(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012129
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】熱源ユニット、および冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/38 20110101AFI20240118BHJP
F04D 29/38 20060101ALI20240118BHJP
F24F 1/46 20110101ALI20240118BHJP
【FI】
F24F1/38
F04D29/38 A
F04D29/38 D
F24F1/46
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023110701
(22)【出願日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2022113830
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪口 栄穂
(72)【発明者】
【氏名】賀川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】久山 和志
(72)【発明者】
【氏名】陳 作舟
【テーマコード(参考)】
3H130
3L054
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC06
3H130BA14C
3H130CA04
3H130CA23
3H130CB01
3H130DD01X
3H130DJ01X
3H130EC09C
3H130EC11C
3L054BA03
3L054BA05
3L054BB01
(57)【要約】
【課題】熱源ユニットの騒音を低減することである。
【解決手段】熱源ユニット(20)は、内部に熱媒体の流路(C)が形成される複数の扁平管(35)と、隣り合う前記扁平管(35)の間を空気が流れる複数の通風路(37)に区画する複数のフィン(36)とを有するとともに、前記空気通路(S2)に配置される熱交換器(30)と、多孔質部(46)を含む羽根車(41)を有するとともに、前記空気通路(S2)に配置されるファン(40)とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路(S2)が内部に形成されるケーシング(50)と、
内部に熱媒体の流路(C)が形成される複数の扁平管(35)と、隣り合う前記扁平管(35)の間を空気が流れる複数の通風路(37)に区画する複数のフィン(36)とを有するとともに、前記空気通路(S2)に配置される熱交換器(30)と、
多孔質部(46)を含む羽根車(41)を有するとともに、前記空気通路(S2)に配置されるファン(40)と
を備えている熱源ユニット。
【請求項2】
前記熱交換器(30)は、前記羽根車(41)よりも前記空気通路(S2)の空気流れの上流側に配置される
請求項1に記載の熱源ユニット。
【請求項3】
前記熱交換器(30)は、1つの通風面(31)のみを有する1面式の熱交換器である
請求項2に記載の熱源ユニット。
【請求項4】
前記羽根車(41)と前記熱交換器(30)との距離L1が125mm以上である
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット。
【請求項5】
前記羽根車(41)を駆動するモータ(42)と、
前記モータ(42)を支持する支持機構(70)とを備え、
前記支持機構(70)は、前記羽根車(41)よりも前記空気通路(S2)の空気流れの下流側に配置される
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット。
【請求項6】
前記ケーシング(50)は、前記空気通路(S2)の吹出口(62)が形成される吹出側パネル(55)を有し、
前記羽根車(41)を駆動するモータ(42)と、
前記モータ(42)を支持する支持機構(70)とを備え、
前記支持機構(70)は、前記吹出側パネル(55)と前記モータ(42)とをそれぞれ連結する複数本の固定部材(72)を有する
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット。
【請求項7】
前記吹出側パネル(55)は、前記吹出口(62)を形成するベルマウス(65)を含み、
前記複数本の固定部材(72)は、前記ベルマウス(65)と前記モータ(42)とをそれぞれ連結する
請求項6に記載の熱源ユニット。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1つに記載の熱源ユニット(20)を備え、冷凍サイクルを行う冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱源ユニット、および冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍装置に適用される熱源ユニットが知られている。特許文献1の熱源ユニットは、熱交換器と、空気を搬送するファンとを有する。熱交換器は、複数の扁平管と、複数のフィンとを有する。複数のフィンは、隣り合う扁平管の間を空気が流れる複数の通風路に区画する。ファンが搬送する空気が熱交換器を通過すると、熱交換器では、扁平管を流れる熱媒体と、空気とが熱交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のような熱源ユニットでは、ファンの運転に伴い騒音が発生してしまうという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、熱源ユニットの騒音を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、熱源ユニットを対象とし、
空気通路(S2)が内部に形成されるケーシング(50)と、
内部に熱媒体の流路(C)が形成される複数の扁平管(35)と、隣り合う前記扁平管(35)の間を空気が流れる複数の通風路(37)に区画する複数のフィン(36)とを有するとともに、前記空気通路(S2)に配置される熱交換器(30)と、
多孔質部(46)を含む羽根車(41)を有するとともに、前記空気通路(S2)に配置されるファン(40)と
を備えている。
【0007】
第1の態様では、ファン(40)の羽根車(41)に多孔質部(46)が設けられる。この多孔質部(46)により、羽根車(41)の表面付近での圧力の振動成分を減衰でき、羽根車(41)表面での渦流の発生を抑制できる。このことにより、ファン(40)の運転に伴う騒音の発生を抑制できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記熱交換器(30)は、前記羽根車(41)よりも前記空気通路(S2)の空気流れの上流側に配置される。
【0009】
多孔質部(46)を含む羽根車(41)は、上述したように、渦流の発生を抑制する機能を有するので、その機能を十分に発揮するためには、流入する空気の乱れが小さいほうがよい。第2の態様の熱交換器(30)は、複数の扁平管(35)を有する構成であり、円形の伝熱管を有する構成と比較して、熱交換器(30)を通過する空気が乱流化しにくい。この熱交換器(30)を羽根車(41)の上流側に配置することにより、羽根車(41)に流入する空気の乱れを抑制できる。このため、羽根車(41)による渦流の抑制効果を十分に発揮でき、騒音を効果的に低減できる。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記熱交換器(30)は、1つの通風面(31)のみを有する1面式の熱交換器である
第3の態様では、熱交換器(30)が一面式であるため、羽根車(41)に流入する空気の向きが不均一となることを抑制できる。その結果、羽根車(41)の渦流の抑制効果を十分に発揮でき、騒音を効果的に低減できる。
【0011】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記羽根車(41)と前記熱交換器(30)との距離L1が125mm以上である。
【0012】
羽根車(41)と熱交換器(30)との距離Lが近すぎると、羽根車(41)を流れる空気の風速分布が不均一となり、騒音が生じやすい傾向にある。第3の態様では、羽根車(41)と熱交換器(30)との距離L1を125mm以上とすることで、この風速分布が不均一となることを抑制できる。その結果、羽根車(41)の渦流の抑制効果を十分に発揮でき、騒音を効果的に低減できる。
【0013】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、
前記羽根車(41)を駆動するモータ(42)と、
前記モータ(42)を支持する支持機構(70)とを備え、
前記支持機構(70)は、前記羽根車(41)よりも前記空気通路(S2)の空気流れの下流側に配置される。
【0014】
第5の態様では、支持機構(70)を羽根車(41)の下流側に配置することで、支持機構(70)により羽根車(41)を通過する空気の乱れを抑制できる。このため、羽根車(41)による渦流の抑制効果を十分に発揮でき、騒音を効果的に低減できる。
【0015】
第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、
前記ケーシング(50)は、前記空気通路(S2)の吹出口(62)が形成される吹出側パネル(55)を有し、
前記羽根車(41)を駆動するモータ(42)と、
前記モータ(42)を支持する支持機構(70)とを備え、
前記支持機構(70)は、前記吹出側パネル(55)と前記モータ(42)とをそれぞれ連結する複数本の固定部材(72)を有する。
【0016】
第6の態様では、モータ(42)が固定部材(72)を介して吹出側パネル(55)によって支持される。この構成では、例えばモータ(42)を支持台によって支持する構成と比較して、支持機構(70)が空気流れの妨げとなりにくい。このため、羽根車(41)を流れる空気の乱れを抑制できる。その結果、羽根車(41)の渦流の抑制効果を十分に発揮でき、騒音を効果的に低減できる。
【0017】
第7の態様は、第6の態様において、前記吹出側パネル(55)は、前記吹出口(62)を形成するベルマウス(65)を含み、
前記複数本の固定部材(72)は、前記ベルマウス(65)と前記モータ(42)とをそれぞれ連結する。
【0018】
第7の態様では、モータ(42)が固定部材(72)を介して吹出側パネル(55)のベルマウス(65)に支持される。
【0019】
第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様の熱源ユニット(20)を備え、冷凍サイクルを行う冷凍装置である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態に係る給湯装置の配管系統図である。
【
図2】
図2は、熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図3】
図3は、熱源ユニットの概略の内部構造を示す正面図である。
【
図4】
図4は、熱源熱交換器の第1熱交換部を示す概略の斜視図である。
【
図5】
図5は、フィンの一部の側方視の断面図である。
【
図7】
図7は、変形例1の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図8】
図8は、変形例2の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図9】
図9は、変形例3の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図11】
図11は、変形例4の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図13】
図13は、変形例5の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図15】
図15は、変形例6の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【
図16】
図16は、変形例7のフィンの一部の側方視の断面図である。
【
図17】
図17は、変形例8の熱源ユニットの概略の内部構造を示す正面図である。
【
図18】
図18は、変形例8の給湯装置の主要機器のブロック図である。
【
図19】
図19は、変形例9の熱源ユニットの概略の内部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0022】
《実施形態》
(1)全体構成
本開示の冷凍装置は、温水を生成する給湯装置(10)である。給湯装置(10)は、温水を生成する。給湯装置(10)は、生成した温水を蛇口、お風呂、シャワーなどの対象へ供給する。
図1に示すように、給湯装置(10)は、熱源ユニット(20)と給湯ユニット(11)とを有する。熱源ユニット(20)は、室外機である。給湯ユニット(11)は、タンク(13)を有する利用ユニットである。給湯装置(10)は、熱源ユニット(20)に設けられる冷媒回路(21)と、例えば水などの熱媒体が循環する給湯回路(12)とを有する。給湯回路(12)と冷媒回路(21)とは、冷媒水熱交換器(24)を介して互いに接続される。
【0023】
(1-1)熱源ユニットの概要
熱源ユニット(20)は室外に設置される。
図1に示すように、熱源ユニット(20)は、冷媒が充填された冷媒回路(21)を有する。冷媒回路(21)は、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
【0024】
冷媒回路(21)は、圧縮機(22)と、熱源熱交換器(30)と、膨張弁(23)と、冷媒水熱交換器(24)と、四方切換弁(25)とを有する。圧縮機(22)は、冷媒を圧縮する。熱源熱交換器(30)は、空気と、熱媒体である冷媒とを熱交換させる空気熱交換器である。膨張弁(23)は、冷媒を減圧する。冷媒水熱交換器(24)は、冷媒回路(21)と繋がる第1流路(24a)と、給湯回路(12)と繋がる第2流路(24b)とを有する。冷媒水熱交換器(24)は、第1流路(24a)を流れる冷媒と、給湯回路(12)を流れる水とを熱交換させる。
【0025】
四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、第3ポート(P3)、および第4ポート(P4)を有する。第1ポート(P1)は、圧縮機(22)の吐出側と連通し、第2ポート(P2)は熱源熱交換器(30)のガス端と連通し、第3ポート(P3)は冷媒水熱交換器(24)の第1流路(24a)のガス端と連通し、第4ポート(P4)は圧縮機(22)の吸入側と連通する。四方切換弁(25)は、
図1の実線で示す第1状態と、
図1の破線で示す第2状態とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とを連通させ且つ第2ポート(P2)と第4ポート(P4)とを連通させる。この状態では、冷媒回路(21)は、冷媒水熱交換器(24)を放熱器として機能させ、熱源熱交換器(30)を蒸発器として機能させる第1冷凍サイクルを行う。第2状態の四方切換弁(25)は、第1ポート(P1)と第2ポート(P2)とを連通させ且つ第3ポート(P3)と第4ポート(P4)とを連通させる。この状態では、冷媒回路(21)は、熱源熱交換器(30)を放熱器として機能させ、冷媒水熱交換器(24)を蒸発器として機能させる第2冷凍サイクルを行う。
【0026】
熱源ユニット(20)は、ファン(40)およびポンプ(26)を有する。ファン(40)は、熱源熱交換器(30)を通過する空気を搬送する。ポンプ(26)は、給湯回路(12)の水を搬送する循環ポンプである。ポンプ(26)は、給湯ユニット(11)に設けられてもよい。
【0027】
(1-2)給湯ユニット
給湯ユニット(11)は、給湯回路(12)に接続されるタンク(13)を有する。タンク(13)は、中空状の容器である。タンク(13)は、冷媒水熱交換器(24)で加熱された温水を貯める。タンク(13)の底部の水はポンプ(26)によって冷媒水熱交換器(24)に搬送される。タンク(13)で生成された温水は、供給路(14)を経由して対象へ供給される。タンク(13)には、水道管などの水源から水が適宜供給される。
【0028】
(2)運転動作
給湯装置(10)の通常運転時には、圧縮機(22)およびファン(40)が運転され、四方切換弁(25)が第1状態となり、膨張弁(23)が所定開度に調節される。冷媒回路(21)は、第1冷凍サイクルを行う。
【0029】
具体的には、圧縮機(22)で圧縮された冷媒は、冷媒水熱交換器(24)の第1流路(24a)を流れる。冷媒水熱交換器(24)では、第1流路(24a)の冷媒が第2流路(24b)の水へ放熱する。第1流路(24a)で放熱した冷媒は、膨張弁(23)で減圧された後、熱源熱交換器(30)を流れる。熱源熱交換器(30)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、圧縮機(22)に吸入されて再び圧縮される。
【0030】
第2流路(24b)で加熱された水は、タンク(13)に温水として蓄えられる。タンク(13)の温水は対象へ適宜供給される。
【0031】
(3)熱源ユニットの詳細
熱源ユニット(20)の詳細について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」は、
図2または
図3の矢印で示す方向を基準とする。
【0032】
(3-1)ケーシング
図2および
図3に示すように、熱源ユニット(20)は、中空状のケーシング(50)を有する。ケーシング(50)は、6つの面を有する直方体状に形成される。ケーシング(50)には、その下側には底板(51)が、その下側に上板(52)が、その右側に第1側板(53)が、その左側に第2側板(54)が、その前側に前面パネル(55)が、その後側に後面パネル(56)が形成される。前面パネル(55)は、本開示の吹出側パネルの一例である。
【0033】
ケーシング(50)の内部には、仕切板(57)が設けられる。仕切板(57)は、ケーシング(50)の内部空間を機械室(S1)と空気通路(S2)とに仕切る。機械室(S1)は、仕切板(57)の右側に形成される。機械室(S1)には、圧縮機(22)、冷媒水熱交換器(24)などの主要機器が収容される。空気通路(S2)には、ファン(40)と熱源熱交換器(30)とが収容される。
【0034】
ケーシング(50)には、吸込口(61)と吹出口(62)とが形成される。ケーシング(50)の内部には、吸込口(61)から吹出口(62)に亘って空気通路(S2)が形成される。吸込口(61)は、第1吸込口(61A)と第2吸込口(61B)とを含む。第1吸込口(61A)は、後面パネル(56)のうち左側寄りの部分に形成される。第2吸込口(61B)は、第2側板(54)に形成される。吹出口(62)は、前面パネル(55)のうち左寄りの部分に形成される。吹出口(62)は円形の開口によって構成される。
【0035】
前面パネル(55)は、前板(64)と、前板(64)から連続するベルマウス(65)とを有する。ベルマウス(65)は羽根車(41)の周囲に設けられる。ベルマウス(65)は、その内部に吹出流路(63)を形成する円筒状に形成される。吹出流路(63)の下流端に吹出口(62)が形成される。ベルマウス(65)は、吹出流路(63)の径を変化させ、空気を整流化する。本例のベルマウス(65)は、上流側に位置する縮径部(65a)と、下流側に位置する拡径部(65b)と、縮径部(65a)と拡径部(65b)との間の同径部(65c)を有する。縮径部(65a)は、下流側に向かって吹出流路(63)の径を縮小させる。拡径部(65b)は、上流側に向かって吹出流路(63)の径を拡大させる。同径部(65c)は軸方向の両端に亘って内径が等しい。
【0036】
(3-2)熱源熱交換器
熱源熱交換器(30)は、本開示の熱交換器の一例である。熱源熱交換器(30)は、空気通路(S2)に配置される。熱源熱交換器(30)は、空気通路(S2)におけるファン(40)の上流側に配置される。熱源熱交換器(30)は、平面視における外形がL字状に形成される。熱源熱交換器(30)は、第1通風面(31)を含む第1熱交換部(30A)と、第2通風面(32)を含む第2熱交換部(30B)とを有する2面式である。第1熱交換部(30A)は、ファン(40)の後方に位置する主熱交換部である。第2熱交換部(30B)は、ファン(40)の側方に位置する補助熱交換部である。第1通風面(31)は、後面パネル(56)または第1吸込口(61A)に沿って形成される。第2通風面(32)は、第2側板(54)または第2吸込口(61B)に沿って形成される。第2通風面(32)の面積は、第1通風面(31)の面積よりも小さい。
【0037】
図2~
図5に示す熱源熱交換器(30)は、第1ヘッダ集合管(33)と、第2ヘッダ集合管(34)と、複数の扁平管(35)と、複数のフィン(36)とを有する。
【0038】
第1ヘッダ集合管(33)は、熱源熱交換器(30)の一方の側端に位置し、第2ヘッダ集合管(34)は、熱源熱交換器(30)の他方の側端に位置する。具体的には、第1ヘッダ集合管(33)は、第1熱交換部(30A)の右側端部に位置し、第2ヘッダ集合管(34)は、第2熱交換部(30B)の前側端部に位置する。第1ヘッダ集合管(33)および第2ヘッダ集合管(34)は、円筒状に形成され、その内側に内部流路が形成される。
【0039】
複数の扁平管(35)は、第1ヘッダ集合管(33)から第2ヘッダ集合管(34)に亘って延びている。本例の扁平管(35)は、平面視においてL字状に形成される。複数の扁平管(35)は、銅やアルミニウムなどの伝熱性の高い材料で構成される。
【0040】
図4および
図5に示すように、複数の扁平管(35)は、空気流れと直交する方向に配列される。本例の複数の扁平管(35)は、上下方向に配列される。複数の扁平管(35)は、その幅方向が空気流れ方向に対応する。複数の扁平管(35)の厚さ方向(上下方向)の一端に、幅広の第1面(35a)が形成され、厚さ方向の他端に、幅広の第2面(35b)が形成される。隣り合う扁平管(35)では、その一方の扁平管(35)の第1面(35a)と、その他方の扁平管(35)の第2面(35b)とが互いに向かい合う。
【0041】
扁平管(35)の軸方向に直角な断面形状は、空気流れ方向に沿って延びる、楕円形、長円形、あるいは略長方形に形成される。扁平管(35)の内部には、空気流れ方向に沿って、複数の冷媒の流路(C)が形成される。言い換えると、扁平管(35)は、扁平多穴管を構成している。これにより、扁平管(35)では、冷媒の流路面積が増大し、熱源熱交換器(30)の熱交換の効率が向上する。
【0042】
複数のフィン(36)は、扁平管(35)の軸方向に配列される。複数のフィン(36)は、銅やアルミニウムなどの伝熱性の高い材料で構成される。複数のフィン(36)は、板状に形成され、その厚さ方向が、複数のフィン(36)の配列方向に対応する。複数のフィン(36)は、隣り合う扁平管(35)の間を空気が流れる複数の通風路(37)に区画する。
【0043】
フィン(36)は、扁平管(35)の配列方向に延びる長方形状に形成される。フィン(36)は、その幅方向(空気流れ方向)の一方に複数の切り欠き(36a)が形成される。複数の切り欠き(36a)は、フィン(36)の長手方向に配列される。具体的には、複数の切り欠き(36a)は、上下方向に等間隔置きに形成される。本例の切り欠き(36a)は、フィン(36)の上流側に形成される。
【0044】
フィン(36)は、フィン(36)の長手方向(上下方向)に延びる連続部(36b)と、該連続部(36b)からフィン(36)の幅方向に延びる複数の中間部(36c)とを有する。本例では、複数の中間部(36c)がフィン(36)の上流側に形成され、連続部(36b)がフィン(36)の下流側に形成される。隣り合う中間部(36c)の間に切り欠き(36a)が形成される。各扁平管(35)は、各切り欠き(36a)に1つずつ差し込まれる。通風路(37)は、隣り合う扁平管(35)と、隣り合う中間部(36c)との間に形成される。
【0045】
(3-3)ファン
図2および
図3に示すように、ファン(40)は、空気通路(S2)に配置される。ファン(40)は、空気通路(S2)における熱源熱交換器(30)の下流側に配置される。本実施形態のファン(40)は、プロペラ式である。ファン(40)は、羽根車(41)と、羽根車(41)を駆動するモータ(42)とを有する。ファン(40)では、モータ(42)が羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの上流側に位置する。羽根車(41)は、プロペラファンを構成する。羽根車(41)は、ハブ(43)と、複数の翼(44)とを有する。
【0046】
ハブ(43)は、回転軸(42a)を介してモータ(42)と連結する。ハブ(43)の外形は、円柱状に形成される。ハブ(43)の軸心、あるいはモータ(42)の回転軸心は、前後方向に延びる。
【0047】
複数の翼(44)は、ハブ(43)の外周面に固定される。本例の翼の数は3つであるが、これに限らず、2つまたは4つ以上であってもよい。翼(44)の回転方向の幅は、ハブ(43)側から径方向外方に向かうにつれて徐々に拡大する。
【0048】
(3-4)支持機構
図2および
図3に示すように、熱源ユニット(20)は、モータ(42)を支持する支持機構(70)を有する。本例の支持機構(70)は、モータ(42)が固定される支持部(71)と、該支持部(71)に固定される2本の固定部材(72)とを有する。支持部(71)は、前面視において四角形の板状に形成される。支持部(71)の前面には、モータ(42)が固定される。固定部材(72)は、支持部(71)の両側端に固定される。固定部材(72)は、上下方向に延びる支柱である。各固定部材(72)の下端は、ケーシング(50)の底板(51)に固定される。各固定部材(72)の上端は、ケーシング(50)の上板(52)に固定される。
【0049】
(3-5)多孔質部
図6に示すように、複数の翼(44)のそれぞれは、中実部(45)と、多孔質部(46)とを有する。中実部(45)は、羽根車(41)の主要部であり、硬質な樹脂材料で構成される。
【0050】
多孔質部(46)は、羽根車(41)のうち中実部(45)以外の残部に形成される。多孔質部(46)は、多孔質性材料で構成される。多孔質部(46)には、互いに連通する複数の微細な孔が形成される。言い換えると、多孔質部(46)は、連続気泡構造である。多孔質部(46)の材質としては、例えばPP(ポリプロピレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)などがある。
【0051】
本例の多孔質部(46)は、翼(44)のうちハブ(43)側(翼元側)寄りに形成される。多孔質部(46)は、翼(44)の負圧面(44a)から正圧面(44b)に亘って形成される。ここで、負圧面(44a)は、翼(44)の後側の面であり、正圧面(44b)は、翼(44)の前側の面である。
【0052】
ファン(40)の運転時において、多孔質部(46)は翼(44)の表面付近での圧力の振動成分を減衰する。この結果、翼(44)表面での渦流の発生を抑制でき、空気の乱流化を抑制できる。このように、多孔質部(46)は空気の渦流の抑制効果の機能を有する。このため、空気の渦流の発生に起因してファン(40)の運転時における騒音が増大することを抑制できる。
【0053】
(3-6)熱源熱交換器とファンとの距離
図2に示すように、熱源熱交換器(30)と羽根車(41)との距離をL1とする。厳密には、熱源熱交換器(30)の第1熱交換部(30A)と羽根車(41)との最短距離をL1とする。本実施形態では、距離L1は125mm以上に設定される。
【0054】
熱源熱交換器(30)と羽根車(41)との距離が近くなりすぎると、羽根車(41)を通過する空気の風速分布が不均一となり易い。これにより、ファン(40)の騒音が大きくなる傾向にある。特に、羽根車(41)を流れる空気が乱れると、多孔質部(46)による乱流の抑制効果の機能を十分得ることができない。
【0055】
これに対し、距離L1を125mm以上とすることで、羽根車(41)を通過する空気の風速分布を均一化できる。これにより、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮させることができ、騒音を効果的に低減できる。
【0056】
距離L1は、0.25×L3以下であることが好ましい。ここで、L3は、ケーシング(50)の短手方向(前後方向)の長さである。距離L1を0.25×L3以下とすることで、熱源ユニット(20)の小型化を図ることができる。加えて、距離L1が大きくなると、羽根車(41)がケーシング(50)の面(前面パネル(55))と近づき、ファン(40)の運転音がケーシング(50)の外部に届きやすくなる。これに対し、距離L1を0.25×L3以下とすることで、ファン(40)の運転音がケーシング(50)の外部に届きにくくなるので、騒音を抑制できる。
【0057】
図2に示すように、熱源熱交換器(30)とモータ(42)の支持機構(70)までの距離をL2とする。厳密には、熱源熱交換器(30)と支持機構(70)との最短距離をL2とする。本実施形態では、距離L2は45mm以上に設定される。支持機構(70)は、羽根車(41)と熱源熱交換器(30)との間に位置する。
【0058】
熱源熱交換器(30)と支持機構(70)との距離が近くなりすぎると、羽根車(41)を通過する空気の風速分布が不均一となり易い。これにより、ファン(40)の騒音が大きくなる傾向にある。特に、羽根車(41)を流れる空気が乱れると、多孔質部(46)による乱流の抑制効果の機能を十分得ることができない。
【0059】
これに対し、距離L2を45mm以上とすることで、羽根車(41)を通過する空気の風速分布を均一化できる。これにより、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮させることができ、騒音を効果的に低減できる。距離L2は、0.45×L3以下であることが好ましい。
【0060】
(4)実施形態の効果
(4-1)
本実施形態の熱源ユニット(20)は、内部に熱媒体の流路(C)が形成される複数の扁平管(35)と、隣り合う前記扁平管(35)の間を空気が流れる複数の通風路(37)に区画する複数のフィン(36)とを有するとともに、空気通路(S2)に配置される熱源熱交換器(30)と、多孔質部(46)を含む羽根車(41)を有するとともに、前記空気通路(S2)に配置されるファン(40)とを備える。
【0061】
多孔質部(46)により、翼(44)の表面付近での圧力の振動成分を減衰できる。この結果、翼(44)表面での渦流の発生を抑制でき、空気の流れが乱れることを抑制できる。したがって、空気の渦流の発生に起因してファン(40)の運転時における騒音が増大することを抑制できる。
【0062】
扁平管(35)は、複数の流路(C)を有する扁平多穴管であるため、熱源熱交換器(30)の熱交換の効率を向上できる。このため、ファン(40)の風量を低減できるので、ファン(40)の運転に伴う騒音を低減できる。加えて、ファン(40)を通過する空気の乱れを抑制できるので、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮できる。
【0063】
(4-2)
本実施形態の熱源熱交換器(30)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの上流側に配置される。
【0064】
熱源熱交換器(30)は、複数の扁平管(35)を有するので、一般的な真円形の伝熱管を有する構成と比較して、熱源熱交換器(30)を通過する空気が乱れにくい。このため、ファン(40)に流入する空気の乱れを抑制できる。仮にファン(40)に流入する空気が乱れると、羽根車(41)の多孔質部(46)による乱流の抑制効果が損なわれ、騒音が増大してしまう。これに対し、本実施形態では、扁平管(35)を有する熱源熱交換器(30)により、ファン(40)に流入する空気が乱れにくいので、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮できる。したがって、騒音を効果的に低減できる。
【0065】
(4-3)
本実施形態では、羽根車(41)と熱源熱交換器(30)との距離L1が125mm以上である。
【0066】
羽根車(41)と熱源熱交換器(30)との距離L1を125mm以上とすることで、羽根車(41)を通過する空気の風速分布を均一化できる。これにより、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮させることができ、騒音を効果的に低減できる。
【0067】
(5)変形例
上述した実施形態においては、以下のような変形例の構成としてもよい。以下の説明では、原則として、上述した実施形態と異なる点について説明する。
【0068】
(5-1)変形例1
図7に示すように、変形例1の熱源熱交換器(30)は、1つの通風面(第1通風面(31))のみを有する1面式の熱交換器である。熱源熱交換器(30)は、第1熱交換部(30A)を有するが、実施形態の第2熱交換部(30B)は有さない。ケーシング(50)には、第1吸込口(61A)が形成されるが、実施形態の第2吸込口(61B)は形成されない。第1熱交換部(30A)は、ファン(40)の軸方向における空気流れの上流側に位置する。言い換えると、第1吸込口(61A)とファン(40)の間に第1熱交換部(30A)が配置される。第1吸込口(61A)とファン(40)と第1熱交換部(30A)とは、ファン(40)の軸方向(前後方向)において、重なっている。複数の扁平管(35)は、ファン(40)の軸方向の直交する方向に延びている。
【0069】
変形例1では、第1吸込口(61A)から空気通路(S2)に流入した空気が、第1熱交換部(30A)、ファン(40)の順に、直線的に流れる。このため、ファン(40)を通過する空気が乱れることを抑制でき、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮できる。したがって、騒音を効果的に低減できる。
【0070】
(5-2)変形例2
図8に示すように、変形例2の支持機構(70)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの下流側に配置される。これにより、羽根車(41)に流入する空気が、支持機構(70)によって乱れてしまうことがない。加えて、モータ(42)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの下流側に配置される。これにより、羽根車(41)に流入する空気が、支持機構(70)によって乱れてしまうことがない。したがって、変形例2では、支持機構(70)やモータ(42)により、ファン(40)を通過する空気が乱れることを抑制でき、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮できる。したがって、騒音を効果的に低減できる。
【0071】
(5-3)変形例3
図9および
図10に示すように、変形例3の支持機構(70)は、上記実施形態と構成が異なる。支持機構(70)の固定部材(72)は、支持部(71)から延びてモータ(42)と前面パネル(55)とを連結する。本実施形態において、支持機構(70)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの上流側に配置される。
【0072】
図10に示すように、支持部(71)は、中央に取付孔(71a)を有する円形板状である。支持部(71)の前面が、モータ(42)の後面に固定される。複数の固定部材(72)は、支持部(71)の周縁部から径方向外側へ延びる。固定部材(72)は、ファン(40)の後方から前方へ延び、その端部が前面パネル(55)に固定される。
【0073】
固定部材(72)は、互いに隣接して略平行に延びる1対の細長い線材により形成される。この線材は伸長方向に直交する断面が円形状である。なお、この円形状には楕円形も含まれる。固定部材(72)を細長い断面円形状の線材で形成することにより、空気通路(S2)の空気流れへの影響を小さくすることができる。固定部材(72)を構成する線材の数は、2本に限らず、1本でも良い。
【0074】
複数の固定部材(72)は、支持部(71)から径方向外側に向かって放射状に延びる。支持機構(70)は、周方向に90度おきに配置される4つの固定部材(72)を有する。固定部材(72)の数はこれに限らず、3本や5本以上でもよい。隣り合う固定部材(72)の間の角度は90°に限らない。
【0075】
各固定部材(72)は、傾斜部(72a)、伸長部(72b)、脚部(72c)及び脚固定部(72d)を有する。傾斜部(72a)は、支持部(71)から径方向外側へ向かうにつれて上流側へ延びる。伸長部(72b)は、傾斜部(72a)の径方向外側端部から回転軸方向と略直交する方向に延びる。脚部(72c)は、伸長部(72b)の径方向外側端部から下流側に向かって回転軸方向に延びる。脚固定部(72d)は、脚部(72c)の下流側端部から、前板(64)に沿って径方向外側に延びる。脚固定部(72d)は、前板(64)の後面において、吹出口(62)の外周に固定される。
【0076】
4つの固定部材(72)は、直径の異なる複数の環状リブ(73a,73b,73c,73d)によって周方向に連結される。各環状リブ(73a,73b,73c,73d)は、固定部材(72)の線材よりも細い部材で形成される。各環状リブ(73a,73b,73c,73d)は、回転軸(42a)を中心とする同心円状に配置される。第1環状リブ(73a)、第2環状リブ(73b)、および第3環状リブ(73c)は、伸長部(72b)の前側に固定される。第4環状リブ(73d)は、脚部(72c)の下流端において、4つの脚部(72c)に内接して固定される。
【0077】
モータ(42)を支持する支持機構(70)をこのような構成とすることで、支持機構(70)が空気流れの邪魔にならず、羽根車(41)に搭載した多孔質部(46)による騒音低減効果を十分に発揮することができる。
【0078】
(5-4)変形例4
図11に示すように、変形例4の熱源ユニット(20)では、モータ(42)が羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの下流側に位置する。モータ(42)の回転軸(42a)は、後方へ延び、ハブ(43)の前面に連結される。モータ(42)は、支持機構(70)に支持されて、吹出流路(63)内に配置される。
【0079】
図12に示すように、支持機構(70)は、モータ(42)を固定する支持部(71)と、支持部(71)から延びてモータ(42)と前面パネル(55)とを連結する複数の固定部材(72)とを有する。支持機構(70)の外形は平面円形状であり、ベルマウス(65)よりも大きな直径を有する。支持機構(70)は、吹出口(62)に架け渡され、前板(64)の前面に固定される。
【0080】
支持部(71)は、円形板状であり、その中心が回転軸(42a)の延長線上に位置する。支持部(71)は、中央に取付孔(71a)を有し、後面がモータ(42)の前面に固定される。支持部(71)の周縁部から径方向外側へ、複数の固定部材(72)が延びる。固定部材(72)は、支持部(71)の周縁部から径方向外側へ延び、その端部が前面パネル(55)に固定される。
【0081】
固定部材(72)は、互いに隣接して略平行に延びる1対の細長い線材により形成される。この線材は伸長方向に直交する断面が円形状である。なお、この円形状には楕円形も含まれる。固定部材(72)を細長い断面円形状の線材で形成することにより、空気通路(S2)の空気流れへの影響を小さくすることができる。固定部材(72)を構成する線材の数は、2本に限らず、1本でも良い。
【0082】
複数の固定部材(72)は、支持部(71)から径方向外側に向かって放射状に延びる。支持機構(70)は、周方向に90度おきに配置される4つの固定部材(72)を有する。固定部材(72)の数はこれに限らず、3本や5本以上でもよい。隣り合う固定部材(72)の間の角度は90°に限らない。各固定部材(72)は、回転軸方向と略直交する方向に延びる。固定部材(72)の端部は、吹出口(62)の周縁部において、前板(64)の前面に固定される。
【0083】
4つの固定部材(72)は、直径の異なる複数の環状リブ(73a,73b,73c,73d)によって周方向に連結される。環状リブ(73a,73b,73c,73d)は、固定部材(72)の線材よりも細い部材で形成される。環状リブ(73a,73b,73c,73d)は、回転軸(42a)を中心とする同心円状に配置される。環状リブ(73a,73b,73c,73d)は、4つの固定部材(72)の前側に固定される。
【0084】
変形例4では、上記構成の固定部材(72)及びモータ(42)が羽根車(41)よりも上流にある場合と比べて、空気流れへの影響を小さくできる。そのため、多孔質部(46)による騒音低減効果をさらに発揮することが可能となる。
【0085】
(5-5)変形例5
図13に示すように、変形例5の支持機構(70)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの下流側に配置される。
【0086】
図14に示すように、本実施形態の支持機構(70)は、モータ(42)を固定する支持部(71)と、支持部(71)から延びて、モータ(42)と前面パネル(55)とを連結する複数の固定部材(72)を有する。
【0087】
支持部(71)は、回転軸の延長線上に軸中心を有する円筒状である。支持部(71)は、中央に取付孔(71a)を有する円形の閉塞面を前側に有し、後側に開口する。支持部(71)は、後側の開口から円筒内部にモータ(42)の前部が固定される。
【0088】
複数の固定部材(72)は、略板状である。各固定部材(72)は、支持部(71)の外周面からねじれながら径方向外側に向かって延びる。複数の固定部材(72)は、径方向外側端部を枠部材(74)に連結される。
【0089】
枠部材(74)は円筒状である。枠部材(74)は、複数の固定部材(72)の外周を囲むように設けられる。枠部材(74)の直径は、ベルマウス(65)よりも小さい。枠部材(74)の下流端には、径方向外側へ向かってフランジ部(75)が延びる。フランジ部(75)は、吹出口(62)の周縁部において、前板(64)の前面に固定される。支持部(71)、固定部材(72)及び枠部材(74)は、ベルマウス(65)の内側に位置する。
【0090】
本実施形態において、支持機構(70)は、13枚の固定部材(72)を有する。13枚の固定部材(72)は、周方向に等間隔に配置される。固定部材(72)の数は、5以上の素数であることが好ましく、例えば、5枚、7枚、11枚である。固定部材(72)の数が、5以上の素数であることで、空気流れへの影響を分散できる。これにより、固定部材(72)は、多孔質部(46)による騒音低減効果をより発揮することが可能となる。
【0091】
固定部材(72)は、伸長方向と直交する断面の形状が翼型である。固定部材(72)は、後端部(72e)から前端部(72f)へ向かって、翼弦(72g)に沿って厚みが漸減する。
【0092】
本実施形態では、上記構成の固定部材(72)が、空気流れへの影響を小さくできる。そのため、多孔質部(46)による騒音低減効果をさらに発揮することが可能となる。
【0093】
(5-6)変形例6
図15に示すように、変形例6の支持機構(70)は、ベルマウス(65)の内周面に固定される。支持機構(70)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの上流側に配置される。
【0094】
ベルマウス(65)は、前端部から後端部までの長さが、ファン(40)及び支持機構(70)の回転軸方向の長さよりも長い。ベルマウス(65)は、羽根車(41)、モータ(42)及び支持機構(70)の外周を覆う。
【0095】
支持機構(70)は、モータ(42)を固定する支持部(71)と、支持部(71)から延びて、モータ(42)とベルマウス(65)とを連結する複数の固定部材(72)を有する。
【0096】
支持部(71)は、回転軸の延長線上に軸中心を有する円筒状である。支持部(71)は、円形の閉塞面を後側に有し、前側に開口する。支持部(71)は、前側の開口から円筒内部にモータ(42)の後部が固定される。
【0097】
複数の固定部材(72)は、略板状である。各固定部材(72)は、支持部(71)の外周面からねじれながら径方向外側に向かって延びる。複数の固定部材(72)は、径方向外側端部を枠部材(74)に連結される。枠部材(74)の外周面は、ベルマウス(65)の内周面に固定される。
【0098】
変形例6では、上記構成の固定部材(72)が、空気流れへの影響を小さくできる。そのため、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮させることが可能である。
【0099】
(5-7)変形例7
図16に示す変形例7は、上述した実施形態の熱源熱交換器(30)と構成が異なる。熱源熱交換器(30)は、実施形態と同様、複数の扁平管(35)を有する。複数の扁平管(35)は、空気流れと直交する方向に配列される。本例の複数の扁平管(35)は、上下方向に配列される。複数の扁平管(35)は、その幅方向が空気流れ方向に対応する。複数の扁平管(35)の厚さ方向(上下方向)の一端に、幅広の第1面(35a)が形成され、厚さ方向の他端に、幅広の第2面(35b)が形成される。隣り合う扁平管(35)では、その一方の扁平管(35)の第1面(35a)と、その他方の扁平管(35)の第2面(35b)とが互いに向かい合う。
【0100】
扁平管(35)の軸方向に直角な断面形状は、空気流れ方向に沿って延びる、楕円形、長円形、あるいは略長方形に形成される。扁平管(35)の内部には、空気流れ方向に沿って、複数の冷媒の流路(C)が形成される。言い換えると、扁平管(35)は、扁平多穴管を構成している。これにより、扁平管(35)では、冷媒の流路面積が増大し、熱源熱交換器(30)の熱交換の効率が向上する。
【0101】
変形例7の熱源熱交換器(30)の複数のフィン(36)は、扁平管(35)の風上側に位置する複数の風上フィン(80A)と、扁平管(35)の風下側に位置する複数の風下フィン(80B)とを含む。風上フィン(80A)および風下フィン(80B)は、扁平管の軸方向に配列される。
【0102】
風上フィン(80A)および風下フィン(80B)は、板状に形成され、その厚さ方向がこれらのフィン(36)の配列方向に対応する。複数のフィン(36)は、隣り合う扁平管(35)の間を空気が流れる複数の通風路(37)に区画する。具体的に、風上フィン(80A)は、隣り合う扁平管(35)の間を複数の風上通風路(81A)に区画する。風下フィン(80B)は、隣り合う扁平管(35)の間を複数の風下通風路(81B)に区画する。
【0103】
フィン(36)は、扁平管(35)の配列方向に延びる長方形状に形成される。フィン(36)は、その幅方向(空気流れ方向)の一方に複数の切り欠きが形成される。具体的には、風上フィン(80A)には、複数の風上切り欠き(82A)が形成され、風下フィン(80B)には、複数の風下切り欠き(82B)が形成される。風上切り欠き(82A)は、風上フィン(80A)の下流側の長辺に形成される。風下切り欠き(82B)は、風下フィン(80B)の上流側の長辺に形成される。風上切り欠き(82A)および風下切り欠き(82B)は、フィン(36)の長手方向に配列される。複数の風上切り欠き(82A)は、上下方向に等間隔置きに形成される。複数の風下切り欠き(82B)は、上下方向に等間隔置きに形成される。風上切り欠き(82A)および風下切り欠き(82B)は、扁平管(35)の幅方向において互いに対向する。
【0104】
フィン(36)は、フィン(36)の長手方向(上下方向)に延びる連続部(36b)と、該連続部(36b)からフィン(36)の幅方向に延びる複数の中間部(36c)とを有する。風上フィン(80A)では、複数の中間部(36c)が風上フィン(80A)の下流側に形成され、連続部(36b)が風上フィン(80A)の上流側に形成される。風下フィン(80B)では、複数の中間部(36c)が風下フィン(80B)の上流側に形成され、連続部(36b)が風下フィン(80B)の下流側に形成される。
【0105】
風上フィン(80A)では、隣り合う中間部(36c)の間に風上切り欠き(82A)が形成される。風下フィン(80B)では、隣り合う中間部(36c)の間に風下切り欠き(82B)が形成される。各扁平管(35)の風上側の部分は、各風上切り欠き(82A)に1つずつ差し込まれる。各扁平管(35)の風下側の部分は、各風下切り欠き(82B)に1つずつ差し込まれる。
【0106】
各フィン(36)の中間部(36c)および連続部(36b)には、複数のタブ(83)と、複数の凸部(84)とが形成される。
【0107】
タブ(83)は、フィン(36)を厚さ方向に切り起こした切り起こし部である。タブ(83)は、フィン(36)に、その厚さ方向でみる場合にコの字状の切り込みを形成し、切り込みの内部をフィン(36)に対して傾けることで形成される。タブ(83)は、扁平管(35)の軸方向に延びる。タブ(83)の先端が、隣接するフィン(36)と接することで、隣り合う一対のフィン(36)の間隔が保たれる。
【0108】
凸部(84)は、フィン(36)の厚さ方向に膨出する。凸部(84)は、フィン(36)の厚さ方向からみる場合にコの字状に形成される。凸部(84)は、フィン(36)の伝熱面積を拡大するとともに、フィン(36)を補強するリブとして機能する。凸部(84)は、扁平管(35)の幅方向や、扁平管(35)の配列方向に延びる部分を有する。
【0109】
変形例7においても、扁平管(35)は、複数の流路(C)を有する扁平多穴管であるため、熱源熱交換器(30)の熱交換の効率を向上できる。このため、ファン(40)の風量を低減できるので、ファン(40)の運転に伴う騒音を低減できる。加えて、ファン(40)を通過する空気の乱れを抑制できるので、多孔質部(46)による乱流の抑制効果を十分に発揮できる。
【0110】
(5-8)変形例8
変形例8の給湯装置(10)は、冷媒漏洩センサ(90)を有する。冷媒漏洩センサ(90)は、冷媒回路(21)から冷媒が漏洩したことを検出する。
【0111】
冷媒回路(21)の冷媒としては、プロパン(R290)が用いられる。冷媒回路(R)の冷媒は、空気よりも密度が大きい。冷媒回路(21)の冷媒は、自然冷媒である。自然冷媒は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も低く、環境への負荷が少ない。冷媒は、二酸化炭素(CO2)、アンモニア(R717)、メタン(R50)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)でもよい。冷媒は、ジフルオロメタン(R32)、 2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)であってもよい。冷媒は、単一冷媒であってもよいし、他の冷媒を混合した混合冷媒であってもよい。混合冷媒は、2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、と、ジフルオロメタン(R32)との2種からなる冷媒であってもよい。混合冷媒は、78.5重量%の2,3,3,3テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)と、21.5重量%のジフルオロメタン(R32)との2種からなる冷媒(R454C)であってもよい。これらの冷媒は、上述した実施形態や他の変形例に用いられてもよい。
【0112】
図17に示すように、冷媒漏洩センサ(90)は、熱源ユニット(20)に設けられる。冷媒漏洩センサ(90)は、ケーシング(50)の内部に配置される。冷媒漏洩センサ(90)は、機械室(S1)に配置される。冷媒漏洩センサ(90)は、機械室(S1)の下部に配置される。言い換えると、冷媒漏洩センサ(90)は、機械室(S1)の全体の高さの1/2よりも低い位置にある。冷媒漏洩センサ(90)は、例えば圧縮機(22)の近傍に配置される。
【0113】
図18に示すように、給湯装置(10)は、制御部(91)を有する。制御部(91)は、給湯装置(10)を制御する。具体的には、制御部(91)は、圧縮機(22)、ファン(40)、四方切換弁(25)、膨張弁(23)を制御する。制御部(91)は、冷媒漏洩センサ(90)から出力される第1信号を受信する。制御部(91)は、マイクロプロセッサ(Micro Processor)、電気回路、電子回路を含む。マイクロプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、通信インターフェース、アナログ入出力、および接点入出力インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラム、およびプログラムが使用するデータが記憶されている。
【0114】
冷媒漏洩センサ(90)が冷媒の漏洩を検出すると、冷媒漏洩センサ(90)は、制御部(91)に第1信号を出力する。制御部(91)が第1信号を受信すると、制御部(91)は圧縮機(22)を停止する。これにより、冷媒回路(21)の冷媒の漏洩を抑制できる。なお、ここでいう、「冷媒漏洩センサ(90)が冷媒の漏洩を検出する」とは、冷媒漏洩センサ(90)で検出した冷媒の濃度が基準値以上に至ったことを意味する。
【0115】
冷媒漏洩センサ(90)が冷媒の漏洩を検出すると、制御部(91)は、ファン(40)を運転する、あるいはファン(40)の風量を増大させてもよい。これにより、漏洩した冷媒を拡散でき、冷媒の濃度を低減できる。
【0116】
冷媒漏洩センサ(90)が冷媒の漏洩を検出すると、制御部(91)は、膨張弁(23)を全閉としてもよいし、冷媒回路(21)に接続された他の弁(遮断弁)を閉じてもよい。
【0117】
冷媒漏洩センサ(90)が冷媒の漏洩を検出すると、報知部がこのことを人に報知してもよい。報知部は、冷媒が漏洩したことを表示する表示部であってもよいし、冷媒が漏洩したことを音で知らせる音発生部であってもよい。
【0118】
冷媒漏洩センサ(90)は、機械室(S1)の上部に配置されてもよい。冷媒漏洩センサ(90)は、ファン(40)が配置された空気通路(S2)に配置されてもよい。
(5-9)変形例9
図19に示すように、変形例9の熱源ユニット(20)は、上述した実施形態とベルマウス(65)の位置が異なる。変形例9では、ケーシング(50)の内部にベルマウス(65)が配置される。 変形例9の前板(64)は、前面パネル(55)に沿った平板部(64a)と、平板部(64a)から後方に凹んだ凹部(64b)とを有する。ベルマウス(65)は、凹部(64b)の内縁部から前方に向かって設けられる。ベルマウス(65)は、ケーシングの底板(51)の前端よりも後方に位置する。ベルマウス(65)は、凹部(64b)のの内縁から平板部(64a)に向かって延出する。
【0119】
ベルマウス(65)の内部には、吹出流路(63)が形成される。吹出流路(63)の上流端に吹出口(62)が形成される。ベルマウス(65)は、吹出流路(63)の径を変化させ、空気を整流化する。ベルマウス(65)は、上流側に位置する縮径部(65a)と、下流側に位置する拡径部(65b)と、縮径部(65a)と拡径部(65b)との間の同径部(65c)を有する。縮径部(65a)は、下流側に向かって吹出流路(63)の径を縮小させる。拡径部(65b)は、上流側に向かって吹出流路(63)の径を拡大させる。同径部(65c)は軸方向の両端に亘って内径が等しい。ベルマウス(65)による空機の整流効果により、騒音をさらに低減できる。
(6)その他の実施形態
冷凍装置は、給湯装置(10)でなくてもよく、冷凍サイクルを行うものであれば、他の装置であってもよい。他の装置としては、空気の温度を調節する空気調和装置、空気の湿度を調節する調湿装置、冷蔵庫やコンテナなどの庫内の空気を冷却する冷却装置、給湯および暖房の双方を行う給湯暖房装置などがある。
【0120】
熱源熱交換器(30)は、羽根車(41)よりも空気通路(S2)の空気流れの下流側に配置されてもよい。
【0121】
熱源熱交換器(30)は、3面式や4面式であってもよい。
【0122】
扁平管(35)は、1つのみの流路(C)を有してもよい。
【0123】
フィン(36)は、コルゲートフィンであってもよい。
【0124】
ファン(40)は、シロッコファン、ターボファン、斜流ファン、クロスフローファンであってもよい。これらのファンの羽根車(41)は、多孔質部(46)を有する。
【0125】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態の要素を適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0126】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上に説明したように、本開示は、熱源ユニット、および冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0128】
10 給湯装置(冷凍装置)
20 熱源ユニット
35 扁平管
36 フィン
37 通風路
40 ファン
41 羽根車
42 モータ
46 多孔質部
50 ケーシング
55 前面パネル(吹出側パネル)
62 吹出口
65 ベルマウス
70 支持機構
72 固定部材
C 流路
S2 空気通路