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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121177
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】シート製造装置、及び風量調整装置
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/732 20120101AFI20240830BHJP
   B65G 53/04 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
D04H1/732
B65G53/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028138
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智皓
(72)【発明者】
【氏名】田中 博
(72)【発明者】
【氏名】阿南 彰
(72)【発明者】
【氏名】渡部 学
【テーマコード(参考)】
3F047
4L047
【Fターム(参考)】
3F047AA13
3F047AB06
3F047CA02
3F047CA10
4L047AA18
4L047AB02
4L047AB06
4L047EA03
(57)【要約】
【課題】小型化することが可能なシート製造装置、及び風量調整装置を提供する。
【解決手段】外筒312と、外筒312の内側に配置された内筒313と、内筒313の中に配置され、内筒313を流れる空気Eの風量を測定する風量センサー400と、外筒312の下流側に配置され、内筒313を流れる空気Eの風量を調整するブロアー部320と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と、
前記第1配管の内側に配置された第2配管と、
前記第2配管の中に配置され、前記第2配管を流れる空気の風量を測定する風量検出部と、
前記第1配管の下流側に配置され、前記第2配管を流れる前記空気の風量を調整するブロアー部と、
を備える、シート製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート製造装置であって、
前記第2配管は、前記空気が流れる第1貫通部を有し、
前記第2配管の一部分に、前記第1貫通部の直径よりも小さい直径となる絞り部を有する、シート製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート製造装置であって、
前記絞り部は、前記第2配管の下流側に配置されている、シート製造装置。
【請求項4】
請求項2に記載のシート製造装置であって、
前記絞り部は、前記第2配管の下流側に向かって直径が小さくなるテーパー形状を有する、シート製造装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシート製造装置であって、
制御部を備え、
前記制御部は、前記風量検出部によって検出された風量に応じて、前記ブロアー部の回転速度を制御する、シート製造装置。
【請求項6】
第1配管と、
前記第1配管の内側に配置された第2配管と、
前記第2配管の中に配置され、前記第2配管を流れる空気の風量を測定する風量検出部と、
を備える、風量調整装置。
【請求項7】
請求項6に記載の風量調整装置であって、
前記第2配管は、前記空気が流れる第1貫通部を有し、
前記第2配管の一部分に、前記第1貫通部の直径よりも小さい直径となる絞り部を有する、風量調整装置。
【請求項8】
請求項7に記載の風量調整装置であって、
前記絞り部は、前記第2配管の下流側に配置されている、風量調整装置。
【請求項9】
請求項7に記載の風量調整装置であって、
前記絞り部は、前記第2配管の下流側に向かって直径が小さくなるテーパー形状を有する、風量調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置、及び風量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ダクトの中に風受け板を備え、風受け板の傾斜角から風量が換算される、風量計の構造が開示されている。風量計の上流側には、被測定物の遠心ファンが取り付けられ、風量計によってファン単体の風量が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-38714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、風受け板に風を当てる方式であり、比較的大きな風量損失を生じることから、風量計の計測可能な風量を確保するために、ダクトの径を小さくすることが難しく、風量計を小型化できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
シート製造装置は、第1配管と、前記第1配管の内側に配置された第2配管と、前記第2配管の中に配置され、前記第2配管を流れる空気の風量を測定する風量検出部と、前記第1配管の下流側に配置され、前記第2配管を流れる前記空気の風量を調整するブロアー部と、を備える。
【0006】
風量調整装置は、第1配管と、前記第1配管の内側に配置された第2配管と、前記第2配管の中に配置され、前記第2配管を流れる空気の風量を測定する風量検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シート製造装置の構成を示す断面図。
図2】シート製造装置の構成を示す模式図。
図3】整流器の構成を示す断面図。
図4】シート製造装置の電気的な構成を示すブロック図。
図5】シート製造装置の製造方法を示すフローチャート。
図6】変形例の整流器の構成を示す断面図。
図7】変形例の整流器の構成を示す断面図。
図8】変形例の整流器の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、図1及び図2を参照しながら、シート製造装置1000の構成を説明する。
【0009】
図1に示すように、シート製造装置1000は、例えば、原料としての機密紙などの使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料に、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3のオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
【0010】
シート製造装置1000は、基体100と、基体100の上に配置された集塵部200と、集塵部200の上に配置された捕集部300と、を備えている。
【0011】
集塵部200は、解繊物の一部に含まれる粉塵粒などを捕集するファイルター210を備えている。捕集部300は、フィルター210を通過した空気が流れる風量調整装置としての整流器310と、粉塵粒などをフィルター210に通過させるために空気を吸引するブロアー部320と、を備えている。
【0012】
図2に示すように、シート製造装置1000は、供給部10と、粗砕部12と、解繊部20と、選別部40と、第1ウエブ形成部45と、回転体49と、混合部50と、堆積部60と、第2ウエブ形成部70と、搬送部78と、水分付与部79と、加圧部80と、切断部90と、を備えている。
【0013】
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。供給部10は、例えば、粗砕部12に原料を連続的に投入するための自動投入部である。供給部10によって供給される原料は、各種繊維を含む材料である。
【0014】
繊維としては、特に限定されず、広範な繊維材料を用いることができる。繊維としては、天然繊維(動物繊維、植物繊維)、化学繊維(有機繊維、無機繊維、有機無機複合繊維)などを例示できる。繊維は、更に詳しくは、セルロース、絹、羊毛、綿、大麻、ケナフ、亜麻、ラミー、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、針葉樹、広葉樹等からなる繊維等が挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよいし、精製などを行った再生繊維として用いてもよい。
【0015】
繊維の原料としては、例えば、パルプ、古紙、古布等が挙げられる。また、繊維は、各種の表面処理がされていてもよい。また、繊維の材質は、純物質であってもよいし、不純物及びその他の成分など、複数の成分を含む材質であってもよい。また、繊維として、古紙やパルプシートなどを乾式で解繊した解繊物を用いてもよい。
【0016】
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を、大気中等の気中で裁断して細片にする。細片の形状や大きさは、例えば、数cm角の細片である。図示の例では、粗砕部12は、粗砕刃14を有し、粗砕刃14によって、投入された原料を裁断することができる。粗砕部12としては、例えば、シュレッダーを用いる。粗砕部12によって裁断された原料は、ホッパー1で受けてから管2を介して、解繊部20に移送される。
【0017】
解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料を解繊する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
【0018】
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止材、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態、すなわちダマを形成している状態で存在してもよい。
【0019】
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。解繊部20としては、例えば、インペラーミルを用いる。解繊部20は、原料を吸引し、解繊物を排出するような気流を発生させる機能を有している。これにより、解繊部20は、自ら発生する気流によって、導入口22から原料を気流と共に吸引し、解繊処理して、解繊物を排出口24へと搬送することができる。解繊部20を通過した解繊物は、管3を介して、選別部40に移送される。なお、解繊部20から選別部40に解繊物を搬送させるための気流は、解繊部20が発生させる気流を利用してもよいし、ブロアー等の気流発生装置を設け、その気流を利用してもよい。
【0020】
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物を導入口42から導入し、繊維の長さによって選別する。選別部40は、例えば、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有している。ドラム部41としては、例えば、篩を用いる。ドラム部41は、網を有し、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子、すなわち網を通過する第1選別物と、網の目開きの大きさより大きい繊維や未解繊片やダマ、すなわち網を通過しない第2選別物と、を分けることができる。例えば、第1選別物は、管7を介して、堆積部60に移送される。第2選別物は、排出口44から管8を介して、解繊部20に戻される。具体的には、ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いる。
【0021】
第1ウエブ形成部45は、選別部40を通過した第1選別物を、管7に搬送する。第1ウエブ形成部45は、例えば、メッシュベルト46と、張架ローラー47と、サクション機構48と、を有している。
【0022】
サクション機構48は、選別部40の開口を通過して空気中に分散された第1選別物をメッシュベルト46上に吸引することができる。第1選別物は、移動するメッシュベルト46上に堆積し、ウエブVを形成する。
【0023】
メッシュベルト46には、選別部40の開口を通過した通過物が堆積される。メッシュベルト46は、張架ローラー47によって張架され、通過物を通し難く空気を通す構成となっている。メッシュベルト46は、張架ローラー47が自転することによって移動する。メッシュベルト46が連続的に移動しながら、選別部40を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、メッシュベルト46上にウエブVが形成される。
【0024】
サクション機構48は、メッシュベルト46の下方に設けられている。サクション機構48は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構48によって、選別部40により空気中に分散された通過物をメッシュベルト46上に吸引することができる。これにより、選別部40からの排出速度を大きくすることができる。
【0025】
ウエブVは、選別部40及び第1ウエブ形成部45を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態に形成される。メッシュベルト46に堆積されたウエブVは、管7へ投入され、堆積部60へと搬送される。
【0026】
選別部40及び後述する堆積部60は、フィルター210を有する集塵部200、及び、整流器310を有する捕集部300と接続されている。捕集部300は、ブロアー部320と接続されている。整流器310及びブロアー部320の詳細な説明は後述する。
【0027】
回転体49は、ウエブVを切断することができる。図示の例では、回転体49は、基部49aと、基部49aから突出している突部49bと、を有している。突部49bは、例えば、板状の形状を有している。図示の例では、突部49bは4つ設けられ、4つの突部49bが等間隔に設けられている。基部49aが方向Rに回転することにより、突部49bは、基部49aを軸として回転することができる。回転体49によってウエブVを切断することにより、例えば、堆積部60に供給される単位時間当たりの解繊物の量の変動を小さくすることができる。
【0028】
混合部50は、例えば、選別部40を通過した第1選別物と、結着剤と、を混合する。混合部50は、例えば、結着剤を供給する結着剤供給部52と、第1選別物と結着剤とを搬送する管54と、ブロアー56と、を有している。図示の例では、結着剤は、結着剤供給部52からホッパー9を介して管54に供給される。管54は、管7と連続している。
【0029】
混合部50では、ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、第1選別物と結着剤とを混合させながら、搬送することができる。なお、第1選別物と結着剤とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよい。
【0030】
結着剤供給部52としては、スクリューフィーダーや、ディスクフィーダーなどを用いる。結着剤供給部52から供給される結着剤は、例えば、澱粉またはデキストリンである。澱粉は、複数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した高分子である。澱粉は、直鎖状であってもよいし、分岐を含んでもよい。
【0031】
なお、結着剤供給部52では、結着剤に加え、製造される繊維体Sの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や結着剤の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃え難くするための難燃剤が含まれていてもよい。混合部50を通過した混合物は、管54を介して、堆積部60に移送される。
【0032】
堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。これにより、堆積部60は、第2ウエブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
【0033】
堆積部60は、例えば、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有している。ドラム部61としては、回転する円筒の篩を用いる。ドラム部61は、網を有し、混合部50を通過した混合物に含まれる、網の目開きの大きさより小さい繊維又は粒子を降らせる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
【0034】
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
【0035】
第2ウエブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、ウエブWを形成する。第2ウエブ形成部70は、例えば、第1搬送ベルトとしての第1メッシュベルト72と、張架ローラー74と、サクション機構76と、を有している。
【0036】
第1メッシュベルト72には、堆積部60の開口を通過した通過物が堆積される。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74によって張架され、通過物を通し難く空気を通す構成となっている。第1メッシュベルト72は、張架ローラー74が自転することによって移動する。第1メッシュベルト72が連続的に移動しながら、堆積部60を通過した通過物が連続的に降り積もることにより、第1メッシュベルト72上にウエブWが形成される。
【0037】
サクション機構76は、第1メッシュベルト72の下方に設けられている。サクション機構76は、下方に向く気流を発生させることができる。サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物を第1メッシュベルト72上に吸引することができる。これにより、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や結着剤が絡み合うことを防ぐことができる。
【0038】
以上のように、堆積部60及び第2ウエブ形成部70を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態のウエブWが形成される。
【0039】
第1メッシュベルト72上におけるウエブWの搬送方向の下流側には搬送部78が配置される。搬送部78は、第1メッシュベルト72上のウエブWを、第1メッシュベルト72から剥がして加圧部80に向けて搬送する。図2に示すように、搬送部78は、第2搬送ベルトとしての第2メッシュベルト78aと、ローラー78bと、サクション機構78cと、を有する。第2メッシュベルト78aは、ローラー78bによって張架され、空気を通す構成となっている。第2メッシュベルト78aは、ローラー78bの自転により移動可能に構成される。サクション機構78cは、第2メッシュベルト78aを挟んでウエブWに対して対向する位置に配置される。サクション機構78cは、ブロアーを備え、ブロアーの吸引力によって第2メッシュベルト78aに上向きの気流を発生させる。この気流によってウエブWを吸引する。
【0040】
これにより、ウエブWの一方の面を第1メッシュベルト72から剥がし、第1メッシュベルト72から剥がされた一方の面の反対面である他方の面を、第2メッシュベルト78aに吸着させることができる。第2メッシュベルト78aに吸着したウエブWは、第2メッシュベルト78aに接触した状態で搬送される。
【0041】
搬送部78の下方には水分付与部79が配置される。水分付与部79は、第2メッシュベルト78aに接触しているウエブWの第1面Waに向けて水分を付与する。水分付与部79では、水分としては、例えば、水蒸気又はミストをウエブWに付与する。これにより、ウエブWに均一に水分を付与することができる。
【0042】
搬送部78及び水分付与部79の下流には加圧部80が配置される。水分が付与されたウエブWは、加圧部80へと搬送される。
【0043】
加圧部80は、水分が付与され、第2メッシュベルト78aから剥がされたウエブWを加圧する。本実施形態の加圧部80は、水分が付与されたウエブWを加圧すると同時に加熱する。これにより、ウエブWに含まれる水分が温度上昇した後に蒸発するとともに、ウエブWの厚さが薄くなって繊維密度が高められる。熱により水分と結着剤が温度上昇し、圧力により繊維密度が高まることにより、結着剤が糊化し、その後水分が蒸発することにより糊化した結着剤を介して複数の繊維同士が結着する。さらに、熱により水分が蒸発し、圧力により繊維密度が高まることにより、水素結合によって複数の繊維が結着する。これにより、機械的強度がより良好なシート状の繊維体Sを形成することができる。
【0044】
本実施形態の加圧部80は、ウエブWを加圧加熱する加圧加熱部84を有している。加圧加熱部84は、例えば、加熱ローラー、熱プレス成形機を用いて構成できる。図示の例では、加圧加熱部84は、一対の加熱ローラー86である。なお、加熱ローラー86の数は、特に限定されない。加圧加熱部84により、ウエブWに対して加圧及び加熱を同時に行うことができる。また、シート製造装置1000の構成を簡素化できる。
【0045】
切断部90は、加圧部80によって成形された繊維体Sを切断する。図示の例では、切断部90は、繊維体Sの搬送方向と交差する方向に繊維体Sを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向に繊維体Sを切断する第2切断部94と、を有している。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過した繊維体Sを切断する。以上により、所定のサイズの単票の繊維体Sが成形される。切断された単票の繊維体Sは、排出受け部96に排出される。
【0046】
次に、図3を参照しながら、整流器310の構成を説明する。
【0047】
図3に示すように、整流器310は、筐体311と、筐体311の内側に配置された第1配管としての外筒312と、外筒312の内側に配置された第2配管としての内筒313と、内筒313の中に配置された風量検出部としての風量センサー400と、を備えている。整流器310、即ち、外筒312の下流側には、内筒313を流れる空気Eの風量を調整するブロアー部320が配置されている。
【0048】
整流器310は、集塵部200のフィルター210が目詰まりしにくいように、外筒312及び内筒313を流れる空気Eの風量が一定になるように調整する。即ち、整流器310は、フィルター210を流れる風量が一定になるように調整する。また、整流器310を流れる空気Eは、ブロアー部320の回転数を制御することにより、整流器310を流れる空気Eの風量を調整し、風量センサー400が検出可能な大きさの風量になるように調整される。整流器310の下流側には、空気を吸引するブロアー部320が配置されている。
【0049】
内筒313には、空気Eが流れる貫通孔である第1貫通部313aが設けられている。また、内筒313の下流側には、第1貫通部313aの直径よりも小さい直径となる絞り部314が設けられている。
【0050】
絞り部314は、内筒313における下流側に向かって徐々に直径が小さくなるテーパー形状を有する。このように、絞り部314がテーパー形状になっているので、気流を大きく乱すことなく、安定した状態で空気Eを下流側に流すことができる。また、内筒313の下流側に絞り部314が形成されているので、内筒313を流れる空気Eの風量を安定した状態にすることが可能となり、風量センサー400の検出精度を向上させることができる。
【0051】
また、内筒313に絞り部314を有するので、乱流の発生を抑え、内筒313を流れる空気Eの風量を調整することが可能となり、風量センサー400の検出可能範囲の風量にすることができる。更に、絞り部314を有するので、風量センサー400の周辺の風速がばらつくことを抑えることが可能となり、安定した検出精度を得ることができる。
【0052】
風量センサー400は、内筒313の第1貫通部313aの略中央に取り付けられている。風量センサー400は、例えば、圧力センサーであり、フィルター210によって浄化された空気Eの出口側の圧力を検出する。なお、風量センサー400は、気流の安定した箇所に取り付けられていることが望ましく、例えば、絞り部314と離れている部分に配置されていることが好ましい。
【0053】
以上のように、風量センサー400によって内筒313を流れる空気Eの風量を測定するので、例えば、空気Eの大半を当てて検出するタイプの風量センサーと比較して、風量を検出するために空気Eと接触させる部分を少なくすることができる。よって、外筒312及び内筒313の直径を小さくしても、風量センサー400が検出できる風量を確保することが可能となり、整流器310、言い換えれば、シート製造装置1000を小型化することができる。
【0054】
上記したような整流器310をシート製造装置1000に適用することにより、内筒313の第1貫通部313aの直径D1(図3参照)を、従来125mm程度であったものが、本実施形態では44mm程度に小さくすることができる。なお、内筒313の外径D2(図3参照)は、本実施形態では、74mm程度である。
【0055】
次に、図4を参照しながら、シート製造装置1000の制御部500の構成について説明する。なお、図4では、整流器310を含む捕集部300に関する部分を中心に説明する。
【0056】
図4に示すように、制御部500は、風量センサー400及びブロアー部320と接続されており、記憶部510と、演算部520と、を備えている。
【0057】
記憶部510は、ROMやRAMを備え、各種プログラムや命令機能が記憶されている。記憶部510は、例えば、風量センサー400が検出した風量と、ブロアー部320の回転数と、が対応付けられて記憶されている。また、記憶部510は、風量センサー400の適正値が記憶されている。
【0058】
演算部520は、風量センサー400が検出した風量に基づいて、風量が適正な値となるように、ブロアー部320の回転数をいくつにすべきか演算処理する。
【0059】
制御部500は、記憶部510に記憶されたプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、ブロアー部320の回転数を制御する。そして、整流器310を流れる空気の風量が、適正な風量になるように演算処理する。
【0060】
次に、図5を参照しながら、シート製造装置1000における捕集部300に関わる処理方法について説明する。
【0061】
図5に示すように、ステップS11では、制御部500は、図示しない比較部に、風量センサー400が検出した風量と、記憶部510に記憶された適正な風量と、を比較させる。適正な風量であれば、ステップS12に処理を移行する。過剰な風量であれば、ステップS13に処理を移行する。足りない風量であれば、ステップS14に処理を移行する。
【0062】
ステップS12では、風量センサー400の風量が適正であると判断されたため、制御部500は、ブロアー部320の回転数を変化させない、即ち、回転数を維持する。
【0063】
ステップS13では、風量センサー400の風量が過剰である、即ち、ブロアー部320の回転数が大きいと判断されたため、制御部500は、演算部520に、検出した風量に基づいて、適正なブロアー部320の回転数を演算させる。そして、制御部500は、ブロアー部320の回転数を制御する。その結果、風量センサー400は、適正な風量を検出することができる。
【0064】
ステップS14では、風量センサー400の風量が不足している、即ち、ブロアー部320の回転数が小さいと判断されたため、制御部500は、演算部520に、検出した風量に基づいて、適正なブロアー部320の回転数を演算させる。そして、制御部500は、ブロアー部320の回転数を制御する。その結果、風量センサー400は、適正な風量を検出することができる。
【0065】
以上述べたように、本実施形態のシート製造装置1000は、外筒312と、外筒312の内側に配置された内筒313と、内筒313の中に配置され、内筒313を流れる空気Eの風量を測定する風量センサー400と、外筒312の下流側に配置され、内筒313を流れる空気Eの風量を調整するブロアー部320と、を備える。
【0066】
この構成によれば、風量センサー400によって内筒313を流れる空気の風量を測定するので、例えば、風量を検出するために流れる空気と接触させる部分を少なくすることができる。よって、外筒312及び内筒313の直径を小さくしても、風量センサー400が検出できる風量を確保することが可能となり、風量を調整する部分である、例えば、整流器310を小型化することができる。加えて、ブロアー部320の上流では乱流が少ないので、整流器310の中で風量センサー400を安定して用いることができる。
【0067】
また、本実施形態のシート製造装置1000において、内筒313は、空気が流れる第1貫通部313aを有し、内筒313の一部分に、第1貫通部313aの直径よりも小さい直径となる絞り部314を有することが好ましい。この構成によれば、内筒313に絞り部314を有するので、内筒313を流れる空気の風量を調整することが可能となり、風量センサー400の検出可能範囲の風量に調整することができる。更に、絞り部314を有するので、風量センサー400の周辺の風速がばらつくことを抑えることが可能となり、安定した検出精度を得ることができる。
【0068】
また、本実施形態のシート製造装置1000において、絞り部314は、内筒313の下流側に配置されていることが好ましい。この構成によれば、内筒313の下流側に絞り部314が配置されているので、内筒313を流れる空気Eの風量を安定した状態にすることが可能となり、風量センサー400の検出精度を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態のシート製造装置1000において、絞り部314は、内筒313の下流側に向かって直径が小さくなるテーパー形状を有することが好ましい。この構成によれば、絞り部314がテーパー形状になっているので、安定した気流で空気を下流側に流すことができる。
【0070】
また、本実施形態のシート製造装置1000において、制御部500を備え、制御部500は、風量センサー400によって検出された風量に応じて、ブロアー部320の回転速度を制御することが好ましい。この構成によれば、制御部500によって、ブロアー部320の回転速度を制御するので、内筒313を流れる空気Eの風量を所定の風量にすることができる。
【0071】
また、本実施形態の整流器310は、外筒312と、外筒312の内側に配置された内筒313と、内筒313の中に配置され、内筒313を流れる空気Eの風量を測定する風量センサー400と、を備える。この構成によれば、風量センサー400によって内筒313を流れる空気Eの風量を測定するので、例えば、風量を検出するために空気Eと接触させる部分を少なくすることができる。よって、外筒312及び内筒313の直径を小さくしても、風量センサー400が検出できる風量を確保することが可能となり、整流器310を小型化することができる。
【0072】
また、本実施形態の整流器310において、内筒313は、空気Eが流れる第1貫通部313aを有し、内筒313の一部分に、第1貫通部313aの直径よりも小さい直径となる絞り部314を有することが好ましい。この構成によれば、内筒313に絞り部314を有するので、内筒313を流れる空気Eの風量を調整することが可能となり、風量センサー400の検出可能範囲の風量にすることができる。更に、絞り部314を有するので、風量センサー400の周辺の風速がばらつくことを抑えることが可能となり、安定した検出精度を得ることができる。
【0073】
また、本実施形態の整流器310において、絞り部314は、内筒313の下流側に配置されていることが好ましい。この構成によれば、内筒313の下流側に絞り部314が配置されているので、内筒313を流れる空気Eの風量を安定した状態にすることが可能となり、風量センサー400の検出精度を向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態の整流器310において、絞り部314は、内筒313の下流側に向かって直径が小さくなるテーパー形状を有することが好ましい。この構成によれば、絞り部314がテーパー形状になっているので、安定した状態で空気Eを下流側に流すことができる。
【0075】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0076】
上記したように、内筒313の下流側、即ち、空気Eの排気側に絞り部314が設けられていることに限定されず、図6図8に示すように構成してもよい。
【0077】
図6に示す変形例の整流器310Aは、内筒313Aの上流側、即ち、空気Eの吸気側に絞り部314Aが設けられている。
【0078】
図7に示す変形例の整流器310Bは、内筒313Bの吸気側と排気側との両方に絞り部314A,314Bが設けられている。
【0079】
図8に示す変形例の整流器310Cは、内筒313Cの吸気側と排気側との略中間に絞り部314Cが設けられている。なお、風量センサー400は、内筒313Cの排気側に配置されている。
【符号の説明】
【0080】
10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、24…排出口、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウエブ形成部、46…メッシュベルト、47…張架ローラー、48…サクション機構、49…回転体、49a…基部、49b…突部、50…混合部、52…結着剤供給部、54…管、56…ブロアー、60…堆積部、61…ドラム部、62…導入口、63…ハウジング部、70…第2ウエブ形成部、72…第1メッシュベルト、74…張架ローラー、76…サクション機構、78…搬送部、78a…第2メッシュベルト、78b…ローラー、78c…サクション機構、79…水分付与部、80…加圧部、84…加圧加熱部、86…加熱ローラー、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出受け部、100…基体、200…集塵部、210…フィルター、300…捕集部、310…整流器、310A,310B,310C…風量調整装置としての整流器、311…筐体、312…第1配管としての外筒、313,313A,313B,313C…第2配管としての内筒、313a…第1貫通部、314,314A,314B,314C…絞り部、320…ブロアー部、400…風量検出部としての風量センサー、500…制御部、510…記憶部、520…演算部、1000…シート製造装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8