を行う(ステップS10)。獣医師から飼主への来院依頼は、病院端末120及びドナー端末130bにあらかじめ搭載されている通話機能や、EメールやSMSといったメッセージ送受信機能の他、SNSを通じて行うことができるが、病院端末120及びドナー端末130aで実行されるアプリケーションソフトウェアに文字又は音声でやりとりが可能なチャット機能を搭載し、これを利用して行ってもよい。そして、飼主がドナーたるペットを連れて来院したら、獣医師はドナーの採血と血液検査を行ってレシピエントへの供血に適合するか否かの最終判定を行う(ステップS11~S13)。そして、適合が確認されたら、ドナーからレシピエントへの輸血が行われて処置が完了する(ステップS14~S15)。一方、不適合となった場合には、再度ステップS5~S13が実行されるとともに、不適合である旨の情報を病院端末120からサーバ110に送信して、記憶部111に記憶されている当該ドナー情報の更新を行う。なお、処置が完了した後には、必要に応じてその旨の通知を病院端末120からサーバ110に送信するようにしてもよい。
【0037】
本実施例の愛護動物用供血ドナー紹介システム100は、サーバ110の記憶部111に記憶された複数のドナー情報の中から、輸血が必要なレシピエントのペットに供血するのに適したドナーをドナー選出部112によって選出し、選出されたドナーの飼主の供血への意思確認を通知部113及びドナー端末130aを通じて行った上で、獣医師にドナーを紹介することができる。これにより、これまで輸血を伴う治療が行えなかった病院でもその治療が可能になるとともに、治療中に血液が不足して動物が失血死するリスクを低減させることができる。また、ドナー選出部112では、記憶部111に記憶されたドナー情報がレシピエントへの供血条件を具備するもの否かを、動物の種類や輸血に必要な血液量、既往歴等に基づいて選別するので、レシピエントにとって安全かつ安心なドナーを選出することができる。
【0038】
本発明は、上記実施例の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせも権利範囲に含むものである。
【0039】
例えば、上記実施例にかかるシステム100は愛護動物を対象としているが、動物園の飼育動物や家畜動物を対象としてもよい。また、病院端末120でのレシピエント情報の取得にあたって、ドナー端末130bでドナー情報を二次元バーコードに変換し、これをディスプレイに表示させて病院端末120が備えるカメラで読み取ることで取得できるようにしたり、ドナー選出部112で選出されたドナーの総数及び供血の承諾数を病院端末120で確認できるようにしたり、ドナーに選出された旨を通知する際に、病院の位置情報やレシピエントの飼主のコメントを付加したりすることができる。