(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121203
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】電力変換装置および充放電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240830BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240830BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240830BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240830BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240830BHJP
H01M 10/637 20140101ALI20240830BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20240830BHJP
B60L 50/60 20190101ALN20240830BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20240830BHJP
B60L 53/22 20190101ALN20240830BHJP
B60L 55/00 20190101ALN20240830BHJP
B60L 58/12 20190101ALN20240830BHJP
B60L 58/25 20190101ALN20240830BHJP
【FI】
H02M3/155 W
H02M3/155 H
H02J7/00 L
H02J7/00 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/637
H01M10/633
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/22
B60L55/00
B60L58/12
B60L58/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028167
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 隆
(72)【発明者】
【氏名】鵜野 将年
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
5H125
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CB11
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H031AA09
5H031HH06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BB05
5H125BC05
5H125BC21
5H125BC24
5H125CD09
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H730AA15
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB82
5H730BB89
5H730DD04
5H730DD12
5H730DD16
5H730EE13
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FG05
5H730FG22
(57)【要約】
【課題】
昇圧・降圧が可能な共振形スイッチトキャパシタコンバータに、蓄電池に交流電流を印可して昇温する機能を、追加部品が少ない簡易な構成で追加する。
【解決手段】
外部と接続される第1側に設けられた第1の平滑キャパシタCinと、蓄電池14が接続される第2側に設けられた第2の平滑キャパシタCoutと、1つの相5の中に複数のスイッチQ1A~Q4Aと、キャパシタCfAおよびインダクタLAで構成された共振タンクとを有する少なくとも1つの相5とを有する共振形スイッチトキャパシタコンバータと、第1の状態では相5の外部接続ノード5Aと第1の平滑キャパシタCinとを接続し、第2の状態では相5の外部接続ノード5Aと蓄電池の中点14Aとを接続するように切り替えるリレー2と、複数のスイッチQ1A~Q4Aとリレー2とを制御し、制御モードとして、充電・放電・昇温・待機のうち1つを選択的に実行する制御部3とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と接続される第1側に設けられた第1の平滑キャパシタと、蓄電池が接続される第2側に設けられた第2の平滑キャパシタと、1つの相の中に複数のスイッチと、キャパシタおよびインダクタで構成された共振タンクとを有する少なくとも1つの相とを有する共振形スイッチトキャパシタコンバータと、
第1の状態では前記相の外部接続ノードと前記第1の平滑キャパシタとを接続し、第2の状態では前記相の前記外部接続ノードと前記蓄電池の中点とを接続するように、前記相の前記外部接続ノードの接続先を切り替えるリレーと、
前記複数のスイッチと前記リレーとを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、制御モードとして、前記外部からの電力を昇圧して前記蓄電池に充電させる制御を行う充電モードと、前記蓄電池から前記外部に降圧して放電させる制御を行う放電モードと、前記蓄電池に交流電流を印可して昇温する制御を行う昇温モードと、前記蓄電池の充電・放電・昇温を行わず待機する待機モードとを有し、前記制御モードの1つを選択的に実行することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記充電モードおよび前記放電モードでは、前記リレーを前記第1の状態に制御することを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御部は、前記昇温モードでは、前記リレーを前記第2の状態に制御するとともに、前記複数のスイッチを制御して前記蓄電池に前記交流電流を印可することを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記共振形スイッチトキャパシタコンバータの前記相は、
互いに直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチおよび第3のスイッチおよび第4のスイッチと、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間の接続ノードと前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間の接続ノードとの間に設けられた前記キャパシタと、
前記第2のスイッチと前記第3のスイッチとの間の接続ノードと前記外部接続ノードとの間に設けられた前記インダクタとを有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記共振形スイッチトキャパシタコンバータの前記相は、
互いに直列に接続された第1のスイッチおよび第2のスイッチおよび第3のスイッチおよび第4のスイッチと、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間の接続ノードと前記第3のスイッチと前記第4のスイッチとの間の接続ノードとの間に設けられ、互いに直列接続された前記キャパシタおよび前記インダクタと、
前記第2のスイッチと前記第3のスイッチとの間に設けられた前記外部接続ノードとを有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の電力変換装置と、
外部からの充放電の要求と、前記蓄電池の充電状態と、前記蓄電池の温度とに基づいて、前記電力変換装置の前記制御部に実行させる前記制御モードを選択する統合制御装置とを有することを特徴とする充放電システム。
【請求項7】
請求項6において、
前記統合制御装置は、外部から放電の要求があった場合には、
前記蓄電池の充電状態が放電閾値より大きく、前記蓄電池の温度が温度閾値以下の場合は、前記昇温モードを選択し、
前記蓄電池の充電状態が前記放電閾値より大きく、前記蓄電池の温度が前記温度閾値より大きい場合は、前記放電モードを選択し、
前記蓄電池の充電状態が前記放電閾値以下の場合は、前記待機モードを選択する
ことを特徴とする充放電システム。
【請求項8】
請求項6において、
前記統合制御装置は、外部から充電の要求があった場合には、
前記昇温モードを選択中で、前記蓄電池の充電状態が昇温閾値より大きく、前記蓄電池の温度が温度閾値以下の場合は、前記昇温モードを選択し、
前記昇温モードを選択中で、前記蓄電池の充電状態が前記昇温閾値より大きく、前記蓄電池の温度が前記温度閾値より大きい場合は、前記充電モードを選択し、
前記昇温モードを選択中で、前記蓄電池の充電状態が前記昇温閾値以下の場合は、前記充電モードを選択し、
前記昇温モードを選択中ではなく、前記蓄電池の充電状態が前記昇温閾値より大きい充電閾値より大きく、前記蓄電池の温度が前記温度閾値より大きい場合は、前記待機モードを選択し、
前記昇温モードを選択中ではなく、前記蓄電池の充電状態が前記充電閾値より大きく、前記蓄電池の温度が前記温度閾値以下の場合は、前記昇温モードを選択し、
前記昇温モードを選択中ではなく、前記蓄電池の充電状態が前記充電閾値以下の場合は、前記充電モードを選択する
ことを特徴とする充放電システム。
【請求項9】
請求項6において、
前記統合制御装置は、外部から充放電の要求がない場合には、
前記蓄電池の充電状態が昇温閾値より大きく、前記蓄電池の温度が温度閾値以下の場合は、前記昇温モードを選択し、
前記蓄電池の充電状態が前記昇温閾値より大きく、前記蓄電池の温度が前記温度閾値より大きい場合は、前記待機モードを選択し、
前記蓄電池の充電状態が前記昇温閾値以下の場合は、前記待機モードを選択する
ことを特徴とする充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置および充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池の中でも、特に車両用蓄電池は、極低温時でも動作しなければならないが、極低温時には、内部抵抗が増加して出力電圧が低下する、あるいは、蓄電池の電力の容量が低下するという蓄電池の低温による特性の劣化(低温劣化)が起こるため、蓄電池の昇温が必要となる。
【0003】
蓄電池の昇温には、外付けヒータなどによって外部から加熱する外部加熱方式と、交流電流を蓄電池に印可して加熱する交流内部加熱方式がある。交流内部加熱方式は、加熱ムラがなく、加熱効率が高いという利点がある。
【0004】
交流内部加熱方式に関する技術としては、例えば非特許文献1がある。
【0005】
図28は、従来の電力変換装置の回路構成を説明する回路図である。
図28は、非特許文献1のFig.7に記載された回路に対応する図である。
【0006】
図28に示すように、非特許文献1では、第1のスイッチQ1H、Q1L、Q2H、Q2Lと、第2のスイッチQ3H、Q3L、Q4H、Q4Lと、トランスTrとで構成された絶縁型双方向DCDCコンバータに対して、インダクタLr1、Lr2とキャパシタCr1、Cr2とを追加することにより、蓄電池14に対する交流加熱の機能を追加している。なお、インダクタLr1とキャパシタCr1は、蓄電池の中点と14Aと、第1のスイッチQ1Hと第1のスイッチQ1Lとの接続ノードとの間に、直列に接続されている。同様に、インダクタLr2とキャパシタCr2は、蓄電池の中点と14Aと、第1のスイッチQ2Hと第1のスイッチQ2Lとの間の接続ノードとの間に、直列に接続されている。
【0007】
図28に示した回路は、交流加熱モードと電力伝送モードのいずれかで動作する。2つのモードが非干渉となるよう、それぞれ異なるスイッチング周波数fsで動作させる。
【0008】
電力伝送モードでは従来のDAB(Dual Active Bridge)コンバータと同様、スイッチング周波数fsは数十kHzで動作する。電力伝送モードでは、全てのスイッチを使用し、位相シフト制御により双方向の電力伝送を行う。
【0009】
交流加熱モードでは、スイッチング周波数fsを数kHzとし、第1のスイッチQ1H、Q1L、Q2H、Q2Lを制御して蓄電池14に交流を印加して内部加熱を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】笹間裕太、ほか2名、「リチウムイオンバッテリ向け交流加熱インバータを統合した電動車両用Dual Active Bridgeコンバータ」、電気学会論文誌D(産業応用部門誌)Vol.141 No.6 pp.453-460、2021年6月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、
図28に示した従来の電力変換装置の回路構成では、インダクタLr1、Lr2とキャパシタCr1、Cr2とを追加する必要があるので、追加部品点数が多く、コストアップするという課題がある。
【0012】
また、
図28に示した従来の電力変換装置の回路構成は、例えば、電圧100V、あるいは200Vのような外部からの交流(AC)電力で車載されている蓄電池を充電するための車両に搭載した車載充放電装置の構成要素であり、電力容量が大きくないため、昇温性能が低いという課題もある。
【0013】
一方、
図28に示した従来の電力変換装置の他には、例えば、外部から400Vのような高電圧の直流(DC)電力を供給し、800Vに昇圧して車載されている蓄電池を充電する直流昇圧の電力変換装置がある。この場合、
図28に示した回路構成よりも電力容量が大きくなる。その具体的な回路としては、例えば、昇圧機能および降圧機能を有する共振形スイッチトキャパシタコンバータがある。しかし、一般的な共振形スイッチトキャパシタコンバータを用いた直流昇圧の電力変換装置には蓄電池14に交流電流を印可して昇温する機能は有していないという課題がある。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、昇圧・降圧が可能な共振形スイッチトキャパシタコンバータに、蓄電池に交流電流を印可して昇温する機能を、追加部品が少ない簡易な構成で追加した電力変換装置および充放電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の電力変換装置は、外部と接続される第1側に設けられた第1の平滑キャパシタと、蓄電池が接続される第2側に設けられた第2の平滑キャパシタと、1つの相の中に複数のスイッチと、キャパシタおよびインダクタで構成された共振タンクとを有する少なくとも1つの相とを有する共振形スイッチトキャパシタコンバータと、第1の状態では前記相の外部接続ノードと前記第1の平滑キャパシタとを接続し、第2の状態では前記相の前記外部接続ノードと前記蓄電池の中点とを接続するように、前記相の前記外部接続ノードの接続先を切り替えるリレーと、前記複数のスイッチと前記リレーとを制御する制御部とを有し、前記制御部は、制御モードとして、前記外部からの電力を昇圧して前記蓄電池に充電させる制御を行う充電モードと、前記蓄電池から前記外部に降圧して放電させる制御を行う放電モードと、前記蓄電池に交流電流を印可して昇温する制御を行う昇温モードと、前記蓄電池の充電・放電・昇温を行わず待機する待機モードとを有し、前記制御モードの1つを選択的に実行することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の充放電システムは、上記した電力変換装置と、外部からの充放電の要求と、前記蓄電池の充電状態と、前記蓄電池の温度とに基づいて、前記電力変換装置の前記制御部に実行させる前記制御モードを選択する統合制御装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、昇圧・降圧が可能な共振形スイッチトキャパシタコンバータに、蓄電池に交流電流を印可して昇温する機能を、追加部品が少ない簡易な構成で追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例の電力変換装置の回路構成の第1の例を説明する回路図。
【
図2】実施例の全体構成を説明する機能ブロック図。
【
図3】実施例の充電ステーションの構成を説明する機能ブロック図。
【
図4】実施例の電力変換装置の第1の例の充電モードにおける等価回路を説明する回路図。
【
図5】実施例の電力変換装置の第1の例の充電モードにおける動作の一例を説明する波形図。
【
図6】実施例の電力変換装置の第1の例の充電モードにおける動作の一例を説明する回路図。
【
図7】実施例の電力変換装置の第1の例の放電モードにおける動作の一例を説明する波形図。
【
図8】実施例の電力変換装置の第1の例の放電モードにおける動作の一例を説明する回路図。
【
図9】実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける等価回路を説明する回路図。
【
図10】実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する波形図。
【
図11】実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する回路図。
【
図12】実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の他の例を説明する波形図。
【
図13】実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の他の例を説明する回路図。
【
図14】実施例の電力変換装置の回路構成の第2の例を説明する回路図。
【
図15】実施例の電力変換装置の第2の例の充電モードにおける等価回路を説明する回路図。
【
図16】実施例の電力変換装置の第2の例の充電モードにおける動作の一例を説明する波形図。
【
図17】実施例の電力変換装置の第2の例の充電モードにおける動作の一例を説明する回路図。
【
図18】実施例の電力変換装置の第2の例の放電モードにおける動作の一例を説明する波形図。
【
図19】実施例の電力変換装置の第2の例の放電モードにおける動作の一例を説明する回路図。
【
図20】実施例の電力変換装置の第2の例の昇温モードにおける等価回路を説明する回路図。
【
図21】実施例の電力変換装置の第2の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する波形図。
【
図22】実施例の電力変換装置の第2の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する回路図。
【
図23】実施例の充放電システムにおける動作を説明するフローチャート。
【
図24】実施例の充放電システムにおける動作を説明するフローチャート。
【
図25】実施例の充放電システムにおける充電シーンの動作を説明する図。
【
図26】実施例の充放電システムにおける放電シーンの動作を説明する図。
【
図27】実施例の充放電システムにおける充放電以外のシーンの動作を説明する図。
【
図28】従来の電力変換装置の回路構成を説明する回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、実施例の電力変換装置の回路構成の第1の例を説明する回路図である。
【0021】
実施例の電力変換装置1は、DCDC変換回路4と、制御部3とを有する。DCDC変換回路4は、共振形スイッチトキャパシタコンバータと、リレー2とを有する。なお、
図1では、DCDC変換回路4は、インダクタLzvs_A、Lzvs_B、Lzvs_Cで構成されたZVS(Zero Voltage Switching)用補助回路6を有する例を示しているが、これに限られず、ZVS用補助回路6は必要に応じて設けるようにすればよい。
【0022】
共振形スイッチトキャパシタコンバータは、外部と接続される第1側に設けられた第1の平滑キャパシタCinと、蓄電池14が接続される第2側に設けられた第2の平滑キャパシタCoutとを有する。また、共振形スイッチトキャパシタコンバータは、少なくとも1つの相5を有している。相5の数は、2相以上であることがより望ましい。1つの相5の中には、複数のスイッチと、キャパシタおよびインダクタで構成された共振タンクとを有する。なお、共振タンクとは、共振周波数と呼ばれる特定の周波数で発振するインダクタとコンデンサで構成される回路である。
【0023】
1つ目の相5は、互いに直列に接続されたスイッチQ1A~Q4Aと、キャパシタCfAと、インダクタLAとで構成されている。具体的には、第1のスイッチQ1Aおよび第2のスイッチQ2Aおよび第3のスイッチQ3Aおよび第4のスイッチQ4Aが、互いに直列に接続されている。第1のスイッチQ1Aと第2のスイッチQ2Aとの間の接続ノードと第3のスイッチQ3Aと第4のスイッチQ4Aとの間の接続ノードとの間には、キャパシタCfAが設けられている。第2のスイッチQ2Aと第3のスイッチQ3Aとの間の接続ノードと相5の外部接続ノード5Aとの間には、インダクタLAが設けられている。
【0024】
同様に、2つ目の相5は、スイッチQ1B~Q4Bと、キャパシタCfBと、インダクタLBとで構成されており、3つ目の相5は、スイッチQ1C~Q4Cと、キャパシタCfCと、インダクタLCとで構成されている。なお、ここでは3相の例を示しているが、これに限られない。
【0025】
ここまでは通常の共振形スイッチトキャパシタコンバータと同様の構成であるが、実施例のDCDC変換回路4は、さらに、リレー2が追加されている。
【0026】
リレー2は、例えばc接点のリレーであり、第1の状態では接点Xと接点Yが接続されることにより、相5の外部接続ノード5Aと第1の平滑キャパシタCinとを接続し、第2の状態では接点Xと接点Zが接続されることにより、相5の外部接続ノード5Aと蓄電池14の中点とを接続するように、相5の外部接続ノード5Aの接続先を切り替える。なお、蓄電池の中点14Aは、蓄電池14の電位の半分の電位となるノードであり、低電位側の蓄電池の電圧VbatL=高電位側の蓄電池の電圧VbatHとなっている。実施例の電力変換装置1は、共振形スイッチトキャパシタコンバータに対して、リレー2を追加するという簡易な構成により、蓄電池14に交流電流を印可して昇温する機能を追加することができる。また、共振形スイッチトキャパシタコンバータをベースにしており、昇圧・降圧が可能であるとともに、例えば、400Vのような高圧直流の外部電力によって蓄電池14を充電することを想定しているため、例えば、外部からの200Vのような交流電圧による普通充電を想定した
図28の車載放充電装置用に設計されたDABコンバータに比べて電力容量が大きいので昇温性能が高い。
【0027】
制御部3は、スイッチQ1A~Q4A、Q1B~Q4B、Q1C~Q4Cとリレー2とを制御する。
【0028】
制御部3は、制御モードとして、外部からの電力を昇圧して蓄電池14に充電させる制御を行う充電モードと、蓄電池14から外部に降圧して放電させる制御を行う放電モードと、蓄電池14に交流電流を印可して昇温する制御を行う昇温モードと、蓄電池14の充電・放電・昇温を行わず待機する待機モードとを有し、制御モードの1つを選択的に実行する。
【0029】
制御部3は、充電モードおよび放電モードでは、リレー2を第1の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと第1の平滑キャパシタCinとを接続する。これにより、リレー2を追加していない従来の共振形スイッチトキャパシタコンバータと同じ構成になるので、従来と同様にスイッチQ1A~Q4A、Q1B~Q4B、Q1C~Q4Cを制御することで充放電の動作が可能となる。充電モードおよび放電モードにおける動作の詳細については後述する。
【0030】
なお、充電モードでは、
図1に示すように外部からの入力電圧Vin、入力電流iinの電力を昇圧して、出力電圧Vout=VbatL+VvatH=2Vin、出力電流ioutを蓄電池14に出力する。放電モードでは、入力電圧Vin、入力電流iinの代わりに外部負荷が接続され、蓄電池14からの電力を降圧して外部に出力することで放電が行われる。
【0031】
制御部3は、待機モードでは、例えば、リレー2を第1の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと第1の平滑キャパシタCinとを接続した状態で、スイッチQ1A~Q4A、Q1B~Q4B、Q1C~Q4Cをすべてオフ状態に制御することで待機状態とする。
【0032】
制御部3は、昇温モードでは、リレー2を第2の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと蓄電池14の中点とを接続し、スイッチQ1A~Q4A、Q1B~Q4B、Q1C~Q4Cを制御して蓄電池14に交流電流を印可する。昇温モードにおける動作の詳細については後述する。
【0033】
図2は、実施例の全体構成を説明する機能ブロック図である。
【0034】
図2では、
図1に示した実施例の電力変換装置1を車両10に搭載される昇圧DCDC車載変換器15に適用した例を用いて説明するが、これに限られず、車載用途以外の電力変換装置に適用してもよい。
【0035】
車両10は、例えば電気自動車であり、統合制御装置11と、GW(Gate Way)12と、BMS(Battery Management System)13と、蓄電池14と、昇圧DCDC車載変換器15と、コネクタ16とを有する。また、車両10は、各種機器と通信を行う図示しないネットワークを有する。
【0036】
統合制御装置11は、車両10の各種の制御を行う制御装置である。統合制御装置11は、図示しない各種センサおよびドライバの操作に基づいて、駆動力指令を演算し、図示しないインバータおよびモータを制御して、車両10の駆動力を制御する。また、統合制御装置11は、車両10の電力エネルギ管理を行う。
【0037】
GW12は、外部とのデータのやり取りを行う装置である。
【0038】
BMS13は、蓄電池14の状態を監視し、統合制御装置11に送信する。蓄電池14の状態としては、例えば、蓄電池14の充電状態(以下、SOC(State Of Charge)と呼ぶ場合もある)、蓄電池14の温度などである。なお、SOCとは、充電状態または充電率を表す指標である。
【0039】
蓄電池14は、例えばリチウムイオン電池などが用いられる。
【0040】
昇圧DCDC車載変換器15は、DCDC変換回路4と、制御部3とを有する。通常のDC充電では、例えば、400Vである場合が多く、車載の蓄電池14が800Vである場合は、電圧を昇圧する必要がある。そのため、昇圧DCDC車載変換器15は、蓄電池14の電力をDCDC変換回路4を介して降圧し、外部へ直流電力として出力するとともに、外部から入力された直流電力をDCDC変換回路4を介して昇圧し、蓄電池14を充電する。また、昇圧DCDC車載変換器15は、蓄電池14に交流電流を印可して昇温する機能を有する。なお、外部から交流電力が供給される場合には、図示しないACDC変換回路を有する車載充放電装置を介して直流に変換してから、蓄電池14に直流電力を供給する構成を有してもよい。
【0041】
コネクタ16は、外部電源や負荷に接続するための車両10側のコネクタであり、昇圧DCDC車載変換器15のDCDC変換回路4に接続されている。
【0042】
車両10のコネクタ16を家庭20のコネクタ29と接続することで、家庭20の余剰電力を車両10の蓄電池14へ充電したり、車両10の蓄電池14の電力を放電して家庭20に電力を供給したりすることができる。
【0043】
例えば、家庭20のPV(Photovoltaics;太陽光発電)22で発電した電力は、PCS(Power Conditioning System)23を介して分電盤24に供給されて家庭20内の電力として活用される。このとき、家庭20内のエアコン、TV、照明などの家庭電力負荷25で使用する電力が少ない場合は、PV22で発電した余剰電力を車両10の蓄電池14に蓄えることが望まれる。その場合、家庭20の電力を管理するHEMS(Home Electric Management System)コントローラ26から車両10へ充電の要求を出力する。この充電の要求は、コネクタ29、16、あるいは、無線などを介して、GW12で受信され、統合制御装置11に送信される。
【0044】
統合制御装置11は、外部から充電の要求があると、車両10の蓄電池14が余剰電力を充電可能かを判断する。充電可能かの判断は、余剰電力量、蓄電池14の充電状態、蓄電池14の温度などに応じて行われる。
【0045】
統合制御装置11により蓄電池14への充電を行うと判断されると、家庭20の余剰電力は、分電盤24からEVPS(Electric Vehicle Power System)28を経由し、コネクタ29、16を介して、車両10へ伝送される。なお、EVPS28の需給電は、AC受給電とDC受給電のいずれかの可能性があるが、ここではDC受給電の場合を例に説明する。伝送された余剰電力は、コネクタ16から昇圧DCDC車載変換器15へ伝送され、昇圧されて、蓄電池14を充電する。
【0046】
統合制御装置11により蓄電池14への充電を行わないと判断されると、HEMSコントローラ26は、電力系統30への提供が許容される場合、余剰電力を電力量計21を介して電力系統30に供給する。
【0047】
一方、PV22の発電量が少なく、家庭20での電力消費が多い場合、HEMSコントローラ26は、不足分の電力を車両10の蓄電池14から供給するよう車両10に放電の要求を出力する。この放電の要求は、充電の要求と同様に、統合制御装置11に送信される。
【0048】
統合制御装置11は、外部から放電の要求があると、車両10の蓄電池14が放電可能かを判断する。放電可能かの判断は、不足電力量、蓄電池14の充電状態、蓄電池14の温度などに応じて行われる。
【0049】
統合制御装置11により蓄電池14の放電を行うと判断されると、蓄電池14の電力は、昇圧DCDC車載変換器15で降圧され、コネクタ16、29、EVPS28、分電盤24を介して家庭20へ供給される。
【0050】
なお、ここではEVPS28を介して家庭20へ電力を供給する例を示したが、必要に応じて図示しないACDC変換回路を介して蓄電池14の直流電力を交流電力に変換して、コネクタ16とコネクタ29を介して、V2L(Vehicle to Load)装置27に交流電力を供給し、これによって家庭20へ交流電力を提供しても良い。
【0051】
また、車両10が走行を終えて家庭20へ帰ってきた際に、車両10の蓄電池14の蓄電状態が低下しており、充電を行うことがある。その場合、コネクタ16をコネクタ29に接続し、車両10の統合制御装置11は、蓄電池14の充電状態が低いと判断して、充電の要求を出力し、コネクタ16、29、あるいは、別の通信手段にて家庭20と車両10の接続が確認できると、EVPS28を介して家庭20から供給される電力を用いて車両10の蓄電池14を充電する。この際、家庭20からの電力は、PV22からの電力でもよいし、電力系統30から提供される電力でもよい。
【0052】
図3は、実施例の充電ステーションの構成を説明する機能ブロック図である。
【0053】
充電ステーション40は、コネクタ43を有する複数の充放電装置42と、充放電装置42を管理する充電管理システム41とを有する。
【0054】
充放電装置42のコネクタ43に車両10のコネクタ16を接続することで、充放電装置42と車両10が通信を行い、充放電の要求に応じて充放電を実行する。コネクタ16、43の接続では、電力の授受とともに、情報・データの授受も行う。あるいは、別の通信手段にて情報・データの授受を行ってもよい。
【0055】
例えば、車両10の蓄電池14の充電状態が低い場合は、車両10は充放電装置42から蓄電池14への充電を要求する。これは通常の充電要求である。この充電に関しては、充電管理システム41は、充電ステーション40内の電力使用量に応じて、充電開始タイミングなどの充電タイミングや充電レートを変更することもある。これによって、充電ステーション40の電力使用のピークを抑えることができる。車両10の蓄電池14の充電状態が高くなったら、充放電装置42からの充電は停止する。
【0056】
また、充電ステーション40にて、充放電装置42を介して車両10の蓄電池14から電力を受け取る場合もある。例えば、充電ステーション40内で急速充電が必要な要求があるが、これ以上電力系統からの電力供給を受けることができない場合、充電ステーション40内の許容されている複数の車両10の蓄電池14から電力を受け取り、急速充電に利用する場合もある。また、電力系統の安定化のために、電力系統へ電力を戻す必要がある際に、許容されている複数の車両10の蓄電池14の電力を電力系統へ戻す場合もある。これらの場合は、充電管理システム41が車両10に放電の要求を送信し、車両10の統合制御装置11は、放電が可能かを判断し、放電が可能な場合は蓄電池14から放電を行う。
【0057】
充電ステーション40では、DC充電による急速充電とAC充電による普通充電の2つの充電がある。
【0058】
充電時間を短縮するために、DC急速充電では、充電電圧を400Vで提供している。ここで、車両10の蓄電池14として、800Vの蓄電池システムを搭載している場合は、昇圧DCDC車載変換器15により供給された400Vを800Vに昇圧して充電する。
【0059】
一方、AC普通充電は、受電時間は長くなるが、充放電装置42の本体の値段が安いので、多数の設置が可能となる。多数の設置が可能であれば、比較的長時間つなげることができ、充電以外にも車両10からの放電を行える可能性がある。そこで、AC普通充電と放電が可能な充放電装置42に対しては、車両10内に、図示しないACDC変換回路を有する車載充放電装置を搭載することによって、車両10への充電と車両10からの放電が可能となる。
【0060】
図4は、実施例の電力変換装置の第1の例の充電モードにおける等価回路を説明する回路図である。
図5は、実施例の電力変換装置の第1の例の充電モードにおける動作の一例を説明する波形図である。
図6は、実施例の電力変換装置の第1の例の充電モードにおける動作の一例を説明する回路図である。
図5の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。
【0061】
図1において説明した通り、制御部3は、充電モードおよび放電モードでは、リレー2を第1の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと第1の平滑キャパシタCinとを接続する。これにより、リレー2を追加していない従来の共振形スイッチトキャパシタコンバータと同じ構成になる。
【0062】
充電モードおよび後述する放電モードでは、それぞれの相5を駆動する位相を120度ずらしたインタリーブモードで動作させる。なお、相数がnの場合はそれぞれの相5を360度/nずつずらして駆動する。したがって、ここでは1相分の動作を説明する。一方、後述する昇温モードでは全ての相5を同期させる。
【0063】
制御部3は、充電モードでは、スイッチQ1とスイッチQ3の組と、スイッチQ2とスイッチQ4の組をそれぞれ同期させつつ、インダクタLとキャパシタCfの共振周波数と同一のスイッチング周波数で50%のデューティで相補的に駆動する。
【0064】
図5に示す電圧vgsはスイッチQ1~Q4のゲート-ソース電圧(駆動信号)であり、電流iCfはキャパシタCfの電流であり、電流iLはインダクタLの電流である。
【0065】
スイッチQ1とスイッチQ3がオンとなるMode1では、外部からの入力電圧VinによってインダクタLとキャパシタCfの共振タンクが駆動される。インダクタLとキャパシタCfには正弦波状の電流が流れ、キャパシタCfは充電される。このとき、キャパシタCfの電圧VCfはおよそ電圧Vinと等しくなる。共振の半周期分の時間が経過すると電流は0になる。
【0066】
デッドタイムを経たのちにスイッチQ2とスイッチQ4をオンすることで動作はMode2に移行する。インダクタLとキャパシタCfは再び共振し始め、正弦波状の電流が流れる。共振電流は出力である蓄電池14の方に向かって流れ、キャパシタCfは放電する。入力電圧VinとキャパシタCfとが直列となり蓄電池14に向かって放電するため、出力電圧Voutはおよそ2Vinとなる。共振の半周期分の時間が経過すると電流は再び0になる。
【0067】
以上のMode1とMode2を交互に繰り返すことで、Vout=2Vinの2倍固定昇圧動作を達成する。
【0068】
図7は、実施例の電力変換装置の第1の例の放電モードにおける動作の一例を説明する波形図である。
図8は、実施例の電力変換装置の第1の例の放電モードにおける動作の一例を説明する回路図である。
図7の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。なお、放電モードにおける等価回路は、入力と出力が入れ替わり、inとoutを入れ替えるだけなので、
図4に対応する等価回路は図示を省略する。
【0069】
スイッチQ2とスイッチQ4がオンとなるMode3では、蓄電池14からの入力電圧VinによってインダクタLとキャパシタCfの共振タンクが駆動される。インダクタLとキャパシタCfには正弦波状の電流が流れ、キャパシタCfは充電される。このとき、負荷電圧VoutとキャパシタCfとが直列となるので、電圧VCfと負荷電圧Voutとの総和は、およそ入力電圧Vinと等しくなる。キャパシタCfの電圧Vcfと負荷電圧Voutが等しいと、それぞれVin/2となる。共振の半周期分の時間が経過すると電流は0になる。
【0070】
デッドタイムを経たのちにスイッチQ1とスイッチQ3をオンすることで動作はMode4に移行する。インダクタLとキャパシタCfは再び共振し始め、正弦波状の電流が流れる。共振電流は出力である外部の方に向かって流れ、キャパシタCfは放電する。キャパシタCfから負荷に向かって放電するため、負荷電圧VoutはおよそキャパシタCfの電圧であるVin/2と等しくなる。共振の半周期分の時間が経過すると電流は再び0になる。
【0071】
以上のMode3とMode4を交互に繰り返すことで、Vout=Vin/2の1/2固定降圧動作を達成する。
【0072】
図9は、実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける等価回路を説明する回路図である。
図10は、実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する波形図である。
図11は、実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する回路図である。
図10の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。
【0073】
図1において説明した通り、制御部3は、昇温モードでは、リレー2を第2の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと蓄電池14の中点とを接続し、スイッチQ1~Q4を制御して蓄電池14に交流電流を印可する。昇温モードでは全ての相5を同期させて駆動すればよい。したがって、ここでは1相分の動作を説明する。
【0074】
なお、
図9では、
図1とは異なり蓄電池14が入力となるので、便宜上、
図9では電圧Vinと表記する。
図9のキャパシタCinは、
図1の第2の平滑キャパシタCoutに対応するが、便宜上、
図9ではキャパシタCinと表記する。
【0075】
制御部3は、スイッチQ1~Q4を適切に駆動することで、インダクタLに台形波状の電流iLを発生させる。この台形波状の電流iLを交流加熱電流として蓄電池の中点14Aに与えることで、交流内部加熱を行う。
【0076】
制御部3は、
図10に示すように、PWM制御により電流iLを生成する。電流iLの周波数fhは、リチウムイオン電池の充放電を繰り返すことで内部抵抗が増加する、あるいは、電力の容量が低下するというような使用による劣化(使用劣化)が生じない周波数域である数kHz以上とする。周波数fhは、スイッチング周波数fsよりも小さく設定される。
【0077】
スイッチQ3の搬送波vcarrQ3と指令信号vrefとを比較することでスイッチQ3をPWM制御でスイッチングする。スイッチQ3のドレイン-ソース間電圧vQ3は
図10に示すようになる。なお、スイッチQ3とスイッチQ2は相補的に駆動するので、スイッチQ2の波形は省略する。
【0078】
同様に、スイッチQ4の搬送波vcarrQ4と指令信号vrefとを比較することでスイッチQ4をPWM制御でスイッチングする。なお、搬送波vcarrQ3と搬送波vcarrQ4は、180度の位相差をもつ三角波である。スイッチQ4のドレイン-ソース間電圧vQ4は
図10に示すようになる。なお、スイッチQ4とスイッチQ1は相補的に駆動するので、スイッチQ1の波形は省略する。
【0079】
キャパシタCfの電圧Vcfは、蓄電池14の電圧Vinの半分であるVin/2に維持される。
【0080】
係数drefを0<dref<0.5としたとき、周期Th(=1/fh)のうちの最初のdrefThの期間がMode1、次の(0.5-dref)Thの期間がMode2、次のdrefThの期間がMode3、次の(0.5-dref)Thの期間がMode4となる。
【0081】
Mode1とMode3では、電流iLを急峻に変化させて電流極性を切り替える。指令信号vrefの絶対値を搬送波vcarrQ3、vcarrQ4よりも大きくすることで過変調状態とし、蓄電池14の電圧VbatHまたは電圧VbatLをインダクタLに印加する。具体的には、
図11に示すように、Mode1ではStateAのようにスイッチQ3、Q4をオンすることで、インダクタLの電圧はVbatHとなる。Mode3ではStateDのようにスイッチQ1、Q2をオンすることで、インダクタLの電圧は-VbatLとなる。これにより、Mode1とMode3では、電流iLが急峻に変化する。
【0082】
一方、Mode2では、StateC、StateA、StateB、StateA、StateC、StateA、StateB、・・・、のように、StateCとStateBを交互に繰り返しつつ、切り替えの合間にStateAを挿入することで、電流iLと所定の範囲に維持する。StateBでは、スイッチQ2、Q4をオンする。StateCでは、スイッチQ1、Q3をオンする。
【0083】
ここで、VCf=Vin/2=VbatH=VbatLであると仮定する。StateBとStateCでは、電流経路にキャパシタCfが含まれるため、インダクタLの電圧は0になり、電流iLは理想的には一定値となる。しかし、実際には回路中の抵抗成分における電圧降下などによりインダクタLの電圧は0とはならない。また、電流iLは一定値とはならず減衰する。この減衰を補正するために、適宜StateAを挿入することで、Mode2全体において電流iLがおよそ一定値となるよう補償する。このような制御を行うためには、
図10に示すように、指令信号vrefにバイアスVbiasを設けるようにすればよい。
【0084】
Mode4においても同様に、StateC’、StateD、StateB’、StateD、StateC’、StateD、StateB’、・・・、のように、StateC’とStateB’を交互に繰り返しつつ、切り替えの合間にStateDを挿入することで、電流iLと所定の範囲に維持する。StateB’では、StateBと同様にスイッチQ2、Q4をオンするが、電流の方向が逆になる。同様に、StateC’では、StateCと同様にスイッチQ1、Q3をオンするが、電流の方向が逆になる。
【0085】
以上のように、Mode1とMode3では、電流iLが急峻に変化するので、電流iLは台形波状になり、この台形波状の電流iLを蓄電池の中点14Aに与えることで、交流内部加熱を行うことができる。台形波状の電流は、正弦波電流に比べてピーク値に対する実効値の比を大きくできるので、加熱時間を短縮できる。
【0086】
図12は、実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の他の例を説明する波形図である。
図13は、実施例の電力変換装置の第1の例の昇温モードにおける動作の他の例を説明する回路図である。
図12の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。
【0087】
図9から
図11では台形波状の電流iLを生成する方法について述べたが、これに限られず、
図12および
図13に示すように、三角波状の電流iLで内部加熱を行うことも可能である。
【0088】
三角波状の電流iLを生成する場合は、
図12に示すようにスイッチQ1、Q2の組と、スイッチQ3、Q4の組を50%のデューティで交互に駆動する。
【0089】
スイッチQ1、Q2がオン状態であるMode1では、インダクタLにはVbatLの電圧が印加され、
図12に示すように電流iLはマイナスからプラスへ直線状に増加する。なお、
図12の電圧vgsはスイッチQ1~Q4のゲート-ソース間電圧である。
【0090】
一方、スイッチQ3、Q4がオン状態であるMode2では、インダクタLには、Mode1とは逆極性でVbatHの電圧が印加されるため、電流iLはプラスからマイナスへ直線状に低下する。
【0091】
Mode1とMode2を交互に繰り返すことで三角波状の電流iLを生成し、これを蓄電池の中点14Aに与えることで交流内部加熱を行う。
【0092】
同一のピーク電流あたりの三角波電流の実効値は台形波と比べて低いため、三角波電流での加熱には長い時間を要するが、台形波電流の生成時と比べて回路の駆動方法が簡易にできるという効果がある。
【0093】
図14は、実施例の電力変換装置の回路構成の第2の例を説明する回路図である。
【0094】
図14の回路において、
図1と異なる点は、インダクタLrA、LrBの位置と、2相であることと、ZVS用補助回路6を設けていない点である。
【0095】
1つ目の相5は、互いに直列に接続されたスイッチQ1A~Q4Aと、キャパシタCrAと、インダクタLrAとで構成されている。具体的には、第1のスイッチQ1Aおよび第2のスイッチQ2Aおよび第3のスイッチQ3Aおよび第4のスイッチQ4Aが、互いに直列に接続されている。第1のスイッチQ1Aと第2のスイッチQ2Aとの間の接続ノードと第3のスイッチQ3Aと第4のスイッチQ4Aとの間の接続ノードとの間には、互いに直列接続されたキャパシタCrAおよびインダクタLrAが設けられている。第2のスイッチQ2Aと第3のスイッチQ3Aとの間には、相5の外部接続ノード5Aが設けられている。
【0096】
同様に、2つ目の相5は、スイッチQ1B~Q4Bと、キャパシタCrBと、インダクタLrBとで構成されている。なお、ここでは2相の例を示しているが、これに限られない点は
図1の回路と同様である。
【0097】
ここまでは通常の共振形スイッチトキャパシタコンバータと同様の構成であるが、実施例のDCDC変換回路4は、
図1と同様に、リレー2が追加されており、充電モード、放電モード、待機モードに加えて、昇温モードでの動作が可能となっている。
【0098】
図15は、実施例の電力変換装置の第2の例の充電モードにおける等価回路を説明する回路図である。
図16は、実施例の電力変換装置の第2の例の充電モードにおける動作の一例を説明する波形図である。
図17は、実施例の電力変換装置の第2の例の充電モードにおける動作の一例を説明する回路図である。
図16の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。
【0099】
図1の回路と同様に、
図14の回路でも、制御部3は、充電モードおよび放電モードでは、リレー2を第1の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと第1の平滑キャパシタCinとを接続する。これにより、リレー2を追加していない従来の共振形スイッチトキャパシタコンバータと同じ構成になる。
【0100】
充電モードおよび後述する放電モードでは、それぞれの相5を駆動する位相を180度ずらしたインタリーブモードで動作させる。なお、相数がnの場合はそれぞれの相5を360度/nずつずらして駆動する。したがって、ここでは1相分の動作を説明する。
【0101】
充電モードにおける動作は、
図17のインダクタLrの位置が
図6のインダクタLと異なり、
図16の電流iLrは
図5の電流iCfと同じになる点を除いて、第1の例の場合と同じであるため、詳細な説明は省略するが、Vout=2Vinの2倍固定昇圧動作を行う。
【0102】
図18は、実施例の電力変換装置の第2の例の放電モードにおける動作の一例を説明する波形図である。
図19は、実施例の電力変換装置の第2の例の放電モードにおける動作の一例を説明する回路図である。
図18の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。なお、放電モードにおける等価回路は、入力と出力が入れ替わり、inとoutを入れ替えるだけなので、
図15に対応する等価回路は図示を省略する。
【0103】
放電モードにおける動作も、
図19のインダクタLrの位置が
図8のインダクタLと異なり、
図18の電流iLrは
図6の電流iCfと逆になる点を除いて、第1の例の場合と同じであるため、詳細な説明は省略するが、Vout=Vin/2の1/2固定降圧動作を行う。
【0104】
図20は、実施例の電力変換装置の第2の例の昇温モードにおける等価回路を説明する回路図である。
図21は、実施例の電力変換装置の第2の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する波形図である。
図22は、実施例の電力変換装置の第2の例の昇温モードにおける動作の一例を説明する回路図である。
図21の横軸は時刻tを示し、縦軸は電圧または電流を示す。
【0105】
図1の回路と同様に、
図14の回路でも、制御部3は、昇温モードでは、リレー2を第2の状態に制御して、相5の外部接続ノード5Aと蓄電池14の中点とを接続し、スイッチQ1~Q4を制御して蓄電池14に交流電流を印可する。昇温モードでは全ての相5を同期させて駆動すればよい。したがって、ここでは1相分の動作を説明する。
【0106】
なお、
図20のキャパシタCinは、
図14の第2の平滑キャパシタCoutに対応するが、
図20では、
図14とは異なり蓄電池14が入力となるので、便宜上、
図20ではキャパシタCinと表記する。
【0107】
図21の電圧vgsはスイッチQ1、Q3、Q4のゲート-ソース間電圧(駆動信号)である。スイッチQ1は常時オン、スイッチQ2は常時オフ状態にする。一方、スイッチQ3とスイッチQ4はデューティ50%で相補的に駆動し、インダクタLrとキャパシタCrの共振周波数よりも若干低い周波数でスイッチングさせる。つまり、1スイッチング周期に2周期分の共振周期が含まれるようにする。電流iLrはインダクタLrの電流である。
【0108】
ModeAでは、スイッチQ4をオンすることで、インダクタLrとキャパシタCrの直列共振タンクには蓄電池14の合計電圧であるVbatH+VbatLが印加され、正弦波状の電流iLrが流れる。この電流iLrは純粋な正弦波ではなく、回路中の抵抗成分によって次第に減衰してゆく正弦波である。よって、電流極性が正である最初の共振半周期よりも、電流極性が負となる次の半周期の方が振幅は小さくなる。負の電流iLrが0になる前にスイッチQ4の駆動信号を立ち下げておくことで、電流iLrが0になったタイミングで共振動作は終了する。
【0109】
ModeBでは、スイッチQ3をオンすることで、共振タンクの電流iLrが蓄電池の中点14Aに流れ込み、それが蓄電池の中点14A以上と蓄電池の中点14A以下の蓄電池14に分流する。ModeAと同様に、正弦波状の電流iLrは回路中の抵抗成分により減衰するため、最初の負の半周期よりも次の正の半周期の方が電流iLrの振幅は小さくなる。正の電流iLrが0になる前にスイッチQ3の駆動信号を立ち下げておくことで、電流iLrが0になったタイミングで共振動作は終了する。
【0110】
以上のように、スイッチQ3がオンとなるModeBにおいて蓄電池の中点14Aに電流iLrが流れ込み、この電流によって交流内部加熱が行われる。
【0111】
図22では全体の半分の期間であるModeBのみしか蓄電池の中点14Aに電流は流れ込まないが、2相構成の場合は互いの位相を180度ずらすことで全期間において蓄電池の中点14Aに電流を注入することができる。3相以上の構成の場合においても、駆動位相は180度ずらす。インタリーブ駆動のように位相を360度/nずつずらすと、互いの相によって蓄電池の中点14Aの電流が相殺されてしまうので、電流が相殺されないような位相で駆動する必要がある。
【0112】
図23および
図24は、実施例の充放電システムにおける動作を説明するフローチャートである。
【0113】
実施例の充放電システムは、
図1または
図14、および、
図2のDCDC変換回路4と、制御部3と、統合制御装置11とを少なくとも有している。充放電システムとして、BMS13、蓄電池14、図示しないACDC変換回路を有する車載充放電装置など、実施例で説明した他の構成を含めてもよい。統合制御装置11は、外部からの充放電の要求と、蓄電池14の充電状態と、蓄電池14の温度とに基づいて、電力変換装置1の制御部3に実行させる制御モードを選択する。
【0114】
統合制御装置11は、所定周期で、
図23および
図24の処理フローを実行する。S01の開始ステップから開始し、S16の戻るステップまで処理を終えると、再びS01に戻る。
【0115】
S02は、接続確認ステップであり、家庭20や充電ステーション40などの外部の充放電設備との接続を確認する。
【0116】
S03は、充放電要求検知ステップであり、S02の接続確認後に、GW12経由で受信した外部からの充放電の要求を検知し、取得する。なお、外部からの充放電の要求には、蓄電池14の充電状態(SOC)が低下したことに伴うBMS13からの充電の要求を含めてもよい。
【0117】
S04は、蓄電池SOC検出ステップであり、BMS13から蓄電池14の充電状態を取得する。
【0118】
S05は、蓄電池温度検出ステップであり、BMS13から蓄電池14の温度を取得する。
【0119】
なお、S03からS05までの処理は順序を入れ替えてもよい。
【0120】
S06は、要求判定ステップであり、外部からの充放電の要求の判定を行う。放電の要求があった場合(放電要求)はS07に、充電の要求があった場合(充電要求)はAを経由して
図24のS17に、充放電の要求がない場合(充放電要求以外)は、S12に移る。
【0121】
S07は、SOC判定ステップであり、蓄電池14の充電状態が放電閾値より大きい場合はS08に移る。蓄電池14の充電状態が放電閾値以下の場合はS11に移り、S11では、充電状態が不足しており放電できないため待機モードを選択する。
【0122】
S08は、温度判定ステップであり、蓄電池14の温度が温度閾値以下の場合は、S09に移り、S09では、放電前に昇温が必要であるとして昇温モードを選択する。これにより、低温での放電を回避して、蓄電池14の低温劣化を防止できる。蓄電池14の温度が温度閾値より大きい場合は、S10に移り、S10では、放電が可能であるとして放電モードを選択する。
【0123】
S12は、SOC判定ステップであり、蓄電池14の充電状態が昇温閾値以下の場合はS14に移り、S14では、昇温に必要な蓄電池14の電力が不足しているため待機モードを選択する。蓄電池14の充電状態が昇温閾値より大きい場合はS13に移る。
【0124】
S13は、温度判定ステップであり、蓄電池14の温度が温度閾値より大きい場合は、S14に移り、S14では、今後の充放電の要求があっても温度は問題ないとして待機モードを選択する。蓄電池14の温度が温度閾値以下の場合は、S15に移り、S15では、今後の充放電の要求に備えてあらかじめ昇温しておくために昇温モードを選択する。これにより、S09の状態の昇温による待ち時間を低減できる。また、後述するようなS20やS25の状態において低温状態でも充電することにより昇温する状況を避けて、蓄電池14の低温劣化を防止できる。
【0125】
S17は、モード判定ステップであり、昇温モード選択中の場合は、S23に移り、昇温モード選択中ではない場合(昇温モード選択中以外)は、S18に移る。なお、フローの開始直後など、制御モードが何も選択されていない場合についても、昇温モード選択中ではない場合に含まれる。
【0126】
S18は、SOC判定ステップであり、蓄電池14の充電状態が充電閾値以下の場合はS20に移り、S20では、放電が必要であるとして充電モードを選択する。ここで、蓄電池14の低温劣化を避けるためには蓄電池14の温度は温度閾値より大きいことが望ましいが、温度閾値以下であったとしても、充電により蓄電池14が発熱するので昇温することができる。したがって、このフローでは蓄電池14の温度にかかわらず充電モードを選択している。蓄電池14の充電状態が充電閾値より大きい場合は、S19に移る。
【0127】
S19は、温度判定ステップであり、蓄電池14の温度が温度閾値以下の場合は、S21に移り、S21では、充電前に昇温した方が望ましいとして昇温モードを選択する。これにより、低温での充電を回避して、蓄電池14の低温劣化を防止できる。蓄電池14の温度が温度閾値より大きい場合は、S22に移り、S22では、充電も昇温も不要であるとして待機モードを選択する。
【0128】
S23は、昇温モード選択中におけるSOC判定ステップであり、蓄電池14の充電状態が昇温閾値以下の場合はS25に移り、S25では、昇温モード選択中なので蓄電池14の温度は温度閾値以下であるが、昇温に必要な蓄電池14の電力が足りないため、充電により蓄電池14が発熱して昇温すべく、充電モードを選択する。蓄電池14の充電状態が昇温閾値より大きい場合はS24に移る。
【0129】
S24は、昇温モード選択中における温度判定ステップであり、蓄電池14の温度が温度閾値以下の場合は、S26に移り、S26では、充電前に昇温を継続した方が望ましいとして昇温モードを選択する。これにより、低温での充電を回避して、蓄電池14の低温劣化を防止できる。蓄電池14の温度が温度閾値より大きい場合は、S27に移り、S27では、昇温の必要がなくなったので通常の充電に切り替えるべく充電モードを選択する。
【0130】
S09、S10、S11、S14、S15、S20、S21、S22、S25、S26、S27の後は、S16の戻るステップに移る。
【0131】
以上の処理により、低温での蓄電池14の充放電を可能な範囲で避けることができるので、蓄電池14の低温劣化を防止できる。
【0132】
図25は、実施例の充放電システムにおける充電シーンの動作を説明する図である。
図25の横軸は時刻である。1段目のタイムチャートの縦軸は、S06の要求判定ステップの結果(放電要求、充電要求、その他)を示している。2段目のタームチャートの縦軸は、蓄電池14の温度を示している。3段目のタームチャートの縦軸は、蓄電池14の充電状態(SOC)を示している。ここでは、放電閾値<昇温閾値<充電閾値に設定されている。4段目のタームチャートの縦軸は、選択された制御モード(充電モード、放電モード、昇温モード、待機モード)を示している。なお、各タイムチャートの縦軸と横軸は、後述する
図26および
図27についても同様である。
【0133】
時刻T1において、コネクタ16が接続される。ここでは、S06で、充電要求が判定され、昇温モード選択中ではなく充電閾値以下なので、S20で充電モードが選択される。これにより、蓄電池温度と蓄電池SOCが上昇していく。その後も、S20の充電モードの選択が継続する。
【0134】
時刻T2では、蓄電池SOCが充電閾値より大きくなったが、蓄電池温度は温度閾値以下であるため、S21で昇温モードが選択され、昇温モードに移行する。これにより、蓄電池温度は上昇し、蓄電池SOCは低下していく。昇温モードに移行後は、S26の昇温モードが選択され、選択が継続する。
【0135】
時刻T3では、蓄電池温度は温度閾値より大きくなったが、蓄電池SOCは昇温閾値より大きく充電閾値以下であるため、S27で充電モードが選択されて充電モードに移行し、その後はS20の充電モードの選択が継続する。これにより、蓄電池温度と蓄電池SOCが上昇していく。
【0136】
時刻T4では、蓄電池SOCが充電閾値より大きくなり、蓄電池温度も温度閾値より大きいため、S22の待機モードが選択され、充電が終了する。このとき、要求判定は、その他に移行する。
【0137】
図26は、実施例の充放電システムにおける放電シーンの動作を説明する図である。
【0138】
時刻T1において、コネクタ16が接続される。ここでは、S06で、放電要求が判定され、蓄電池SOCが放電閾値より大きく、蓄電池温度が温度閾値以下なので、S09で昇温モードが選択される。これにより、蓄電池温度が上昇し、蓄電池SOCが低下していく。その後も、S09の昇温モードの選択が継続する。これにより、低温での放電を避けることができ、蓄電池14の低温劣化を防止できる。なお、緊急の放電を要する場合などには、外部から強制放電要求を受信するようにし、昇温モードを選択せず放電モードを選択するようにしてもよい。
【0139】
時刻T2では、蓄電池温度が温度閾値より大きくなり、蓄電池SOCも放電閾値より大きいため、S10で放電モードが選択されて放電モードに移行し、その後はS10の放電モードの選択が継続する。これにより、蓄電池温度が上昇し、蓄電池SOCが低下していく。
【0140】
時刻T3では、蓄電池SOCが放電閾値以下となるため、S11の待機モードが選択され、放電が終了する。このとき、要求判定は、その他に移行する。
【0141】
図27は、実施例の充放電システムにおける充放電以外のシーンの動作を説明する図である。
【0142】
時刻T1において、コネクタ16が接続される。ここでは、S06で、充放電要求がないのでその他(充放電要求以外)が判定され、蓄電池SOCが昇温閾値より大きく、蓄電池温度が温度閾値以下なので、S15で昇温モードが選択される。これにより、蓄電池温度が上昇し、蓄電池SOCが低下していく。その後も、S15の昇温モードの選択が継続する。これにより、蓄電池14を昇温して今後の充放電の要求に備えることができる。なお、例えば節電のために待機時昇温モード禁止の要求や強制待機要求などがあった場合は、昇温モードを選択せずに待機モードを選択するようにしてもよい。
【0143】
時刻T2では、蓄電池温度が温度閾値より大きくなり、蓄電池SOCも昇温閾値より大きいため、S14で待機モードが選択されて昇温が終了する。このとき、要求判定は、その他に移行する。
【0144】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 電力変換装置
2 リレー
3 制御部
4 DCDC変換回路
5 相
5A 外部接続ノード
6 ZVS用補助回路
10 車両
11 統合制御装置
12 GW
13 BMS
14 蓄電池
14A 蓄電池の中点
15 昇圧DCDC車載変換器
16 コネクタ
20 家庭
21 電力量計
22 PV
23 PCS
24 分電盤
25 家庭電力負荷
26 HEMSコントローラ
27 V2L装置
28 EVPS
29 コネクタ
30 電力系統
40 充電ステーション
41 充電管理システム
42 充放電装置
43 コネクタ
Q1~Q4、Q1A~Q4A、Q1B~Q4B、Q1C~Q4C スイッチ
Cin 第1の平滑キャパシタ
Cout 第2の平滑キャパシタ