(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121175
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像読取方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240830BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20240830BHJP
H04N 1/40 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
H04N1/191
H04N1/40 006
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028136
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】石原 ひかり
【テーマコード(参考)】
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA04
5C072BA15
5C072CA04
5C072CA05
5C072DA25
5C072EA06
5C072EA07
5C072FB12
5C072FB16
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA04
5C072RA06
5C072RA16
5C072UA02
5C072WA02
5C072XA01
5C077LL04
5C077MM04
5C077MM05
5C077MM15
5C077MM22
5C077MM27
5C077MP01
5C077PP06
5C077PP07
5C077PQ20
5C077SS01
(57)【要約】
【課題】原稿の切り出し精度を向上させることができる画像読取装置、画像読取方法を提供する。
【解決手段】光を照射する光源31と、シェーディング補正用の基準部33と、原稿Mを読み取って読取データを出力する読取部32と、制御部37と、を備え、第1黒基準データと第1白基準データの一方は、光源31を点灯して読取部32が基準部33を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、制御部37は、読取データと第1黒基準データとの差と、第1白基準データと第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源と、
シェーディング補正用の基準部と、
原稿を読み取って読取データを出力する読取部と、
制御部と、
を備え、
第1黒基準データと第1白基準データの一方は、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、
前記制御部は、
前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、
前記第1白基準データと前記第1黒基準データとの差と、
に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記基準部は、黒色であり、
前記第1黒基準データは、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、
前記第1白基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、
第2黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、
前記制御部は、
前記読取データと前記第2黒基準データとの差と、
前記第1白基準データと前記第2黒基準データとの差と、
に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から前記原稿領域を切り出すことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記原稿の読み取りの指示を受け付けると、前記第1黒基準データと前記第2黒基準データを生成することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記光源を消灯し、前記読取部に前記基準部を読み取らせることで前記第2黒基準データを生成することを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記基準部は、白色であり、
前記第1白基準データは、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、
前記第1黒基準データは、前記光源を消灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けていないデータであり、
第2白基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、
前記制御部は、
前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、
前記第2白基準データと前記第1黒基準データとの差と、
に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から前記原稿領域を切り出すことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記原稿の読み取りの指示を受け付けると、前記第1白基準データと前記第1黒基準データを生成することを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記基準部の色は、グレーであり、
前記第1白基準データは、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータに、白色と前記基準部の色の比を掛けたデータであり、
前記第1黒基準データは、前記光源を消灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けていないデータであり、
第2白基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、
前記制御部は、
前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、
前記第2白基準データと前記第1黒基準データとの差と、
に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から前記原稿領域を切り出すことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記原稿の読み取りの指示を受け付けると、前記第1白基準データと前記第1黒基準データを生成することを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記画像読取装置の製造時に生成された前記第2白基準データを記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項5~請求項8のうち何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記第2白基準データを、シェーディング補正を実行する前に補正することを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
光を照射する光源と、
シェーディング補正用の基準部と、
原稿を読み取って読取データを出力する読取部と、
を備える画像読取装置の画像読取方法であって、
第1黒基準データと第1白基準データの一方は、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、
前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、
前記第1白基準データと前記第1黒基準データとの差と、
に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定することを特徴とする画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、画像読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、原稿の画像を読み取る読取部を備える画像読取装置がある。画像読取装置は、読取面に付着した汚れを検出する感度を調整可能である。画像読取装置は、汚れが付着していることを検出すると、警告するメッセージを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚れを検出する感度を上げると、汚れを検出しやすくなるものの、誤検出や過度な検出により、警告頻度が上がって使用感を損ねてしまう。しかし、ある程度の汚れを許容するために感度を下げると、検出できなかった汚れにより原稿の切り出し精度が低下してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する画像読取装置は、光を照射する光源と、シェーディング補正用の基準部と、原稿を読み取って読取データを出力する読取部と、制御部と、を備え、第1黒基準データと第1白基準データの一方は、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、前記制御部は、前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、前記第1白基準データと前記第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定する。
【0006】
上記課題を解決する画像読取方法は、光を照射する光源と、シェーディング補正用の基準部と、原稿を読み取って読取データを出力する読取部と、を備える画像読取装置の画像読取方法であって、第1黒基準データと第1白基準データの一方は、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、前記第1白基準データと前記第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態における画像読取装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、画像読取装置、画像読取方法について図を参照しながら説明する。画像読取装置は、例えば、搬送される紙、フィルムなどの原稿を、固定された読取部が読み取るシートフィードスキャナーである。
【0009】
[第1実施形態]
<画像読取装置の構成>
図1に示すように、画像読取装置11は、筐体12と、支持部13と、を備えてもよい。支持部13は、筐体12を支持する。支持部13は、筐体12に取り付けられる。支持部13は、例えば、水平面に設置される。
【0010】
筐体12には、供給口14と、排出口15と、が開口する。供給口14は、原稿Mが供給される開口である。供給口14を通じて、原稿Mが筐体12内に供給される。排出口15は、原稿Mが排出される開口である。排出口15を通じて原稿Mが筐体12内から排出される。
【0011】
画像読取装置11は、搬送経路16を備えてもよい。搬送経路16は、原稿Mが搬送される経路である。搬送経路16は、筐体12内を延びる。搬送経路16は、供給口14から排出口15に向かって延びる。
【0012】
画像読取装置11は、供給トレイ18と、給送部19と、搬送部20と、第1読取ユニット21と、第2読取ユニット22と、排出トレイ23、を備えてもよい。
供給トレイ18は、筐体12に取り付けられる。供給トレイ18には、読取前の原稿Mがセットされる。供給トレイ18には1以上の原稿Mが積載される。原稿Mは、その先端が供給口14に進入する状態で供給トレイ18にセットされる。原稿Mが供給トレイ18にセットされると、原稿Mの先端が給送部19に突き当たる。
【0013】
給送部19は、給送ローラー25と、分離部26と、を有する。給送部19は、供給トレイ18に載置される複数の原稿Mを1枚ずつ順に搬送経路16に送り出す。
給送ローラー25は、供給トレイ18から原稿Mを給送する。給送ローラー25は、駆動回転する。給送ローラー25は、原稿Mの表面に接触してもよい。
【0014】
分離部26は、給送ローラー25により給送される原稿Mを分離する。本実施形態の分離部26は、原稿Mを1枚ずつに分離するためのローラーである。分離部26は、原稿Mの裏面に接触してもよい。
【0015】
分離部26は、例えば、原稿M同士の摩擦係数よりも、原稿Mに対する摩擦係数が高いローラーによって構成される。分離部26には、例えば、トルクリミッターによって、回転負荷が付与されている。そのため、給送ローラー25と分離部26とが原稿Mを複数挟む場合においては、給送ローラー25が駆動回転することに対し、分離部26が従動回転しにくくなる。すなわち、給送ローラー25と分離部26とによって、原稿Mが1枚ずつに分離される。これにより、原稿Mが2枚重なる状態で搬送されるおそれが低減される。
【0016】
搬送部20は、原稿Mを搬送するように構成される。搬送部20は、搬送経路16に沿って原稿Mを搬送する。搬送部20は、例えば、1以上のローラー対28を含む。
ローラー対28は、給送部19よりも搬送方向D1の下流に設けられる。複数のローラー対28は、搬送経路16に沿って並ぶ。ローラー対28は、原稿Mを挟む状態で回転することによって原稿Mを搬送する。
【0017】
排出トレイ23は、筐体12に取り付けられる。排出トレイ23は、例えば、筐体12に対して回転可能である。排出トレイ23は、筐体12に対して開くことによって、原稿Mを受けることが可能となる。排出トレイ23は、読取後の原稿Mを受ける。排出トレイ23は、排出口15から排出される原稿Mを受ける。
【0018】
第1読取ユニット21と第2読取ユニット22は、原稿Mを読み取るように構成される。第1読取ユニット21と第2読取ユニット22は、搬送方向D1に搬送される原稿Mを読み取る。第1読取ユニット21と第2読取ユニット22は、搬送経路16を挟んで互いに対向する。第1読取ユニット21と第2読取ユニット22は、走査方向D2に長尺である。走査方向D2を主走査方向と称する場合、搬送方向D1は、副走査方向であるともいえる。
【0019】
第1読取ユニット21と第2読取ユニット22の構成は同じである。第1読取ユニット21と第2読取ユニット22は、それぞれ光源31と、読取部32と、基準部33と、を備える。
【0020】
光源31は、例えば、LED、蛍光ランプなどである。光源31は、光を照射する。具体的には、光源31は、対向する読取ユニットに向けて光を照射する。光源31は、例えば、走査方向D2に長尺である。
【0021】
読取部32は、原稿Mを読み取って読取データを出力する。読取部32は、走査方向D2に亘る1ライン分の画像を読み取ってもよい。読取部32は、走査方向D2に並ぶ複数の画素を含む読取データを出力してもよい。読取部32は、走査方向D2に並ぶ複数のイメージセンサーを有してもよい。複数のイメージセンサーは、モジュール化されていてもよい。読取部32は、例えば、コンタクト型イメージセンサーである。詳しくは、読取部32は、CMOSイメージセンサーである。読取部32は、受けた光を光電変換する。読取部32は、受光量に応じた出力値を出力する。読取部32が白色の原稿Mを読み取った場合の出力値は、黒色の基準部33を読み取った場合の出力値より大きい。出力値は、A/D変換によって、輝度値に変換される。
【0022】
読取部32は、モノクロセンサーでもよいし、カラーセンサーでもよい。読取部32は、フルカラーで原稿Mを読み取るように構成されてもよい。例えば、読取部32は、RGBの3色で原稿Mを読み取るように構成されてもよい。読取部32は、原稿Mをグレースケールで読み取るように構成されてもよい。
【0023】
基準部33は、シェーディング補正用である。基準部33は、シェーディング補正に利用される。基準部33は、例えば、別の読取ユニットが有する光源31及び読取部32と対向する。基準部33には、対向する光源31から光が照射される。基準部33は、照射された光を反射する。基準部33が反射した光は、その基準部33と対向する読取部32に入射する。
【0024】
基準部33は、読取部32によって原稿Mとともに背景として読み取られる。基準部33は、読取部32が原稿Mとともに基準部33を読み取る場合に、原稿Mと基準部33とを区別できる色を呈することが好ましい。本実施形態の基準部33は、黒色である。
【0025】
画像読取装置11は、第1読取ユニット21が備える光源31及び読取部32と、第2読取ユニット22が備える基準部33と、により、原稿Mの表面の読み取りを行う。画像読取装置11は、第2読取ユニット22が備える光源31及び読取部32と、第1読取ユニット21が備える基準部33と、により、原稿Mの裏面の読み取りを行う。
【0026】
画像読取装置11は、操作部35を備えてもよい。操作部35は、例えば、筐体12に取り付けられる。操作部35は、例えば、タッチパネルである。操作部35は、ユーザーからの操作を受け付ける。操作部35は、タッチパネルに限らず、例えば、ボタン、スイッチなどでもよい。
【0027】
画像読取装置11は、例えば、画像読取装置11と通信可能に接続される端末から操作を受け付けるように構成されてもよい。端末は、例えば、ユーザーが所有するパーソナルコンピューター、スマートフォンなどである。
【0028】
画像読取装置11は、制御部37を備える。制御部37は、画像読取装置11における各機構の駆動を統括的に制御し、画像読取装置11で実行される各種動作を制御する。
制御部37は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0029】
画像読取装置11は、記憶部38を備えてもよい。記憶部38は、制御部37が有してもよい。記憶部38は、例えば、上述したRAM及びROM等のメモリーであってもよい。
【0030】
<汚れ>
図2に示すように、例えば、第1読取ユニット21及び第2読取ユニット22には、紙粉や塵埃などの異物40が付着することがある。本実施形態では、付着した異物40を汚れともいう。本実施形態では、異物40が付着した状態を汚れた状態ともいう。異物40は、光源31及び読取部32側に付着した場合も読み取りに影響する。
図2では、第2読取ユニット22の基準部33の汚れに加え、第1読取ユニット21の光源31及び読取部32側の汚れも投影して図示する。以下では、光源31及び読取部32側の汚れも、基準部33の汚れとして説明する。
【0031】
<画像読取方法>
画像読取装置11は、搬送される原稿Mの片面もしくは原稿Mの両面を読み取る。原稿Mの表面及び裏面の読み取り方法は同じである。そのため、以下では片面の読み取りについて説明する。
【0032】
図3,
図4に示すように、制御部37は、読取部32が読み取った読取データに基づいて、設定画像42及び読取画像43を生成してもよい。
図3,
図4は、
図2のように基準部33が汚れた状態で読み取りを行った場合の、設定画像42と読取画像43である。
【0033】
図3に示すように、読取画像43は、原稿領域45と、背景領域46と、汚れ領域47と、を含む。原稿領域45は、原稿Mを読み取った領域である。背景領域46は、基準部33を読み取った領域である。本実施形態の背景領域46は、黒色である。汚れ領域47は、異物40を読み取った領域である。汚れ領域47は、走査方向D2において汚れの位置に、搬送方向D1に延びる筋状に現れる。
【0034】
制御部37は、以下の(1)式に基づいて
図4に示す設定画像42を生成する。制御部37は、以下の(2)式に基づいて
図3に示す読取画像43を生成する。(1)式と(2)式は、それぞれシェーディング補正の式である。
【0035】
【0036】
制御部37は、読取データが含む画素ごとに2パターンのシェーディング補正を実行する。制御部37は、(1)式のシェーディング補正を実行してから(2)式のシェーディング補正を実行してもよいし、先に(2)式のシェーディング補正を実行してもよい。
【0037】
上記(1)式、及び(2)式の読取データは、読取部32が原稿Mを読み取ったデータである。
第1黒基準データは、光源31を点灯して読取部32が基準部33を読み取ったデータである。第1黒基準データは、汚れの影響を受けている可能性がある。
【0038】
第2黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。制御部37は、光源31を消灯し、読取部32に基準部33を読み取らせることで第2黒基準データを生成してもよい。
【0039】
制御部37は、原稿Mの読み取りの指示を受け付けると、第1黒基準データと第2黒基準データを生成してもよい。制御部37は、第1黒基準データと第2黒基準データを、原稿Mの読み取りを行う直前に生成してもよい。第1黒基準データと、第2黒基準データは、温度などの環境、及び読取部32などの経時変化などによって変化することがある。そのため、第1黒基準データと第2黒基準データの生成と、原稿Mの読み取りと、を同じ環境で行うことにより、環境が及ぼす影響を低減できる。
【0040】
第1白基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。第1白基準データは、例えば画像読取装置11の製造時に生成されたデータであって、記憶部38に記憶されていてもよい。第1白基準データは、例えば、光源31及び読取部32などが汚れる前に、光源31を点灯して読取部32が白色の白基準部材を読み取ったデータである。白基準部材は、画像読取装置11が備えてもよいし、画像読取装置11とは別に用意されてもよい。
【0041】
(1)式に示すように、制御部37は、読取データと第1黒基準データとの差と、第1白基準データと第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域45を設定する。具体的には、制御部37は、読取データから第1黒基準データを引いた値を、第1白基準データから第1黒基準データを引いた値で割る。制御部37は、算出した商に、色の階調数に応じた係数をかけることで第1結果を算出する。例えば、8ビット、256諧調の場合、制御部37は、係数として255を掛ける。
【0042】
図4に示すように、(1)式に基づいて生成される設定画像42は、原稿領域45と重なる部分の汚れ領域47は目立ちやすいのに対し、背景領域46と重なる部分の汚れ領域47は目立ちにくい。そのため、制御部37は、汚れ領域47を原稿領域45の端と誤認しにくい。制御部37は、(1)式に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域45を設定する。制御部37は、第1結果が閾値以上である場合は、原稿領域45の画素であると判定し、第1結果が閾値より小さい場合は、背景領域46の画素であると判定してもよい。
【0043】
(2)式に示すように、制御部37は、読取データと第2黒基準データとの差と、第1白基準データと第2黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から原稿領域45を切り出す。具体的には、制御部37は、読取データから第2黒基準データを引いた値を、第1白基準データから第2黒基準データを引いた値で割る。制御部37は、算出した商に、色の諧調数に応じた係数をかけることで第2結果を算出する。(2)式の係数は、(1)式の係数と同じである。制御部37は、(2)式の第2結果から読取画像43を生成してもよい。
【0044】
図3に示すように、(2)式に基づいて生成される読取画像43は、原稿領域45と重なる部分の汚れ領域47は目立ちにくいのに対し、背景領域46と重なる部分の汚れ領域47は目立ちやすい。すなわち、背景領域46と汚れ領域47は、輝度差が大きい。そのため、輝度差に基づいて原稿領域45の切り出しを行う場合、制御部37は、汚れ領域47を原稿領域45の端と誤認し、原稿領域45とは異なる領域を切り出してしまう虞がある。その点、制御部37は、第1結果に基づいて設定した原稿領域45の範囲を、第2結果である読取画像43から切り出すことで、原稿Mの画像を取得する。
【0045】
<第1実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
記憶部38は、原稿Mの表面用の第1白基準データと、原稿Mの裏面用の第1白基準データと、をそれぞれ記憶していてもよい。
【0046】
制御部37は、原稿Mの読み取り指示を受け付けると、原稿Mの先端が第1読取ユニット21及び第2読取ユニット22に到達する前に第1黒基準データと第2黒基準データを生成する。原稿Mの両面を読み取る場合、制御部37は、原稿Mの表面用の第1黒基準データ及び第2黒基準データと、原稿Mの裏面用の第1黒基準データ及び第2黒基準データをそれぞれ生成してもよい。
【0047】
制御部37は、例えば読取部32が原稿Mを1ライン分読み取る度に、読み取った読取データについて(1)式及び(2)式のシェーディング補正を行ってもよい。両面の読み取りを行う場合、制御部37は、表面と裏面の読取データに、それぞれ(1)式及び(2)式のシェーディング補正を行ってもよい。制御部37は、読取画像43から切り出した原稿領域45の画像を、傾きを補正したうえで出力してもよい。
【0048】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)第1黒基準データは、汚れの影響を受けている可能性があるデータである。第1白基準データと第1黒基準データを用いてシェーディング補正を実行することにより、原稿領域45とは異なる背景領域46において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて原稿領域45を設定することで、原稿Mの切り出し精度を向上させることができる。
【0049】
(1-2)第1白基準データと第2黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。第2黒基準データと第1白基準データを用いてシェーディング補正をすることにより、原稿領域45において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて設定された原稿領域45を、第2結果から切り出すことにより、汚れの影響が低減された画像を切り出すことができる。
【0050】
(1-3)制御部37は、原稿Mの読み取りの指示を受けてから第1黒基準データと第2黒基準データを生成する。すなわち、制御部37は、原稿Mを読み取る直前のデータを利用するため、精度の高いシェーディング補正を実行することができる。
【0051】
(1-4)制御部37は、光源31を消灯して基準部33を読み取らせることで、第2黒基準データを生成する。そのため、汚れの影響を受けていない第2黒基準データを容易に生成できる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、画像読取装置の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態は、基準部の色が第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。本実施形態の基準部33は、白色である。本実施形態の背景領域46は、白色である。
【0053】
<画像読取方法>
制御部37は、以下の(3)式に基づいて設定画像42を生成し、(4)式に基づいて読取画像43を生成する。(3)式及び(4)式は、シェーディング補正の式である。制御部37は、画素ごとに2パターンのシェーディング補正を実行する。制御部37は、(3)式のシェーディング補正を実行してから(4)式のシェーディング補正を実行してもよいし、先に(4)式のシェーディング補正を実行してもよい。
【0054】
【0055】
上記(3)式、及び(4)式の読取データは、読取部32が原稿Mを読み取ったデータである。
第1白基準データは、光源31を点灯して読取部32が基準部33を読み取ったデータである。第1白基準データは、汚れの影響を受けている可能性がある。
【0056】
第1黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。制御部37は、光源31を消灯し、読取部32に基準部33を読み取らせることで第1黒基準データを生成してもよい。
【0057】
制御部37は、原稿Mの読み取りの指示を受け付けると、第1白基準データと第1黒基準データを生成してもよい。制御部37は、第1白基準データと第1黒基準データを、原稿Mの読み取りを行う直前に生成してもよい。第1白基準データと、第1黒基準データは、温度などの環境、及び読取部32などの経時変化などによって変化することがある。そのため、第1白基準データと第1黒基準データの生成と、原稿Mの読み取りと、を同じ環境で行うことにより、環境が及ぼす影響を低減できる。
【0058】
第2白基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。第2白基準データは、例えば画像読取装置11の製造時に生成されたデータであって、記憶部38に記憶されていてもよい。第2白基準データは、例えば、光源31、読取部32、基準部33が汚れる前に、光源31を点灯して読取部32が基準部33を読み取ったデータである。
【0059】
制御部37は、記憶部38に記憶された第2白基準データを、シェーディング補正を実行する前に補正してもよい。例えば、制御部37は、原稿Mの読み取りを行う前に生成した第1白基準データの移動平均と、記憶部38が記憶する第2白基準データの移動平均の差を求める。制御部37は、算出した差をもとに、第2白基準データの全体的な高さを、第1白基準データに合わせる補正を行ってもよい。
【0060】
(3)式に示すように、制御部37は、読取データと第1黒基準データとの差と、第1白基準データと第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域45を設定する。具体的には、制御部37は、読取データから第1黒基準データを引いた値を、第1白基準データから第1黒基準データを引いた値で割る。制御部37は、算出した商に、色の諧調数に応じた係数をかけることで第1結果を算出する。
【0061】
制御部37は、(3)式に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域45を設定する。制御部37は、第1結果が閾値以下である場合は、原稿領域45の画素であると判定し、第1結果が閾値より大きい場合は、背景領域46の画素であると判定してもよい。
【0062】
(4)式に示すように、制御部37は、読取データと第1黒基準データとの差と、第2白基準データと第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から原稿領域45を切り出す。具体的には、制御部37は、読取データから第1黒基準データを引いた値を、第2白基準データから第1黒基準データを引いた値で割る。制御部37は、算出した商に、色の諧調数に応じた係数をかけることで第2結果を算出する。(4)式の係数は、(3)式と同じ値である。制御部37は、(4)式の第2結果から読取画像43を生成してもよい。制御部37は、第1結果に基づいて設定した原稿領域45の範囲を、第2結果である読取画像43から切り出すことで、原稿Mの画像を取得する。
【0063】
<第2実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
記憶部38は、原稿Mの表面用の第2白基準データと、原稿Mの裏面用の第2白基準データと、をそれぞれ記憶していてもよい。
【0064】
制御部37は、原稿Mの読み取り指示を受け付けると、原稿Mの先端が第1読取ユニット21及び第2読取ユニット22に到達する前に第1白基準データと第1黒基準データを生成する。原稿Mの両面を読み取る場合、制御部37は、原稿Mの表面用の第1白基準データ及び第1黒基準データと、原稿Mの裏面用の第1白基準データ及び第1黒基準データをそれぞれ生成してもよい。
【0065】
制御部37は、例えば読取部32が原稿Mを1ライン分読み取る度に、読み取った読取データについて(3)式及び(4)式のシェーディング補正を行ってもよい。両面の読み取りを行う場合、制御部37は、表面と裏面の読取データに、それぞれ(3)式及び(4)式のシェーディング補正を行ってもよい。制御部37は、読取画像43から切り出した原稿領域45の画像を、傾きを補正したうえで出力してもよい。
【0066】
<第2実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(2-1)第1白基準データは、汚れの影響を受けている可能性があるデータである。第1白基準データと第1黒基準データを用いてシェーディング補正を実行することにより、原稿領域45とは異なる背景領域46において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて原稿領域45を設定することで、原稿Mの切り出し精度を向上させることができる。
【0067】
(2-2)第2白基準データと第1黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。第2白基準データと第1黒基準データを用いてシェーディング補正をすることにより、原稿領域45において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて設定された原稿領域45を、第2結果から切り出すことにより、汚れの影響が低減された画像を切り出すことができる。
【0068】
(2-3)制御部37は、原稿Mの読み取りの指示を受けてから第1白基準データと第1黒基準データを生成する。すなわち、制御部37は、原稿Mを読み取る直前のデータを利用するため、精度の高いシェーディング補正を実行することができる。
【0069】
(2-4)第2白基準データは、製造時に生成されたデータである。記憶部38は、第2白基準データを記憶する。そのため、制御部37は、汚れの影響を受けていない第2白基準データを利用して容易にシェーディング補正を実行することができる。
【0070】
(2-5)制御部37は、補正した第2白基準データを用いてシェーディング補正を実行する。そのため、例えば製造時の環境と使用時の環境が異なる場合でも、環境による影響を低減できる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、画像読取装置の第3実施形態について説明する。なお、この第3実施形態は、基準部の色が第2実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第2実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。本実施形態の基準部33は、グレーである。本実施形態の背景領域46は、グレーである。
【0072】
<画像読取方法>
制御部37は、第2実施形態と同様に、(3)式に基づいて設定画像42を生成し、(4)式に基づいて読取画像43を生成する。
【0073】
読取データ、第1黒基準データ、及び第2白基準データは、第2実施形態と同様のデータである。すなわち、第1黒基準データは、光源31を消灯して読取部32が基準部33を読み取った、汚れの影響を受けていないデータである。制御部37は、記憶部38に記憶された第2白基準データを補正してから、シェーディング補正を実行してもよい。
【0074】
第1白基準データは、光源31を点灯して読取部32が基準部33を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータに、白色と基準部33の色の比を掛けたデータである。制御部37は、読取部32が読み取ったデータに、白色の輝度値を基準部33の色の輝度値で割った商を掛けることで、第1白基準データを生成してもよい。白色と基準部33の色の比は、例えば記憶部38が記憶していてもよい。制御部37は、原稿Mの読み取りの指示を受け付けると、第1白基準データと第1黒基準データを生成してもよい。
【0075】
制御部37は、(3)式に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域45を設定する。制御部37は、複数の閾値に基づいて原稿領域45を設定してもよい。例えば、第1閾値は、第2閾値より大きい。制御部37は、第1結果が第1閾値以上、もしくは第2閾値以下の場合、原稿領域45の画素であると判定してもよい。制御部37は、第1結果が第1閾値より小さく、且つ第2閾値より大きい場合、背景領域46の画素であると判定してもよい。
【0076】
(4)式に示すように、制御部37は、読取データと第1黒基準データとの差と、第2白基準データと第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から原稿領域45を切り出す。すなわち、制御部37は、第1結果に基づいて設定した原稿領域45の範囲を、読取画像43から切り出す。
【0077】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
・画像読取装置11は、色の異なる複数の基準部33を備えてもよい。画像読取装置11は、読み取る原稿Mに合わせて基準部33を変更可能であってもよい。制御部37は、基準部33の色に合わせてシェーディング補正を行う式を選択してもよい。
【0079】
・制御部37は、設定画像42の生成を行わなくてもよい。制御部37は、設定画像42の元データである複数の第1結果から、原稿領域45を設定してもよい。
・原稿Mの両面の読取を行う場合、制御部37は、一方の面で設定した原稿領域45に基づいて、他方の面の切り出しを行ってもよい。例えば、制御部37は、表面を読み取った読取データを用いて(1)式もしくは(3)式のシェーディング補正を行うことで、原稿領域45を設定してもよい。制御部37は、裏面を読み取った読取データでは、(1)式もしくは(3)式のシェーディング補正は行わず、表面の原稿領域45を反転させた範囲を、裏面側の原稿領域45として設定してもよい。
【0080】
・第1実施形態において、制御部37は、記憶部38に記憶された第1白基準データを、例えば第2実施形態の第2白基準データのように、補正してからシェーディング補正を実行してもよい。
【0081】
・第2実施形態及び第3実施形態において、制御部37は、第2白基準データの補正を行わなくてもよい。制御部37は、記憶部38に記憶された第2白基準データを、そのままシェーディング補正に使用してもよい。
【0082】
・記憶部38は、画像読取装置11とは別の装置が備えていてもよい。例えば、制御部37は、画像読取装置11と通信可能に接続されたパーソナルコンピューター、スマートフォンなどの端末から、第1白基準データもしくは第2白基準データを取得してもよい。制御部37は、例えばネットワークを経由して、サーバーから第1白基準データもしくは第2白基準データを取得してもよい。
【0083】
・第1実施形態において、制御部37は、第1黒基準データと第2黒基準データの少なくとも一方を生成してもよい。第2実施形態、第3実施形態において、制御部37は、第1白基準データと第1黒基準データの少なくとも一方を生成してもよい。制御部37は、これらのデータの生成を、例えば画像読取装置11の電源が投入されたタイミング、電源が遮断されたタイミングなどに行ってもよい。
【0084】
・第1実施形態において、記憶部38は、第1黒基準データと第2黒基準データのうち少なくとも一方を記憶していてもよい。
・第2実施形態、第3実施形態において、記憶部38は、第1白基準データと第1黒基準データのうち少なくとも一方を記憶していてもよい。
【0085】
・第1実施形態において、制御部37は、(1)式のシェーディング補正を事項した第1結果に基づいて原稿領域45を設定し、原稿領域45に相当する読取データに対して(2)式のシェーディング補正を実行して原稿領域45の画像を生成してもよい。すなわち、制御部37は、原稿領域45を切り出した後、シェーディング補正を実行してもよい。第2実施形態及び第3実施形態も同様に、背景領域46に相当する読取データは、(2)式のシューディング補正を実行しなくてもよい。
【0086】
・画像読取装置11は、原稿Mの片面の読み取りを行う装置であってもよい。画像読取装置11は、光源31と、読取部32と、基準部33と、を1つずつ備えてもよい。
・画像読取装置11は、色紙、カラー用紙、コピー用紙などの原稿Mの読み取りを行ってもよい。
【0087】
・画像読取装置11は、プリンターなどの記録装置に搭載されてもよい。
・画像読取装置11は、読取部32が読み取った読取データを、パーソナルコンピューター、スマートフォンなどの外部装置に出力してもよい。(1)式又は(3)式のシェーディング補正の実行、及び第1結果に基づく原稿領域45の設定は、外部装置が行ってもよい。(2)式又は(4)式のシェーディング補正の実行、及び第2結果からの原稿領域45の切り出しは、外部装置が行ってもよい。
【0088】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0089】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0090】
(A)画像読取装置は、光を照射する光源と、シェーディング補正用の基準部と、原稿を読み取って読取データを出力する読取部と、制御部と、を備え、第1黒基準データと第1白基準データの一方は、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、前記制御部は、前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、前記第1白基準データと前記第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定する。
【0091】
この構成によれば、第1黒基準データと第1白基準データの一方は、汚れの影響を受けている可能性があるデータである。第1黒基準データと第1白基準データを用いてシェーディング補正を実行することにより、原稿領域とは異なる背景領域において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて原稿領域を設定することで、原稿の切り出し精度を向上させることができる。
【0092】
(B)画像読取装置において、前記基準部は、黒色であり、前記第1黒基準データは、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、前記第1白基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、第2黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、前記制御部は、前記読取データと前記第2黒基準データとの差と、前記第1白基準データと前記第2黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から前記原稿領域を切り出してもよい。
【0093】
この構成によれば、第1白基準データと第2黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。第1白基準データと第2黒基準データを用いてシェーディング補正をすることにより、原稿領域において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて設定された原稿領域を、第2結果から切り出すことにより、汚れの影響が低減された画像を切り出すことができる。
【0094】
(C)画像読取装置において、前記制御部は、前記原稿の読み取りの指示を受け付けると、前記第1黒基準データと前記第2黒基準データを生成してもよい。
この構成によれば、制御部は、原稿の読み取りの指示を受けてから第1黒基準データと第2黒基準データを生成する。すなわち、制御部は、原稿を読み取る直前のデータを利用するため、精度の高いシェーディング補正を実行することができる。
【0095】
(D)画像読取装置において、前記制御部は、前記光源を消灯し、前記読取部に前記基準部を読み取らせることで前記第2黒基準データを生成してもよい。
この構成によれば、制御部は、光源を消灯して基準部を読み取らせることで、第2黒基準データを生成する。そのため、汚れの影響を受けていない第2黒基準データを容易に生成できる。
【0096】
(E)画像読取装置において、前記基準部は、白色であり、前記第1白基準データは、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、前記第1黒基準データは、前記光源を消灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けていないデータであり、第2白基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、前記制御部は、前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、前記第2白基準データと前記第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から前記原稿領域を切り出してもよい。
【0097】
この構成によれば、第2白基準データと第1黒基準データは、汚れの影響を受けていないデータである。第2白基準データと第1黒基準データを用いてシェーディング補正をすることにより、原稿領域において、汚れの影響を低減できる。したがって、第1結果に基づいて設定された原稿領域を、第2結果から切り出すことにより、汚れの影響が低減された画像を切り出すことができる。
【0098】
(F)画像読取装置において、前記制御部は、前記原稿の読み取りの指示を受け付けると、前記第1白基準データと前記第1黒基準データを生成してもよい。
この構成によれば、制御部は、原稿の読み取りの指示を受けてから第1白基準データと第1黒基準データを生成する。すなわち、制御部は、原稿を読み取る直前のデータを利用するため、精度の高いシェーディング補正を実行することができる。
【0099】
(G)画像読取装置において、前記基準部の色は、グレーであり、前記第1白基準データは、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータに、白色と前記基準部の色の比を掛けたデータであり、前記第1黒基準データは、前記光源を消灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けていないデータであり、第2白基準データは、汚れの影響を受けていないデータであり、前記制御部は、前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、前記第2白基準データと前記第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第2結果から前記原稿領域を切り出してもよい。この構成によれば、上記画像読取装置と同様の効果を奏することができる。
【0100】
(H)画像読取装置において、前記制御部は、前記原稿の読み取りの指示を受け付けると、前記第1白基準データと前記第1黒基準データを生成してもよい。
この構成によれば、上記画像読取装置と同様の効果を奏することができる。
【0101】
(I)画像読取装置は、前記画像読取装置の製造時に生成された前記第2白基準データを記憶する記憶部を備えてもよい。
この構成によれば、第2白基準データは、製造時に生成されたデータである。記憶部は、第2白基準データを記憶する。そのため、制御部は、汚れの影響を受けていない第2白基準データを利用して容易にシェーディング補正を実行することができる。
【0102】
(J)画像読取装置において、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記第2白基準データを、シェーディング補正を実行する前に補正してもよい。
この構成によれば、制御部は、補正した第2白基準データを用いてシェーディング補正を実行する。そのため、例えば製造時の環境と使用時の環境が異なる場合でも、環境による影響を低減できる。
【0103】
(K)画像読取方法は、光を照射する光源と、シェーディング補正用の基準部と、原稿を読み取って読取データを出力する読取部と、を備える画像読取装置の画像読取方法であって、第1黒基準データと第1白基準データの一方は、前記光源を点灯して前記読取部が前記基準部を読み取った、汚れの影響を受けている可能性があるデータであり、前記読取データと前記第1黒基準データとの差と、前記第1白基準データと前記第1黒基準データとの差と、に基づいてシェーディング補正を実行した第1結果に基づいて原稿領域を設定する。
【0104】
この方法によれば、上記画像読取装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0105】
11…画像読取装置、12…筐体、13…支持部、14…供給口、15…排出口、16…搬送経路、18…供給トレイ、19…給送部、20…搬送部、21…第1読取ユニット、22…第2読取ユニット、23…排出トレイ、25…給送ローラー、26…分離部、28…ローラー対、31…光源、32…読取部、33…基準部、35…操作部、37…制御部、38…記憶部、40…異物、42…設定画像、43…読取画像、45…原稿領域、46…背景領域、47…汚れ領域、D1…搬送方向、D2…走査方向、M…原稿。