(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121161
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】エンドミル
(51)【国際特許分類】
B23C 5/10 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B23C5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028112
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】前田 直樹
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022KK03
3C022KK06
3C022KK16
3C022KK28
(57)【要約】
【課題】本発明は、ねじれ溝におけるねじれ角が変化する箇所の摩耗を大幅に抑制できるエンドミルを提供することを課題とする。
【解決手段】
長手方向に沿って複数条のねじれ溝1A,1B,1C,1Dを有するエンドミル10において、エンドミル10の直径Dmmに対して、エンドミル10の先端Tから長手方向に沿ってDmmまでの間はねじれ溝1A,1B,1C,1Dのねじれ角θ1が50°から徐々に漸減して40°の範囲として、エンドミル10の先端Tから長手方向に沿ってDmmを超える範囲においては、ねじれ角θ2を40°とする。また、エンドミル10の直径Dmmに対して、エンドミル10の刃長Lを2.5×Dmmとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って複数条のねじれ溝を有するエンドミルにおいて、前記エンドミルの直径Dmmに対して、前記エンドミルの先端から前記長手方向に沿って前記Dmmまでの間は前記ねじれ溝のねじれ角θ1が徐々に漸減してねじれ角θ2(θ1>θ2)となり、前記エンドミルの先端から前記長手方向に沿って前記Dmmを超える範囲においては前記ねじれ角θ2であって、前記ねじれ角θ1とねじれ角θ2の差が10°であることを特徴とするエンドミル。
【請求項2】
前記ねじれ角θ1は、40°以上50°以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のエンドミル。
【請求項3】
前記エンドミルの直径Dmmに対して、前記エンドミルの刃長は2.5×Dmmであることを特徴とする請求項1または2に記載のエンドミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材料等に対して側面加工や溝加工などのフライス加工を行うエンドミルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、4枚刃のエンドミルにおいて、ねじれ溝のねじれ角が一定値である場合とねじれ角が変化する場合の2種類のエンドミルがあった(特許文献1ないし5参照)。また、ねじれ角が一定のねじれ溝とねじれ角が途中で変化するねじれ溝が交互に配置されているエンドミルもあった。さらに、ねじれ角が変化する場合は、エンドミルの長手方向において刃長さの中間位置になる場合が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-131414号公報
【特許文献2】特公平3-19003号公報
【特許文献3】特開昭60-118409号公報
【特許文献4】実公昭60―042016号公報
【特許文献5】特表2010-500183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1ないし5に開示されたエンドミルは、とりわけねじれ角が途中で大きく変化する場合のエンドミルは、被削材を切削加工する際に異なる切りくずがそれぞれ発生するので、エンドミルの先端部の切削加工で発生した切りくずが、後端部による切削加工で発生した切りくずを妨害することがあった。
【0005】
それにより、ねじれ溝内に切りくずが滞留して、前述した場合と同様に被削材の面粗度が悪化するという問題があった。特に、ねじれ角が変化する箇所において切れ刃が不連続に形成していることに起因して、切れ刃が大きく摩耗するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はねじれ溝におけるねじれ角が長手方向にかけて変化するエンドミルの場合、ねじれ角が変化する箇所の摩耗を大幅に抑制できるエンドミルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するために、本発明のエンドミルは、長手方向に沿って複数条のねじれ溝を有して、エンドミルの直径Dmmに対して、先端から長手方向に沿ってDmmまでの間はねじれ溝のねじれ角θ1を徐々に漸減してねじれ角θ2とする。その上で、ねじれ角θ1とねじれ角θ2の差を10°にする(θ1-θ2=10°)。エンドミルの先端から長手方向に沿ってエンドミルの直径であるDmmを超える範囲においては、ねじれ角θ2で一定の角度とする。
【0008】
また、ねじれ角θ1は40°以上50°以下の範囲とする(40°≦θ1≦50°)。なお、エンドミルの直径Dmmに対してエンドミルの刃長Lを2.5×Dmmとしても構わない。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエンドミルは、溝加工や側面加工などの加工形態に関わらず、ねじれ溝におけるねじれ角が変化する箇所の摩耗を大幅に抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1に示すエンドミル10のねじれ角θ1,θ2の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のエンドミル10の一実施形態について、図面を用いて説明する。本発明のエンドミル10の正面図を
図1に示す。エンドミル10は、
図1に示す様に図面左側にあるエンドミル10の先端Tの底刃3側から連続的に形成される4枚の側周刃2A,2B,2C,2Dおよび4条のねじれ溝1A,1B,1C,1Dが長手方向に沿って形成されている。また、側周刃2Bの仮想延長線N1とエンドミル10の中心軸Oとの成す角度をねじれ角θ1、側周刃2Dの仮想延長線N2とエンドミル10の中心軸Oとの成す角度をねじれ角θ2とする。
【0012】
次に、本発明の一実施形態であるエンドミル(直径10mm、刃長25mm)におけるねじれ溝のねじれ角の変化の模式図を
図2(縦軸:ねじれ溝のねじれ角θ1,θ2、横軸:エンドミル先端からの距離)に示す。ねじれ溝のねじれ角については、本発明の一実施形態として
図1に示すねじれ角θ1=50°、ねじれ角θ2=40°の場合は、
図2に示す様にエンドミルの直径10mmに対して、エンドミルの先端から長手方向に沿って10mmまでの区間はねじれ溝のねじれ角を50°から始まって、その角度が徐々に小さくなり40°となる。エンドミルの先端部分のねじれ角を後端側よりも大きくすることで、金属材料に対する食い付き性を向上させる。
【0013】
これに対して、エンドミルの先端から長手方向に沿って10mmを超える区間においては、ねじれ角を40°の一定角度となる。エンドミルの先端から一定距離(本実施形態では10mm)を隔てた区間については、ねじれ角を一定値とすることでエンドミルの剛性を維持できる。なお、エンドミルの直径Dmmに対してエンドミルの刃長Lを2.5×Dmmとすることもできる。
【符号の説明】
【0014】
1(1A~1D) ねじれ溝
2(2A~2D) 側周刃(切れ刃)
3 底刃(切れ刃)
10 エンドミル
θ(θ1,θ2) ねじれ角
D エンドミルの直径
L エンドミルの刃長
T エンドミルの先端
O エンドミルの中心軸