(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121229
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】包装用成形品
(51)【国際特許分類】
B65D 51/16 20060101AFI20240830BHJP
B65D 43/04 20060101ALI20240830BHJP
B65D 1/34 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B65D51/16 100
B65D43/04
B65D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028202
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 竜治
(72)【発明者】
【氏名】眞嶋 大介
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩志
(72)【発明者】
【氏名】石榑 孝治
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA13
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA22
3E033DA04
3E033DA08
3E033DD01
3E033DE05
3E033GA03
3E084AA06
3E084AA14
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA03
3E084DB13
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FC04
3E084GA08
3E084GB12
3E084KA01
(57)【要約】
【課題】
収容物が通気孔に接触しにくい包装用成形品を提供する。
【解決手段】
側壁220を備えた包装用成形品300であって、側壁220から外側へ突出し、上下方向へ延出する突出部270を備え、突出部270の外側面273に、通気孔280が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を備えた包装用成形品であって、
前記側壁から外側へ突出し、上下方向へ延出する突出部を備え、
前記突出部の外側面に、通気孔が設けられていることを特徴とする包装用成形品。
【請求項2】
前記突出部は、横幅が狭い縦長形状であることを特徴とする請求項1に記載の包装用成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、青果物等の食品を収容する包装用容器などの包装用成形品が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
包装用成形品には、様々な種類があり、特許文献1や特許文献2の包装用成形品の蓋体には、青果物から発生するエチレンガスを排出したり、青果物にカビが発生することを抑制するために、通気孔が設けられている。しかしながら、輸送時に、包装用成形品に収容された青果物が通気孔の縁に引っ掛かって、傷んでしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-227185号
【特許文献2】特許4152579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、収容物が通気孔に接触しにくい包装用成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用成形品は、側壁を備えた包装用成形品であって、前記側壁から外側へ突出し、上下方向へ延出する突出部を備え、前記突出部の外側面に、通気孔が設けられていることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、通気孔によって、内部と外部の通気性を確保でき、さらに、収容物は突出部の内側の一部に当接して止められるので、収容物が通気孔に接触することを防止できる。その結果、収容物が通気孔の一部に引っ掛かって、傷んでしまうことを避けられる。また、突出部は上下方向へ延出しているので、上下方向に対する強度(座屈強度)が高い。そのため、包装用成形品を段積みした際に、突出部は通気孔を設けていたとしても潰れにくく、通気孔が塞がることを防止できる。
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項2に係る包装用成形品は、前記突出部は、横幅が狭い縦長形状であることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、突出部は横幅が狭い縦長形状をしているので、収容物(例えば、葡萄などの丸い収容物など)が、突出部の内側の一部に当接して止められやすく、収容物が通気孔に接触することをより効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の包装用成形品によれば、収容物が通気孔に接触しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は、本願発明にかかる包装用成形品の容器本体の平面図、(b)は、容器本体の正面図、(c)は、容器本体の側面図である。
【
図2】(a)は、本願発明にかかる包装用成形品の蓋体の平面図、(b)は、蓋体の正面図、(c)は、蓋体の側面図である。
【
図3】(a)は、蓋体のコーナー部付近の拡大平面図、(b)は、蓋体のコーナー部付近の拡大斜視図である。
【
図4】(a)は、包装用成形品の平面図、(b)は、包装用成形品の正面図、(c)は、包装用成形品の側面図である。
【
図5】(a)は、包装用成形品の突出部周辺を拡大した平面図、(b)は、A―A端面図である。
【符号の説明】
【0012】
100 容器本体
200 蓋体
220 側壁
270 突出部
273 外側面
280 通気孔
300 包装用成形品
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用成形品を水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0014】
まず、
図1に、本願発明にかかる包装用成形品300の容器本体100を示す。なお、
図1(a)は、容器本体100の平面図、
図1(b)は、容器本体100の正面図、
図1(c)は、容器本体100の側面図である。
【0015】
図1に示すように、容器本体100は、上方に開口した浅皿型で、四隅にコーナー部101を備えた平面視略長方形状をしており、平坦で水平方向に広がる底壁110と、当該底壁110から上方へ向けて連続する側壁120と、側壁120の上方の端部121から外側へ延出する平坦な内フランジ部130と、内フランジ部130から外側へ延出する平坦な外フランジ部140とを備える。また、内フランジ部130は、外フランジ部140よりも高い位置に段状に形成されており、内フランジ部130と外フランジ部140の間の壁部131の一部には、内側に凹状の容器側嵌合部150が設けられている。
【0016】
また、コーナー部101に位置する内フランジ部130には、下方へ凹んだ嵌合穴160が設けられている。そして、側壁120、内フランジ部130、及び外フランジ部140は、容器本体100の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。また、容器本体100は、長辺103と短辺104を備えており、一方の長辺103側が、後述する蓋体200の長辺203と連結されている。また、容器本体100は平面視略長方形状となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。なお、容器本体100の収容量を調節する場合は、長辺103と短辺104の長さは変更せずに、容器本体100の深さ(または、側壁120の高さ)を変更している。これにより、収容物の大きさや量(例えば、収容物が葡萄の場合は、原産国や品種など季節で変わる量)に合わせて、容器本体100の水平方向の大きさ(縦横の寸法)を維持しながら、上下の高さのみを調節できる。さらに、包装用成形品が食品用容器として利用され、包装用成形品が、統一規格で使用されるクレート(物流用の箱)に収納されて配送される場合がある。そして、容器本体100の収容量を変更しても、容器本体100の水平方向の大きさ(縦横の寸法)は変わらないので、クレートに並べて収納できる包装用成形品の数は変わらず、積載効率が下がることを防止できる。さらに、売り場に陳列される場合であっても、陳列される包装用成形品の数が変わらないので、陳列効率が下がることも防止できる。
【0017】
なお、容器本体100は、厚さが0.1mmから1.0mm(ミリメートル)程度のプラスチック(合成樹脂)製シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、容器本体100の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたものなどを用いることができる。
【0018】
次に、
図2及び
図3に、本願発明にかかる包装用成形品300の蓋体200を示す。なお、
図2(a)は、蓋体200の平面図、
図2(b)は、蓋体200の正面図、
図2(c)は、蓋体200の側面図、
図3(a)は、蓋体200のコーナー部201付近の拡大平面図、
図3(b)は、蓋体200のコーナー部201付近の拡大斜視図である。
【0019】
図2に示すように、蓋体200は、下方に開口した深皿型で、四隅にコーナー部201を備えた平面視略長方形状をしており、平坦で水平方向に広がる天壁210と、当該天壁210から下方へ向けて連続する側壁220と、側壁220の下方の端部221から外側へ延出する平坦な内フランジ部230と、内フランジ部230から外側へ延出する平坦な外フランジ部240とを備える。また、内フランジ部230は、外フランジ部240よりも高い位置に段状に形成されており、内フランジ部230と外フランジ部240の間の壁部231の一部には、内側に凸状の蓋体側嵌合部250が設けられている。
【0020】
また、コーナー部201に位置する内フランジ部230には、下方へ突出した嵌合突起260が設けられている。そして、側壁220、内フランジ部230、及び外フランジ部240は、蓋体200の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。また、蓋体200は、長辺203と短辺204を備えており、一方の長辺203側が、容器本体100の長辺103と連結されている(連結箇所は、不図示である)。また、蓋体200は平面視略長方形状となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。なお、蓋体200の収容量を調節する場合は、長辺203と短辺204の長さは変更せずに、蓋体200の高さ(側壁220の高さ)や側壁220の傾斜角度を変更している。これにより、収容物の大きさや量(例えば、収容物が葡萄の場合は、原産国や品種など季節で変わる量)に合わせて、蓋体200の水平方向の大きさ(縦横の寸法)を維持しながら、上下の高さのみを調節できる。さらに、包装用成形品が食品用容器として利用され、包装用成形品が、統一規格で使用されるクレート(物流用の箱)に収納されて配送される場合がある。そして、蓋体200の収容量を変更しても、蓋体200の水平方向の大きさ(縦横の寸法)は変わらないので、クレートに並べて収納できる包装用成形品の数は変わらず、積載効率が下がることを防止できる。さらに、売り場に陳列される場合であっても、陳列される包装用成形品の数が変わらないので、陳列効率が下がることも防止できる。
【0021】
また、
図2及び
図3に示すように、側壁220には、側壁220から外側へ突出し、上下方向へ延出した突出部270が設けられている。突出部270は、側壁220から外側へ突出しているので、内側は窪んだ空間271となっている。そして、突出部270は、その空間271を囲むように、端面272、外側面273、及び横側面274を備える。突出部270の外側面273は、側壁220から更に外側へ突出しており、外側面273の末端275は内フランジ部230と連続している。また、突出部270の横幅L1は、突出部270の高さH1よりも狭く(横幅L1<高さH1)、突出部270は縦長形状となっている。さらに、突出部270の横幅L1は、任意の幅に設定できるが、収容物が通気孔280に接触しないように、収容物の横幅よりも狭くするのが好ましい。なお、突出部270は、横幅が狭い縦長形状であるが、これに限定されず、収容物が通気孔280に接触しないように、収容物を止められるのであれば、任意の形状であってもよい。
【0022】
また、突出部270の外側面273には、上下方向へ延出する通気孔280が設けられている。通気孔280の一方の端部281は、突出部270の端面272まで延びている。また、通気孔280の他方の端部282は、内フランジ部230まで延びている。なお、通気孔280は、上下方向に直線状に延出しているが、これに限定されず、突出部270の外側面273に設けられているのであれば、円形状や波形状など、任意の形状であってもよい。また、通気孔280の長さは、外側面273に限定されず、一方の端部281が側壁220まで延びていてもよい。
【0023】
なお、蓋体200は、厚さが0.1mmから1.0mm(ミリメートル)程度のプラスチック(合成樹脂)製シートを用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、蓋体200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたものなどを用いることができる。また、蓋体200を上下反転させて、天壁210と側壁220で囲まれた部分を収容物の収容空間とすれば、蓋体200は容器本体として利用できる。
【0024】
次に、
図4及び
図5に、蓋体200を容器本体100に嵌合させた状態の包装用成形品300を示す。なお、
図4(a)は、包装用成形品300の平面図、
図4(b)は、包装用成形品300の正面図、
図4(c)は、包装用成形品300の側面図、
図5(a)は、包装用成形品300の突出部270周辺を拡大した平面図、
図5(b)は、A―A端面図である。
【0025】
図4及び
図5に示すように、蓋体200が容器本体100の上から被せられるように取り付けられ、包装用成形品300は閉じられる。その際、蓋体200の蓋体側嵌合部250が、容器本体100の容器側嵌合部150に外嵌合している。また、蓋体200の嵌合突起260が容器本体100の嵌合穴160に嵌合している。なお、蓋体200の長辺203と容器本体100の長辺103は互いに連結されており、当該連結箇所を起点にして、蓋体200は容器本体100に対して開閉可能に構成されている。ただ、蓋体200は容器本体100に対して開閉可能に連結されているが、これに限定されず、蓋体200と容器本体100は連結されておらず、それぞれ別体であってもよい。
【0026】
また、
図5に示すように、包装用成形品300内には、青果物などの収容物Xが収容されている。蓋体200の側壁220には、内部と外部の通気性を確保できる通気孔280が設けられているので、例えば葡萄などの青果物のカビや腐敗の天敵である、容器内湿度の上昇やエチレンガスから収容物Xを守ることができる。また、通気孔280は、側壁220から外側へ突出する突出部270の外側面273に設けられているので、収容物Xと通気孔280の間には、一定の距離が確保されている。そのため、包装用成形品300の輸送時等に収容物Xが側壁220側に移動しても、収容物Xは突出部270の内側の一部(例えば、横側面274)に当接して止められるので、収容物Xが通気孔280に接触することを防止できる。その結果、収容物Xが通気孔280の一部に引っ掛かって、傷んでしまうことを避けられる。特に、突出部270は、横幅が狭い縦長形状をしているので、収容物X(例えば、葡萄などの丸い収容物など)が、突出部270の内側の一部に当接して止められやすく、収容物Xが通気孔280に接触することをより効果的に防止できる。また、突出部270の内側には、空間271が確保されているので、収容物Xが突出部270側へ移動しても、収容物Xから発生するエチレンガス等は空間271を介して通気孔280から外部へ排出できる。
【0027】
さらに、突出部270は上下方向へ延出しているので、上下方向に対する強度(座屈強度)が高い。そのため、包装用成形品300を段積みした際に、突出部270は潰れにくく、通気孔280が塞がることを防止できる。また、突出部270の末端275は、容器本体100の内フランジ部130に当接できるように構成されているので、突出部270付近が潰される方向に応力(下方へ向けての応力)がかかっても、内フランジ部130が突出部270を支えると共に応力を分散するので、突出部270がより潰れにくくなる。
【0028】
また、通気孔280は上下方向へ延出しているので、包装用成形品300を段積みした際や、包装用成形品300の周囲に他の物品等が積まれても、通気孔280は塞がれにくい。そのため、通気孔280のよる通気性を確実に確保できる。さらに、通気孔280の端部281は、突出部270の外側面273に交差する端面272まで延出しているので、突出部270の外側面273側が、他の物品等に塞がれたとしても、通気孔280の端部281側によって、通気性を確保できる。
【0029】
また、通気孔280を備えた突出部270は、蓋体200の側壁220に配置されており、天壁210には配置されていない。そのため、蓋体200の上方からの収容物Xの視認性が良好となる。
【0030】
なお、突出部270及び通気孔280は、蓋体200のコーナー部201付近に設けられているが、これに限定されず、長辺203や短辺204側の側壁220など、側壁220の任意の箇所に設けることができる。また、通気孔280は、突出部270に1つ設けられているが、これに限定されず、通気孔280は2つ以上の任意の数だけ設けてもよい。また、包装用成形品300は、容器本体100と蓋体200を備えた包装用容器の態様であるが、これに限定されず、包装用成形品300自体が、蓋体である態様、又は、容器本体である態様など、収容物を収容するために利用される成形品であれば、任意の態様であってもよい。例えば、包装用成形品300は、蓋体200のみから構成されてもよいし、包装用成形品300は、蓋体200と同様の構成の成形品を容器本体として利用した構成であってもよい。
【0031】
なお、本願発明の包装用成形品は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。