(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121253
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】光検出回路
(51)【国際特許分類】
G01J 1/44 20060101AFI20240830BHJP
G01J 1/46 20060101ALI20240830BHJP
H03F 3/08 20060101ALI20240830BHJP
G01J 1/42 20060101ALN20240830BHJP
H01L 31/10 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
G01J1/44 E
G01J1/46
H03F3/08
G01J1/42 B
H01L31/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028247
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】内藤 文哉
【テーマコード(参考)】
2G065
5F149
5F849
5J500
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA09
2G065BA14
2G065BC03
2G065BC05
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2G065BC22
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5J500AH25
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5J500AH44
5J500AK11
5J500AK27
5J500AM13
5J500AT01
(57)【要約】
【課題】信号電流から引き抜かれる低周波成分の周波数帯域を小さく抑えつつ、帰還動作の整定時間を短く抑えることができる光検出回路を提供する。
【解決手段】光検出回路は、信号電流を出力する光検出素子と、信号電流を第1信号電圧に変換する電流電圧変換部と、信号電流から第1電流を引き抜く第1電流除去部と、信号電流から第2電流を引き抜く第2電流除去部と、を備える。第1電流除去部は、第1電流の大きさを、所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定するとともに、第1電流の大きさを維持する。第2電流除去部は、第1信号電圧に応じた大きさの第2信号電圧を出力する帰還回路部と、第2信号電圧を平滑化する平滑化コンデンサと、平滑化コンデンサによって平滑化された第2信号電圧に応じた大きさの第2電流を信号電流から引き抜く第2トランジスタと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光の入射に応じて信号電流を出力する光検出素子と、
信号入力端および信号出力端を有し、前記信号入力端が前記光検出素子と接続され、前記信号入力端に入力された前記信号電流を第1信号電圧に変換し、前記第1信号電圧を前記信号出力端から出力する電流電圧変換部と、
前記光検出素子と接続され、前記信号電流から第1電流を引き抜く第1電流除去部と、
前記光検出素子と接続され、前記信号電流から第2電流を引き抜く第2電流除去部と、
を備え、
前記信号電流は、信号成分と、前記信号成分よりも低い周波数を有するか又は大きさが一定である低周波成分とを含み、
前記第1電流除去部は、前記第1電流の大きさを、所定のタイミングにおける前記低周波成分の大きさに基づいて決定するとともに、前記第1電流の大きさを維持するように構成され、
前記第2電流除去部は、
前記電流電圧変換部の前記信号出力端と接続され、前記第1信号電圧に応じた大きさの第2信号電圧を出力する帰還回路部と、
前記第2信号電圧を平滑化するように構成された平滑化コンデンサと、
前記平滑化コンデンサによって平滑化された前記第2信号電圧に応じた大きさの前記第2電流を前記信号電流から引き抜くように構成された第2トランジスタと、
を有する、光検出回路。
【請求項2】
前記第1電流除去部は、
前記光検出素子からの電流によって充電されるように構成された電圧保持用コンデンサと、
前記光検出素子から前記電圧保持用コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替えるように構成された第1切替素子と、
制御端子、第1電流端子および第2電流端子を有し、前記制御端子に前記電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が印加され、前記第1電流端子が前記光検出素子と接続され、前記第2電流端子が定電位線と接続されている第1トランジスタと、
を有する、請求項1に記載の光検出回路。
【請求項3】
前記第1切替素子は、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するアンプである、請求項2に記載の光検出回路。
【請求項4】
前記第1電流除去部は、
前記光検出素子からの電流によって充電されるように構成された電圧保持用コンデンサと、
前記光検出素子から前記電圧保持用コンデンサへ流れる電流の経路上に設けられた第1抵抗素子と、
制御端子、第1電流端子および第2電流端子を有し、前記制御端子に前記電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が印加され、前記第1電流端子が前記光検出素子と接続され、前記第2電流端子が定電位線と接続されている第1トランジスタと、
を有する、請求項1に記載の光検出回路。
【請求項5】
前記第1電流除去部は、前記光検出素子から前記電圧保持用コンデンサへ流れる電流、または前記光検出素子から前記電圧保持用コンデンサに印加される電圧を増幅するように構成された第1アンプを更に有する、請求項2または4に記載の光検出回路。
【請求項6】
前記第1電流除去部は、前記光検出素子と前記定電位線との間において前記第1トランジスタと直列に接続され、前記電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が制御端子に印加されるトランジスタを更に有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の光検出回路。
【請求項7】
前記第1電流除去部は、前記電圧保持用コンデンサと並列に接続される第1短絡用スイッチを更に有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の光検出回路。
【請求項8】
前記第2電流除去部は、前記光検出素子と前記平滑化コンデンサとの間に直列に接続され、前記光検出素子から前記平滑化コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替えるように構成された第2切替素子を更に有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の光検出回路。
【請求項9】
前記帰還回路部は、入力端子および出力端子を含み、前記入力端子が前記電流電圧変換部の前記信号出力端と接続され、前記出力端子が前記平滑化コンデンサに接続される第2アンプを有し、
前記第2アンプは、出力を行うか否かを選択するための制御端子を更に有する、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項10】
前記帰還回路部は、入力端子および出力端子を含み、前記入力端子が前記電流電圧変換部の前記信号出力端と接続され、前記出力端子が前記平滑化コンデンサに接続される第2アンプを有し、
前記第2電流除去部は、前記第2アンプと前記平滑化コンデンサとの間において直列に接続され、前記第2アンプと前記平滑化コンデンサとの関係を接続状態と非接続状態との間で切り替える第3切替素子を更に有する、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項11】
前記帰還回路部は、一端および他端を含み、前記一端が前記電流電圧変換部の前記信号出力端と接続され、前記他端が前記平滑化コンデンサに接続される第2抵抗素子を有し、
前記第2電流除去部は、前記電流電圧変換部の前記信号出力端と前記平滑化コンデンサとの間において前記第2抵抗素子と直列に接続され、前記信号出力端と前記平滑化コンデンサとの関係を接続状態と非接続状態との間で切り替える第3切替素子を更に有する、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項12】
前記第2電流除去部は、前記光検出素子から前記平滑化コンデンサへ流れる電流、または前記光検出素子から前記平滑化コンデンサに印加される電圧を増幅するように構成された第3アンプを更に有する、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項13】
前記第2切替素子は、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するアンプである、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項14】
前記電流電圧変換部は、前記信号入力端に前記信号電流が入力されるか否かを切り替え可能に構成されている、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項15】
前記第2電流除去部は、前記第1切替素子と前記電圧保持用コンデンサとの間のノードと前記平滑化コンデンサとの間に直列に接続され、前記光検出素子から前記平滑化コンデンサへ電流が流れるか否かを前記第1切替素子とともに切り替えるように構成された第2切替素子を更に有する、請求項2または3に記載の光検出回路。
【請求項16】
前記第1電流除去部は、
前記光検出素子からの電流によって充電されるように構成された電圧保持用コンデンサと、
前記第2切替素子と前記平滑化コンデンサとの間のノードと前記電圧保持用コンデンサとの間に直列に接続され、前記光検出素子から前記電圧保持用コンデンサへ電流が流れるか否かを前記第2切替素子とともに切り替えるように構成された第1切替素子と、
制御端子、第1電流端子および第2電流端子を有し、前記制御端子に前記電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が印加され、前記第1電流端子が前記光検出素子と接続され、前記第2電流端子が定電位線と接続されている第1トランジスタと、
を有する、請求項8に記載の光検出回路。
【請求項17】
前記第2電流除去部は、前記平滑化コンデンサと並列に接続される第2短絡用スイッチを更に有する、請求項1に記載の光検出回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、光検出回路を開示する。これらの光検出回路は、位置検出素子(PSD)と、位置検出素子から出力された信号電流を信号電圧に変換する電流電圧変換回路と、信号電流に含まれる定常成分を、信号電圧に含まれる定常成分に基づいて除去する回路とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばフォトダイオードといった光検出素子を用いて光を検出する際、光検出素子から出力される信号電流に含まれる低周波成分(例えば背景光に基づく電流成分および/または暗電流成分)を信号電流から取り除くことがある。
図21は、信号電流から低周波成分を除去する機能を含む光検出回路の参考例を示す図である。同図に示される光検出回路100は、光検出素子101と、光検出素子101に接続された電流電圧変換回路102と、帰還のためのアンプ103と、平滑化のための平滑化コンデンサ104と、トランジスタ105と、を備える。電流電圧変換回路102は、アンプ106およびコンデンサ107を有するチャージ型アンプであって、光検出素子101から出力された信号電流を信号電圧に変換する。アンプ103は、電流電圧変換回路102の入力側の電圧と出力側の電圧との差分を増幅して出力する。平滑化コンデンサ104は、アンプ103からの出力電圧を平滑化する。平滑化された出力電圧は、トランジスタ105のゲートに入力される。トランジスタ105は、ゲートに入力された電圧に応じて、光検出素子101から出力される信号電流に含まれる低周波成分を信号電流から引き抜く。
【0005】
しかしながら、
図21に示される回路100には次に述べるような問題がある。除去すべき低周波成分が大きいほど、トランジスタ105の相互コンダクタンスが大きくなり、ループ利得が増大してしまう。その結果、信号電流から引き抜かれる低周波成分の周波数帯域が拡大する。よって、本来引き抜くべきではない信号成分をも引き抜いてしまうおそれが生じる。また、そのような不都合を回避するためには平滑化コンデンサ104の容量を大きくすればよいが、そうすると平滑化コンデンサ104に電荷が蓄積するための時間が長くなる。したがって、光検出回路100が間欠的に動作する場合には、非動作状態から動作状態に移行する毎に、帰還動作のための長い整定時間が必要となる。このように、信号電流から引き抜かれる低周波成分の周波数帯域を小さく抑えることと、帰還動作の整定時間を短く抑えることとの間には、トレードオフが存在する。
【0006】
本開示は、信号電流から引き抜かれる低周波成分の周波数帯域を小さく抑えつつ、帰還動作の整定時間を短く抑えることができる光検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上述した課題を解決するために、本開示の一側面による光検出回路は、光検出素子と、電流電圧変換部と、第1電流除去部と、第2電流除去部と、を備える。光検出素子は、信号光の入射に応じて信号電流を出力する。電流電圧変換部は、信号入力端および信号出力端を有し、信号入力端が光検出素子と接続され、信号入力端に入力された信号電流を第1信号電圧に変換し、第1信号電圧を信号出力端から出力する。第1電流除去部は、光検出素子と接続され、信号電流から第1電流を引き抜く。第2電流除去部は、光検出素子と接続され、信号電流から第2電流を引き抜く。信号電流は、信号成分と、信号成分よりも低い周波数を有するか又は大きさが一定である低周波成分とを含む。第1電流除去部は、第1電流の大きさを、所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定するとともに、第1電流の大きさを維持するように構成されている。第2電流除去部は、帰還回路部と、平滑化コンデンサと、第2トランジスタと、を有する。帰還回路部は、電流電圧変換部の信号出力端と接続され、第1信号電圧に応じた大きさの第2信号電圧を出力する。平滑化コンデンサは、第2信号電圧を平滑化するように構成されている。第2トランジスタは、平滑化コンデンサによって平滑化された第2信号電圧に応じた大きさの第2電流を信号電流から引き抜くように構成されている。
【0008】
上記[1]の光検出回路によれば、信号電流に含まれる低周波成分のうちの或る一定の部分(第1電流)が第1電流除去部によって信号電流から引き抜かれる。また、信号電流に含まれる低周波成分のうちの残りの部分(第2電流)が第2電流除去部によって信号電流から引き抜かれる。この残りの部分は、所定のタイミング以降における低周波成分の変動分である。このような構成により、低周波成分の帰還動作を行う第2電流除去部において除去すべき低周波成分が減少するので、第2トランジスタの相互コンダクタンスが小さくなり、ループ利得が低下する。その結果、第2電流除去部において信号電流から引き抜かれる低周波成分すなわち第2電流の周波数帯域が狭くなる。また、平滑化コンデンサに蓄積すべき電荷が少なくなるので、平滑化コンデンサに電荷を蓄積するための時間が短くて済み、帰還動作の整定時間を短くすることができる。このように、上記[1]の光検出回路によれば、信号電流から引き抜かれる低周波成分の周波数帯域を小さく抑えつつ、帰還動作の整定時間を短く抑えることができる。
【0009】
[2]上記[1]の光検出回路において、第1電流除去部は、電圧保持用コンデンサと、第1切替素子と、第1トランジスタと、を有してもよい。電圧保持用コンデンサは、光検出素子からの電流によって充電されるように構成される。第1切替素子は、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替えるように構成される。第1トランジスタは、制御端子、第1電流端子および第2電流端子を有する。制御端子には、電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が印加される。第1電流端子は光検出素子と接続される。第2電流端子は定電位線と接続される。
【0010】
上記[2]の光検出回路は、例えば次のように動作する。まず、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられない期間において、第1切替素子は、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ信号電流を流す。これにより、電圧保持用コンデンサに電荷が蓄積され、電圧保持用コンデンサの両端電圧が上昇する。このとき、電圧保持用コンデンサは信号電流に含まれる高周波の信号成分を通過させるので、電圧保持用コンデンサの両端電圧は、信号電流に含まれる低周波成分の大きさに主に依存する。そして、電圧保持用コンデンサの両端電圧が変化しなくなった上記所定のタイミング以降に、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられる。第1切替素子は、上記所定のタイミングにおいて、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ電流が流れないように切り替える。これにより、電圧保持用コンデンサの両端電圧は、上記所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定され、上記所定のタイミング以降も一定値に維持される。電圧保持用コンデンサの両端電圧は第1トランジスタの制御端子に印加され、第1トランジスタは、電圧保持用コンデンサの両端電圧に応じた大きさの第1電流を信号電流から引き抜く。このように、上記[2]の光検出回路によれば、第1電流の大きさを、所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定することができる。
【0011】
[3]上記[1]の光検出回路において、第1切替素子は、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するアンプであってもよい。その場合、信号電流による電荷を電圧保持用コンデンサにより早く蓄積させることができるので、電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。電圧保持用コンデンサへの電荷の蓄積に要する時間は、信号光の光強度に応じた第1信号電圧を出力できない時間(デッドタイム)となる。上記[3]の光検出回路によれば、デッドタイムを短くすることができる。加えて、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替える機能をアンプに持たせることにより、部品数をより少なくすることができる。
【0012】
[4]上記[1]の光検出回路において、第1電流除去部は、電圧保持用コンデンサと、第1抵抗素子と、第1トランジスタと、を有してもよい。電圧保持用コンデンサは、光検出素子からの電流によって充電されるように構成される。第1抵抗素子は、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ流れる電流の経路上に設けられる。第1トランジスタは、制御端子、第1電流端子および第2電流端子を有する。制御端子には、電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が印加される。第1電流端子は光検出素子と接続される。第2電流端子は定電位線と接続される。
【0013】
上記[4]の光検出回路は、例えば次のように動作する。まず、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられない期間において、光検出素子から第1抵抗素子を介して電圧保持用コンデンサへ信号電流の一部が流れる。これにより、電圧保持用コンデンサに電荷が蓄積され、電圧保持用コンデンサの両端電圧が上昇する。このとき、電圧保持用コンデンサは信号電流に含まれる高周波の信号成分を通過させるので、電圧保持用コンデンサの両端電圧は、信号電流に含まれる低周波成分の大きさに主に依存する。そして、電圧保持用コンデンサの両端電圧が変化しなくなった上記所定のタイミング以降に、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられる。その期間が十分に短ければ、電圧保持用コンデンサの両端電圧は、上記所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定され、且つ当該期間においてほぼ一定値に維持される。電圧保持用コンデンサの両端電圧は第1トランジスタの制御端子に印加され、第1トランジスタは、電圧保持用コンデンサの両端電圧に応じた大きさの第1電流を信号電流から引き抜く。このように、上記[4]の光検出回路によれば、第1電流の大きさを、所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定することができる。
【0014】
[5]上記[2]または[4]の光検出回路において、第1電流除去部は、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ流れる電流、または光検出素子から電圧保持用コンデンサに印加される電圧を増幅するように構成された第1アンプを更に有してもよい。その場合、信号電流による電荷を電圧保持用コンデンサにより早く蓄積させることができるので、電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。電圧保持用コンデンサへの電荷の蓄積に要する時間は、信号光の光強度に応じた第1信号電圧を出力できない時間(デッドタイム)となる。上記[5]の光検出回路によれば、デッドタイムを短くすることができる。
【0015】
[6]上記[2]~[4]のいずれか一つの光検出回路において、第1電流除去部は、トランジスタを更に有してもよい。そのトランジスタは、光検出素子と定電位線との間において第1トランジスタと直列に接続される。電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧がそのトランジスタの制御端子に印加される。その場合、第1トランジスタをターンオンさせるために必要なゲート電圧の大きさを調整することができる。
【0016】
[7]上記[2]~[4]のいずれか一つの光検出回路において、第1電流除去部は、電圧保持用コンデンサと並列に接続される第1短絡用スイッチを更に有してもよい。第1電流除去部を使用しない場合、電圧保持用コンデンサの一対の電極を第1短絡用スイッチを介して短絡することにより、電圧保持用コンデンサへの無用な電荷の蓄積による第1トランジスタの誤動作を防ぐことができる。
【0017】
[8]上記[1]~[7]のうちいずれか1つの光検出回路において、第2電流除去部は、第2切替素子を更に有してもよい。第2切替素子は、光検出素子と平滑化コンデンサとの間に直列に接続され、光検出素子から平滑化コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替えるように構成される。この光検出回路は、例えば次のように動作する。まず、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられない期間において、第2切替素子は、光検出素子から平滑化コンデンサへ信号電流を流す。これにより、平滑化コンデンサに電荷が蓄積され、平滑化コンデンサの両端電圧が上昇する。その後、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられる。その際、第2切替素子は、光検出素子から平滑化コンデンサへ電流が流れないように切り替える。その後、平滑化コンデンサは、第2信号電圧を平滑化する。このように、[8]の光検出回路によれば、第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられる前に、平滑化コンデンサに電荷を予め蓄積しておくことができるので、第2電流除去部における帰還動作の整定時間をより短く抑えることができる。
【0018】
[9]上記[8]の光検出回路において、帰還回路部は、第2アンプを有してもよい。第2アンプは、入力端子および出力端子を含む。第2アンプの入力端子は電流電圧変換部の信号出力端と接続される。第2アンプの出力端子は平滑化コンデンサに接続される。そして、第2アンプは、出力を行うか否かを選択するための制御端子を更に有してもよい。この[9]の光検出回路によれば、平滑化コンデンサに電荷を予め蓄積する際に、出力を行わないように第2アンプを制御することにより、光検出素子からの電流の一部が第2アンプに吸い込まれることを防ぎ、平滑化コンデンサに電荷を効率良く蓄積することができる。
【0019】
[10]上記[8]の光検出回路において、帰還回路部は、第2アンプを有してもよい。第2アンプは、入力端子および出力端子を含む。第2アンプの入力端子は電流電圧変換部の信号出力端と接続される。第2アンプの出力端子は平滑化コンデンサに接続される。そして、第2電流除去部は、第3切替素子を更に有してもよい。第3切替素子は、第2アンプと平滑化コンデンサとの間に直列に接続される。第3切替素子は、第2アンプと平滑化コンデンサとの関係を接続状態と非接続状態との間で切り替える。この[10]の光検出回路によれば、平滑化コンデンサに電荷を予め蓄積する際に、第3切替素子によって第2アンプと平滑化コンデンサとの関係を非接続状態とすることにより、光検出素子からの電流の一部が第2アンプに流出することを防ぎ、平滑化コンデンサに電荷を効率良く蓄積することができる。
【0020】
[11]上記[8]の光検出回路において、帰還回路部は、第2抵抗素子を有してもよい。第2抵抗素子は、一端および他端を含む。第2抵抗素子の一端は電流電圧変換部の信号出力端と接続される。第2抵抗素子の他端は平滑化コンデンサに接続される。そして、第2電流除去部は、第3切替素子を更に有してもよい。第3切替素子は、電流電圧変換部の信号出力端と平滑化コンデンサとの間において第2抵抗素子と直列に接続される。第3切替素子は、信号出力端と平滑化コンデンサとの関係を接続状態と非接続状態との間で切り替える。この[11]の光検出回路によれば、平滑化コンデンサに電荷を予め蓄積する際に、第3切替素子によって信号出力端と平滑化コンデンサとの関係を非接続状態とすることにより、光検出素子からの電流の一部が第2抵抗素子を通って流出することを防ぎ、平滑化コンデンサに電荷を効率良く蓄積することができる。
【0021】
[12]上記[8]の光検出回路において、第2電流除去部は、光検出素子から平滑化コンデンサへ流れる電流、または光検出素子から平滑化コンデンサに印加される電圧を増幅するように構成された第3アンプを更に有してもよい。その場合、平滑化コンデンサへの電荷の蓄積を促進し、第2電流除去部における帰還動作の整定時間を更に短く抑えることができる。
【0022】
[13]上記[8]の光検出回路において、第2切替素子は、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するアンプであってもよい。その場合、平滑化コンデンサへの電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。平滑化コンデンサへの電荷の蓄積に要する時間は、信号光の光強度に応じた第1信号電圧を出力できない時間(デッドタイム)となる。上記[13]の光検出回路によれば、デッドタイムを短くすることができる。加えて、光検出素子から平滑化コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替える機能をアンプに持たせることにより、部品数をより少なくすることができる。
【0023】
[14]上記[8]の光検出回路において、電流電圧変換部は、信号入力端に信号電流が入力されるか否かを切り替え可能に構成されてもよい。この[14]の光検出回路によれば、平滑化コンデンサに電荷を予め蓄積する際に、信号入力端に信号電流が入力されないように電流電圧変換部を制御することにより、光検出素子からの電流の一部が電流電圧変換部に流出することを防ぎ、平滑化コンデンサに電荷を効率良く蓄積することができる。
【0024】
[15]上記[2]または[3]の光検出回路において、第2電流除去部は、第1切替素子と電圧保持用コンデンサとの間のノードと平滑化コンデンサとの間に直列に接続され、光検出素子から平滑化コンデンサへ電流が流れるか否かを第1切替素子とともに切り替えるように構成された第2切替素子を更に有してもよい。
【0025】
[16]上記[8]の光検出回路において、第1電流除去部は、光検出素子からの電流によって充電されるように構成された電圧保持用コンデンサと、第2切替素子と平滑化コンデンサとの間のノードと電圧保持用コンデンサとの間に直列に接続され、光検出素子から電圧保持用コンデンサへ電流が流れるか否かを第2切替素子とともに切り替えるように構成された第1切替素子と、制御端子、第1電流端子および第2電流端子を有し、制御端子に電圧保持用コンデンサの両端電圧に基づく電圧が印加され、第1電流端子が光検出素子と接続され、第2電流端子が定電位線と接続されている第1トランジスタと、を有してもよい。
【0026】
[17]上記[1]~[16]のうちいずれか1つの光検出回路において、第2電流除去部は、平滑化コンデンサと並列に接続される第2短絡用スイッチを更に有してもよい。第2電流除去部を使用しない場合、平滑化コンデンサの一対の電極を第2短絡用スイッチを介して短絡することにより、第2トランジスタの誤動作を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、信号電流から引き抜かれる成分の周波数帯域の拡大を抑制しつつ、帰還回路の整定時間を短縮できる光検出回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図3】
図3の(a)~(c)は、変形例に係る第1電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図4】
図4の(a),(b)は、変形例に係る第1電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図5】
図5の(a)~(c)は、変形例に係る第1電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図6】
図6の(a)~(d)は、変形例に係る第1電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図7】
図7の(a),(b)は、変形例に係る第2電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図8】
図8の(a),(b)は、変形例に係る第2電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図9】
図9の(a),(b)は、変形例に係る第2電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図10】
図10の(a),(b)は、変形例に係る電流電圧変換部の構成を示す回路図である。
【
図11】
図11は、変形例に係る電流電圧変換部の構成を示す回路図である。
【
図12】
図12の(a)は、変形例に係る電流電圧変換部の構成を示す回路図である。
図12の(b)は、変形例に係る第2電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る第2電流除去部の構成を示す回路図である。
【
図14】
図14は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図15】
図15は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図16】
図16は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図17】
図17は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図18】
図18は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図19】
図19は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図20】
図20は、変形例に係る光検出回路の構成を示す回路図である。
【
図21】
図21は、信号電流から低周波成分を除去する機能を含む光検出回路の参考例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本開示による光検出回路の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
図1は、本開示の一実施形態に係る光検出回路1Aの構成を示す回路図である。光検出回路1Aは、信号光Lを外部から入力し、信号光Lの光強度に応じた第1信号電圧V1を出力する。
図1に示されるように、本実施形態の光検出回路1Aは、光検出素子10と、電流電圧変換部20と、第1電流除去部30と、第2電流除去部40と、制御部50と、を備える。
【0031】
光検出素子10は、例えばフォトダイオードまたは位置検出素子(PSD)である。光検出素子10は、光検出素子アレイが備える複数の光検出素子のうちの1つであってもよい。その場合、光検出素子ごとに光検出回路1Aが設けられる。光検出素子10には信号光Lが入射する。光検出素子10は、信号光Lの光強度に応じた信号電流Jを出力する。光検出素子10がフォトダイオードである場合、フォトダイオードのカソードはバイアス線61に接続される。バイアス線61は、基準電位線62よりも高い電位を有する第1定電位線である。基準電位線62は、バイアス線61よりも低い電位を有する第2定電位線である。信号電流Jは、信号成分と、該信号成分よりも低い周波数を有するか又は大きさが一定である低周波成分とを含む。低周波成分は、例えば、信号光Lに含まれる背景光による電流と、光検出素子10において生じる暗電流と、の一方または双方を含む。
【0032】
電流電圧変換部20は、信号入力端21および信号出力端22を有する。信号入力端21は、配線63を介して光検出素子10と接続される。光検出素子10がフォトダイオードである場合、信号入力端21は、フォトダイオードのアノードに接続される。電流電圧変換部20は、信号入力端21に入力された信号電流J(より正確には、後述する第1電流J1および第2電流J2を信号電流Jから除いた電流)を第1信号電圧V1に変換し、第1信号電圧V1を信号出力端22から出力する。一例では、電流電圧変換部20はチャージアンプである。チャージアンプは、アンプ23と、容量24とを有する。容量24の一端はアンプ23の入力端子に接続され、容量24の他端はアンプ23の出力端子に接続される。或いは、電流電圧変換部20はトランスインピーダンスアンプであってもよい。トランスインピーダンスアンプは、アンプと、抵抗とを有する。抵抗の一端はアンプの入力端子に接続され、抵抗の他端はアンプの出力端子に接続される。電流電圧変換部20の回路構成は、チャージアンプおよびトランスインピーダンスアンプに限られず、種々の回路構成であることができる。
【0033】
第1電流除去部30は、光検出素子10と接続され、信号電流Jから第1電流J1を引き抜く。一例では、第1電流除去部30は、光検出素子10と電流電圧変換部20との間の配線63上のノードN1に接続される。第1電流除去部30は、第1電流J1の大きさを、所定のタイミングにおける信号電流Jの低周波成分の大きさに基づいて決定するとともに、第1電流J1の大きさを維持するように構成される。
【0034】
本実施形態の第1電流除去部30は、電圧保持用コンデンサ31と、第1切替素子32と、第1トランジスタ33と、を有する。電圧保持用コンデンサ31は、光検出素子10からの電流によって充電されるように構成される。具体的には、電圧保持用コンデンサ31の一方の電極は、第1切替素子32およびノードN1を介して光検出素子10に接続されている。電圧保持用コンデンサ31の他方の電極は、基準電位線62に接続されている。電圧保持用コンデンサ31の容量は、例えば100fF以上1pF以下である。電圧保持用コンデンサ31の種類は、例えばMOS容量である。第1切替素子32は、ノードN1と電圧保持用コンデンサ31との間に直列に接続される。第1切替素子32は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるか否かを切り替える。言い換えると、第1切替素子32は、光検出素子10と電圧保持用コンデンサ31との関係を、接続状態と非接続状態との間で切り替える。本実施形態の第1切替素子32は、スイッチ32aを有する。スイッチ32aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。
【0035】
第1トランジスタ33は、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に応じた大きさの第1電流J1を信号電流Jから引き抜くように構成されている。第1トランジスタ33は、制御端子33a(ゲート)、第1電流端子33b(ドレイン)および第2電流端子33c(ソース)を有する。本実施形態の第1トランジスタ33は、Nチャネル型MOSFETである。制御端子33aは、電圧保持用コンデンサ31の一方の電極と第1切替素子32との間のノードN2に接続されている。制御端子33aには、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に基づく電圧(例えば電圧保持用コンデンサ31の両端電圧そのもの)が印加される。第1電流端子33bは、第1切替素子32とノードN1との間のノードN3に接続され、ノードN3およびノードN1を介して光検出素子10と接続される。第2電流端子33cは、基準電位線62に接続される。
【0036】
ノードN2と基準電位線62との間において、抵抗素子311が電圧保持用コンデンサ31と直列に設けられてもよく、或いは抵抗素子311が設けられなくてもよい。なお、後述する各変形例においても、同様に抵抗素子311が設けられてよい。図示例では抵抗素子311は電圧保持用コンデンサ31と基準電位線62との間に接続されているが、抵抗素子311はノードN2と電圧保持用コンデンサ31との間に接続されてもよい。
【0037】
第2電流除去部40は、光検出素子10と接続され、信号電流Jから第2電流J2を引き抜く。一例では、第2電流除去部40は、光検出素子10と電流電圧変換部20との間のノードN4に接続される。ノードN1と電流電圧変換部20との間にノードN4が位置してもよく、ノードN4と電流電圧変換部20との間にノードN1が位置してもよく、ノードN4がノードN1と共通であってもよい。第2電流除去部40は、第1信号電圧V1を帰還することにより第2電流J2の大きさを決定する。
【0038】
本実施形態の第2電流除去部40は、帰還回路部41と、平滑化コンデンサ42と、第2トランジスタ43と、第2切替素子45と、を有する。帰還回路部41は、電流電圧変換部20の信号出力端22と接続され、第1信号電圧V1に応じた大きさの第2信号電圧V2を出力する。本実施形態の帰還回路部41は、第2アンプ44を含む。第2アンプ44は、第1入力端子44a、第2入力端子44bおよび出力端子44cを含む。第1入力端子44aは、非反転入力端子であって、電流電圧変換部20の信号入力端21と光検出素子10との間のノードN5に接続されている。第2入力端子44bは、反転入力端子であって、電流電圧変換部20の信号出力端22と接続されている。出力端子44cは、平滑化コンデンサ42の一方の電極と接続されている。第2アンプ44は、第1入力端子44aへの入力電圧と、第2入力端子44bへの入力電圧(すなわち第1信号電圧V1)との差分に比例した大きさの第2信号電圧V2を出力端子44cから出力する。
【0039】
平滑化コンデンサ42は、第2信号電圧V2を平滑化する。本実施形態の平滑化コンデンサ42の他方の電極は、基準電位線62に接続される。平滑化コンデンサ42の容量は、例えば100fF以上1pF以下である。平滑化コンデンサ42の種類は、例えばMOS容量である。
【0040】
第2トランジスタ43は、平滑化コンデンサ42によって平滑化された第2信号電圧V2に応じた大きさの第2電流J2を信号電流Jから引き抜くように構成されている。第2トランジスタ43は、制御端子43a、第1電流端子43bおよび第2電流端子43cを有する。制御端子43aは、平滑化コンデンサ42の一方の電極と帰還回路部41との間のノードN6に接続されている。制御端子43aには、平滑化コンデンサ42によって平滑化された第2信号電圧V2が印加される。第1電流端子43bは、ノードN4に接続され、ノードN4を介して光検出素子10と接続される。第2電流端子43cは、基準電位線62に接続される。第2トランジスタ43の利得は、第1トランジスタ33の利得よりも小さく、例えば第1トランジスタ33の利得の1/10以下である。
【0041】
ノードN6と基準電位線62との間において、抵抗素子421が平滑化コンデンサ42と直列に設けられてもよく、或いは抵抗素子421が設けられなくてもよい。なお、後述する各変形例においても、同様に抵抗素子421が設けられてよい。図示例では抵抗素子421は平滑化コンデンサ42と基準電位線62との間に接続されているが、抵抗素子421はノードN6と平滑化コンデンサ42との間に接続されてもよい。
【0042】
第2切替素子45は、光検出素子10と平滑化コンデンサ42との間に直列に接続され、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れるか否かを切り替えるように構成されている。言い換えると、第2切替素子45は、光検出素子10と平滑化コンデンサ42との関係を、接続状態と非接続状態との間で切り替える。本実施形態の第2切替素子45の一端は、ノードN4と第2トランジスタ43との間のノードN7に接続されている。本実施形態の第2切替素子45の他端は、ノードN6に接続されている。本実施形態の第2切替素子45は、スイッチ45aを有する。スイッチ45aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。或いは、第2切替素子45は、出力を行うか否かを切り替えるための制御端子を有するアンプであってもよい。この場合、アンプは、入力端子に入力した電流(または電圧)を増幅して該増幅後の電流(または電圧)を出力端子から出力する第1状態と、出力端子をハイインピーダンスとするとともに入力端子の信号が出力端子に伝わらない第2状態と、を切り替えることを可能とする。
【0043】
制御部50は、第1切替素子32および第2切替素子45の各制御端子と接続され、第1切替素子32および第2切替素子45の切り替え動作を個別に制御する。具体的には、制御部50は、スイッチ32aおよびスイッチ45aのオン/オフを個別に制御する。或いは、制御部50は、第1切替素子32および第2切替素子45の切り替え動作(スイッチ32aおよびスイッチ45aのオン/オフ)を一括して制御してもよい。その場合、第1切替素子32および第2切替素子45の各制御端子は、共通の配線によって制御部50と接続されてもよい。制御部50は、例えば、光検出素子10、電流電圧変換部20、第1電流除去部30および第2電流除去部40を搭載するチップ内に配置されたタイミング生成回路によって構成される。或いは、制御部50は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォンまたはタブレット端末といったスマートデバイス、あるいはクラウドサーバといったコンピュータであってもよい。制御部50としてのコンピュータは、HDDと、フラッシュメモリまたはRAM等の記憶装置と、プロセッサ(CPU)とを有する。制御部50は、マイコンまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)によって構成されていてもよい。
【0044】
以上の構成を備える本実施形態の光検出回路1Aは、次のように動作する。まず、光検出回路1Aから出力される第1信号電圧V1が光検出回路1Aの外部において用いられない期間において、制御部50は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるように第1切替素子32を制御する。
図2に示すように、第1切替素子32は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ信号電流Jの一部を流す。これにより、電圧保持用コンデンサ31に電荷が蓄積され、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧が上昇する。このとき、電圧保持用コンデンサ31は信号電流Jに含まれる高周波の信号成分を通過させるので、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧は、信号電流Jに含まれる低周波成分の大きさに主に依存する。
【0045】
また、上記の期間において、制御部50は、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れるように第2切替素子45を制御する。
図2に示すように、第2切替素子45は、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ信号電流Jの残部を流す。これにより、平滑化コンデンサ42に電荷が蓄積され、平滑化コンデンサ42の両端電圧が上昇する。このとき、平滑化コンデンサ42は信号電流Jに含まれる高周波の信号成分を通過させるので、平滑化コンデンサ42の両端電圧は、信号電流Jに含まれる低周波成分の大きさに主に依存する。
【0046】
なお、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ信号電流Jを流す期間と、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ信号電流Jを流す期間とは、重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【0047】
電圧保持用コンデンサ31および平滑化コンデンサ42への電荷の蓄積が進むと、電圧保持用コンデンサ31および平滑化コンデンサ42の各両端電圧が次第に変化しなくなる。光検出回路1Aから出力される第1信号電圧V1は、電圧保持用コンデンサ31および平滑化コンデンサ42の各両端電圧が殆ど変化しなくなったタイミング以降に、光検出回路1Aの外部において用いられる。
【0048】
制御部50は、当該タイミングにおいて、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れないように第1切替素子32を切り替える。これにより、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧は、当該タイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定され、当該タイミング以降も一定値に維持される。電圧保持用コンデンサ31の両端電圧は、第1トランジスタ33の制御端子33aに印加される。これにより、
図1に示すように、第1トランジスタ33は、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に応じた大きさの第1電流J1を信号電流Jから引き抜く。制御部50は、第1信号電圧V1が光検出回路1Aの外部において用いられる間、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れないように第1切替素子32の状態を維持する。
【0049】
また、制御部50は、当該タイミングまたは別のタイミングにおいて、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れないように第2切替素子45を切り替える。これにより、平滑化コンデンサ42は、第2信号電圧V2を平滑化する動作を行うことができるようになる。
図1に示すように、第2トランジスタ43は、平滑化された第2信号電圧V2に応じた大きさの第2電流J2を信号電流Jから引き抜く。制御部50は、第1信号電圧V1が光検出回路1Aの外部において用いられる間、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れないように第2切替素子45の状態を維持する。
【0050】
以上に説明した本実施形態の光検出回路1Aによって得られる効果について説明する。本実施形態の光検出回路1Aによれば、信号電流Jに含まれる低周波成分のうちの或る一定の部分(第1電流J1)が、第1電流除去部30によって信号電流Jから引き抜かれる。また、信号電流Jに含まれる低周波成分のうちの残りの部分(第2電流J2)が第2電流除去部40によって信号電流Jから引き抜かれる。この第2電流J2は、第1切替素子32を切り替えたタイミング以降における低周波成分の変動分である。このような構成により、第1電流除去部30が設けられない場合と比較して、低周波成分の帰還動作を行う第2電流除去部40において除去すべき低周波成分が減少する。よって、第2トランジスタ43の相互コンダクタンスが小さくなり、ループ利得が低下する。その結果、第2電流除去部40において信号電流Jから引き抜かれる低周波成分すなわち第2電流J2の周波数帯域が狭くなる。また、平滑化コンデンサ42に蓄積すべき電荷が少なくなるので、平滑化コンデンサ42に電荷を蓄積するための時間が短くて済み、帰還動作の整定時間を短くすることができる。このように、本実施形態の光検出回路1Aによれば、信号電流Jから引き抜かれる低周波成分の周波数帯域を小さく抑えつつ、帰還動作の整定時間を短く抑えることができる。
【0051】
大きな暗電流を生じる光検出素子の多くは、近赤外~中赤外の波長帯に中心感度を有する。そのため、本実施形態における光検出素子10として、近赤外~中赤外の波長帯に中心感度を有する光検出素子を使用する場合、上記の効果が一層顕著となる。また、大きな暗電流を生じる光検出素子の多くは、化合物半導体である。そのため、本実施形態における光検出素子10として、化合物半導体を半導体材料に含む光検出素子を使用する場合、上記の効果が一層顕著となる。大きな暗電流を生じる光検出素子に使用される半導体材料の代表例としては、Ge(中心感度1.6μm以下)、InGaAs(中心感度2.6μm以下)、InAsSb(中心感度12μm以下)等が挙げられる。これらの半導体材料を含む光検出素子は、主に近赤外~中赤外程度までの波長帯で使用される。これらの半導体材料を含む光検出素子を使用する場合においても、上記の効果が一層顕著となる。
【0052】
本実施形態のように、第1電流除去部30は、電圧保持用コンデンサ31と、第1切替素子32と、第1トランジスタ33と、を有してもよい。電圧保持用コンデンサ31は、光検出素子10からの電流によって充電されるように構成される。第1切替素子32は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるか否かを切り替えるように構成される。第1トランジスタ33は、制御端子33a、第1電流端子33bおよび第2電流端子33cを有する。制御端子33aには、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に基づく電圧が印加される。第1電流端子33bは光検出素子10と接続される。第2電流端子33cは基準電位線62と接続される。第1電流除去部30が例えばこのような構成を有することにより、第1電流J1の大きさを、所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定することができる。
【0053】
本実施形態のように、第2電流除去部40は、第2切替素子45を有してもよい。第2切替素子45は、光検出素子10と平滑化コンデンサ42との間に直列に接続され、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れるか否かを切り替えるように構成される。その場合、第1信号電圧V1が光検出回路1Aの外部において用いられる前に、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積しておくことができるので、第2電流除去部40における帰還動作の整定時間をより短く抑えることができる。
【0054】
本実施形態のように、ノードN6と基準電位線62との間において、抵抗素子421が平滑化コンデンサ42と直列に設けられてもよい。その場合、高い周波数での位相遅れを抵抗素子421によって低減することができるので、第2電流除去部40の帰還動作の安定性を高めることができる。
[第1変形例]
【0055】
図3の(a)~(c)、
図4の(a),(b)、
図5の(a)~(c)、および
図6の(a)~(d)は、上記実施形態の変形例に係る第1電流除去部30A~30Mの構成をそれぞれ示す回路図である。上記実施形態の光検出回路1Aは、第1電流除去部30の代わりに、第1電流除去部30A~30Mのいずれかを備えてもよい。
【0056】
図3の(a)に示す第1電流除去部30Aは、上記実施形態の第1電流除去部30の構成に加えて、第1アンプ34Aを更に有する。第1アンプ34Aは、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ流れる電流を増幅するように構成されている。或いは、第1アンプ34Aは、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31に印加される電圧を増幅するように構成されてもよい。具体的には、第1アンプ34Aは、ノードN3とノードN2との間において第1切替素子32と直列に接続される。図示例では第1アンプ34AはノードN3と第1切替素子32との間に接続されているが、第1アンプ34Aは第1切替素子32とノードN2との間に接続されてもよい。その場合、第1アンプ34Aは、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するものであるとよい。第1アンプ34Aの出力端子をハイインピーダンスとすることにより、第1アンプ34Aを通じた電荷の漏れを防ぐことができる。第1アンプ34Aの入力端子は、ノードN3およびノードN1を介して光検出素子10に接続される。第1アンプ34Aの出力端子は、ノードN2を介して電圧保持用コンデンサ31に接続される。第1電流除去部30Aによれば、信号電流Jによる電荷を電圧保持用コンデンサ31により早く蓄積させることができるので、電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。本実施形態において、電圧保持用コンデンサ31への電荷の蓄積に要する時間は、信号光Lの光強度に応じた第1信号電圧V1を出力できない時間(デッドタイム)となる。第1電流除去部30Aによれば、デッドタイムを短くすることができる。
【0057】
図3の(b)に示すように、第1電流除去部30Bは、第1電流除去部30Aの第1アンプ34Aの代わりに、第1アンプ34Bを有する。第1アンプ34Bもまた、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ流れる電流、または光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31に印加される電圧を増幅するように構成されている。第1アンプ34Bは、反転入力端子および非反転入力端子を有しており、非反転入力端子がノードN3に接続されている。第1アンプ34Bの反転入力端子には、所定の基準電圧Vref1が入力される。或いは、
図3の(c)に示す第1電流除去部30Cのように、第1アンプ34Bの反転入力端子はノードN2に接続されてもよい。これらの第1電流除去部30B,30Cもまた、上述した第1電流除去部30Aと同様の効果を奏することができる。また、第1電流除去部30Bによれば、第1電流除去部30Bに入力される電流の大きさと関係なくノードN3の電圧を任意の基準電圧に設定できるので、第1トランジスタ33のチャネル長変調効果に起因する、第1電流J1の大きさの誤差を低減することができる。
【0058】
図4の(a)に示す第1電流除去部30Dは、上記実施形態の第1電流除去部30の第1切替素子32の代わりに、第1切替素子32Aを有する。第1切替素子32Aは、アンプ321を含み、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ流れる電流、または光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31に印加される電圧を増幅するように構成されている。また、第1切替素子32Aは、出力を行うか否かを選択するための制御端子321aを有しており、入力端子に入力した電流(または電圧)を増幅して該増幅後の電流(または電圧)を出力端子から出力する第1状態と、出力端子をハイインピーダンスとするとともに入力端子の信号が出力端子に伝わらない第2状態と、を切り替えることを可能とする。切り替えのためのアンプ321の制御端子は、制御部50に接続されている。制御部50は、上記実施形態の第1切替素子32と同様にして、第1切替素子32Aの切り替え動作を制御する。本変形例のように、第1切替素子は、電流(または電圧)増幅機能を有してもよい。
【0059】
図4の(b)に示す第1電流除去部30Eは、上記実施形態の第1電流除去部30の第1切替素子32の代わりに、第1抵抗素子35を有する。第1抵抗素子35は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ流れる電流の経路上に設けられている。具体的には、第1抵抗素子35の一端はノードN3およびノードN1を介して光検出素子10に接続され、第1抵抗素子35の他端はノードN2を介して電圧保持用コンデンサ31の一方の電極に接続されている。第1抵抗素子35の抵抗値は比較的高く、例えば100kΩ以上10MΩ以下である。
【0060】
光検出回路1Aがこの第1電流除去部30Eを備える場合、光検出回路1Aは、例えば次のように動作する。まず、光検出回路1Aから出力される第1信号電圧V1(
図1を参照)が光検出回路1Aの外部において用いられない期間において、光検出素子10から第1抵抗素子35を介して電圧保持用コンデンサ31へ信号電流Jの一部が流れる。これにより、電圧保持用コンデンサ31に電荷が蓄積され、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧が上昇する。光検出回路1Aから出力される第1信号電圧V1は、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧が殆ど変化しなくなったタイミング以降に、光検出回路1Aの外部において用いられる。そして、第1信号電圧V1が用いられる期間が十分に短ければ、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧は、当該タイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定され、且つ当該期間においてほぼ一定値に維持される。電圧保持用コンデンサ31の両端電圧は第1トランジスタ33の制御端子33aに印加され、第1トランジスタ33は、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に応じた大きさの第1電流J1(
図1を参照)を信号電流Jから引き抜く。このように、本変形例においても、第1電流J1の大きさを、所定のタイミングにおける低周波成分の大きさに基づいて決定することができる。
【0061】
図4の(a)に示されるように、第1切替素子32は、出力を行うか否かを選択するための制御端子321aを有するアンプであってもよい。その場合、信号電流Jによる電荷を電圧保持用コンデンサ31により早く蓄積させることができるので、電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。電圧保持用コンデンサ31への電荷の蓄積に要する時間は、信号光Lの光強度に応じた第1信号電圧V1を出力できない時間(デッドタイム)となる。
図4の(a)に示される第1電流除去部30Dによれば、デッドタイムを短くすることができる。加えて、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるか否かを切り替える機能をアンプに持たせることにより、部品数をより少なくすることができる。
【0062】
図5の(a)~(c)に示す第1電流除去部30F~30Hは、上記実施形態の第1トランジスタ33の代わりに、第1トランジスタ36を有する。本変形例の第1トランジスタ36は、Pチャネル型MOSFETである。第1トランジスタ36は、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に応じた大きさの第1電流J1を信号電流Jから引き抜くように構成されている。第1トランジスタ36は、制御端子36a(ゲート)、第1電流端子36b(ソース)および第2電流端子36c(ドレイン)を有する。
【0063】
図5の(a)に示す第1電流除去部30Fでは、電圧保持用コンデンサ31の一方の電極は、光検出素子10と第1トランジスタ36との間のノードN1に接続されている。電圧保持用コンデンサ31の他方の電極は、第1切替素子32の一端に接続されている。第1切替素子32の他端は、基準電位線62に接続されている。このように、第1切替素子32は、電圧保持用コンデンサ31と基準電位線62との間に直列に接続される。上記実施形態と同様に、第1切替素子32は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるか否かを切り替える。
【0064】
第1トランジスタ36の制御端子36aは、電圧保持用コンデンサ31の他方の電極と第1切替素子32との間のノードN8に接続されている。制御端子36aには、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に基づく電圧(例えば電圧保持用コンデンサ31の両端電圧そのもの)が印加される。第1電流端子36bは、電圧保持用コンデンサ31とノードN1との間のノードN9に接続され、ノードN9およびノードN1を介して光検出素子10と接続される。第2電流端子36cは、基準電位線62に接続される。
図5の(a)に示される第1電流除去部30Fを備える光検出回路1Aは、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
図5の(b)に示す第1電流除去部30Gは、
図5の(a)に示す第1電流除去部30Fの構成に加えて、第1アンプ37Aを更に有する。第1アンプ37Aは、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ流れる電流、または光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31に印加される電圧を増幅するように構成されている。具体的には、第1アンプ37Aは、ノードN9とノードN8との間において第1切替素子32と直列に接続される。なお、この形態では、第1切替素子32の他端は、基準電位線62ではなく第1アンプ37Aの出力端子に接続される。図示例では第1アンプ37AはノードN9と第1切替素子32との間に接続されているが、第1アンプ37Aは第1切替素子32とノードN8との間に接続されてもよい。その場合、第1アンプ37Aは、
図4の(a)に示される第1切替素子32Aのように、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するものであるとよい。第1アンプ37Aの出力端子をハイインピーダンスとすることにより、第1アンプ37Aを通じた電荷の漏れを防ぐことができる。第1アンプ37Aの入力端子は、ノードN1を介して光検出素子10に接続される。この第1電流除去部30Gによれば、信号電流Jによる電荷を電圧保持用コンデンサ31により早く蓄積させることができるので、電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。電圧保持用コンデンサ31への電荷の蓄積に要する時間は、信号光Lの光強度に応じた第1信号電圧V1を出力できない時間(デッドタイム)となる。第1電流除去部30Gによれば、デッドタイムを短くすることができる。
【0066】
図5の(c)に示す第1電流除去部30Hは、第1電流除去部30Gの第1アンプ37Aの代わりに、第1アンプ37Bを有する。第1アンプ37Bもまた、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ流れる電流、または光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31に印加される電圧を増幅するように構成されている。第1アンプ37Bは、反転入力端子および非反転入力端子を有しており、反転入力端子がノードN1およびノードN9に接続されている。第1アンプ37Bの非反転入力端子には、所定の基準電圧Vref2が入力される。この第1電流除去部30Hもまた、上述した第1電流除去部30Gと同様の効果を奏することができる。また、第1電流除去部30Hに入力される電流の大きさと関係なくノードN9の電圧を任意の基準電圧に設定できるので、第1トランジスタ36のチャネル長変調効果に起因する、第1電流J1の大きさの誤差を低減することができる。
【0067】
図6の(a)に示す第1電流除去部30Jでは、第1トランジスタ33の第2電流端子33cおよび電圧保持用コンデンサ31の他方の電極の双方が、基準電位線62とは電位が異なる共通の第3定電位線64に接続されている。第3定電位線64の電位は、バイアス線61の電位よりも低い。また、
図6の(b)に示す第1電流除去部30Kでは、第1トランジスタ33の第2電流端子33cが、基準電位線62とは電位が異なる第4定電位線65に接続され、電圧保持用コンデンサ31の他方の電極が、基準電位線62および第4定電位線65とは電位が異なる第5定電位線66に接続されている。第1電流除去部30J,30Kのいずれかを備える光検出回路1Aは、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0068】
図6の(c)に示す第1電流除去部30Lは、上記実施形態の第1電流除去部30の構成に加えて、トランジスタ38を更に有する。トランジスタ38は、光検出素子10と基準電位線62との間において、第1トランジスタ33と直列に接続される。トランジスタ38は、制御端子38a、第1電流端子38bおよび第2電流端子38cを有する。第1電流端子38bは第1トランジスタ33の第2電流端子33cに接続される。第2電流端子38cは基準電位線62に接続される。制御端子38aには、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に基づく電圧が印加される。図示例では、制御端子38aは第1電流端子38bと短絡されており、第1トランジスタ33の第2電流端子33cの電圧が制御端子38aに印加される。
【0069】
本変形例のように、第1トランジスタ33と直列にトランジスタ38を接続することによって、第1トランジスタ33をターンオンさせるために必要なゲート電圧の大きさを調整することができる。すなわち、図示例のように第1トランジスタ33と基準電位線62との間にトランジスタ38を接続することによって、第1トランジスタ33をターンオンさせるために必要なゲート電圧を、トランジスタ38のゲート・ソース間電圧の分だけ大きくすることができる。なお、同様に、第2電流除去部40においても、第2トランジスタ43と直列に別のトランジスタが接続されてもよい。その場合、例えば第2アンプ44の出力電圧範囲に制限があるときに、第2トランジスタ43をターンオンさせるために必要なゲート電圧の大きさを、第2アンプ44の出力電圧範囲に合わせて調整することができる。
【0070】
図6の(d)に示す第1電流除去部30Mは、上記実施形態の第1電流除去部30の構成に加えて、ソースフォロワ回路39を更に有する。ソースフォロワ回路39は、トランジスタ391と、電流源392とを含む。トランジスタ391は、例えばFETである。トランジスタ391のゲートはノードN2に接続されており、トランジスタ391のソースは電流源392を介して基準電位線62に接続されている。また、第1トランジスタ33の制御端子33aは、トランジスタ391と電流源392との間のノードN10に接続され、トランジスタ391を介してノードN2に接続されている。
【0071】
本変形例では、第1トランジスタ33をターンオンさせるために必要な、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧の大きさを調整することができる。すなわち、図示例のように第1トランジスタ33と電圧保持用コンデンサ31の一方の電極との間にソースフォロワ回路39を接続することによって、第1トランジスタ33をターンオンさせるために必要な電圧保持用コンデンサ31の両端電圧を、トランジスタ391のゲート・ソース間電圧の分だけ大きくすることができる。なお、このようにソースフォロワ回路39が設けられる場合、第1トランジスタ33はバイポーラトランジスタであってもよい。
[第2変形例]
【0072】
図7の(a),(b)、
図8の(a),(b)、および
図9の(a),(b)は、上記実施形態の変形例に係る第2電流除去部40A~40Fの構成をそれぞれ示す回路図である。上記実施形態の光検出回路1Aは、第2電流除去部40の代わりに、第2電流除去部40A~40Fのいずれかを備えてもよい。
【0073】
図7の(a)に示す第2電流除去部40Aは、上記実施形態の帰還回路部41の代わりに、帰還回路部41Aを有する。なお、帰還回路部41Aを除く他の構成は、上記実施形態の第2電流除去部40と同じである。本変形例の帰還回路部41Aは、第2アンプ46を含む。第2アンプ46は、入力端子46aおよび出力端子46bを含む。入力端子46aは、電流電圧変換部20の信号出力端22と接続されている。出力端子46bは、ノードN6を介して平滑化コンデンサ42の一方の電極と接続されている。第2アンプ46は、入力端子46aへの入力電圧に比例した大きさの第2信号電圧V2を出力端子46bから出力する。本変形例のように、帰還回路部を構成するアンプは、単一の入力端子を有するものであってもよい。
【0074】
図7の(b)に示す第2電流除去部40Bは、次の点を除いて上記実施形態の第2電流除去部40と同様の構成を有する。すなわち、第2電流除去部40Bにおいて、帰還回路部41の第2アンプ44の第1入力端子44aは、
図1に示されたノードN5には接続されておらず、基準電圧Vref3を受ける。この第2電流除去部40Bによれば、上述した第2電流除去部40と同様の作用効果を奏することができる。
【0075】
図8の(a)に示す第2電流除去部40Cは、上記実施形態の帰還回路部41の代わりに、帰還回路部41Cを有する。帰還回路部41Cを除く他の構成は、上記実施形態の第2電流除去部40と同じである。本変形例の帰還回路部41Cは、第2抵抗素子47を含む。第2抵抗素子47の一端は、電流電圧変換部20の信号出力端22と接続されている。第2抵抗素子47の他端は、ノードN6を介して、平滑化コンデンサ42の一方の電極と接続されている。第2抵抗素子47の抵抗値は、例えば100kΩ以上10MΩ以下である。帰還回路部41Cは、第1信号電圧V1に応じた大きさの第2信号電圧V2を出力する。この第2電流除去部40Cによれば、上述した第2電流除去部40と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
図8の(b)に示す第2電流除去部40Dは、
図7の(a)に示される第2電流除去部40Aの構成に加えて、第3アンプ48を更に有する。第3アンプ48は、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ流れる電流、または光検出素子10から平滑化コンデンサ42に印加される電圧を増幅するように構成されている。本変形例では、第3アンプ48は、ノードN7とノードN6との間において第2切替素子45と直列に接続されている。図示例において第3アンプ48はノードN7と第2切替素子45との間に直列に接続されているが、第3アンプ48は第2切替素子45とノードN6との間に接続されてもよい。その場合、第3アンプ48は、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有するものであるとよい。第3アンプ48の出力端子をハイインピーダンスとすることにより、第3アンプ48を通じた電荷の漏れを防ぐことができる。本変形例によれば、平滑化コンデンサ42へ電荷をより早く蓄積できるので、電荷の蓄積に要する時間を短くすることができる。平滑化コンデンサ42への電荷の蓄積に要する時間は、信号光Lの光強度に応じた第1信号電圧V1を出力できない時間(デッドタイム)となる。第2電流除去部40Dによれば、デッドタイムを短くすることができる。なお、第2電流除去部40Dは、第2アンプ46の代わりに第2抵抗素子47(
図8の(a)を参照)を有してもよい。
【0077】
第3アンプ48は、反転入力端子および非反転入力端子を有してもよい。その場合、非反転入力端子はノードN7に接続され、反転入力端子には所定の基準電圧が入力される。これにより、第2電流除去部40Dに入力される電流の大きさと関係なくノードN7の電圧を任意の基準電圧に設定できるので、第2トランジスタ43のチャネル長変調効果に起因する、第2電流J2の大きさの誤差を低減することができる。或いは、反転入力端子はノードN6に接続されてもよい。
【0078】
或いは、第2切替素子45および第3アンプ48に代えて、アンプを含む第2切替素子が設けられてもよい。その場合、第2切替素子のアンプは、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ流れる電流、または光検出素子10から平滑化コンデンサ42に印加される電圧を増幅するように構成される。そして、該アンプは、出力を行うか否かを選択するための制御端子を有し、入力端子に入力した電流(または電圧)を増幅して該増幅後の電流(または電圧)を出力端子から出力する第1状態と、出力端子をハイインピーダンスとするとともに入力端子の信号が出力端子に伝わらない第2状態と、を切り替えることを可能とする。切り替えのためのアンプの制御端子は、制御部50に接続される。制御部50は、上記実施形態の第2切替素子45と同様にして、アンプの切り替え動作を制御する。上記のように、第2切替素子は、電流(または電圧)増幅機能を有してもよい。
【0079】
図9の(a)に示す第2電流除去部40Eは、上記実施形態の帰還回路部41の代わりに、帰還回路部41Bを有する。帰還回路部41Bを除く他の構成は、上記実施形態の第2電流除去部40と同じである。帰還回路部41Bは、第2アンプ49を含む。第2アンプ49は、入力端子49a、出力端子49bおよび制御端子49cを含む。入力端子49aは、電流電圧変換部20の信号出力端22と接続されている。出力端子49bは、ノードN6を介して平滑化コンデンサ42の一方の電極と接続されている。第2アンプ49は、入力端子49aへの入力電圧に比例した大きさの第2信号電圧V2を出力端子49bから出力する。制御端子49cは、出力電圧(すなわち第2信号電圧V2)を出力するか否かを選択するための端子である。第2アンプ49は、制御端子49cに入力される制御信号に応じて、第2信号電圧V2を出力する第1状態、および、出力端子49bをハイインピーダンスとするとともに入力端子49aの信号が出力端子49bに伝わらない第2状態、のうちいずれかの状態となる。制御端子49cは制御部50に接続されており、制御信号は制御部50から制御端子49cに入力される。本変形例によれば、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に、出力電圧(第2信号電圧V2)を出力しないように第2アンプ49を制御することにより、光検出素子10からの電流の一部が第2アンプ49に吸い込まれることを防ぎ、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。なお、上記の説明では第2アンプが単一の入力端子を有する場合を例示したが、第2アンプは差動入力(反転入力端子および非反転入力端子)を有してもよい。
【0080】
なお、第2アンプ49は、入力端子49aへの入力電圧に比例した大きさの電流を出力端子49bから出力するトランスコンダクタンスアンプであってもよい。その場合、制御端子49cは、電流出力を行うか否かを選択するための端子である。第2アンプ49は、制御端子49cに入力される制御信号に応じて、入力電圧に比例した大きさの電流を出力する第1状態、および、出力端子49bをハイインピーダンスとするとともに入力端子49aの信号が出力端子49bに伝わらない第2状態、のうちいずれかの状態となる。この場合においても、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に、電流出力を行わないように第2アンプ49を制御することにより、光検出素子10からの電流の一部が第2アンプ49に吸い込まれることを防ぎ、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。
【0081】
図9の(b)に示す第2電流除去部40Fは、
図7の(a)に示される第2電流除去部40Aの構成に加えて、第3切替素子71を更に有する。第3切替素子71は、第2アンプ46と平滑化コンデンサ42との間において直列に接続され、第2アンプ46と平滑化コンデンサ42との関係を接続状態と非接続状態との間で切り替える。一例では、第3切替素子71はスイッチ71aを含む。スイッチ71aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。第3切替素子71の切り替え動作は、制御部50によって制御される。本変形例によれば、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に第3切替素子71を非接続状態とすることにより、光検出素子10からの電流の一部が第2アンプ46に吸い込まれることを防ぎ、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。なお、上記の説明では第2アンプが単一の入力端子を有する場合を例示したが、第2アンプは差動入力(反転入力端子および非反転入力端子)を有してもよい。
[第3変形例]
【0082】
図10の(a),(b)、
図11および
図12の(a)は、上記実施形態の変形例に係る電流電圧変換部20A~20Dの構成をそれぞれ示す回路図である。上記実施形態の光検出回路1Aは、電流電圧変換部20の代わりに、電流電圧変換部20A~20Dのいずれかを備えてもよい。電流電圧変換部20A~20Dは、いずれも、信号入力端21に信号電流Jが入力されるか否かを切り替え可能に構成されている。
【0083】
図10の(a)および(b)にそれぞれ示される電流電圧変換部20A,20Bは、上記実施形態の容量24の代わりに抵抗25を有する。すなわち、電流電圧変換部20A,20Bはトランスインピーダンスアンプである。抵抗25の一端はアンプ23の入力端子に接続され、抵抗25の他端はアンプ23の出力端子に接続される。また、電流電圧変換部20Aは第4切替素子26を有し、電流電圧変換部20Bは第4切替素子27を有する。電流電圧変換部20Aの第4切替素子26は、アンプ23および抵抗25の双方とノードN4との間に直列に接続される。第4切替素子26は、ノードN4とアンプ23および抵抗25の双方との関係を、接続状態と非接続状態との間で切り替える。電流電圧変換部20Bの第4切替素子27は、アンプ23の入力端子と出力端子との間において、抵抗25と直列に接続される。図示例では、第4切替素子27はアンプ23の入力端子と抵抗25との間に接続されているが、第4切替素子27は抵抗25とアンプ23の出力端子との間に接続されてもよい。第4切替素子27は、アンプ23の入力端子と出力端子との関係を、接続状態と非接続状態との間で切り替える。本変形例の第4切替素子26,27は、スイッチ26a,27aをそれぞれ有する。スイッチ26a,27aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。
【0084】
これらの電流電圧変換部20A,20Bによれば、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に、第4切替素子26,27を非接続状態とすることにより、信号入力端21に信号電流Jが入力されない。これにより、光検出素子10からの電流の一部が電流電圧変換部に流出することを防ぎ、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。
【0085】
図11に示される電流電圧変換部20Cは、上記実施形態の容量24の代わりに抵抗25を有する。すなわち、電流電圧変換部20Cはトランスインピーダンスアンプである。また、電流電圧変換部20Cは、アンプ23の代わりにアンプ28を有する。アンプ28は、入力端子および出力端子に加えて制御端子28aを有する。制御端子28aは、出力端子をハイインピーダンスとするか否かを選択するための選択信号を入力する端子である。アンプ28は、制御端子28aに入力される制御信号に応じて、第1信号電圧V1を出力する第1状態、および、出力端子をハイインピーダンスとするとともに入力端子の信号が出力端子に伝わらない第2状態、のうちいずれかの状態となる。制御端子28aは制御部50に接続されており、選択信号は制御部50から制御端子28aに入力される。
【0086】
電流電圧変換部20Cによれば、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に、アンプ28の出力端子をハイインピーダンス状態とすることにより、信号入力端21に信号電流Jが入力されない。これにより、光検出素子10からの電流の一部が電流電圧変換部に流出することを防ぎ、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。
【0087】
図12の(a)に示される電流電圧変換部20Dは、容量24を有するチャージアンプであって、且つ、アンプ23の代わりにアンプ28を有する。アンプ28の構成は、
図11に示される電流電圧変換部20Cと同様である。この電流電圧変換部20Dは、
図8の(a)に示される第2電流除去部40C、すなわち帰還回路部として抵抗素子を有する第2電流除去部と組み合わせて用いられる。電流電圧変換部20Dもまた、電流電圧変換部20Cと同様の効果を奏することができる。
[第4変形例]
【0088】
図12の(b)および
図13は、上記実施形態の変形例に係る第2電流除去部40H,40Jの構成をそれぞれ示す回路図である。上記実施形態の光検出回路1Aは、第2電流除去部40の代わりに、第2電流除去部40H,40Jのいずれかを備えてもよい。
【0089】
図12の(b)に示される第2電流除去部40Hは、
図8の(a)に示される第2電流除去部40Cの構成に加えて、第3切替素子73を更に有する。第3切替素子73は、電流電圧変換部20の信号出力端22と平滑化コンデンサ42との間(より詳しくは、信号出力端22とノードN6との間)において第2抵抗素子72と直列に接続され、信号出力端22と平滑化コンデンサ42との関係を接続状態と非接続状態との間で切り替える。図示例では、第3切替素子73は信号出力端22と第2抵抗素子72との間に接続されているが、第3切替素子73は第2抵抗素子72とノードN6との間に接続されてもよい。一例では、第3切替素子73はスイッチ73aを含む。スイッチ73aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。第3切替素子73の切り替え動作は、制御部50によって制御される。
【0090】
第2電流除去部40Hによれば、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に第3切替素子73を非接続状態とすることにより、光検出素子10からの電流の一部が第2抵抗素子72を通って流出することを防ぐことができる。これにより、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。
【0091】
図13に示される第2電流除去部40Jは、上記実施形態の帰還回路部41の代わりに、帰還回路部41Dを有する。帰還回路部41Dを除く他の構成は、上記実施形態の第2電流除去部40と同じである。本変形例の帰還回路部41Dは、トランジスタ74を含む。トランジスタ74は、例えばMOSFETである。トランジスタ74の一方の電流端子(例えばソース)は電流電圧変換部20の信号出力端22に接続され、トランジスタ74の他方の電流端子(例えばドレイン)はノードN6を介して平滑化コンデンサ42の一方の電極に接続される。トランジスタ74の制御端子(ゲート)は、制御部50と電気的に接続されており、制御部50から制御信号を受ける。トランジスタ74は、制御端子に入力される制御信号に応じて、第2信号電圧V2を出力する第1状態、および、出力端子をハイインピーダンスとするとともに入力端子の信号が出力端子に伝わらない第2状態、のうちいずれかの状態となる。本変形例によれば、平滑化コンデンサ42に電荷を予め蓄積する際に、出力端子をハイインピーダンスとするとともに入力端子の信号が出力端子に伝わらないようにトランジスタ74を制御することにより、光検出素子10からの電流の一部がトランジスタ74を通じて流出することを防ぎ、平滑化コンデンサ42に電荷を効率良く蓄積することができる。
[第5変形例]
【0092】
図14は、上記実施形態の変形例に係る光検出回路1Bの構成を示す回路図である。なお、本変形例において、電流電圧変換部20の構成は上記実施形態と同様である。本変形例の光検出回路1Bでは、配線63が光検出素子10のカソードに接続され、バイアス線61が光検出素子10のアノードに接続されている。そして、光検出回路1Bは、上記実施形態の第1電流除去部30の代わりに、第1電流除去部30Nを備える。また、光検出回路1Bは、上記実施形態の第2電流除去部40の代わりに、第2電流除去部40Pを備える。
【0093】
本変形例の第1電流除去部30Nは、電圧保持用コンデンサ31と、第1切替素子32と、第1トランジスタ36と、を有する。電圧保持用コンデンサ31は、光検出素子10からの電流によって充電されるように構成される。具体的には、電圧保持用コンデンサ31の一方の電極は、第1切替素子32およびノードN1を介して光検出素子10に接続されている。電圧保持用コンデンサ31の他方の電極は、第6定電位線68に接続されている。第6定電位線68の電位は、バイアス線61の電位よりも高い。第1切替素子32は、ノードN1と電圧保持用コンデンサ31との間に直列に接続される。第1切替素子32は、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるか否かを切り替える。
【0094】
第1トランジスタ36は、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に応じた大きさの第1電流J1を信号電流Jから引き抜くように構成されている。第1トランジスタ36は、制御端子36a(ゲート)、第1電流端子36b(ドレイン)および第2電流端子36c(ソース)を有する。本変形例の第1トランジスタ36は、Pチャネル型MOSFETである。制御端子36aは、電圧保持用コンデンサ31の一方の電極と第1切替素子32との間のノードN2に接続されている。制御端子36aには、電圧保持用コンデンサ31の両端電圧に基づく電圧(例えば電圧保持用コンデンサ31の両端電圧そのもの)が印加される。第1電流端子36bは、第1切替素子32とノードN1との間のノードN3に接続され、ノードN3およびノードN1を介して光検出素子10と接続される。第2電流端子36cは、第7定電位線69に接続される。第7定電位線69の電位は、バイアス線61の電位よりも高い。第7定電位線69の電位は、第6定電位線68の電位と同じであってもよく、異なってもよい。
【0095】
本変形例の第2電流除去部40Pは、帰還回路部41Bと、平滑化コンデンサ42と、第2トランジスタ81と、を有する。帰還回路部41Bの構成は、
図9の(a)に示される第2電流除去部40Eの帰還回路部41Bの構成と同様である。
【0096】
平滑化コンデンサ42は、第2信号電圧V2を平滑化する。本変形例の平滑化コンデンサ42の他方の電極は、基準電位線62に接続される。定電位線82に接続されている。定電位線82の電位は、バイアス線61の電位よりも高い。
【0097】
第2トランジスタ81は、平滑化コンデンサ42によって平滑化された第2信号電圧V2に応じた大きさの第2電流J2を信号電流Jから引き抜くように構成されている。第2トランジスタ81は、制御端子81a、第1電流端子81bおよび第2電流端子81cを有する。本変形例の第2トランジスタ81は、Pチャネル型MOSFETである。制御端子81aは、平滑化コンデンサ42の一方の電極と帰還回路部41Bとの間のノードN6に接続されている。制御端子81aには、平滑化コンデンサ42によって平滑化された第2信号電圧V2が印加される。第1電流端子81bは、ノードN4に接続され、ノードN4を介して光検出素子10と接続される。第2電流端子81cは、定電位線83に接続される。定電位線83の電位は、定電位線82の電位と同じであってもよく、異なってもよい。第2トランジスタ81の利得は、第1トランジスタ36の利得よりも小さく、例えば第1トランジスタ36の利得の1/10以下である。
【0098】
本変形例の光検出回路1Bもまた、上記実施形態の光検出回路1Aと同様の作用効果を奏することができる。
[第6変形例]
【0099】
図15~
図20は、上記実施形態の変形例に係る光検出回路1C~1Hの構成をそれぞれ示す回路図である。
【0100】
図15に示される光検出回路1Cは、上記実施形態の第2電流除去部40の代わりに、第2電流除去部40Kを備える。第2電流除去部40Kは、次の点において第2電流除去部40と相違し、他の点において第2電流除去部40と一致する。第2電流除去部40Kは、第2電流除去部40の第2切替素子45の代わりに、第2切替素子75を有する。第2切替素子75は、光検出素子10と平滑化コンデンサ42との間において、第1切替素子32と直列に接続されている。すなわち、第2切替素子75は、ノードN2とノードN6との間に直列に接続されている。第2切替素子75は、第1切替素子32とともに、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れるか否かを切り替える。本変形例の第2切替素子75は、スイッチ75aを有する。スイッチ75aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。第2切替素子75の切り替え動作は、制御部50によって制御される。この第2電流除去部40Kのように、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ供給される電流は、第1切替素子32を通ってもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、光検出回路1Cは、先に説明した第1電流除去部30,30A~30Nのいずれを備えてもよく、先に説明した電流電圧変換部20,20A~20Dのいずれを備えてもよい。
【0101】
図16に示される光検出回路1Dは、上記実施形態の第1電流除去部30の代わりに、第1電流除去部30Pを備える。第1電流除去部30Pは、次の点において第1電流除去部30と相違し、他の点において第1電流除去部30と一致する。第1電流除去部30Pは、第1電流除去部30の第1切替素子32の代わりに、第1切替素子76を有する。第1切替素子76は、光検出素子10と電圧保持用コンデンサ31との間において、第2切替素子45と直列に接続されている。すなわち、第1切替素子76は、ノードN6とノードN2との間に直列に接続されている。第1切替素子76は、第2切替素子45とともに、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ電流が流れるか否かを切り替える。本変形例の第1切替素子76は、スイッチ76aを有する。スイッチ76aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。第1切替素子76の切り替え動作は、制御部50によって制御される。この第1電流除去部30Pのように、光検出素子10から電圧保持用コンデンサ31へ供給される電流は、第2切替素子45を通ってもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、光検出回路1Dは、先に説明した第2電流除去部40,40A~40Jのいずれを備えてもよく、先に説明した電流電圧変換部20,20A~20Dのいずれを備えてもよい。
【0102】
図17に示される光検出回路1Eは、上記実施形態の第1電流除去部30の代わりに、
図3の(a)に示す第1電流除去部30A、
図3の(b)に示す第1電流除去部30B、および
図3の(c)に示す第1電流除去部30Cのいずれかを備える。また、光検出回路1Eは、上記実施形態の第2電流除去部40の代わりに、第2電流除去部40Lを備える。第2電流除去部40Lは、次の点において第2電流除去部40と相違し、他の点において第2電流除去部40と一致する。第2電流除去部40Lは、第2電流除去部40の第2切替素子45の代わりに、第2切替素子77を有する。第2切替素子77は、第1アンプ34A(または第1アンプ34B)と第1切替素子32との間のノードN11と、ノードN6との間に直列に接続されている。第2切替素子77は、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流が流れるか否かを切り替える。本変形例の第2切替素子77は、スイッチ77aを有する。スイッチ77aは、機械式スイッチであってもよく、トランジスタ等の半導体スイッチであってもよい。第2切替素子77の切り替え動作は、制御部50によって制御される。
【0103】
この第2電流除去部40Lのように、第1電流除去部30A~30Cの第1アンプ34A(または第1アンプ34B)を、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ電流(または電圧)の増幅のために兼用してもよい。この場合、
図3の(a)~(c)に示される第1電流除去部30A~30Cによって得られる効果と、
図9の(b)に示される第2電流除去部40Dによって得られる効果との双方を、より小型の回路で得ることができる。なお、
図18に示されるように、第1電流除去部30A~30Cのいずれかと、
図15に示される第2電流除去部40Kとを組み合わせることによっても、同様の効果を得ることができる。
【0104】
図19に示される光検出回路1Gは、上記実施形態の第1電流除去部30の代わりに、
図4の(b)に示される第1電流除去部30Eを有する。また、光検出回路1Gは、上記実施形態の第2電流除去部40の代わりに、
図15に示される第2電流除去部40Kを有する。この光検出回路1Gのように、光検出素子10から平滑化コンデンサ42へ供給される電流は、第1抵抗素子35を通ってもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0105】
図20に示される光検出回路1Hは、上記実施形態の第1電流除去部30の代わりに、第1電流除去部30Qを有する。第1電流除去部30Qは、第1電流除去部30,30A~30Pのうちいずれか1つの構成に加えて、第1短絡用スイッチ78を更に有する。第1短絡用スイッチ78は、ノードN2と基準電位線62との間において、電圧保持用コンデンサ31と並列に接続される。第1電流除去部30Qを使用しない場合、電圧保持用コンデンサ31の一対の電極を第1短絡用スイッチ78を介して短絡することにより、電圧保持用コンデンサ31への無用な電荷の蓄積による第1トランジスタ33の誤動作を防ぐことができる。
【0106】
また、光検出回路1Hは、上記実施形態の第2電流除去部40の代わりに、第2電流除去部40Mを有する。第2電流除去部40Mは、第2電流除去部40,40A~40Lのうちいずれか1つの構成に加えて、第2短絡用スイッチ79を更に有する。第2短絡用スイッチ79は、ノードN6と基準電位線62との間において、平滑化コンデンサ42と並列に接続される。第2電流除去部40Mを使用しない場合、平滑化コンデンサ42の一対の電極を第2短絡用スイッチ79を介して短絡することにより、第2トランジスタ43の制御端子43aが第2短絡用スイッチ79を通じて基準電位線62に接続されるので、第2トランジスタ43の誤動作を防ぐことができる。
【0107】
本開示による光検出回路は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した各変形例を、必要な目的及び効果に応じて互いに組み合わせてもよい。また、第2電流除去部の第2切替素子は、状況に応じて省かれてもよい。
[付記]
【0108】
光検出回路において、信号電流から低周波成分を帰還回路により引き抜く際、帰還回路には、帰還動作の整定時間を短く抑えることが求められる。そこで、光検出回路は、下記の構成を備えてもよい。
信号光の入射に応じて信号電流を出力する光検出素子と、
信号入力端および信号出力端を有し、前記信号入力端が前記光検出素子と接続され、前記信号入力端に入力された前記信号電流を第1信号電圧に変換し、前記第1信号電圧を前記信号出力端から出力する電流電圧変換部と、
前記光検出素子と接続された電流除去部と、
を備え、
前記信号電流は、信号成分と、前記信号成分よりも低い周波数を有するか又は大きさが一定である低周波成分とを含み、
前記電流除去部は、
前記電流電圧変換部の前記信号出力端と接続され、前記第1信号電圧に応じた大きさの第2信号電圧を出力する帰還回路部と、
前記第2信号電圧を平滑化するように構成された平滑化コンデンサと、
前記平滑化コンデンサによって平滑化された前記第2信号電圧に応じた大きさの前記低周波成分を前記信号電流から引き抜くように構成された第2トランジスタと、
前記光検出素子と前記平滑化コンデンサとの間に直列に接続され、前記光検出素子から前記平滑化コンデンサへ電流が流れるか否かを切り替えるように構成された切替素子と、
を有する、光検出回路。
【0109】
この光検出回路は、例えば次のように動作する。まず、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられない期間において、切替素子は、光検出素子から平滑化コンデンサへ電流を流す。これにより、平滑化コンデンサに電荷が蓄積され、平滑化コンデンサの両端電圧が上昇する。その後、光検出回路から出力される第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられる。その際、切替素子は、光検出素子から平滑化コンデンサへ電流が流れないように切り替える。これにより、平滑化コンデンサは、第2信号電圧を平滑化することができる。このように、上記の光検出回路によれば、第1信号電圧が光検出回路の外部において用いられる前に、平滑化コンデンサに電荷を予め蓄積しておくことができるので、電流除去部における帰還動作の整定時間を短く抑えることができる。
【符号の説明】
【0110】
1A~1H…光検出回路、10…光検出素子、20,20A~20D…電流電圧変換部、21…信号入力端、22…信号出力端、23…アンプ、24…容量、25…抵抗、26,27…第4切替素子、26a,27a…スイッチ、28…アンプ、28a…制御端子、30,30A~30H,30J~30N,30P,30Q…第1電流除去部、31…電圧保持用コンデンサ、32,76…第1切替素子、32a,76a…スイッチ、32A…第1切替素子、33,36…第1トランジスタ、33a,36a…制御端子、33b,36b…第1電流端子、33c,36c…第2電流端子、34A,34B…第1アンプ、35…第1抵抗素子、37A,37B…第1アンプ、38…トランジスタ、38a…制御端子、38b…第1電流端子、38c…第2電流端子、39…ソースフォロワ回路、40,40A~40F,40H,40J~40M,40P…第2電流除去部、41,41A~41D…帰還回路部、42…平滑化コンデンサ、43,81…第2トランジスタ、43a,81a…制御端子、43b,81b…第1電流端子、43c,81c…第2電流端子、44,46…第2アンプ、44a…第1入力端子、44b…第2入力端子、44c…出力端子、45,75,77…第2切替素子、45a,75a,77a…スイッチ、46,49…第2アンプ、46a,49a…入力端子、46b,49b…出力端子、47…第2抵抗素子、48…第3アンプ、49c…制御端子、50…制御部、61…バイアス線、62…基準電位線、63…配線、64…第3定電位線、65…第4定電位線、66…第5定電位線、68…第6定電位線、69…第7定電位線、71,73…第3切替素子、71a,73a…スイッチ、72…第2抵抗素子、74…トランジスタ、78…第1短絡用スイッチ、79…第2短絡用スイッチ、82,83…定電位線、311…抵抗素子、321…アンプ、391…トランジスタ、392…電流源、421…抵抗素子、J…信号電流、J1…第1電流、J2…第2電流、L…信号光、N1~N11…ノード、V1…第1信号電圧、V2…第2信号電圧、Vref1,Vref2,Vref3…基準電圧。