(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121179
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】リレー光学系、およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G02B 13/16 20060101AFI20240830BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240830BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240830BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G02B13/16
G02B13/18
G03B21/00 E
G03B21/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028140
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】守国 栄時
(72)【発明者】
【氏名】秦野 加奈
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA27
2H087NA02
2H087PA07
2H087PA08
2H087PA19
2H087PB09
2H087PB10
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA42
2H087RA45
2H087RA48
2K203FA03
2K203FA22
2K203FA34
2K203FA42
2K203GA33
2K203GA34
2K203GA36
2K203HA02
2K203HA13
2K203HA14
2K203HA67
2K203HA68
2K203HA74
2K203HA75
2K203HB17
2K203MA32
(57)【要約】
【課題】光学特性が良好でコンパクトなリレー光学系を提供すること。
【解決手段】リレー光学系は、拡大側結像面と、拡大側結像面を縮小した縮小側結像面とを結ぶ。リレー光学系は、拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群、絞りと少なくとも1枚の負レンズとを含む負のパワーを有する第2レンズ群、および複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群を備える。第1レンズ群のレンズ枚数と第3レンズ群のレンズ枚数とは、同じ枚数である。拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群の複数のレンズの各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群の複数のレンズの各レンズパワーの配列と同じである。リレー光学系の拡大側および縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大側結像面と、前記拡大側結像面を縮小した縮小側結像面とを結ぶリレー光学系において、
拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群、絞りと少なくとも1枚の負レンズとを含む負のパワーを有する第2レンズ群、および複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群を備え、
前記第1レンズ群のレンズ枚数と前記第3レンズ群のレンズ枚数とは、同じ枚数であり、
前記拡大側から前記縮小側に向かって配列された前記第1レンズ群の前記複数のレンズの各レンズパワーの配列は、前記縮小側から前記拡大に向かって配列された前記第3レンズ群の前記複数のレンズの各レンズパワーの配列と同じであり、
前記拡大側および前記縮小側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とするリレー光学系。
【請求項2】
前記第1レンズ群は、前記拡大側から前記縮小側に向かって順に、2枚の正レンズ、接合レンズを有し、
前記第3レンズ群は、前記縮小側から前記拡大側に向かって順に、2枚の正レンズ、接合レンズを有することを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項3】
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のレンズのうち、最も有効径が小さいレンズは、非球面形状を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のリレー光学系。
【請求項4】
前記第2レンズ群は、前記絞りと1枚の前記負レンズとからなることを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
【請求項5】
前記リレー光学系において、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと前記拡大側結像面および前記縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと前記拡大側結像面および前記縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
D1<L1
D2<L2
【請求項6】
前記リレー光学系において、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと前記拡大側結像面および前記縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、2つのレンズのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のリレー光学系。
D1<L1
D2<L2
【請求項7】
前記最も大きな空気間隔に配置された第1平面ミラーと、前記2番目に大きな空気間隔に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記最も大きな空気間隔は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間設けられ、
前記2番目に大きな空気間隔は、前記第3レンズ群および前記縮小側結像面の間に設けられることを特徴とする請求項5に記載のリレー光学系。
【請求項8】
前記最も大きな空気間隔に配置された第1平面ミラーと、前記2番目に大きな空気間隔に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記最も大きな空気間隔は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間設けられ、
前記2番目に大きな空気間隔は、前記第1レンズ群の内部に設けられることを特徴とする請求項6に記載のリレー光学系。
【請求項9】
前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、
前記拡大側結像面の光軸と前記縮小側結像面の光軸とは、平行であり、
前記拡大側結像面に入射する光線の入射方向は、前記縮小側結像面に入射する入射方向と反対方向であることを特徴とする請求項7または8に記載のリレー光学系。
【請求項10】
請求項1に記載されたリレー光学系を備えるプロジェクターにおいて、
光源と、
前記光源から出射された白色光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系と、
前記分離光学系で分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、
前記分離光学系で分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、
前記第1光変調素子が前記拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を前記縮小側結像面で縮小する前記リレー光学系と、
前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、
を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記リレー光学系は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間に配置された第1平面ミラーと、前記第3レンズ群および前記縮小側結像面の間に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、
前記拡大側結像面の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、
前記拡大側結像面に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であることを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項1に記載されたリレー光学系を備えるプロジェクターにおいて、
光源と、
前記光源から出射された白色光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系と、
前記分離光学系で分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、
前記分離光学系で分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、
前記第1光変調素子が前記拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を前記縮小側結像面で縮小する前記リレー光学系と、
前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、
を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記リレー光学系は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間に配置された第1平面ミラーと、前記第1レンズ群の内部に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、
前記拡大側結像面の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、
前記拡大側結像面に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であることを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー光学系、およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
拡大側結像面と、拡大側結像面を変倍した縮小側結像面とを結ぶ光学系は、特許文献1に記載されている。同文献の第1投写光学ユニットは、両側がテレセントリックであり、第1次結像面と、第1次結像面を縮小した物体面とを結ぶ光学系である。第1投写光学ユニットは、正のパワーを有する第1レンズ群、負のパワーを有する第2レンズ群、および正のパワーを有する第3レンズ群を備える。第1レンズ群は、4枚のレンズで構成されている。第2レンズ群は、開口絞りと5枚のレンズで構成されている。第3レンズ群は、3枚のレンズで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光学系では、光学特性を改善しようとすると、レンズ全長が長くなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のリレー光学系は、拡大側結像面と、前記拡大側結像面を縮小した縮小側結像面とを結ぶリレー光学系において、拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群、絞りと少なくとも1枚の負レンズとを含む負のパワーを有する第2レンズ群、および複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群を備え、前記第1レンズ群のレンズ枚数と前記第3レンズ群のレンズ枚数とは、同じ枚数であり、前記拡大側から前記縮小側に向かって配列された前記第1レンズ群の前記複数のレンズの各レンズパワーの配列は、前記縮小側から前記拡大に向かって配列された前記第3レンズ群の前記複数のレンズの各レンズパワーの配列と同じであり、前記拡大側および前記縮小側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とする。
【0006】
本発明のプロジェクターは、上記リレー光学系を備えるプロジェクターにおいて、光源と、前記光源から出射された白色光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系と、前記分離光学系で分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、前記分離光学系で分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、前記第1光変調素子が前記拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を前記縮小側結像面で縮小する前記リレー光学系と、前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、を有し、前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、前記リレー光学系は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間に配置された第1平面ミラーと、前記第3レンズ群および前記縮小側結像面の間に配置された第2平面ミラーと、を備え、前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、前記拡大側結像面の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、前記拡大側結像面に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であることを特徴とする。
【0007】
本発明のプロジェクターは、上記リレー光学系を備えるプロジェクターにおいて、光源と、前記光源から出射された白色光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系と、前記分離光学系で分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、前記分離光学系で分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、前記第1光変調素子が前記拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を前記縮小側結像面で縮小する前記リレー光学系と、前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、を有し、前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、前記リレー光学系は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間に配置された第1平面ミラーと、前記第1レンズ群の内部に配置された第2平面ミラーと、を備え、前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、前記拡大側結像面の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、前記拡大側結像面に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1のリレー光学系を用いたプロジェクターの要部の概略図である。
【
図2】実施形態1のリレー光学系の縮小側のMTFを示す図である。
【
図3】比較例のリレー光学系の縮小側のMTFを示す図である。
【
図4】実施形態2のリレー光学系を用いたプロジェクターの要部の概略図である。
【
図5】実施形態2のリレー光学系6Aの縮小側のMTFを示す図である。
【
図6】実施形態3のリレー光学系を用いたプロジェクターの要部の概略図である。
【
図7】実施形態3のリレー光学系の縮小側のMTFを示す図である。
【
図9】実施形態4のリレー光学系の縮小側のMTFを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るリレー光学系およびプロジェクターを説明する。
【0010】
[実施形態1]
図1は、実施形態1のリレー光学系6を用いたプロジェクター100の要部の概略図である。
図1に示すように、プロジェクター100は、光源1と、光源1からの出射光を均一化する照明光学系2と、照明光学系2からの出射光を各色光に分離する分離光学系3と、分離光学系3で分離された各色光に対して変調して投写画像を形成する複数の光変調素子7と、反射ミラー11と、複数の光変調素子7のうち1つで変調された色光の光束幅を縮小するリレー光学系6と、光変調素子7で変調された各色光を合成した合成光を出射する色合成プリズム8と、色合成プリズム8から出射した合成光を投写する投写光学系9と、光変調素子7を制御する制御部10とを有する。
【0011】
ここで、以下の説明では、便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、分離光学系3の第1光軸Nに沿った方向をX軸方向とする。X軸方向において、照明光学系2からの出射光が出射する方向を第1方向X1とし、その反対方向を第2方向X2とする。Y軸方向において、色合成プリズム8から合成光が出射する方向を第3方向Y1とし、その反対方向を第4方向Y2とする。
【0012】
光源1は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。本形態では、光源1は、出射光LDとして白色光を出射する。
【0013】
照明光学系2は、マルチレンズ21、偏光ビームスプリッタ22、マルチレンズ23、およびリレーレンズ24を備える。マルチレンズ21は、光源1からの出射光LDを複数に分割する。偏光ビームスプリッタ22は、マルチレンズ21から出射した出射光LDの偏光方向を変換する。マルチレンズ23は、偏光ビームスプリッタ22から出射した出射光LDをリレーレンズ24の近傍に集光させる。リレーレンズ24は、マルチレンズ23から入射した出射光LDを拡大して、分離光学系3に向けて出射する。
【0014】
分離光学系3は、第1方向X1に向かって順に、第1ダイクロイックミラー31、および第2ダイクロイックミラー32を備える。第1ダイクロイックミラー31、および第2ダイクロイックミラー32は、分離光学系3の第1光軸Nに沿って配置されている。照明光学系2からの出射光LDの光軸は、第1光軸Nと一致する。
【0015】
第1ダイクロイックミラー31は、出射光LDを、第1色光LBと他の色光LCとに分離する。第1ダイクロイックミラー31は、第1色光LBを第4方向Y2に反射し、他の色光LCを第1方向X1に向けて透過する。第2ダイクロイックミラー32は、他の色光LCを、第2色光LGと第3色光LRとに分離する。第2ダイクロイックミラー32は、第3色光LRを第3方向Y1に反射し、第2色光LGを第1方向X1に向けて透過する。本形態では、第1色光LBは、青色光を含む第1波長帯である。第2色光LGは、緑色を含む第2波長帯である。第3色光LRは、赤色を含む第3波長帯である。第1波長帯は、例えば、420nm~500nmである。第2波長帯は、例えば、500nm~600nmである。第3波長帯は、例えば、600nm~680nmである。他の色光LCの波長帯は、例えば、500nm~680nmである。
【0016】
ここで、第2ダイクロイックミラー32の第3方向Y1には、第2ダイクロイックミラー32で分離された第3色光LRを第1方向X1に向けて反射する反射ミラー14が配置されている。第2ダイクロイックミラー32の第1方向X1には、第2ダイクロイックミラー32で分離された第2色光LGを第3方向Y1に向けて反射する反射ミラー15が配置されている。第2ダイクロイックミラー32と反射ミラー14との間、および第2ダイクロイックミラー32と反射ミラー15との間には、それぞれ、レンズ12が配置されている。反射ミラー14の第1方向X1および反射ミラー15の第3方向Y1には、それぞれ、レンズ13が配置されている。レンズ12およびレンズ13は、分離光学系3で分離された第2色光LGおよび第3色光LRを光変調素子7の近傍に集光させる。
【0017】
反射ミラー11は、第1ダイクロイックミラー31の第4方向Y2に配置されている。反射ミラー11は、第1ダイクロイックミラー31で分離された第1色光LBを第1方向X1に向けて反射する。ここで、プロジェクター100は、反射ミラー11と第1ダイクロイックミラー31との間に、リレーレンズ19を備える。リレーレンズ19は、第1ダイクロイックミラー31からの第1色光LBが第1光変調素子71に均一に照射するように、第1色光LBの結像位置を調整する。本形態では、リレーレンズ19は、1枚のレンズからなる。なお、リレーレンズ19は、複数のレンズで構成されてもよい。
【0018】
光変調素子7は、液晶パネルである。光変調素子7は、第1色光LBに対して変調する第1光変調素子71と、第2色光LGに対して変調する第3光変調素子72と、第3色光LRに対して変調する第4光変調素子73とを備える。第1光変調素子71、第3光変調素子72および第4光変調素子73は、それぞれ、入射側偏光板75と出射側偏光板76とを備える。なお、第3光変調素子72および第4光変調素子73は、本発明の「第2光変調素子」に相当する。
【0019】
第1光変調素子71は、第1ダイクロイックミラー31の第1方向X1に配置されている。第1光変調素子71の光軸N1は、X軸に沿った方向に延びる。第1光変調素子71の光軸N1は、分離光学系3の第1光軸Nと平行である。
【0020】
第3光変調素子72は、色合成プリズム8の第2面部82と対向する位置に配置されている。第4光変調素子73は、色合成プリズム8の第3面部83と対向する位置に配置されている。
【0021】
第1光変調素子71の有効面積は、第3光変調素子72および第4光変調素子73の有効面積より大きい。ここで、有効面積とは、光変調素子の有効表示領域の面積を示す。本形態では、第1光変調素子71は、有効表示領域の対角寸法が1.03インチの液晶パネルであり、第3光変調素子72および第4光変調素子73は、有効表示領域の対角寸法が0.67インチの液晶パネルである。
【0022】
リレー光学系6は、拡大側結像面60Aと、拡大側結像面60Aを縮小した縮小側結像面60Bとを結ぶ。第1光変調素子71は拡大側結像面60Aに配置され、リレー光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小する。すなわち、リレー光学系6は、変倍する光学系である。本形態では、リレー光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの1.03インチの光束幅を、縮小側結像面60Bで0.67インチの光束幅に縮小する。第1光変調素子71の光軸N1と拡大側結像面60Aの光軸M1とは、一致する。縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81と対向する位置に配置されている。縮小側結像面60Bおよび色合成プリズム8の第1面部81の空気換算距離は、第3光変調素子72および色合成プリズム8の第2面部82の空気換算距離と同じである。また、縮小側結像面60Bおよび色合成プリズム8の第1面部81の空気換算距離は、第4光変調素子73および色合成プリズム8の第3面部83の空気換算距離と同じである。
【0023】
ここで、プロジェクター100は、縮小側結像面60Bと第1面部81との間に配置された偏光板5を有する。偏光板5と第1光変調素子71の出射側偏光板76とは、第1色光LBに含まれる偏光成分のうち同一方向の直線偏光成分を透過させる。すなわち、第1光変調素子71の出射側偏光板76が第1色光LBのS偏光を透過させる場合には、偏光板5はS偏光を透過させ、第1光変調素子71の出射側偏光板76が第1色光LBのP偏光を透過させる場合には、偏光板5はP偏光を透過させる。
【0024】
色合成プリズム8は、第1色光LBが入射する第1面部81、第2色光LGが入射する第2面部82、第3色光LRが入射する第3面部83および合成光LEが出射する第4面部84を備える。第1面部81と第3面部83とは、X軸方向で対向する。第2面部82と第4面部とは、Y軸方向で対向する。色合成プリズム8は、リレー光学系6で光束幅が縮小された第1色光LB、第3光変調素子72で変調された第2色光LG、および第4光変調素子73で変調された第3色光LRを合成した合成光LEを、第4面部84から第3方向Y1に出射する。ここで、色合成プリズム8の第1面部81に入射する第1色光LBの光束幅は、色合成プリズム8の第2面部82に入射する第2色光LGおよび色合成プリズム8の第3面部83に入射する第3色光LRの光束幅と同じである。
【0025】
投写光学系9は、色合成プリズム8から出射した合成光LEをスクリーンに投写する。投写光学系9は、複数枚のレンズを備える。制御部10は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて光変調素子7を動作させる。
【0026】
(リレー光学系の詳細)
図1に示すように、リレー光学系6は、拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群G1と、絞り65と少なくとも1枚の負レンズとを含む負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、リレー光学系6の第2光軸Mに沿って配置されている。
【0027】
第1レンズ群G1は、4枚のレンズL1~レンズL4からなる。L1~レンズL4は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL3は、正のパワーを有する。レンズL3は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL4は、負のパワーを有する。レンズL4は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0028】
第2レンズ群G2は、2枚のレンズL5~L6と絞り65とからなる。レンズL5、レンズL6および絞り65は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL5は、正のパワーを有する。レンズL5は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL5は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。レンズL6(負レンズ)は、負のパワーを有する。レンズL6は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL6は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。ここで、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のレンズのうち、レンズL6の有効半径は、最も小さい。
【0029】
第3レンズ群G3は、レンズL7~レンズL10の4枚のレンズからなる。レンズL7~レンズL10は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL7は、負のパワーを有する。レンズL7は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL8は、正のパワーを有する。レンズL8は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL9は、正のパワーを有する。レンズL9は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL10は、正のパワーを有する。レンズL10は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL7およびレンズL8は、接合された接合レンズL22である。
【0030】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数とは、同じ枚数の4枚である。拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列と同じである。具体的には、第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、拡大側から縮小側に向かって順に、正正正負である。第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大側に向かって順に、正正正負である。
【0031】
リレー光学系6は、拡大側結像面60Aと第1レンズ群G1との間に配置された第1平面ミラー66と、第3レンズ群G3および縮小側結像面60Bの間に配置された第2平面ミラー67とを備える。第1平面ミラー66は、平面形状を備える。第1平面ミラー66は、第1レンズ群G1の第4方向Y2方向に配置されている。第2平面ミラー67は、平面形状を備える。第2平面ミラー67は、第3レンズ群G3の第3方向Y1に配置されている。第1平面ミラー66および第2平面ミラー67は、それぞれ、光線を90°屈曲させる。
【0032】
第1光変調素子71により変調された第1色光LBは、第1方向X1に向かって進む。第1光変調素子71から第1平面ミラー66に到達した第1色光LBは、第1平面ミラー66により、第3方向Y1に向かって反射される。第1平面ミラー66で反射された第1色光LBは、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を透過して、第2平面ミラー67に到達する。第2平面ミラー67に到達した第1色光LBは、第2平面ミラー67により、第2方向X2に向かって反射される。第2平面ミラー67で反射された第1色光LBは、縮小側結像面60Bに到達する。
【0033】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、第1方向X1である。縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向は、第2方向X2である。すなわち、拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0034】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。すなわち、第1光変調素子71および縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。
【0035】
リレー光学系6の拡大側および縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。リレー光学系6の拡大側がテレセントリックとは、第1レンズ群G1と拡大側結像面60Aとの間を通過する各光束の中心光線が、光軸M1と平行または光軸M1と略平行となっていることをいう。リレー光学系6の縮小側がテレセントリックとは、第3レンズ群G3と縮小側結像面60Bとの間を通過する各光束の中心光線が、光軸M2と平行または光軸M2と略平行となっていることをいう。本形態では、各光束の中心光線と光軸M1,M2とが成す角度は±5.2°以内である。
【0036】
リレー光学系6の縮小側結像面60Bの最大像高をYbとし、リレー光学系6の全長をTLとし、リレー光学系6のレンズ長をLAとし、リレー光学系6の縮小側のFナンバーをFnとし、リレー光学系6の倍率をEとすると、リレー光学系6のデータは以下のとおりである。
【0037】
Yb 8.499mm
TL 149.613mm
LA 58.000mm
Fn 1.56
E 1.53
【0038】
リレー光学系6のレンズデータは以下のとおりである。面番号は、拡大側から縮小側に順番に付してある。符号は、拡大側結像面、第1平面ミラー、レンズ、第2平面ミラーおよび縮小側結像面の符号である。レンズの面番号に付された「*」は、非球面形状であることを示す。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0039】
符号 面番号 R D 硝材 屈折/反射 Y
60A 0 0.00000 31.580246 屈折 13.0186
66 1 0.00000 -19.000000 反射 26.3350
L1 2 -162.37680 -5.201359 FDS90_HOYA 屈折 19.1260
3 84.32601 -0.100000 屈折 19.1500
L2 4 -35.44181 -5.352889 TAFD5F_HOYA 屈折 17.8110
5 -116.32346 -0.100000 屈折 17.1550
L3 6 -19.11042 -7.518746 LAC14_HOYA 屈折 14.2080
L4 7 -124.60481 -1.700000 FDS90_HOYA 屈折 12.7950
8 -10.75908 -7.171088 屈折 8.8980
L5 *9 14.30563 -2.069460 MFCD1_HOYA 屈折 8.8520
*10 12.99599 -0.600000 屈折 8.9860
L6 *11 11.66571 -0.839981 MCFDS91050_HOYA 屈折 8.5710
*12 18.19224 -0.100000 屈折 8.8900
65 13 0.00000 -6.930074 屈折 9.1000
L7 14 28.86896 -6.473631 TAC8_HOYA 屈折 12.5060
L8 15 16.10000 -1.700000 FDS90_HOYA 屈折 13.6680
16 22.67072 -0.100000 屈折 15.7660
L9 17 35.65690 -6.961152 TAC8_HOYA 屈折 16.9490
18 21.45000 -0.100000 屈折 17.8570
L10 19 -43.75576 -4.981621 TAC8_HOYA 屈折 18.2240
20 -236.70294 -19.532922 屈折 17.9300
67 21 0.00000 21.500000 反射 24.6370
60B 22 0.00000 0.000000 屈折 8.4990
【0040】
面番号 9 10 11 12
コーニック定数 5.053678E-03 -2.860697E+00 -3.230191E-01 -6.97551E+00
4次の係数 -3.06104E-04 -1.7453E-04 -3.34083E-04 -1.53851E-04
6次の係数 2.5211E-06 4.6784E-06 3.1088E-06 -8.54971E-08
8次の係数 -1.24701E-08 -2.93731E-08 -1.56141E-08 9.73958E-09
10次の係数 9.8277E-11 1.02513E-10 5.06999E-11 -4.04748E-11
【0041】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bにおける最大像高を1とした場合、光軸M1対する拡大側結像面60Aにおける各光束の中心光線の角度、光軸M2対する縮小側結像面60Bにおける各光束の中心光線の角度は、以下のとおりである。
【0042】
像高 拡大側結像面 縮小側結像面
1 4.754 5.198
0.9 4.419 4.722
0.85 4.225 4.481
0.75 3.803 3.989
0.5 2.619 2.706
0 0.000 0.000
【0043】
ここで、本形態のリレー光学系6において、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たす。
D1<L1 (1)
D2<L2 (2)
【0044】
本形態では、最も大きな空気間隔L1は、拡大側結像面60AおよびレンズL1の間に設けられる。有効直径D1は、最も大きな空気間隔L1に隣接する拡大側結像面60Aの有効直径である。2番目に大きな空気間隔L2は、レンズL10および縮小側結像面60Bの間に設けられる。有効直径D2は、2番目に大きな空気間隔L2に隣接する縮小側結像面60Bの有効直径である。具体的な数値は、以下のとおりである。
【0045】
D1 26.0372mm
L1 50.5802mm
D2 16.998mm
L2 41.0329mm
よって、本形態のリレー光学系6は、条件式(1)(2)を満たす。
【0046】
(作用効果)
本形態のリレー光学系6は、拡大側結像面60Aと、拡大側結像面60Aを縮小した縮小側結像面60Bとを結ぶ。リレー光学系6は、拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群G1、絞り65と負レンズであるレンズL5およびレンズL6とを含む負のパワーを有する第2レンズ群G2、および複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群G3を備える。第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数とは、同じ枚数の4枚である。拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列と同じであり、正正正負である。第1レンズ群G1の拡大側と第3レンズ群G3の縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。
【0047】
本形態では、拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群G1のレンズ構成と、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群G3のレンズ構成とは、対称であるので、第1レンズ群G1で発生した諸収差を、第3レンズ群G3で発生する諸収差によりキャンセルすることができる。よって、リレー光学系6の光学性能を向上させることができる。
【0048】
本形態のリレー光学系6の両側がテレセントリックであるので、リレー光学系6の両側がテレセントリックでないものと比較して、リレー光学系6をプロジェクター100に組み込む際の設置精度が厳しくなく、配置が容易である。
【0049】
本形態において、第1レンズ群G1は、拡大側から縮小側に向かって順に、2枚の正レンズL1~L2、接合レンズL21を有し、第3レンズ群G3は、縮小側から拡大側に向かって順に、2枚の正レンズL10~L9、接合レンズL22を有する。よって、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3は、それぞれ、接合レンズを有するので、第1レンズ群G1で発生した倍率色収差を、第3レンズ群G3でより良好にキャンセルすることができる。また、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3は、それぞれ、2枚の正レンズを備えるので、リレー光学系6の全長を短くすることができる。
【0050】
本形態では、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のレンズのうち、最も有効径が小さいレンズL6は、非球面形状を備える。ここで、レンズL6は、絞り65に隣接しており、全ての光線が広がった状態でレンズL6を透過する。よって、レンズL6が非球面形状を備えれば、全ての像高に対して諸収差を良好に改善できるので、リレー光学系6の光学性能を向上させることができる。
【0051】
リレー光学系6において、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たす。
D1<L1 (1)
D2<L2 (2)
【0052】
本形態では、リレー光学系6は、条件式(1)(2)を満たすので、リレー光学系6は、最も大きな空気間隔L1および2番目に大きな空気間隔L2において、光路を任意の角度に変更することが容易となる。これにより、リレー光学系6のレイアウトの自由度が向上する。また、最も大きな空気間隔L1は、拡大側結像面60Aの有効直径D1より大きいので、最も大きな空気間隔L1に隣接するレンズL1の屈折角を多くに取らなくとも光線のコントロールが容易となる。2番目に大きな空気間隔L2は、縮小側結像面60Bの有効直径D2より大きいので、2番目に大きな空気間隔L2に隣接するレンズL10の屈折角を多くに取らなくとも光線のコントロールが容易となる。
【0053】
本形態のリレー光学系6は、最も大きな空気間隔に配置された第1平面ミラー66と、2番目に大きな空気間隔に配置された第2平面ミラー67と、を備える。最も大きな空気間隔は、拡大側結像面60Aおよび第1レンズ群G1の間に設けられる。2番目に大きな空気間隔は、第3レンズ群G3および縮小側結像面60Bの間に設けられる。よって、リレー光学系6に、第1平面ミラー66および第2平面ミラー67を配置することが容易である。
【0054】
本形態では、第1平面ミラー66および第2平面ミラー67は、それぞれ、光線を屈折させる。拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。拡大側結像面60Aに入射する光線の入射方向は、縮小側結像面60Bに入射する入射方向と反対方向である。よって、リレー光学系6は、効率よく光路を180°折り曲げることができる。
【0055】
本形態のプロジェクター100は、光源1と、光源1から出射された出射光LDを、青色光を含む第1波長帯の第1色光LBと第1色光LBよりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系3と、分離光学系3で分離された第1色光LBに対して変調する第1光変調素子71と、分離光学系3で分離させた他の色光に対して変調する第2光変調素子と、第1光変調素子71が拡大側結像面60Aに配置され、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小するリレー光学系6と、リレー光学系6で光束幅が縮小された第1色光LBおよび第2光変調素子で変調された他の色光を合成した合成光LEを出射する色合成プリズム8と、色合成プリズム8から出射した合成光LEを投写する投写光学系9と、を有する。第1光変調素子71の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きい。第1光変調素子71の光軸N1は、拡大側結像面60Aの光軸M1と平行である。
【0056】
本形態によれば、プロジェクター100は、本形態のリレー光学系6を用いるので、光学性能が向上したプロジェクター100を提供することができる。
【0057】
本形態によれば、第1光変調素子71の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きいので、第2光変調素子より、第1光変調素子71に照射される照度を小さくすることができる。これにより、光源1をより明るくした場合であっても、第1光変調素子71の液晶が光により劣化することを抑制することができる。
【0058】
また、リレー光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小することができるので、第1光変調素子71の有効面積が、第3光変調素子72の有効面積より大きい場合であっても、色合成プリズム8に入射する各色光の光束幅を同じ大きさにすることができる。
【0059】
また、リレー光学系6は、拡大側結像面60Aに入射した第1色光LBを180°屈曲させて縮小側結像面60Bから第1色光LBを出射するので、リレー光学系6が第1色光LBを屈曲さない場合と比較して、プロジェクター全体をコンパクトにすることができる。
【0060】
図2は、実施形態1のリレー光学系6の縮小側のMTFを示す図である。
図2の横軸は空間周波数であり、縦軸はコントラスト再現比である。
図2における波長は、450nm、460nm、470nmである。
図2に示すように、本形態のリレー光学系6は、高い解像度を有する。
【0061】
ここで、比較例として、先行技術文献である、特開2006-330410号公報の実施例3について検討する。比較例のリレー光学系は、両側がテレセントリックであり、拡大側結像面と、拡大側結像面を縮小した縮小側結像面とを結ぶ。比較例のリレー光学系は、正のパワーを有する第1レンズ群、負のパワーを有する第2レンズ群、および正のパワーを有する第3レンズ群を備える。比較例の第1レンズ群は、4枚のレンズで構成されている。比較例の第2レンズ群は、開口絞りと5枚のレンズで構成されている。比較例の第3レンズ群は、3枚のレンズで構成されている。
【0062】
比較例のリレー光学系の縮小側結像面の最大像高をYb0とし、比較例のリレー光学系の全長をTL0とし、比較例のリレー光学系のレンズ長をLA0とし、比較例のリレー光学系の縮小側のFナンバーをFn0とし、比較例のリレー光学系の倍率をE0とすると、比較例のリレー光学系のデータは以下のとおりである。なお、比較例のリレー光学系のレンズデータは、特開2006-330410号公報の実施例3のとおりであるので、ここでは省略する。
【0063】
Yb0 8.499mm
TL0 229.353mm
LA0 199.512mm
Fn0 2.46
E0 3.00
【0064】
比較例のリレー光学系の縮小側結像面の最大像高Yb0を、本形態のリレー光学系6の縮小側結像面の最大像高Ybと同じ仕様にした場合、比較例のリレー光学系は、本形態のリレー光学系6と比較して、比較例のリレー光学系の全長および比較例のリレー光学系のレンズ長が長い。すなわち、本形態のリレー光学系6は、比較例のリレー光学系よりコンパクトである。
【0065】
図3は、比較例のリレー光学系の縮小側のMTFを示す図である。
図3の横軸は空間周波数であり、縦軸はコントラスト再現比である。
図3における波長は、450nm、460nm、470nmである。
図2と
図3とを比較すると、比較例の第1レンズ群G1および第3レンズ群G3は、レンズ枚数が異なりレンズ構成が対称ではないので、比較例のリレー光学系の解像度は、本形態のリレー光学系6の解像度より劣っていることが分かる。すなわち、本形態のリレー光学系6は、比較例のリレー光学系よりコンパクトであって、光学性能が高いことが分かる。
【0066】
[実施形態2]
図4は、実施形態2のリレー光学系6Aを用いたプロジェクター100Aの要部の概略図である。実施形態2のリレー光学系6Aのレンズデータは、実施形態1のリレー光学系6とは相違する。よって、実施形態2では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0067】
(リレー光学系の詳細)
図4に示すように、本形態のリレー光学系6Aは、拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群G1と、絞り65と少なくとも1枚の負レンズとを含む負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、リレー光学系6Aの第2光軸Mに沿って配置されている。
【0068】
第1レンズ群G1は、4枚のレンズL1~レンズL4からなる。L1~レンズL4は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL3は、正のパワーを有する。レンズL3は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL4は、負のパワーを有する。レンズL4は、拡大側および縮小側の面に凹形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0069】
第2レンズ群G2は、2枚のレンズL5~L6と絞り65とからなる。レンズL5、レンズL6および絞り65は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL5は、正のパワーを有する。レンズL5は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL5は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。レンズL6(負レンズ)は、負のパワーを有する。レンズL6は、拡大側および縮小側の面に凹形状を備える。レンズL6は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。ここで、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のレンズのうち、レンズL6の有効半径は、最も小さい。
【0070】
第3レンズ群G3は、レンズL7~レンズL10の4枚のレンズからなる。レンズL7~レンズL10は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL7は、負のパワーを有する。レンズL7は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL8は、正のパワーを有する。レンズL8は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL9は、正のパワーを有する。レンズL9は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL10は、正のパワーを有する。レンズL10は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL7およびレンズL8は、接合された接合レンズL22である。
【0071】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数とは、同じ枚数の4枚である。拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列と同じである。具体的には、第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、拡大側から縮小側に向かって順に、正正正負である。第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大側に向かって順に、正正正負である。
【0072】
リレー光学系6Aは、拡大側結像面60Aと第1レンズ群G1との間に配置された第1平面ミラー66と、第3レンズ群G3および縮小側結像面60Bの間に配置された第2平面ミラー67とを備える。
【0073】
第1光変調素子71により変調された第1色光LBは、第1方向X1に向かって進む。第1光変調素子71から第1平面ミラー66に到達した第1色光LBは、第1平面ミラー66により、第3方向Y1に向かって反射される。第1平面ミラー66で反射された第1色光LBは、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3を透過して、第2平面ミラー67に到達する。第2平面ミラー67に到達した第1色光LBは、第2平面ミラー67により、第2方向X2に向かって反射される。第2平面ミラー67で反射された第1色光LBは、縮小側結像面60Bに到達する。
【0074】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0075】
リレー光学系6Aの拡大側および縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。本形態では、各光束の中心光線と光軸M1,M2とが成す角度は±2°以内である。
【0076】
リレー光学系6Aの縮小側結像面60Bの最大像高をYbとし、リレー光学系6Aの全長をTLとし、リレー光学系6Aのレンズ長をLAとし、リレー光学系6Aの縮小側のFナンバーをFnとし、リレー光学系6Aの倍率をEとすると、リレー光学系6Aのデータは以下のとおりである。
【0077】
Yb 8.499mm
TL 157.655mm
LA 58.000mm
Fn 1.56
E 1.53
【0078】
リレー光学系6Aのレンズデータは以下のとおりである。面番号は、拡大側から縮小側に順番に付してある。符号は、拡大側結像面、第1平面ミラー、レンズ、第2平面ミラーおよび縮小側結像面の符号である。レンズの面番号に付された「*」は、非球面形状であることを示す。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0079】
符号 面番号 R D 硝材 屈折/反射 Y
60A 0 0.00000 28.154788 屈折 13.0186
66 1 0.00000 -18.500000 反射 27.8830
L1 2 -107.63712 -6.485840 FDS90_HOYA 屈折 20.3360
3 85.68986 -0.100000 屈折 20.3200
L2 4 -29.56915 -7.016961 NBFD10_HOYA 屈折 18.1800
5 -115.35450 -0.100000 屈折 17.2140
L3 6 -20.48438 -8.554328 BACD5_HOYA 屈折 13.7230
L4 7 61.37167 -1.300000 FDS90_HOYA 屈折 11.8820
8 -9.70000 -6.628532 屈折 7.9460
L5 *9 458.39535 -3.324156 BSC7_HOYA 屈折 7.8010
*10 31.39990 -0.500000 屈折 7.6000
L6 *11 29.45725 -0.805000 FDS90_HOYA 屈折 7.2970
*12 -114.50403 -0.319784 屈折 7.3000
65 13 0.00000 -8.897059 屈折 7.3000
L7 14 37.01021 -8.953012 TAC8_HOYA 屈折 13.0850
L8 15 17.80000 -1.750000 FDS90_HOYA 屈折 15.0450
16 23.69118 -0.100000 屈折 17.0080
L9 17 40.40714 -6.305598 TAC8_HOYA 屈折 18.3270
18 25.42241 -0.100000 屈折 19.2350
L10 19 -47.93663 -6.759729 TAC8_HOYA 屈折 20.3860
20 1012.76142 -20.000000 屈折 20.0880
67 21 0.00000 23.000000 反射 27.8550
60B 22 0.00000 0.000000 屈折 8.4910
【0080】
面番号 9 10 11 12
コーニック定数 -1.243444E-02 -1.264546E+01 7.140675E+00 -2.515701E+01
4次の係数 -4.15449E-05 3.10839E-04 1.04584E-04 -6.4658E-05
6次の係数 -5.46074E-07 -3.62938E-06 -1.29098E-06 7.36208E-07
8次の係数 2.88462E-09 1.21847E-08 -2.16956E-10 -2.45258E-09
10次の係数 -1.32879E-10 1.06056E-10 1.38152E-10 0
【0081】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bにおける最大像高を1とした場合、光軸M1対する拡大側結像面60Aにおける各光束の中心光線の角度、光軸M2対する縮小側結像面60Bにおける各光束の中心光線の角度は、以下のとおりである。
【0082】
像高 拡大側結像面 縮小側結像面
1 1.998 1.972
0.9 1.928 1.990
0.85 1.875 1.965
0.75 1.736 1.863
0.5 1.255 1.394
0 0.000 0.000
【0083】
ここで、本形態のリレー光学系6Aにおいて、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たす。
D1<L1 (1)
D2<L2 (2)
【0084】
本形態では、最も大きな空気間隔L1は、拡大側結像面60AおよびレンズL1の間に設けられる。有効直径D1は、最も大きな空気間隔L1に隣接する拡大側結像面60Aの有効直径である。2番目に大きな空気間隔L2は、レンズL10および縮小側結像面60Bの間に設けられる。有効直径D2は、2番目に大きな空気間隔L2に隣接する縮小側結像面60Bの有効直径である。具体的な数値は、以下のとおりである。
【0085】
D1 26.0372mm
L1 46.6548mm
D2 16.9820mm
L2 43.0000mm
よって、本形態のリレー光学系6Aは、条件式(1)(2)を満たす。
【0086】
(作用効果)
実施形態2のリレー光学系6Aは、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
図5は、実施形態2のリレー光学系6Aの縮小側のMTFを示す図である。
図5と
図3とを比較すると、本形態のリレー光学系6Aは、比較例のリレー光学系より解像度が高いので、光学性能が高いことが分かる。
【0087】
[実施形態3]
図6は、実施形態3のリレー光学系6Bを用いたプロジェクター100Bの要部の概略図である。実施形態3のリレー光学系6Bの構成およびレンズデータは、実施形態1のリレー光学系6とは相違する。また、実施形態3のプロジェクター100Bの分離光学系3の構成は、実施形態1のプロジェクター100の分離光学系3の構成とは相違する。よって、実施形態3では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0088】
図6に示すように、分離光学系3は、第1方向X1に向かって順に、第2ダイクロイックミラー32、第1ダイクロイックミラー31、および延長光学系30を備える。第2ダイクロイックミラー32、第1ダイクロイックミラー31、および延長光学系30は、分離光学系3の第1光軸Nに沿って配置されている。第2ダイクロイックミラー32は、出射光LDを、第3色光LRと混合光LCとに分離する。第2ダイクロイックミラー32は、第3色光LRを第3方向Y1に反射し、混合光LCを第1方向X1に向けて透過する。第1ダイクロイックミラー31は、混合光LCを、第1色光LBと第2色光LG(他の色光)とに分離する。第1ダイクロイックミラー31は、第2色光LGを第3方向Y1に反射し、第1色光LBを第1方向X1に向けて透過する。本形態では、第1色光LBは、青色光を含む第1波長帯である。第2色光LGは、緑色を含む第2波長帯である。第3色光LRは、赤色を含む第3波長帯である。第1波長帯は、例えば、420nm~500nmである。第2波長帯は、例えば、500nm~600nmである。第3波長帯は、例えば、600nm~680nmである。混合光LCの波長帯は、例えば、420nm~600nmである。
【0089】
延長光学系30は、分離光学系3の光路を第1方向X1に延長する。延長光学系30は、複数のレンズ36を備える。複数のレンズ36は、分離光学系3の第1光軸Nに沿って配置されている。延長光学系30は、第1ダイクロイックミラー31と第1光変調素子71との間に配置されている。
【0090】
ここで、第2ダイクロイックミラー32の第3方向Y1には、第2ダイクロイックミラー32で分離された第3色光LRを第1方向X1に向けて反射する反射ミラー14が配置されている。第2ダイクロイックミラー32と反射ミラー14との間、および第2ダイクロイックミラー32と第1ダイクロイックミラー31との間には、それぞれ、レンズ12が配置されている。反射ミラー14の第1方向X1および第1ダイクロイックミラー31の第3方向Y1には、それぞれ、レンズ13が配置されている。レンズ12およびレンズ13は、分離光学系3で分離された第2色光LGおよび第3色光LRを光変調素子7の近傍に集光させる。
【0091】
第1光変調素子71は、延長光学系30の第1方向X1であって、第1光軸N上に配置されている。すなわち、第1光変調素子71の光軸N1と第1光軸Nとは、一致する。第3光変調素子72は、色合成プリズム8の第2面部82と対向する位置に配置されている。第4光変調素子73は、色合成プリズム8の第3面部83と対向する位置に配置されている。
【0092】
第1光変調素子71の有効面積は、第3光変調素子72および第4光変調素子73の有効面積より大きい。本形態では、第1光変調素子71は、1.03インチの液晶パネルであり、第3光変調素子72および第4光変調素子73は、0.67インチの液晶パネルである。
【0093】
リレー光学系6Bは、拡大側結像面60Aと、拡大側結像面60Aを縮小した縮小側結像面60Bとを結ぶ。第1光変調素子71は拡大側結像面60Aに配置され、リレー光学系6は、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面60Bで縮小する。本形態では、リレー光学系6Bは、第1光変調素子71で変調された第1色光LBの1.03インチの光束幅を、縮小側結像面60Bで0.67インチの光束幅に縮小する。第1光変調素子71の光軸N1と拡大側結像面60Aの光軸M1とは、一致する。縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81と対向する位置に配置されている。
【0094】
ここで、プロジェクター100Bは、縮小側結像面60Bと第1面部81との間に配置された偏光板5を有する。偏光板5と第1光変調素子71の出射側偏光板76とは、第1色光LBに含まれる偏光成分のうち同一方向の直線偏光成分を透過させる。
【0095】
(リレー光学系の詳細)
図6に示すように、リレー光学系6Bは、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群G1と、1枚または2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。リレー光学系6Bは、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に絞り65を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、リレー光学系6Bの第2光軸Mに沿って配置されている。
【0096】
第1レンズ群G1は、4枚のレンズL1~レンズL4からなる。L1~レンズL4は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL3は、正のパワーを有する。レンズL3は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL4は、負のパワーを有する。レンズL4は、拡大側および縮小側の面に凹形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0097】
第2レンズ群G2は、2枚のレンズL5~L6と絞り65とからなる。レンズL5、レンズL6および絞り65は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL5は、正のパワーを有する。レンズL5は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL5は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。レンズL6(負レンズ)は、負のパワーを有する。レンズL6は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL6は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。ここで、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のレンズのうち、レンズL6の有効半径は、最も小さい。
【0098】
第3レンズ群G3は、レンズL7~レンズL10の4枚のレンズからなる。レンズL7~レンズL10は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL7は、負のパワーを有する。レンズL7は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL8は、正のパワーを有する。レンズL8は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL9は、正のパワーを有する。レンズL9は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL10は、正のパワーを有する。レンズL10は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL7およびレンズL8は、接合された接合レンズL22である。
【0099】
レンズL1は、第2光軸MのY軸方向に延びる部分M4に配置されている。レンズL2~レンズL10は、第2光軸MのX軸方向に延びる部分M3に配置されている。
【0100】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数とは、同じ枚数の4枚である。拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列と同じである。具体的には、第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、拡大側から縮小側に向かって順に、正正正負である。第3レンズ群G3のレンズL10~L7の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大側に向かって順に、正正正負である。
【0101】
リレー光学系6は、拡大側結像面60Aと第1レンズ群G1との間に配置された第1平面ミラー66と、第1レンズ群G1の内部であってレンズL1およびレンズL2の間に配置された第2平面ミラー67とを備える。第1平面ミラー66は、平面形状を備える。第1平面ミラー66は、レンズL1の第4方向Y2方向に配置されている。第2平面ミラー67は、平面形状を備える。第2平面ミラー67は、レンズL2の第3方向Y1に配置されている。第1平面ミラー66および第2平面ミラー67は、それぞれ、光線を90°屈曲させる。
【0102】
第1光変調素子71により変調された第1色光LBは、第1方向X1に向かって進む。第1光変調素子71から第1平面ミラー66に到達した第1色光LBは、第1平面ミラー66により、第3方向Y1に向かって反射される。第1平面ミラー66で反射された第1色光LBは、レンズL1を透過して、第2平面ミラー67に到達する。第2平面ミラー67に到達した第1色光LBは、第2平面ミラー67により、第2方向X2に向かって反射される。第2平面ミラー67で反射された第1色光LBは、レンズL2~レンズL10を透過して、縮小側結像面60Bに到達する。
【0103】
拡大側結像面60Aの光軸M1と縮小側結像面60Bの光軸M2とは、平行である。拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、第1方向X1である。縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向は、第2方向X2である。すなわち、拡大側結像面60Aに入射する第1色光LBの入射方向は、縮小側結像面60Bから出射する第1色光LBの出射方向とは反対方向である。
【0104】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。すなわち、第1光変調素子71および縮小側結像面60Bは、色合成プリズム8の第1面部81に対して同じ側の第1方向X1に位置する。
【0105】
リレー光学系6Bの拡大側および縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。本形態では、各光束の中心光線と光軸M1,M2とが成す角度は±2°以内である。
【0106】
分離光学系3の第1光軸Nと、リレー光学系6Bの第2光軸Mのうち少なくとも部分M3とは、平行である。第2光軸Mの部分M3は、第1色光LBが入射する色合成プリズム8の第1面部81に対して垂直である。第1光軸Nおよび第2光軸Mの部分M3と直交するY軸方向から見た場合に、延長光学系30は、リレー光学系6Bと重なる。
【0107】
リレー光学系6Bの縮小側結像面60Bの最大像高をYbとし、リレー光学系6Bの全長をTLとし、リレー光学系6Bのレンズ長をLAとし、リレー光学系6Bの縮小側のFナンバーをFnとし、リレー光学系6Bの倍率をEとすると、リレー光学系6Bのデータは以下のとおりである。
【0108】
Yb 8.499mm
TL 195.549mm
LA 117.711mm
Fn 1.53
E 1.53
【0109】
リレー光学系6Bのレンズデータは以下のとおりである。面番号は、拡大側から縮小側に順番に付してある。符号は、拡大側結像面、第1平面ミラー、レンズ、第2平面ミラーおよび縮小側結像面の符号である。レンズの面番号に付された「*」は、非球面形状であることを示す。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0110】
符号 面番号 R D 硝材 屈折/反射 Y
60A 0 0.00000 26.831800 屈折 13.0186
66 1 0.00000 -22.168200 反射 28.9460
L1 2 160.00000 -4.049038 NBFD10_HOYA 屈折 21.0620
3 70.13655 -22.000000 屈折 21.3930
67 4 0.00000 22.500000 反射 31.8450
L2 5 74.51888 7.645917 TAFD5F_HOYA 屈折 22.7520
6 -127.66049 0.100000 屈折 22.4810
L3 7 23.12883 11.320403 TAFD5F_HOYA 屈折 17.8530
L4 8 7100.87695 1.900000 FD60W_HOYA 屈折 15.7020
9 14.01950 4.019656 屈折 10.6400
L5 *10 25.85743 1.405542 MTAFD51_HOYA 屈折 10.5960
*11 82.03475 0.600000 屈折 10.3320
L6 *12 60.86701 0.805000 MCFD80_HOYA 屈折 10.1320
*13 14.80852 2.391067 屈折 9.6110
65 14 0.00000 3.541583 屈折 9.6000
L7 15 -26.07564 7.416302 TAFD5F_HOYA 屈折 10.0960
L8 16 -13.40000 1.900000 FDS90_HOYA 屈折 11.3050
17 -21.43281 12.801483 屈折 12.8030
L9 18 -21.82517 8.261107 NBFD13_HOYA 屈折 14.2000
19 -23.57697 0.100000 屈折 16.9120
L10 20 36.85821 4.954069 TAFD5F_HOYA 屈折 17.1140
21 132.73720 28.837816 屈折 16.7120
60B 22 0.00000 0.000000 屈折 8.4970
【0111】
面番号 10 11 12 13
コーニック定数 -1.258405E+00 3.594804E+01 2.323815E+01 1.236475E-01
4次の係数 -9.420159E-05 -1.503907E-04
6次の係数 2.234791E-09 0
8次の係数 0 0
10次の係数 0 0
【0112】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bにおける最大像高を1とした場合、光軸M1対する拡大側結像面60Aにおける各光束の中心光線の角度、光軸M2対する縮小側結像面60Bにおける各光束の中心光線の角度は、以下のとおりである。
【0113】
像高 拡大側結像面 縮小側結像面
1 1.661 1.927
0.9 1.606 1.834
0.85 1.563 1.773
0.75 1.452 1.628
0.5 1.057 1.162
0 0.000 0.000
【0114】
ここで、本形態のリレー光学系6Bにおいて、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たす。
D1<L1 (1)
D2<L2 (2)
【0115】
本形態では、最も大きな空気間隔L1は、拡大側結像面60AおよびレンズL1の間に設けられる。有効直径D1は、最も大きな空気間隔L1に隣接する拡大側結像面60Aの有効直径である。2番目に大きな空気間隔L2は、レンズL1およびレンズL2の間に設けられる。有効直径D2は、2番目に大きな空気間隔L2に隣接するレンズL1の有効直径である。具体的な数値は、以下のとおりである。
【0116】
D1 26.0372mm
L1 49.0000mm
D2 42.7840mm
L2 44.5000mm
よって、本形態のリレー光学系6Bは、条件式(1)(2)を満たす。
【0117】
(作用効果)
実施形態3のリレー光学系6Bは、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
図7は、実施形態3のリレー光学系6Bの縮小側のMTFを示す図である。
図7と
図3とを比較すると、本形態のリレー光学系6Bは、比較例のリレー光学系より解像度が高いので、光学性能が高いことが分かる。
【0118】
[実施形態4]
図8は、実施形態4のリレー光学系6Cの光線図である。
図8に示すように、リレー光学系6Cは、拡大側結像面60Aと、拡大側結像面60Aを縮小した縮小側結像面60Bとを結ぶ。リレー光学系6は、拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群G1と、絞り65と1枚の負レンズからなり負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、リレー光学系6の第2光軸Mに沿って配置されている。本形態では、拡大側結像面60Aの光軸M1および縮小側結像面60Bの光軸M2は、リレー光学系6の第2光軸Mと直線状に一致する。
【0119】
第1レンズ群G1は、4枚のレンズL1~レンズL4からなる。L1~レンズL4は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL1は、正のパワーを有する。レンズL1は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL2は、正のパワーを有する。レンズL2は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL3は、正のパワーを有する。レンズL3は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL4は、負のパワーを有する。レンズL4は、拡大側および縮小側の面に凹形状を備える。レンズL3およびレンズL4は、接合された接合レンズL21である。
【0120】
第2レンズ群G2は、1枚のレンズL5と絞り65とからなる。レンズL5および絞り65は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL5(負レンズ)は、負のパワーを有する。レンズL5は、拡大側の面に凸形状を備え、縮小側の面に凹形状を備える。レンズL5は、拡大側および縮小側の面に、非球面形状を備える。ここで、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3のレンズのうち、レンズL5の有効半径は、最も小さい。
【0121】
第3レンズ群G3は、レンズL6~レンズL9の4枚のレンズからなる。レンズL6~レンズL9は、拡大側から縮小側に向かってこの順に配置されている。レンズL6は、負のパワーを有する。レンズL7は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL7は、正のパワーを有する。レンズL7は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL8は、正のパワーを有する。レンズL8は、拡大側の面に凹形状を備え、縮小側の面に凸形状を備える。レンズL9は、正のパワーを有する。レンズL9は、拡大側および縮小側の面に凸形状を備える。レンズL6およびレンズL7は、接合された接合レンズL22である。
【0122】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数とは、同じ枚数の4枚である。拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群G3のレンズL9~L6の各レンズパワーの配列と同じである。具体的には、第1レンズ群G1のレンズL1~L4の各レンズパワーの配列は、拡大側から縮小側に向かって順に、正正正負である。第3レンズ群G3のレンズL9~L6の各レンズパワーの配列は、縮小側から拡大側に向かって順に、正正正負である。
【0123】
リレー光学系6Cの拡大側および縮小側は、それぞれ、テレセントリックである。本形態では、各光束の中心光線と光軸M1,M2とが成す角度は±2°以内である。
【0124】
リレー光学系6Cの縮小側結像面60Bの最大像高をYbとし、リレー光学系6Cの全長をTLとし、リレー光学系6Cのレンズ長をLAとし、リレー光学系6Cの縮小側のFナンバーをFnとし、リレー光学系6Cの倍率をEとすると、リレー光学系6Cのデータは以下のとおりである。
【0125】
Yb 8.499mm
TL 168.000mm
LA 81.787mm
Fn 1.64
E 1.53
【0126】
リレー光学系6Cのレンズデータは以下のとおりである。面番号は、拡大側から縮小側に順番に付してある。符号は、拡大側結像面、レンズ、および縮小側結像面の符号である。レンズの面番号に付された「*」は、非球面形状であることを示す。Rは曲率半径である。Dは軸上面間隔である。Yは有効半径である。R、D、Yの単位はmmである。
【0127】
符号 面番号 R D 硝材 屈折/反射 Y
60A 0 0.00000 45.212882 屈折 13.0186
L1 1 -184.09700 4.100000 FDS90_HOYA 屈折 19.9480
2 -62.88502 10.166130 屈折 20.2050
L2 3 42.01633 6.879150 TAFD5F_HOYA 屈折 19.6120
4 -2625.89736 0.370342 屈折 19.1210
L3 5 22.31374 9.520045 LAC14_HOYA 屈折 15.6100
L4 6 -149.53242 1.500000 FF8_HOYA 屈折 13.8930
7 12.46324 8.511899 屈折 9.6350
L5 *8 48.67992 3.652066 BSC7_HOYA 屈折 8.4880
*9 15.14022 1.597311 屈折 7.9300
65 10 0.00000 7.267946 屈折 7.6000
L6 11 -45.52784 11.124290 TAC8_HOYA 屈折 12.0110
L7 12 -17.50000 1.500000 FDS90_HOYA 屈折 14.5630
13 -36.45624 0.100000 屈折 17.3600
L8 14 -58.12613 7.525796 TAC8_HOYA 屈折 18.2860
15 -25.29455 1.736639 屈折 19.1190
L9 16 54.32842 6.235505 TAFD5F_HOYA 屈折 20.3670
17 -598.53650 41.000000 屈折 20.1000
60B 18 0.00000 0.000000 屈折 8.4940
【0128】
面番号 8 9
コーニック定数 -4.328137E+00 -3.211675E+00
4次の係数 -1.372099E-04 -3.533897E-05
6次の係数 1.782276E-07 -7.351476E-09
8次の係数 -1.071556E-09 4.050635E-10
10次の係数 -8.726952E-13 0
【0129】
拡大側結像面60Aおよび縮小側結像面60Bにおける最大像高を1とした場合、光軸M1対する拡大側結像面60Aにおける各光束の中心光線の角度、光軸M2対する縮小側結像面60Bにおける各光束の中心光線の角度は、以下のとおりである。
【0130】
像高 拡大側結像面 縮小側結像面
1 1.698 1.915
0.9 1.658 1.889
0.85 1.618 1.852
0.75 1.509 1.740
0.5 1.101 1.288
0 0.000 0.000
【0131】
ここで、本形態のリレー光学系6Cにおいて、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと拡大側結像面および縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たす。
D1<L1 (1)
D2<L2 (2)
【0132】
本形態では、最も大きな空気間隔L1は、拡大側結像面60AおよびレンズL1の間に設けられる。有効直径D1は、最も大きな空気間隔L1に隣接する拡大側結像面60Aの有効直径である。2番目に大きな空気間隔L2は、レンズL9および縮小側結像面60Bの間に設けられる。有効直径D2は、2番目に大きな空気間隔L2に隣接する縮小側結像面60Bの有効直径である。具体的な数値は、以下のとおりである。
【0133】
D1 26.0372mm
L1 45.2129mm
D2 16.9980mm
L2 41.0000mm
よって、本形態のリレー光学系6Cは、条件式(1)(2)を満たす。
【0134】
(作用効果)
本形態では、第2レンズ群G2は、絞り65と1枚の負レンズL5とからなる。このように構成しても、実施形態4のリレー光学系6Cは、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
図9は、実施形態4のリレー光学系6Cの縮小側のMTFを示す図である。
図9と
図3とを比較すると、本形態のリレー光学系6Cは、比較例のリレー光学系より解像度が高いので、光学性能が高いことが分かる。なお、本形態のリレー光学系6Cは、実施形態1と同様に、第1平面ミラー66および第2平面ミラー67を備えてもよい。
【0135】
(他の実施例)
実施形態3では、第2レンズ群G2は、絞り65と1枚の単レンズである負レンズL5とからなるが、1枚の負レンズは、1枚の単レンズに限定されない。1枚の負レンズは、複数枚のレンズが接合されるとともに負のパワーを有する1枚の接合レンズであってもよい。このようにすれば、1枚の接合レンズにより、リレー光学系6の倍率色収差を抑制することができる。
【0136】
上記形態のリレー光学系6は、プロジェクターに用いることに限定されない。上記形態のリレー光学系6は、拡大側結像面および拡大側結像面を縮小した縮小側結像面を結ぶ光学系を用いる、露光機やステッパーなどの装置に用いることができる。
【0137】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0138】
(付記1)
拡大側結像面と、前記拡大側結像面を縮小した縮小側結像面とを結ぶリレー光学系において、
拡大側から縮小側に向かって光線が通過する順に、複数のレンズで構成された正のパワーを有する第1レンズ群、絞りと少なくとも1枚の負レンズとを含む負のパワーを有する第2レンズ群、および複数のレンズで構成された正のパワーを有する第3レンズ群を備え、
前記第1レンズ群のレンズ枚数と前記第3レンズ群のレンズ枚数とは、同じ枚数であり、
前記拡大側から前記縮小側に向かって配列された前記第1レンズ群の前記複数のレンズの各レンズパワーの配列は、前記縮小側から前記拡大に向かって配列された前記第3レンズ群の前記複数のレンズの各レンズパワーの配列と同じであり、
前記拡大側および前記縮小側は、それぞれ、テレセントリックであることを特徴とするリレー光学系。
【0139】
これにより、拡大側から縮小側に向かって配列された第1レンズ群のレンズ構成と、縮小側から拡大に向かって配列された第3レンズ群のレンズ構成とは、対称であるので、第1レンズ群で発生した諸収差を、第3レンズ群でキャンセルすることができる。この結果、リレー光学系の光学性能を向上させることができる。また、リレー光学系の両側がテレセントリックであるので、リレー光学系の両側がテレセントリックでないものと比較して、リレー光学系を装置に組み込む際の設置精度が厳しくなく、配置が容易である。
【0140】
(付記2)
前記第1レンズ群は、前記拡大側から前記縮小側に向かって順に、2枚の正レンズ、接合レンズを有し、
前記第3レンズ群は、前記縮小側から前記拡大側に向かって順に、2枚の正レンズ、接合レンズを有することを特徴とする付記1に記載のリレー光学系。
【0141】
これにより、第1レンズ群および第3レンズ群は、それぞれ、接合レンズを有するので、第1レンズ群で発生した倍率色収差を、第3レンズ群でより良好にキャンセルすることができる。また、第1レンズ群および第3レンズ群は、それぞれ、2枚の正レンズを有するので、リレー光学系の全長を短くすることができる。
【0142】
(付記3)
前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記第3レンズ群のレンズのうち、最も有効径が小さいレンズは、非球面形状を備えることを特徴とする付記1または2に記載のリレー光学系。
【0143】
ここで、最も有効径が小さいレンズでは、全ての光線が広がった状態でレンズを透過する。このため、最も有効径が小さいレンズが非球面形状を備えれば、全ての像高に対して諸収差を良好に改善できる。これにより、リレー光学系の光学性能を向上させることができる。
【0144】
(付記4)
前記第2レンズ群は、前記絞りと1枚の前記負レンズとからなることを特徴とする付記1から3のうち何れか一項に記載のリレー光学系。
【0145】
(付記5)
前記リレー光学系において、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと前記拡大側結像面および前記縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、レンズと前記拡大側結像面および前記縮小側結像面の他方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たすことを特徴とする付記1から4のうち何れか一項に記載のリレー光学系。
D1<L1
D2<L2
【0146】
これにより、最も大きな空気間隔および2番目に大きな空気間隔において、光路を任意の角度に変更することが容易となるので、リレー光学系のレイアウトの自由度が向上する。また、最も大きな空気間隔および2番目に大きな空気間隔にそれぞれ隣接するレンズの屈折角を多くに取らなくとも光線のコントロールが容易となる。
【0147】
(付記6)
前記リレー光学系において、最も大きな空気間隔をL1とし、最も大きな空気間隔に隣接している、レンズと前記拡大側結像面および前記縮小側結像面の一方の結像面とのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD1とし、2番目に大きな空気間隔をL2とし、2番目に大きな空気間隔に隣接している、2つのレンズのうち有効直径が小さいほうの有効直径をD2とした場合、以下の条件式を満たすことを特徴とする付記1から4のうち何れか一項に記載のリレー光学系。
D1<L1
D2<L2
【0148】
これにより、最も大きな空気間隔および2番目に大きな空気間隔において、光路を任意の角度に変更することが容易となるので、リレー光学系のレイアウトの自由度が向上する。また、最も大きな空気間隔および2番目に大きな空気間隔にそれぞれ隣接するレンズの屈折角を多くに取らなくとも光線のコントロールが容易となる。
【0149】
(付記7)
前記最も大きな空気間隔に配置された第1平面ミラーと、前記2番目に大きな空気間隔に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記最も大きな空気間隔は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間設けられ、
前記2番目に大きな空気間隔は、前記第3レンズ群および前記縮小側結像面の間に設けられることを特徴とする付記5に記載のリレー光学系。
【0150】
これにより、リレー光学系に、第1平面ミラーおよび第2平面ミラーを配置することが容易となる。
【0151】
(付記8)
前記最も大きな空気間隔に配置された第1平面ミラーと、前記2番目に大きな空気間隔に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記最も大きな空気間隔は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間設けられ、
前記2番目に大きな空気間隔は、前記第1レンズ群の内部に設けられることを特徴とする付記6に記載のリレー光学系。
【0152】
これにより、リレー光学系に、第1平面ミラーおよび第2平面ミラーを配置することが容易となる。
【0153】
(付記9)
前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、
前記拡大側結像面の光軸と前記縮小側結像面の光軸とは、平行であり、
前記拡大側結像面に入射する光線の入射方向は、前記縮小側結像面に入射する入射方向と反対方向であることを特徴とする付記7または8に記載のリレー光学系。
【0154】
これにより、リレー光学系は、効率よく光路を180°折り曲げることができる。
【0155】
(付記10)
付記1から6に記載されたリレー光学系を備えるプロジェクターにおいて、
光源と、
前記光源から出射された白色光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系と、
前記分離光学系で分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、
前記分離光学系で分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、
前記第1光変調素子が前記拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を前記縮小側結像面で縮小する前記リレー光学系と、
前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、
を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記リレー光学系は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間に配置された第1平面ミラーと、前記第3レンズ群および前記縮小側結像面の間に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、
前記拡大側結像面の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、
前記拡大側結像面に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であることを特徴とするプロジェクター。
【0156】
これにより、光路を180°折り曲げたリレー光学系をプロジェクターに配置することできる。
【0157】
(付記11)
付記1から6に記載されたリレー光学系を備えるプロジェクターにおいて、
光源と、
前記光源から出射された白色光を、青色光を含む第1波長帯の第1色光と前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光に分離する分離光学系と、
前記分離光学系で分離された前記第1色光に対して変調する第1光変調素子と、
前記分離光学系で分離させた前記他の色光に対して変調する第2光変調素子と、
前記第1光変調素子が前記拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を前記縮小側結像面で縮小する前記リレー光学系と、
前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写する投写光学系と、
を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記リレー光学系は、前記拡大側結像面および前記第1レンズ群の間に配置された第1平面ミラーと、前記第1レンズ群の内部に配置された第2平面ミラーと、を備え、
前記第1平面ミラーおよび前記第2平面ミラーは、それぞれ、光線を屈曲させ、
前記拡大側結像面の光軸は、前記縮小側結像面の光軸と平行であり、
前記拡大側結像面に入射する前記第1色光の入射方向は、前記縮小側結像面から出射する前記第1色光の出射方向とは反対方向であることを特徴とするプロジェクター。
【0158】
これにより、光路を180°折り曲げたリレー光学系をプロジェクターに配置することできる。
【符号の説明】
【0159】
1…光源、2…照明光学系、3…分離光学系、5…偏光板、6・6A・6B・6C…リレー光学系、7…光変調素子、8…色合成プリズム、9…投写光学系、10…制御部、11…反射ミラー、12…レンズ、13…レンズ、14…反射ミラー、15…反射ミラー、16…反射ミラー、17…反射ミラー、19…リレーレンズ、21…マルチレンズ、22…偏光ビームスプリッタ、23…マルチレンズ、24…リレーレンズ、31…第1ダイクロイックミラー、32…第2ダイクロイックミラー、60…反射面、60A…拡大側結像面、60B…縮小側結像面、65…絞り、66…第1反射ミラー、67…第2反射ミラー、71…第1光変調素子、72…第3光変調素子、73…第4光変調素子、75…入射側偏光板、76…出射側偏光板、81…第1面部、82…第2面部、83…第3面部、84…第4面部、100・100A・100B…プロジェクター、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、G3…第3レンズ群、L1~L10…レンズ、L21・L22…接合レンズ、LD…出射光、LE…合成光、LB…第1色光、LG…第2色光、LR…第3色光、LC…他の色光、N…第1光軸、M…第2光軸、M1…拡大側結像面の光軸、M2…縮小側結像面の光軸。