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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121181
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240830BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240830BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20240830BHJP
   G02B 13/24 20060101ALN20240830BHJP
   G02B 13/16 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G03B21/00 E
H04N9/31 410
G02B13/24
G02B13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028142
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】若林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 秀文
(72)【発明者】
【氏名】守国 栄時
【テーマコード(参考)】
2H087
2K203
5C060
【Fターム(参考)】
2H087KA06
2H087KA07
2H087LA01
2H087LA27
2H087PA08
2H087PA19
2H087PB10
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA45
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA35
2K203FA42
2K203GA25
2K203GA26
2K203GA33
2K203GA34
2K203GB12
2K203HA02
2K203HA13
2K203HA14
2K203HA67
2K203HA68
2K203HA73
2K203HA75
2K203HB17
2K203HB18
2K203MA06
5C060GB02
5C060JA14
(57)【要約】
【課題】2つの光変調素子の画素ピッチが異なる場合でも、投写画像のホワイトバランスを補正できるプロジェクターを提供すること。
【解決手段】プロジェクターは、第1光変調素子で変調された第1色光の光束幅を縮小するリレー光学系と、リレー光学系で光束幅が縮小された第1色光および第2光変調素子で変調された他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、合成光を投写画像として投写する投写光学系と、投写光学系のFナンバーを検出する検出部と、検出部が検出したFナンバーに基づいて第1光変調素子および第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御して投写画像のホワイトバランスを補正する制御部と、を有する。第1光変調素子の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きい。第1光変調素子の画素ピッチは、第2光変調素子の画素ピッチより大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色光および前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光を含む出射光を出射する光源部と、
前記第1色光が照射されて前記第1色光を変調する第1光変調素子と、
前記他の色光が照射されて前記他の色光を変調する第2光変調素子と、
前記第1光変調素子が拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小するリレー光学系と、
前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写画像として投写する投写光学系と、
前記投写光学系のFナンバーを検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記Fナンバーに基づいて、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御して、前記投写画像のホワイトバランスを補正する制御部と、を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記第1光変調素子の画素ピッチは、前記第2光変調素子の画素ピッチより大きいことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
前記光源部は、第1偏光状態の前記第1色光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射した前記第1色光の一部を第2偏光状態に変換する位相差板と、前記第1偏光状態の前記第1色光および前記第2偏光状態の前記第1色光をそれぞれ分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子により分離された前記第1偏光状態の前記第1色光を前記他の色光に変換して反射する蛍光素子と、前記偏光分離素子により分離された前記第2偏光状態の前記第1色光を反射する拡散素子と、前記拡散素子で反射した前記第1色光および前記蛍光素子で反射した前記他の色光を合成して前記出射光とする合成素子と、を備え、
前記制御部は、前記位相差板の角度を制御することにより、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子から出射される光量を制御することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方の階調を制御することにより、前記記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記光源部は、前記第1色光を出射する第1光源と、前記他の色光を出射する第2光源と、を備え、
前記制御部は、前記第1光源および前記第2光源の少なくとも一方の光量を制御することにより、前記記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記第1色光は、青色光を含む第1波長帯であることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記他の色光は、前記第1色光よりも長い波長帯の第2色光と、前記第1色光および前記第2色光よりも長い波長帯の第3色光とを含み、
前記第2光変調素子は、前記第2色光が照射されて前記第2色光を変調する第3光変調素子と、前記第3色光が照射されて前記第3色光を変調する第4光変調素子と、を備え、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第3光変調素子および前記第4光変調素子の有効面積より大きく、
前記第1光変調素子の画素ピッチは、前記第3光変調素子および前記第4光変調素子の画素ピッチより大きいことを特徴とする請求項5に記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記第2色光は、緑色光を含む第2波長帯であり、
前記第3色光は、赤色光を含む第3波長帯であることを特徴とする請求項6に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記投写光学系は、ズームレンズであり、
前記検出部は、前記投写光学系の投写距離に基づいて、前記Fナンバーを検出することを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の光変調素子のうち1枚の光変調素子の有効面積を他の光変調素子の有効面積より大きくしたプロジェクターは、特許文献1に記載されている。同文献のプロジェクターは、青色光を変調する第1変調素子と、緑色光を変調する第2変調素子と、赤色光を変調する第3変調素子と、変調された各色光を合成するプリズムと、第2変調素子とプリズムとの間に配置された補正レンズと、プリズムから出射された合成光を投写画像として投写面に投写する投写レンズとを備える。第2光変調素子の光変調領域サイズは、第1光変調素子および第3光変調素子の光変調領域サイズより大きい。補正レンズは、第2変調素子から出射された光束幅を縮小して、第1光変調素子および第3光変調素子から出射された光の光束幅と同じにする。プリズムは、第2変調素子から出射する緑色光、第1変調素子から出射する青色光および第3変調素子から出射する赤色光を合成した合成光を出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-345767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプロジェクターでは、第1光変調素子、第2光変調素子および第3光変調素子の画素数が同じ場合、第2光変調素子の光変調領域サイズは、第1光変調素子および第3光変調素子の光変調領域サイズより大きいので、第2光変調素子の画素ピッチは、第1光変調素子および第3光変調素子の画素ピッチより広い。この結果、第1光変調素子および第3光変調素子から出射する光の強度分布は同じであるが、第2変調素子から出射する光の強度分布は、画素ピッチの違いに起因して回折の影響度合いが異なることにより、第1光変調素子および第3光変調素子から出射する光の強度分布と異なる。これにより、プリズムで合成された合成光が、投写レンズにより、投写画像として投写された際に、投写画像のホワイトバランスが所望の状態とはならないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のプロジェクターは、第1色光および前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光を含む出射光を出射する光源部と、前記第1色光が照射されて前記第1色光を変調する第1光変調素子と、前記他の色光が照射されて前記他の色光を変調する第2光変調素子と、前記第1光変調素子が拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小するリレー光学系と、前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写画像として投写する投写光学系と、前記投写光学系のFナンバーを検出する検出部と、前記検出部が検出したFナンバーに基づいて、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御して、前記投写画像のホワイトバランスを補正する制御部と、を有し、前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、前記第1光変調素子の画素ピッチは、前記第2光変調素子の画素ピッチより大きいことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1のプロジェクターの要部の概略図である。
図2】実施形態1の光源部の概略図である。
図3】色合成プリズムに入射する第1色光、第2色光および第3色光の光の強度分布の一例を示す図である。
図4】実施形態2のプロジェクターの要部の概略図である。
図5】実施形態3のプロジェクターの要部の概略図である。
図6】色合成プリズムに入射する第1色光、第2色光および第3色光の光の強度分布の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るプロジェクターを説明する。
【0008】
[実施形態1]
図1は、実施形態1のプロジェクター100の要部の概略図である。図1に示すように、プロジェクター100は、光源部1と、光源部1から出射した出射光LDを各色光に分離する分離光学系2と、分離光学系2で分離された各色光に対して変調して投写画像を形成する複数の光変調素子3と、複数の光変調素子3のうち1つで変調された色光の光束幅を縮小するリレー光学系4と、光変調素子3で変調された各色光を合成した合成光を出射する色合成プリズム5と、色合成プリズム5から出射した合成光を投写画像として投写する投写光学系6と、投写光学系6のFナンバーを検出する検出部7と、制御部8と、記憶部9とを有する。
【0009】
ここで、以下の説明では、便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、分離光学系2の第1光軸Nに沿った方向をX軸方向とする。X軸方向において、光源部1から出射した出射光LDが出射する方向を第1方向X1とし、その反対方向を第2方向X2とする。Y軸方向において、色合成プリズム5から合成光が出射する方向を第3方向Y1とし、その反対方向を第4方向Y2とする。
【0010】
(光源部)
図2は、実施形態1の光源部1の概略図である。光源部1は、第1色光および第1色光よりも長い波長帯の他の色光を含む出射光LDを出射する。本形態では、出射光LDは、白色光である。図2に示すように、光源部1は、発光素子11と、レンズ10と、位相差板12と、偏光分離素子13と、蛍光素子14と、拡散素子15と、を備える。発光素子11は、レーザーダイオードアレイである。発光素子11は、第1偏光状態の第1色光LBを出射する。本形態では、第1偏光状態は偏光分離素子13へ入射する光がS偏光であり、第1色光LBは青色光である。レンズ10は、発光素子11と位相差板12との間に配置される。レンズ10は、アフォーカル系を構成する。位相差板12は、発光素子11から出射した第1色光LBの一部を第2偏光状態に変換する。本形態では、第2偏光状態は、P偏光である。よって、位相差板12は、S偏光の第1色光LBの一部をP偏光の第1色光LBに変換する。ここで、位相差板12がS偏光をP偏光に変換する割合は、位相差板12に入射する第1色光LBに対する位相差板12の角度に基づいて変わる。本形態では、位相差板12に入射する第1色光LBに対する位相差板12の角度は、モータ120により制御される。より具体的には、モータ120は、位相差板12を回転させることが可能であり、モータ120が位相差板12を回転させることにより、位相差板12に入射する第1色光LBに対する位相差板12の角度が制御される。位相差板12としては、例えば1/2波長板を用いることができる。1/2波長板の遅相軸の角度に応じて、偏光方向の角度を変換することができる。
【0011】
偏光分離素子13は、S偏光の第1色光LBおよびP偏光の第1色光LBをそれぞれ分離する。偏光分離素子13は、S偏光の第1色光LBを反射し、P偏光の第1色光LBを透過する。偏光分離素子13により反射されたS偏光の第1色光LBは、ピックアップレンズ141を透過して、蛍光素子14に入射する。偏光分離素子13を透過したP偏光の第1色光LBは、ピックアップレンズ151を透過して、拡散素子15に入射する。
【0012】
蛍光素子14は、第1色光LBによって励起され、偏光分離素子13により分離されたS偏光の第1色光LBを第1色光LBよりも長い波長帯の他の色光LYに変換して反射する。本形態では、他の色光LYは、黄色光である。蛍光素子14で反射した他の色光LYは、偏光方向が揃っていない非偏光光となる。蛍光素子14で反射した他の色光LYは、ピックアップレンズ141を透過して、偏光分離素子13に到達する。
【0013】
拡散素子15は、偏光分離素子13により分離されたP偏光の第1色光LBを拡散反射する。拡散素子15としては、入射光をランバート反射させるもの等が用いられる。拡散素子15で反射した第1色光LBは、ピックアップレンズ151を透過して、偏光分離素子13に到達する。
【0014】
蛍光素子14で反射した他の色光LYは、偏光分離素子13を透過する。拡散素子15で反射した第1色光LBは、偏光分離素子13においてS偏光に変換されるとともに偏光分離素子13で反射される。これにより、偏光分離素子13は、第1色光LBおよび他の色光LYを同じ方向に出射する。すなわち、偏光分離素子13は、第1色光LBおよび他の色光LYを合成して出射光LDとする合成素子としても機能する。
【0015】
光源部1は、偏光分離素子13から出射した出射光LDを複数の光束に分割するインテグレータ光学系16と、インテグレータ光学系16から出射された出射光LDの偏光方向を揃える偏光変換素子17と、偏光変換素子17から出射した出射光LDを分離光学系2に向けて出射する重畳レンズ18と、を備える。インテグレータ光学系16は、複数枚のレンズアレイで構成される。レンズアレイは、複数のマイクロレンズがアレイ状に配置されたものである。偏光変換素子17は、PBSアレイで形成された光学素子である。偏光変換素子17は、図示は省略するが、偏光分離素子13から出射した出射光LDに含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸に垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸に平行な方向に反射する反射層と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有している。偏光変換素子17は、非偏光である他の色光LYの偏光方向およびS偏光である第1色光LBの偏光方向を、P偏光またはS偏光に変換する。
【0016】
ここで、光源部1は、モータ120によって位相差板12の角度が制御されることにより、蛍光素子14に到達するS偏光の第1色光LBの光量および拡散素子15に到達するP偏光の第1色光LBの光量の割合を変更することができるので、拡散素子15から出射する第1色光LBの光量と蛍光素子14から出射する他の色光LYの光量との割合を調整することが可能である。すなわち、光源部1は、モータ120によって位相差板12の角度が制御されることにより、出射光LDに含まれる第1色光LBおよび他の色光LYの光量の割合を調整することが可能である。
【0017】
(分離光学系)
分離光学系2は、第1方向X1に向かって順に、第2ダイクロイックミラー22、第1ダイクロイックミラー21、および延長光学系20を備える。第2ダイクロイックミラー22、第1ダイクロイックミラー21、および延長光学系20は、分離光学系2の第1光軸Nに沿って配置されている。第2ダイクロイックミラー22は、出射光LDを、第3色光LRと混合光LCとに分離する。第2ダイクロイックミラー22は、第3色光LRを第3方向Y1に反射し、混合光LCを第1方向X1に向けて透過する。第1ダイクロイックミラー21は、混合光LCを、第1色光LBと第2色光LGとに分離する。第1ダイクロイックミラー21は、第2色光LGを第3方向Y1に反射し、第1色光LBを第1方向X1に向けて透過する。第1色光LBは、青色光を含む第1波長帯である。第2色光LGは、緑色光を含む第2波長帯である。第3色光LRは、赤色光を含む第3波長帯である。第1波長帯は、例えば、420nm~500nmである。第2波長帯は、例えば、500nm~600nmである。第3波長帯は、例えば、600nm~680nmである。混合光LCの波長帯は、例えば、420nm~600nmである。本形態では、第1色光LBは、青色光である。第2色光LGは、緑色光である。第3色光LRは、赤色光である。
【0018】
延長光学系20は、分離光学系2の光路を第1方向X1に延長する。延長光学系20は、複数のレンズ26を備える。複数のレンズ26は、分離光学系2の第1光軸Nに沿って配置されている。延長光学系20は、第1ダイクロイックミラー21と後述する第1光変調素子31との間に配置されている。
【0019】
ここで、第2ダイクロイックミラー22の第3方向Y1には、第2ダイクロイックミラー22で分離された第3色光LRを第1方向X1に向けて反射する反射ミラー24が配置されている。第2ダイクロイックミラー22と反射ミラー24との間、および第2ダイクロイックミラー22と第1ダイクロイックミラー21との間には、それぞれ、レンズ23が配置されている。反射ミラー24の第1方向X1および第1ダイクロイックミラー21の第3方向Y1には、それぞれ、レンズ25が配置されている。レンズ23およびレンズ25は、第2色光LGおよび第3色光LRを光変調素子3の近傍に集光させる。
【0020】
(光変調素子)
光変調素子3は、液晶パネルである。光変調素子3は、第1色光LBが照射されて第1色光LBを変調する第1光変調素子31と、第2色光LGが照射されて第2色光LGを変調する第3光変調素子32と、第3色光LRが照射されて第3色光LRを変調する第4光変調素子33とを備える。第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33は、それぞれ、入射側偏光板35と出射側偏光板36とを備える。なお、第3光変調素子32および第4光変調素子33は、本発明の「第2光変調素子」に相当する。
【0021】
第1光変調素子31は、延長光学系20の第1方向X1であって、第1光軸N上に配置されている。第3光変調素子32は、色合成プリズム5の第2面部52と対向する位置に配置されている。第4光変調素子33は、色合成プリズム5の第3面部53と対向する位置に配置されている。
【0022】
第1光変調素子31の有効面積は、第3光変調素子32および第4光変調素子33の有効面積より大きい。ここで、有効面積とは、光変調素子の有効表示領域の面積を示す。本形態では、第1光変調素子31は、有効表示領域の対角寸法が1.03インチの液晶パネルであり、第3光変調素子32および第4光変調素子33は、有効表示領域の対角寸法が0.67インチの液晶パネルである。第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33の画素数は、それぞれ同じである。例えば、第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33の画素数は、WUXGA(1920×1200)である。このため、第1光変調素子31の画素ピッチは、第3光変調素子32および第4光変調素子33の画素ピッチとは異なる。より具体的には、第1光変調素子31の画素ピッチは、第3光変調素子32および第4光変調素子33の画素ピッチより大きい。ここで、本明細書で示す画素ピッチとは、画素の1辺の寸法を示す。
【0023】
(リレー光学系)
リレー光学系4は、第1光変調素子31がリレー光学系4の拡大側結像面40Aに配置され、第1光変調素子31で変調された第1色光LBの光束幅を縮小側結像面40Bで縮小する。すなわち、リレー光学系4は、変倍する光学系である。本形態では、リレー光学系4は、第1光変調素子31で変調された第1色光LBの1.03インチの光束幅を、縮小側結像面40Bで0.67インチの光束幅に縮小する。縮小側結像面40Bは、色合成プリズム5の第1面部51と対向する位置に配置されている。縮小側結像面40Bおよび色合成プリズム5の第1面部51の距離は、第3光変調素子32および色合成プリズム5の第2面部52の距離と同じである。また、縮小側結像面40Bおよび色合成プリズム5の第1面部51の距離は、第4光変調素子33および色合成プリズム5の第3面部53の距離と同じである。
【0024】
ここで、プロジェクター100は、縮小側結像面40Bと第1面部51との間に配置された偏光板27を有する。偏光板27と第1光変調素子31の出射側偏光板36とは、第1色光LBに含まれる偏光成分のうち同一方向の直線偏光成分を透過させる。すなわち、第1光変調素子31の出射側偏光板36が第1色光LBのS偏光を透過させる場合には、偏光板27はS偏光を透過させ、第1光変調素子31の出射側偏光板36が第1色光LBのP偏光を透過させる場合には、偏光板27はP偏光を透過させる。
【0025】
リレー光学系4は、拡大側から縮小側に向かって順に、複数のレンズからなり正のパワーを有する第1レンズ群G1と、1枚または2枚のレンズを有するとともに少なくとも一方が負のレンズであって負のパワーを有する第2レンズ群G2と、複数のレンズからなり正のパワーを有する第3レンズ群G3と、を備える。リレー光学系4は、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に絞り45を備える。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、リレー光学系4の第2光軸Mに沿って配置されている。
【0026】
第1レンズ群G1のレンズ枚数と第3レンズ群G3のレンズ枚数は、同じである。より具体的には、第1レンズ群G1は、レンズL1~レンズL4の4枚のレンズからなる。第3レンズ群G3は、レンズL7~レンズL10の4枚のレンズからなる。
【0027】
第2レンズ群G2は、レンズL5およびレンズL6の2枚のレンズからなる。レンズL5およびレンズL6は、少なくも一方が負のレンズである。レンズL2~レンズL10は、第2光軸MのX軸方向に延びる一部分M1に配置されている。レンズL1は、第2光軸MのY軸方向に延びる他の部分M2に配置されている。
【0028】
リレー光学系4は、第1光変調素子31により変調された第1色光LBを第3方向Y1に反射する第1反射ミラー41と、第1反射ミラー41で反射された第1色光LBを第2方向X2に反射する第2反射ミラー42とを備える。第1反射ミラー41は、レンズL1の第4方向Y2方向に配置されている。第2反射ミラー42は、レンズL1とレンズL2との間に配置されている。
【0029】
(合成プリズム)
色合成プリズム5は、第1色光LBが入射する第1面部51、第2色光LGが入射する第2面部52、第3色光LRが入射する第3面部53および合成光LEを出射する第4面部54を備える。第1面部51と第3面部53とは、X軸方向で対向する。第2面部52と第4面部54とは、Y軸方向で対向する。色合成プリズム5は、リレー光学系4で光束幅が縮小された第1色光LB、第3光変調素子32で変調された第2色光LG、および第4光変調素子33で変調された第3色光LRを合成した合成光LEを、第4面部54から第3方向Y1に出射する。ここで、色合成プリズム5の第1面部51に入射する第1色光LBの光束幅は、色合成プリズム5の第2面部52に入射する第2色光LGおよび色合成プリズム5の第3面部53に入射する第3色光LRの光束幅と同じである。
【0030】
(投写光学系)
投写光学系6は、色合成プリズム5から出射した合成光LEを投写画像としてスクリーンS(投写面)に投写する。投写光学系6は、複数枚のレンズを備える。本形態では、投写光学系6は、ズームレンズである。投写光学系6は、ズーム環を回転させることにより、投写距離を可変する。投写光学系6のFナンバーは、投写距離に基づいて、変更される。
【0031】
(検出部)
検出部7は、投写光学系6のFナンバーを検出する。本形態では、検出部7は、投写光学系6の投写距離に基づいて、Fナンバーを検出する。例えば、検出部7は、投写光学系6の投写距離が変更される毎に、Fナンバーを検出する。なお、検出部7は、投写光学系6の広角端、中間位置、望遠端の3箇所などの複数の投写位置に基づいて、Fナンバーを検出してもよい。
【0032】
検出部7は、投写距離に基づくズーム位置を検出するズーム位置検出部71と、記憶部9に記憶されたズーム位置に対応したFナンバーの情報からズーム位置検出部71が検出したズーム位置に対応するFナンバーを出力する出力部72とを備える。ズーム位置検出部71は、例えば、角度センサ、エンコーダ、抵抗式位置検出センサなどである。出力部72は、制御部8に設けられる。
【0033】
(記憶部)
記憶部9には、投写距離に基づくズーム位置に対応したFナンバー、Fナンバーに対応した位相差板12の角度の情報が記憶されている。本形態では、Fナンバーに対応した位相差板12の角度の情報に基づいて、制御部8がモータ120を制御して位相差板12を回転させる。
【0034】
(制御部)
制御部8は、光源部1から出射される出射光LDを制御する光源駆動部81、光変調素子3を動作させる表示駆動部82、および出力部72を備える。表示駆動部82は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて光変調素子3を動作させる。
【0035】
光源駆動部81は、電源駆動部811と、光源調整部812とを備える。電源駆動部811は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて発光素子11から出射される出射光LDを制御する。光源調整部812は、出力部72が出力したFナンバーに基づいて、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正する。より具体的には、光源調整部812は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した位相差板12の角度の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する位相差板12の角度の情報に基づいて、モータ120により位相差板12の角度を制御することにより、出射光LDに含まれる第1色光LBおよび他の色光LYの光量の割合を調整して、第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33から出射される光量を制御する。これにより、光源調整部812は、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正する。
【0036】
(ホワイトバランスの補正)
プロジェクター100のホワイトバランスの補正について説明する。図3は、色合成プリズム5に入射する第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRの光の強度分布の一例を示す図である。なお、図3に示す、第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRの強度分布は、それぞれの光変調素子の光軸に沿う方向の光量を基準に正規化したものである。
【0037】
図3に示すように、第3光変調素子32および第4光変調素子33の画素ピッチは、同じであるので、第2色光LGおよび第3色光LRの光の強度分布は、ほぼ同じ形状である。一方、第1光変調素子31の画素ピッチは、第3光変調素子32および第4光変調素子33の画素ピッチより大きいので、第1色光LBは、画素ピッチの回折の影響を受けにくく、第2色光LGおよび第3色光LRよりも回折角が小さい。図3に示すように、第1色光LBの光の強度分布は、第2色光LGおよび第3色光LRの光の強度分布と比較すると、投写光学系6で利用される光の透過角度が広がったとしても最大値からの変化が少ない。よって、色合成プリズム5に入射する第1色光LBの光の強度分布は、色合成プリズム5に入射する第2色光LGおよび第3色光LRの光の強度分布とは異なるので、色合成プリズム5で合成された合成光LEが投写光学系6によってスクリーンSに投写画像として投写された場合、スクリーンS上における投写画像のホワイトバランスは、投写光学系6のFナンバーに基づいて変化する。例えば、図3に示す光の強度分布の場合、Fナンバーが小さいと投写光学系6で利用される光の透過角度範囲が大きくなり、第1色光LBに対して、相対的に第2色光LGおよび第3色光LRの光量の割合が大きくなるので、スクリーンS上における投写画像は、黄色みが強い投写画像となり、Fナンバー大きいと投写光学系6で利用される光の透過角度範囲が小さくなり、第2色光LGおよび第3色光LRに対して、相対的に第1色光LBの光量の割合が大きくなるので、スクリーンS上における投写画像は、青色みが強い投写画像となる。このため、スクリーンS上における投写画像のホワイトバランスを補正するためには、色合成プリズム5に入射する第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRの光量のうち少なくとも1つの光量を調整する必要がある。
【0038】
したがって、本形態のプロジェクター100では、検出部7が投写光学系6のFナンバーを検知すると、光源調整部812は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した位相差板12の角度の情報から検出部7が検出したFナンバーに対応する位相差板12の角度の情報に基づいて、モータ120を制御して位相差板12を回転させる。これにより、第1色光LBおよび他の色光LYの光量の割合が調整された出射光LDが光源部1から出射される。
【0039】
光源部1から出射された出射光LDは、分離光学系2によって、第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRに分離される。分離された第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRは、それぞれ、光変調素子3に入射する。このとき、光変調素子3に入射する第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRの光量の割合は、光源調整部812により調整されているので、第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33から出射される光量は、Fナンバーに基づいて、適切に制御されている。これにより、スクリーンS上における投写画像のホワイトバランスは、投写光学系6のFナンバーに基づいて、適切に補正される。
【0040】
(作用効果)
本形態のプロジェクター100によれば、光源調整部812は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した位相差板12の角度の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する位相差板12の角度の情報に基づいて、モータ120により位相差板12の角度を制御することにより、出射光LDに含まれる第1色光LBおよび他の色光LYの光量の割合を調整して、第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33から出射される光量を制御する。これにより、光源調整部812は、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正することが可能である。この結果、プロジェクター100は、ホワイトバランスが所望の状態となった投写画像をスクリーンSに投写することができる。
【0041】
本形態では、投写光学系6は、ズームレンズである。検出部7は、投写光学系6の投写距離に基づいて、Fナンバーを検出する。よって、投写光学系の投写距離が変更された場合であっても、プロジェクター100は、投写光学系6のFナンバーに基づいて、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを適切に補正することができる。
【0042】
[実施形態2]
図4は、実施形態2のプロジェクター100Aの要部の概略図である。実施形態2のプロジェクター100Aは、光源部1および制御部8の構成が、実施形態1のプロジェクター100とは相違する。よって、実施形態2では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0043】
光源部1は、第1色光および第1色光よりも長い波長帯の他の色光を含む出射光LDを出射する。図4に示すように、光源部1は、発光部111と、照明光学系19とを備える。発光部111は、例えば、超高圧水銀ランプ、固体光源等で構成される。発光部111は、出射光LDを出射する。本形態では、出射光LDは、白色光である。第1色光は、青色光であり、他の色光は、緑色光および赤色光である。出射光LDに含まれる青色光、緑色光および赤色光の光量は、等しい。
【0044】
照明光学系19は、マルチレンズ191、偏光ビームスプリッタ192、マルチレンズ193、およびリレーレンズ194を備える。マルチレンズ191は、発光部111から出射した出射光LDを複数に分割する。偏光ビームスプリッタ192は、マルチレンズ191から出射した出射光LDの偏光方向を変換する。マルチレンズ193は、偏光ビームスプリッタ192から出射した出射光LDをリレーレンズ194の近傍に集光させる。リレーレンズ194は、マルチレンズ193から入射した出射光LDを拡大して、分離光学系2に向けて出射する。
【0045】
(検出部)
検出部7は、投写距離に基づくズーム位置を検出するズーム位置検出部71と、記憶部9に記憶されたズーム位置に対応したFナンバーの情報からズーム位置検出部71が検出したズーム位置に対応するFナンバーを出力する出力部72とを備える。
【0046】
(記憶部)
記憶部9には、投写距離に基づくズーム位置に対応したFナンバー、Fナンバーに対応した第1光変調素子31の階調の情報が記憶されている。本形態では、Fナンバーに対応した第1光変調素子31の階調の情報に基づいて、制御部8が第1光変調素子31の階調を制御する。
【0047】
(制御部)
制御部8は、光源部1から出射される出射光LDを制御する光源駆動部81、光変調素子3を動作させる表示駆動部82、および出力部72を備える。
【0048】
光源駆動部81は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて発光部111から出射される出射光LDを制御する。表示駆動部82は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて光変調素子3を動作させる。また、表示駆動部82は、出力部72が出力したFナンバーに基づいて、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正する。より具体的には、表示駆動部82は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した第1光変調素子31の階調の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する第1光変調素子31の階調の情報に基づいて、第1光変調素子31の階調を制御することにより、第1光変調素子31から出射される光量を制御する。この結果、第1光変調素子31から出射される光量は、Fナンバーに基づいて、適切に制御されているので、スクリーンS上における投写画像のホワイトバランスは、投写光学系6のFナンバーに基づいて、適切に補正される。
【0049】
(作用効果)
本形態のプロジェクター100Aによれば、表示駆動部82は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した第1光変調素子31の階調の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する第1光変調素子31の階調の情報に基づいて、第1光変調素子31の階調を制御することにより、第1光変調素子31から出射される光量を制御する。これにより、表示駆動部82は、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正することが可能である。この結果、プロジェクター100Aは、ホワイトバランスが所望の状態となった投写画像をスクリーンSに投写することができる。
【0050】
なお、本形態では、表示駆動部82は、検出部7が検出したFナンバーに基づいて、第1光変調素子31の階調のみ制御したが、表示駆動部82は、第3光変調素子32および第4光変調素子33の階調を制御してもよい。この場合、記憶部9には、投写距離に基づくズーム位置に対応したFナンバー、Fナンバーに対応した第1光変調素子31、第3光変調素子32および第4光変調素子33の階調の情報が、それぞれ、記憶されている。表示駆動部82は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した各光変調素子3の階調の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する各光変調素子3の階調の情報に基づいて、各光変調素子3の階調を制御することにより、各光変調素子3から出射される光量を、それぞれ制御する。これにより、表示駆動部82は、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正することが可能である。
【0051】
[実施形態3]
図5は、実施形態3のプロジェクター100Bの要部の概略図である。実施形態3のプロジェクター100Aは、光源部1および制御部8の構成が、実施形態1のプロジェクター100とは相違する。よって、実施形態3では、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0052】
光源部1は、第1色光および第1色光よりも長い波長帯の他の色光を含む出射光LDを出射する。図5に示すように、光源部1は、第1発光部121、第2発光部122、第3発光部123、第1ダイクロイックミラー124および第2ダイクロイックミラー125を備える。第1発光部121、第1ダイクロイックミラー124および第2ダイクロイックミラー125は、第1方向X1に向かってこの順で配列されている。
【0053】
第1発光部121は、第1ダイクロイックミラー124の第2方向X2に配置されている。第1発光部121は、青色光を含む第1波長帯である第1色光LBを、第1ダイクロイックミラー124に向けて出射する。第1発光部121は、例えば、青色光を出射する青色発光ダイオードである。第2発光部122は、第1ダイクロイックミラー124の第3方向Y1に配置されている。第2発光部122は、緑色光を含む第2波長帯である第2色光LGを、第1ダイクロイックミラー124に向けて出射する。第2発光部122は、例えば、緑色光を出射する緑色発光ダイオードである。第3発光部123は、第2ダイクロイックミラー125の第3方向Y1に配置されている。第3発光部123は、赤色光を含む第3波長帯である第3色光LRを、第2ダイクロイックミラー125に向けて出射する。第3発光部123は、例えば、赤色光を出射する赤色発光ダイオードである。ここで、第1発光部121は、本発明の「第1光源」に相当し、第2発光部122および第3発光部123は、本発明の「第2光源」に相当する。
【0054】
第1ダイクロイックミラー124は、第1色光LBを透過するとともに第2色光LGを反射して、第1色光LBと第2色光LGとを合成した光を出射する。第2ダイクロイックミラー125は、第1色光LBおよび第2色光LGを透過するとともに、第3色光LRを反射して、第1色光LB、第2色光LGおよび第3色光LRを合成した出射光LD出射する。出射光LDは、白色光である。ここで、第1波長帯は、例えば、420nm~500nmである。第2波長帯は、例えば、500nm~600nmである。第3波長帯は、例えば、600nm~680nmである。
【0055】
(検出部)
検出部7は、投写距離に基づくズーム位置を検出するズーム位置検出部71と、記憶部9に記憶されたズーム位置に対応したFナンバーの情報からズーム位置検出部71が検出したズーム位置に対応するFナンバーを出力する出力部72とを備える。
【0056】
(記憶部)
記憶部9には、投写距離に基づくズーム位置に対応したFナンバー、Fナンバーに対応した第1発光部121の光量の情報が記憶されている。本形態では、Fナンバーに対応した第1発光部121の光量の情報に基づいて、制御部8が第1発光部121の光量を制御する。
【0057】
(制御部)
制御部8は、光源部1から出射される出射光LDを制御する光源駆動部81、光変調素子3を動作させる表示駆動部82、および出力部72を備える。表示駆動部82は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて光変調素子3を動作させる。
【0058】
光源駆動部81は、ビデオ信号等の外部画像信号に基づいて、第1発光部121、第2発光部122および第3発光部123を制御する。また、光源駆動部81は、出力部72が出力したFナンバーに基づいて、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正する。より具体的には、光源駆動部81は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した第1発光部121の光量の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する第1発光部121の光量の情報に基づいて、第1発光部121から出射される第1色光LBの光量を制御することにより、第1光変調素子31から出射される光量を制御する。この結果、第1光変調素子31から出射される光量は、Fナンバーに基づいて、適切に制御されているので、スクリーンS上における投写画像のホワイトバランスは、投写光学系6のFナンバーに基づいて、適切に補正される。
【0059】
(作用効果)
本形態のプロジェクター100Bによれば、光源駆動部81は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した第1発光部121の光量の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する第1発光部121の光量の情報に基づいて、第1発光部121から出射される第1色光LBの光量を制御することにより、第1光変調素子31から出射される光量を制御する。これにより、光源駆動部81は、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正することが可能である。この結果、プロジェクター100Bは、ホワイトバランスが所望の状態となった投写画像をスクリーンSに投写することができる。
【0060】
なお、本形態では、光源駆動部81は、検出部7が検出したFナンバーに基づいて、第1発光部121から出射される第1色光LBの光量のみ制御したが、表示駆動部82は、第2発光部122および第3発光部123から出射される他の色光の光量を制御してもよい。この場合、記憶部9には、投写距離に基づくズーム位置に対応したFナンバー、Fナンバーに対応した第1発光部121、第2発光部122および第3発光部123の光量の情報が、それぞれ、記憶されている。光源駆動部81は、記憶部9に記憶されたFナンバーに対応した各発光部の光量の情報から出力部72が出力したFナンバーに対応する各発光部の光量の情報に基づいて、各発光部の光量を制御することにより、各光変調素子3から出射される光量を、それぞれ制御する。これにより、表示駆動部82は、スクリーンSにおける投写画像のホワイトバランスを補正することが可能である。
【0061】
[他の実施形態]
上記形態では、第1色光は、青色光を含む第1波長帯であったが、これに限定されない。例えば、第1色光は、緑色光を含む第2波長帯であり、第2色光は、青色光を含む第1波長帯であってもよい。この場合、第1光変調素子31は、緑色光を含む第2波長帯である第1色光を変調し、第3光変調素子32は、青色光を含む第1波長帯である第2色光を変調する。
【0062】
上記形態のプロジェクターに対して、投写光学系6は着脱可能な交換式の光学系であってもよい。この場合、投写光学系6は、ズームレンズではなく、単焦点レンズであってもよい。投写光学系6が単焦点レンズの場合には、検出部7は、取り付けられた投写光学系6のFナンバーを検出すればよい。Fナンバーの検出方法としては、例えば、Fナンバーが記録されたチップなどを投写光学系6に設け、検出部7は、このチップに記憶されたFナンバーの情報を検出してもよい。また、Fナンバーに基づいた固有な形状を投写光学系6に形成しておき、検出部7は、この形状からFナンバーを検出してもよい。
【0063】
上記実施形態では、光変調素子における画素ピッチの寸法の違いに起因した回折光の影響の違いに着目した。他の実施形態としては、例えば、リレー光学系4の設計要因等によっては、図6に示すような強度分布となり得ることもあるので、このような場合においても、上記実施形態の技術思想をもとに、投写面における投写画像のホワイトバランスを適切に補正することができる。
【0064】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
【0065】
(付記1)
第1色光および前記第1色光よりも長い波長帯の他の色光を含む出射光を出射する光源部と、
前記第1色光が照射されて前記第1色光を変調する第1光変調素子と、
前記他の色光が照射されて前記他の色光を変調する第2光変調素子と、
前記第1光変調素子が拡大側結像面に配置され、前記第1光変調素子で変調された前記第1色光の光束幅を縮小側結像面で縮小するリレー光学系と、
前記リレー光学系で光束幅が縮小された前記第1色光および前記第2光変調素子で変調された前記他の色光を合成した合成光を出射する色合成プリズムと、
前記色合成プリズムから出射した前記合成光を投写画像として投写する投写光学系と、
前記投写光学系のFナンバーを検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記Fナンバーに基づいて、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御して、前記投写画像のホワイトバランスを補正する制御部と、を有し、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第2光変調素子の有効面積より大きく、
前記第1光変調素子の画素ピッチは、前記第2光変調素子の画素ピッチより大きいことを特徴とするプロジェクター。
【0066】
これにより、第1光変調素子の有効面積は、第2光変調素子の有効面積より大きく、第1光変調素子の画素ピッチは、第2光変調素子の画素ピッチより大きい場合であっても、プロジェクターは、投写光学系のFナンバーに基づいて、第1光変調素子および第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御して、投写画像のホワイトバランスを補正することができる。
【0067】
(付記2)
前記光源部は、第1偏光状態の前記第1色光を出射する発光素子と、前記発光素子から出射した前記第1色光の一部を第2偏光状態に変換する位相差板と、前記第1偏光状態の前記第1色光および前記第2偏光状態の前記第1色光をそれぞれ分離する偏光分離素子と、前記偏光分離素子により分離された前記第1偏光状態の前記第1色光を前記他の色光に変換して反射する蛍光素子と、前記偏光分離素子により分離された前記第2偏光状態の前記第1色光を拡散する拡散素子と、前記拡散素子で反射した前記第1色光および前記蛍光素子で反射した前記他の色光を合成して前記出射光とする合成素子と、を備え、
前記制御部は、前記位相差板の角度を制御することにより、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子から出射される光量を制御することを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0068】
これにより、制御部は、位相差板の角度を制御することにより、出射光に含まれる第1色光および他の色光の光量の割合を調整して、第1光変調素子および第2光変調素子から出射される光量を制御することができる。この結果、プロジェクターは、投写光学系のFナンバーに基づいて、投写面における投写画像のホワイトバランスを補正することができる。
【0069】
(付記3)
前記制御部は、前記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方の階調を制御することにより、前記記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御することを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0070】
これにより、プロジェクターは、投写光学系のFナンバーに基づいて、投写画像のホワイトバランスを補正することができる。
【0071】
(付記4)
前記光源部は、前記第1色光を出射する第1光源と、前記他の色光を出射する第2光源と、を備え、
前記制御部は、前記第1光源および前記第2光源の少なくとも一方の光量を制御することにより、前記記第1光変調素子および前記第2光変調素子の少なくとも一方から出射される光量を制御することを特徴とする付記1に記載のプロジェクター。
【0072】
これにより、プロジェクターは、投写光学系のFナンバーに基づいて、投写画像のホワイトバランスを補正することができる。
【0073】
(付記5)
前記第1色光は、青色光を含む第1波長帯であることを特徴とする付記1から4のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【0074】
(付記6)
前記他の色光は、前記第1色光よりも長い波長帯の第2色光と、前記第1色光および前記第2色光よりも長い波長帯の第3色光とを含み、
前記第2光変調素子は、前記第2色光が照射されて前記第2色光を変調する第3光変調素子と、前記第3色光が照射されて前記第3色光を変調する第4光変調素子と、を備え、
前記第1光変調素子の有効面積は、前記第3光変調素子および前記第4光変調素子の有効面積より大きく、
前記第1光変調素子の画素ピッチは、前記第3光変調素子および前記第4光変調素子の画素ピッチより大きいことを特徴とする付記5に記載のプロジェクター。
【0075】
これにより、プロジェクターは、複数の色光を合成した合成光を投写することができる。
【0076】
(付記7)
前記第2色光は、緑色光を含む第2波長帯であり、
前記第3色光は、赤色光を含む第3波長帯であることを特徴とする付記6に記載のプロジェクター。
【0077】
これにより、プロジェクターは、フルカラーの合成光を投写することができる。
【0078】
(付記8)
前記投写光学系は、ズームレンズであり、
前記検出部は、前記投写光学系の投写距離に基づいて、前記Fナンバーを検出することを特徴とする付記1から7のうち何れか一項に記載のプロジェクター。
【0079】
これにより、投写光学系の投写距離が変更された場合であっても、プロジェクターは、投写光学系のFナンバーに基づいて、投写画像のホワイトバランスを適切に補正することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…光源部、2…分離光学系、3…光変調素子、4…リレー光学系、5…色合成プリズム、6…投写光学系、7…検出部、8…制御部、9…記憶部、10…レンズ、11…発光素子、12…位相差板、13…偏光分離素子、14…蛍光素子、15…拡散素子、16…インテグレータ光学系、17…偏光変換素子、18…重畳レンズ、19…照明光学系、20…延長光学系、21…第1ダイクロイックミラー、22…第2ダイクロイックミラー、23…レンズ、24…反射ミラー、25…レンズ、26…レンズ、27…偏光板、31…第1光変調素子、32…第3光変調素子、33…第4光変調素子、35…入射側偏光板、36…出射側偏光板、40A…拡大側結像面、40B…縮小側結像面、41…第1反射ミラー、42…第2反射ミラー、51…第1面部、52…第2面部、53…第3面部、54…第4面部、71…ズーム位置検出部、72…出力部、81…光源駆動部、82…表示駆動部、100・100A・100B…プロジェクター、111…発光部、120…モータ120…第1発光部、122…第2発光部、123…第3発光部、124…第1ダイクロイックミラー、125…第2ダイクロイックミラー、141…ピックアップレンズ、151…ピックアップレンズ、191…マルチレンズ、192…偏光ビームスプリッタ、193…マルチレンズ、194…リレーレンズ、811…電源駆動部、812…光源調整部、G1…第1レンズ群、G2…第2レンズ群、G3…第3レンズ群、L1~L10…レンズ、LB…第1色光、LC…混合光、LD…出射光、LG…第2色光、LR…第3色光、LY…他の色光、LE…合成光、S…スクリーン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6