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特開2024-121171管継手、空調設備用ドレン配管構造、および管継手製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121171
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】管継手、空調設備用ドレン配管構造、および管継手製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/18 20060101AFI20240830BHJP
   F16L 59/22 20060101ALI20240830BHJP
   F16L 47/00 20060101ALI20240830BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
F16L59/18
F16L59/22
F16L47/00
B29C45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028131
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】山川 健太
(72)【発明者】
【氏名】東 総介
【テーマコード(参考)】
3H019
3H036
4F206
【Fターム(参考)】
3H019FA14
3H019FA16
3H036AA02
3H036AA04
3H036AA05
3H036AA06
3H036AB32
3H036AE03
4F206AG06
4F206AH11
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM05
4F206JM13
4F206JN27
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】断熱性能を確保しつつ強度を向上できる構造を有する管継手を提供する。
【解決手段】本発明の管継手の一つの態様は、管軸線Oに沿って延びる管状の継手本体部110と、継手本体部110に形成された受口部120,130と、を備え、継手本体部110を構成する壁部には、中空部140が形成されており、中空部140の内部には、中空部140の内面に繋がる補強部150が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸線に沿って延びる管状の継手本体部と、
前記継手本体部に形成された受口部と、
を備え、
前記継手本体部を構成する壁部には、中空部が形成されており、
前記中空部の内部には、前記中空部の内面に繋がる補強部が設けられている、管継手。
【請求項2】
前記補強部は、前記中空部の内面のうち前記管軸線を中心とする径方向の内側に位置する部分と前記中空部の内面のうち前記径方向の外側に位置する部分とを繋いでいる、請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記継手本体部は、射出成形体であり、
前記継手本体部には、ゲート痕跡部が形成され、
前記補強部は、前記管軸線を中心とする径方向に見て、前記ゲート痕跡部と重なる位置に配置されている、請求項1に記載の管継手。
【請求項4】
前記継手本体部は、射出成形体であり、
前記継手本体部には、所定方向に間隔を空けて配置された一対のゲート痕跡部が形成され、
前記補強部の前記所定方向の位置は、前記一対のゲート痕跡部同士の間における前記所定方向の位置である、請求項1に記載の管継手。
【請求項5】
前記補強部を形成する材料は、前記継手本体部を形成する材料と同じである、請求項1に記載の管継手。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の管継手を備える、空調設備用ドレン配管構造。
【請求項7】
管軸線に沿って延びる管状の継手本体部および前記継手本体部に形成された受口部を備える管継手を製造する管継手製造方法であって、
前記継手本体部に対応するキャビティが形成された成形金型内にゲートから樹脂を射出することと、
前記成形金型内に射出された樹脂の内部に前記ゲートからガスを注入して中空部を形成することと、
前記中空部の内部に、前記中空部の内面に繋がる補強部を形成することと、
を含む、管継手製造方法。
【請求項8】
前記補強部を形成することは、前記中空部が形成された後に行われ、かつ、前記ゲートから前記中空部内に樹脂を射出して前記補強部を形成することを含む、請求項7に記載の管継手製造方法。
【請求項9】
前記中空部を形成することは、所定方向に間隔を空けて配置された一対の前記ゲートからガスを注入することを含み、
前記補強部を形成することは、前記中空部を形成することと同一の工程で行われ、かつ、一対の前記ゲートにそれぞれ注入したガスによって前記所定方向において一対の前記ゲート同士の間に前記補強部を形成することを含む、請求項7に記載の管継手製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手、空調設備用ドレン配管構造、および管継手製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや学校・商業施設などの非住宅等において、室内に設置した空調機で発生したドレン水は、空調機に接続された空調設備用ドレン配管構造を用いて室外に排出することが一般的である。
【0003】
上記のような空調設備用ドレン配管構造においては、管継手の内部などの配管内部にドレン水が滞留すると、例えば梅雨から夏などの高温多湿になる環境下において、配管内部のドレン水と配管外部の雰囲気との温度差および湿度差によって、配管の外表面に結露が生じる場合がある。このような結露が生じることを抑制するために、空調設備用ドレン配管構造を施工する際に、断熱材などによって管継手などの配管を被覆することが一般的である。
【0004】
これに対して、例えば、特許文献1に示すように、断熱材などで配管を覆う施工を省略化するために、管継手の内部に発泡樹脂からなる断熱層を形成することで、管継手の断熱性能を向上させる技術がある。
【0005】
また、例えば、特許文献2,3に示すように、管継手の内部に樹脂が充填されていない中空空間を設けることによって、管継手の内部に空気層を形成し、管継手の断熱性能を向上させる技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3699579号公報
【特許文献2】特開2018-141505号公報
【特許文献3】特開2021-55760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、断熱材などの施工を省略化するために管継手の内部に発泡樹脂からなる断熱層を形成することで管継手の断熱性能を向上させている。しかしながら、発泡樹脂からなる断熱層では管継手の断熱性能を十分に向上できない場合があり、空調設備用ドレン配管構造において、結露が生じてしまう恐れがあった。特許文献2,3では、管継手の内部に空気層(中空部)を形成して、管継手の断熱性能をさらに向上させているが、このような空気層を設けることで管継手の強度が低下する問題があった。そのため、管継手に外部から力が加えられた場合などに、管継手が損傷する恐れがあった。
【0008】
本発明では、上記事情に鑑みて、断熱性能を確保しつつ強度を向上できる構造を有する管継手、およびそのような管継手を備える空調設備用ドレン配管構造を提供することを目的の一つとする。また、断熱性能を確保しつつ強度を向上できる構造を有する管継手を製造する管継手製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1] 管軸線に沿って延びる管状の継手本体部と、前記継手本体部に形成された受口部と、を備え、前記継手本体部を構成する壁部には、中空部が形成されており、前記中空部の内部には、前記中空部の内面に繋がる補強部が設けられている、管継手。
[2] 前記補強部は、前記中空部の内面のうち前記管軸線を中心とする径方向の内側に位置する部分と前記中空部の内面のうち前記径方向の外側に位置する部分とを繋いでいる、[1]に記載の管継手。
[3] 前記継手本体部は、射出成形体であり、前記継手本体部には、ゲート痕跡部が形成され、前記補強部は、前記管軸線を中心とする径方向に見て、前記ゲート痕跡部と重なる位置に配置されている、[1]または[2]に記載の管継手。
[4] 前記継手本体部は、射出成形体であり、前記継手本体部には、所定方向に間隔を空けて配置された一対のゲート痕跡部が形成され、前記補強部の前記所定方向の位置は、前記一対のゲート痕跡部同士の間における前記所定方向の位置である、[1]または[2]に記載の管継手。
[5] 前記補強部を形成する材料は、前記継手本体部を形成する材料と同じである、[1]から[4]のいずれか一項に記載の管継手。
[6] [1]から[5]のいずれか一項に記載の管継手を備える、空調設備用ドレン配管構造。
[7] 管軸線に沿って延びる管状の継手本体部および前記継手本体部に形成された受口部を備える管継手を製造する管継手製造方法であって、前記継手本体部に対応するキャビティが形成された成形金型内にゲートから樹脂を射出することと、前記成形金型内に射出された樹脂の内部に前記ゲートからガスを注入して中空部を形成することと、前記中空部の内部に、前記中空部の内面に繋がる補強部を形成することと、を含む、管継手製造方法。
[8] 前記補強部を形成することは、前記中空部が形成された後に行われ、かつ、前記ゲートから前記中空部内に樹脂を射出して前記補強部を形成することを含む、[7]に記載の管継手製造方法。
[9] 前記中空部を形成することは、所定方向に間隔を空けて配置された一対の前記ゲートからガスを注入することを含み、前記補強部を形成することは、前記中空部を形成することと同一の工程で行われ、かつ、一対の前記ゲートにそれぞれ注入したガスによって前記所定方向において一対の前記ゲート同士の間に前記補強部を形成することを含む、[7]に記載の管継手製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、断熱性能を確保しつつ強度を向上できる構造を有する管継手、およびそのような管継手を備える空調設備用ドレン配管構造が提供される。また、断熱性能を確保しつつ強度を向上できる構造を有する管継手を製造する管継手製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における空調設備用ドレン配管構造を示す図である。
図2】第1実施形態における管継手を示す断面図である。
図3】第1実施形態における管継手を示す断面図であって、図2におけるIII-III断面図である。
図4】第1実施形態における管継手を製造する際に、射出成形によって成形される成形品を示す断面図である。
図5】第1実施形態における成形品を示す断面図であって、図4におけるV-V断面図である。
図6】第1実施形態における成形品を射出成形により成形するための成形金型の一例を示す断面図である。
図7A】第1実施形態における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。
図7B】第1実施形態における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。
図8A】第1実施形態の変形例における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。
図8B】第1実施形態の変形例における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。
図9】第2実施形態における管継手を示す断面図である。
図10】第2実施形態における管継手を示す断面図であって、図9におけるX-X断面図である。
図11】第2実施形態における成形品を示す断面図である。
図12】第2実施形態における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。
図13】第2実施形態における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。
図14】第3実施形態における管継手を示す断面図である。
図15】第4実施形態における管継手を示す断面図である。
図16】第4実施形態における成形品を示す断面図である。
図17】第4実施形態における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。
図18】第4実施形態における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。
図19】第5実施形態における管継手を示す断面図である。
図20】第6実施形態における管継手を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態における空調設備用ドレン配管構造1を示す図である。図1に示す空調設備用ドレン配管構造1は、天井に固定された空調機3において生じたドレン水を室外に排出するための構造である。図1に示すように、空調機3および空調設備用ドレン配管構造1は、吊り材8によって天井面Tから吊り下げられている。空調設備用ドレン配管構造1は、ドレン管31と、ドレンホース4と、フレキホース5と、ドレン配管6と、接続継手7と、管継手100と、を備える。空調設備用ドレン配管構造1は、空調機3側から、ドレン管31、ドレンホース4、接続継手7、管継手100、フレキホース5、およびドレン配管6がこの順で接続されて構成されている。空調設備用ドレン配管構造1は、これらの管部材内を通して、空調機3内で生じたドレン水を室外に排出できる。
【0014】
ドレン管31は、空調機3に設けられている。ドレンホース4は、ドレン管31に接続されている。ドレンホース4は、例えば、架橋ポリエチレン管からなる。ドレンホース4は、接続継手7および管継手100を介して、フレキホース5と接続されている。本実施形態において管継手100は、ドレンアップ部を形成している。フレキホース5は、管継手100から上方に向かって立ち上がるように配置されている。フレキホース5は、例えば、軟質または比較的硬質な塩化ビニル製のホースの外周を発泡ウレタンなどの断熱材で被覆して成る二層構造の被覆ホースなどによって構成される。フレキホース5の先には、ドレン配管6が接続されている。
【0015】
なお、ドレンホース4、接続継手7、および管継手100は、図示しない保温材で被覆され、または保温機能を備えた構成とすることで、各管部材の外表面に結露が生じることを抑制することが好ましい。また、空調機3とドレン配管6とはフレキホース5を介さずに接合されてもよい。その場合、ドレン配管6と管継手100とを組み合わせてドレンアップ部を形成してもよい。
【0016】
本実施形態において管継手100は、2つの管部材同士を接続するエルボ型中空継手である。本実施形態において管継手100は、接続継手7とフレキホース5とを接続している。図2は、管継手100を示す断面図である。図3は、管継手100を示す断面図であって、図2におけるIII-III断面図である。図2に示すように、管継手100は、管軸線Oに沿って延び、管軸線Oの軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態において管軸線Oは、略L字状に延びる仮想軸線である。管軸線Oは、第1直線部Oaと、第2直線部Obと、第1直線部Oaと第2直線部Obとを繋ぐ湾曲線部Ocと、を有する。第1直線部Oaと第2直線部Obとは、互いに略直交する方向に延びている。湾曲線部Ocは、四分円弧状に延びている。図3に示すように、管継手100における管軸線Oと直交する断面形状は、略円形状である。なお、以下の説明においては、管軸線Oが延びる軸方向を単に「軸方向」と呼び、管軸線Oを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ場合がある。
【0017】
図2に示すように、管継手100は、継手本体部110と、インサート部材125,135と、を備える。継手本体部110は、射出成形によって成形される射出成形体である。継手本体部110は、管軸線Oに沿って延びる管状の部材である。本実施形態において継手本体部110は、管軸線Oを中心として湾曲して延びる筒状である。継手本体部110は、曲管部111と、第1管端部112と、第2管端部113と、を有する。曲管部111は、管軸線O(湾曲線部Oc)を中心として四分円弧状に湾曲して延び、軸方向両側に開口する筒状である。
【0018】
なお、以下の説明では、管軸線Oに沿った断面において、湾曲して延びる曲管部111の径方向外縁部が径方向内側に凹む側、すなわち図2では曲管部111の右下側を「内側S1」と呼び、湾曲して延びる曲管部111の径方向外縁部が径方向外側に凸となる側、すなわち図2では曲管部111の左上側を「外側S2」と呼ぶ場合がある。
【0019】
曲管部111の厚さt1は、例えば、25mmに形成されている。射出成形によって、曲管部111に後述する中空部140を形成するうえでは、曲管部111の厚さt1は、例えば、6mm以上、30mm以下程度にすることが好適である。曲管部111の厚さt1は、曲管部111の径方向内側の面と曲管部111の径方向外側の面との間の径方向の寸法である。
【0020】
第1管端部112は、継手本体部110の軸方向の一端部である。第1管端部112は、曲管部111の軸方向の一端部に繋がっている。第1管端部112は、軸方向の一方側に開口している。より詳細には、第1管端部112は、第1直線部Oaに沿った軸方向に開口している。本実施形態において第1管端部112の内径は、曲管部111の内径よりも大きい。本実施形態において第1管端部112の外径は、曲管部111に繋がる側の端部において曲管部111の外径と同じであり、当該端部よりも先端側の部分において曲管部111の外径よりも小さい。第1管端部112を構成する管壁部のうち曲管部111よりも外径が小さい部分は、中実に形成されている。
【0021】
第2管端部113は、継手本体部110の軸方向の他端部である。第2管端部113は、曲管部111の軸方向の他端部に繋がっている。第2管端部113は、軸方向の他方側に開口している。より詳細には、第2管端部113は、第2直線部Obに沿った軸方向に開口している。本実施形態において第2管端部113の内径は、曲管部111の内径よりも大きい。本実施形態において第2管端部113の外径は、曲管部111に繋がる側の端部において曲管部111の外径と同じであり、当該端部よりも先端側の部分において曲管部111の外径よりも小さい。第2管端部113を構成する管壁部のうち曲管部111よりも外径が小さい部分は、中実に形成されている。第2管端部113が開口する向きは、第1管端部112が開口する向きに対して略90°傾いた向きである。
【0022】
継手本体部110を形成する材料は、特に限定されない。継手本体部110を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等を用いることが好適である。また、継手本体部110の一部または全部は、透明であることがより好適である。特に、第1管端部112および第2管端部113は、透明であることがより好適である。継手本体部110を形成する材料としては、耐薬品性を有する点で、例えば、耐薬品ABSを用いることが好適である。
【0023】
インサート部材125は、第1管端部112内に配置されている。インサート部材125は、継手本体部110を射出成形する際に、予め成形金型内に配置され、継手本体部110が成形されるとともに継手本体部110の第1管端部112内に固定される。インサート部材125は、軸方向のうち第1管端部112が開口する方向、すなわち第1直線部Oaに沿った軸方向の両側に開口する円筒状の部材である。
【0024】
インサート部材135は、第2管端部113内に配置されている。インサート部材135は、継手本体部110を射出成形する際に、予め成形金型内に配置され、継手本体部110が成形されるとともに継手本体部110の第2管端部113内に固定される。インサート部材135は、軸方向のうち第2管端部113が開口する方向、すなわち第2直線部Obに沿った軸方向の両側に開口する円筒状の部材である。
【0025】
インサート部材125,135を形成する材料は、特に限定されない。インサート部材125,135を形成する材料は、例えば、塩化ビニル(PVC)やABS樹脂等の接着剤による接着(接合)が可能な樹脂(非晶性樹脂)であることが好適である。例えば、インサート部材125,135がシール材を備えている場合には、インサート部材125,135を接着剤による接着(接合)が可能な樹脂で構成しなくともよい。インサート部材125,135を形成する材料は、例えば、透明であるとより好適である。
【0026】
なお、インサート部材125,135を継手本体部110の各管端部内に配置するかどうかは任意に決められるが、継手本体部110が、接着剤による接合ができない材料で形成されている場合は、接着剤による接着(接合)ができる材料で構成されたインサート部材125,135を各管端部内に配置することが好適である。なお、例えば、インサート部材125,135の代わりに、各管端部内にOリングやゴムパッキンなどのシール材が設けられてもよい。
【0027】
管継手100は、継手本体部110に形成された受口部として第1受口部(受口部)120および第2受口部(受口部)130を備える。第1受口部120および第2受口部130は、管継手100によって接続される管部材の一端部が接続される部分である。本実施形態において、第1受口部120は第1管端部112とインサート部材125とによって形成され、第2受口部130は第2管端部113とインサート部材135とによって形成されている。第1受口部120は、管継手100の軸方向の一端側に開口する筒状である。第2受口部130は、管継手100の軸方向の他端側に開口する筒状である。第1受口部120が開口する向きと第2受口部130が開口する向きとは、互いに略直交する向きである。
【0028】
本実施形態において第1受口部120および第2受口部130には、各受口部の内側に管部材の一端が嵌め合わされて接続されている。本実施形態において第1受口部120に接続される管部材P1は、接続継手7とフレキホース5との一方の管部材である。本実施形態において第2受口部130に接続される管部材P2は、接続継手7とフレキホース5との他方の管部材である。
【0029】
継手本体部110を構成する壁部には、中空部140が形成されている。中空部140は、継手本体部110の径方向内側の面と継手本体部110の径方向外側の面との径方向の間に形成されている。本実施形態において中空部140は、継手本体部110の管軸線O回りの全周に亘って形成されている。中空部140の内部は、密閉されている。中空部140の内部には、例えば、中空部140を形成する際に用いられるガスGが充填されている。図3に示すように、中空部140が形成されていることで、継手本体部110には、中空部140の径方向内側に位置する内周壁部110aと、中空部140の径方向外側に位置する外周壁部110bと、が形成されている。内周壁部110aおよび外周壁部110bは、管軸線Oと直交する断面において、管軸線Oを中心とする円環状である。外周壁部110bは、内周壁部110aを径方向外側から囲んでいる。
【0030】
図2に示すように、本実施形態において中空部140は、曲管部111を構成する壁部に形成された本体中空部141と、第1受口部120の第1管端部112を構成する壁部に形成された第1管端中空部142と、第2受口部130の第2管端部113を構成する壁部に形成された第2管端中空部143と、を有する。本体中空部141は、曲管部111の管軸線O回りの全周に亘って形成されている。第1管端中空部142は、第1管端部112のうち外径が曲管部111と同じである部分に、管軸線O回りの全周に亘って形成されている。第2管端中空部143は、第2管端部113のうち外径が曲管部111と同じである部分に、管軸線O回りの全周に亘って形成されている。
【0031】
中空部140の内部には、中空部140の内面に繋がる補強部150が設けられている。補強部150は、本体中空部141の内部に位置する。より詳細には、補強部150は、湾曲線部Ocに沿った軸方向における本体中空部141の中央部に位置する。本実施形態において補強部150は、径方向に延びる柱状である。補強部150は、例えば、円柱状である。本実施形態において補強部150は、中空部140の内面のうち管軸線Oを中心とする径方向の内側に位置する部分と中空部140の内面のうち径方向の外側に位置する部分とを繋いでいる。言い換えれば、補強部150は、内周壁部110aと外周壁部110bとを径方向に繋いでいる。より詳細には、補強部150は、本体中空部141の軸方向の中央部における径方向内側面と径方向外側面とを径方向に繋いでいる。本実施形態において補強部150は、中空部140のうち管軸線Oよりも外側S2に位置する部分の内部に設けられている。
【0032】
本実施形態において補強部150を形成する材料は、継手本体部110を形成する材料と同じである。つまり、補強部150を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等を用いることが好適である。また、補強部150の一部または全部は、透明であることがより好適である。補強部150を形成する材料としては、耐薬品性を有する点で、例えば、耐薬品ABSを用いることが好適である。
【0033】
継手本体部110には、ゲート痕跡部160が形成されている。本実施形態においてゲート痕跡部160は、後述するゲートCG1を有するランナー成形部C114によって成形された成形用突出部114を除去する際に生じた痕であり、曲管部111の外表面のうち外側S2に位置する部分に形成されている。ゲート痕跡部160は、僅かに径方向外側に突出している。ゲート痕跡部160は、例えば、円形状の痕である。ゲート痕跡部160は、補強部150の径方向外側に位置する。つまり、本実施形態において補強部150は、管軸線Oを中心とする径方向に見て、ゲート痕跡部160と重なる位置に配置されている。
【0034】
なお、本明細書において「ゲート痕跡部」とは、管継手を射出成形によって製造する際、成形金型内に樹脂を流入するためのゲートが設けられていたことに起因して形成された部分である。「ゲート痕跡部」は、当該ゲート痕跡部を見ることでゲートが形成されていた箇所を認識できる部分であればよく、どのような構成であってもよい。ゲートが設けられていたことで当該部分が窪んで形成される場合には、ゲート痕跡部は径方向内側に窪む部分であってもよい。また、例えば、管継手における中空部の内面の一部を見ることで当該箇所にゲートが設けられていたことが分かるならば、当該箇所はゲート痕跡部である。この場合には、管継手の外表面にゲート痕跡部が形成されていなくてもよい。また、例えば、本実施形態においてゲート痕跡部160は、後述する成形用突出部114を除去した際に、成形用突出部の根元部分が僅かに残ることで径方向外側に突出する構成として説明したが、これに限られない。ゲート痕跡部160は、成形用突出部114が根元部分まで完全に除去されることで、径方向に突出しない構成に形成されてもよい。この場合、成形用突出部114を除去することによって形成される切断面がゲート痕跡部160となる。また、成形用突出部114を除去した際に成形用突出部114が設けられていた箇所が窪む場合もある。この場合、当該窪んだ部分がゲート痕跡部160となる。
【0035】
次に、本実施形態の管継手100を製造する管継手製造方法について説明する。本実施形態において管継手100は、例えば、射出成形により製造されている。図4は、管継手100を製造する際に、射出成形によって成形される成形品100Aを示す断面図である。図5は、成形品100Aを示す断面図であって、図4におけるV-V断面図である。
【0036】
図4および図5に示すように、成形品100Aは、成形用突出部114を有する。本実施形態において成形用突出部114は、曲管部111の外側S2の面から径方向外側に突出している。成形用突出部114は、継手本体部110を射出成形により成形する際に、ゲートCG1が設けられていた部分に形成される部分である。上述したように、本実施形態では、成形用突出部114を切断するなどによって除去した際に生じる痕が、ゲート痕跡部160となる。成形用突出部114が設けられている点を除いて、成形品100Aは、管継手100と同様の構成である。本実施形態では、射出成形によって成形品100Aを製造した後に、成形用突出部114を除去することで、管継手100が製造される。
【0037】
図6は、成形品100Aを射出成形により成形するための成形金型C100の一例を示す断面図である。図7Aは、本実施形態における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。図7Bは、本実施形態における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。
【0038】
図6に示すように、成形金型C100は、主型(外金型)C101,C102と、インサートコア(中子)C103と、を有する。主型C101と主型C102とインサートコアC103とを型締めした状態において、成形金型C100の内部には、キャビティC110と、ランナー成形部C114と、が形成される。キャビティC110は、継手本体部110が成形される部分である。ランナー成形部C114は、成形用突出部114が成形される部分である。主型C101には、ノズル用孔C101Nが形成されている。ノズル用孔C101Nは、ランナー成形部C114の内部と成形金型C100の外部とを繋いでいる。ランナー成形部C114のうちキャビティC110の内部に繋がる側の端部は、ゲートCG1である。
【0039】
図6において矢印Jで示すように、キャビティC110内には、成形金型C100のノズル用孔C101Nに装着された図示しない射出ノズルからランナー成形部C114を介して、樹脂やガスを注入可能となっている。本実施形態においてノズル用孔C101Nは、樹脂やガスを、軸方向および径方向の両方と直交する方向(図6の左右方向)にランナー成形部C114内に注入可能なように構成されている。
【0040】
成形品100Aを製造する製造方法は、樹脂射出工程P1aと、ガス注入工程P2aと、補強部形成工程P3aと、を含む。つまり、本実施形態において管継手製造方法は、樹脂射出工程P1aと、ガス注入工程P2aと、補強部形成工程P3aと、を含む。なお、本実施形態では、樹脂射出工程P1aが行われる前に、キャビティC110内のうち第1管端部112および第2管端部113が成形される部分にインサート部材125,135をそれぞれ配置してから、成形金型C100を型締めする。
【0041】
樹脂射出工程P1aは、成形金型C100のキャビティC110内に加熱溶融した第1樹脂J1を射出する工程である。樹脂射出工程P1aにおいては、まず、図7Aに矢印で示す向き、すなわち軸方向および径方向の両方と直交する向き(図7Aの右向き)に、図示しない射出ノズルをランナー成形部C114に対して装着する。そして、継手本体部110を形成するための第1樹脂J1を、図示しない射出ノズルから、ランナー成形部C114のゲートCG1を介して、キャビティC110内に射出する。このように、本実施形態の管継手製造方法は、継手本体部110に対応するキャビティC110が形成された成形金型C100内にゲートCG1から第1樹脂J1を射出することを含む。図7Aに示すように、樹脂射出工程P1aにおいては、例えば、キャビティC110の途中まで第1樹脂J1が充填される。キャビティC110内における第1樹脂J1の充填量については、適宜決定される。
【0042】
ガス注入工程P2aは、樹脂射出工程P1aにおいてキャビティC110内に射出した第1樹脂J1内にガスGを注入して中空部140を形成する工程である。ガス注入工程P2aにおいては、まず、図7Bに矢印で示す向き、すなわち軸方向および径方向の両方と直交する向き(図7Bの右向き)に、図示しないガス注入ノズルをランナー成形部C114に対して装着する。そして、中空部140を形成するためのガスGを、図示しないガス注入ノズルから、ランナー成形部C114のゲートCG1を介して、キャビティC110内の第1樹脂J1に対して注入する。キャビティC110内の第1樹脂J1に対して注入されたガスGは、キャビティC110内の第1樹脂J1を周囲に押しのけながら第1樹脂J1内を進む。これにより、ガスGが注入されることで、ガスGが充填された中空部140が形成される。このように、本実施形態の管継手製造方法は、成形金型C100内に射出された第1樹脂J1の内部にゲートCG1からガスGを注入して中空部140を形成することを含む。
【0043】
ガス注入工程P2aにおいて、ガスGの注入量については、適宜決定される。また、中空部140を形成する際に第1樹脂J1内に注入するガスGの種類は、特に限定されない。ガスGとしては、例えば、空気、窒素ガス、および炭酸ガスなどの不活性ガスを用いることが好適である。ガス注入工程P2aにおいては、キャビティC110内に中空部140が形成されるともに、ランナー成形部C114内にガス注入孔GHが形成される。ガス注入孔GHは、中空部140内とノズル用孔C101N内とを繋ぐ。
【0044】
補強部形成工程P3aは、ガス注入工程P2aにおいて形成された中空部140内に加熱溶融した第2樹脂J2を射出して、補強部150を形成する工程である。補強部形成工程P3aにおいては、まず、図5に二点鎖線の矢印で示す向き、すなわち軸方向および径方向の両方と直交する向き(図5の右向き)に、図示しない射出ノズルをランナー成形部C114に対して装着する。そして、補強部150を形成するための第2樹脂J2を、図示しない射出ノズルから、ランナー成形部C114のゲートCG1を介して、キャビティC110内の中空部140内に射出する。これにより、中空部140内に射出された第2樹脂J2によって補強部150が形成される。
【0045】
このように、本実施形態の管継手製造方法は、中空部140の内部に、中空部140の内面に繋がる補強部150を形成することを含む。また、本実施形態の管継手製造方法において、補強部150を形成することは、中空部140が形成された後に行われ、かつ、ゲートCG1から中空部140内に第2樹脂J2を射出して補強部150を形成することを含む。
【0046】
補強部形成工程P3aにおいて、第2樹脂J2がランナー成形部C114内に射出されることで、ガス注入工程P2aにおいて形成されたガス注入孔GHが第2樹脂J2によって封止される。補強部形成工程P3aにおいて、図示しない射出ノズルから射出される第2樹脂J2の射出圧力および射出量は、第2樹脂J2が中空部140の径方向内側面まで到達して補強部150を形成可能で、かつ、中空部140内において必要以上に第2樹脂J2が広がり過ぎない程度とされる。本実施形態において第2樹脂J2は、第1樹脂J1と同じ組成を有する樹脂である。なお、第2樹脂J2は、第1樹脂J1と異なる組成を有する樹脂であってもよい。
【0047】
以上の樹脂射出工程P1aとガス注入工程P2aと補強部形成工程P3aとによって、キャビティC110内に成形品100Aが成形される。成形品100Aを成形した後、成形品100Aを所定温度まで冷却した後に、成形品100Aを成形金型C100から取り出す。取り出した成形品100Aにおける成形用突出部114を切断して除去することにより、管継手100が作られる。
【0048】
本実施形態によれば、継手本体部110を構成する壁部には、中空部140が形成されている。そのため、中空部140によって継手本体部110の内部と継手本体部110の外部との間を好適に断熱することができる。これにより、管継手100の断熱性能を好適に安定して確保できる。したがって、管継手100の外表面に結露が生じることを好適に抑制できる。
【0049】
また、継手本体部110の壁部の内部に発泡樹脂が充填された部分(発泡樹脂層)を設ける場合と異なり、管継手100を形成する材料を透明にすることで、管継手100を管継手100の内部を視認可能な透明部材として形成できる。したがって、第1受口部120および第2受口部130に各管部材を挿入する際に、各管部材の挿入状態を目視で確認できる。また、継手本体部110の壁部の内部に発泡樹脂層を設ける場合と異なり、管継手100を射出成形によって成形する際に、発泡圧が低下するまで成形金型C100内で発泡樹脂を冷却する必要がないので、管継手100の生産性を向上させることができる。
【0050】
なお、発泡樹脂層は成形後の樹脂の収縮(ヒケ)を抑制する効果があるため、透明性や生産性を損なわない程度(例えば発泡倍率が1.1倍未満)の発泡樹脂層であれば、管継手100は、発泡樹脂層を備えていてもよい。
【0051】
また、本実施形態によれば、中空部140の内部には、中空部140の内面に繋がる補強部150が設けられている。そのため、補強部150によって、中空部140が形成された管継手100の強度を向上させることができる。これにより、本実施形態によれば、管継手100の断熱性能を確保しつつ、管継手100の強度を向上できる。したがって、管継手100の外表面に結露が生じることを抑制しつつ、管継手100が損傷することを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、補強部150は、中空部140の内面のうち管軸線Oを中心とする径方向の内側に位置する部分と中空部140の内面のうち径方向の外側に位置する部分とを繋いでいる。そのため、管継手100に径方向外側から外力が加えられた場合に、当該外力を補強部150によって好適に受けることができる。これにより、管継手100に径方向外側から外力が加えられても、外周壁部110bが中空部140内に向かって窪むなどの変形が生じることを好適に抑制できる。したがって、管継手100の強度をより向上でき、管継手100が損傷することをより抑制できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、継手本体部110は、射出成形体である。継手本体部110には、ゲート痕跡部160が形成されている。補強部150は、管軸線Oを中心とする径方向に見て、ゲート痕跡部160と重なる位置に配置されている。そのため、上述したように、継手本体部110を形成する第1樹脂J1および中空部140を形成するガスGをキャビティC110内に注入するためのゲートCG1を介して第2樹脂J2を中空部140内に射出することによって容易に補強部150を形成することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、補強部150を形成する材料は、継手本体部110を形成する材料と同じである。そのため、補強部150を形成するために、継手本体部110を形成する材料と異なる材料を用意する必要がない。これにより、管継手100を製造するためのコストが増大することを抑制できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、中空部140は、第1受口部120の基端部の径方向外側に位置する第1管端中空部142と、第2受口部130の基端部の径方向外側に位置する第2管端中空部143と、を有する。そのため、第1受口部120の断熱性能および第2受口部130の断熱性能を好適に確保することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、管継手製造方法は、管継手100に対応するキャビティC110が形成された成形金型C100内にゲートCG1から第1樹脂J1を射出することと、成形金型C100内に射出された第1樹脂J1の内部にゲートCG1からガスGを注入して中空部140を形成することと、中空部140の内部に、中空部140の内面に繋がる補強部150を形成することと、を含む。そのため、継手本体部110を射出成形によって成形する際に、中空部140を形成することができる。これにより、中空部140を効率的に形成することができる。したがって、中空部140を形成するために複数の部材を別々に成形して当該部材同士を接着等して組み立てる必要がなく、管継手100を製造する際の製造コストを低減することができる。また、管継手100を製造するために要する時間を短くできる。また、複数の部材同士を接着して組み立てて中空部140を形成する場合と異なり、接着ミスなどにともなう隙間が当該部材同士の間に形成されることがない。そのため、中空部140の一部が管継手100の外部と繋がることを抑制でき、管継手100の断熱性能をより好適に確保することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、補強部150を形成することは、中空部140が形成された後に行われ、かつ、ゲートCG1から中空部140内に第2樹脂J2を射出して補強部150を形成することを含む。そのため、射出する第2樹脂J2の射出圧力および射出量を調整することで、中空部140内に所望する補強部150を好適に形成しやすい。また、第2樹脂J2によって補強部150を形成しつつ、中空部140の形成時に生じるガス注入孔GHを封止できる。
【0058】
なお、本実施形態において、成形品100Aの成形用突出部114は、切除されてなくてもよい。この場合、成形品100Aが、管継手100となる。成形用突出部114を残すことによって、管継手100の強度をより向上させることができる。また、成形用突出部114が残される場合には、成形用突出部114が形成されていた箇所にゲートCG1が設けられていたことを認識できる。そのため、この場合には、成形用突出部114がゲート痕跡部に相当する。
【0059】
(第1実施形態の変形例)
図8Aは、本変形例における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。図8Bは、本変形例における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。図8Aおよび図8Bに示すように、本変形例の管継手製造方法において、補強部形成工程P3bは、ハンド押し出し機HPによって第2樹脂J2を中空部140内に押し出すことによって補強部150を形成する工程である。補強部形成工程P3bにおいては、成形品100Bに形成された中空部140内に、ハンド押し出し機HPによって第2樹脂J2を押し出して注入する。
【0060】
成形品100Bは、例えば、上述した第1実施形態においてガス注入工程P2aを終えた後に冷却して成形金型C100内から取り出した樹脂成形体から成形用突出部114を除去することで形成された成形品である。成形品100Bには、ガス注入工程P2aにおいて形成されたガス注入孔GHの一部によって形成された孔部Hが形成されている。孔部Hは、外周壁部110bを径方向に貫通し、中空部140の内部と成形品100Bの外部とを繋いでいる。
【0061】
図8Aに示すように、本変形例の補強部形成工程P3bにおいては、ハンド押し出し機HPによって押し出された第2樹脂J2を孔部Hから中空部140内に注入して、補強部150を形成する。中空部140内に押し出された第2樹脂J2は、例えば、図8Bに示すように、外周壁部110bから径方向外側に突出した状態となる。第2樹脂J2が硬化した後に、第2樹脂J2のうち外周壁部110bから径方向外側に突出している部分を切除することで、管継手100が形成される。本変形例では、当該硬化した第2樹脂J2の一部を切除することで形成される痕が、ゲート痕跡部160となる。なお、第2樹脂J2のうち当該径方向外側に突出している部分は、切除されなくてもよい。この場合、第2樹脂J2のうち当該径方向外側に突出している部分がゲート痕跡部に相当する。
【0062】
なお、本変形例の補強部形成工程P3bは、ガス注入工程P2aの後に成形金型C100内に、ハンド押し出し機HPによって第2樹脂J2を押し出して注入して補強部150を形成する工程であってもよい。
【0063】
以下、上述した実施形態と異なる実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明においては、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより説明を省略する場合がある。また、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成の各部に対応する部分については、同一の名称を付すとともに異なる符号を付して、上述した構成とは異なる点を説明し、上述した構成と同様の点については説明を省略する場合がある。なお、以下の各実施形態において説明を省略した構成としては、矛盾しない範囲内において、各実施形態よりも上段において説明した構成と同様の構成を採用できる。
【0064】
<第2実施形態>
図9は、本実施形態の管継手200を示す断面図である。図10は、本実施形態の管継手200を示す断面図であって、図9におけるX-X断面図である。図9に示すように、本実施形態の管継手200は、2つの管部材同士を接続するエルボ型中空継手である。管継手200における継手本体部210を構成する壁部には、中空部240が形成されている。中空部240は、本体中空部241と、第1管端中空部142と、第2管端中空部143と、を有する。本実施形態において中空部240は、補強部250によって軸方向に分断されている。より詳細には、中空部240のうち本体中空部241が、補強部250によって、軸方向に分断されている。中空部240のその他の構成は、第1実施形態における中空部140のその他の構成と同様である。
【0065】
図10に示すように、本実施形態において補強部250は、管軸線Oを囲む環状である。より詳細には、補強部250は、管軸線Oを中心とする円環状である。補強部250は、例えば、円環板状である。補強部250は、内周壁部110aの軸方向の一部と外周壁部110bの軸方向の一部とを、管軸線O回りの全周に亘って繋いでいる。補強部250のその他の構成は、第1実施形態における補強部150のその他の構成と同様である。
【0066】
図9に示すように、本実施形態において継手本体部210には、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された一対のゲート痕跡部261,262が形成されている。一対のゲート痕跡部261,262は、湾曲線部Ocに沿った軸方向において補強部250を挟む位置に配置されている。つまり、本実施形態において補強部250の軸方向(所定方向)の位置は、一対のゲート痕跡部261,262同士の間における軸方向(所定方向)の位置である。本実施形態において補強部250は、径方向に見て、ゲート痕跡部261,262と重ならない位置に配置されている。ゲート痕跡部261は、曲管部111の一端側の端部における外側S2の面に形成されている。ゲート痕跡部262は、曲管部111の他端側の端部における外側S2の面に形成されている。
【0067】
ゲート痕跡部261,262のその他の構成は、第1実施形態におけるゲート痕跡部160のその他の構成と同様である。継手本体部210のその他の構成は、第1実施形態における継手本体部110のその他の構成と同様である。管継手200のその他の構成は、第1実施形態における管継手100のその他の構成と同様である。
【0068】
次に、本実施形態の管継手200を製造する管継手製造方法について説明する。本実施形態において管継手200は、射出成形によって成形品200Aを成形した後に、成形品200Aから成形用突出部214a,214bを切除することによって製造される。図11は、本実施形態の成形品200Aを示す断面図である。図11に示すように、成形品200Aは、管継手200のゲート痕跡部261,262にそれぞれ対応する位置に、成形用突出部214a,214bを有する。本実施形態においては、成形用突出部214a,214bがそれぞれ切除されることによって、ゲート痕跡部261,262がそれぞれ形成される。成形用突出部214a,214bは、設けられている位置が異なる点を除いて、第1実施形態における成形用突出部114の構成と同様である。
【0069】
図12は、本実施形態における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。図13は、本実施形態における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。本実施形態における管継手製造方法は、樹脂射出工程P1cと、ガス注入工程P2cと、封止樹脂射出工程P3cと、を含む。
【0070】
図12に示すように、樹脂射出工程P1cは、成形金型C200のキャビティC110内にゲートCG2a,CG2bから第1樹脂J1を射出する工程である。本実施形態の成形金型C200は、2つの成形用突出部214a,214bが成形される2つのランナー成形部C214a,C214bと、ランナー成形部C214a,C214bにそれぞれ繋がる2つのノズル用孔C201Nとが形成されている点を除いて、第1実施形態における成形金型C100と同様である。本実施形態の樹脂射出工程P1cにおいては、2つのランナー成形部C214a,214bの各ゲートCG2a,CG2bからそれぞれキャビティC110内に第1樹脂J1が射出される。樹脂射出工程P1cにおけるその他の点については、第1実施形態の樹脂射出工程P1aと同様である。
【0071】
図13に示すように、ガス注入工程P2cは、樹脂射出工程P1cにおいてキャビティC110内に射出した第1樹脂J1内にガスGを注入して中空部240を形成する工程である。本実施形態のガス注入工程P2cにおいては、2つのランナー成形部C214a,C214bの各ゲートCG2a,CG2bからそれぞれキャビティC110内の第1樹脂J1内にガスGが注入される。各ゲートCG2a,CG2bからキャビティC110内の第1樹脂J1に対して注入されたガスGは、キャビティC110内の第1樹脂J1を周囲に押しのけながら第1樹脂J1内を進む。これにより、中空部240が形成される。このように、本実施形態において中空部240を形成することは、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された一対のゲートCG2a,CG2bからガスGを注入することを含む。
【0072】
本実施形態においては、図13に示すように、各ゲートCG2a,CG2bから注入されたガスGが互いに近づく向きに流れていくことで、各ガスG同士の間に残った第1樹脂J1によって補強部250が形成される。このように、本実施形態において補強部250を形成することは、中空部240を形成することと同一の工程で行われ、かつ、一対のゲートCG2a,CG2bにそれぞれ注入したガスGによって軸方向(所定方向)において一対のゲートCG2a,CG2b同士の間に補強部250を形成することを含む。ガス注入工程P2cにおけるガスGの注入圧力および注入量は、一対のゲートCG2a,CG2bから注入されたガスG同士の間に、第1樹脂J1による補強部250が形成される程度とされる。ガス注入工程P2cにおけるその他の点については、第1実施形態のガス注入工程P2aと同様である。
【0073】
封止樹脂射出工程P3cは、ガス注入工程P2cにおいて各ランナー成形部C214a,C214bにそれぞれ形成されたガス注入孔GHを樹脂によって封止する工程である。封止樹脂射出工程P3cにおいては、各ランナー成形部C214a,C214bに対してそれぞれ樹脂を射出することで、各ガス注入孔GHを封止する。封止樹脂射出工程P3cにおいて、射出される樹脂の射出圧力および射出量は、射出された樹脂が中空部240内にふきぬけることがないような値とされる。
【0074】
本実施形態における管継手製造方法のその他の手順は、第1実施形態における管継手製造方法のその他の手順と同様である。
【0075】
本実施形態によれば、継手本体部210には、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された一対のゲート痕跡部261,262が形成されている。補強部250の軸方向(所定方向)の位置は、一対のゲート痕跡部261,262同士の間における軸方向(所定方向)の位置である。そのため、上述したように、一対のゲート痕跡部261,262に対応する一対のゲートCG2a,CG2bからガスGを注入することで、一対のゲート痕跡部261,262同士の軸方向の間に、補強部250を形成する製造方法を採用できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、管継手製造方法において、中空部240を形成することは、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された一対のゲートCG2a,CG2bからガスGを注入することを含む。補強部250を形成することは、中空部240を形成することと同一の工程(ガス注入工程P2c)で行われ、かつ、一対のゲートCG2a,CG2bにそれぞれ注入したガスGによって軸方向(所定方向)において一対のゲートCG2a,CG2b同士の間に補強部250を形成することを含む。そのため、中空部240を形成すると同時に補強部250を形成することができ、補強部250を形成する工程を別途設ける必要がない。これにより、補強部250が形成された管継手200を製造しやすくできる。また、このように補強部250を形成することで、補強部250を、管軸線Oを囲む環状に形成できる。そのため、補強部250によって、管継手200の強度をより好適に向上できる。
【0077】
<第3実施形態>
図14は、本実施形態の管継手300を示す断面図である。図14に示すように、本実施形態の管継手300は、2つの管部材同士を接続するエルボ型中空継手である。管継手300における継手本体部310を構成する壁部には、中空部340が形成されている。中空部340は、本体中空部341と、第1管端中空部142と、第2管端中空部143と、を有する。本実施形態において中空部340は、2つの補強部351,352によって軸方向に3つに分断されている。より詳細には、中空部340のうち本体中空部341が、2つの補強部351,352によって、湾曲線部Ocに沿った軸方向に3つに分断されている。
【0078】
本実施形態において中空部340内には、2つの補強部351,352が設けられている。2つの補強部351,352は、軸方向に間隔を空けて配置されている。補強部351,352は、配置される軸方向の位置が異なる点を除いて、第1実施形態の補強部150と同様の構成である。中空部340のその他の構成は、第1実施形態における中空部140のその他の構成と同様である。
【0079】
本実施形態において継手本体部310には、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された2つのゲート痕跡部361,362が形成されている。ゲート痕跡部361,362は、軸方向の位置が異なる点を除いて、第1実施形態のゲート痕跡部160と同様である。ゲート痕跡部361は、補強部351の径方向外側に位置する。ゲート痕跡部362は、補強部352の径方向外側に位置する。つまり、各補強部351,352は、径方向に見て、各ゲート痕跡部361,362とそれぞれ重なる位置に配置されている。各補強部351,352の製造方法は、第1実施形態の補強部150の製造方法と同様である。
【0080】
継手本体部310のその他の構成は、第1実施形態における継手本体部110のその他の構成と同様である。管継手300のその他の構成は、第1実施形態における管継手100のその他の構成と同様である。
【0081】
本実施形態によれば、補強部が、補強部351と補強部352との2つ設けられている。そのため、管継手300の強度をより好適に向上できる。
【0082】
<第4実施形態>
図15は、本実施形態の管継手400を示す断面図である。図15に示すように、本実施形態の管継手400は、2つの管部材同士を接続するエルボ型中空継手である。管継手400における継手本体部410を構成する壁部には、中空部440が形成されている。中空部440は、本体中空部441と、第1管端中空部142と、第2管端中空部143と、を有する。本実施形態において中空部440は、2つの補強部454,455によって軸方向に3つに分断されている。より詳細には、中空部440のうち本体中空部441が、2つの補強部454,455によって湾曲線部Ocに沿った軸方向に3つに分断されている。
【0083】
本実施形態において中空部440内には、5つの補強部451,452,453,454,455が設けられている。5つの補強部451,452,453,454,455は、軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。補強部451,452,453は、配置される軸方向の位置が異なる点を除いて、第1実施形態の補強部150と同様の構成である。補強部454,455は、配置される軸方向の位置が異なる点を除いて、第2実施形態の補強部250と同様の構成である。補強部454は、補強部451と補強部453との軸方向の間に位置する。補強部455は、補強部452と補強部453との軸方向の間に位置する。中空部440のその他の構成は、第1実施形態における中空部440のその他の構成と同様である。
【0084】
本実施形態において継手本体部410には、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された3つのゲート痕跡部461,462,463が形成されている。ゲート痕跡部461,462は、第2実施形態のゲート痕跡部261,262とそれぞれ同様である。ゲート痕跡部463は、第1実施形態のゲート痕跡部160と同様である。ゲート痕跡部461,462,463は、補強部451,452,453の径方向外側にそれぞれ配置されている。つまり、各補強部451,452,453は、径方向に見て、各ゲート痕跡部461,462,463とそれぞれ重なる位置に配置されている。ゲート痕跡部461とゲート痕跡部463とは、軸方向において補強部454を挟む位置に配置されている。つまり、本実施形態において補強部454の軸方向(所定方向)の位置は、一対のゲート痕跡部461,463同士の間における軸方向(所定方向)の位置である。ゲート痕跡部462とゲート痕跡部463とは、軸方向において補強部455を挟む位置に配置されている。つまり、本実施形態において補強部455の軸方向(所定方向)の位置は、一対のゲート痕跡部462,463同士の間における軸方向(所定方向)の位置である。本実施形態において補強部454,455は、径方向に見て、ゲート痕跡部461,462,463と重ならない位置に配置されている。
【0085】
継手本体部410のその他の構成は、第1実施形態における継手本体部110のその他の構成と同様である。管継手400のその他の構成は、第1実施形態における管継手100のその他の構成と同様である。
【0086】
次に、本実施形態の管継手400を製造する管継手製造方法について説明する。本実施形態において管継手400は、射出成形によって成形品400Aを成形した後に、成形品400Aから成形用突出部414a,414b,414cを切除することによって製造される。図16は、本実施形態の成形品400Aを示す断面図である。図16に示すように、成形品400Aは、管継手400のゲート痕跡部461,462,463にそれぞれ対応する位置に、成形用突出部414a,414b,414cを有する。本実施形態においては、成形用突出部414a,414b,414cがそれぞれ切除されることによって、ゲート痕跡部461,462,463が形成される。成形用突出部414a,414b,414cは、設けられている位置が異なる点を除いて、第1実施形態における成形用突出部114の構成と同様である。
【0087】
図17は、本実施形態における管継手製造方法の手順の一部を示す図である。図18は、本実施形態における管継手製造方法の手順の他の一部を示す図である。本実施形態における管継手製造方法は、樹脂射出工程P1dと、ガス注入工程P2dと、補強部形成工程P3dと、を含む。
【0088】
図17に示すように、樹脂射出工程P1dは、成形金型C400のキャビティC110内にゲートCG4a,CG4b,CG4cから第1樹脂J1を射出する工程である。本実施形態の成形金型C400は、3つの成形用突出部414a,414b,414cが成形される3つのランナー成形部C414a,C414b,C414cと、ランナー成形部C414a,C414b,C414cにそれぞれ繋がる3つのノズル用孔C401Nとが形成されている点を除いて、第1実施形態における成形金型C100と同様である。本実施形態の樹脂射出工程P1dにおいては、3つのランナー成形部C414a,C414b,C414cの各ゲートCG4a,CG4b,CG4cからそれぞれキャビティC110内に第1樹脂J1が射出される。樹脂射出工程P1dにおけるその他の点については、第1実施形態の樹脂射出工程P1aと同様である。
【0089】
図18に示すように、ガス注入工程P2dは、樹脂射出工程P1dにおいてキャビティC110内に射出した第1樹脂J1内にガスGを注入して中空部440を形成する工程である。本実施形態のガス注入工程P2dにおいては、3つのランナー成形部C414a,C414b,C414cの各ゲートCG4a,CG4b,CG4cからそれぞれキャビティC110内の第1樹脂J1内にガスGが注入される。各ゲートCG4a,CG4b,CG4cからキャビティC110内の第1樹脂J1に対して注入されたガスGは、キャビティC110内の第1樹脂J1を周囲に押しのけながら第1樹脂J1内を進む。これにより、中空部440が形成される。このように、本実施形態において中空部440を形成することは、軸方向(所定方向)に間隔を空けて配置された3つのゲートCG4a,CG4b,CG4cからガスGを注入することを含む。
【0090】
本実施形態においては、図18に示すように、ゲートCG4a,CG4cから注入されたガスGが互いに近づく向きに流れていくことで、当該各ガスG同士の間に残った第1樹脂J1によって補強部454が形成される。ゲートCG4b,CG4cから注入されたガスGが互いに近づく向きに流れていくことで、当該各ガスG同士の間に残った第1樹脂J1によって補強部455が形成される。本実施形態のガス注入工程P2dのその他の点は、第2実施形態のガス注入工程P2cと同様である。
【0091】
補強部形成工程P3dは、ゲートCG4a,CG4b,CG4cから中空部440内に第2樹脂J2を射出して補強部451,452,453を形成する工程である。補強部形成工程P3dにおいて各補強部451,452,453を形成する方法は、第1実施形態の補強部形成工程P3aにおいて補強部150を形成する方法と同様である。なお、補強部形成工程P3dにおいて各補強部451,452,453を形成する方法は、第1実施形態の変形例における補強部形成工程P3bにおいて補強部150を形成する方法と同様であってもよい。
【0092】
以上のように、本実施形態においては、ガス注入工程P2dにおいて2つの補強部454,455が中空部440と共に形成され、補強部形成工程P3dにおいて3つの補強部451,452,453が形成される。
【0093】
本実施形態における管継手製造方法のその他の手順は、第1実施形態における管継手製造方法のその他の手順と同様である。
【0094】
本実施形態によれば、中空部440内に5つの補強部451,452,453,454,455が設けられるため、管継手400の強度をより好適に向上できる。また、補強部454,455については、中空部440を形成するとともに形成できるため、5つの補強部451~455の全てを第1実施形態の補強部150と同様に形成する場合に比べて、5つの補強部451~455を作りやすくできる。
【0095】
<第5実施形態>
図19は、本実施形態の管継手500を示す断面図である。図19に示すように、本実施形態の管継手500は、直線状に2つの管部材同士を接続する管継手である。管継手500は、例えば、「ソケット」や「ニップル」と呼ばれる管継手である。管継手500は、直線状に延びる管軸線O5に沿って延び、管軸線O5の軸方向の両側に開口する筒状である。管継手500は、継手本体部510と、継手本体部510の一端側に形成された第1受口部(受口部)520と、継手本体部510の他端側に形成された第2受口部(受口部)530と、を備える。継手本体部510は、直線状に延びる直管部511と、直管部511の一端側に繋がる第1管端部512と、直管部511の他端側に繋がる第2管端部513と、を有する。本実施形態において第1受口部520は、第1管端部512からなる。本実施形態において第2受口部530は、第2管端部513からなる。
【0096】
直管部511を構成する壁部には、中空部540が形成されている。中空部540は、直管部511における管軸線O5回りの全周に亘って形成されている。中空部540の内部には、補強部550が形成されている。補強部550は、管軸線O5を中心とする径方向に延びる柱状であり、中空部540の内面における径方向内側の部分と径方向外側の部分とを繋いでいる。補強部550の形成方法は、例えば、第1実施形態における補強部150の形成方法と同様である。直管部511の径方向外側の面には、ゲート痕跡部560が形成されている。ゲート痕跡部560は、補強部550の径方向外側に位置する。補強部550は、径方向に見て、ゲート痕跡部560と重なる位置に配置されている。
【0097】
本実施形態においても、管継手500に中空部540と補強部550とが形成されることで、上述した実施形態と同様に、管継手500の断熱性能を確保しつつ、管継手500の強度を向上できる。
【0098】
<第6実施形態>
図20は、本実施形態の管継手600を示す断面図である。図20に示すように、本実施形態の管継手600は、「チーズ」と呼ばれる3方向分岐のT形の配管接合継手である。管継手600は、継手本体部610と、第1受口部(受口部)620と、第2受口部(受口部)630と、第3受口部(受口部)670と、を備える。継手本体部610は、管軸線O6a,O6bに沿ってT字状に構成されたT管部611を有する。管軸線O6aと管軸線O6bとは、互いに直交する方向に延びている。管軸線O6aは、図20の左右方向に延びている。管軸線O6bは、図20の上下方向に延びている。
【0099】
継手本体部610は、管軸線O6aの軸方向における一端側の第1管端部612と、管軸線O6aの軸方向における他端側の第2管端部613と、管軸線O6bの軸方向における一端側の第3管端部617と、を有する。本実施形態において第1受口部620は、第1管端部612からなる。本実施形態において第2受口部630は、第2管端部613からなる。本実施形態において第3受口部670は、第3管端部617からなる。
【0100】
T管部611を構成する壁部には、中空部640が形成されている。中空部640は、T管部611における管軸線O6a回りの全周に亘って形成されている。中空部640の内部には、補強部650が形成されている。補強部650は、管軸線O6aを中心とする径方向に延びる柱状であり、中空部640の内面における径方向内側の部分と径方向外側の部分とを繋いでいる。補強部650の形成方法は、例えば、第1実施形態における補強部150の形成方法と同様である。管軸線O6aを中心とする径方向においてT管部611の外側の面には、ゲート痕跡部660が形成されている。ゲート痕跡部660は、補強部650の径方向外側に位置する。補強部650は、管軸線O6aを中心とする径方向に見て、ゲート痕跡部660と重なる位置に配置されている。
【0101】
本実施形態においても、管継手600に中空部640と補強部650とが形成されることで、上述した実施形態と同様に、管継手600の断熱性能を確保しつつ、管継手600の強度を向上できる。
【0102】
以上に本発明における実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態の構成のみに限定されず、以下の構成および方法を採用することもできる。
【0103】
補強部は、中空部の内部において中空部の内面に繋がるならば、どのような形状であってもよい。補強部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。補強部が複数設けられる場合、互いに材料が異なる2つ以上の補強部が設けられてもよい。補強部は、どのような方法によって作られてもよい。補強部を形成する材料は、特に限定されない。補強部を形成する材料は、継手本体部を形成する材料と異なってもよい。中空部は、どのような方法によって作られてもよい。継手本体部に一対のゲート痕跡部が形成される場合に、一対のゲート痕跡部が間隔を空ける所定方向は、特に限定されず、管軸線の軸方向とは異なる方向であってもよい。
【0104】
上述した各実施形態の管継手を製造するための成形品における成形用突出部は、どのような形状であってもよい。成形用突出部は、例えば、軸方向に延びるリブであってもよいし、軸方向と直交する方向に延びるリブであってもよい。成形品には、成形用突出部が設けられなくてもよい。
【0105】
本発明が適用される管継手の用途は、特に限定されない。管継手は、空調設備用ドレン配管構造以外の配管構造に用いられてもよい。空調設備用ドレン配管構造は、本発明が適用される管継手を複数備えてもよい。
【0106】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【実施例0107】
実施例1~3の管継手と比較例の管継手とについて3Dモデルを作製し、強度解析を行った。実施例1の管継手は、上述した第1実施形態の管継手100と同様の構成を有する管継手とした。実施例2の管継手は、上述した第3実施形態の管継手300と同様の構成を有する管継手とした。実施例3は、上述した第1実施形態の管継手100を第1実施形態の変形例における製造方法で製造した管継手とした。比較例の管継手は、第1実施形態の管継手100に対して補強部150が設けられていない点のみが異なる管継手とした。実施例1~3の管継手および比較例の管継手のそれぞれに対して一定の外力を加えた場合に各管継手における中空部が設けられた部分に生じる最大応力[MPa]を強度解析によって求めた。結果を以下の、表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1に示すように、比較例の管継手に生じた最大応力が15MPaであったのに対して、実施例1から実施例3の管継手に生じた最大応力は、5MPaまたは7.8MPaであり、いずれも8MPa以下であった。これにより、補強部を設けることによって、管継手の強度を向上でき、管継手における中空部が設けられた部分に生じる最大応力を好適に低減できることが確かめられた。また、同じ射出成形で補強部を形成する実施例1と実施例2とでは、補強部が2つ設けられた実施例2の方が、管継手に生じる最大応力が小さく、管継手の強度をより向上できることが確かめられた。また、補強部の数が共に1つである実施例1と実施例3とでは、管継手に生じる最大応力が同じであったことから、ハンド押し出し機によって補強部を形成した場合も、射出成形で補強部を形成した場合と同様に、管継手の強度を向上できることが確かめられた。
【符号の説明】
【0110】
1…空調設備用ドレン配管構造、6…ドレン配管、100,200,300,400,500,600…管継手、110,210,310,410,510,610…継手本体部、120,520,620…第1受口部(受口部)、130,530,630…第2受口部(受口部)、140,240,340,440,540,640…中空部、150,250,351,352,451,452,453,454,455,550,650…補強部、160,261,262,361,362,461,462,463,560,660…ゲート痕跡部、670…第3受口部(受口部)、C100,C200,C400…成形金型、C110…キャビティ、CG1,CG2a,CG2b,CG4a,CG4b,CG4c…ゲート、G…ガス、O,O5,O6a,O6b…管軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20