(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121296
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】プログラム、および音響制御装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/54 20140101AFI20240830BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240830BHJP
A63F 13/58 20140101ALI20240830BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/55
A63F13/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028320
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 友香里
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴大
(57)【要約】
【課題】キャラクタの呼吸音と動作の乖離を軽減する。
【解決手段】コンピュータを、ユーザの操作に応じて、仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部と、キャラクタの呼吸の音としての音声を再生する音響処理部として機能させる。キャラクタ制御部は、呼吸の荒さが増大する態様をキャラクタがとる第1状態と、呼吸の荒さが低減する態様をキャラクタがとる第2状態との何れかにキャラクタを制御する制御モードを有する。音響処理部は、第1状態が継続する時間に応じて呼吸の荒さがより大きくなる音声を再生する再生モードを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザの操作に応じて、仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部と、
前記キャラクタの呼吸の音としての音声を再生する音響処理部、
として機能させ、
キャラクタ制御部は、前記呼吸の荒さが増大する態様を前記キャラクタがとる第1状態と、前記呼吸の荒さが低減する態様を前記キャラクタがとる第2状態との何れかに前記キャラクタを制御する制御モードを有し、
前記音響処理部は、
前記第1状態においては前記呼吸の荒さが増大する様子を示す音声を再生するものであり、
前記第1状態が継続する時間に応じて前記呼吸の荒さがより大きくなる音声を再生する再生モードを有する
プログラム。
【請求項2】
請求項1のプログラムにおいて、
前記音響処理部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第1状態の順で前記キャラクタの状態が変化する場合において、前記第2状態に続く前記第1状態の開始時には、前記第2状態の前の前記第1状態が終了した時における音声が示す呼吸の荒さの程度よりも、荒さの程度が低い呼吸を示す音声を再生する再生モードを有する
プログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2のプログラムにおいて、
前記音響処理部は、
前記呼吸の荒さを示すパラメータの値に基づいて前記音声を再生するものであり、
前記第1状態では、当該第1状態の時間経過に応じて前記パラメータの値を変化させ、
前記第2状態では、当該第2状態の時間経過に応じて前記パラメータの値を、前記第1状態における前記パラメータの変化とは逆方向に変化させる
プログラム。
【請求項4】
請求項3のプログラムにおいて、
前記キャラクタ制御部は、前記パラメータの値に関わらず前記第1状態を継続する制御モードを有する
プログラム。
【請求項5】
請求項1または請求項2のプログラムを記憶した記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、
を備えた音響制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、および音響制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームプログラムのなかには、仮想空間において効果音を再生するものがある(例えば特許文献1を参照)。特許文献1の例では、シューティングゲームにおいて、銃声音などがゲーム中に再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、コンピュータを用いたゲームでは、仮想空間内でキャラクタが発する音とキャラクタの動作とに乖離があると没入感に欠ける可能性がある。例えば、呼吸音(息づかい)と動作が乖離していると没入感に欠ける可能性がある。
【0005】
本開示は、キャラクタの呼吸音と動作の乖離の軽減に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
ユーザの操作に応じて、仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部と、
前記キャラクタの呼吸の音としての音声を再生する音響処理部、
として機能させ、
キャラクタ制御部は、前記呼吸の荒さが増大する態様を前記キャラクタがとる第1状態と、前記呼吸の荒さが低減する態様を前記キャラクタがとる第2状態との何れかに前記キャラクタを制御する制御モードを有し、
前記音響処理部は、
前記第1状態においては前記呼吸の荒さが増大する様子を示す音声を再生するものであり、
前記第1状態が継続する時間に応じて前記呼吸の荒さがより大きくなる音声を再生する再生モードを有する
プログラムである。
【0007】
第1の態様において、
前記音響処理部は、前記第1状態、前記第2状態、前記第1状態の順で前記キャラクタの状態が変化する場合において、前記第2状態に続く前記第1状態の開始時には、前記第2状態の前の前記第1状態が終了した時における音声が示す呼吸の荒さの程度よりも、荒さの程度が低い呼吸を示す音声を再生する再生モードを有してもよい。
【0008】
前記態様においては、
前記音響処理部は、
前記呼吸の荒さを示すパラメータの値に基づいて前記音声を再生するものであり、
前記第1状態では、当該第1状態の時間経過に応じて前記パラメータの値を変化させ、
前記第2状態では、当該第2状態の時間経過に応じて前記パラメータの値を、前記第1状態における前記パラメータの変化とは逆方向に変化させてもよい。
【0009】
前記態様においては、
前記キャラクタ制御部は、前記パラメータの値に関わらず前記第1状態を継続する制御モードを有してもよい。
【0010】
第2の態様は、前記態様のプログラムを記憶した記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、
を備えた音響制御装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、キャラクタの呼吸音と動作の乖離を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】プレイヤキャラクタの呼吸音制御の一例を示す図である。
【
図3】プレイヤキャラクタの呼吸音制御の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
以下、プログラムをゲームプログラムとして実装し、音響制御装置をゲーム装置として実現した例を説明する。
【0014】
このゲームプログラムによるゲームは、仮想空間(三次元)で実施される。ゲームの種別等には限定はない。例えば、ゲームは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃して倒していく対戦型のアクションゲームとすることができる。
【0015】
このゲームでは、キャラクタが仮想空間内で走ったり、歩いたりして移動する。このゲームでは、種々の効果音が再生される。例えば、このゲームでは、キャラクタの呼吸音が再生される。
【0016】
《ゲーム装置の構成》
〈ハードウェアの構成〉
図1は、ゲーム装置5(音響制御装置)の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。
【0017】
ゲーム装置5には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの、市販の装置を利用できる。
【0018】
ゲーム装置5では、インストールされたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。ゲーム装置5同士は、通信ネットワーク(図示を省略)または近距離無線通信装置(図示せず)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0019】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0020】
ネットワークインターフェース51は、例えば、他のゲーム装置5や外部のサーバ装置(図示を省略)との間で各種データを送受信するために、前記通信ネットワークに通信可能に接続される。
【0021】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、プレイヤキャラクタおよび仮想空間における各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52はディスプレイ61(例えば液晶ディスプレイ)と接続されている。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0022】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されている。オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生する。具体的には、オーディオ処理部53は、制御部56が出力した音声データをアナログ信号に変換し、スピーカ62に出力する。
【0023】
オーディオ処理部53は、3次元的な音の再生を行うために、多チャンネルの音声出力ができるように構成されている。それに合わせて、ゲーム装置5には、複数のスピーカ62が接続されている。これらのスピーカ62は、3次元的な音の再生ができるように、聴取者(例えばゲームのプレイヤ)の左右、前後、上方などに配置される場合がある。
【0024】
操作部54は、コントローラ63と接続されている。操作部54は、信号をコントローラ63との間で送受信する。ゲームのプレイヤは、コントローラ63のボタン等の各種操作子を操作することで、ゲーム装置5に信号(命令やデータなど)を入力する。
【0025】
記憶部55は、HDD、SSD、RAM、ROMなどで構成される。記憶部55には、ゲームデータ、ゲームプログラムを含む各種プログラムなどが格納されている。ゲームデータとしては、ゲーム媒体やユーザのアカウント情報などを例示できる。
【0026】
制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、CPU(マイクロコンピュータ)、および半導体メモリを備えている。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムやデータなどが格納される。
【0027】
〈制御部56の機能的構成〉
制御部56は、ゲームプログラムを実行することによって、キャラクタ制御部561、音響処理部562として機能する(
図1参照)。
【0028】
-キャラクタ制御部561-
キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタ(以下、プレイヤキャラクタPC)、ノンプレイヤキャラクタ、および所定のオブジェクト(例えば乗り物など)を仮想空間内で動作させる。キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタPCやノンプレイヤキャラクタの動作に応じて、ゲームを進行させる。
【0029】
キャラクタ制御部561は、例えばAI(artificial intelligence)によってノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクトの動作を制御する。キャラクタ制御部561は、ユーザによるコントローラ63の操作に応じて、プレイヤキャラクタPCの動作を制御する。
【0030】
キャラクタ制御部561には、プレイヤキャラクタPCの制御モードとして、プレイヤキャラクタPCの状態を第1状態、第2状態、第3状態の何れかに制御する制御モードがある。
【0031】
第1状態では、プレイヤキャラクタPCは、呼吸の荒さが増大する態様をキャラクタがとる。「呼吸の荒さが増大する態様」とは、現実の世界において人や動物が行なったとすれば、その呼吸が荒くなる動作である。例えば、第1状態は、プレイヤキャラクタPCが仮想空間内で走る、泳ぐ、ジャンプする、格闘するといった動作を行なっている状態である。
【0032】
第2状態では、プレイヤキャラクタPCは、呼吸の荒さが低減する態様をキャラクタがとる。「呼吸の荒さが低減する態様」とは、現実の世界において人や動物が行なったとすれば、その呼吸の荒さが低減する動作(姿勢も含む)である。例えば、第2状態は、仮想空間内で立ち止まって動かない態様、歩いている態様、座っている態様等をプレイヤキャラクタPCがとっている状態である。
【0033】
第3状態は、呼吸の荒さが変化しない態様をプレイヤキャラクタPCがとっている状態である。例えば、第3状態は、プレイヤキャラクタPCが眠っている態様である。本ゲームプログラムでは、プレイヤキャラクタPCが歩く態様も、その速度等によっては、第3状態として取扱う場合がある。
【0034】
-音響処理部562-
音響処理部562は、ゲームに必要な音声の再生を制御する。具体的には、音響処理部562は、所定の音声データをオーディオ処理部53に出力する。
【0035】
音響処理部562は、プレイヤキャラクタPCの呼吸音の再生を制御する機能を有している。具体的に音響処理部562は、以下の処理を行なう。
【0036】
音響処理部562は、プレイヤキャラクタPCの動作に応じて、呼吸の荒さを示すパラメータ(以下、呼吸パラメータという)を設定(算出)する。この実施形態では、呼吸パラメータは、値が大きいほど呼吸が荒いことを示す。呼吸パラメータは、ゲーム開始時に初期値が設定される。呼吸パラメータには、下限値と上限値がある。
【0037】
呼吸パラメータの値は、時間の関数である。音響処理部562は、第1状態の継続時間に応じて、呼吸パラメータを増大させる。本実施形態では、音響処理部562は、第1状態の継続時間に比例して呼吸パラメータを増大させる。
【0038】
音響処理部562は、第2状態の継続時間に応じて、呼吸パラメータを減少させる。本実施形態では、音響処理部562は、第2状態の継続時間に比例して呼吸パラメータを減少させる。
【0039】
音響処理部562は、第3状態では、呼吸パラメータを変化させない。この実施形態では、第3状態における呼吸パラメータは、予め定めた定数である。
【0040】
音響処理部562は、プレイヤキャラクタPCの状態(第1状態、第2状態、第3状態)が切り替わる場合に、切り替り時点の呼吸パラメータを初期値として、新たな状態における呼吸パラメータを算出する。
【0041】
例えば、第1状態から第2状態に切り替わる場合において、第1状態の終了時の呼吸パラメータの値がv1であったとする。この場合、音響処理部562は、第2状態の開始時の呼吸パラメータの値をv1とし、時間の経過に応じて、呼吸パラメータの値を減少させる。
【0042】
呼吸パラメータは、プレイヤキャラクタPCの呼吸状態(呼吸の荒さ)を示しているといえる。音響処理部562は、呼吸パラメータの値に応じてプレイヤキャラクタPCの呼吸音を再生する再生モード(以下、呼吸音再生モード)を有する。
【0043】
呼吸音再生モードにおいて、音響処理部562は、第1状態では、呼吸の荒さが増大する様子を示す音声を再生する。詳しくは、音響処理部562は、呼吸パラメータの増大に応じて荒さが増大する呼吸音を再生する。換言すると、音響処理部562は、第1状態が継続する時間に応じて呼吸の荒さがより大きくなる音声を再生する。
【0044】
音響処理部562は、第2状態では、呼吸の荒さが減少する様子を示す音声を再生する。詳しくは、音響処理部562は、呼吸パラメータの減少に応じて荒さが低減する呼吸音を再生する。換言すると、音響処理部562は、第2状態が継続する時間に応じて呼吸の荒さがより低減する音声を再生する。
【0045】
第3状態では、呼吸パラメータは定数である。音響処理部562は、第3状態においては、荒さが一定の呼吸音を再生する。
【0046】
《動作例》
ゲームが開始されると、キャラクタ制御部561は、ユーザ(ゲームのプレイヤ)のコントローラ63の操作に応じて、プレイヤキャラクタPCを仮想空間内で動作させる。キャラクタ制御部561は、必要に応じてノンプレイヤキャラクタ等のオブジェクトも仮想空間内で動作させる。
【0047】
〈例1〉
図2は、プレイヤキャラクタPCの呼吸音制御の一例を示している。
図2の例では、t=0からt=t1までの間、キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタPCを第1状態に制御している。この例では、t=0からt=t1までの間、プレイヤキャラクタPCは、走っている。
【0048】
t=0からt=t1までの間、音響処理部562は、呼吸パラメータを時間経過に応じてから徐々に増大させる。t=0における呼吸パラメータはv0(t=0からt=tの期間における初期値)である。t=t1における呼吸パラメータの値はv1である。
【0049】
t=0からt=t1までの間、音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=0からt=t1までの間、時間経過とともに徐々に荒くなる呼吸音が、プレイヤキャラクタPCの呼吸音としてスピーカ62から出力される。
【0050】
t=t1からt=t2までの間、キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタPCを第2状態に制御している。この例では、t=t1からt=t2までの間、プレイヤキャラクタPCは、立ち止まっている。
【0051】
t=t1からt=t2までの間、音響処理部562は、呼吸パラメータの値を時間経過に応じて減少させる。t=t1における呼吸パラメータの値は、v1である。t=t2における呼吸パラメータの値はv2である。この例では、v1>v2>v0である。
【0052】
t=t1からt=t2までの間も、音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=t1からt=t2までの間、時間経過とともに徐々に荒さが低減して行く呼吸音が、PCの呼吸音としてスピーカ62から出力される。
【0053】
t=t2以降、キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタPCを第1状態に制御している。この例では、t=t2以降、プレイヤキャラクタPCは、再び、走っている。
【0054】
t=t2における呼吸パラメータの値は、v2である。t=t3における呼吸パラメータの値はv3である。この例では、v3>v2である。
図2の例では、t=t2からt=t3までの間、音響処理部562は、呼吸パラメータの値を時間経過に応じて増大させる。
【0055】
t=t2からt=t3までの間も、音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=t2からt=t3までの間、時間経過とともに徐々に荒くなる呼吸音が、プレイヤキャラクタPCの呼吸音としてスピーカ62から出力される。
【0056】
この例では、v3は、呼吸パラメータの上限値である。t=t3以降、音響処理部562は、呼吸パラメータの値を変化させない。t=t3以降、音響処理部562は、呼吸パラメータの値を変化の値を、v3(上限値)に維持する。
【0057】
t=t3以降も、音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=t3以降は、時間経過に関わりなく、所定荒さの呼吸音(このゲームにおいて最も荒い呼吸音)が、プレイヤキャラクタPCの呼吸音としてスピーカ62から出力される。
【0058】
以上の通り、音響処理部562は、第1状態、第2状態、第1状態の順でプレイヤキャラクタPCの状態が変化する場合において、第2状態に続く第1状態の開始時には、第2状態の前の第1状態が終了した時における音声が示す呼吸の荒さの程度(v1)よりも、荒さの程度が低い呼吸を示す音声を再生する再生モードを有する。
【0059】
〈例2〉
図3は、プレイヤキャラクタPCの呼吸音制御の他の例を示している。
図3の例では、t=0からt=t1までの間、プレイヤキャラクタPCは、第1状態に制御されている。
図3の例では、t=0からt=t1までの間、プレイヤキャラクタPCは、走っている。
【0060】
t=0からt=t1までの間、音響処理部562は、呼吸パラメータを時間経過に応じてから徐々に増大させる。t=0における呼吸パラメータはv0(t=0からt=t1の期間における初期値)である。t=t1における呼吸パラメータの値はv1である。
【0061】
音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=0からt=t1までの間、時間経過とともに徐々に荒くなる呼吸音が、プレイヤキャラクタPCの呼吸音としてスピーカ62から出力される。
【0062】
t=t1からt=t2までの間、プレイヤキャラクタPCは、第2状態に制御されている。この例では、t=t1からt=t2までの間、プレイヤキャラクタPCは、立ち止まっている。
【0063】
t=t1からt=t2までの間、音響処理部562は、呼吸パラメータの値を時間経過に応じて減少させる。t=t1における呼吸パラメータの値は、v1である。t=t2における呼吸パラメータの値はv2である。この例では、v1>v0>v2である。すなわち、v2の値は、v0よりも小さい場合がある。
【0064】
t=t1からt=t2までの間も、音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=t1からt=t2までの間、時間経過とともに徐々に荒さが低減して行く呼吸音が、プレイヤキャラクタPCの呼吸音としてスピーカ62から出力される。
【0065】
t=t2以降、キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタPCを第3状態に制御している。この例では、t=t2以降、プレイヤキャラクタPCは、ゆっくりと歩いている。
【0066】
図3の例では、t=t2以降、音響処理部562は、時間経過があっても、呼吸パラメータの値を変化させない。t=t2以降における呼吸パラメータの値はv2である。
【0067】
音響処理部562は、呼吸パラメータに応じた荒さの呼吸音の再生を、オーディオ処理部53に指示する。その結果、t=t2以降、一定の荒さの呼吸音が再生される。
【0068】
以上をまとめると、本件態様は、コンピュータ(制御部56)をユーザの操作に応じて、仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部561と、前記キャラクタの呼吸の音としての音声を再生する音響処理部562として機能させ、キャラクタ制御部561は、前記呼吸の荒さが増大する態様を前記キャラクタ(プレイヤキャラクタPC)がとる第1状態と、前記呼吸の荒さが低減する態様を前記キャラクタがとる第2状態との何れかに前記キャラクタを制御する制御モードを有し、前記音響処理部562は、前記第1状態においては前記呼吸の荒さが増大する様子を示す音声を再生するものであり、前記第1状態が継続する時間に応じて前記呼吸の荒さがより大きくなる音声を再生する再生モードを有するプログラムである。
【0069】
《本実施形態の効果》
以上のように、本実施形態によれば、プレイヤキャラクタPCがとる態様の継続時間に応じた荒さで呼吸音が再生される。本実施形態では、キャラクタの呼吸音と動作の乖離を軽減できる。
【0070】
[その他の実施形態]
呼吸パラメータは、プレイヤキャラクタPC以外のキャラクタ(ノンプレイヤキャラクタ)に適用して、呼吸音を制御してもよい。
【0071】
呼吸パラメータは、呼吸音の制御以外の用途で用いてもよい。例えば、キャラクタのモーションやエフェクトを変化させてもよい。より具体的には、呼吸パラメータの増大に応じて、呼吸をするモーションが速くなる、寒い気候で吐く息の白いエフェクトが変化する(大きくなる、多くなる)といった応用が考えられる。
【0072】
呼吸パラメータは、必ずしも時間に比例する値でなくてもよい。例えば、呼吸パラメータは、時間を変数とした2次関数や指数関数によって算出してもよい。
【0073】
音響処理部562は、第3状態では呼吸音を再生しないように実装してもよい。
【0074】
音響処理部562は、キャラクタが立ち止まっている間(第2状態の間)、そのキャラクタの呼吸音を再生しないようにしてもよい。この場合においても、音響処理部562は、呼吸パラメータは、時間経過に応じて低下させるとよい。
【0075】
キャラクタ制御部561には、呼吸パラメータの値に関わらず第1状態を継続する制御モードを実装してもよい。具体的には、キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタの呼吸パラメータが上限値に到達した後も、プレイヤキャラクタに第1状態(例えば走る動作)を継続させてもよい。
【0076】
一方で、キャラクタ制御部561は、呼吸パラメータとは別にスタミナパラメータを設けてキャラクタを制御してもよい。スタミナパラメータは、プレイヤキャラクタが走る動作や、ジャンプなどの所定の動作を行った際に減少する。キャラクタ制御部561は、キャラクタのスタミナパラメータが所定値以下となると、そのキャラクタの所定の動作を実行できなくなるように制御する。
【0077】
例えば、プレイヤキャラクタが第1状態(例えば走る動作)を継続している間、呼吸パラメータは増大し、スタミナパラメータは減少する。キャラクタ制御部561は、キャラクタの呼吸パラメータが上限値に到達した後も、スタミナパラメータが所定値以上である間は、そのキャラクタに第1状態を継続させる。キャラクタ制御部561は、キャラクタのスタミナパラメータが0(所定値以下)になると第1状態を解除し、キャラクタを強制的に第2状態に制御する。このような実装によって、演出の幅が広がる。
【0078】
ゲームプログラムは、いわゆるオンラインゲーム用のゲームプログラムとして実装してもよい。ゲームプログラムがオンラインゲーム用である場合には、ゲーム装置5で行っていた処理をそれらに代わってサーバ側で行ってもよいし、サーバ側とクライアント(ゲーム装置5)側とで分担してもよい。
【0079】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本態様の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0080】
5 ゲーム装置(音響制御装置)
55 記憶部
56 制御部(コンピュータ)
561 キャラクタ制御部
562 音響処理部