(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121243
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】スライドドアの全開ロック装置
(51)【国際特許分類】
E05C 17/60 20060101AFI20240830BHJP
E05B 83/40 20140101ALI20240830BHJP
E05B 79/20 20140101ALI20240830BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240830BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
E05C17/60 Z
E05B83/40
E05B79/20
B60J5/00 N
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028228
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】栗原 武
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ49
2E250LL01
2E250MM01
(57)【要約】
【課題】従来のスライドドアの全開ロック装置では、全開時の拘束力と閉じる際の操作力とのバランスをとることが困難であった。
【解決手段】車両VのスライドドアDを全開位置でロックする装置であって、車両に配置したガイドレール1と、スライドドアD側に配置され且つガイドレール1に沿って移動するローラ2と、全開位置に移動したローラ2の閉方向の移動を阻止する板状の係止ばね3とを備え、係止ばね3が、基端部を回動中心として先端部がガイドレール1内に対して進退可能であると共に、弾性体8により先端部がガイドレール1内に進入した状態に付勢されており、係止ばね3をその先端部がガイドレール1内から退出する方向に回動させる解除機構を備えた構成とし、全開時におけるスライドドアDの充分な拘束力と、スライドドアDを閉じる際の操作力の軽減とを両立させた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のスライドドアを全開位置でロックする装置であって、
前記車両の前後方向に沿って配置したガイドレールと、
前記スライドドア側に配置され且つ前記ガイドレールに沿って移動するローラと、
前記ガイドレールにおける全開位置に移動した前記ローラの閉方向の移動を阻止する板状の係止ばねとを備え、
前記係止ばねが、基端部を回動中心として先端部が前記ガイドレール内に対して進退可能であると共に、弾性体により先端部が前記ガイドレール内に進入した状態に付勢されており、
前記車両側及び前記スライドドア側のいずれか一方側に、前記係止ばねをその先端部が前記ガイドレール内から退出する方向に回動させる解除機構を備えたことを特徴とするスライドドアの全開ロック装置。
【請求項2】
前記解除機構が、前記車両側に配置してあり、前記係止ばねに連結したプランジャと、通電により前記プランジャを移動させるコイルと、前記コイルに通電を行うスイッチとを備え、前記プランジャの移動により前記係止ばねを回動させるソレノイド機構であることを特徴とする請求項1に記載のスライドドアの全開ロック装置。
【請求項3】
前記スイッチが、ドアハンドルの操作に連動してON/OFFされることを特徴とする請求項2に記載のスライドドアの全開ロック装置。
【請求項4】
前記解除機構が、前記スライドドア側で前記ローラを保持するブラケットに配置してあり、前記ガイドレール内に対して進退可能に保持された押圧部材と、前記ブラケットに中間部を回転自在に連結し且つ一端部を前記押圧部材に連結したリンク部材と、前記リンク部材の他端部に連結したワイヤ部材とを備え、前記ワイヤ部材の牽引により前記リンク部材を介して前記押圧部材を前進させて前記係止ばねを回動させるリンク機構であることを特徴とする請求項1に記載のスライドドアの全開ロック装置。
【請求項5】
前記ワイヤ部材が、ドアハンドルの操作に連動して牽引されることを特徴とする請求項4に記載のスライドドアの全開ロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両のスライドドアを全開位置でロックするのに用いられるスライドドアの全開ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スライドドアの全開ロック装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、車両側に、その前後方向に沿うガイドレールを設けると共に、スライドドア側に、ガイドレールに沿って移動するローラを設け、ガイドレールの後端に、同レール内に突出する板ばねを設けたスライドドアロック装置が記載されている。このスライドドアロック装置は、スライドドアを全開させる過程で、ガイドレール内に突出している板ばねをローラで押圧して後退させ、ローラの通過に伴って板ばねを再び突出状態にする。これにより、全開位置に達したローラの閉方向の移動を板ばねで抑制し、スライドドアを全開位置に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来のスライドドアの全開ロック装置にあっては、板ばねの力を大きくすると、スライドドアを全開位置に保持する拘束力は大きくなるが、スライドドアを閉方向に移動させる際の操作力も大きくなる。また、板ばねの力を小さくすると、スライドドアを閉方向に移動させる際の操作力は小さくなるが、スライドドアを全開位置に保持する拘束力が小さくなる。このため、従来のスライドドアの全開ロック装置では、全開時の拘束力と閉じる際の操作力とのバランスをとることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、全開時におけるスライドドアの充分な拘束力と、スライドドアを閉じる際の操作力の軽減とを両立させることができるスライドドアの全開ロック装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わるスライドドアの全開ロック装置は、車両のスライドドアを全開位置でロックする装置であって、車両の前後方向に沿って配置したガイドレールと、スライドドア側に配置され且つガイドレールに沿って移動するローラと、ガイドレールにおける全開位置に移動したローラの閉方向の移動を阻止する板状の係止ばねとを備える。係止ばねは、基端部を回動中心として先端部がガイドレール内に対して進退可能であると共に、弾性体により先端部がガイドレール内に進入した状態に付勢されている。そして、スライドドアの全開ロック装置は、車両側及びスライドドア側のいずれか一方側に、係止ばねをその先端部がガイドレール内から退出する方向に回動させる解除機構を備えたことを特徴としている。
【0007】
上記構成を備えたスライドドアの全開ロック装置は、スライドドアを開方向に操作すると、車両側のガイドレールに沿ってスライドドア側のローラが移動し、全開位置の近傍において、ローラが弾性体に抗して係止ばねを退出方向に回動させ、ローラの通過に伴って、弾性体により係止ばねが元の進入位置に復帰し、ローラの閉方向の移動を阻止する。これにより、上記のスライドドアの全開ロック装置は、スライドドアを全開位置に保持する。また、上記のスライドドアの全開ロック装置は、解除機構により、係止ばねをその先端部がガイドレール内から退出する方向に回動させると、ローラの閉方向の移動が可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係わるスライドドアの全開ロック装置は、上記構成を採用したことにより、全開時におけるスライドドアの充分な拘束力と、スライドドアを閉じる際の操作力の軽減とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】スライドドアを備えた車両を示す側面図である。
【
図2】スライドドアの全開ロック装置の第1実施形態を示す平面図である。
【
図3】開操作においてローラで係止ばねを押動した状態を示す平面図である。
【
図4】
図3に続いてローラが全開位置に達した状態を示す平面図である。
【
図5】閉操作において解除機構で係止ばねを回動させた状態を示す平面図である。
【
図6】
図5に続いてローラが係止ばねを通過する状態を示す平面図である。
【
図7】スライドドアの全開ロック装置の第2実施形態を示す平面図である。
【
図8】開操作においてローラで係止ばねを押動した状態を示す平面図である。
【
図9】
図8に続いてローラが全開位置に達した状態を示す平面図である。
【
図10】閉操作において解除機構で係止ばねを回動させた状態を示す平面図である。
【
図11】
図10に続いてローラが係止ばねを通過した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、スライドドアDを備えた車両Vを示す図である。スライドドアDは、周知の支持機構により、車両Vの側面に沿って移動可能に支持されており、車両Vの後方向(図中で右方向)に開操作して、仮想線で示す全開位置でロックされる。本発明に係わるスライドドアの全開ロック装置は、図示したような車両Vに用いられ、スライドドアDを全開位置でロックするのに用いられる。なお、以下の図面においては、いずれも図中で左方向が車両Vの前方向である。
【0011】
図2に示すスライドドアの全開ロック装置(以下、「全開ロック装置」と略記する)は、基本構成として、車両Vの前後方向に沿って配置したガイドレール1と、スライドドアD側に配置され且つガイドレール1に沿って移動するローラ2と、ガイドレール1における全開位置に移動したローラ2の閉方向(図中で右方向)の移動を阻止する板状の係止ばね3とを備えている。
【0012】
上記のガイドレール1は、その形態が限定されるものではないが、例えば、上方向(紙面垂直方向)に開放された長尺材であって、この実施形態では、後端部分の外側に、係止ばね3等を配置するためのフレーム4が固定してある。ガイドレール1は、その側面に、係止ばね3等の配置に応じて開放部1A,1Bが形成してある。上記のローラ2は、スライドドアD側に配置したブラケット14に、図示しない垂直軸を介して回動自在に取り付けてあり、ガイドレール1の内側に沿って移動(転動)する。
【0013】
上記の係止ばね3は、一定の長さを有する板ばねであって、中間部分を適宜屈曲させた形態を成しており、車両Vの前方側となる基端部が、フレーム4の内側に固定した取付板5に回転軸6を介して連結してある。また、係止ばね3は、車両Vの後方側となる先端部が、ローラ2との接触を円滑にするために湾曲状に形成してある。
【0014】
さらに、係止ばね3は、ローラ2との接触による破損防止や接触音の低減を図るために、少なくともローラ2との接触範囲に、ゴム被膜7が形成してある。上記の係止ばね3は、ガイドレール1に形成した一方の開放部1Aを通して、ガイドレール1の内部を横切るように斜めに配置され、その姿勢を維持するように弾性体8で付勢されている。この際、係止ばね3は、その先端部が、ガイドレール1の他方の開放部1Bに嵌合したフレーム4の段差部4Aに接触する。なお、フレーム4の段差部4Aは、ローラ4の移動を円滑にするために、ガイドレール1の内面と面一になっている。
【0015】
さらに、係止ばね3を付勢する弾性体8は、図示例ではコイルばねであって、フレーム4と係止ばね3の中間部との間に介装してある。このようにして、上記の係止ばね3は、基端部を回動中心として先端部がガイドレール1内に対して進退可能であると共に、弾性体5により先端部がガイドレール1内に進入した状態に付勢されている。
【0016】
そして、上記の全開ロック装置は、車両V側及びスライドドアD側のいずれか一方側に、係止ばね3をその先端部がガイドレール1内から退出する方向に回動させる解除機構を備えている。
【0017】
この実施形態の解除機構は、車両V側に配置してあり、係止ばね3に連結したプランジャ9と、通電によりプランジャ9を吸引移動させるコイル10と、コイル10に通電を行うスイッチ11と、電源12とを備えている。すなわち、上記の解除機構は、プランジャ9の移動により係止ばね3を回動させるソレノイド機構である。
【0018】
上記のプランジャ9は、連結部材13により係止ばね3に連結してある。連結部材13は、例えばワイヤであって、フレーム4を貫通し且つ弾性体(コイルばね)8の中心を通して係止ばね3に連結してある。スイッチ11は、より好ましい実施形態として、ドアハンドルHの操作に連動してON/OFFされる構成にすることができ、それ以外に、スライドドア用のフットスイッチに連動するものであっても良い。電源12は、電気自動車用の主電源や一般的なバッテリを利用することができる。
【0019】
上記構成を備えた全開ロック装置は、スライドドアDを開方向に操作すると、ガイドレール1に沿ってローラ2が後方向に移動し、後端である全開位置の近傍において、
図3に示すように、ローラ2が弾性体8を圧縮しつつ係止ばね3を退出方向に回動させる。その後、全開ロック装置は、
図4に示すように、ローラ2の通過に伴って、弾性体8の反発力により係止ばね3が元の進入位置に復帰し、ローラ2の閉方向の移動を阻止する。これにより、全開ロック装置は、スライドドアDが反動で戻るようなこともなく、スライドドアDを全開位置に保持する。
【0020】
次に、上記の全開ロック装置は、スライドドアDを閉じる際、解除機構により、係止ばね3をその先端部がガイドレール1内から退出する方向に回動させ、ローラ3の閉方向の移動を可能にする。この実施形態の全開ロック装置は、
図5に示すように、解除機構において、スイッチ11によりコイル10に通電を行うと、コイル10に吸引されるプランジャ9により、弾性体8に抗して係止ばね3を退出方向に牽引する。
【0021】
この際、上記の全開ロック装置では、係止ばね3をガイドレール1の外側まで牽引するのではなく、
図5に示すように、係止ばね3の先端部がローラ2の中心を超える位置まで牽引する。これにより、全開ロック装置は、
図6に示すように、ローラ2が係止ばね3を退出方向に押圧しながら通過することになり、これにより、スライドドアDを操作する者にロック解除の操作感触が伝わる。
【0022】
そして、全開ロック装置は、スライドドアDの閉操作が終了すると、スイッチ11によりコイル10への通電を遮断する。これにより、全開ロック装置は、弾性体8の反発力によってプランジャ9及び係止ばね3が、
図2に示す元の位置に復帰する。
【0023】
上記構成を備えた全開ロック装置は、スライドドアDを開操作した際は、係止ばね3によりローラ3の閉方向の移動を阻止するので、簡単な構造でありながら、全開位置に達したスライドドアDを充分な拘束力で保持する。また、上記の全開ロック装置は、解除機構により係止ばね3によるロック状態を解除するので、ロック状態の解除及びスライドドアDの閉操力を小さくし得る。このようにして、上記の全開ロック装置は、全開時におけるスライドドアDの充分な拘束力と、スライドドアDを閉じる際の操作力の軽減とを両立させることができる。
【0024】
また、上記の全開ロック装置は、係止ばね3の解除機構としてソレノイド機構を採用したので、簡単な構造にして確実な解除動作を実現することができ、とくに、ドアハンドルHの操作に連動してON/OFFされるスイッチ11を用いれば、直接操作するスイッチが不要であり、構造のさらなる簡略化や利便性の向上を実現することができる。
【0025】
<第2実施形態>
図7~
図11は、本発明に係わるスライドドアの全開ロック装置の第2実施形態を説明する図である。なお、以下の実施形態では、第1実施形態と同一の構成部位に同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0026】
図7に示す全開ロック装置は、第1実施形態と同等の基本構成を備えると共に、解除機構の構成が第1実施形態と異なる。この実施形態の解除機構は、スライドドアD側に配置したリンク機構である。
【0027】
解除機構は、ローラ3を保持するブラケット14において、ガイドレール1内に対して進退可能に保持された押圧部材15と、ブラケット14に中間部を回転自在に連結し且つ一端部を押圧部材15に連結したリンク部材16と、リンク部材16の他端部に連結したワイヤ部材17とを備えている。
【0028】
上記の押圧部材15は、ロッド状の部材であって、
図7中で上側となる先端部分が、ブラケット14に固定したガイド部材17を摺動自在に貫通しており、中間部に固定したクリップ18とガイド部材17との間に戻しばね19が介装してある。図示例の戻しばね19はコイルばねである。
【0029】
リンク部材16は、ブラケット14に対して、中央部の回転軸16Aで回転自在に連結してあり、図中で右側の一端部に、押圧部材15が連結してある。このとき、直線移動する押圧部材15に対して、リンク部材16が回動するので、双方は、互いの動作を許容するために、押圧部材15の連結ピン15Aと、リンク部材16の長穴16Bとを互いに係合して連結してある。
【0030】
ワイヤ部材17は、チューブ17Aの内部に芯材17Bを摺動自在に挿設した二重構造を成し、チューブ17Aを取付具20によりスライドドアDの適宜の固定部位に固定し、芯材17Bの一端部をリンク部材16の他端部に連結している。また、ワイヤ部材17は、より好ましい実施形態として、ドアハンドルHの操作に連動して牽引される構成にすることができる。この場合、図示しない芯材17Bの他端部は、スライドドアDの内部において、ドアハンドルHの操作に連動する可動部分に連結する。
【0031】
上記の解除機構を備えた全開ロック装置は、スライドドアDの開操作では、第1実施形態と同様に、
図8に示すように、ローラ2が弾性体8に抗して係止ばね3を退出方向に回動させる。そして、全開ロック装置は、
図9に示すように、ローラ2の通過に伴って、弾性体8により係止ばね3が元の進入位置に復帰し、ローラ2の閉方向の移動を阻止して、スライドドアDを全開位置に保持する。このとき、解除機構は、ローラ2とともに移動した押圧部材15の先端部が、係止ばね3の先端部に対応した位置に到達する。
【0032】
次に、上記の全開ロック装置は、スライドドアDを閉じる際、解除機構により、係止ばね3をその先端部がガイドレール1内から退出する方向に回動させ、ローラ3の閉方向の移動を可能にする。この実施形態の全開ロック装置は、
図10に示すように、解除機構において、ワイヤ部材17の芯材17Bを牽引すると、図中の矢印で示すように、リンク部材16が時計回りに回動し、これに伴って戻しばね19を圧縮しつつ押圧部材15を図中で上方向に前進させる。
【0033】
これにより、上記の全開ロック装置は、前進する押圧部材15により、弾性体8に抗して係止ばね3を退出方向に回動させ、ローラ2の閉方向の移動を可能にする。この際、全開ロック装置は、第1実施形態と同様に、ローラ2が係止ばね3を退出方向に押圧しつつ通過するようにして、操作者にロック解除の操作感触を伝える。
【0034】
そして、上記の全開ロック装置は、
図11に示すように、ローラ2が係止ばね3を通過すると、弾性体8の反発力で係止ばね3が元の位置に復帰し、スライドドアDを閉じてドアハンドルHから手を離すと、戻しばね19の反発力により押圧部材15が後退し、これに伴ってリンク部材16が半時計回りに回動し、ワイヤ部材17の芯材17Bを元の位置に押し戻す。
【0035】
上記構成を備えた全開ロック装置は、第1実施形態と同様に、全開時におけるスライドドアDの充分な拘束力と、スライドドアDを閉じる際の操作力の軽減とを両立させることができる。
【0036】
また、上記の全開ロック装置は、係止ばね3の解除機構としてリンク機構を採用したので、簡単な構造にして確実な解除動作を実現することができ、とくに、ドアハンドルHの操作に連動して牽引されるワイヤ部材17を採用すれば、構造のさらなる簡略化や利便性の向上を実現することができる。
【0037】
本発明に係わるスライドドアの全開ロック装置は、その構成が上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができ、例えば、解除機構にあっては、ガイドレールに対して係止ばねを退出方向に回動させる各種機構を採用し得る。
【符号の説明】
【0038】
D スライドドア
H ドアハンドル
V 車両
1 ガイドレール
2 ローラ
3 係止ばね
8 弾性体
9 プランジャ(解除機構としてのソレノイド機構)
10 コイル(解除機構としてのソレノイド機構)
11 スイッチ(解除機構としてのソレノイド機構)
14 ブラケット
15 押圧部材(解除機構としてのリンク機構)
16 リンク部材(解除機構としてのリンク機構)
17 ワイヤ部材(解除機構としてのリンク機構)