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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121235
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】観光案内システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/9035 20190101AFI20240830BHJP
【FI】
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028210
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】家田 清一
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA03
5B175DA10
(57)【要約】
【課題】大人、子供の双方にとって理解しやすく有用な態様で観光スポットを案内できる可能性を高める技術の提供。
【解決手段】検索により、ユーザ端末の現在地周辺にある案内対象の観光スポットを取得する観光スポット取得部と、前記ユーザ端末の画面を見ている視認ユーザの属性が大人であるか子供であるかを判別する属性判別部と、前記視認ユーザが子供である場合に前記画面に前記観光スポットの簡易コンテンツを表示し、前記視認ユーザが大人である場合に前記画面に前記観光スポットの詳細コンテンツを表示するコンテンツ表示部と、を備える観光案内システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索により、現在地周辺にある案内対象の観光スポットを取得する観光スポット取得部と、
画面を見ている視認ユーザの属性が大人であるか子供であるかを判別する属性判別部と、
前記視認ユーザが子供である場合に前記画面に前記観光スポットの簡易コンテンツを表示し、前記視認ユーザが大人である場合に前記画面に前記観光スポットの詳細コンテンツを表示するコンテンツ表示部と、
を備える観光案内システム。
【請求項2】
前記観光スポット取得部においては、前記視認ユーザを含む複数のユーザが属するユーザグループの属性を検索条件として前記観光スポットが検索される、
請求項1に記載の観光案内システム。
【請求項3】
前記ユーザグループには、複数の属性をそれぞれ有する前記ユーザが含まれており、
前記観光スポット取得部においては、前記ユーザグループに属する前記ユーザ毎に前記ユーザの属性を検索条件として前記観光スポットが検索され、それぞれの検索によって取得された前記観光スポットが前記案内対象となる、
請求項2に記載の観光案内システム。
【請求項4】
前記観光スポット取得部においては、前記現在地から前記ユーザの目的地までの間の所定幅の範囲内に位置する前記観光スポットが取得される、
請求項2または請求項3に記載の観光案内システム。
【請求項5】
検索時の天候が雨天の場合は晴天の場合よりも前記所定幅が狭い、
請求項4に記載の観光案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観光案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザとの距離やユーザの頭部の高さに基づいてユーザが大人か子供かを判別し、大人には「大人に対する提供情報」を表示し子供には「子供に対する提供情報」を表示することが記載されている。また、「大人、または子供に対する」は、提供する情報を表現や文字、あるいは図柄などを大人向けと子供向けに作成したものであることが記載されている(段落0033)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-69970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば子供と大人のように、趣味嗜好、知識レベル等が異なる複数のメンバーで観光地を訪れる場合、目的地や立ち寄り先を決定することは容易ではない。携帯端末で周辺の施設をインターネット検索し画面に地図として表示させても、子供、大人双方にとって理解しやすい態様、あるいは、目的地や立ち寄り先を決定するのに足りる情報を有する態様で表示されるとは限らない。また、仮に、子供向けの地図と大人向けの地図がインターネット上あるいは携帯端末に保存されて存在している場合、子供が子供向けの地図を見て気になったと主張するスポットについて、大人は、大人向けの地図を新たに携帯端末に表示させて当該スポットのより詳細な情報を探すという動作やインターネットで詳細な情報を調べるという動作が想定される。このような場合、使い勝手がよいとは言えない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、大人、子供の双方にとって理解しやすく有用な態様で観光スポットを案内できる可能性を高める技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、観光案内システムは、検索により、現在地周辺にある案内対象の観光スポットを取得する観光スポット取得部と、画面を見ている視認ユーザの属性が大人であるか子供であるかを判別する属性判別部と、視認ユーザが子供である場合に観光スポットの簡易コンテンツを表示し、視認ユーザが大人である場合に観光スポットの詳細コンテンツを表示するコンテンツ表示部と、を備える。
【0006】
すなわち、観光案内システムでは、画面を視認しているユーザが大人であるか子供であるかを判別し、画面を視認中のユーザが子供である場合、現在地周辺の観光スポットの簡易コンテンツを表示し、画面を視認中のユーザが大人である場合、当該観光スポットの詳細コンテンツを表示する。そのため、大人、子供の双方にとって有用な態様で観光スポットを案内できる可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】観光案内システムの構成を示すブロック図。
図2図2Aはユーザ情報の一例を示す図、図2Bおよび図2Cは地域情報の一例を示す図。
図3】現在地から目的地に向かう経路周辺の観光スポットの分布例を示す図。
図4図4Aは簡易コンテンツの表示例、図4Bは詳細コンテンツの表示例。
図5】観光案内処理のシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)観光案内システムの構成:
(2)観光案内処理:
(3)他の実施形態:
【0009】
(1)観光案内システムの構成:
図1は、本発明にかかる観光案内システムの構成を示すブロック図である。本実施形態において、観光案内システムは、ユーザが携帯した状態で移動可能な可搬型のユーザ端末10(例えばスマートフォンやタブレット等)である。ユーザ端末10は複数存在しうるが図1ではそのうちの1台を図示している。
【0010】
サーバ100は、CPU,ROM,RAM等を備える制御部200、記録媒体300、通信部410を備えており、記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200で実行することができる。本実施形態において制御部200は、このプログラムとして観光スポット検索プログラム210を実行可能である。通信部410は、他の装置と通信を行う回路を備えており、制御部200は観光スポット検索プログラム210を実行することにより、ユーザ端末10と通信を行うことができる。サーバ100はユーザ端末10と協働してユーザ端末10のユーザに観光案内を行う。
【0011】
記録媒体300には、ユーザ情報300aと、地域情報300bと、地図情報300cが記録される。ユーザ情報300aは、後述する観光案内プログラム21を利用するユーザに関する情報を含む。本実施形態において、ユーザ端末10は複数のユーザ、例えば大人と子供を含む家族の各メンバーが操作しうることを想定している。ユーザ端末10を操作しうる複数のメンバーのうちのいずれか(代表ユーザと呼ぶ)が、観光案内プログラム21を利用するためのユーザ登録を行う。この際、代表ユーザは、自身のユーザIDと、自身およびユーザ端末10を操作しうる他のユーザそれぞれについての属性を登録する。このようにして代表ユーザによって登録された複数のユーザ全体をユーザグループと呼ぶ。図2Aは、ユーザ情報300aの構成例を示す図である。ユーザ情報300aは、ユーザグループ毎に登録されており、図2Aはそのうちの1つのユーザグループの例を示している。二重丸が付されたユーザは代表ユーザであることを示しており、本実施形態においては代表ユーザにユーザIDが割り振られている。本実施形態において、ユーザの属性は、性別、年齢、お気に入りのジャンル・キーワードを含んでいる。図2Aに示すように、ユーザグループには、複数の属性をそれぞれ有するユーザが含まれて得る。
【0012】
地域情報300bは、観光スポットを示す情報であり、観光スポットの検索や、観光スポットの案内コンテンツ生成の際に利用される。図2Bおよび図2Cは地域情報300bの構成例を示す図である。観光スポットはスポットIDで識別される。図2Bは、スポットIDに対応付けて、観光スポットの位置や利用可能時間帯、ジャンル・キーワード、ターゲット層が記録されていることを示している。ターゲット層は、例えばメインターゲットとして想定する人物の年齢層や性別等の情報である。図2Bに示す情報は、後述する観光スポット検索部210aによる観光スポットの検索に利用される。
【0013】
図2Cは、スポットIDに対応付けて、スポット名と案内コンテンツが記録されていることを示している。本実施形態において、案内コンテンツにはサムネイル画像と説明文が含まれる。サムネイル画像は、例えば、対応する観光スポットそのもの、あるいは当該観光スポットで提供されるサービスや開催されるイベントの様子等を撮影した画像から予め準備される。もちろん、サムネイル画像以外の様々なコンテンツの詳細説明用の画像がさらに各観光スポットに対応付けられていても良い。図2Cに示す情報は、後述するコンテンツ生成部210cによる地図表示データ30aの生成に利用される。
【0014】
地図情報300cには、ノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士を接続するリンクを示すリンクデータ等を含む。ここで、ノードは、交差点に対応し、リンクは、交差点から交差点までの道路区間に対応する。さらに、地図情報300cは、さらに施設情報を含んでいる。施設情報は、施設名、施設の座標、施設ジャンルなどを含む。本実施形態において、地図情報300cは、観光スポット検索部210aによる経路探索と、コンテンツ生成部210cによる地図表示データ30aの生成に利用される。
【0015】
ユーザ端末10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部41、GNSS受信部42、カメラ43、ユーザI/F部44を備えており、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態において制御部20は、このプログラムとして観光案内プログラム21を実行可能である。通信部41は、他の装置と無線通信するための通信回路を含んでいる。制御部20は、観光案内プログラム21を実行することによってサーバ100と通信することが可能である。
【0016】
GNSS受信部42は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部42は、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して、ユーザ端末10の位置を算出するための信号を出力する。制御部20は、この信号を取得してユーザ端末10の現在地を取得する。
【0017】
カメラ43は、ユーザがユーザ端末10のディスプレイを視認中の場合に当該ユーザを撮影範囲に含むことができるようにユーザ端末10に設けられている。ユーザI/F部44は、ユーザ端末10のユーザが指示を入力し、また、ユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部である。ユーザI/F部44は、図示しないタッチパネル式のディスプレイやスイッチ、マイク、スピーカー等を備えている。すなわち、ユーザI/F部44は、画像や音声の出力部およびユーザによる指示の入力部を備えている。
【0018】
ユーザ端末10の制御部20は、観光案内プログラム21を実行することにより、観光スポット取得部21a、属性判別部21b、コンテンツ表示部21cとして機能する。また、サーバ100の制御部20は、観光スポット検索プログラム210を実行することにより、観光スポット検索部210a、コンテンツ生成部210cとして機能する。
【0019】
観光スポット取得部21aの機能により、ユーザ端末10の制御部20は、ユーザ端末10の現在地周辺にある案内対象の観光スポットを取得する。ユーザは観光案内プログラム21を利用するにあたり最初にユーザ登録を行う。ユーザ登録は、上述したように、代表ユーザと、当該代表ユーザと共に行動しうる他のユーザのそれぞれについて、属性を登録することである。ユーザ登録は、ユーザ端末10を操作して行われても良いし、他の端末を操作して行われても良いが、登録内容は、サーバ100にユーザ情報300aとして記録される。ユーザ登録が済むと、観光案内プログラム21における観光案内機能を利用可能となる。本実施形態において、観光案内プログラム21は、現在地から目的地までの間に存在する、ユーザグループの各メンバーにとってそれぞれ興味がある施設を示した観光案内地図を表示する機能を有する。観光案内地図は、大人が視認する場合と子供が視認する場合とで、異なる態様で表示される。具体的には、地図上に表示される観光スポットのスポットIDは大人向けおよび子供向けの双方において共通であるが、各観光スポットを示すコンテンツの詳細さが大人向けと子供向けとで異なる。より具体的には、本実施形態においては、子供向けには該当する観光スポットのサムネイル画像(図2Cを参照)を表示することで簡易的に当該観光スポットが案内される。大人向けには該当する観光スポットのサムネイル画像と説明文(図2Cを参照)を表示することで詳細に当該観光スポットが案内される。
【0020】
このような観光案内地図に表示する観光スポットを取得するため、サーバ100の制御部200は、複数の検索条件によって検索を行う。検索条件は、様々であってよいが、本実施形態においては、現在地から目的地の間の所定幅の領域内に存在することが検索条件の1つとなる。そのため、ユーザ端末10の制御部20は、目的地の入力を促す画面をユーザI/F部44のディスプレイに表示し、ユーザが入力した目的地を受け付ける。制御部20は、目的地と現在地をサーバ100に送信する。サーバ100は、現在地から目的地までの経路を探索し、当該経路を含む所定幅の範囲を設定する。図3は、現在地Pから目的地Pまでの経路Rと、経路Rを含む所定幅の範囲Aの一例を示す図である。図3に示す黒丸は、地域情報300bに記録されている観光スポットの位置を例示している。
【0021】
さらに、サーバ100の制御部200は、ユーザグループの属性と一致または類似する属性を有することも検索条件の1つとする。具体的には、ユーザグループに属するユーザ毎にユーザの属性を検索条件として観光スポットが検索され、それぞれの検索によって取得された観光スポットの全てが案内対象の候補となる。
【0022】
図2及び図3を参照しながら具体例を説明する。制御部200は、図2Aに示す観光スポットの位置情報に基づいて、範囲A(図3を参照)内の観光スポットを抽出する。さらに、制御部200は、抽出した観光スポットの中から、図2Aに示すグループに属するユーザUのお気に入りのジャンル・キーワードと一致または類似するジャンル・キーワードを有するスポット(※1)であって、ユーザUの性別や年齢層とターゲット層が一致するスポット(※2)を抽出する(※1と※2はAND条件であってもよいしOR条件であってもよい)。制御部20は、残りのユーザU~Uについても同様にして、観光スポットを抽出する。制御部20は、各ユーザについてそれぞれ抽出された観光スポットを全て案内対象の候補として取得する。なお例えば、ジャンルには、予め類似する他のジャンルが定義されていている。また例えば、キーワードには、異なる表現であっても同様の意味を持つ単語やフレーズが予め関連付けて定義されている。これらの定義に基づいてジャンルやキーワードの類似が判断される。
【0023】
さらに、制御部20は、検索日時を取得し、検索時刻(あるいは+移動時間の時刻)が、案内対象の候補の観光スポットの利用可能時間帯に含まれる観光スポットを、案内対象の観光スポットとして取得する。なお、地域情報300bにおいてスポット毎に定休日の情報が記録されており、検索日を定休日としない観光スポットが案内対象として取得されてもよい。また、地域情報300bにおいてスポット毎に現在の混雑情報が記録されており、混雑している観光スポットは案内対象からは除外されてもよい。
【0024】
コンテンツ生成部210cの機能により、サーバ100の制御部200は、検索によって取得した観光スポットについてのコンテンツをユーザ端末10において表示させるため、地図表示データ30aを生成し、ユーザ端末10に送信する。本実施形態において、地図表示データ30aは、複数のレイヤーで構成される。本実施形態において地図表示データは、ベース地図レイヤーと、簡易コンテンツレイヤーと、詳細コンテンツレイヤーを含んで構成されるとして説明を続ける。本実施形態において、ベース地図レイヤーは、道路と地名等の文字列、背景画等を含む。簡易コンテンツレイヤーは、観光スポット検索部210aによって取得された案内対象の観光スポットについての、子供向けの簡易コンテンツが配置されるレイヤーである。詳細コンテンツレイヤーは、当該観光スポットについての、大人向けの詳細コンテンツが配置されるレイヤーである。
【0025】
まず、ベース地図レイヤーの表示データの生成について説明する。制御部200は、現在地Pと、目的地Pと、現在地Pから目的地Pまでの経路Rを含む既定幅の範囲Aとを含む表示範囲を決定し、当該表示範囲の道路および背景をベース地図レイヤーの表示データとして生成する。
【0026】
続いて、簡易コンテンツレイヤーの表示データの生成について説明する。制御部200は、属性が子供(例えば、本実施形態においては18歳未満のユーザを子供と見なす)であるユーザUとユーザUについての検索によって案内対象として取得された観光スポットの位置に当該観光スポットのサムネイル画像(図2Cの案内コンテンツのサムネイル画像)を配置した表示データを簡易コンテンツレイヤーの表示データとして生成する。
【0027】
図4Aは、ベース地図レイヤーの上に簡易コンテンツレイヤーを重ねた場合の表示例を示している。I,I,I等は、子供であるユーザUとユーザUについて取得された観光スポットの位置に配置された、当該観光スポットのサムネイル画像を例示している。具体的には例えば制御部200は、ユーザUについて取得されたスポットCの位置を図2Bに示す情報を参照して取得し、スポットCのサムネイル画像であるC0.jpgを図Cに示す情報を参照して取得し、表示範囲におけるスポットCの該当位置にC0.jpgを配置する。その結果、図4Aに示すように画像Iが当該位置に配置されることとなる。大人であるユーザUとユーザUについて取得された観光スポット(子供であるUとUの検索では取得されなかったスポット)の位置には本実施形態においては、スポットの位置を示す黒丸が配置される。なお、他の実施形態においては、大人のユーザについて取得された観光スポットの位置にも当該スポットのサムネイル画像が配置されてもよい。簡易コンテンツレイヤーの表示データには、さらに、ユーザUやユーザUの年齢や性別に応じて予め決められた定型文等(例えば図4AのB)が配置されてもよい。これらの定型文の表示の有無は任意であり、定型文のデータについては図2Cには不図示である。定型文としては、例えば、ユーザの現在地や目的地を定型文に挿入して散策を促す文言や、立ち寄り先の決定を促す文言等を想定してよい。
【0028】
続いて、詳細コンテンツレイヤーの表示データの生成について説明する。制御部200は、ユーザグループに属する全てのユーザについて案内対象として取得された観光スポットの位置に黒丸を配置し、各黒丸の近傍に識別番号を配置した表示データを生成する。さらに、当該表示データにおいて、制御部20は、範囲Aに相当する領域の外側に、上述の識別番号が示す観光スポットの詳細説明部をそれぞれ配置する。
【0029】
図4Bは、ベース地図レイヤーの上に詳細コンテンツレイヤーを重ねた場合の表示例を示している。例えばDに示すように、詳細説明部は、識別番号とサムネイル画像と説明文を含む。黒丸の近傍に配置された識別番号と、詳細説明部における識別番号は対応する。例えば、識別番号「1」が付された黒丸の位置に存在する観光スポットの詳細説明部には識別番号「1」が付されている。大人のユーザは、識別番号「1」の黒丸の位置にはCC寺が存在することと、CC寺についての詳細な情報を認識することができる。詳細説明部のサムネイル画像は、図2Cに示す情報における案内コンテンツのサムネイル画像が参照される。詳細説明部の説明文は、図2Cに示す情報における案内コンテンツの説明文が参照される。制御部20はこのようにして簡易コンテンツレイヤーの表示データを生成する。制御部200はこのようにして生成した各レイヤーの表示データを含む地図表示データ30aを、ユーザ端末10に送信する。
【0030】
ユーザ端末10は、サーバ100から地図表示データ30aを受信すると記録媒体300に保存する。そして、属性判別部21bの機能により、制御部20は、カメラ43に所定周期で画像を撮影させる。本実施形態において、制御部20は、公知の顔認識プログラムを利用し画像内の人物の属性を取得する。顔認識プログラムは、例えば、人物の顔の画像と当該人物の属性とを用いて機械学習した機械学習モデルを用いて、画像内に含まれる人物の年齢層や性別を判別し判別結果を出力する機能を有する。制御部20は、顔認識プログラムの出力に基づいて、ユーザ端末10の画面を見ている視認ユーザの属性が大人であるか子供であるかを判別する。
【0031】
コンテンツ表示部21cの機能により、ユーザ端末10の制御部20は、視認ユーザが子供である場合に画面に観光スポットの簡易コンテンツを表示し、視認ユーザが大人である場合に画面に観光スポットの詳細コンテンツを表示する。すなわち、制御部20は、ベース地図レイヤーの上に簡易コンテンツレイヤーを重ねて表示することで、子供向けの簡易コンテンツが配置された地図を表示する(図4Aを参照)。また、制御部20は、ベース地図レイヤーの上に詳細コンテンツレイヤーを重ねて表示することで、大人向けの詳細コンテンツが配置された地図を表示する(図4Bを参照)。
【0032】
図4Aおよび図4Bに示すように、ユーザグループに含まれる全てのユーザについて取得された各観光スポットの位置自体は、子供向けの地図にも大人向けの地図にも表示される。子供は、子供向けの地図を視認してサムネイル画像の内容から当該位置に存在する観光スポットの内容を容易に把握できるように構成されている。大人は、大人向けの地図を視認して、子供と大人を含むユーザグループの全てのメンバーの興味がある観光スポットの位置とその詳細情報を把握することができるように構成されている。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ端末を視認中のユーザが子供である場合、現在地周辺の観光スポットの簡易コンテンツを表示し、ユーザ端末を視認中のユーザが大人である場合、当該観光スポットの詳細コンテンツを表示する。そのため、大人、子供の双方にとって有用な態様で観光スポットを案内できる可能性を高めることができる。
【0034】
(2)観光案内処理:
次に、図5を参照しながら、観光案内処理のシーケンスを説明する。観光案内プログラム21がユーザ端末10で起動されると、制御部20は、観光スポット取得部21aの機能により、ユーザ登録済みであるか否かを判定し(ステップS100)、ユーザ登録済みであると判定されない場合、制御部20は、ユーザ登録を受け付けて登録内容をサーバ100に送信する(ステップS105)。例えば、代表ユーザおよび代表ユーザと行動を共にする他のユーザの属性が代表ユーザによって登録され、その内容がサーバ100に送信される。サーバ100の制御部200は、受信した登録内容をユーザ情報300aに記録する(ステップS110)。
【0035】
ステップS100においてユーザ登録済みであると判定された場合、または、ステップS105を終了後、ユーザ端末10の制御部20は、観光スポット取得部21aの機能により、現在地を取得する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、GNSS受信部42の出力信号に基づいてユーザ端末10の現在地を取得する。続いて、制御部20は、観光スポット取得部21aの機能により、目的地を取得する(ステップS120)。制御部20はユーザ端末10のディスプレイに目的地を入力させるダイアログを表示し、ユーザが入力した目的地を取得する。制御部20は、観光スポット取得部21aの機能により、取得した現在地と目的地をサーバ100に送信する(ステップS125)。ユーザIDに対応付けて現在地と目的地がサーバ100に送信される。
【0036】
サーバ100の制御部200は、観光スポット検索部210aの機能により、ユーザ端末10から送信された、ユーザの現在地と目的地を取得する(ステップS130)。制御部200は、現在地および目的地に対応付けて送信されたユーザIDによって、ユーザ端末10のユーザを特定可能である。続いて、制御部200は、観光スポット検索部210aの機能により、ユーザ情報を取得する(ステップS140)。すなわち、制御部200は、ユーザ情報300aからユーザ端末10のユーザが属するユーザグループの各メンバーの属性を取得する。続いて、制御部200は、観光スポット検索部210aの機能により、地域情報を取得する(ステップS145)。すなわち、制御部200は、地域情報300bを記録媒体300から読み出しRAMに保存する。
【0037】
続いて、制御部200は、観光スポット検索部210aの機能により、現在地から目的地までの間の所定幅の範囲内に位置し、各ユーザの属性に合致する観光スポットを地域情報から検索し取得する(ステップS150)。すなわち、制御部200は、地図情報300cに基づいて現在地Pから目的地Pまでの経路Rを探索し、図2Bに示す地域情報300bに基づいて当該経路Rを含む既定幅の範囲A内の観光スポットを抽出する。さらに制御部200は抽出した観光スポットの中から、図2Aに示すユーザ情報300aおよび図2Bに示す地域情報300bに基づいて、ユーザ毎に当該ユーザの属性に一致あるいは類似する観光スポットを案内対象の候補としてそれぞれ取得する。そして、制御部200は、案内対象の候補の観光スポットのうち、検索時刻(あるいは+移動時間の時刻)が利用可能時間帯に含まれている観光スポットを案内対象として取得する。
【0038】
続いて、制御部200は、コンテンツ生成部210cの機能により、地図表示データを生成してユーザ端末10に送信する(ステップS155)。すなわち、制御部200は、ベース地図レイヤーと簡易コンテンツレイヤーと詳細コンテンツレイヤーの各表示データを含む地図表示データ30aを生成し、ユーザ端末10に送信する。
【0039】
地図表示データ30aを取得するとユーザ端末10は記録媒体30に記録する。ユーザ端末10の制御部20は、属性判別部21bの機能により、カメラ43の撮影画像から、画面を視認する視認ユーザの属性を取得する(ステップS160)。すなわち、制御部20は所定周期でカメラ43に画像を撮影させ、撮影した画像に含まれる人物の大人・子供の区別を、顔認識プログラムの出力に基づいて取得する。
【0040】
続いて、制御部20は、属性判別部21bの機能により、視認ユーザが大人であるか子供であるかを判定する(ステップS165)。ステップS140において子供と判定された場合、制御部20は、コンテンツ表示部21cの機能により、地図表示データに基づいて観光スポットの簡易コンテンツを表示する(ステップS170)。制御部20は、サーバ100から受信した地図表示データ30aの複数のレイヤーの表示データのうち、ベース地図レイヤーの上に簡易コンテンツレイヤーを重ねた地図を表示することで、観光スポットの簡易コンテンツを表示する(例えば図4Aを参照)。
【0041】
ステップS165において大人と判定された場合、制御部20は、コンテンツ表示部21cの機能により、地図表示データに基づいて観光スポットの詳細コンテンツを表示する(ステップS175)。制御部20は、サーバ100から受信した地図表示データ30aの複数のレイヤーの表示データのうち、ベース地図レイヤーの上に詳細コンテンツレイヤーを重ねた地図を表示することで、観光スポットの詳細コンテンツを表示する(例えば図4Bを参照)。
【0042】
制御部20は、コンテンツ表示部21cの機能により、終了トリガを検知したか否かを判定し(ステップS180)、検知するまでステップS160~S175の処理を繰り返し実行する。終了トリガは、視認ユーザの属性に応じて観光スポットのコンテンツ表示態様を切り替える機能を終了するトリガである。終了トリガとしては例えば、予め決められた所定の時間が経過したことや、ユーザが観光案内プログラム21を終了したこと等を想定してよい。
【0043】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ユーザ端末10は車両とともに移動する形態であってもよく、車両に搭載された装置であってもよい。また、観光案内システムを構成する観光スポット取得部、属性判別部、コンテンツ表示部の各部は、サーバとユーザ端末に分かれて存在していてもよいし、サーバに存在していてもよいし、ユーザ端末に存在していてもよい。観光スポット取得部、属性判別部、コンテンツ表示部が、サーバに存在する場合、ユーザ端末から送信された画像に基づいて視認ユーザの属性が判別されることとなる。サーバは、経路探索サーバや、観光スポット検索サーバ等、複数のサーバで構成されていてもよい。また、ユーザ端末に、観光スポット取得部、属性判別部、コンテンツ表示部が存在する場合、地域情報(観光スポットに関する情報)や地図情報がユーザ端末に予め保存され、それらの情報を用いて観光スポットの検索や案内コンテンツの生成が行われてもよい。むろん、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0044】
観光スポット取得部において、検索条件は様々であってよい。目的地の入力は必須ではなくてももちろんよい。例えば、現在地を中心とした所定距離の範囲が検索条件の1つであってもよいし、現在地から所定の方角の所定の大きさの範囲が検索条件の1つであってもよい。目的地が検索条件の1つとして利用される場合であっても、現在地から目的地までの経路探索は行われなくてもよく、例えば、現在地と目的地を繋ぐ直線を含む既定幅の範囲が検索条件の1つとされてもよい。
【0045】
また、検索時の天候が検索条件に加味されてもよい。例えば、上述の既定幅の範囲A(例えば図3を参照)について、検索時の天候が雨天の場合は晴天の場合よりも幅が狭く設定されてもよい。雨天時は、経路から遠く離れたスポットへの寄り道が困難になり得ることから、予め晴天時よりも狭い範囲を対象に検索することで、雨天時にも立ち寄りやすい観光スポットを案内することができる。なお、雨天時には、屋根付きの歩道沿いにある観光スポットを検索条件の1つとしてもよい。
【0046】
また、観光スポット取得部は、視認ユーザを含む複数のユーザが属するユーザグループの属性を検索条件として観光スポットを検索するように構成されてもよい。例えば、図2Aの例の場合、グループの属性が子育て世帯であるとすると、子育て世帯をターゲット層としている観光スポットを検索するように構成されてもよい。
【0047】
属性判別部においては、人物の性別や、上記実施形態の例よりもさらに詳細な年齢層等が判別されてもよい。その場合、コンテンツ表示部においては、性別や詳細な年齢層に応じた地図表示データを生成し、当該地図表示データに基づいて視認ユーザの性別や詳細な年齢層に応じた表示を行うように構成されてもよい。
【0048】
詳細コンテンツは、簡易コンテンツより、同一の観光スポットについての情報量が多い。同一の観光スポットについて、詳細コンテンツの方が簡易コンテンツより文章の量が多くなるように構成されていてもよい。同一の観光スポットについて、詳細コンテンツには文章による説明が存在し簡易コンテンツには文章による説明がないように構成されていてもよい。同一の観光スポットについて、詳細コンテンツには簡易コンテンツよりも写真の枚数が多くなるように構成されていてもよい。
【0049】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…ユーザ端末、20…制御部、21…観光案内プログラム、21a…観光スポット取得部、21b…属性判別部、21c…コンテンツ表示部、30…記録媒体、30a…地図表示データ、41…通信部、42…GNSS受信部、43…カメラ、44…ユーザI/F部、100…サーバ、200…制御部、210…観光スポット検索プログラム、210a…観光スポット検索部、210c…コンテンツ生成部、300…記録媒体、300a…ユーザ情報、300b…地域情報、300c…地図情報、410…通信部
図1
図2
図3
図4
図5