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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121241
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】火力発電システム、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20240830BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20240830BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240830BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
F01K23/10 U
B01D53/78
B01D53/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028226
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 功一
【テーマコード(参考)】
3G081
4D002
【Fターム(参考)】
3G081BA01
3G081BA11
3G081BC07
4D002AA09
4D002AC01
4D002AC04
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA13
4D002CA07
4D002DA31
4D002DA35
4D002EA01
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA03
4D002GB20
4D002HA08
(57)【要約】
【課題】燃焼排ガスから二酸化炭素を回収可能な火力発電システムにおいて、電力が余剰状態の時の発電電力を用いて、電力が余剰状態でない時の発電量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供することや、蒸気の熱を利用している場合は熱利用先の熱利用量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供する。
【解決手段】
本実施形態に係る火力発電システムにおいて、燃焼ボイラは、炭素原子を含む燃料を用いて燃焼することにより加熱して蒸気を生成する。蒸気タービンは、燃焼ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する。発電機は、蒸気タービンの駆動力を用いて発電する。復水器は、蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる。ポンプは水を循環させる。二酸化炭素回収装置は、燃焼ボイラが排出する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する。電気ヒータは、電力を用いて発熱可能である。蓄熱槽は、電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、二酸化炭素回収装置の熱源として用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された水を、炭素原子を含む燃料を燃焼することにより加熱して蒸気を生成する燃焼ボイラと、
前記燃焼ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの駆動力を用いて発電する発電機と、
前記蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる復水器と、
前記水を循環させるポンプと、
熱源から供給される熱を用いて、前記燃焼ボイラが排出する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
電力を用いて発熱可能である電気ヒータと、
前記電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、前記二酸化炭素回収装置の前記熱源として用いる蓄熱槽と、
を備える、火力発電システム。
【請求項2】
炭素原子を含む燃料を用いた燃焼器の燃焼排ガスを流通する事で回転駆動力を生成するガスタービンと、
前記ガスタービンから流出した前記燃焼排ガスを用いて、搬送された水を加熱することにより蒸気を生成し、排ガスを排出するボイラと、
前記ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する蒸気タービンと、
前記ガスタービン、及び前記蒸気タービンの少なくとも一方の駆動力を用いて発電する発電機と、
前記蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる復水器と、
前記水を循環させるポンプと、
熱源から供給される熱を用いて、前記ボイラが排出する前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
電力を用いて発熱可能である電気ヒータと、
前記電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、前記二酸化炭素回収装置の前記熱源として用いる蓄熱槽と、
を備える、火力発電システム。
【請求項3】
炭素原子を含む燃料を燃焼することにより、回転駆動力を生成し、排ガスを排出する内燃機関と、
前記内燃機関の駆動力を用いて発電する発電機と、
熱源から供給される熱を用いて、前記内燃機関が排出する前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
電力を用いて発熱可能である電気ヒータと、
前記電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、前記二酸化炭素回収装置の前記熱源として用いる蓄熱槽と、
を備える、火力発電システム。
【請求項4】
電力が余剰状態である時に蓄熱運転を実施し、余剰電力を前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の全部あるいは一部を前記蓄熱槽に蓄熱させる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の火力発電システム。
【請求項5】
前記電力が余剰状態でない時に放熱運転を実施し、前記蓄熱槽から放熱された熱を前記二酸化炭素回収装置に供給させる、請求項4に記載の火力発電システム。
【請求項6】
前記電力が余剰状態である時に、前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の一部を前記二酸化炭素回収装置に供給し、かつ前記熱の一部を蓄熱槽に蓄熱させる、請求項4に記載の火力発電システム。
【請求項7】
前記電力が余剰状態である時は前記ボイラを、前記電力が余剰状態でない時と比べて、より低負荷運転にする、請求項5に記載の火力発電システム。
【請求項8】
前記蓄熱運転を実施する際は、前記電気ヒータと前記蓄熱槽の間で熱媒体を循環させることにより、前記蓄熱槽内に蓄熱させる、請求項4に記載の火力発電システム。
【請求項9】
前記放熱運転を実施する際は、前記蓄熱槽と前記二酸化炭素回収装置の間で熱媒体を循環させることにより、前記二酸化炭素回収装置に対して熱を供給させる、請求項5に記載の火力発電システム。
【請求項10】
前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の一部を前記二酸化炭素回収装置に供給する場合には、前記電気ヒータと前記二酸化炭素回収装置の間で熱媒体を循環させることにより、前記二酸化炭素回収装置に熱を供給させる、請求項5に記載の火力発電システム。
【請求項11】
前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の一部を前記二酸化炭素回収装置に供給し、かつ前記熱の一部を蓄熱槽に蓄熱する場合には、前記電気ヒータを流出した前記熱媒体を分岐し、前記二酸化炭素回収装置と前記蓄熱槽それぞれに流入させ、前記二酸化炭素回収装置と前記蓄熱槽それぞれから流出した前記熱媒体を前記電気ヒータに流入させる、請求項10に記載の火力発電システム。
【請求項12】
前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の一部を前記二酸化炭素回収装置に供給し、かつ前記熱の一部を蓄熱槽に蓄熱する際は、前記電気ヒータを流出した前記熱媒体を前記二酸化炭素回収装置に流入させ、前記二酸化炭素回収装置から流出した前記熱媒体を前記蓄熱槽に流入させ、前記蓄熱槽から流出した前記熱媒体を前記電気ヒータに流入させる、請求項10に記載の火力発電システム。
【請求項13】
前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の一部を前記二酸化炭素回収装置に供給し、かつ前記熱の一部を蓄熱槽に蓄熱する場合には、前記電気ヒータを流出した前記熱媒体を前記蓄熱槽に流入させ、前記蓄熱槽から流出した前記熱媒体を前記二酸化炭素回収装置に流入させ、前記二酸化炭素回収装置から流出した前記熱媒体を前記電気ヒータに流入させる、請求項10に記載の火力発電システム。
【請求項14】
前記二酸化炭素回収装置は、
水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔から供給される前記吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔と、
前記再生塔の前記吸収液を加熱するリボイラと、
を有し、
前記リボイラにおける前記吸収液の加熱に、前記蓄熱槽から放熱した熱を供給する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の火力発電システム。
【請求項15】
搬送された水を、炭素原子を含む燃料を燃焼することにより加熱して蒸気を生成する燃焼ボイラと、前記燃焼ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動力を用いて発電する発電機と、前記蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる復水器と、前記水を循環させるポンプと、熱源から供給される熱を用いて、前記燃焼ボイラが排出する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、電力を用いて発熱可能である電気ヒータと、前記電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、前記二酸化炭素回収装置の前記熱源として用いる蓄熱槽と、を備える、火力発電システムの制御装置であって、
前記制御装置は、前記発電機の発電する電力が余剰状態である時に蓄熱運転を実施し、余剰電力を前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の全部あるいは一部を前記蓄熱槽に蓄熱させ、
前記電力が余剰状態でない時に放熱運転を実施し、前記蓄熱槽から放熱された熱を前記二酸化炭素回収装置に供給させる、火力発電システムの制御装置。
【請求項16】
炭素原子を含む燃料を用いた燃焼器の燃焼排ガスを流通する事で回転駆動力を生成するガスタービンと、前記ガスタービンから流出した前記燃焼排ガスを用いて、搬送された水を加熱することにより蒸気を生成し、排ガスを排出するボイラと、前記ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する蒸気タービンと、前記ガスタービン、及び前記蒸気タービンの少なくとも一方の駆動力を用いて発電する発電機と、前記蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる復水器と、前記水を循環させるポンプと、熱源から供給される熱を用いて、前記ボイラが排出する前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、電力を用いて発熱可能である電気ヒータと、前記電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、前記二酸化炭素回収装置の前記熱源として用いる蓄熱槽と、を備える、火力発電システムの制御装置であって、
前記制御装置は、前記発電機の発電する電力が余剰状態である時に蓄熱運転を実施し、余剰電力を前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の全部あるいは一部を前記蓄熱槽に蓄熱させ、
前記電力が余剰状態でない時に放熱運転を実施し、前記蓄熱槽から放熱された熱を前記二酸化炭素回収装置に供給させる、火力発電システムの制御装置。
【請求項17】
炭素原子を含む燃料を燃焼することにより、回転駆動力を生成し、排ガスを排出する内燃機関と、前記内燃機関の駆動力を用いて発電する発電機と、熱源から供給される熱を用いて、前記内燃機関が排出する前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、電力を用いて発熱可能である電気ヒータと、前記電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、前記二酸化炭素回収装置の前記熱源として用いる蓄熱槽と、を備える、火力発電システムの制御装置であって、
前記制御装置は、前記発電機の発電する電力が余剰状態である時に蓄熱運転を実施し、余剰電力を前記電気ヒータに通電させて発生させた熱の全部あるいは一部を前記蓄熱槽に蓄熱させ、
前記電力が余剰状態でない時に放熱運転を実施し、前記蓄熱槽から放熱された熱を前記二酸化炭素回収装置に供給させる、火力発電システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、火力発電システム、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策は世界的な課題であり、温室効果ガスである二酸化炭素を回収して貯留する技術の適用が進められている。この技術では、石炭や天然ガスといった炭素原子を含む化石燃料を燃焼する火力発電所など二酸化炭素を大量に排出する施設から排出される排気を大気に放散する前に、排気の中から二酸化炭素だけを分離回収し、地中深くの安定した地層に圧入し、長期間にわたって貯留する。また、回収した二酸化炭素を有効利用する技術の適用も進められている。この技術では、例えば二酸化炭素を古い油田に注入することで、油田に残った原油を圧力で押し出しつつ、二酸化炭素を地中に貯留する。この場合、石油の増産にもつながっている。さらに、二酸化炭素を資源として化学品や燃料などの原料に使用して有価物を製造する取り組みも進んでいる。
【0003】
二酸化炭素回収方法として、二酸化炭素回収装置を用いる例が知られている(特許文献1参照)。この二酸化炭素回収装置は、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔と、吸収塔から供給される吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔と、再生塔の吸収液を加熱するリボイラを有している。吸収液は例えばアミン水溶液である。なお、二酸化炭素回収方法は他に一般に知られている。
【0004】
従来技術1に係る火力発電システム200を、図11を用いて説明する。図11は、従来技術1に係る火力発電システム200の構成例を示す図である。火力発電システム200は、石炭火力発電所に二酸化炭素回収装置34を組み込んだ例である。図11に示すように、火力発電システム200は、燃焼ボイラ1と、復水ポンプ9と、蒸気タービン10と、二酸化炭素回収装置34と、復水器35と、発電機40とを備えて構成される。
【0005】
ここで、燃焼ボイラ1は、例えば石炭ボイラであり、燃料2は石炭とする。燃焼ボイラ1(石炭ボイラ)に燃料2(石炭)と燃焼用空気3を入れ、石炭2を燃焼させ燃焼排ガス4を発生する。二酸化炭素回収装置34は主に吸収塔5と再生塔6と、再生塔6に内蔵されているリボイラと、吸収液ポンプと吸収液から構成される。なお、リボイラ、吸収液ポンプ、吸収液は図示を省略している。
【0006】
燃焼排ガス4は、吸収塔5内に導かれる。吸収塔には、二酸化炭素を吸収する吸収液が供給され、この供給された吸収液は、導入された燃焼排ガス4と気液接触して、燃焼排ガス4中の二酸化炭素を吸収する。これにより、吸収後の吸収液は再生塔6へ流入するが、その際、吸収液内の二酸化炭素7も再生塔6へ移動する。一方で、吸収液に二酸化炭素を吸収された残りの燃焼排ガスは、大気へ放出される。再生塔6は、吸収後の吸収液をリボイラにより加熱し、吸収液から二酸化炭素8を放出させる。二酸化炭素8を放出し元に戻った吸収液は吸収塔5へ流入する。この吸収液は、吸収液ポンプにより、吸収塔5と再生塔6の間を循環する。なお、二酸化炭素8の吸収塔5における吸収や、再生塔6における放出や、吸収塔5から再生塔6への移動は、詳細には描かず模式的に描いている。
【0007】
二酸化炭素8が回収された燃焼排ガス4は大気へ放出される。図示していないが、吸収液から放出させた二酸化炭素8は貯留先あるいは有価物製造先に搬送される。燃焼ボイラ1では、復水ポンプ9により搬入された水23を、燃焼排ガス4の熱により加熱し、蒸気24を製造する。蒸気24は、蒸気タービン10内を低温低圧になりながら流通することで、羽根車である蒸気タービン10を回転駆動させ、蒸気タービン10に機械的に接続させた発電機40が発電する。
【0008】
蒸気タービン10から排出された蒸気24は、復水器35により冷却水、例えば海水により冷却され、水23に変化して、復水ポンプ9により循環する。蒸気タービン10の途中から抽気された抽気蒸気11は、再生塔6に内蔵されたリボイラに流入し、吸収後の吸収液を加熱した後、復水器35に流入し水23に変化する。また、バイオマス火力発電所や廃棄物燃焼発電所に二酸化炭素回収装置34を組み込むことも可能である。この場合には、前記例における石炭ボイラをそれぞれバイオマスボイラや廃棄物燃焼ボイラに置き換えた状態とすることが可能である。また、バイオマス火力発電所や廃棄物燃焼発電所に二酸化炭素回収装置34を組み込む場合は、前記例における石炭ボイラをそれぞれバイオマスボイラや廃棄物燃焼ボイラに置き換えた状態である。
【0009】
従来技術2に係る火力発電システム202を、図12を用いて説明する。図12は、従来技術2に係る火力発電システム202の構成例を示す図である。火力発電システム202は、天然ガス12を燃料としたコンバインド火力発電所に二酸化炭素回収装置34を組み込んだ例である。図12に示すように、この火力発電システム202は、ガスタービン13と、復水ポンプ9と、蒸気タービン10と、二酸化炭素回収装置34と、復水器35と、発電機40、42とを、備えて構成される。また、ガスタービン13は圧縮機14、燃焼器15、膨張機16から構成される。
【0010】
羽根車である圧縮機14は、大気3を圧縮し燃焼用空気として燃焼器15に流入させる。燃焼器15は、流入した天然ガス12を燃焼用空気により燃焼させ高温高圧の燃焼排ガスが発生する。燃焼排ガスは、膨張機16内を低温低圧になりながら流通する事で、羽根車である膨張機16を回転駆動させ、膨張機16に機械的に接続させた圧縮機14を回転駆動させる。
【0011】
膨張機16に機械的に接続させた発電機42が発電する。膨張機16から排出されたガスタービン13の燃焼排ガス4は、排熱回収ボイラ17aを流通する。排熱回収ボイラ17aでは、復水ポンプ9により搬入された水23を、燃焼排ガス4の熱により加熱し蒸気24を製造する。
【0012】
従来技術2に係る復水ポンプ9、二酸化炭素回収装置34、及び復水器35は、従来技術1に係る火力発電システム200の復水ポンプ9、蒸気タービン10、二酸化炭素回収装置34、及び復水器35(図11参照)と同等の構造である。すなわち、ガスタービン13の排ガス4は、吸収塔5内に導かれる。吸収塔には、二酸化炭素を吸収する吸収液が供給され、この供給された吸収液は、導入された燃焼排ガス4と気液接触して、燃焼排ガス4中の二酸化炭素を吸収する。
【0013】
排熱回収ボイラ17aでは、復水ポンプ9により搬入された水23を、ガスタービン13の排ガス18の熱により加熱し蒸気24を製造する。後は、従来技術1に係る火力発電システム200と同様の処理により、蒸気タービン10に接続される発電機が発電する。すなわち、蒸気24は、蒸気タービン10内を低温低圧になりながら流通する事で、蒸気タービン10を回転駆動させ、蒸気タービン10に機械的に接続させた発電機40が発電する。なお、本実施形態では、排ガス18を燃焼排ガス18と、称する場合がある。
【0014】
一方で、ガスタービン13と蒸気タービン10それぞれの回転軸が機械的に接続されている場合には、その回転軸に1台の発電機を機械的に接続して発電することも可能である。蒸気タービン10から排出された蒸気24は、復水器35において例えば海水により冷却され、水23に変化し、循環する。蒸気タービン10の途中から抽気された抽気蒸気11は、リボイラに流入し、吸収後の吸収液を加熱した後、復水器35に流入し水23に変化する。
【0015】
従来技術3に係る火力発電システム204を、図13を用いて説明する。図13は、従来技術3に係る火力発電システム204の構成例を示す図である。火力発電システム204は、内燃機関38に二酸化炭素回収装置34を組み込んだ例である。図13に示すように、火力発電システム204は、内燃機関38と、復水ポンプ9と、蒸気タービン10と、二酸化炭素回収装置34と、復水器35と、発電機44とを備えて構成される。更に熱利用先37が図示されている。
【0016】
内燃機関38は例えばガスエンジンやディーゼルエンジンであり、ガスエンジンであれば燃料2は都市ガスであり、ディーゼルエンジンであれば燃料2はディーゼル燃料である。内燃機関38に燃料2と燃焼用空気3を入れ、燃料2を燃焼させ燃焼排ガス4が発生する。この爆発的燃焼により回転軸を回転駆動させ、内燃機関38に機械的に接続させた発電機44が発電する。
【0017】
燃焼排ガス4は排熱回収ボイラ36に流入する。排熱回収ボイラ36では、復水ポンプ9により搬入された水23を、燃焼排ガス4の熱により加熱し蒸気24を製造する。
【0018】
従来技術3に係る復水ポンプ9、二酸化炭素回収装置34、及び復水器35は、従来技術1に係る火力発電システム200の復水ポンプ9、蒸気タービン10、二酸化炭素回収装置34、及び復水器35(図11参照)と同等の構造である。すなわち、内燃機関38の排ガス4は、吸収塔5内に導かれる。吸収塔には、二酸化炭素を吸収する吸収液が供給され、この供給された吸収液は、導入された燃焼排ガス4と気液接触して、燃焼排ガス4中の二酸化炭素を吸収する。二酸化炭素回収装置34から排出された蒸気24は、熱利用先37において熱利用される。蒸気24は熱利用先37により冷却され水23に変化し、循環する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第6392099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところが、石炭火力発電所、バイオマス火力発電所、廃棄物燃焼発電所いずれにおいても、リボイラの加熱源として、火力発電プラント等の蒸気タービン内から抽気した抽気蒸気の熱を利用している。そのため、蒸気タービン内において抽気した場所より下流では、蒸気タービン内を流通している蒸気流量が減っており、その分、熱利用量が低下してしまう。これにより、発電量が減少してしまう。このように、熱利用量が減少するという課題がある。
【0021】
また、内燃機関を用いた発電所や分散電源においては、リボイラにおける、吸収後の吸収液の加熱に、排熱回収ボイラが製造した蒸気の熱を利用している。そのため、熱利用先で使用される熱量が減っており、その分、熱利用量が減少する。よって、この熱利用量の減少をなくしたいという課題がある。このように、蒸気を利用する蒸気タービン、熱利用先などの負荷は、リボイラの加熱源に蒸気を抽気されると、熱利用量が低下してしまう。
【0022】
ところで、夜間など電力が余剰状態の時は発電不要であり、発電運転を停止させたい要求がある。しかし、石炭火力発電所、バイオマス火力発電所、廃棄物燃焼発電所では、それぞれ石炭ボイラ、バイオマスボイラ、廃棄物燃焼ボイラは一旦停止すると再起動まで時間がかかるため停止させることができず、燃料を消費して余剰電力を増やしてしまう。このため、従来捨てている余剰電力を有効利用したいという課題がある。
【0023】
本発明が解決しようする課題は、電力が余剰状態の時の発電電力を用いて、電力が余剰状態でない時の発電量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供することや、蒸気の熱を利用している場合は熱利用先の熱利用量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本実施形態に係る火力発電システムは、燃焼ボイラと、蒸気タービンと、発電機と、復水器と、ポンプと、二酸化炭素回収装置と、電気ヒータと、蓄熱槽と、を備える。燃焼ボイラは、搬送された水を、炭素原子を含む燃料を燃焼することにより加熱して蒸気を生成する。蒸気タービンは、燃焼ボイラから流出した蒸気を用いて回転駆動する。発電機は、蒸気タービンの駆動力を用いて発電する。復水器は、蒸気タービンの排気を冷却し、水に凝縮させる。ポンプは水を循環させる。二酸化炭素回収装置は、燃焼ボイラが排出する燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する。電気ヒータは、電力を用いて発熱可能である。蓄熱槽は、電気ヒータの生成した熱の全部あるいは一部を蓄熱し、二酸化炭素回収装置の熱源として用いる。
【発明の効果】
【0025】
本実施形態によれば、燃焼排ガスから二酸化炭素を回収可能な火力発電システムにおいて、電力が余剰状態の時の発電電力を用いて、電力が余剰状態でない時の発電量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供することや、蒸気の熱を利用している場合は熱利用先の熱利用量の低下を抑制可能な火力発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時の運転状態図。
図2】第1実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時でない運転状態図。
図3】第2実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時の運転状態図。
図4】第2実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時でない運転状態図
図5】第3実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時の運転状態図。
図6】第3実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時でない運転状態図
図7】第4実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時の運転状態図。
図8】第4実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時でない運転状態図
図9】第5実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時の運転状態図。
図10】第5実施形態に係る火力発電システムの構成、及び電力余剰時でない運転状態図
図11】従来技術1に係る火力発電システムの構成例を示す図。
図12】従来技術2に係る火力発電システムの構成例を示す図。
図13】従来技術3に係る火力発電システムの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0028】
(第1実施形態)
図1及び図2は、第1実施形態に係る火力発電システム100の構成、及び状態例を示す図である。図1は、電力が余剰である時の運転状態を示す図である。図2は、電力余剰時でない時の運転状態を示す図である。なお、従来技術と同じである部分の説明は、同一の番号を付して説明を省略する場合がある。また、これ以降、弁は、開状態を白抜きで、閉状態を黒塗りで図示する。
【0029】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る火力発電システム100は、燃焼ボイラ1と、復水ポンプ9と、蒸気タービン10と、搬送機20と、電気ヒータ21と、蓄熱槽22と、弁25、26、27、28、29と、二酸化炭素回収装置34と、復水器35と、発電機40と、制御装置50と、を備えて構成される。制御装置50はなくてもよく、ない場合は、火力発電システム100の運転員が操作する事で制御する。すなわち、本実施形態では、火力発電システム100の各構成を運転員が運転操作する第1モードと、制御装置50により運転操作する第2モードと、を有する。以下の説明では、第2モードとして説明する場合もあるが、第1モードでも同じ運転操作が可能である。また、二酸化炭素回収装置34は、吸収塔5と、再生塔6とを、有する。さらに、図1、及び2では、炭素原子を含む燃料2、燃焼用空気3、燃焼排ガス4、吸収液内の二酸化炭素7、二酸化炭素8、熱媒体19、水23、蒸気24が図示されている。なお、本実施形態では、燃焼排ガス4を、排ガスと称する場合がある。
【0030】
図1及び図2に示すように、燃焼ボイラ1は、弁30を介して蒸気タービン10と連通している。蒸気タービン10は、復水器35と連通し、復水器35は、復水ポンプ9を介して燃焼ボイラ1と連通し、循環流路をしている。
【0031】
また、燃焼ボイラ1の排出流路は、二酸化炭素回収装置34の吸収塔5に連通している。また、再生塔6は、弁27、及び弁29の一方を介して、蓄熱槽22に連通可能である。また、電気ヒータ21は、弁26を介して吸収塔5と連通可能であり、弁25を介して搬送機20と連通可能である。
【0032】
すなわち、燃焼ボイラ1は、復水ポンプ9から搬送された水23を、炭素原子を含む燃料2を用いて燃焼することにより加熱して蒸気24を生成する。蒸気タービン10は、燃焼ボイラ1から流出した蒸気24を用いて回転駆動する。発電機40は、蒸気タービン10の駆動力を用いて発電する。なお、本実施形態に係る蒸気タービン10が負荷部に対応する。すなわち、本実施形態に係る発電機40は、負荷部である蒸気タービン10の駆動力を用いて発電する。また、復水器35は、蒸気タービン10の排気を冷却し、水に凝縮させ、復水ポンプ9を介して燃焼ボイラ1に循環させる。
【0033】
熱媒体19は例えば熱媒油や水や蒸気や空気であり、搬送機20は、例えば搬送機20を流通する際に熱媒体19が液体であればポンプであり、気体であればブロワである。
【0034】
電気ヒータ21は、商用電力を用いて発熱する。この電気ヒータ21は、搬送機20で搬送された熱媒体19を加熱する。なお、電気ヒータ21は、発電機40の発電電力の利用も可能である。
【0035】
蓄熱槽22は、熱媒体19の保有熱を吸熱し蓄熱が可能な蓄熱材を有する。この蓄熱槽22は、電気ヒータの発生させた熱の全部あるいは一部を蓄熱し、二酸化炭素回収装置34の熱源として利用する。すなわち、この蓄熱槽22は、電気ヒータ21で加熱された全部あるいは一部である熱媒体19の保有熱を吸熱し蓄熱する。また、蓄熱槽22は、蓄熱した熱を放熱して、二酸化炭素回収装置34に受け渡すことが可能である。
【0036】
二酸化炭素回収装置34は、水分を含有する吸収液に二酸化炭素を吸収させる吸収塔5と、吸収塔5から供給される吸収液から二酸化炭素を放出させる再生塔6と、再生塔6の吸収液を加熱するリボイラと、を有する。このリボイラにおける吸収液の加熱には、蓄熱槽22から放熱した熱により加熱された熱媒体19、及び電気ヒータ21により加熱された熱媒体19の少なくとも一方が利用される。
【0037】
制御装置50は、火力発電システム100内の各構成を制御することが可能な装置である。また、この制御装置50は、火力発電システム100の運転状態に対応させて弁25、26、27、28、29の開閉を制御することが可能である。すなわち、この制御装置50は、蓄熱運転、及び放熱運転のいずれかに蓄熱槽22の運転状態を制御することが可能である。例えば、制御装置50には、状態信号が入力され、電力が余剰である時と、電力が余剰でない時とを判別可能に構成される。或いは、制御装置50は、時間帯により、電力が余剰である時と、電力が余剰でない時とを判別してもよい。或いは、制御装置50は、不図示の再生可能エネルギ発電設備の発電量に応じて、電力が余剰である時と、電力が余剰でない時とを判別してもよい。
【0038】
(電力が余剰である時の運転状態)
図1を参照しつつ、電力が余剰である時の運転状態を説明する。電力が余剰である時とは、例えば電力需要の小さい夜間であり、昼間でも太陽光発電の発電量が大きい時などに余剰になる。制御装置50は、電力が余剰である時に、弁25、26、27、28を開き、弁29を閉じ、電気ヒータ21に商用電力を通電し、搬送機20を稼働させる。これにより、搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26、及び二酸化炭素回収装置34の第1循環流路と、弁27、蓄熱槽22、弁28、搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26の第2循環流路と、が構成される。搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26の流路は重複している。
【0039】
本実施形態に係る制御装置50は、蓄熱運転を実施し、余剰電力を電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の全部あるいは一部を蓄熱槽22に蓄熱させる制御を実行する。すなわち、本実施形態に係る制御装置50は、電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の一部を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用させ、かつ熱の一部を蓄熱槽22に蓄熱させる制御を実行する。例えば制御装置50は、電気ヒータ21と蓄熱槽22の間で熱媒体19を、第2循環流路を用いて循環させることにより、蓄熱槽22内に蓄熱させる制御を実行する。また、例えば、制御装置50は、電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の一部を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用する際は、電気ヒータ21と二酸化炭素回収装置34の間で熱媒体19を、第1循環流路を用いて循環させることにより、二酸化炭素回収装置34に熱を受け渡させる制御を実行する。
【0040】
より具体的には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁25を介して電気ヒータ21に流入し、電気ヒータ21で加熱され温度上昇する。温度上昇した熱媒体19は、電気ヒータ21から弁26を介して流出した後に、2つに分岐する。一方は、二酸化炭素回収装置34に、他方は、弁27を介して蓄熱槽22に流入する。なお、熱媒体19が水や蒸気である場合は、吸熱放熱に伴い相変化してもよい。
【0041】
二酸化炭素回収装置34の再生塔6に流入した熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34内の吸収液に熱を受け渡し、温度低下する。また、再生塔6ないで加熱された吸収液からは、二酸化炭素8を放出させる。二酸化炭素8を放出し元に戻った吸収液は吸収塔5へ流入する。
【0042】
蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質を加熱し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34から流出した熱媒体19と、蓄熱槽22から弁28を介して流出した熱媒体19と、は合流し、搬送機20に流入し循環する。このように、電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の一部を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用し、かつ熱の一部を蓄熱槽22に蓄熱する際は、電気ヒータ21、弁26を介して流出した熱媒体19を分岐し、二酸化炭素回収装置34と、弁27を介して蓄熱槽22それぞれに流入させる。そして、二酸化炭素回収装置34から流出した熱媒体19と、蓄熱槽22、弁28を介して流出した熱媒体19を、搬送機20、及び弁25を介して電気ヒータ21に流入させる。
【0043】
制御装置50は、熱媒体19の流量や分岐流量比を、搬送機20の出力と弁27等の開度で調整する。また、制御装置50は、熱媒体19の初期温度を電気ヒータ21の出力で調節する。電気ヒータ21により加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用され、蓄熱槽22では蓄熱に利用される。
【0044】
(電力が余剰でない時の運転状態)
次に、図2を参照しつつ、電力が余剰でない時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁27、29を開き、弁25、26、28を閉じ、電気ヒータ21に通電せず、搬送機20を稼働させる。これにより、搬送機20、弁29、蓄熱槽22、弁27、及び二酸化炭素回収装置34の循環流路が構成される。
【0045】
制御装置50は、蓄熱槽22の放熱運転を実施し、蓄熱槽22から放熱された熱を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用させる制御を実行する。すなわち、本実施形態に係る制御装置50は、蓄熱槽22と二酸化炭素回収装置34との間で循環流路により熱媒体19を循環させることにより、二酸化炭素回収装置34に熱を受け渡させる制御を実行する。
【0046】
より具体的には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁29を介して蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質からの放熱により加熱され、温度上昇する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は弁27を介して二酸化炭素回収装置34に流入し、熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は搬送機20に流入し循環する。
【0047】
制御装置50は、熱媒体19の流量を搬送機20の出力と弁29等の開度で調節する。蓄熱槽22において加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用されている。仮に蓄熱槽22の蓄熱状態を長時間保持するのならば、制御装置50は、弁27、28、29を閉じる制御を実行する。
【0048】
このように、電力が余剰である時も、余剰でない時も、二酸化炭素回収装置34の熱源は、蒸気タービン10の抽気蒸気11ではないため、蒸気タービン10に流通する蒸気流量は減少せず、発電量は減少しない。すなわち、発電機40の発電量の低下を抑制できる。また、電力が余剰である時に従来捨てている余剰電力を、蓄熱槽22の蓄熱、及び二酸化炭素回収装置34の加熱のうちの少なくとも蓄熱槽22の蓄熱に熱を供給することで有効利用している。また、本実施形態に係る火力発電システム100は、蓄熱槽22の蓄熱時に、蓄熱槽22、二酸化炭素回収装置34それぞれに流入する熱媒体19の温度は同じだが、流量を異ならせることが可能となるので、そのような条件が望まれる場合に適している。
【0049】
このように、電気ヒータ21の発生させた熱の全部あるいは一部を蓄熱し、二酸化炭素回収装置34の熱源として利用する蓄熱槽22を構成し、蓄熱槽22から放熱された熱を二酸化炭素回収装置34の熱源として利用することとした。これにより、電力が余剰である時に蓄熱槽22に蓄熱し、電力が余剰でない時に、二酸化炭素回収装置34の熱源として電気ヒータ21を用いなくとも、蓄熱槽22から放熱された熱を二酸化炭素回収装置34の熱源として利用することが可能となる。これらから分かるように、電力が余剰である時と、電力が余剰でない時との、時間的なずれを利用して蓄熱槽22の蓄熱と放熱とを行うことが可能となり、蒸気タービン10の駆動に用いる蒸気を減少させずに、発電機40の発電が可能となる。このように、電力が余剰である時の電気ヒータ21の発生エネルギを用いて、電力が余剰でない時の発電機40の発電量の低下を抑制できる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、電気ヒータ21の発生させた熱の全部あるいは一部を蓄熱することが可能な蓄熱槽22を構成することとした。これにより、電力が余剰である時に、電気ヒータ21の発生させた熱を用いて蓄熱槽22に熱を蓄積し、電力が余剰でない時には、電気ヒータ21を用いなくとも、蓄熱槽22に蓄積された熱を用いて、二酸化炭素回収装置34の熱源とすることが可能となる。このように、蓄熱槽22の放熱を、発電機40の運転中の二酸化炭素回収装置34の熱源とすることが可能となる。このため、電力が余剰でない時における発電機40の運転中の燃焼ボイラ1の発生する熱量を二酸化炭素回収装置34の熱源とする必要がなくなり、電力が余剰でない時にも、発電機40の発電量の低下が抑制可能となる。
【0051】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る火力発電システム100cは、蓄熱槽22の蓄熱をする場合に、二酸化炭素回収装置34の下流側に流れる熱媒体19を用いて蓄熱する点で、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する。以下では、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する点を説明する。
【0052】
図3及び図4は、第2実施形態に係る火力発電システム100aの構成、及び状態例を示す図である。図3は、電力が余剰である時の運転状態を示す図である。図4は、電力余剰時でない時の運転状態を示す図である。
【0053】
(電力が余剰である時の運転状態)
図3を参照しつつ、電力が余剰である時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁25、26、28、30を開き、弁27、29、31を閉じ、電気ヒータ21に商用電力を通電し、搬送機20を稼働させる。これにより、搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26、二酸化炭素回収装置34、弁30、蓄熱槽22、及び弁28の循環流路が構成される。
【0054】
制御装置50は、電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の一部を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用し、かつ、発生させた熱の一部を蓄熱槽22に蓄熱する制御を実行する。この際に、制御装置50は、電気ヒータ21を流出した熱媒体19を、弁26を介して二酸化炭素回収装置34に流入させ、二酸化炭素回収装置34から流出した熱媒体19を、弁30を介して蓄熱槽22に流入させ、蓄熱槽22から流出した熱媒体19を弁28、及び、搬送機20を介して電気ヒータ21に流入させる。
【0055】
より詳細には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁25を介して電気ヒータ21に流入し、電気ヒータ21で加熱され温度上昇する。温度上昇した熱媒体19は、電気ヒータ21から弁26を介して流出した後に、二酸化炭素回収装置34に流入する。
【0056】
二酸化炭素回収装置34に流入した熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34に熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は、弁30を介して蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質を加熱し、温度低下する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は、弁28を介して搬送機20に流入し循環する。
【0057】
制御装置50は、熱媒体19の流量を、搬送機20の出力と弁25等の開度で調整する。また、制御装置50は、二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19を電気ヒータ21の出力で調節する。電気ヒータ21により加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用され、蓄熱槽22では蓄熱に利用される。
【0058】
(電力が余剰でない時の運転状態)
次に、図4を参照しつつ、電力が余剰でない時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁27、29、31を開き、弁25、26、28、30を閉じ、電気ヒータ21に通電せず、搬送機20を稼働させる。これにより、搬送機20、弁29、蓄熱槽22、弁27、二酸化炭素回収装置34、及び弁31の循環流路が構成される。
【0059】
より具体的には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁29を介して蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質からの放熱により加熱され、温度上昇する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は、弁27を介して二酸化炭素回収装置34に流入し、熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は、弁31を介して搬送機20に流入し循環する。制御装置50は、熱媒体19の流量は搬送機20の出力や弁29等の開度で調節する。蓄熱槽22において加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用されている。仮に蓄熱槽22の蓄熱状態を長時間保持するのならば、制御装置50は、弁27、28、30を閉じる制御を実行する。このように、本実施形態に係る火力発電システム100aも第1実施形態に係る火力発電システム100と同等の効果を得ることが可能である。
【0060】
本実施形態に係る火力発電システム100aは、蓄熱槽22に蓄熱時に、蓄熱槽22、二酸化炭素回収装置34それぞれに流入する熱媒体19の流量は同じだが、二酸化炭素回収装置34への流入温度は蓄熱槽22への流入温度より高いので、そのような条件が望まれる場合に適している。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、電力が余剰である時に、電気ヒータ21を流出した熱媒体19を、弁26を介して二酸化炭素回収装置34に流入させ、二酸化炭素回収装置34から流出した熱媒体19を、弁30を介して蓄熱槽22に流入させこととした。これにより、電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の一部を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用させ、かつ熱の一部を蓄熱槽22に蓄熱させることが可能となる。また、二酸化炭素回収装置34に流入し、熱を受け渡し、温度低下した熱媒体19を蓄熱槽22に流入させことが可能となる。
【0062】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る火力発電システム100bは、蓄熱槽22の蓄熱をする場合に、蓄熱槽22の下流側に流れる熱媒体19を用いて二酸化炭素回収装置34を加熱する点で、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する。以下では、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する点を説明する。
【0063】
図5及び図6は、第3実施形態に係る火力発電システム100bの構成、及び状態例を示す図である。図5は、電力が余剰である時の運転状態を示す図である。図6は、電力余剰時でない時の運転状態を示す図である。
【0064】
(電力が余剰である時の運転状態)
図5を参照しつつ、電力が余剰である時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁25、26、28を開き、弁29を閉じ、電気ヒータ21に商用電力を通電し、搬送機20を稼働させる。これにより、搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26、蓄熱槽22、弁28、及び二酸化炭素回収装置34の循環流路が構成される。
【0065】
より詳細には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁25を介して電気ヒータ21に流入し、電気ヒータ21で加熱され温度上昇する。温度上昇した熱媒体19は、電気ヒータ21から弁26を介して流出した後に、蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質を加熱し、温度低下する。
【0066】
蓄熱槽22を流出した熱媒体19は、弁28を介して二酸化炭素回収装置34に流入する。二酸化炭素回収装置34に流入した熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34に熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は搬送機20に流入し循環する。
【0067】
制御装置50は、熱媒体19の流量を、搬送機20の出力や弁26等の開度で調整する。また、制御装置50は、二酸化炭素回収装置34に流入する熱媒体19の温度を電気ヒータ21の出力で調節する。電気ヒータ21により加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用され、蓄熱槽22では蓄熱に利用される。このように、蓄熱槽22を流出し、流入時よりも温度低下した熱媒体19により二酸化炭素回収装置34が加熱される。
【0068】
(電力が余剰でない時の運転状態)
次に、図6を参照しつつ、電力が余剰でない時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁28、29を開き、弁25、26を閉じ、電気ヒータ21に通電せず、搬送機20を稼働させる。すなわち、電力が余剰でない時の運転状態では、搬送機20、弁29、蓄熱槽22、弁28、及び二酸化炭素回収装置34の循環流路が構成される。
【0069】
より具体的には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁29を介して蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質からの放熱により加熱され、温度上昇する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は弁29を介して二酸化炭素回収装置34に流入し、熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は搬送機20に流入し循環する。
【0070】
制御装置50は、熱媒体19の流量を搬送機20の出力や弁29等の開度で調節する。また、蓄熱槽22において加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用されている。制御装置50は、仮に蓄熱槽22の蓄熱状態を長時間保持するのならば、弁26、28、29を閉じる制御を実行する。
【0071】
このように、本実施形態に係る火力発電システム100bは、実施形態1、2に係る火力発電システム100、100a、と同等の効果が得られる。また、本実施形態に係る火力発電システム100bは、蓄熱槽22の蓄熱時に、蓄熱槽22、及び二酸化炭素回収装置34それぞれに流入する熱媒体19の流量は同じだが、蓄熱槽22への流入温度は二酸化炭素回収装置34への流入温度より高いので、そのような条件が望まれる場合に適している。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、電力が余剰である時に、電気ヒータ21を流出した熱媒体19を、弁26を介して蓄熱槽22に流入させ、蓄熱槽22から流出した熱媒体19を、弁28を介して二酸化炭素回収装置34に流入させこととした。これにより、電気ヒータ21に通電させて発生させた熱の一部を二酸化炭素回収装置34に受け渡して利用させ、かつ熱の一部を蓄熱槽22に蓄熱させることが可能となる。また、蓄熱槽22に流入し、熱を受け渡し、温度低下した熱媒体19を二酸化炭素回収装置34に流入させことが可能となる。
【0073】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る火力発電システム102は、ガスタービン13の排ガス18を排熱回収ボイラ17aに供給している点で、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する。以下では、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する点を説明する。
【0074】
図7及び図8は、第4実施形態に係る火力発電システム102の構成、及び状態例を示す図である。図7は、電力が余剰である時の運転状態を示す図である。図8は、電力余剰時でない時の運転状態を示す図である。
【0075】
図7及び図8に示すように、4実施形態に係る火力発電システム102は、ガスタービン13と、発電機42と、排熱回収ボイラ17aとを更に有する点で第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する。ガスタービン13は圧縮機14、燃焼器15、膨張機16から構成される。なお、本実施形態に係るガスタービン13が燃焼部に対応する。
【0076】
羽根車である圧縮機14は、大気3を圧縮し燃焼用空気として燃焼器15に流入させる。燃焼器15は、流入した天然ガス12を燃焼用空気により燃焼させ高温高圧の燃焼排ガス18が発生する。燃焼排ガス18は、膨張機16内を低温低圧になりながら流通する事で、羽根車である膨張機16を回転駆動させ、膨張機16に機械的に接続させた圧縮機14を回転駆動させる。
【0077】
膨張機16に機械的に接続させた発電機42が発電する。膨張機16から排出されたガスタービン13の燃焼排ガス4は、排熱回収ボイラ17aを流通する。排熱回収ボイラ17aでは、復水ポンプ9により搬入された水23を、燃焼排ガス4の熱により加熱し蒸気24を製造する。なお、ガスタービン13と、蒸気タービン10が同軸である場合には、発電機40、及び発電機42の一方のみを構成させてもよい。この場合、発電機40、及び発電機42の一方は、ガスタービン13と蒸気タービン10との駆動力により駆動する。
【0078】
(電力が余剰である時の運転状態)
図7を参照しつつ、電力が余剰である時の運転状態を説明する。制御装置50は、ガスタービン13と蒸気タービン10とを停止し、弁32、33を閉じる。また、制御装置50は、ガスタービン13の停止中は燃焼排ガス4が発生しないので、二酸化炭素回収装置34を停止する。さらにまた、制御装置50は、弁25、26、28を開き、弁27、29を閉じ、電気ヒータ21に商用電力を通電し、搬送機20を稼働させる。
【0079】
すなわち、電力が余剰である時の運転状態では、搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26、蓄熱槽22、及び弁28の循環流路が構成される。より詳細には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁25を介して電気ヒータ21に流入し、電気ヒータ21で加熱され温度上昇する。温度上昇した熱媒体19は、電気ヒータ21から弁26を介して流出した後に、蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質を加熱し、温度低下する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は、弁28を介して搬送機20に流入し、循環する。
【0080】
制御装置50は、熱媒体19の流量を、搬送機20の出力や弁25等の開度で調整する。また、制御装置50は、蓄熱槽22に流入する熱媒体19の温度を電気ヒータ21の出力で調節する。このように、本実施形態に係る火力発電システム100cは、蓄熱槽22の蓄熱を、二酸化炭素回収装置34を停止した状態で行うことが可能となる。このため、より少ない電力で、蓄熱槽22の蓄熱が可能となる。
【0081】
(電力が余剰でない時の運転状態)
次に、図8を参照しつつ、電力が余剰でない時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁32、33を開いて、ガスタービン13と蒸気タービン10を運転する。また、制御装置50は、二酸化炭素回収装置34を運転する。さらにまた、制御装置50は、弁26、27、29を開き、弁25、28を閉じ、電気ヒータ21に通電せず、搬送機20を稼働させる。
【0082】
すなわち、電力が余剰でない時の運転状態では、第1実施形態に係る火力発電システム100と同様(図2参照)に、搬送機20、弁29、蓄熱槽22、弁27、及び二酸化炭素回収装置34の循環流路が構成される。より詳細には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁29を介して蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質からの放熱により加熱され、温度上昇する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は弁27を介して二酸化炭素回収装置34に流入し、熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は搬送機20に流入し循環する。
【0083】
制御装置50は、熱媒体19の流量を搬送機20の出力と弁29等の開度で調節する。蓄熱槽22において加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用されている。仮に蓄熱槽22の蓄熱状態を長時間保持するのならば、制御装置50は、弁27、28、29を閉じる制御を実行する。このように、第1乃至第3実施形態に係る火力発電システム100、100a、100bと同等の効果が得られる。従来技術2に係る火力発電システム202では、リボイラにおける、吸収後の吸収液の加熱に、蒸気タービン10から抽気した蒸気24の熱を利用しているため、蒸気タービン10で使用される蒸気が減っており、その分、発電機40の発電量が低下する。これに対して、本実施形態では、排熱回収ボイラ17aが製造した蒸気24の熱を二酸化炭素回収装置34のリボイラに流通しないで蒸気タービン10に流入するため、発電機40の発電量の低下を抑制できるという効果がある。また、電力が余剰である時に従来捨てている余剰電力を有効利用している。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、電気ヒータ21の発生させた熱の全部あるいは一部を蓄熱することが可能な蓄熱槽22を構成することとした。これにより、電力が余剰である時に、電気ヒータ21の発生させた熱を用いて蓄熱槽22に熱を蓄積し、電力が余剰でない時には、電気ヒータ21を用いなくとも、蓄熱槽22に蓄積された熱を用いて、二酸化炭素回収装置34の熱源とすることが可能となる。このように、蓄熱槽22の放熱を、発電機40の運転中の二酸化炭素回収装置34の熱源とすることが可能となる。このため、電力が余剰でない時における発電機40の運転中の燃焼ボイラ1の発生する熱量を二酸化炭素回収装置34の熱源とする必要がなくなり、電力が余剰でない時にも、発電機40の発電量の低下が抑制可能となる。また、蓄熱槽22の蓄熱を、二酸化炭素回収装置34を停止した状態で行うことが可能となる。このため、より少ない電力で、蓄熱槽22の蓄熱が可能となる。
【0085】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る制御装置50は、電力が余剰である時に、電力余剰状態でない時と比べて、燃焼ボイラ1をより低負荷で運転させる。これにより、燃焼排ガス4の流量をより抑制できると共に、余剰電力の増加を抑制できる。特に、制御装置50は、電力が余剰である時に、燃焼ボイラ1を最低負荷運転にさせることが可能である。これにより制御装置50は、燃焼排ガス4の流量を最小に制御することが可能となり、二酸化炭素回収装置34の負荷を最小にすることができる。また、発電機40の発電量が最小になり、余剰電力の増加を更に抑制できる。
【0086】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る火力発電システム104は、内燃機関38の排ガス4を排熱回収ボイラ36に供給している点で、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する。以下では、第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する点を説明する。
【0087】
図9及び図10は、第6実施形態に係る火力発電システム104の構成、及び状態例を示す図である。図9は、電力が余剰である時の運転状態を示す図である。図10は、電力余剰時でない時の運転状態を示す図である。
【0088】
図9及び図10に示すように、第6実施形態に係る火力発電システム104は、排熱回収ボイラ36と、熱利用先37と、内燃機関38と、発電機44と、を更に有する点で第1実施形態に係る火力発電システム100と相違する。内燃機関38は例えばガスエンジンやディーゼルエンジンであり、ガスエンジンであれば燃料2は都市ガスであり、ディーゼルエンジンであれば燃料2はディーゼル燃料である。内燃機関38に燃料2と燃焼用空気3を入れ、燃料2を燃焼させ燃焼排ガス4が発生する。この爆発的燃焼により回転軸を回転駆動させ、内燃機関38に機械的に接続させた発電機44が発電する。なお、本実施形態に係る内燃機関38が燃焼部に対応する。
【0089】
燃焼排ガス4は排熱回収ボイラ36に流入する。排熱回収ボイラ36では、復水ポンプ9により搬入された水23を、燃焼排ガス4の熱により加熱し蒸気24を製造する。熱利用先37は、蒸気24の熱エネルギを利用する。蒸気24は熱利用先37により冷却され水23に変化し、循環する。なお、本実施形態に係る熱利用先37が負荷部に対応する。
【0090】
(電力が余剰である時の運転状態)
図9を参照しつつ、電力が余剰である時の運転状態を説明する。制御装置50は、内燃機関38を停止し、弁39を閉じる。また、制御装置50は、内燃機関38の停止中は燃焼排ガス4が発生しないので、二酸化炭素回収装置34を停止させ、排熱回収ボイラ36も稼働しないので、復水ポンプ9を停止させる。さらにまた、制御装置50は、弁25、26、28を開き、弁27、29を閉じ、電気ヒータ21に商用電力を通電し、搬送機20を稼働させる。
【0091】
すなわち、電力が余剰である時の運転状態では、搬送機20、弁25、電気ヒータ21、弁26、蓄熱槽22、及び弁28の循環流路が構成される。より詳細には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁25を介して電気ヒータ21に流入し、電気ヒータ21で加熱され温度上昇する。温度上昇した熱媒体19は、電気ヒータ21から弁26を介して流出した後に、蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質を加熱し、温度低下する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は、弁28を介して搬送機20に流入し、循環する。
【0092】
制御装置50は、熱媒体19の流量を、搬送機20の出力や弁25等の開度で調整する。また、制御装置50は、蓄熱槽22に流入する熱媒体19の温度を電気ヒータ21の出力で調節する。このように、本実施形態に係る火力発電システム100cは、蓄熱槽22の蓄熱を、二酸化炭素回収装置34を停止した状態で行うことが可能となる。このため、より少ない電力で、蓄熱槽22の蓄熱が可能となる。
【0093】
(電力が余剰でない時の運転状態)
次に、図10を参照しつつ、電力が余剰でない時の運転状態を説明する。制御装置50は、弁39を開いて内燃機関38を運転し、復水ポンプ9を運転する。また、制御装置50は、内燃機関38を運転させる。さらにまた、制御装置50は、弁26、27、29を開き、弁25、28を閉じ、電気ヒータ21に通電せず、搬送機20を稼働させる。
【0094】
すなわち、電力が余剰でない時の運転状態では、第1実施形態に係る火力発電システム100と同様(図2参照)に、搬送機20、弁29、蓄熱槽22、弁27、及び二酸化炭素回収装置34の循環流路が構成される。より詳細には、搬送機20で搬送された熱媒体19は、弁29を介して蓄熱槽22に流入する。蓄熱槽22に流入した熱媒体19は、蓄熱槽22内の蓄熱物質からの放熱により加熱され、温度上昇する。蓄熱槽22を流出した熱媒体19は弁27を介して二酸化炭素回収装置34に流入し、熱を受け渡し、温度低下する。二酸化炭素回収装置34を流出した熱媒体19は搬送機20に流入し循環する。
【0095】
制御装置50は、熱媒体19の流量を搬送機20の出力と弁29等の開度で調節する。蓄熱槽22において加熱された熱媒体19は、二酸化炭素回収装置34では熱源として利用されている。仮に蓄熱槽22の蓄熱状態を長時間保持するのならば、制御装置50は、弁27、28、29を閉じる制御を実行する。このように、第1乃至第3実施形態に係る火力発電システム100、100a、100bと同等の効果が得られる。従来技術3に係る火力発電システム206では、リボイラにおける、吸収後の吸収液の加熱に、排熱回収ボイラ36が製造した蒸気24の熱を利用しているため、熱利用先37で使用される熱量が減っており、その分、熱利用量が減少する。これに対して、本実施形態では、排熱回収ボイラ36が製造した蒸気24の熱を、二酸化炭素回収装置34のリボイラに流通しないで熱利用先37に流入するため、熱利用量の減少が抑制される効果を有する。また、電力が余剰である時に従来捨てている余剰電力を有効利用することが可能となる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態によれば、電気ヒータ21の発生させた熱の全部あるいは一部を蓄熱することが可能な蓄熱槽22を構成することとした。これにより、電力が余剰である時に、電気ヒータ21の発生させた熱を用いて蓄熱槽22に熱を蓄積し、電力が余剰でない時には、電気ヒータ21を用いなくとも、蓄熱槽22に蓄積された熱を用いて、二酸化炭素回収装置34の熱源とすることが可能となる。このように、蓄熱槽22の放熱を、発電機44の運転中の二酸化炭素回収装置34の熱源とすることが可能となる。このため、電力が余剰でない時における発電機40の運転中の排熱回収ボイラ36の発生する熱量を二酸化炭素回収装置34の熱源とする必要がなくなり、電力が余剰でない時にも、熱利用先37の熱利用量の減少が抑制される。また、蓄熱槽22の蓄熱を、二酸化炭素回収装置34を停止した状態で行うことが可能となる。このため、より少ない電力で、蓄熱槽22の蓄熱が可能となる。
【符号の説明】
【0097】
1:燃焼ボイラ、2:燃料、3:燃焼用空気、4:燃焼排ガス、5:吸収塔、6:再生塔、7:吸収液内の二酸化炭素、8:二酸化炭素、9:復水ポンプ、10:蒸気タービン、11:抽気蒸気、13:ガスタービン、14:圧縮機、15:燃焼器、16:膨張機、17a:排熱回収ボイラ、18:排ガス、19:熱媒体、20:搬送機、21:電気ヒータ、22:蓄熱槽、23:水、24:蒸気、25、弁、26:弁、27:弁、28:弁、29:弁、30:弁、31:弁、32:弁、33:弁、34:二酸化炭素回収装置、35:復水器、37:熱利用先、38:内燃機関、39:弁、40、42、44:発電機、50:制御装置、100~100b、102、104:火力発電システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13