(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121173
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240830BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240830BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20240830BHJP
G02B 17/08 20060101ALN20240830BHJP
G02B 13/24 20060101ALN20240830BHJP
G02B 13/16 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N9/31 410
G02B17/08
G02B13/24
G02B13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028134
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】若林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 秀文
(72)【発明者】
【氏名】守国 栄時
(72)【発明者】
【氏名】米山 拓応
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
5C060
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA01
2H087LA27
2H087PA08
2H087PA19
2H087PB10
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA45
2H087TA01
2H087TA05
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA35
2K203FA42
2K203GA22
2K203GA25
2K203GA26
2K203GA33
2K203GA34
2K203GB12
2K203HA03
2K203HA04
2K203HA14
2K203HA67
2K203HA68
2K203HA73
2K203HA75
2K203HB17
2K203MA14
5C060JA25
(57)【要約】
【課題】青色を変調する光変調素子の液晶の劣化を抑制したプロジェクターを提供すること。
【解決手段】プロジェクターは、出射光を青色光の第1色光と他の色光に分離する第1ダイクロイックミラーを備える分離光学系と、第1色光を変調する第1光変調素子と、他の色光を変調する第2光変調素子と、第1ダイクロイックミラーからの第1色光を第1光変調素子に向けて反射する反射ミラーと、第1光変調素子で変調された第1色光の光束幅を縮小する縮小光学系と、色合成プリズムと、を有する。第1光変調素子の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きい。第1光変調素子の光軸は、縮小側結像面の光軸と平行である。第1光変調素子に入射する第1色光の入射方向は、縮小側結像面から出射する第1色光の出射方向とは反対方向である。縮小側結像面は、第1色光が入射する色合成プリズムの第1面部に対向する位置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された出射光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離するとともに、前記出射光の光軸と直交する方向に前記第1色光を反射する第1ダイクロイックミラーを備える分離光学系と、
前記第1ダイクロイックミラーで分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、
前記第1ダイクロイックミラーで分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、
前記第1ダイクロイックミラーで分離された前記第1色光を前記第1光変調素子に向けて直交する方向に反射する反射ミラーと、
前記第1光変調素子が拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小する縮小光学系と、
前記縮小光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、
を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記第1光変調素子の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、
前記第1光変調素子に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であり、
前記縮小側結像面は、前記第1色光が入射する前記色合成プリズムの第1面部に対向する位置であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記縮小側結像面と前記第1面部との間に配置された偏光板を有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記第1ダイクロイックミラーと前記反射ミラーとの間に配置されたリレーレンズを有することを特徴とする請求項1または2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記分離光学系は、前記第1ダイクロイックミラーが前記光軸の第1方向に透過した前記他の色光から、緑色を含む第2波長帯である第2色光と赤色を含む第3波長帯である第3色光とに分離する第2ダイクロイックミラーを備え、
前記第2光変調素子は、前記第2ダイクロイックミラーで分離させた第2色光に対して変調する第3光変調素子と、前記第2ダイクロイックミラーで分離させた第3色光に対して変調する第4光変調素子と、を備え、
前記色合成プリズムは、前記縮小光学系で光束幅が縮小された前記第1色光、前記第3光変調素子で変調された前記第2色光、前記第4光変調素子で変調された前記第3色光を合成した合成光を出射することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記色合成プリズムの前記第1面部に入射する前記第1色光の光束幅は、前記色合成プリズムの第2面部に入射する前記第2色光および前記色合成プリズムの第3面部に入射する前記第3色光の光束幅と同じであることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記縮小光学系は、パワーを有する複数の反射面を備え、
前記縮小光学系の両側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記縮小光学系は、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群と、1枚または2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のパワーを有するレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群と、を備え、
前記第1レンズ群のレンズ枚数と前記第3レンズ群のレンズ枚数は、同じであり、
前記縮小光学系の両側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
光源からの光により液晶装置の液晶が劣化することを抑制したプロジェクターは、特許文献1に記載されている。同文献のプロジェクターは、光源と、光源からの光を3色光に分離するダイクロイックミラーと、分離された3色光を変調する3つの透過型の液晶ライトバルブと、液晶ライトバルブで変調された光を合成するクロスダイクロイックプリズムと、合成された光を投写する投写レンズとを備えている。同文献のプロジェクターでは、3つの液晶ライトバルブのうち、青色を変調する液晶ライトバルブは、赤色および緑色を変調する他の液晶ライトバルブより、光により液晶が劣化しやすいので、青色を変調する液晶ライトバルブは、有効表示領域の外周部に複数の液晶貯留部を備える。これにより、青色を変調する液晶ライトバルブは、他の液晶ライトバルブより、液晶ライトバルブ内の液晶の総量を増やすことができるので、光による液晶の劣化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、より明るいプロジェクターが求められている。しかしながら、特許文献1のプロジェクターでは、より明るいプロジェクターとするために、光源の光の強度を上げた場合、青色を変調する液晶ライトバルブの液晶の劣化を抑制することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のプロジェクターは、光源と、前記光源から出射された出射光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離するとともに、前記出射光の光軸と直交する方向に前記第1色光を反射する第1ダイクロイックミラーを備える分離光学系と、前記第1ダイクロイックミラーで分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、前記第1ダイクロイックミラーで分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、前記第1ダイクロイックミラーで分離された前記第1色光を前記第1光変調素子に向けて直交する方向に反射する反射ミラーと、前記第1光変調素子が拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小する縮小光学系と、前記縮小光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、を有し、前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、前記第1光変調素子の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、前記第1光変調素子に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であり、前記縮小側結像面は、前記第1色光が入射する前記色合成プリズムの第1面部に対向する位置であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1のプロジェクターの要部の概略図である。
【
図2】実施形態2のプロジェクターの要部の概略図である。
【
図3】実施形態3のプロジェクターの要部の概略図である。
【
図4】実施形態4のプロジェクターの要部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るプロジェクターを説明する。
【0008】
[実施形態1]
図1は、実施形態1のプロジェクター100の要部の概略図である。
図1に示すように、プロジェクター100は、光源1と、光源1からの出射光を均一化する照明光学系2と、照明光学系2からの出射光を各色光に分離する分離光学系3と、分離光学系3で分離された各色光に対して変調して投写画像を形成する複数の光変調素子7と、反射ミラー11と、複数の光変調素子7のうち1つで変調された色光の光束幅を縮小する縮小光学系6と、光変調素子7で変調された各色光を合成した合成光を出射する色合成プリズム8と、色合成プリズム8から出射した合成光を投写する投写光学系9と、光変調素子7を制御する制御部10とを有する。
【0009】
ここで、以下の説明では、便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、分離光学系3の第1光軸Nに沿った方向をX軸方向とする。X軸方向において、照明光学系2からの出射光が出射する方向を第1方向X1とし、その反対方向を第2方向X2とする。Y軸方向において、色合成プリズム8から合成光が出射する方向を第3方向Y1とし、その反対方向を第4方向Y2とする。
【0010】
光源1は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。本形態では、光源1は、出射光LDとして白色光を出射する。
【0011】
照明光学系2は、マルチレンズ21、偏光ビームスプリッタ22、マルチレンズ23、およびリレーレンズ24を備える。マルチレンズ21は、光源1からの出射光LDを複数に分割する。偏光ビームスプリッタ22は、マルチレンズ21から出射した出射光LDの偏光方向を変換する。マルチレンズ23は、偏光ビームスプリッタ22から出射した出射光LDをリレーレンズ24の近傍に集光させる。リレーレンズ24は、マルチレンズ23から入射した出射光LDを拡大して、分離光学系3に向けて出射する。
【0012】
分離光学系3は、第1方向X1に向かって順に、第1ダイクロイックミラー31、および第2ダイクロイックミラー32を備える。第1ダイクロイックミラー31、および第2ダイクロイックミラー32は、分離光学系3の第1光軸Nに沿って配置されている。照明光学系2からの出射光LDの光軸は、第1光軸Nと一致する。
【0013】
第1ダイクロイックミラー31は、出射光LDを、第1色光LBと他の色光LCとに分離する。第1ダイクロイックミラー31は、第1色光LBを第4方向Y2に反射し、他の色光LCを第1方向X1に向けて透過する。第2ダイクロイックミラー32は、他の色光LCを、第2色光LGと第3色光LRとに分離する。第2ダイクロイックミラー32は、第3色光LRを第3方向Y1に反射し、第2色光LGを第1方向X1に向けて透過する。本形態では、第1色光LBは、青色光を含む第1波長帯である。第2色光LGは、緑色を含む第2波長帯である。第3色光LRは、赤色を含む第3波長帯である。第1波長帯は、例えば、420nm~500nmである。第2波長帯は、例えば、500nm~600nmである。第3波長帯は、例えば、600nm~680nmである。他の色光LCの波長帯は、例えば、500nm~680nmである。
【0014】
ここで、第2ダイクロイックミラー32の第3方向Y1には、第2ダイクロイックミラー32で分離された第3色光LRを第1方向X1に向けて反射する反射ミラー14が配置されている。第2ダイクロイックミラー32の第1方向X1には、第2ダイクロイックミラー32で分離された第2色光LGを第3方向Y1に向けて反射する反射ミラー15が配置されている。第2ダイクロイックミラー32と反射ミラー14との間、および第2ダイクロイックミラー32と反射ミラー15との間には、それぞれ、レンズ12が配置されている。反射ミラー14の第1方向X1および反射ミラー15の第3方向Y1には、それぞれ、レンズ13が配置されている。レンズ12およびレンズ13は、分離光学系3で分離された第2色光LGおよび第3色光LRを光変調素子7の近傍に集光させる。
【0015】
反射ミラー11は、第1ダイクロイックミラー31の第4方向Y2に配置されている。反射ミラー11は、第1ダイクロイックミラー31で分離された第1色光LBを第1方向X1に向けて反射する。ここで、プロジェクター100は、反射ミラー11と第1ダイクロイックミラー31との間に、リレーレンズ19を備える。リレーレンズ19は、第1ダイクロイックミラー31からの第1色光LBが第1光変調素子71に均一に照射するように、第1色光LBの結像位置を調整する。本形態では、リレーレンズ19は、1枚のレンズからなる。なお、リレーレンズ19は、複数のレンズで構成されてもよい。
【0016】
光変調素子7は、液晶パネルである。光変調素子7は、第1色光LBに対して変調する第1光変調素子71と、第2色光LGに対して変調する第3光変調素子72と、第3色光LRに対して変調する第4光変調素子73とを備える。第1光変調素子71、第3光変調素子72および第4光変調素子73は、それぞれ、入射側偏光板75と出射側偏光板76とを備える。なお、第3光変調素子72および第4光変調素子73は、本発明の「第2光変調素子」に相当する。
【0017】
第1光変調素子71は、第1ダイクロイックミラー31の第1方向X1に配置されている。第1光変調素子71の光軸N1は、X軸に沿った方向に延びる。第1光変調素子71の光軸N1は、分離光学系3の第1光軸Nと平行である。
【0018】
第3光変調素子72は、色合成プリズム8の第2面部82と対向する位置に配置されている。第4光変調素子73は、色合成プリズム8の第3面部83と対向する位置に配置されている。
【0019】
第1光変調素子71の有効面積は、第3光変調素子72および第4光変調素子73の有効面積より大きい。本形態の光変調素子における有効面積(有効表示領域)の対角寸法は、第1光変調素子71が、1.03インチの液晶パネルであり、第3光変調素子72および第4光変調素子73が、0.67インチの液晶パネルである。本形態において、第1光変調素子71、第3光変調素子72、および第4光変調素子73は、表示解像度は一例としてWUXGA(水平方向1920画素、垂直方向1200画素)としている。
【0020】
縮小光学系6は、第1光変調素子71が縮小光学系6の拡大側結像面60Aに配置され、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小する。本形態では、縮小光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの1.03インチの光束幅を、縮小側結像面60Bで0.67インチの光束幅に縮小する。第1光変調素子71の光軸N1と拡大側結像面60Aの光軸M1とは、一致する。縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81と対向する位置に配置されている。縮小側結像面60Bおよび色合成プリズム8の第1面部81の距離は、第3光変調素子72および色合成プリズム8の第2面部82の距離と同じである。また、縮小側結像面60Bおよび色合成プリズム8の第1面部81の距離は、第4光変調素子73および色合成プリズム8の第3面部83の距離と同じである。
【0021】
ここで、プロジェクター100は、縮小側結像面60Bと第1面部81との間に配置された偏光板5を有する。偏光板5と第1光変調素子71の出射側偏光板76とは、第1色光LBに含まれる偏光成分のうち同一方向の直線偏光成分を透過させる。すなわち、第1光変調素子71の出射側偏光板76が第1色光LBのS偏光を透過させる場合には、偏光板5はS偏光を透過させ、第1光変調素子71の出射側偏光板76が第1色光LBのP偏光を透過させる場合には、偏光板5はP偏光を透過させる。
【0022】
色合成プリズム8は、第1色光LBが入射する第1面部81、第2色光LGが入射する第2面部82、第3色光LRが入射する第3面部83および合成光LEが出射する第4面部84を備える。第1面部81と第3面部83とは、X軸方向で対向する。第2面部82と第4面部とは、Y軸方向で対向する。色合成プリズム8は、縮小光学系6で光束幅が縮小された第1色光LB、第3光変調素子72で変調された第2色光LG、および第4光変調素子73で変調された第3色光LRを合成した合成光LEを、第4面部84から第3方向Y1に出射する。ここで、色合成プリズム8の第1面部81に入射する第1色光LBの光束幅は、色合成プリズム8の第2面部82に入射する第2色光LGおよび色合成プリズム8の第3面部83に入射する第3色光LRの光束幅と同じである。
【0023】
投写光学系9は、色合成プリズム8から出射した合成光LEをスクリーンに投写する。投写光学系9は、複数枚のレンズを備える。制御部10は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて光変調素子7を動作させる。
【0024】
(縮小光学系の詳細)
図1に示すように、縮小光学系6は、パワーを有する複数の反射面60およびレンズ64を備える。より具体的には、縮小光学系6は、拡大側から縮小側に向かって順に、正のパワーを有する第1反射面61、レンズ64、負のパワーを有する第2反射面62および正のパワーを有する第3反射面63を備える。第1反射面61は、凹面形状を備える。第2反射面62は、凸面形状を備える。第3反射面63は、凹面形状を備える。
【0025】
第1光変調素子71から第1反射面61に到達した第1色光LBは、第2方向X2および第3方向Y1に向かって反射される。第1反射面61で反射された第1色光LBは、レンズ64を透過して、第2反射面62に到達する。第2反射面62に到達した第1色光LBは、第1方向X1および第3方向Y1に向かって反射される。第2反射面62で反射された第1色光LBは、レンズ64を透過して、第3反射面63に到達する。第3反射面63に到達した第1色光LBは、第2方向X2に向かって反射される。第3反射面63で反射された第1色光LBは、レンズ64を透過して、縮小側結像面60Bに到達する。
【0026】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。すなわち、第1光変調素子71の光軸N1は、縮小側結像面60Bの光軸M2と平行である。
【0027】
拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、第1方向X1である。縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向は、第2方向X2である。すなわち、第1光変調素子71に入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0028】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。すなわち、第1光変調素子71および縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。
【0029】
縮小光学系6の両側、すなわち、第1反射面61の拡大側およびレンズ64の縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。第1反射面61の拡大側がテレセントリックとは、第1反射面61の拡大側結像面60Aとの間を通過する各光束の中心光線が、光軸M1と平行または光軸M1と略平行となっていることをいう。レンズ64の縮小側がテレセントリックとは、レンズ64と縮小側結像面60Bとの間を通過する各光束の中心光線が、光軸M2と平行または光軸M2と略平行となっていることをいう。本形態では、各光束の中心光線と光軸M1,M2とが成す角度は±5°以内である。
【0030】
(作用効果)
本形態のプロジェクター100は、光源1と、光源1から出射された出射光LDを、青色光を含む第1波長帯の第1色光LBと第1色光LBよりも長い波長帯の他の色光LCに分離するとともに、出射光LDの光軸と直交するY軸方向に第1色光LBを反射する第1ダイクロイックミラー31を備える分離光学系3と、第1ダイクロイックミラー31で分離された第1色光LBに対して変調する第1光変調素子71と、第1ダイクロイックミラー31で分離させた他の色光LCに対して変調する第2光変調素子と、第1ダイクロイックミラー31で分離された第1色光LBを第1光変調素子71に向けて直交するX軸方向に反射する反射ミラー11と、第1光変調素子71が拡大側結像面60Aに配置され、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小する縮小光学系6と、縮小光学系6で光束幅が縮小された第1色光LBおよび第2光変調素子で変調された他の色光LCを合成した合成光LEを出射する色合成プリズム8と、色合成プリズム8から出射した合成光LEを投写する投写光学系9と、を有する。第1光変調素子71の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きい。第1光変調素子71の光軸N1は、縮小側結像面60Bの光軸M2と平行である。第1光変調素子71に入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81と対向する位置である。
【0031】
本形態によれば、第1光変調素子71の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きいので、第2光変調素子より、第1光変調素子71に照射される照度を小さくすることができる。これにより、光源1をより明るくした場合であっても、第1光変調素子71の液晶が光により劣化することを抑制することができる。
【0032】
また、縮小光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小することができるので、第1光変調素子71の有効面積が、第3光変調素子72の有効面積より大きい場合であっても、色合成プリズム8に入射する各色光の光束幅を同じ大きさにすることができる。
【0033】
また、縮小光学系6は、拡大側結像面60Aに入射した第1色光LBを180°屈曲させて縮小側結像面60Bから第1色光LBを出射するので、縮小光学系6が第1色光LBを屈曲さない場合と比較して、プロジェクター全体をコンパクトにすることができる。
【0034】
本形態のプロジェクター100は、縮小側結像面60Bと第1面部81との間に配置された偏光板5を有する。よって、第1光変調素子71から出射した第1色光LBが縮小光学系6を通過した際に、第1色光LBの偏光方向が乱れた場合であっても、偏光板5が第1色光LBの偏光方向を補償することができる。これにより、色合成プリズム8に入射する第1色光LBのコントラストが低下することを抑制することができる。
【0035】
本形態のプロジェクター100は、第1ダイクロイックミラー31と反射ミラー11との間に配置されたリレーレンズ19を有する。リレーレンズ19は、第1ダイクロイックミラー31からの第1色光LBの結像位置を調整する。これにより、第1ダイクロイックミラー31からの第1色光LBを第1光変調素子71に均一に照射することができる。
【0036】
分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー31が第1方向X1に透過した他の色光LCから、緑色を含む第2波長帯である第2色光LGと赤色を含む第3波長帯である第3色光LRとに分離する第2ダイクロイックミラー32を備える。第2光変調素子は、第2ダイクロイックミラー32で分離させた第2色光LGに対して変調する第3光変調素子72と、第2ダイクロイックミラーで分離させた第3色光に対して変調する第4光変調素子73と、を備える。色合成プリズム8は、縮小光学系6で光束幅が縮小された第1色光LB、第3光変調素子72で変調された第2色光LG、第4光変調素子73で変調された第3色光LRを合成した合成光LEを出射する。このようにすれば、プロジェクター100は、フルカラーの合成光LEを投写することができる。
【0037】
色合成プリズム8の第1面部81に入射する第1色光LBの光束幅は、色合成プリズム8の第2面部82に入射する第2色光LGおよび色合成プリズム8の第3面部83に入射する第3色光LRの光束幅と同じである。よって、色合成プリズム8は各色光を合成して1つの合成光LEとすることが容易である。
【0038】
縮小光学系6は、パワーを有する複数の反射面60を備える。縮小光学系6の両側は、それぞれ、テレセントリックである。よって、縮小光学系6の両側がテレセントリックでないものと比較して、縮小光学系6をプロジェクター100に組み込む際、第1光変調素子71に対する設置精度が厳しくない。また、縮小側結像面60Bから色合成プリズム8に向かう第1色光LBが平行光となるので、縮小光学系6で発生する諸収差の発生を抑制しやすい。
【0039】
また、縮小光学系6は複数の反射面60で構成されるので、縮小光学系6の光路を送風用の送風ダクトとして使用することが可能となる。これにより、光変調素子7を冷却することが容易となり、光変調素子7が劣化することを抑制することができる。また、縮小光学系6の光路が送風用の送風ダクトとして使用された場合には、反射面60を冷却することが容易となるので、反射面60が熱膨張により光学性能が低下することを抑制することができる。
【0040】
[実施形態2]
図2は、実施形態2のプロジェクター100Aの要部の概略図である。実施形態2のプロジェクター100Aは、縮小光学系6が配置される位置が、実施形態1のプロジェクター100とは相違する。よって、実施形態2では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0041】
分離光学系3は、第1方向X1に向かって順に、第1ダイクロイックミラー31、および第2ダイクロイックミラー32を備える。第1ダイクロイックミラー31、および第2ダイクロイックミラー32は、分離光学系3の第1光軸Nに沿って配置されている。第1ダイクロイックミラー31は、出射光LDを、第1色光LBと他の色光LCとに分離する。
【0042】
第1ダイクロイックミラー31は、第1色光LBを第3方向Y1に反射し、他の色光LCを第1方向X1に向けて透過する。第2ダイクロイックミラー32は、他の色光LCを、第2色光LGと第3色光LRとに分離する。第2ダイクロイックミラー32は、第2色光LGを第3方向Y1に反射し、第3色光LRを第1方向X1に向けて透過する。本形態では、第1色光LBは、青色光を含む第1波長帯である。第2色光LGは、緑色を含む第2波長帯である。第3色光LRは、赤色を含む第3波長帯である。第1波長帯は、例えば、420nm~500nmである。第2波長帯は、例えば、500nm~600nmである。第3波長帯は、例えば、600nm~680nmである。他の色光LCの波長帯は、例えば、500nm~680nmである。
【0043】
ここで、第2ダイクロイックミラー32の第1方向X1には、第2ダイクロイックミラー32で分離された第3色光LRを第3方向Y1に向けて反射する反射ミラー16が配置されている。反射ミラー16の第3方向Y1には、反射ミラー16反射された第3色光LRを第2方向X2に向けて反射する反射ミラー17が配置されている。第1ダイクロイックミラー31と第2ダイクロイックミラー32との間、第2ダイクロイックミラー32と反射ミラー16との間、および反射ミラー16と反射ミラー17との間には、それぞれ、レンズ12が配置されている。第2ダイクロイックミラー32の第3方向Y1および反射ミラーの第2方向X2には、それぞれ、レンズ13が配置されている。レンズ12およびレンズ13は、分離光学系3で分離された第2色光LGおよび第3色光LRを光変調素子7の近傍に集光させる。
【0044】
反射ミラー11は、第1ダイクロイックミラー31の第3方向Y1に配置されている。反射ミラー11は、第1ダイクロイックミラー31で分離された第3方向Y1の第1色光LBを第1方向X1に向けて反射する。ここで、プロジェクター100は、反射ミラー11と第1ダイクロイックミラー31との間に、リレーレンズ19を備える。本形態では、リレーレンズ19は、1枚のレンズからなる。なお、リレーレンズ19は、複数のレンズで構成されてもよい。
【0045】
第1光変調素子71は、第1ダイクロイックミラー31の第1方向X1に配置されている。第1光変調素子71の光軸N1は、X軸に沿った方向に延びる。第1光変調素子71の光軸N1は、分離光学系3の第1光軸Nと平行である。
【0046】
第3光変調素子72は、色合成プリズム8の第2面部82と対向する位置に配置されている。第4光変調素子73は、色合成プリズム8の第3面部83と対向する位置に配置されている。
【0047】
第1光変調素子71の有効面積は、第3光変調素子72および第4光変調素子73の有効面積より大きい。本形態の光変調素子における有効面積(有効表示領域)の対角寸法は、第1光変調素子71が、1.03インチの液晶パネルであり、第3光変調素子72および第4光変調素子73が、0.67インチの液晶パネルである。本形態におけて、第1光変調素子71、第3光変調素子72、および第4光変調素子73は、表示解像度は一例としてWUXGA(水平方向1920画素、垂直方向1200画素)としている。
【0048】
縮小光学系6は、第1光変調素子71が縮小光学系6の拡大側結像面60Aに配置され、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小する。第1光変調素子71の光軸N1と拡大側結像面60Aの光軸M1とは、一致する。本形態では、縮小光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの1.03インチの光束幅を、縮小側結像面60Bで0.67インチの光束幅に縮小する。縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81と対向する位置に配置されている。
【0049】
ここで、プロジェクター100Aは、縮小側結像面60Bと第1面部81との間に配置された偏光板5を有する。偏光板5と第1光変調素子71の出射側偏光板76とは、第1色光LBに含まれる偏光成分のうち同一方向の直線偏光成分を透過させる。
【0050】
色合成プリズム8の第1面部81に入射する第1色光LBの光束幅は、色合成プリズム8の第2面部82に入射する第2色光LGおよび色合成プリズム8の第3面部83に入射する第3色光LRの光束幅と同じである。
【0051】
(縮小光学系の詳細)
図2に示すように、縮小光学系6は、拡大側から縮小側に向かって順に、正のパワーを有する第1反射面61、レンズ64、負のパワーを有する第2反射面62および正のパワーを有する第3反射面63を備える。第1反射面61は、凹面形状を備える。第2反射面62は、凸面形状を備える。第3反射面63は、凹面形状を備える。
【0052】
第1光変調素子71から第1反射面61に到達した第1色光LBは、第1方向X1および第4方向Y2に向かって反射される。第1反射面61で反射された第1色光LBは、レンズ64を透過して、第2反射面62に到達する。第2反射面62に到達した第1色光LBは、第2方向X2および第4方向Y2に向かって反射される。第2反射面62で反射された第1色光LBは、レンズ64を透過して、第3反射面63に到達する。第3反射面63に到達した第1色光LBは、第1方向X1に向かって反射される。第3反射面63で反射された第1色光LBは、レンズ64を透過して、縮小側結像面60Bに到達する。
【0053】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。すなわち、第1光変調素子71の光軸N1は、縮小側結像面60Bの光軸M2と平行である。
【0054】
拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、第2方向X2である。縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向は、第1方向X1である。すなわち、第1光変調素子71に入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0055】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第2方向X2に位置する。すなわち、第1光変調素子71および縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第2方向X2に位置する。
【0056】
縮小光学系6の両側、すなわち、第1反射面61の拡大側およびレンズ64の縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。
【0057】
(作用効果)
実施形態2のように縮小光学系6を配置しても、プロジェクター100Aは、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
[実施形態3]
図3は、実施形態3のプロジェクター100Bの要部の概略図である。実施形態3のプロジェクター100Bは、縮小光学系6の構成が、実施形態1のプロジェクター100とは相違する。よって、実施形態3では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0059】
図3に示すように、縮小光学系6は、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群G1と、1枚または2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のパワーを有するレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。縮小光学系6は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に絞り65を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、縮小光学系6の第2光軸Mに沿って配置されている。
【0060】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数は、同じである。より具体的には、第1レンズ群G1は、レンズL1~レンズL4の4枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、レンズL7~レンズL10の4枚のレンズからなる。
【0061】
第2レンズ群G2は、レンズL5およびレンズL6の2枚のレンズからなる。レンズL5およびレンズL6は、少なくも一方が負のパワーを有するレンズである。
【0062】
縮小光学系6は、第1光変調素子71により変調された第1色光LBを第3方向Y1に反射する第1反射ミラー66と、レンズL10から出射した第1色光LBを第2方向X2に反射する第2反射ミラー67とを備える。第1反射ミラー66は、レンズL1の第4方向Y2方向に配置されている。第2反射ミラー67は、レンズL10の第3方向Y1に配置されている。
【0063】
第1光変調素子71から第1反射ミラー66に到達した第1色光LBは、第3方向Y1に向かって反射される。第1反射ミラー66で反射された第1色光LBは、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を透過して、第2反射ミラー67に到達する。第2反射ミラー67に到達した第1色光LBは、第2方向X2に向かって反射される。第2反射ミラー67で反射された第1色光LBは、縮小側結像面60Bに到達する。
【0064】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。すなわち、第1光変調素子71の光軸N1は、縮小側結像面60Bの光軸M2と平行である。
【0065】
拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、第1方向X1である。縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向は、第2方向X2である。すなわち、第1光変調素子71に入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0066】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。すなわち、第1光変調素子71および縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。
【0067】
縮小光学系6の両側、すなわち、第1反射ミラー66の拡大側および第2反射ミラー67の縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。
【0068】
(作用効果)
本形態では、縮小光学系6は、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群G1と、2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のパワーを有するレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。縮小光学系6の両側は、それぞれ、テレセントリックである。よって、第2レンズ群G2を挟む第1レンズ群G1および第3レンズ群G3のレンズ枚数が同じであるので、第1レンズ群G1で発生した諸収差を第3レンズ群G3で打ち消すことができる。また、縮小光学系6の両側がテレセントリックでないものと比較して、縮小光学系6をプロジェクター100に組み込む際、第1光変調素子71に対する設置精度が厳しくない。また、縮小側結像面60Bから色合成プリズム8に向かう第1色光LBが平行光となるので、縮小光学系6で発生する諸収差の発生を抑制しやすい。
【0069】
また、実施形態3の縮小光学系6を採用しても、プロジェクター100Bは、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
[実施形態4]
図4は、実施形態4のプロジェクター100Cの要部の概略図である。実施形態4のプロジェクター100Cは、縮小光学系6の構成が実施形態3と同一構成である点が、実施形態2のプロジェクター100Aとは相違する。よって、実施形態4では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0071】
図4に示すように、縮小光学系6は、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群G1と、1枚または2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のパワーを有するレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。縮小光学系6は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に絞り65を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、縮小光学系6の第2光軸Mに沿って配置されている。
【0072】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数は、同じである。より具体的には、第1レンズ群G1は、レンズL1~レンズL4の4枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、レンズL7~レンズL10の4枚のレンズからなる。
【0073】
第2レンズ群G2は、レンズL5およびレンズL6の2枚のレンズからなる。レンズL5およびレンズL6は、少なくも一方が負のパワーを有するレンズである。
【0074】
縮小光学系6は、第1光変調素子71により変調された第1色光LBを第4方向Y2に反射する第1反射ミラー66と、レンズL10から出射した第1色光LBを第1方向X1に反射する第2反射ミラー67とを備える。第1反射ミラー66は、レンズL1の第3方向Y1方向に配置されている。第2反射ミラー67は、レンズL10の第4方向Y2に配置されている。
【0075】
第1光変調素子71から第1反射ミラー66に到達した第1色光LBは、第4方向Y2に向かって反射される。第1反射ミラー66で反射された第1色光LBは、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を透過して、第2反射ミラー67に到達する。第2反射ミラー67に到達した第1色光LBは、第1方向X1に向かって反射される。第2反射ミラー67で反射された第1色光LBは、縮小側結像面60Bに到達する。
【0076】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。すなわち、第1光変調素子71の光軸N1は、縮小側結像面60Bの光軸M2と平行である。
【0077】
拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、第2方向X2である。縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向は、第1方向X1である。すなわち、第1光変調素子71に入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0078】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第2方向X2に位置する。すなわち、第1光変調素子71および縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第2方向X2に位置する。
【0079】
縮小光学系6の両側、すなわち、第1反射ミラー66の拡大側および第2反射ミラー67の縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。
【0080】
(作用効果)
実施形態4のように縮小光学系6を配置しても、プロジェクター100Cは、実施形態3と同様の作用効果を得ることができる。
【0081】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0082】
(付記1)
光源と、
前記光源から出射された出射光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離するとともに、前記出射光の光軸と直交する方向に前記第1色光を反射する第1ダイクロイックミラーを備える分離光学系と、
前記第1ダイクロイックミラーで分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、
前記第1ダイクロイックミラーで分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、
前記第1ダイクロイックミラーで分離された前記第1色光を前記第1光変調素子に向けて直交する方向に反射する反射ミラーと、
前記第1光変調素子が拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小する縮小光学系と、
前記縮小光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、
を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記第1光変調素子の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、
前記第1光変調素子に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であり、
前記縮小側結像面は、前記第1色光が入射する前記色合成プリズムの第1面部に対向する位置であることを特徴とするプロジェクター。
【0083】
これにより、第1光変調素子の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きいので、第2光変調素子より、第1光変調素子に照射される照度を小さくすることができる。この結果、第1光変調素子の液晶が光により劣化することを抑制することができる。
【0084】
また、縮小光学系は、第1光変調素子で変調された第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小することができるので、第1光変調素子の有効面積が、第2光変調素子の有効面積より大きい場合であっても、色合成プリズムに入射する各色光の光束幅を同じ大きさにすることができる。
【0085】
また、縮小光学系は、拡大側結像面に入射した第1色光LBを屈曲させて縮小側結像面から第1色光を出射するので、縮小光学系が第1色光を屈曲さない場合と比較して、プロジェクター全体をコンパクトにすることができる。
【0086】
(付記2)
前記縮小側結像面と前記第1面部との間に配置された偏光板を有することを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0087】
これにより、色合成プリズムに入射する第1色光のコントラストが低下することを抑制することができる。
【0088】
(付記3)
前記第1ダイクロイックミラーと前記反射ミラーとの間に配置されたリレーレンズを有することを特徴とする付記1または2に記載のプロジェクター。
【0089】
これにより、第1ダイクロイックミラーからの第1色光LBの結像位置を調整するができるので、第1ダイクロイックミラーからの第1色光を第1光変調素子に均一に照射することができる。
【0090】
(付記4)
前記分離光学系は、前記第1ダイクロイックミラーが前記光軸の第1方向に透過した前記他の色光から、緑色を含む第2波長帯である第2色光と赤色を含む第3波長帯である第3色光とに分離する第2ダイクロイックミラーを備え、
前記第2光変調素子は、前記第2ダイクロイックミラーで分離させた第2色光に対して変調する第3光変調素子と、前記第2ダイクロイックミラーで分離させた第3色光に対して変調する第4光変調素子と、を備え、
前記色合成プリズムは、前記縮小光学系で光束幅が縮小された前記第1色光、前記第3光変調素子で変調された前記第2色光、前記第4光変調素子で変調された前記第3色光を合成した合成光を出射することを特徴とする付記1から3のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【0091】
これにより、プロジェクターは、フルカラーの合成光を投写することができる。
【0092】
(付記5)
前記色合成プリズムの前記第1面部に入射する前記第1色光の光束幅は、前記色合成プリズムの第2面部に入射する前記第2色光および前記色合成プリズムの第3面部に入射する前記第3色光の光束幅と同じであることを特徴とする付記4に記載のプロジェクター。
【0093】
これにより、色合成プリズムは各色光を合成して1つの合成光とすることが容易である。
【0094】
(付記6)
前記縮小光学系は、パワーを有する複数の反射面を備え、
前記縮小光学系の両側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とする付記1から5のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【0095】
これにより、縮小光学系の両側がテレセントリックでないものと比較して、縮小光学系をプロジェクターに組み込む際、第1光変調素子に対する設置精度が厳しくない。また、縮小側結像面から色合成プリズムに向かう第1色光が平行光となるので、縮小光学系で発生する諸収差の発生を抑制しやすい。
【0096】
(付記7)
前記縮小光学系は、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群と、1枚または2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のパワーを有するレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群と、を備え、
前記第1レンズ群のレンズ枚数と前記第3レンズ群のレンズ枚数は、同じであり、
前記縮小光学系の両側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とする付記1から5のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【0097】
これにより、第2レンズ群を挟む第1レンズ群および第3レンズ群のレンズ枚数が同じであるので、第1レンズ群で発生した諸収差を第3レンズ群で打ち消すことができる。また、縮小光学系の両側がテレセントリックでないものと比較して、縮小光学系をプロジェクターに組み込む際、第1光変調素子に対する設置精度が厳しくない。また、縮小側結像面から色合成プリズムに向かう第1色光が平行光となるので、縮小光学系で発生する諸収差の発生を抑制しやすい。
【符号の説明】
【0098】
1…光源、2…照明光学系、3…分離光学系、5…偏光板、6…縮小光学系、7…光変調素子、8…色合成プリズム、9…投写光学系、10…制御部、11…反射ミラー、12…レンズ、13…レンズ、14…反射ミラー、15…反射ミラー、16…反射ミラー、17…反射ミラー、19…リレーレンズ、21…マルチレンズ、22…偏光ビームスプリッタ、23…マルチレンズ、24…リレーレンズ、31…第1ダイクロイックミラー、32…第2ダイクロイックミラー、60…反射面、60A…拡大側結像面、60B…縮小側結像面、61…第1反射面、62…第2反射面、63…第3反射面、64…レンズ、65…絞り、66…第1反射ミラー、67…第2反射ミラー、71…第1光変調素子、72…第3光変調素子、73…第4光変調素子、75…入射側偏光板、76…出射側偏光板、81…第1面部、82…第2面部、83…第3面部、84…第4面部、100・100A・100B・100C…プロジェクター、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、G3…第3レンズ群、L1~L10…レンズ、LD…出射光、LE…合成光、LB…第1色光、LG…第2色光、LR…第3色光、LC…他の色光、M…第2光軸、M1…光軸、M2…光軸、N…第1光軸。