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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121209
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20240830BHJP
   G08B 17/06 20060101ALI20240830BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20240830BHJP
   G08B 17/12 20060101ALI20240830BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G08B17/10 H
G08B17/06 C
G08B17/107 A
G08B17/12 A
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028176
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】土田 あずさ
(72)【発明者】
【氏名】金田 亜樹
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AA13
5C085AC05
5C085BA20
5C085BA33
5C085CA19
5C085CA26
5C085FA11
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405AD05
5G405BA07
5G405CA19
5G405CA36
5G405FA06
(57)【要約】
【課題】家庭等の比較的小規模な火災監視エリアに対する設置に適した火災感知器を得る。
【解決手段】所望の火災監視エリアにおける火災の発生を感知するために、所望の火災監視エリアに設置可能であり、天井または壁面に固定器具を用いて固定設置されるものを除き、必要に応じて設置位置を移動可能に据え置かれる火災感知器であって、火災監視エリアにおいて発生する火災要因を検知することで火災信号を出力する火災要因検知部と、火災要因検知部から火災信号が出力された場合に、火災監視エリアで火災要因が検知されたことを示す警報信号を外部に発報する発報制御部と、火災要因検知部および発報制御部に電源を供給するために内蔵された電源供給部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の火災監視エリアにおける火災の発生を感知するために、前記所望の火災監視エリアに設置可能な火災感知器であって、
前記火災感知器は、天井または壁面に固定器具を用いて固定設置されるものを除き、必要に応じて設置位置を移動可能に据え置かれ、
前記火災監視エリアにおいて発生する火災要因を検知することで火災信号を出力する火災要因検知部と、
前記火災要因検知部から前記火災信号が出力された場合に、前記火災監視エリアで火災要因が検知されたことを示す警報信号を外部に発報する発報制御部と、
前記火災要因検知部および発報制御部に電源を供給するために内蔵された電源供給部と
を備える火災感知器。
【請求項2】
前記発報制御部は、他の機器に対して前記警報信号を送信する無線通信機能を有する
請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記電源供給部は、
外部からAC電源を取り込むためのコンセントプラグと、
前記AC電源をDC電源に変換し、前記火災要因検知部および前記発報制御部に対して前記電源として供給するA/D変換部と
を有する請求項1または2に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、火災感知器に関するものであり、特に、所望の火災監視エリアに据え置き型として設置可能な火災感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災を検出し、報知するための機器として、種々のタイプの火災感知器、火災警報器等が用いられている。火災感知器の具体的なタイプとしては、例えば、差動式スポット型感知器、定温式スポット型感知器、光電式スポット型感知器などが挙げられる。火災感知器は、周囲温度の上昇、あるいは煙の発生に起因して変化する状態をモニタすることで、火災の発生を感知した際に火災信号を出力する。
【0003】
このような火災感知器を備えた火災報知システムの具体例としては、建物内に、火災感知器とともに、火災受信機、発信機、中継器、音響装置等が適切な位置に配置されて構成され、建物などの内部にいる人々を火災から守る自動火災報知設備が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
自動火災報知設備では、火災感知器が熱、煙、炎を感知することで、火災受信機に対して火災信号を送信する。火災信号を受信した火災受信機は、火災発生場所に応じて、警報を発し、音響装置を鳴動させ、建物内にいる人に火災の発生を知らせている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】能美防災株式会社 ホームページ、自動火災報知設備(URL:https://www.nohmi.co.jp/product/materiel/fid.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1に開示された自動火災報知設備は、防火対象である建物の用途・規模に応じて、適切なシステムを構築することができる。しかしながら、家庭内などの小規模な領域を火災監視エリアとした場合には、自動火災報知設備のような大掛かりなシステムを用いることは費用、設置などを考慮すると適切ではない。
【0007】
特に、家庭内では、コンセントの埃が原因となる火災に関する種々の報告がある。また、ろうそく、アロマキャンドルなどの消し忘れなど、家庭内特有の火災を招く要因も考えられる。
【0008】
火災への恐怖は誰もが持っているが、感知器設置の重要性に関する知識までは十分に浸透しておらず、家庭等の比較的小規模な火災監視エリアにおいては、感知器が設置されていないケースが散見される。
【0009】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、家庭等の比較的小規模な火災監視エリアに対する設置に適した火災感知器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る火災感知器は、所望の火災監視エリアにおける火災の発生を感知するために、所望の火災監視エリアに設置可能な火災感知器であって、火災感知器は、天井または壁面に固定器具を用いて固定設置されるものを除き、必要に応じて設置位置を移動可能に据え置かれ、火災監視エリアにおいて発生する火災要因を検知することで火災信号を出力する火災要因検知部と、火災要因検知部から火災信号が出力された場合に、火災監視エリアで火災要因が検知されたことを示す警報信号を外部に発報する発報制御部と、火災要因検知部および発報制御部に電源を供給するために内蔵された電源供給部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、家庭等の比較的小規模な火災監視エリアに対する設置に適した火災感知器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態1に係る火災感知器の機能ブロック図である。
図2】本開示の実施の形態1における火災要因検知部として差動式スポット型感知器の構成を採用した場合の説明図である。
図3】本開示の実施の形態1における火災要因検知部として定温式スポット型感知器の構成を採用した場合の説明図である。
図4】本開示の実施の形態1における火災要因検知部として光電式スポット型感知器の構成を採用した場合の説明図である。
図5】一般的な火災報知システムの全体構成図である。
図6】本開示の実施の形態1に係る据え置き型の火災感知器の構造例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の火災感知器の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る火災感知器は、火災感知器単体として所望の火災監視エリアに据え置き型として設置可能であり、火災監視エリアで火災要因が検知されたことを示す警報信号を外部に発報できる機能を備えることを技術的特徴とするものである。この結果、家庭等の比較的小規模な火災監視エリアに対する設置に適した火災感知器を実現できる。
【0014】
実施の形態1.
まず始めに、火災感知器を含む一般的な火災報知システムの全体像について説明する。
図5は、一般的な火災報知システムの全体構成図である。図5に示した火災報知システムは、火災受信機10および複数の火災感知器を主な構成要素として含んでいる。
【0015】
火災受信機10は、信号線SGを介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0016】
感知器用中継器40には、火災感知器が、複数台接続されている。図1では、4台の火災感知器41~44を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0017】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41~44は、あらかじめ設定されたそれぞれの火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。複数の火災感知器により感知器群が構成される。
【0018】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果と連動して動作し、火災、煙等の拡散を防止するために機能する複数の端末設備に相当する。複数の端末設備により、端末設備群が構成される。
【0019】
複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた情報として、火災関連情報を火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0020】
また、複数の端末設備のそれぞれにも、個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を稼働させる指令を送信することができる。
【0021】
このような構成により、火災受信機10は、あらかじめ決められた種々の火災監視エリアに設置されている複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20から火災関連情報を収集する。そして、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、火災警報を行い、端末設備群を作動させることができる。
【0022】
なお、端末設備群に含まれているそれぞれの端末設備は、どの火災感知器の感知結果と連動して動作するかがあらかじめ規定されている。例えば、複数の火災感知器と複数の端末設備との連動動作の対応関係を連動表としてあらかじめ設定しておくことで、火災受信機10は、複数の火災感知器のそれぞれの感知結果に基づいて、連動表から適切な端末設備を特定し、連動動作させることができる。
【0023】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、収集した火災関連情報に基づいて、移報信号を出力し、消火設備を起動して消火作業を開始したり、非常放送装置により火災報知あるいは避難誘導を行ったり、ネットワークを介して上位装置に対して火災関連情報を伝送したりすることができる。
【0024】
図5に示されたような一般的な火災報知システムは、防火対象の用途・規模に応じて、適切なシステムを構築することができ、各火災感知器は、あらかじめ決められた場所に固定設置され、他の防災設備と組み合わせて使用されている。
【0025】
従って、家庭等の比較的小規模な火災監視エリアにおいて、例えば、コンセントの埃が原因となる火災、ろうそく、アロマキャンドルなどの消し忘れが原因となる火災を対象とした場合には、一般的な火災報知システムを適用することは、現実的ではない。
【0026】
そこで、本実施の形態1では、火災感知器のみを据え置き型の独立した機器にするとともに、火災監視エリアで火災要因が検知されたことを示す警報信号を外部に発報する機能を持たせることで、比較的小規模な火災監視エリアに適した火災感知器を実現している。
【0027】
図1は、本開示の実施の形態1に係る火災感知器の機能ブロック図である。本開示に係る火災感知器1は、火災要因検知部100、発報制御部200、および電源供給部300を備えている。
【0028】
火災要因検知部100は、一般的な火災感知器において、熱、煙、炎のいずれかを火災要因として感知することができる機能と実質的に同一の機能を有している。
【0029】
本発明においても、一般的な種々の火災感知器と同様に、周囲温度の上昇、あるいは煙の発生に起因して変化する状態をモニタし、火災監視エリアにおいて発生する火災要因を検知することで火災信号を出力する。
【0030】
そこで、火災要因検知部100として、差動式スポット型感知器110、定温式スポット型感知器120、および光電式スポット型感知器130の構成を用いる場合の具体例について、詳細に説明する。
【0031】
<構成1>差動式スポット型感知器110の構成を火災要因検知部100として採用した場合
図2は、本開示の実施の形態1における火災要因検知部100として差動式スポット型感知器110の構成を採用した場合の説明図である。差動式スポット型感知器110は、感知部の周囲の温度の上昇率が一定の率以上になったときに火災信号を発信するものであり、一局所の熱効果により作動するものである。
【0032】
図2(A)は、火災監視モード時において火災が感知されていない通常時の状態を示している。また、図2(B)は、火災監視モード時において火災が感知されて火災信号が出力された火災時の状態を示している。
【0033】
差動式スポット型感知器110は、ダイヤフラム111が空気の膨張により押し上げられ、機械的に接点112を閉じることで火災信号を発信する構造を有している。
【0034】
図2(A)においては、周囲の温度の上昇率が一定の率に至っておらず、ダイヤフラム111の押し上げ量が少なく、接点112がオフ状態となっている。図2(B)においては、周囲の温度の上昇率が一定の率以上となったことでダイヤフラム111が押し上げられて接点112がオン状態となり、その結果、火災信号が出力される。
【0035】
従って、差動式スポット型感知器110の構成を火災要因検知部100として採用することで、据え置き型の火災感知器1が設置された火災監視エリアにおいて、炎の熱などにより周囲の温度の上昇率が一定の率以上になったときに火災信号を発信させることができる。
【0036】
<構成2>定温式スポット型感知器120の構成を火災要因検知部100として採用した場合
図3は、本開示の実施の形態1における火災要因検知部100として定温式スポット型感知器120の構成を採用した場合の説明図である。定温式スポット型感知器120は、感知部の周囲の温度が一定の温度以上になったときに火災信号を発信するものであり、一局所の熱効果により作動するものである。
【0037】
図3(A)は、火災監視モード時において火災が感知されていない通常時の状態を示している。また、図3(B)は、火災監視モード時において火災が感知されて火災信号が出力された火災時の状態を示している。
【0038】
定温式スポット型感知器120は、バイメタル121が歪む、または反転し、機械的に接点122を閉じることで火災信号を発信する構造を有している。
【0039】
図3(A)においては、周囲の温度が一定の温度に至っておらず、バイメタル121の変形量が少なく、接点122がオフ状態となっている。図3(B)においては、感知部の周囲の温度が一定の温度以上となったことでバイメタル121が変形して接点122がオン状態となり、その結果、火災信号が出力される。
【0040】
従って、定温式スポット型感知器120の構成を火災要因検知部100として採用することで、据え置き型の火災感知器1が設置された火災監視エリアにおいて、炎の熱などで周囲の温度が一定の温度以上になったときに火災信号を発信させることができる。
【0041】
<構成3>光電式スポット型感知器130の構成を火災要因検知部100として採用した場合
図4は、本開示の実施の形態1における火災要因検知部100として光電式スポット型感知器130の構成を採用した場合の説明図である。光電式スポット型感知器130は、火災などによる煙が含まれた気流が入り易い形状の暗箱内に発光部131および受光部132が設けられ、発光部131から照射された光が煙による散乱光として受光部で受光された際の受光量が閾値以上となることで火災信号を発信するものであり、煙に起因して作動するものである。
【0042】
なお、光電式スポット型感知器130には、発光部131からの光がダイレクトで受光部132によって受光されることを防止するために、遮光板133が設けられている。また、図示は省略しているが、自然光や照明器具による外部光、虫等の進入による非火災報を防止するための措置が講じられている。
【0043】
図4(A)は、火災監視モード時において火災が感知されていない通常時の状態を示している。また、図4(B)は、火災監視モード時において火災が感知されて火災信号が出力された火災時の状態を示している。
【0044】
光電式スポット型感知器130は、受光部132による受光量が閾値以上となることで、煙が発生したことによる散乱光が増加したと判断し、火災信号を発信する構造を有している。
【0045】
図4(A)においては、煙に起因した散乱光が発生しておらず、受光量が閾値未満のため、火災信号は出力されない。図4(B)においては、煙に起因した散乱光が発生し、受光量が閾値以上となり、その結果、火災信号が出力される。
【0046】
従って、光電式スポット型感知器130の構成を火災要因検知部100として採用することで、据え置き型の火災感知器1が設置された火災監視エリアにおいて、煙による散乱光によって受光量が閾値以上となることで火災信号を発信させることができる。
【0047】
なお、本実施の形態1に係る火災要因検知部100としては、用途に応じて、差動式スポット型感知器110、定温式スポット型感知器120、および光電式スポット型感知器130などの異なる構成を2つ以上備えるように、複数の検出原理を組み合わせた構成を採用することも可能である。
【0048】
また、赤外線カメラなど、その他の構成を火災要因検知部100として採用することも可能である。
【0049】
次に、先の図1における発報制御部200について説明する。発報制御部200は、火災要因検知部100から火災信号が出力された場合に、火災監視エリアで火災要因が検知されたことを示す警報信号を外部に発報する機能を備えている。なお、発報制御部200による発報手法としては、用途に応じて、以下のような異なるタイプを採用することができる。
【0050】
<発報手法1>火災感知器1の本体に発報手段を装備する場合
発報手法1は、例えば、警報音、警報を知らせる音声などの音出力手段、あるいは、警報ランプ、警報メッセージなどの表示出力手段を火災感知器1に装備することで実現できる。この発報手法1を採用することで、据え置き型の火災感知器1から出力される音あるいは表示に基づいて、火災監視エリア内の人達に火災要因が検知されたことを迅速に報知することができる。
【0051】
<発報手法2>火災感知器が他の機器に対して警報信号を送信する場合
発報手法2は、警報信号を外部に送信する無線通信機能を火災感知器1に装備することで実現できる。他の機器としては、以下のようなケースが考えられる。
(ケース1)発報制御部200は、無線通信機能を用いることで、住警器、火災受信機などの防災機器に対して警報信号を送信することができる。
【0052】
(ケース2)発報制御部200は、無線通信機能を用いることで、あらかじめ登録した携帯端末に対して警報信号を送信することができる。例えば、本実施の形態1に係る火災感知器1の利用者が、家庭内において火災監視エリアとは異なる寝室、居間などにいた場合、あるいは外出していた場合にも、携帯端末に警報信号が送信されてくることで、火災感知器1が設置されている火災監視エリアの状況を迅速に把握することができる。
【0053】
次に、先の図1における電源供給部300について説明する。電源供給部300は、据え置き型として火災感知器1を使用するために、独立した電源として火災感知器1に内蔵されている。例えば、電池等のバッテリーにより電源供給部300を構成することができる。
【0054】
また、電源供給部300は、外部からAC電源を取り込むためのコンセントプラグと、AC電源をDC電源に変換し、火災要因検知部100および発報制御部200に対して供給する電源を生成するA/D変換部とを有して構成することもできる。
【0055】
こうすることで、火災感知器1にコンセントプラグが設けられた状態となり、電源タップに差し込むことで電源供給を受けることができるので、別途バッテリーを備える必要がなく、充電が切れる心配もない。
【0056】
以上のように、実施の形態1に係る火災感知器は、独立して据え置き型として設置することを可能とするために、火災要因検知部と、発報制御部と、電源供給部とを備えて構成されている。従って、コンセントの埃が原因となる火災、ろうそく、アロマキャンドルなどの消し忘れが原因となる火災など、監視対象および設置環境に応じて適切な位置に火災感知器を単独で持ち運び、設置することができる。
【0057】
このように、あらかじめ火災が生じやすい場所がわかっている場合、天井、壁面に固定することなく、当該場所の近くにピンポイントで据え置き型の感知器を設置できるので、通常の感知器のように高い検知精度を有するセンサは不要となる。
【0058】
通常の感知器では、天井、壁面等の設置面に固定されて室内全体の火災を検知するものである一方、本発明では、アロマキャンドル、コンセントのトラッキング火災、寝たばこの灰皿等、室内での火災原因となりうるものを集中的に監視するための感知器として用いることができる。
【0059】
また、設置環境になじむような形状、色彩による意匠性を採用することができる。また、用途に応じた発報手法、電源供給手段を採用することができる。
【0060】
この結果、所望の位置に据え置き型として容易に設置することができ、家庭等の比較的小規模な火災監視エリアで火災要因が検知されたことを迅速に報知することに適した火災感知器を実現できる。
【0061】
図6は、本開示の実施の形態1に係る据え置き型の火災感知器の構造例を示した図である。図6(A)は、置台401の上に置かれたアロマキャンドル402付近に据え置き型の火災感知器1aが置かれた状態を示している。
【0062】
ここで、「据え置き型」とは、通常の設置面である天井や壁面に火災感知器を固定器具を用いて固定設置する場合を除いたものであり、机、台などの水平な面を有し、床面から近い箇所に据え置かれ、必要に応じて設置位置を容易に移動可能な形態を意味する。つまり、一般的な感知器に必要な、天井や壁面に固定するための感知器ベース等の固定器具を必要とせず、使用者が所望の場所に感知器本体を移動することができるということである。
【0063】
このため、据え置き型の火災感知器1aは、水平な設置面に置くために平らであって、置いたときに比較的安定する面積の底面を有している。アロマキャンドル402付近に置かれる火災感知器1aとしては、火災要因検知部100は、炎を検知するタイプでもよく、ろうそくのような小さな火では発報せず、ろうそくの火よりも明らかな大きい火だけを火災として検知できるよう、図示しない制御部や記憶部で火災閾値が設定されている。
【0064】
次に、図6(B)を説明する。図6(B)は、商用電源から電源を得るタイプの据え置き型感知器1bである。テーブルタップ403に直接接続され、形状は、電源プラグとほぼ同じ形状であり、部屋の景観を邪魔しないものとなっている。コンセントが差し込まれる開口1b1は、熱や煙を据え置き型感知器1bの本体内に流入するための開口となっている。
【0065】
図6(B)の場合は、テーブルタップ403に直接接続されることで据え置き型を実現する形状となっており、図6(A)のタイプと同様に、感知器本体の底面は、広くて平らな所定の面積を有しており、テーブルタップ403上に据え置かれたとき、安定する形状となっている。この形状の感知器によってテーブルタップで発生するトラッキング火災を早期に検知することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 火災感知器、1a、1b 据え置き型感知器、1b1 開口、100 火災要因検知部、110 差動式スポット型感知器、111 ダイヤフラム、112 接点、120 定温式スポット型感知器、121 バイメタル、122 接点、130 光電式スポット型感知器、131 発光部、132 受光部、133 遮光板、200 発報制御部、300 電源供給部、401 置台、402 アロマキャンドル、403 テーブルタップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6