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  • 特開-放水装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121214
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】放水装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A62C35/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028181
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】吉井 裕二
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EB05
(57)【要約】
【課題】ホース展開作業を容易に行うことができ、必要に応じて無人放水を行うことができる放水装置を得る。
【解決手段】放水装置本体と、ホースとを備え、放水装置本体は、巻き枠と、巻き枠に取り付けられているノズルとを有しており、巻き枠は、互いに対向している第1車輪部および第2車輪部と、第1車輪部および第2車輪部を互いに繋いでいる繋ぎ部とを有しており、ノズルは、第1車輪部に取り付けられており、ホースは、第1車輪部と第2車輪部との間において繋ぎ部に巻かれるようになっており、ホースの一端部は、ノズルに接続されており、ホースの他端部は、消火栓に接続可能になっており、ホースの他端部が消火栓に接続されている状態において、消火栓からホースを通ってノズルに給水されることによりノズルから放水可能になっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放水装置本体と、
ホースと
を備え、
前記放水装置本体は、
巻き枠と、
前記巻き枠に取り付けられているノズルと
を有しており、
前記巻き枠は、
互いに対向している第1車輪部および第2車輪部と、
前記第1車輪部および前記第2車輪部を互いに繋いでいる繋ぎ部と
を有しており、
前記ノズルは、前記第1車輪部に取り付けられており、
前記ホースは、前記第1車輪部と前記第2車輪部との間において前記繋ぎ部に巻かれるようになっており、
前記ホースの一端部は、前記ノズルに接続されており、
前記ホースの他端部は、消火栓に接続可能になっており、
前記ホースの他端部が前記消火栓に接続されている状態において、前記消火栓から前記ホースを通って前記ノズルに給水されることにより前記ノズルから放水可能になっている
放水装置。
【請求項2】
前記第1車輪部に対する前記ノズルの角度は、調整可能になっており、
前記ノズルから放水される方向は、前記第1車輪部に対する前記ノズルの角度の調整によって調整可能になっている
請求項1に記載の放水装置。
【請求項3】
前記第1車輪部および前記第2車輪部の少なくともいずれかである設定車輪部に取り付けられているアームをさらに備え、
前記アームは、
前記設定車輪部の中心軸線から、前記設定車輪部の径方向において前記設定車輪部の外周部よりも外側へ延びており、
前記中心軸線を中心として前記設定車輪部に対して回転可能になっている
請求項1または2に記載の放水装置。
【請求項4】
前記第2車輪部の一対の側面のうち、前記第1車輪部とは反対側の側面は、平面であって、前記第2車輪部の平面を床面または地面に設置した状態で、前記ノズルからの放水を行う
請求項1または2に記載の放水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓に適用される放水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一人作業で消火活動を行う際にも、ホース内が空の状態で、ノズルを所持する操作者が目的地に向かって迅速に移動開始でき、その後、消火栓弁を開状態として放水状態に切り替えることのできる消火栓装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特に、特許文献1では、消火用ノズルに設けられた消火栓弁開ボタンを押すことにより、放水圧力を調整することができる消火栓装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-064373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、操作者は、内部に水が充填されていない空の状態でホースを火源の近傍まで搬送することができる。ただし、ホースの内部が空であっても、消火栓内に収納されているホースを、火源位置まで持参し(持ち運び)ながら展開させる必要がある。従って、消火栓から火源位置までの距離が遠くなるに従って、ホースを展開する作業負担が増大する。
【0006】
また、例えばトンネル内の火災など、火災の発生現場あるいは発生状況によっては、2次災害の発生を防止するために、放水開始後は固定の放水方向に対して無人放水を行うことが望まれることがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ホース展開作業を容易に行うことができ、必要に応じて無人放水を行うことができる放水装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る放水装置は、放水装置本体と、ホースとを備え、放水装置本体は、巻き枠と、巻き枠に取り付けられているノズルとを有しており、巻き枠は、互いに対向している第1車輪部および第2車輪部と、第1車輪部および第2車輪部を互いに繋いでいる繋ぎ部とを有しており、ノズルは、第1車輪部に取り付けられており、ホースは、第1車輪部と第2車輪部との間において繋ぎ部に巻かれるようになっており、ホースの一端部は、ノズルに接続されており、ホースの他端部は、消火栓に接続可能になっており、ホースの他端部が消火栓に接続されている状態において、消火栓からホースを通ってノズルに給水されることによりノズルから放水可能になっているものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ホース展開作業を容易に行うことができ、必要に応じて無人放水を行うことができる放水装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係る放水装置の全体構成を示した説明図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る放水装置において、放水装置本体およびホースに関する具体的な構成を示した説明図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る放水装置を、火源の近傍において固定設置した状態を示した説明図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る放水装置において、放水装置本体およびホースに関する図2とは異なる具体的な構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の放水装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る放水装置は、第1車輪部と第2車輪部との間において繋ぎ部に巻かれる形で収納されているホースを、車輪を回転させながら搬送することで容易に展開できるとともに、消火作業を行う際には第1車輪部に取り付けられたノズルを所望の角度に調整して放水することができる点に技術的特徴を有する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係る放水装置の全体構成を示した説明図である。本実施の形態1に係る放水装置は、放水装置本体100と、ホース200とを備えて構成されている。放水装置本体100は、巻き枠110と、巻き枠110に取り付けられているノズル120とを有している。
【0013】
ホース200は、一端部がノズル120に接続され、他端部が消火栓300内の消火栓弁301に接続可能となっている。ホース200は、巻き枠110に巻き付けられた状態で収納される一方で、巻き枠110を回転させることで展開され、火源位置までホースを展開させることができる構成となっている。
【0014】
なお、放水装置本体100とホース200とを備えた放水装置本体100は、通常は、ホース200の他端部が消火栓弁301に接続された状態で消火栓300の筐体内に収納される形態とすることができる。あるいは、放水装置本体100とホース200とを備えた放水装置本体100を、消火栓300の外に設置し、必要に応じて、ホース200の他端部を消火栓弁301に接続可能とする形態でもよい。
【0015】
図2は、本開示の実施の形態1に係る放水装置において、放水装置本体100およびホース200に関する具体的な構成を示した説明図である。巻き枠110は、互いに対向している第1車輪部111および第2車輪部112と、第1車輪部111および第2車輪部112を互いに繋いでいる繋ぎ部113とを有している。なお、第1車輪部111および第2車輪部112は、同じ大きさである。
【0016】
ホース200は、一端部201と、他端部202と、展開部203とで構成されている。ノズル120は、第1車輪部111に取り付けられた状態で、ホース200の一端部201と接続されている。一方、ホース200の他端部202は、消火栓300内の消火栓弁301に接続可能となっている。
【0017】
さらに、ホース200の展開部203は、第1車輪部111と第2車輪部112との間において、繋ぎ部113に巻かれるようになっている。図2では、展開部203が繋ぎ部113に巻き付けられている順番の一例を、一端部201に近い方から順に、1~31の番号を付すことで示している。
【0018】
ここで、ホース200と車輪である第1車輪部111と第2車輪部112(なお、以下の説明では2つの車輪のことを総称して車輪と呼ぶ)との大きさについて説明する。ホース200は、約20mの長さのものが使用され、繋ぎ部113にホース200を巻いた際、ホース200全てが車輪の外径内におさまるように、車輪の大きさが決められる。また車輪は、消火栓300の筐体内に収まる大きさとなっている。
【0019】
ホース200の他端部202が消火栓弁301に接続されている状態において、消火栓弁301からホース200を通ってノズル120に給水されることにより、ノズル120から放水可能な構成となっている。
【0020】
ノズル120は、回転自在ジョイント121を有しており、第1車輪部111に対するノズルの角度が調整可能となっている。従って、操作者により第1車輪部111に対するノズル120の角度が調整されることによって、ノズル120から放水される方向が所望の方向に調整可能になっている。
【0021】
より具体的には、図3に示すように、第2車輪部112の平面112aを地面または床面に設置させた際、火源に対してノズル120を上下方向に自由に回動できるように、回転自在ジョイント121は構成されている。
【0022】
また、図2では、第1車輪部111に取り付けられたアーム130を備えている。なお、アーム130は、第1車輪部111および第2車輪部112の少なくともいずれかである設定車輪部に取り付けることが可能である。
【0023】
アーム130は、設定車輪部の中心軸線Cから、設定車輪部の径方向において設定車輪部の外周部よりも外側へ延びている。すなわち、車輪の半径よりも大きい長さを有する。さらに、アーム130は、回転自在ジョイント131を介して設定車輪部に接続されており、中心軸線Cを中心として設定車輪部に対して回転可能になっている。
【0024】
従って、操作者は、アーム130の把持部130aを把持して車輪を転がしながら目的地に向かうことで、繋ぎ部113に巻かれて収納されているホース200を容易に展開することができる。
【0025】
また、把持部130aの長さを長くするか、または把持部130aの長さを調整できるスライド機構を設けて、車輪の床面設置時に把持部130aの端部が床面に接する長さとすることができれば、放水作業を行う際には、把持部130aをストッパとして地面等に接地させることで、放水装置本体100を所望の位置で固定することができる。なお、車輪を押しながらホース200を展開させてもよいので、アーム130は、本実施の形態1に係る放水装置において、必須の構成要件ではない。
【0026】
本実施の形態1に係る放水装置は、互いに対向して配置された第1車輪部111および第2車輪部112を備えているため、操作者は、巻き枠110を回転させることによってもホース200を容易に展開することができる。
【0027】
なお、図2では、アーム130が第1車輪部111に取り付けられた場合を例示しており、この場合には、第2車輪部112の一対の側面のうち、第1車輪部とは反対側の側面を平面112aとすることができる。
【0028】
この結果、本体100を横倒しにして、第2車輪部112の平面112aを底面とするようにすれば、放水装置本体100を所望の位置に固定することができ、車輪が広い面積で床面等と接地しているので、ノズル120から放水を行っても、その放水反力によって、本体100が動くことを防止できる。
【0029】
図3は、本開示の実施の形態1に係る放水装置を、火源の近傍において固定設置した状態を示した説明図である。図3に示すように、操作者は、火源の近傍まで、ホース200を展開させながら巻き枠110を移動させた後、所望の位置において平面112aを底面とするように巻き枠110を倒すことで、消火に適した位置で巻き枠110を固定設置することができる。
【0030】
さらに、操作者は、巻き枠110が固定設置された状態で、第1車輪部111に対するノズル120の角度を回転自在ジョイント121により調整することで、適切な方向にノズル120を向けた状態で火源に対して無人放水を継続することが可能となる。
【0031】
図4は、本開示の実施の形態1に係る放水装置において、放水装置本体100およびホース200に関する図2とは異なる具体的な構成を示した説明図である。先の図2では、ノズル120が中心軸線Cとは異なる位置に配置される場合を例示した。これに対して、図4では、ノズル120が中心軸線C上に配置される場合を例示した。図4に示したように、アーム130とノズル120の両方を中心軸線C上に配置することも可能である。
【0032】
以上のように、実施の形態1によれば、第1車輪部と第2車輪部からなる車輪の間において繋ぎ部に巻かれる形で収納されているホースを、車輪を回転させながら搬送することで容易に展開できるとともに、消火作業を行う際には第1車輪部に取り付けられたノズルの角度調整を行うことで所望の方向に無人放水を継続することができる。
【0033】
さらに、アームを備えている場合には、操作者は、アームを把持して目的地に向かうことで、繋ぎ部に巻かれて収納されているホースを容易に展開させながら火源の近傍に行くことができるとともに、放水作業を行う際には、アームをストッパとすることで、放水装置本体を所望の位置で固定することができる。
【0034】
また、一方の車輪部の側面が平面で構成されている場合には、その平面を底面とするようにすれば、放水装置本体を所望の位置に固定することができる。
【0035】
従って、消火栓の操作者は、火源近傍まで車輪によりホース200を展開させた後、放水装置本体を所望の位置に固定した上で、第1車輪部に取り付けられたノズルの角度調整を行うことで、この操作者は、安全な位置に避難し、より確実に火源に向けた無人放水を行うことが可能となる。
【0036】
例えば、トンネル内の火災、ビル火災などにおいて、火災の発生現場あるいは発生状況によって2次災害の危険性があるような場合であっても、火源に向けて迅速に移動した後に、ノズルを所望の方向に向けたまま無人放水を継続することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、2つの車輪部を設けたもので本体の構成を説明したが、2つの車輪部が一つにまとまって一輪タイプのものを使用してもよい。この場合、車輪は、ドーナツ状であって、内部がくり抜かれたドラム状の車輪を使用し、そのドラム内にホースを収容して、火災現場までドラム状の車輪を運びつつホースを展開させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
100 放水装置本体、110 巻き枠、111 第1車輪部、112 第2車輪部、112a 平面、113 繋ぎ部、120 ノズル、121 回転自在ジョイント、130 アーム、130a 把持部、131 回転自在ジョイント、200 ホース、201 一端部、202 他端部、203 展開部、300 消火栓、301 消火栓弁。
図1
図2
図3
図4