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  • 特開-コンクリート製収納管路の構築工法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121250
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】コンクリート製収納管路の構築工法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
E21D11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028242
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】592243313
【氏名又は名称】フジプレコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】松林 克法
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155AA01
2D155BB02
2D155CA04
2D155CA08
2D155GB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アンカーボルトをコンクリート側面に打ち込む際、埋設されている補強筋を避けて打ち込んでも収納管路の蓋受け部材をコンクリート側壁の所定位置に取り付けることが出来、ひいては狭いトンネル内においても収納スペースが広く確保できる収納管路の構築工法を提供する。
【解決手段】トンネル側壁からトンネル中央部に向かい、間隔をあけて収納管路用側壁を立設し、立設した収納管路用側壁とトンネル幅方向端部のトンネル側壁との間に収納スペースを形成し、前記収納管路用側壁の上端面と略同等の高さ位置にある前記トンネル側壁に、アンカーボルトが挿通する穴が水平方向に延出する長穴として形成された取付穴を有し、上面には収納管路用蓋が載置する載置面が設けられた蓋受け部材を前記取付穴にアンカーボルトを挿通させて前記トンネル側壁に取り付け、前記収納管路用側壁の上端面と前記蓋受け部材の載置面に跨がって収納管路用蓋を載置してなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内幅方向端部側に構築される収納管路の構築工法であって、
トンネル側壁からトンネル中央部に向かい、間隔をあけて収納管路用側壁を立設し、立設した収納管路用側壁とトンネル幅方向端部のトンネル側壁との間に収納スペースを形成し、前記収納管路用側壁の上端面と略同等の高さ位置にある前記トンネル側壁に、アンカーボルトが挿通する穴が水平方向に延出する長穴として形成された取付穴を有し、上面には収納管路用蓋が載置する載置面が設けられた蓋受け部材を前記取付穴にアンカーボルトを挿通させて前記トンネル側壁に取り付け、
前記収納管路用側壁の上端面と前記蓋受け部材の載置面に跨がって収納管路用蓋を載置してなり、
前記アンカーボルトによる蓋受け部材のトンネル側壁への取り付けは、前記トンネル側壁内に配筋された補強筋あるいは埋設障害物をよけて取り付け可能とすべくアンカーボルトの貫挿位置を取付穴内で変更できる構成とした、
ことを特徴とする収納管路の構築工法。
【請求項2】
トンネル内幅方向端部側に構築される収納管路の構築工法であって、
トンネル側壁からトンネル中央部に向かい、間隔をあけて収納管路用側壁を地中に埋設し、前記埋設した収納管路用側壁とトンネル幅方向端部のトンネル側壁との間を掘削して地中収納スペースを形成し、前記収納管路用側壁の上端面と略同等の高さ位置にある前記トンネル側壁にアンカーボルトが挿通する穴が水平方向に延出する長穴として形成された取付穴を有し、上面には収納管路用蓋が載置する載置面が設けられた蓋受け部材を前記取付穴にアンカーボルトを挿通させて前記トンネル側壁に取り付け、
前記収納管路用側壁の上端面と前記蓋受け部材の載置面に跨がって収納管路用蓋を載置してなり、
前記アンカーボルトによる蓋受け部材のトンネル側壁への取り付けは、前記トンネル側壁内に配筋された補強筋あるいは障害物をよけて取り付け可能とすべくアンカーボルトの貫挿位置を取付穴内で変更できる構成とした、
ことを特徴とする収納管路の構築工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道線路近傍位置等に配線される通信ケーブル群などを収納すべく構築される収納管路、特にトンネル内の鉄道線路近傍位置においてトンネル幅方向端部に構築されるコンクリート製収納管路の構築工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル内の鉄道線路近傍位置においても、通信ケーブル群やその他送信ケーブル群を収納するコンクリート製収納管路は構築しなければならない。
ここで、トンネルの内周面はコンクリート仕上げされており、トンネルの幅方向端部側に寄せて収納管路を構築する際、このトンネル側壁が収納管路の側壁として使用することが検討された。
【0003】
ところが前記トンネル側壁は、鉄筋から構成された補強筋が埋設されて補強されコンクリート仕上げされており、コンクリート側壁に収納管路の蓋受け載置用にアンカーボルトを打ち込む際、前記補強筋などが障害となる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-18038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するために創案されたものであり、前記アンカーボルトをコンクリート側面に打ち込む際、埋設されている補強筋を避けて打ち込んでも収納管路の蓋受け部材をコンクリート側壁の所定位置に取り付けることが出来、ひいては狭いトンネル内においても収納スペースが広く確保できる収納管路の構築工法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
トンネル内幅方向端部側に構築される収納管路の構築工法であって、
トンネル側壁からトンネル中央部に向かい、間隔をあけて収納管路用側壁を立設し、立設した収納管路用側壁とトンネル幅方向端部のトンネル側壁との間に収納スペースを形成し、前記収納管路用側壁の上端面と略同等の高さ位置にある前記トンネル側壁に、アンカーボルトが挿通する穴が水平方向に延出する長穴として形成された取付穴を有し、上面には収納管路用蓋が載置する載置面が設けられた蓋受け部材を前記取付穴にアンカーボルトを挿通させて前記トンネル側壁に取り付け、
前記収納管路用側壁の上端面と前記蓋受け部材の載置面に跨がって収納管路用蓋を載置してなり、
前記アンカーボルトによる蓋受け部材のトンネル側壁への取り付けは、前記トンネル側壁内に配筋された補強筋あるいは埋設障害物をよけて取り付け可能とすべくアンカーボルトの貫挿位置を取付穴内で変更できる構成とした、
ことを特徴とし、
または、
トンネル内幅方向端部側に構築される収納管路の構築工法であって、
トンネル側壁からトンネル中央部に向かい、間隔をあけて収納管路用側壁を地中に埋設し、前記埋設した収納管路用側壁とトンネル幅方向端部のトンネル側壁との間を掘削して地中収納スペースを形成し、前記収納管路用側壁の上端面と略同等の高さ位置にある前記トンネル側壁にアンカーボルトが挿通する穴が水平方向に延出する長穴として形成された取付穴を有し、上面には収納管路用蓋が載置する載置面が設けられた蓋受け部材を前記取付穴にアンカーボルトを挿通させて前記トンネル側壁に取り付け、
前記収納管路用側壁の上端面と前記蓋受け部材の載置面に跨がって収納管路用蓋を載置してなり、
前記アンカーボルトによる蓋受け部材のトンネル側壁への取り付けは、前記トンネル側壁内に配筋された補強筋あるいは障害物をよけて取り付け可能とすべくアンカーボルトの貫挿位置を取付穴内で変更できる構成とした、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収納管路の蓋が載置される蓋受け部材をトンネル側壁に固定するアンカーボルトをコンクリート側面に打ち込む際、側壁内に埋設されている補強筋を避けて打ち込んでも収納管路の蓋受け部材をコンクリート側壁の所定位置に取り付けることが出来、ひいては狭いトンネル内においても収納スペースが広く確保できる収納管路の構築工法を提供できるとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による第1実施例の構成を説明する説明図である。
図2】蓋受け部材の正面図である。
図3】蓋受け部材の側面図である。
図4】本発明による第2実施例の構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図に基づいて説明する。
図1は第1実施例を示し、トンネル1内においてトンネル1の幅方向両端側にケーブル4等を収納するコンクリート製の収納管路2を構築する状態を説明する説明図である。
【0010】
図1に示す実施例において、該トンネル1内には鉄道用線路3が2車線設けられている。そして、この鉄道車両用の通信ケーブルや電源ケーブルなどのケーブル4は前記トンネル1の幅方向両端側に設けられたコンクリート製の収納管路2に収納されるものとなる。
【0011】
ここで、鉄道用の前記収納管路2については、電磁気などをシールドすべく金属製ではなく、コンクリート製の収納管路2が使用されている。金属製の収納管路を使用すると、電磁波をシールド出来ず、電磁波が収納されている鉄道車両用の通信ケーブルや電源ケーブルなどのケーブル4に悪影響をもたらし、その結果、通信障害などのトラブルを招来する恐れがあるからである。
【0012】
ところで、トンネル1内においてはトンネル幅方向の長さを広げることが出来ない。すなわち、トンネル1には幅方向に両側壁5が存在しており、これにより、トンネル幅方向の長さが決定され、前記両側壁5の間の長さ以上にトンネル幅方向の長さを広げられないのである。
【0013】
そのため、特にトンネル1内においてトンネル1の幅方向端部側にケーブル4などの収納用の収納管路2を構築する場合、収納管路2を構成するトンネル側壁側の収納管路側壁を別途立設するのではなく、トンネルの側壁5を一方側の収納管路側壁として使用して構築するのが、トンネル1の幅方向の長さを最大限に取得できるものとなる。しかも、収納管路2を構築するための側壁を別途構築する必要もない。
【0014】
このように、トンネルの側壁5を一方側の収納管路側壁として使用すれば、前述の如く収納管路2の収納スペースをトンネル1内において最大限広く使用でき、かつ収納管路2用に新たに側壁を構築する必要もない。
【0015】
ここで、収納管路2の構築工法につき説明する。
まず、トンネル幅方向両端側のトンネル側壁5からトンネル中央部に向かい所定の間隔をあけて収納管路2の収納管路側壁6を立設する。
該収納管路側壁6は、コンクリート製からなる所定の厚みを有する板状の部材で構成し、対向するトンネル側壁5と所定の間隔を有して、前記トンネル側壁5と略平行になるよう略垂直にして立設される。
【0016】
前記収納管路側壁6の立設後、この収納管路側壁6の上端面高さとほぼ同じ高さ位置において、対向するトンネル側壁5にアンカーボルト7を用いて蓋受け部材9を取り付ける。
上記のようにアンカーボルト7は、収納管路側壁6の上端面と、該上端面と同じ高さのトンネル側壁5との間に収納管路蓋8を載置するべく、該収納管路用蓋8を保持する蓋受け部材9をトンネル側壁5に取り付けるために使用される。
すなわち、アンカーボルト7は蓋受け部材9の取付穴12を挿通し、前記蓋受け部材9をトンネル側壁5に固定するために使用される。
【0017】
次に、蓋受け部材9につき説明する。
図2は、蓋受け部材9の正面図であり、図3は側面図である。図2から理解されるように、蓋受け部材9は直線状の略多角棒状をなして構成されており、図3から理解されるように上面が平坦面として構成された蓋載置面10と該蓋載置部10の一端部側から略90度以下の下り勾配角度を有して形成され、表面が平坦面として構成されたトンネル側壁取付面11を有して構成されている。
【0018】
ここで、トンネル側壁取付面11が蓋載置部10の一端部側から90度以下の下り勾配角度を有して形成してあるのは、トンネル側壁5の傾斜角度に合わせたものであり、前記の蓋載置面10が略水平方向に位置できるように設計したものである。また、図3は蓋受け部材9の側面を示したものであるが、図3に示す様に、その側面の端面は四角形状に形成されず、多角形状に形成されている。すなわち、蓋載置面10とトンネル側壁取付面11に対向する残りの2辺については、それら辺の略中間位置から切り取られて略五角形状になるよう構成されている。
【0019】
これは、該蓋受け部材9をトンネル側壁5に取り付ける際、トンネル側壁5側に向けるトンネル側壁取付面11の方向を素早く察知できるようにしたためである。すなわち、この蓋受け部材9の側面形状が略四角形状ではなく、蓋載置面10とトンネル側壁取付面11に対向する残りの2辺について、それら2辺の略中間位置から切り取られて略五角形状にしてあれば、容易にトンネル側壁5側に向けるトンネル側壁取付面11の方向を確認できるからである。
【0020】
また、この蓋受け部材9もコンクリート製品で形成されており、蓋載置面10とトンネル側壁取付面11によって構成された隅角に対向する隅角を略三角形状に切り欠いて構成すれば、切り欠いた分だけ材料費を安価にすることが出来るものとなる。
【0021】
次に、図2に示す様に、前記隅角を切り欠いた面には、アンカーボルト7が挿通する取付穴12が設けられている。ここで、該取付穴12は、図2に示す様に、略水平方向に向かって延出し、緩やかな山状に湾曲した形状の長穴として構成されている。これについては前述したとおりであるが、トンネル側壁5は、地山にコンクリートが打設されてトンネル側壁5が形成されるが、トンネル側壁5の補強のため内部には補強筋が埋設されている。また、地山には大小様々な形状をした岩石なども存在している。
【0022】
従って場合によっては、アンカーボルト7を打ち込む箇所に補強筋が埋設配置されている場合がある。また、岩石が存在している場合もある。その場合には、長穴を緩やかな山状に湾曲した形状にしておけば、水平方向にアンカーボルト7の打ち込み位置を移動させることも出来、上下方向にもアンカーボルト7の打ち込み位置を移動させることが出来る。すなわち、埋設されている補強筋や岩石をよけてアンカーボルト7を打ち込むことが出来る。取付穴12を略水平方向に向かって延出させ、かつ緩やかな山状に湾曲した形状の長穴にした所以である。
【0023】
尚、取付穴12の略水平方向の長さは、少なくとも、補強筋の径とアンカーボルト7の径を加えた長さ以上にする必要がある。このような長さにすれば、補強筋をよけてアンカーボルト7を打ち込むことが出来る。
【0024】
ところで、補強筋は例えば縦、横に格子状に配筋されるが、横方向に配筋された補強筋と接触する恐れもある。その場合は、取付穴12が緩やかな山状に湾曲した形状の長穴であるため、前述したように上下方向にも若干調節できるが、若干の調節では対応できない場合は、前記収納管路側壁6の高さ自体を予め調整しておき、横方向の補強筋や岩石と接触しない箇所を選択しておく必要がある。
【0025】
以上、トンネル1内において、トンネル進行方向長さのすべてに収納管路側壁6を立設し、対向するトンネル側壁5の所定位置にアンカーボルト7を打ち込み、該アンカーボルト7と、該アンカーボルト7が貫挿する緩やかな山状に湾曲した形状の長穴である取付穴12との調節を図って蓋受け部材9を所定位置のトンネル側壁5に取り付ける。
【0026】
そして、完成したトンネル1内の収納管路2内に通信ケーブルや電源ケーブルなどのケーブル4を収納し、前述のように取り付けた蓋受け部材9に収納管路蓋8を載せる。これにより、トンネル1内の収納管路2構築は終了する。
【0027】
次に、図4を参照して第2実施例につき説明する。
第1実施例ではトンネル1内において、地上に立設され、構築された収納管路の構築工法を説明したが、第2実施例では地面より下側に収納管路を構築した例を示したものである。
【0028】
この実施例によれば、トンネル1の幅方向両側に埋設された収納管路2を構築することが出来、もって収納管路2の上方箇所に空きスペースを設けることが出来る。よって、この上方に設けた空きスペースを何らかの目的のため有効に活用することが出来る。
【0029】
尚、第2実施例の適用に関しては、トンネル1の高さが比較的低く形成されたトンネル1に適しているといえる。
該第2実施例の構築工法の概略を説明すると、トンネル側壁5からトンネル1の中央部に向かい、間隔をあけて収納管路用側壁6を地中に埋設する。
【0030】
そして、埋設した収納管路用側壁6とトンネル幅方向端部のトンネル側壁5との間を掘削して地中収納スペースを形成する。
【0031】
次いで、前記収納管路用側壁6の上端面と略同等の高さ位置にある前記トンネル側壁5にアンカーボルト7が挿通する穴が水平方向に延出する長穴として形成された取付穴12を有し、上面には収納管路用蓋8が載置する載置面10が設けられた蓋受け部材9を前記取付穴12にアンカーボルト7を挿通させてトンネル側壁5に取り付ける。
【0032】
その後、収納管路用側壁5の上端面と前記蓋受け部材9の載置面10に跨がって収納管路用蓋8を載置して第2実施例の収納管路2の構築は完了する。
【0033】
ここで、前記アンカーボルト7による蓋受け部材9のトンネル側壁5への取り付けは、前記トンネル側壁5内に配筋された補強筋あるいは障害物をよけて取り付け可能とすべくアンカーボルト7の貫挿位置を前記取付穴12内で変更できる構成としてあり、これにより、トンネル側壁5内に埋設された補強筋や岩石などの障害物に邪魔されることなく所定位置に蓋受け部材9を取り付けることが出来、迅速な作業で確実な収納管路2が構築できるものとなる。
【0034】
以上、トンネル1内における収納管路2の構築工法につき説明したが、本発明の蓋受け部材6は、トンネル1内のほか、トンネルのない通常の鉄道路に構築する収納管路の構築においても使用できるものであり、トンネル外での箇所での収納管路2の構築に大きな効果を発揮するものとなっている。
【符号の説明】
【0035】
1 トンネル
2 収納管路
3 鉄道線路
4 ケーブル
5 トンネルの側壁
6 収納管路側壁
7 アンカーボルト
8 収納管路蓋
9 蓋受け部材
10 蓋載置面
11 トンネル側壁取付面
12 取付穴

図1
図2
図3
図4