IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-遊技場用システム 図1
  • 特開-遊技場用システム 図2
  • 特開-遊技場用システム 図3
  • 特開-遊技場用システム 図4
  • 特開-遊技場用システム 図5
  • 特開-遊技場用システム 図6
  • 特開-遊技場用システム 図7
  • 特開-遊技場用システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121232
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A63F5/04 683
A63F5/04 620
A63F5/04 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028205
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】川邊 保
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 大祐
(72)【発明者】
【氏名】小島 紹広
(72)【発明者】
【氏名】荒野 剛夫
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182CD35
2C182EB01
2C518AA02
2C518AA06
2C518AC14
2C518AD06
2C518CA03
2C518DA13
(57)【要約】
【課題】連荘中に特別状態と特別状態でない状態とを交互に移行する遊技機であっても、初当り確率に関する情報を適切に特定する。
【解決手段】対象となるゲームの実行数を示す対象ゲームと、特賞状態の発生数、或いは当該特賞状態における最初の特別状態(AT)の発生数を示す初当りとの比較結果を示す初当り確率を特定する場合に、初当りとの比較対象となる対象ゲームから、AT終了後の継続演出中におけるゲームを除外する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態よりも遊技者にとって有利な特別状態を連続的に発生する特賞状態において、当該特別状態の終了後に移行状態へ移行可能な遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、
前記特賞状態の発生数、或いは当該特賞状態における最初の特別状態の発生数を示す初当りと、ゲームの実行と、を遊技機側から出力される遊技信号により特定可能な遊技情報特定手段と、
対象となるゲームの実行数を示す対象ゲームと、前記初当りとの比較結果を示す比較情報を特定する比較情報特定手段と、
前記比較情報の比較対象となる前記対象ゲームから、前記移行状態におけるゲームを除外する除外手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
前記遊技機は、前記遊技信号として前記特別状態である期間を直接的に特定可能な状態信号を出力する一方で、前記移行状態である期間を直接的に特定可能な状態信号を出力しない構成であり、
前記遊技情報特定手段は、前記特別状態の発生回数を前記遊技信号により特定可能であり、
前記除外手段は、前記移行状態の1回分を対象とした予め設定されるゲームの実行期待値と、前記特別状態の発生回数とにより特定可能なゲームを、前記移行状態におけるゲームとして除外する請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記遊技機は、前記特賞状態を発生させる場合に特賞移行状態へ移行可能であり、当該特賞移行状態である期間を直接的に特定可能な状態信号を前記遊技信号として出力する構成であり、
前記除外手段は、前記移行状態におけるゲーム以外に、前記遊技信号により特定可能な特賞移行状態におけるゲームを前記対象ゲームから除外する請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記遊技機は、前記特賞状態における最終の特別状態の終了後においても前記移行状態である最終移行状態へ移行する構成であり、
前記除外手段は、前記最終移行状態におけるゲームを前記対象ゲームの除外対象としない請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
参照情報を特定可能な参照情報特定手段を備え、
前記遊技機は、前記特別状態、及び前記特賞状態の内、少なくとも一方である対象状態の発生に応じて初期化され、ゲームの実行に応じて更新される天井ゲーム情報により天井条件が満たされた場合に天井特典を与える一方、前記特賞状態における最終の特別状態の終了後においても前記移行状態である最終移行状態へ移行可能な構成であり、
前記遊技情報特定手段は、前記遊技信号により、前記対象状態の発生、及び終了の内、少なくとも一方を示す対象状態状況を特定可能であり、
前記参照情報は、前記対象状態状況が特定された場合に初期化される一方、ゲームの実行が特定された場合に更新され、
前記除外手段は、前記最終移行状態におけるゲームを前記参照情報の更新対象から除外する請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場に設置される遊技機は大当りやボーナス、或いはAT(アシストタイム)といった特別状態を、ゲームに応じて行われる所定の抽選の抽選結果に応じて発生可能としている。例えばスロットマシンでは内部抽選当選後、停止操作に応じてボーナス役を入賞させられるが、この内部抽選の当選後からボーナス役入賞までは新たな内部抽選が行われないことから、例えば特許文献1では当該期間を特定可能な遊技信号を受信して当該期間を特定し、ボーナスの抽選確率を管理することが提案されている。このようにして実際の当選確率を内部抽選確率により近似させることで、例えば遊技者に報知すれば、遊技機の調整状況を推測する一助となる遊技情報の正確性が増し、サービスの質を向上させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-113605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、遊技機の中には所謂連荘機能を有しており、連荘の開始となる特別状態である所謂初当りが発生した場合、初当りの抽選とは異なる継続抽選や確率変動中抽選等を行い、当該抽選の抽選結果に応じて特別状態を連続的に発生させられるような遊技機もある。このような遊技機の場合、連荘中は特別状態と特別状態ではない状態とに交互に移行するが、特別状態ではない期間に初当りの抽選を行うか否かに関わらず、上記の通り連荘中は通常状態における初当り抽選とは異なる抽選により特別状態を発生させるので、当該期間を初当り確率の演算対象に含めるべきではない。しかしながら、このような遊技機の初当り確率の精度を向上させる点は従来何ら考慮されておらず、この点で改良が求められている。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、連荘中に特別状態と特別状態でない状態とを交互に移行する遊技機であっても、初当り確率に関する情報を適切に特定することが可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、通常状態よりも遊技者にとって有利な特別状態(例えばAT)を連続的に発生する特賞状態において、当該特別状態の終了後に移行状態(例えばAT継続演出状態)へ移行可能な遊技機を対象とする遊技場用システムにおいて、前記特賞状態の発生数、或いは当該特賞状態における最初の特別状態の発生数を示す初当りと、ゲームの実行と、を遊技機側から出力される遊技信号(例えばアウト情報、セーフ情報、初当り情報、AT情報を含む電文データ)により特定可能な遊技情報特定手段(例えば情報表示装置3)と、対象となるゲームの実行数を示す対象ゲームと、前記初当りとの比較結果を示す比較情報(例えば初当り確率1~4、初当り確率情報)を特定する比較情報特定手段(例えば情報表示装置3)と、前記比較情報の比較対象となる前記対象ゲームから、前記移行状態におけるゲームを除外する除外手段(例えば情報表示装置3)と、を備える。
【0007】
このような構成によれば、特賞状態の発生数、或いは当該特賞状態における最初の特別状態の発生数を示す初当りとの比較結果を示す比較情報の比較対象となる対象ゲームから、移行状態におけるゲームを除外するようにしたので、連荘中に特別状態と特別状態でない状態とを交互に移行する遊技機であっても、初当り確率に関する情報を適切に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を概略的に示す図
図2】遊技機の正面図
図3】リール配列を示す図
図4】役設定を示す図
図5】内部当選テーブルを示す図
図6】遊技機の状態移行を説明する図
図7】情報表示装置の正面図
図8】演算例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には複数台の遊技機1が設置されている。本実施形態の場合、遊技機1は所謂スロットマシンを想定している。各遊技機1には、遊技装置2及び情報表示装置3(遊技情報特定手段、比較情報特定手段、除外手段、参照情報特定手段に相当する)が付設されている。遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は、それぞれ中継装置4と接続されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6と接続されている。
【0010】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務所等に設置されており、モニタ7、キーボード8等が接続されている。管理装置6は、遊技場内に設置される各種機器(遊技機1、遊技装置2、情報表示装置3等)の稼動状況を管理する。尚、遊技場内には所謂パチンコ機も含めて例えば数百台の遊技機1が設置されており、それぞれの遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。遊技場内には島端計数機や景品交換端末(POS端末)等も設置されており、それらもLAN5を介して管理装置6と接続されている。
【0011】
図2に示すように、遊技機1は、表示窓9、リール10、スタートレバー11、ストップ釦12a~12c、液晶表示部13、スピーカ14、MAXBET釦15、計数釦16、付与数表示部17、クレジット数表示部18等を備える。遊技者は表示窓9を通じて内部に設けられたリール10に描かれた図柄を視認可能となっている。各図柄は、図3に示すように、左リール、中リール、右リールの円周面に描かれており、各リールが停止した状態では、表示窓9の上段、中段、下段に対応して表示される。即ち、表示窓9には各リールの各々について3図柄ずつ合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。
【0012】
遊技機1には、図4に示すように、AT(特別状態に相当する)役、小役、リプレイ役の3種類の役が設定されている。AT役として、AT役A、AT役Bの2種類、小役として、15枚役、1枚役A、1枚役B、2枚役の4種類が設定されている。遊技機1では、1回のゲームにおけるメダルの使用数(BET数)は、3枚(3BET)に設定されている。表示窓9には、中段に対応した横方向の1本、上段、中段、下段に対応した斜め方向の2本、上段と下段に対応した横方向の2本の合計5本の入賞ラインが設定されており、入賞図柄が何れかの入賞ライン上に揃ったときに対応する入賞が発生する。
【0013】
遊技機1では、例えば「1」~「6」の6段階で役の内部当選確率を設定するための設定値(モード)が設けられており、その何れかの設定値を有効化する。設定値は、その値が高いほど遊技者にとって有利な設定であり、その値が低いほど遊技者にとって不利な設定である。
【0014】
遊技機1は以下に示す動作を行う。
(1)遊技者がMAXBET釦15を操作してクレジットメダル(遊技価値)が所定枚数ベットされ(遊技価値が消費され)、その状態でスタートレバー11が操作されると(ゲームの開始操作が行われると)、内部抽選を実行する。図5に示すように、例えば0~65535の間で発生する乱数のうち1つを抽出し、その抽出した乱数と図示しない当選乱数テーブルとを照合して内部当選役を決定する。具体的には、例えば図5に示す設定値1の場合、通常状態及び特賞状態では、AT役Aに7281個の抽選用の乱数が割振られており、その理論上の内部当選確率は7281/65536である。同様に、AT役Bに7281個、1枚役Aに1638個、15枚役+1枚役Bに32768個、2枚役に328個、リプレイ役に8978個の抽選用の乱数が割振られている。リール10を始動させた後、ストップ釦12a~12cが操作されると、所謂引込制御(予め規定された引込範囲である例えば4図柄まで図柄を有効ライン上に引込んで停止表示させる制御)によりリール10の変動を停止し、役に対応した図柄が入賞ライン上に停止することで入賞が発生する。
【0015】
(2)ATでは15枚役+1枚役Bの内部当選時にストップ釦12a~12cの操作順をナビゲートする。ナビゲート通りに操作すれば15枚役が入賞する一方、ナビゲート通り操作しなければ1枚役Bの引込制御を行い、1枚役Bが引込範囲内にあれば1枚役が入賞する一方、引込範囲内になければ非入賞となる。
【0016】
(3)AT以外のボーナスは発生せず、内部抽選とは別途行われる、或いは特定の小役(例えば2枚役)の内部当選により当選となるAT抽選に当選するといったAT条件が成立した状態で、AT役AやAT役BのAT役が内部当選した場合、ATを連続的に発生させる特賞状態となる。AT条件や小役確率、或いは後述する継続確率が上記した6段階に設定される設定値により異なることで遊技機1の出率等が調整される。
【0017】
(4)AT役は内部当選すればAT条件が成立しなくとも入賞させられるが、当該状態にて入賞させてもATや特賞は発生しない。又、AT条件が成立してAT役が内部当選すればAT役が入賞しなくとも次のゲームより特賞状態に移行する。
(5)AT以外の本来のボーナスを発生させても良く、この場合も含め、ボーナスの発生確率のような例示しない構成を設定値により異なるようにしても勿論良い。
【0018】
遊技機1は、上記した物理的なリール10を備えるものに限らず、表示窓9を液晶表示器等で構成し、図柄を画像として表示及び変動させるタイプのものであっても良い。その場合、スタートレバー11が操作されると、液晶表示器の画面に表示された図柄の変動を開始させ、ストップ釦12a~12cが操作されると、対応する図柄が停止表示されることになる。
【0019】
遊技機1における遊技状態の移行について図6を参照して説明する。
(1)通常状態ではAT条件が成立すると特賞状態の確定演出が行われる。その後、AT役が内部当選すると、AT役の入賞に関わらず特賞状態(ATが連続的に発生する状態)となる。AT条件の成立からAT役が内部当選するまでは特賞状態の確定演出期間となり、AT役が内部当選率に対応する平均9ゲームが当該確定演出期間となる。AT条件は、AT抽選以外に所謂天井のように特賞状態に移行しないまま所定のゲーム数(例えば2000ゲーム)を消化した場合にも成立する。
【0020】
(2)AT条件の成立からAT役の内部当選までの間は特賞状態の確定演出を行う期間として当該期間中継続して初当り情報がオンとなり、AT役の内部当選後は特賞に移行する。AT条件もAT役A及びAT役Bに対応した2種類があり、区分して成立することから、仮にAT役Aに対応したAT条件が成立した状態でAT役Bが内部当選や入賞しても特賞状態には移行せず、対応するAT役Aが内部当選する必要がある。AT役が内部当選すればその入賞に関わらず特賞が発生するが、AT役が内部当選した場合にはその旨が報知され、AT役を入賞させることで遊技者にある種の達成感を与えられる。尚、特賞状態ではAT抽選は行われないが、内部当選テーブルについては通常状態と同様である。
【0021】
(3)ATは40ゲーム継続する。即ち、規定数である40ゲームを消化するとATを終了する。ここで、最終ゲーム(40ゲーム目)では最初の停止操作が行われた際に継続抽選を行う。又、AT中はAT(特別状態)である期間を特定可能なAT情報が継続的にオン(出力対象)となる。尚、継続抽選はAT中に行えば最終ゲーム以外で行っても良いし、最初以外の停止操作やスタートレバー11の操作等により行っても良い。更に、AT中以外の後述するAT継続演出中に行っても良い。
【0022】
(4)継続抽選は4つの継続確率(60%、75%、82%、91%)が設けられ、AT役の内部当選時に振分けられる。AT役としてAT役AとAT役Bとが設けられるが、この継続確率の振分け率が異なる。即ち、60%、75%、82%、91%の振分け率が、AT役Aでは6:2.5:1:0.5の比率で振分けられ、AT役Bでは1:4:3:2の比率で振分けられる。
【0023】
(5)AT終了後は継続抽選の当落を演出により報知するためのAT継続演出を15ゲーム行うAT継続演出状態(移行状態)へ移行する。即ち、AT終了後、規定数である15ゲームを消化するとATを終了し、その後、継続当選であればATに戻り、継続落選であれば通常状態に戻る。
【0024】
(6)継続演出中はATと異なり、出率が通常時と変わらないのでAT情報がオン(出力対象)とならない。AT抽選の当選確率、即ち、初当り確率は設定値により違いがあり、設定値1であれば凡そ「1/400」であるが、設定値6であれば「1/250」といったように異なり、他の設定値でも段階的に異なっている。
【0025】
(7)本実施形態では説明簡略化のため省略しているが、例えばAT中に継続確率を抽選により昇格させる。或いは継続抽選とは別途、AT特別抽選をAT中や継続演出中に行い、当選した場合は継続抽選に関わらず次回のATを継続させるといった遊技性を持たせても良い。尚、各状態に示したゲーム数は期待値であり、実際のゲーム数は入賞状況や演出状況に応じて加減算される場合がある。
【0026】
(8)継続抽選はATの最終ゲームで実行されることから、仮に落選しても本実施形態ではその後のAT継続演出中はAT条件に関わるAT抽選等の対象から除外しているが、対象としても良い。この場合、仮にAT継続演出中にAT条件が成立した場合は新たな特賞が発生したことになるから後述する初当り情報をオンとして確定演出を行うといった構成が想定することができる。
【0027】
遊技機1は、遊技の実行に応じて各種のデータ項目(情報)を送信する。これらのデータ項目は電文データとして送信される。
アウト情報=アウト(使用価値、消費価値)を示すデータ項目である。遊技開始操作に応じてベット状態の遊技点を使用したとしてベット状態の遊技点数(3点)分が1点単位で送信対象となる。又、1ゲーム当りに使用する点数(例えば3点)を特定した場合に1ゲームを特定する。尚、リプレイ時にも対応分が対象となる。
セーフ情報=セーフ(入賞獲得価値、払出媒体数)を示すデータ項目である。遊技点が付与された場合に1点単位で送信対象となる。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用された点数分が対象となる。
初当り情報=特賞状態の確定演出時に(AT役告知から特賞発生まで)オンとなることで確定演出状態(特賞移行状態)である期間を直接的に特定可能な状態情報(状態信号)。
AT情報=AT中にオンとなることでAT状態(特別状態)である期間を直接的に特定可能な状態情報(状態信号)。
その他、クレジット(遊技点)を特定可能な遊技点情報といったデータ項目も想定できるが省略している。
【0028】
遊技装置2は、遊技者が貨幣(有価価値)を投入する貨幣投入口19、遊技者がICカードを挿入するカード挿入口20、貸出釦21、再プレイ釦22、発行釦23、タッチパネル式の液晶表示部24、小物を収容する小物入れ25等を備える。
【0029】
遊技装置2は以下に示す動作を行う。
(1)貨幣を受付ける(貨幣受付処理)と、入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で貸出釦21が押下(貸出操作、付与操作)されると、付与単位(例えば1000円)分の点数(対価付与価値)を遊技機1にて管理されるクレジット(遊技点)へ所定の貸出レート(例えば1000円で50点)に応じて付与(加算)し(貸出処理、対価付与処理)、その対価分を残高から引落とす。尚、貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0030】
(2)持点を管理し、遊技機1の計数釦16が押下(計数操作)されると、クレジットを持点に変換する計数処理を行う。又、再プレイ釦22が押下(再プレイ操作、付与操作)されることで、持点をクレジットに変換する払戻処理(価値付与処理、再プレイ処理)も可能とし、払戻処理した場合はその対価分(付与した持点と同数)を持点より減算する。尚、計数処理や払戻処理も貸出処理と同様に変換レートを任意に設定し、当該変換レートに応じて適宜変換するレートを変換しても良い。
【0031】
(3)残高や持点が残存する状態で発行釦23が押下(発行操作)されると、残高や持点を特定可能な一般カードを発行する。尚、一般カードを受付けた場合は、その残高や持点を引継ぐ。この場合、離席操作のような特別操作した場合にはクレジットを残したまま発行可能とするが、通常の発行処理ではクレジットの計数忘れを防ぐため、遊技点が「0」であることを条件として発行処理を許容する。
【0032】
(4)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持点、貸出点数、払戻点数、入金額、計数点数や貸出点数や貸出点の対価となる売上額及び一般カードの受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。
【0033】
図7に示すように、情報表示装置3は、呼出表示時やAT中等にイルミネーション演出を行うイルミネーション部26、各種遊技情報等を表示する表示領域27、表示領域の表示内容を変更する等の操作を受付ける各種操作釦28を備える。表示領域27は、液晶表示によりメイン表示部27aと各サブ表示部27b~27eとに区分されており、通常状態時では図7に例示しているように各表示部を区分して情報表示を行うが、例えば特別状態発生演出を行う際や拡大して情報表示する際等の表示領域27の全体で情報表示する場合には各表示部を区分せずに情報表示を行うことも可能である。
【0034】
メイン表示部27aには、該当期間における差数(セーフ-アウト)の推移を示すスランプグラフを表示する。第1サブ表示部27bには、発生したAT数、初当り及び初当り確率をそれぞれ該当期間(営業日)単位で表示する。第2サブ表示部27cには、初期化条件成立後(営業開始や特別状態の終了等により成立)からのゲーム数であるゲームと、天井状態への突入目安になる参照ゲーム(詳しくは後述する)を表示する。第3サブ表示部27dには、ATのような特別状態単位で特別状態の発生までに実行されたゲーム数をグラフ化した所謂ゲーム履歴グラフを表示する。ここで、特賞状態単位で何回ATが連続して発生したかを示す連荘情報も表示している(例えば「5連」と示される矢印)。尚、第3サブ表示部27dに、各種操作釦28の案内等を表示する場合もある。第4サブ表示部27eには、機種名を表示する。各種操作釦28により遊技情報の切替操作があった場合、図示しない他の遊技情報へ表示を切替えることも可能である。
【0035】
図8は、初当り確率に関する遊技情報の演算例を示している。各項目は以下の通りである。
総ゲーム=通常状態、特賞状態を問わず実行されたゲーム数を示す(例えばアウトを1ゲームの規定数である「3」で除した値)。
初当り=AT役の入賞数、即ち、特賞状態の発生回数を示す。
確定演出ゲーム=確定演出中のゲーム数、即ち、初当り情報がオンの状態でのゲーム数を示す。
AT数=ATの発生回数(特別状態の発生回数)、即ち、AT情報の特定回数を示す。
ATゲーム=AT中のゲーム数、即ち、AT情報がオンの状態で特定したゲーム数を示す。
初当り確率1~4=初当りを対象となるゲーム(対象ゲームに相当する。以下、対象ゲーム)にて除した、実際の初当り確率(比較結果)を示す(比較情報に相当する、初当り確率情報)。尚、初当り確率の逆数を示す初当り1回当りに対応する平均的なゲームや例えば1:400といった比を示す情報等を比較情報(初当り確率情報)として管理しても良い。図8では、4つの初当り確率1~4を例示しているが何れも対象ゲームが異なる。対象ゲームの対象は任意に選択可能であり、AT中、確定演出中、AT継続演出中、特賞状態の最後のAT継続演出中の4つを対象候補とし、対象ゲームの対象から除外するか否かを選択可能とし、初当り確率1~4を差別化している。
【0036】
初当り確率1は、従来同様に、AT情報にて通常状態と区分できる状態、即ち、AT中のみを対象ゲームからの除外対象とする設定を行い、総ゲームからATゲームを差引いたゲームを対象ゲームとしている。対象ゲームは以下の演算式により求まる。
対象ゲーム=総ゲーム-ATゲーム
図8の例示では、
対象ゲーム=8000-2280=5720
を算出し、初当り確率1として、
初当り確率1=12/5702=1/477
を算出している。
【0037】
初当り確率2は、除外対象としてAT中だけでなくAT継続演出中も含め、AT中とAT継続演出中を対象ゲームからの除外対象とする設定を行う。ここで、AT継続演出中である期間は遊技情報では直接的に特定できないため、ゲームの期待値(例えば平均ゲームである15ゲーム、予め設定されるゲームの実行期待値に相当する)を予め設定し、AT継続演出はATに伴って発生することからAT数に乗じた値を補正値とし、総ゲームからATゲームと当該補正値(移行状態におけるゲームとして)とを差引いたゲームを対象ゲームとしている。対象ゲームは以下の演算式により求まる。
対象ゲーム=総ゲーム-ATゲーム-AT数×ゲームの期待値
図8の例示では、
対象ゲーム=8000-2280-57×15=4865
を算出し、初当り確率2として、
初当り確率2=12/4865=1/405
を算出している。
【0038】
初当り確率3は、除外対象としてAT中とAT継続演出中だけでなく、特別状態の確定演出中も含め、AT中とAT継続演出中と特別状態の確定演出中を対象ゲームからの除外対象とする設定を行う。即ち、総ゲームからATゲームと当該補正値と確定演出ゲーム(特賞移行状態におけるゲームに相当する)とを差引いたゲームを対象ゲームとしている。対象ゲームは以下の演算式により求まる。
対象ゲーム=総ゲーム-ATゲーム-AT数×ゲームの期待値-確定演出ゲーム
図8の例示では、
対象ゲーム=8000-2280-57×15-108=4757
を算出し、初当り確率3として、
初当り確率3=12/4757=1/396
を算出している。
【0039】
初当り確率4は、対象となる遊技機がAT中に継続落選した場合に、次のAT継続演出では継続抽選を行わず通常状態と同様に初当り抽選を行う場合に、その後だけ、即ち、最終のAT継続演出中(最終移行状態におけるゲームに相当する)だけは除外対象に含めず(除外対象としない)演算対象に含めている。即ち、初当り確率3から更に特賞状態の最終のAT継続演出中(1回分、即ち、特賞回数(初当り)分)を除いてAT継続演出分のゲームを除外している。対象ゲームは以下の演算式により求まる。
対象ゲーム=総ゲーム-ATゲーム-(AT数-初当り)×ゲームの期待値-確定演出ゲーム
図8の例示では、
対象ゲーム=8000-2280-(57-12)×15-108=4937
を算出し、初当り確率4として、
初当り確率4=12/4937=1/411
を算出している。
【0040】
ここで、AT情報や初当り情報が対応期間中に継続してオンにならず(出力されず)、一部(例えば発生時に2秒)だけオンとなる遊技機も想定できるが、この場合、対応するゲームを直接的に特定できないことから、AT継続演出と同様に期待値(例えば確定演出ゲームであれば9ゲーム、ATであれば40ゲーム)を設定し、対応する状態の特定数(例えば確定演出ゲームであれば初当り、ATであればAT数)に乗じた値を補正値として対象ゲームから除外して初当り確率を特定しても良い。
【0041】
又、AT情報と同様に、各状態、例えばAT継続演出中に継続してオンとなる当該状態である期間を特定可能な情報が出力される場合も想定できるが、この場合はAT中と同様に当該状態である期間中に特定したゲームを除外対象とすれば良い。
【0042】
初当り確率1~4は遊技場のニーズに応じて上記した除外対象を切替可能であるので、例示した以外の組合わせとしても良いが、本実施形態では初当り確率3を採用している。又、AT継続演出中をAT条件に関わるAT抽選等の対象とする遊技機の場合、初当り確率4を採用し、AT終了後の規定ゲーム(例えば15ゲーム)内、即ち、AT継続演出中に初当り情報がオンとなった場合に引戻しを特定し、引戻し演出を行うことや引戻し確率(引戻し÷初当り)を管理対象に加えても良い。
【0043】
参照ゲーム(参照情報に相当する)について説明する。参照ゲームは、天井状態の到達目安となるゲームである。本実施形態にて例示する遊技機1は、天井状態はAT終了後の通常状態にて特賞状態に移行しないまま2000ゲーム(対象状態の発生に応じて初期化され、ゲームの実行に応じて更新される天井ゲーム情報)を消化した場合に発動する(天井特典を与える)が、特賞状態における最後のAT終了後のAT継続演出中(最終移行状態)にはAT情報がオフであるため、通常状態として取扱われて初期化条件成立後のゲームとしては計数対象となる。しかしながら、天井状態となるためのゲームには含まれないので、AT(特別状態、対象状態)終了後(対象状態状況が特定された場合)に初期化するものの規定ゲーム(例えば15ゲーム、最終移行状態におけるゲーム)をカウント対象(参照情報の更新対象)から除外することで、AT継続演出中のゲームを除外し、当該規定ゲーム消化後からゲームの実行に応じてカウント(ゲームの実行が特定された場合に更新)するようにしている。尚、ATに応じて初期化すればAT終了直後でなくとも除外する期間が終ったカウント開始直前でもどのようなタイミングで初期化しても良い。又、対象状態としてATを例示したが特賞を対象状態としても良い。
【0044】
以上に説明した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。遊技場用システムにおいて、初当り確率を特定する場合に初当りとの比較対象となる対象ゲームから、AT終了後の継続演出中におけるゲームを除外するようにしたので、連荘中に通常状態と同様の初当り抽選を行わない継続演出状態へ移行する遊技機であっても、初当り確率を適切に特定することが可能となる。
【0045】
継続演出状態の1回分を対象とした予め設定されるゲームの実行期待値と、AT数とにより特定可能なゲームを対象ゲームから除外するようにしたので、継続演出状態を対象とした状態信号が出力されない遊技機であっても初当り確率を適切に特定することが可能となる。
【0046】
特賞状態の確定演出中におけるゲームを対象ゲームから除外するようにしたので、特賞状態の発生時に初当り抽選を行わない確定演出状態に移行するような遊技機であっても初当り確率を適切に特定することが可能となる。
【0047】
特賞状態の最終の継続演出状態におけるゲームは対象ゲームから除外せず対象ゲームに含めるようにしたので、継続抽選に落選した後に通常状態と同様に初当り抽選を行うような遊技機であっても初当り確率を適切に特定することが可能となる。
【0048】
天井状態へ移行するために参考となる参照ゲームを表示する場合に、特賞状態における最後のAT終了後の継続演出状態間分のゲームを参照ゲームの更新対象から除外するようにしたので、天井ゲームの対象となるゲームとして継続演出状態におけるゲームが除外されるような遊技機であっても適切に参照ゲームを提示することが可能となる。
【0049】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組合わせたり各変形例を組合わせたりしてどのように組合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
初当り確率1~4を例示したが、除外対象を選択する設定を行わず、例えば初当り確率3のような何れか1つの初当り確率を採用しても良い。又、除外対象をそれぞれ選択するのではなく、初当り確率1~4のような選択候補を予め定めておき、直接的に選択して設定する構成としても良い。更に、状態状態の一部(例えばAT継続演出)だけを除外するか否かの設定対象としても良い。
【0050】
対象となる遊技機として、特賞状態の確定演出やAT継続演出といった移行期間において演出を行う遊技機を例示したが、必ずしも移行期間において演出しなくとも良い。
AT継続演出にて初当り抽選を行わない遊技機を例示したが、継続抽選、或いは同様に初当り抽選とは異なる例えば確率変動に応じた抽選を行えば、別途、初当り抽選を行っても良い。
【0051】
初当り確率情報を遊技者向けの情報として例示したが、遊技場管理者向けの情報として採用しても良く、この場合、例えば何らかの不正が行われていないかを判断するための指標をより適切に特定し得るようになる。参照ゲームについても同様で、この場合、例えば閉店中の初期化処理を行うか否かを判断するための指標をより適切に特定し得るようになる。何れの場合も、情報表示装置3にて行う処理を適宜管理装置6にて行えば、必ずしも情報表示装置3を設けなくとも良い。
【0052】
AT条件が成立してAT役が内部当選すれば特賞状態が発生する旨を例示したが、AT役の入賞を条件としても良く(この場合、上記した通り確定演出ゲームを期待値により特定する場合には入賞までの平均ゲーム数を考慮して設定する必要がある)、又、AT役として1枚役を例示したがリプレイ役のような他の小役でも良い。更に、例示したようなAT条件とAT役の内部当選といった2段階の発生条件ではなく、例えばAT役をAT抽選同様の確率としてAT役の内部当選や入賞だけで特賞を発生させても良い。この場合、確定演出する期間を設けなくとも良い。
【0053】
例示した全ての遊技情報は、入力した情報により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、機種としては、メーカ単位やスペック単位等、遊技機の種類を示せばどのような区分としても良い。
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、演算式については単なる例示であり、例示した演算式と同様の値を示す、或いは同様の意義を持つ演算値を演算するのであれば、どのような演算式を採用しても良い。
【0054】
以下と未満についてはどちらを採用しても良く、「達していない」等の表現は以下或いは未満となった場合の何れにも対応する表現となる。以上と超過についても同様で、「達している」等の表現は双方に対応する表現となる。
液晶表示を例示したが、有機EL等の他の表示方法を採用しても良い。又、表示することを例示したが印字するといった報知方法を採用することもできる。
【0055】
対象となる遊技機1としてスロットマシンを例示したが、それ以外に例えばパチンコ遊技機のような他の遊技機を対象としても良い。この場合、ゲームとしては図柄変動が対応することになる。又、遊技価値を払出さない所謂メダルレスのスロットマシンを例示したが、従来の遊技価値を払出すスロットマシンを対象としても良く、パチンコ遊技機についても同様である。本実施形態のように点数式の遊技機だけでなく従来の払出し式の遊技機にて払出される遊技媒体を想定し得ることから、両者を包含する遊技価値という表現を適宜使用している。
情報表示装置3が行う処理の一部、或いは全てを管理装置6、遊技装置2或いは中継装置4等にて行っても良いし、情報表示装置3のみで全てを構成しても良い。
【符号の説明】
【0056】
図面中、1は遊技機、3は情報表示装置(遊技情報特定手段、比較情報特定手段、除外手段、参照情報特定手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8