(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121246
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、組成物の製造方法および食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20240830BHJP
A23L 19/12 20160101ALI20240830BHJP
A61K 36/81 20060101ALI20240830BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240830BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240830BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240830BHJP
A61K 31/047 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L19/12 A
A23L19/12 Z
A61K36/81
A61P3/02
A61P25/20
A61P27/02
A61K31/047
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028235
(22)【出願日】2023-02-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(令和4年度 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】505225197
【氏名又は名称】長崎県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】000214191
【氏名又は名称】長崎県
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】田中 一成
(72)【発明者】
【氏名】森 友美
【テーマコード(参考)】
4B016
4B018
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B016LC07
4B016LG06
4B016LP05
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD53
4B018ME14
4B018MF01
4C088AB48
4C088AC12
4C088BA08
4C088NA14
4C088ZA05
4C088ZA33
4C088ZC21
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA10
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA05
4C206ZA33
4C206ZC21
(57)【要約】
【課題】適度な摂取量により好適に睡眠改善、眼精疲労改善、疲労軽減等の体調改善用の効果を有する体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法を提供する。
【解決手段】ジャガイモの抽出物を有効成分とし、前記ジャガイモは、ゼアキサンチンを含有し、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる、体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャガイモの抽出物を有効成分とし、
前記ジャガイモは、ゼアキサンチンを含有し、
睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる、体調改善用の組成物。
【請求項2】
前記ジャガイモは、加工前に100gあたりゼアキサンチンを100μg以上含有するものを用いる、請求項1に記載の体調改善用の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、ルテインを含有する、請求項1または2に記載の体調改善用の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、組成物の全体質量100gあたりゼアキサンチンを50μg以上含有する、請求項1または2に記載の体調改善用の組成物。
【請求項5】
ジャガイモまたは前記ジャガイモの抽出物を含み、
前記ジャガイモは、ゼアキサンチンを含有し、
睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる、体調改善用の食品。
【請求項6】
前記ジャガイモは、加熱前に100gあたりゼアキサンチンを100μg以上含有するものを用いる、請求項5に記載の体調改善用の食品。
【請求項7】
前記ジャガイモは、ルテインを含有するものを用いる、請求項1または2に記載の体調改善用の組成物。
【請求項8】
前記食品は、食品の全体質量100gあたりゼアキサンチンを50μg以上含有する、請求項5または6に記載の体調改善用の食品。
【請求項9】
請求項1または2に記載の体調改善用の組成物を含む、薬剤。
【請求項10】
前記ジャガイモを抽出して、前記体調改善用の組成物を得る、請求項1または2に記載の体調改善用の組成物の製造方法。
【請求項11】
前記ジャガイモを加工する工程を含み、前記体調改善用の食品を得る、請求項5または6に記載の体調改善用の食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠改善や疲労軽減などの体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、組成物の製造方法および食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や果物等の植物性の食品には、天然色素と呼ばれる化合物が多種含まれている。色素には、多種の生理作用を及ぼすものがある。例えば、天然色素のうちカロテノイドは、光合成における作用、光保護作用、抗酸化作用などを果たしている。さらに、カロテノイドはヒトをはじめとする動物に対して栄養素として作用するものがある。
【0003】
野菜に含まれることのあるカロテノイドである、ルテインやゼアキサンチン等は、実験室レベルにおいて体調改善の作用を有することが報告されている。特に、ルテインは緑黄色野菜に含まれ、異性体であるゼアキサンチンと共に、目の網膜に含まれている。このため、目の機能に関連する機能性物質ではないかと予想され、研究が行われている。
【0004】
特許文献1では、1日最適量の脂肪酸および植物性化学物質を含む哺乳動物対象のための脂質含有組成物であって、以下の群:前記対象の年齢、前記対象の性別、前記対象の食餌、前記対象の体重、前記対象の医学的状態、および前記対象の生活圏の気候から選択される1つまたは複数の要素に基づく組成物が開示されている。そのうち、ルテイン、ゼアキサンチンなどの補給を含む組成物を提供する旨が開示され、ルテイン、ゼアキサンチンは睡眠障害、目の健康に関与することが示されている。使用量としては、40g以下が開示されている。この技術は、改善された脂質組成物を使用する、医学的状態および予防のための改善された方法および治療を提供しようとするものである。
【0005】
非特許文献1によると、ルテイン6mg、ゼアキサンチン1mgまたはルテイン10mg、ゼアキサンチン2mgまたはルテイン20mg、ゼアキサンチン4mgあるいはプラセボを12週間摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果、いずれの群もプラセボと比較して黄斑色素量が有意に上昇している。
【0006】
非特許文献2によると、ルテイン10mg、ゼアキサンチン2mgまたは、ルテイン20mg、ゼアキサンチン4mgあるいはプラセボを12か月間摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果すべての群でプラセボと比較して黄斑色素量が有意に上昇している。
また、この文献では、ルテイン10mg、ゼアキサンチン2mg、または、ルテイン20mg、ゼアキサンチン4mgあるいはプラセボを12か月間摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果すべての群でプラセボと比較してグレア感度が有意に上昇している。
【0007】
非特許文献3によると、ルテイン19.92mg、ゼアキサンチン4.08mgあるいはプラセボを12ヶ月摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果すべての群でプラセボと比較して黄斑色素量が有意に上昇している。
この文献では、ルテイン19.92mg、ゼアキサンチン4.08mgあるいはプラセボを6ヶ月摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果プラセボと比較してコントラスト感度が有意に上昇している。
また、この文献では、ルテイン19.92mg、ゼアキサンチン4.08mgあるいはプラセボを6ヶ月摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果プラセボと比較して睡眠の質、眼の疲労感が有意に改善している。また、PSQI質問紙(ピッツバーグ睡眠評価票)で睡眠の質について評価している。PSQIは、日本においても睡眠の質評価に使われている広くコンセンサスの取れた評価法である。プラセボと比較して有意にスコアが減少しており、睡眠の質が改善している。
また、この文献では、ルテイン19.92mg、ゼアキサンチン4.08mgあるいはプラセボを6ヶ月摂取させるプラセボ対照並行群間試験を実施している。その結果プラセボと比較して眼の疲労感が有意に改善する。また、目の疲労感の評価は、10段階の等間隔尺度を用いた質問紙法を用いて評価されている。10段階の等間隔尺度による主観評価は、心理学分野などで広く用いられておりコンセンサスの取れた評価方法であると考えられる。プラセボと比較して有意にスコアが減少しており、目の疲労感が改善している。
【0008】
非特許文献1~3を総括すると、ルテインは1日当たり6mg、ゼアキサンチンは1日当たり1mgを摂取することにより、眼の黄斑色素光学密度(黄斑色素量)を維持する働きがあり、光刺激から眼の保護に役立つ。
ルテインは1日当たり19.92mg以上、ゼアキサンチンは1日当たり4.08mg以上の継続摂取によってコントラスト感度、グレア感度改善による視機能に役立ち、睡眠の質を高め、眼の疲労感の改善に寄与するという結果が示されているといえる。ルテインおよびゼアキサンチンの1日当たりの摂取量は、ルテイン19.92mg、ゼアキサンチン4.08mgが妥当という結果が示されているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】A randomized double blind placebo controlled study. New Frontiers in Ophthalmology. 2016; 2(4): 140-145.
【非特許文献2】Macular carotenoid supplementation improves disability glare performance and dynamics of photostress recovery. Eye and Vision. 2016; 3:30-37.
【非特許文献3】Macular Carotenoid Supplementation Improves Visual Performance, Sleep Quality, and Adverse Physical Symptoms in Those with High Screen Time Exposure. Foods. 2017; 6(7): doi:10.3390
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの文献の報告のように、カロテノイド、特にルテインやゼアキサンチンについては睡眠改善、目の保護や疲労軽減などの作用が知られている。これらは食品に含まれることから、食品の摂取による、睡眠改善、目の保護や疲労軽減などの体調改善の効果が期待される。
【0012】
しかしながら、上述の報告はいずれも実験室レベルであり、体調改善に適した摂取の具体的な態様は示されていない。例えば、上述の非特許文献1~3においては、ルテインやゼアキサンチンが生理的作用を発揮する摂取量として示されているのは、数mg~十数mgであるが、野菜におけるルテインやゼアキサンチンの含有量は一般にμg単位である。そのため、野菜に含まれるこれらの成分を、有効な摂取量とする手段は具体的には示されていない。
【0013】
具体的な態様、例えば組成物や食品などまた有効に摂取できる形態なども未知のままであり、体調の改善に用いるための実用化の技術が望まれている。
【0014】
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、適度な摂取量により好適に睡眠改善、眼精疲労改善、疲労軽減等の体調改善用の効果を有する体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施態様は、以下の側面を有する。
本発明の態様1は、ジャガイモの抽出物を有効成分とし、前記ジャガイモは、ゼアキサンチンを含有し、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる、体調改善用の組成物である。
【0016】
本発明の態様2は、前記ジャガイモは、加熱前に100gあたりゼアキサンチンを100μg以上含有するものを用いる、態様1の体調改善用の組成物である。
【0017】
本発明の態様3は、前記ジャガイモは、ルテインを含有するものを用いる、態様1または態様2の体調改善用の組成物である。
【0018】
本発明の態様4は、前記組成物は、組成物の全体質量100gあたりゼアキサンチンを50μg以上含有する、態様1から態様3のいずれか体調改善用の組成物である。
【0019】
本発明の態様5は、ジャガイモまたは前記ジャガイモの抽出物を含み、前記ジャガイモは、ゼアキサンチンを含有し、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる、体調改善用の食品である。
【0020】
本発明の態様6は、前記ジャガイモは、加工前に100gあたりゼアキサンチンを100μg以上含有するものを用いる、態様5の体調改善用の食品である。
【0021】
本発明の態様7は、前記ジャガイモは、ルテインを含有するものを用いる、態様5または態様6の体調改善用の食品である。
【0022】
本発明の態様8は、前記食品は、食品の全体質量100gあたりゼアキサンチンを50μg以上含有する、態様5から態様7のいずれかの体調改善用の食品である。
【0023】
本発明の態様9は、態様1から態様4のいずれかに記載の体調改善用の組成物を含む、薬剤である。
【0024】
本発明の態様10は、前記ジャガイモを抽出して、前記体調改善用の組成物を得る、態様1から態様4のいずれかに記載の体調改善用の組成物の製造方法である。
【0025】
本発明の態様11は、前記ジャガイモを加工する工程を含み、前記体調改善用の食品を得る、態様5から態様8のいずれかに記載の体調改善用の食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、適度な摂取量により好適に睡眠改善、眼精疲労改善、疲労軽減等の体調改善用の効果を有する体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】眼精疲労が平均以上の被験者が「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べて眼精疲労感の変化量を示すグラフ図である。
【
図2】疲労感が平均以上の被験者が「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べて疲労感の変化量を示すグラフ図である。
【
図3】眼精疲労が平均以上の別の被験者が「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べて疲労感の変化量を示すグラフ図である。
【
図4】疲労感が平均以上の別の被験者が「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べて眼精疲労感の変化量を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法について、実施形態を示して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0029】
(体調改善用の組成物)
本実施形態の体調改善用の組成物は、ジャガイモの抽出物を有効成分とし、前記ジャガイモは、ゼアキサンチンを含有し、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる。
【0030】
ジャガイモの抽出物を得るための抽出とは、成分を取り出すための操作を広く指すが、詳細は組成物の製造方法において後述する。
【0031】
本実施形態のジャガイモは、ゼアキサンチンを含有する。
ゼアキサンチン(Xeaxanthin)およびルテイン(Lutein)は、カロテノイド(カロチノイド)の一種で、キサントフィル(黄色色素)に含まれる。いずれもC40H56O2の化学式を有する。ゼアキサンチンおよびルテインは、互いに異性体であり、二重結合位置のみが異なる。カロテノイドは、緑黄色野菜などに含有されることが知られているが、ゼアキサンチンおよびルテインは後述するジャガイモなどに含まれる。
【0032】
ジャガイモ(バレイショ)は、品種等によってゼアキサンチンまたはルテインを含有するものがあり、本実施形態では、ゼアキサンチンおよびルテインのいずれも含有するものを用いる。具体的には、ルテインは多くのジャガイモ品種が含有するが、ゼアキサンチンは一部の品種が含有している。
【0033】
ジャガイモに含有されるゼアキサンチンの、含有量の具体的な量としては、加工前のジャガイモ100gあたり、ゼアキサンチンを100μg以上含有することが好ましい。ここで加工前のジャガイモとは、いわゆる生のジャガイモ、加熱や切断・粉砕等の加工を行う前である。また、加工前のジャガイモ100gあたり、ゼアキサンチンを200μg以上含有することが好ましく、300μg以上含有することが好ましい。
【0034】
上記食品は、ルテインを含有するものを用いてもよい。ルテインは、ジャガイモの品種全般に含まれる。ルテインの含有量は、加工前のジャガイモ100gあたり、10μg以上含有するものを用いてもよい。また、20μg以上含有するもの、40μg以上含有するものを用いてもよい。
【0035】
ゼアキサンチンを含むジャガイモとしては、インカのひとみ、ながさき黄金(登録商標)、およびインカのめざめなどの品種が挙げられる。ながさき黄金は、ゼアキサンチンおよびルテインを多く含んでいる。
【0036】
本実施形態の組成物は、組成物の全体質量100gあたりゼアキサンチンを50μg以上含有することも好ましい。また、ゼアキサンチンを100μg以上含有することもより好ましい。
ここで組成物がこれらの含有量を有するとは、原料であるジャガイモを加工を行った後の状態で前記含有量を有することが好ましい。加工としては、例えば切断や加熱などの処理が挙げられる。
【0037】
ここで加熱とは、例えば、竹串が刺さる程度の可食可能な状態になるまで電子レンジ加熱、蒸す、または煮るなどの加熱する操作を指す。より具体的な操作としては、100℃の湯で3分以上煮る、または、100g以下の生のジャガイモを500W以上の電子レンジで3分以上加熱する操作も指す。
【0038】
本実施形態の組成物は、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる。
睡眠改善とは、睡眠の状態、または睡眠の質が改善することを広く指すが、具体的には、総睡眠時間、睡眠効率(%)((総睡眠時間/全就床時間)×100)、入眠潜時(入眠までに要した時間)などのいずれか、又は複数の値が改善することを指す。
睡眠の質の具体的な評価手段としては、PSQI質問紙(ピッツバーグ睡眠評価票)による睡眠の質の評価などを用いることができる。
【0039】
眼精疲労改善は、目の疲れが改善することを広く指す。目の疲れが改善するとは、目が疲労した状態を改善することを指す。また、目が光などの刺激から保護されることにより、目の疲労の発生が抑制され、その結果として、目の疲れが改善されることも指す。
眼精疲労の具体的な評価手段としては、例えば、VAS(Visual Analog Scale)法による視覚評価スケールにより、目の疲労を感じるかを被験者自身により評価する方法で行うことができる。その他、目の疲労を評価する手段で評価することができる。また、目の疲労感の評価は、10段階の等間隔尺度を用いた質問紙法を用いて評価することもできる。
【0040】
また、眼精疲労改善は、目の黄斑色素光学密度または黄斑色素量の維持・上昇によっても評価することができる。黄斑色素量が高い値に維持される、または上昇することは、光刺激から眼の保護に役立つ。黄斑色素光学密度または黄斑色素量は、プラセボ対照並行群間試験などにより評価することができる。
また、眼精疲労改善は、コントラスト感度、グレア感度の改善による視機能の維持・上昇によっても評価することができる。コントラスト感度、グレア感度は、プラセボ対照並行群間試験などにより評価することができる。
【0041】
疲労感の軽減は、心身の疲れが改善することを広く指す。疲労感としては、心身(精神的、肉体的)の不調を自覚する状態、特に軽度心身不調と呼ばれる状態を含む。
疲労感の評価手段としては、前記VAS法による視覚評価スケールにより、心身の疲労を感じるかを被験者自身により評価する方法で行うことができる。その他、心身の疲労を評価する手段で評価することができる。
【0042】
(体調改善用の食品)
本実施形態の体調改善用の食品は、ジャガイモまたは前記ジャガイモの抽出物を含み、前記ジャガイモは、ゼアキサンチンおよびルテインを含有し、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に用いる。
【0043】
前記ジャガイモは、加工前のジャガイモの全体質量100gあたり、ゼアキサンチンを100μg以上含有するものを用いることが好ましい。
食品に用いるジャガイモは、前記組成物に用いるものと同様に選択することができる。
【0044】
また、前記食品は、食品の全体質量100gあたりゼアキサンチンを50μg以上含有することが好ましい。
ここで食品がこれらの含有量を有するとは、食品の原料であるジャガイモを加工を行った後の状態で前記含有量を有することが好ましい。可能については、前記組成物に用いるものと同様に選択することができる。
前記食品は、前記ゼアキサンチンを含有する食品を、1日あたり40g以上摂取することが好ましく、50g以上摂取することがより好ましく、80g以上摂取することがさらに好ましい。
また、この摂取量を3日以上継続することも好ましい。
この摂取量により、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減の効果を好適に得ることができる。
【0045】
例えば、前述した品種のジャガイモは、平均して1個あたりの重量が90gである。前述したジャガイモを1日に1個分含む形で摂取することで、前記の摂取量を充足することができ、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減の効果を好適に得ることができる。
【0046】
対象となる食品の形態は、特に限定されない。例えば、原料であるジャガイモを、加熱のみの加工を行ったものをそのまま摂取する形態でもよい。ジャガイモを加熱のみ行ったものを食品とし摂取することで、前記有効成分を含めてジャガイモに含まれる成分を最小限の損失のみで摂取することができる。また、ジャガイモをそのまま摂取することで、ジャガイモに含まれる豊富な栄養素をそのまま摂取することができる。
また、原料であるジャガイモを、前述した成分が含まれるように、加熱、切断等の加工や抽出を行ったものでもよい。食品の製造方法は後述する。また、加工食品、菓子類等も挙げられる。
【0047】
例えば、本実施形態の体調改善用の食品を健康食品、すなわち機能性表示食品、特定保健用食品、健康飲料またはサプリメント等に用いる場合、これらの食品の原材料として前記組成物を本発明の化合物を各種の食品に添加してもよい。これらの食品は、必要に応じて糖類等による賦形剤、香料、または色素等の食品用添加物とともに、ペレット、錠剤、顆粒、カプセル等に成形加工し、健康食品とすることもできる。
【0048】
(体調改善用の組成物を含む薬剤)
本実施形態の薬剤は、前述の体調改善用の組成物を含有する。ここで薬剤は医薬品、医薬部外品等を含む。
【0049】
本実施形態の薬剤は、体調改善に用いることができ、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に好適に用いられる。体調改善の用途の具体例については、体調改善方法について後述する。
【0050】
薬剤中の本実施形態の組成物の含有量は、医薬品の剤形等を勘案して適宜決定される。例えば、薬剤中の本実施形態の組成物の含有量は、食品等に含まれる組成物と同様でもよいが、それより多くともよい。
薬剤の1日あたり、または1回の服用あたりの投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり、一概には決定できないが、例えば、1回の服用で、前述したゼアキサンチンを50μg以上摂取できるように、薬剤中に含有していてもよい。
【0051】
また、本実施形態の薬剤は、その他の成分を含むこともできる。すなわち、その他の従来知られる薬剤が含有する各種の成分を適宜含んでいても良い。
【0052】
本実施形態の薬剤の形態は、特に限定されず、例えば、溶液、ゾル又はゲル等の分散体、粉末状とすることができる。前記薬剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤等の形態で経口的に、あるいは、点眼剤などの形態により非経口的に投与することができる。
【0053】
薬学的に許容される担体としては、通常製剤に用いられるものを特に制限なく用いることができる。より具体的には、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の膨化剤;水、エタノール、グリセリン等の溶剤等が挙げられる。
【0054】
薬剤は添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン、マルチトール等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノール等の安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
【0055】
薬剤は、薬学的に許容される担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。
【0056】
(体調改善用の組成物の製造方法)
本実施形態の体調改善用の組成物の製造方法は、前記ジャガイモを抽出して、前記体調改善用の組成物を得る。抽出とは、原料から成分を得る操作を広く指す。抽出の操作としては、加熱操作、物理的操作、化学的操作などが挙げられる。
【0057】
これらの操作は適宜選択できるが、前述するゼアキサンチンおよびルテインの分解が起こりにくいような条件を選択することが好ましい。しかし、操作の後にゼアキサンチンが残存していれば、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減の効果を奏することができる。
【0058】
(体調改善用の食品の製造方法)
本実施形態の体調改善用の食品の製造方法は、前記ジャガイモを加工して、前記体調改善用の組成物を得る。加工は前述の抽出の操作と同様の操作から選択できるが、そのまま生食に適した形に加工することから、加熱操作、物理的操作などから行うことが好ましい。
生食に適した形の加工としては、従来知られた調理の手段から適宜選択できる。
【0059】
例えば、生食しやすいように加熱する操作を加えることができる。加熱する際は特に、前述するようにゼアキサンチンまたはルテインの分解が起こりにくいような条件を選択することが好ましい。
【0060】
加熱の操作としては、前述したように、例えば、100g以下の生のジャガイモを500W以上の電子レンジで4分以上、例えば4~5分程度加熱する操作を行ってもよい。または、蒸気で20分以上加熱する操作を行ってもよい。または、100℃の湯で3分以上加熱する操作を行ってもよい。また、通常のジャガイモの調理に用いられるその他の加熱手段(焼く、炒める、揚げる等)を用いても、これらの手段を併用してもよい。
上記の加熱の加工を行った原料を、そのまま本実施形態の食品としてもよい。
【0061】
また、加工としては物理的操作、例えば、切断、すり潰し、圧搾などの操作を加えることができる。これらの物理的操作は前記加熱の前にも、後にも行うことができる。
【0062】
加熱および加工の条件は、適宜選択することができるが、本実施形態の有効成分、すなわちゼアキサンチンの分解や変質等が極力起こりにくい条件が好ましい。
【0063】
(体調改善方法)
本実施形態の組成物、食品または薬剤は、前記有効成分を患者に有効量投与することを含む体調改善に用いることができる。ここで前述したように、体調改善としては、睡眠改善、眼精疲労改善、または疲労感軽減に好適に用いられる。
【0064】
本実施形態の薬剤に含まれる有効成分、または薬剤は、不眠症などの睡眠に支障を起こす各種の疾患、例えば睡眠障害の治療、眼精疲労を原因としまたは伴う癌疾患の治療、または疲労を原因とし、または伴う疾患の治療に使用される医薬組成物ということもできる。
体調改善方法は、前記体調の悪化を伴う又は原因とする疾患を治療する方法の他、前記疾患を予防する方法、疲労に関連する疾患、特に目に関連する疾患の予後の処置方法などを広く含む。
【0065】
患者としては、人間(ヒト)、その他の動物のうち、前述した体調改善の対象、予防または予後の処置を行う対象を広く含む。治療対象となる動物としては、哺乳動物であることが好ましい。
【0066】
前記有効成分を投与する有効量は、例えば、前述の組成物、食品または薬剤としての投与量を目安に選ぶことができる。
【0067】
(本実施形態の他の側面)
本実施形態の他の側面は、体調改善における使用のためのゼアキサンチンを含む前記組成物である。
また、本実施形態の他の側面は、体調改善用の薬剤を製造するためのゼアキサンチンを含む前記組成物の使用である。
前記組成物の構成及び使用方法としては、上述したものから選択できる。
【0068】
(本実施形態の効果)
体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法によれば、適度な摂取量により好適に睡眠改善、眼精疲労改善、疲労軽減等の体調改善用の効果が得られる。
【0069】
非特許文献1~3に示すように、従来、カロテノイド、特にルテインやゼアキサンチンが、野菜等に含まれること、また睡眠改善、目の保護や疲労軽減などの作用を有することは知られていた。しかしながら、これらの従来の知見では、ルテインやゼアキサンチンが生理的作用を発揮する摂取量として示されているのは、数mg~十数mgであった。
【0070】
本実施形態では、一定の種類のジャガイモがゼアキサンチンを含むこと、そのジャガイモの摂取により、各種の体調改善の効果が見られることを見出した。また、ジャガイモのゼアキサンチン、またはルテインおよびゼアキサンチンの100gあたり(ほぼ1日摂取あたり)の含有量は数十~数百μg単位であり、これまでにルテインやゼアキサンチンが生理的作用を発揮する摂取量として知見が得られていた量よりも、はるかに少量である。
【0071】
換言すれば、精製ルテインやゼアキサンチンを多量に摂取することなく、本実施形態のジャガイモまたはその加工物を摂取することで、容易に各種の体調改善の効果を発揮することができる。特に、本実施形態のジャガイモは、1個数10~100gのジャガイモを1日あたり1個摂取することで、睡眠改善、眼精疲労改善、疲労軽減等の体調改善用の効果が得られる。
【0072】
また、ジャガイモは食品およびその原料として日本食、海外食とわず広く一般的に用いられている。そのため、上述の1日あたり1個にあたる分量程度の摂取量を食習慣、生活習慣に取り入れることはきわめて容易である。
また、ジャガイモは加工原料としても広く用いられており、加工された組成物や食品を介して前述の摂取量を得ることも容易である。
本実施形態の食品や組成物は、高付加価値機能性食品またはその原料として広く用いることができる。
【0073】
睡眠の質の低下、眼精疲労、その他の心身の疲労は、現在、電子機器を多用する労働や生活の形態における問題として多く見られる。これらの問題は、将来的にもその対策の需要はさらに高まると考えられる。
本実施形態は、これらの問題を、食習慣や生活習慣の段階において改善することができるため、きわめて有効である。
【0074】
なお、一般に、眼精疲労の軽減、目以外の身体の疲労感の軽減、心的(精神的)な疲労感の軽減、睡眠の質の改善等は、互いに相関している可能性がある。すなわち、いずれかの要素の軽減、改善があれば、他の要素にも改善がみられる可能性がある。
本実施形態の組成物の有効成分は、上述のいずれの要素のそれぞれについても改善を及ぼすが、また、各要素が改善されることで、それぞれの改善効果も高まるという相乗効果も奏する。
【実施例0075】
以下に、実施例を示して本実施形態を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
(食品の調整)
被験食品は、実施例として「長崎県産ながさき黄金」M玉サイズ約90g、比較例として「長崎県産ニシユタカ」M玉サイズ約90gを用いた。M玉サイズのバレイショ1個を1日の三食いずれかの食事の際に90gあたり500Wの電子レンジで5分間加熱し、皮を取り除いて摂食してもらった。
【0077】
(カロテノイド分析)
a)抽出
試料約0.3gにピロガロール0.6g、エタノール20mLを加え、ボルテックスミキサーで撹拌、60%水酸化カリウム2.5mLを投入して混合した後、30分間56℃で加温してケン化を行った。
ケン化後の試料に1%塩化ナトリウム10mLを投入した。その後ヘキサン(0.1%BHT含有)10mLを投入してボルテックスミキサーで撹拌し、2000rpmで10分間遠沈後、上層を回収した。ヘキサン投入後の操作を3回繰り返した。
回収した不ケン化物を40℃以下においてエバポレーターで減圧除去し乾固させた。
TBME:MeOH(0.1%BHT、1%酢酸アンモニウム含有)を用いて不ケン化物を溶解させ、0.20μmのメンブレンフィルターでろ過したものを分析試料とした。
【0078】
b)HPLC分析法
分析は、YMC Carotenoidカラム(4.6×200mm)を装着した日本分光EXTREMAを用いた。溶離液はA液にTBMEとMeOHの混合液及びB液にメタノールを用い、カラム温度を30℃に維持し、1mL/minの流速により、濃度勾配は溶離液Aが2%(0分)→20%(60分)→90%(80分)とした。検出波長はUV450nmにて行った。
【0079】
表1に、前述のカロテノイド分析の結果として、電子レンジで5分間加熱した際の生重100g当たりの、実施例の「長崎県産ながさき黄金」および比較例の「長崎県産ニシユタカ」に含まれるゼアキサンチン、ルテイン含量を示す。
ゼアキサンチンは「ながさき黄金」に含まれていたが、「ニシユタカ」では検出できなかった。ルテインは、「ながさき黄金」が「ニシユタカ」に比べ2倍以上含まれていた。
この結果により、「ながさき黄金」には、ゼアキサンチン、ルテインのカロテノイドを多く含むことが明らかになった。
【0080】
【0081】
(眼精疲労軽減および疲労感軽減試験)
長崎県立大学治験ネットワークが管理する臨床試験被験登録者および広く一般から本研究への参加者を募集し、60名を被験者とした。
被験者は、バレイショ摂取開始前3日間に脳波センサ(バッチ式脳波計)による測定を自宅で実施した。その後、第1回測定時に、VAS(Visual Analog Scale)法により眼精疲労および疲労感についてアンケートを行った。翌日から、M玉サイズのながさき黄金1個を三食いずれかの食事の際に電子レンジで加熱して摂取した。8週間後の測定の前3日間に脳波センサによる測定を自宅で実施した。また、VAS法により眼精疲労と疲労感についてのアンケートを実施した。
眼精疲労と疲労感の評価法は下記のように行った。
【0082】
(眼精疲労)
眼精疲労の評価試験は、VAS(Visual Analog Scale)法による視覚評価スケールにより行った。ここで、眼精疲労に関するVAS試験は、被験者に、0cmを「眼精疲労を全く感じない最良」状態、10cmを「眼精疲労を強く感じる最悪の感覚」の状態として、現在の眼精疲労感が10cmの直線上のどの位置にあるかを示す評価法で行った。
【0083】
(疲労感)
疲労感の評価試験は、VAS(Visual Analog Scale)法による視覚評価スケールにより行った。ここで、疲労感に関するVAS試験は、被験者に、0cmを「疲れを全く感じない最良」状態、10cmを「何もできないほど疲れきった最悪の感覚」の状態として、現在の疲労感が10cmの直線上のどの位置にあるかを示す評価法で行った。
【0084】
表2に、全被験者の総睡眠時間、睡眠効率(総睡眠時間/全就床時間×100)、入眠潜時(入眠までに要した時間)の結果を示す。
総睡眠時間は「ながさき黄金」を摂取した場合において、「ニシユタカ」を摂取した場合に比べ有意に長くなった。睡眠効率は「ながさき黄金」で「ニシユタカ」に比べ有意に高くなった。入眠潜間は、有意差は見られなかったものの、「ながさき黄金」で短い結果であった。
【0085】
【0086】
表3に眼精疲労VASスコア平均以上の総睡眠時間、睡眠効率(総睡眠時間/全就床時間×100)、入眠潜時(入眠までに要した時間)の結果を示す。
総睡眠時間は「ながさき黄金」を摂取した場合において、「ニシユタカ」を摂取した場合に比べ有意に長くなった。睡眠効率は「ながさき黄金」で「ニシユタカ」に比べ有意に高くなった。入眠潜時は「ながさき黄金」で「ニシユタカ」に比べ有意に短くなった。
【0087】
【0088】
表4に疲労感VASスコア平均以上の総睡眠時間、睡眠効率(総睡眠時間/全就床時間×100)、入眠潜時(入眠までに要した時間)の結果を示す。
総睡眠時間は「ながさき黄金」を摂取した場合において、「ニシユタカ」を摂取した場合に比べ長い傾向にあった。睡眠効率は「ながさき黄金」で「ニシユタカ」に比べ有意に高くなった。入眠潜時は「ながさき黄金」で「ニシユタカ」に比べ短い傾向にあった。
【0089】
【0090】
表2~表4の結果から、「ながさき黄金」を摂取することで、睡眠の質が改善されることが明らかになった。
【0091】
また、眼精疲労および疲労感が平均以上の被験者についても、本実施例の食品を摂取した場合の眼精疲労および疲労感の変化について、さらに試験を行った。食品および眼精疲労、疲労の測定については、上述と同様の操作を行った。
【0092】
図1は、眼精疲労が平均以上の被験者について、「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取した際の、摂取前に比べた眼精疲労感の変化量を示すグラフ図である。
図1に示すように、「ながさき黄金」を1日1個約90g摂取することで、眼精疲労が平均以上の被験者は、摂取前に比べて眼精疲労感が軽減されることが示された。
【0093】
図2は、疲労感が平均以上の被験者について、「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べた疲労感の変化量を示すグラフ図である。
図2に示すように、「ながさき黄金」を1日1個約90g摂取することで、疲労感が平均以上の被験者は、摂取前に比べて疲労感が軽減されることが示された。
【0094】
図3は、
図1とは別の眼精疲労が平均以上の被験者が「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べた疲労感の変化量を示すグラフ図である。
図3に示すように、「ながさき黄金」を1日1個約90g摂取することで、眼精疲労が平均以上の被験者は、摂取前に比べて疲労感が軽減されることが示された。
【0095】
図4は、
図2とは別の疲労感が平均以上の被験者が「ながさき黄金」または「ニシユタカ」を8週間摂取することで、摂取前に比べた眼精疲労感の変化量を示すグラフ図である。
図4に示すように、「ながさき黄金」を1日1個約90g摂取することで、疲労感が平均以上の被験者は、摂取前に比べて眼精疲労が軽減されることが示された。
【0096】
これらの結果から、「ながさき黄金」に含まれるゼアキサンチンの摂取は、非特許文献に記載している量に比べ、かなり少ない量で効果を発揮していることが明らかになった。
【0097】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明によれば、適度な摂取量により好適に睡眠改善、眼精疲労改善、疲労軽減等の体調改善用の効果を有する体調改善用の組成物、体調改善用の食品、薬剤、およびこれらの組成物の製造方法および食品の製造方法が得られる。