(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121299
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】プログラム、および音響制御装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/54 20140101AFI20240830BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240830BHJP
A63F 13/525 20140101ALI20240830BHJP
【FI】
A63F13/54
A63F13/55
A63F13/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028324
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 宏史
(72)【発明者】
【氏名】北川 貴大
(57)【要約】
【課題】音像定位における違和感を低減する。
【解決手段】コンピュータを、ユーザの操作に応じて仮想空間VS内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部561、キャラクタに紐付けられた第1音声と、第1音声とは異なる第2音声とを合成して出力する音響処理部563として機能させる。音響処理部563は、キャラクタに対応する位置を第1基準位置LP1として第1音声の音像を定位する第1処理と、第1基準位置LP1とは異なる位置を第2基準位置LP2として第2音声の音像を定位する第2処理とを行なう。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザの操作に応じて仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部と、
前記キャラクタに紐付けられた第1音声と、前記第1音声とは異なる第2音声とを合成して出力する音響処理部と、
して機能させ、
前記音響処理部は、
前記キャラクタに対応する位置を第1基準位置として前記第1音声の音像を定位する第1処理と、
前記第1基準位置とは異なる位置を第2基準位置として前記第2音声の音像を定位する第2処理と、
を行なう
プログラム。
【請求項2】
請求項1のプログラムにおいて、
前記音響処理部は、
前記第1基準位置に設定した第1仮想マイクによって前記第1音声を仮想的に集音して前記第1音声の音像を定位し、
前記第2基準位置に設定した第2仮想マイクによって前記第2音声を仮想的に集音して前記第2音声の音像を定位する処理を行なう
プログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2のプログラムにおいて、
前記音響処理部は、前記第1基準位置を前記キャラクタの後方に設定する
プログラム。
【請求項4】
請求項3のプログラムにおいて、
前記仮想空間を仮想的に撮影する仮想カメラを設定し、前記仮想カメラが前記キャラクタを撮影したものとして動画像を生成する表示部として前記コンピュータを機能させ、
前記表示部は、前記仮想カメラを前記キャラクタの斜め後方に配置し、
前記音響処理部は、前記第2基準位置を前記仮想カメラの後方に設定する
プログラム。
【請求項5】
請求項1または請求項2のプログラムを記憶した記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、
を備えた音響制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、および音響制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームプログラムのなかには、仮想空間において効果音を再生するものがある(例えば特許文献1を参照)。特許文献1の例では、シューティングゲームにおいて、銃声音などがゲーム中に再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンピュータを用いたゲームでは、プレイヤキャラクタが画面上の片寄った位置に表示される場合がある。この場合に、プレイヤキャラクタが発する音が、片寄った位置で発した音としてユーザに聞こえたとする。これではユーザの視線とは異なる方向から音が聞こえる場合があり、ユーザはプレイヤキャラクタに対しての感情移入が難しくなる。換言すると、違和感のある音像定位となってします。
【0005】
本開示は、音像定位における違和感の低減に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、コンピュータを、
ユーザの操作に応じて仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部と、
前記キャラクタに紐付けられた第1音声と、前記第1音声とは異なる第2音声とを合成して出力する音響処理部と、
して機能させ、
前記音響処理部は、
前記キャラクタに対応する位置を第1基準位置として前記第1音声の音像を定位する第1処理と、
前記第1基準位置とは異なる位置を第2基準位置として前記第2音声の音像を定位する第2処理と、
を行なうプログラムである。
【0007】
第1の態様において、
前記音響処理部は、
前記第1基準位置に設定した第1仮想マイクによって前記第1音声を仮想的に集音して前記第1音声の音像を定位し、
前記第2基準位置に設定した第2仮想マイクによって前記第2音声を仮想的に集音して前記第2音声の音像を定位する処理を行ってもよい。
【0008】
前記態様においては、
前記音響処理部は、前記第1基準位置を前記キャラクタの後方に設定してもよい。
【0009】
前記態様においては、
前記仮想空間を仮想的に撮影する仮想カメラを設定し、前記仮想カメラが前記キャラクタを撮影したものとして動画像を生成する表示部として前記コンピュータを機能させ、
前記表示部は、前記仮想カメラを前記キャラクタの斜め後方に配置し、
前記音響処理部は、前記第2基準位置を前記仮想カメラの後方に設定してもよい。
【0010】
第2の態様は、前記態様のプログラムを記憶した記憶部と、
前記プログラムを実行する制御部と、
を備えた音響制御装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、音像定位における違和感の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】ゲームのある時点におけるプレイヤキャラクタとノンプレイヤキャラクタの位置関係を示す平面図である。
【
図3】表示部によって生成された動画像の1フレーム分の例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
以下、プログラムをゲームプログラムとして実装し、音響制御装置をゲーム装置として実現した例を説明する。
【0014】
このゲームプログラムによるゲームは、仮想空間(三次元)で実施される。ゲームの種別等には限定はない。例えば、ゲームは、プレイヤキャラクタが敵キャラクタを攻撃して倒していく対戦型のアクションゲームとすることができる。
【0015】
このゲームプログラムでは、プレイヤキャラクタ等のキャラクタがゲーム画面内においてゲーム媒体を所持する場合がある。ここでの「所持」とは、例えば、キャラクタとゲーム媒体とが一体的に画面上に表示されることである。ゲームによっては、この「所持」することが「装備する」と表現される場合がある。
【0016】
キャラクタが所持するゲーム媒体としては、武器を例示できる。以下では、プレイヤキャラクタは、ゲーム媒体としての銃器(例えばショットガン)を所持しているものとする。プレイヤキャラクタは、その銃で敵キャラクタを攻撃することができる。
【0017】
このゲームでは、仮想空間における仮想音源が発した音声として種々の音声が再生される。キャラクタが所持するゲーム媒体は、仮想空間における仮想音源となり得る。つまり、このゲームでは、ゲーム媒体が発した音として音声が再生される。例えば、銃器(ゲーム媒体)は、発砲音を発する場合(正確には発砲音を模擬した音声が再生される場合)がある。
【0018】
《ゲーム装置の構成》
〈ハードウェアの構成〉
図1は、ゲーム装置5(音響制御装置)の構成を示すブロック図である。ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびコントローラ63が外部接続または内蔵される。
【0019】
ゲーム装置5には、例えば、パーソナルコンピュータ、プレイステーション(登録商標)、XBox(登録商標)、PlayStation Vita(登録商標)、Nintendo Switch(登録商標)などの、市販の装置を利用できる。
【0020】
ゲーム装置5では、インストールされたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいてゲームが進行する。ゲーム装置5同士は、通信ネットワーク(図示を省略)または近距離無線通信装置(図示せず)を用いて、互いにデータ通信を行うことができる。
【0021】
ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0022】
ネットワークインターフェース51は、例えば、他のゲーム装置5や外部のサーバ装置(図示を省略)との間で各種データを送受信するために、前記通信ネットワークに通信可能に接続される。
【0023】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、プレイヤキャラクタおよび仮想空間における各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52はディスプレイ61(例えば液晶ディスプレイ)と接続されている。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0024】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続されている。オーディオ処理部53は、制御部56の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生する。具体的には、オーディオ処理部53は、制御部56が出力した音声データをアナログ信号に変換し、スピーカ62に出力する。
【0025】
オーディオ処理部53は、3次元的な音の再生を行うために、多チャンネルの音声出力ができるように構成されている。それに合わせて、ゲーム装置5には、複数のスピーカ62が接続されている。これらのスピーカ62は、3次元的な音の再生ができるように、聴取者(例えばゲームのプレイヤ)の左右、前後、上方などに配置される場合がある。
【0026】
操作部54は、コントローラ63と接続されている。操作部54は、信号をコントローラ63との間で送受信する。ゲームのプレイヤは、コントローラ63のボタン等の各種操作子を操作することで、ゲーム装置5に信号(命令やデータなど)を入力する。
【0027】
記憶部55は、HDD、SSD、RAM、ROMなどで構成される。記憶部55には、ゲームデータ、ゲームプログラムを含む各種プログラムなどが格納されている。ゲームデータとしては、ゲーム媒体やユーザのアカウント情報などを例示できる。
【0028】
制御部56は、ゲーム装置5の動作を制御する。制御部56は、CPU(マイクロコンピュータ)、および半導体メモリを備えている。半導体メモリには、CPUを動作させるためのプログラムやデータなどが格納される。
【0029】
〈制御部56の機能的構成〉
制御部56は、ゲームプログラムを実行することによって、キャラクタ制御部561、表示部562、音響処理部563として機能する(
図1参照)。
【0030】
-キャラクタ制御部561-
キャラクタ制御部561は、ユーザ(ここではゲームのプレイヤ)の指示に応じて、仮想空間内でプレイヤキャラクタを動作させる。ユーザの指示は、操作部54を介してキャラクタ制御部561に入力される。
【0031】
キャラクタ制御部561は、ノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクト(例えば乗り物など)も仮想空間内で動作させる。キャラクタ制御部561は、例えばAI(artificial intelligence)によってノンプレイヤキャラクタや所定のオブジェクトの動作を制御する。キャラクタ制御部561は、プレイヤキャラクタやノンプレイヤキャラクタの動作に応じてゲームを進行させる。
【0032】
キャラクタ制御部561は、ユーザの指示に応じて、音声の発音を指示する信号(以下、発音信号という)を音響処理部563に出力する。例えば、このゲームプログラムでは、ユーザは、コントローラ63の操作子を操作することによって、プレイヤキャラクタが所持した銃器の発砲をキャラクタ制御部561に指示することができる。
【0033】
キャラクタ制御部561は、ゲームの進行に応じて、発音信号を音響処理部563に出力する場合もある。例えば、キャラクタ制御部561は、ノンプレイヤキャラクタの動作にともなって、ノンプレイヤキャラクタの発音を指示する発音信号を音響処理部563に出力する場合もある。
【0034】
-表示部562-
表示部562は、仮想的なカメラ(以下、仮想カメラVCという)がプレイヤキャラクタを撮影したものとして動画像を生成する。つまり、表示部562は、仮想空間から切り取った一部分の範囲について動画像を生成する。仮想カメラVCは、プレイヤキャラクタの移動にともなって移動する。
【0035】
図2は、ゲームのある時点におけるプレイヤキャラクタPCとノンプレイヤキャラクタNPCの位置関係を示す平面図である。仮想空間VS内には、3つの建物のオブジェクトが存在する。以下、3つの建物オブジェクトのそれぞれを、建物B1,B2,B3とする。
【0036】
図2の例では、仮想空間VS内には、建物B1,B2,B3に隣接した道路R(T字路)も存在する。プレイヤキャラクタPCと、複数のノンプレイヤキャラクタNPCは、道路R上に存在する。
【0037】
この実施形態では、表示部562は、プレイヤキャラクタPCの右斜め後方に仮想カメラVCを配置している(
図2参照)。仮想カメラVCは、プレイヤキャラクタPCの右斜め後方において、プレイヤキャラクタPCの前方(建物B3の方向)を向いて撮影している。
【0038】
図3は、表示部562によって生成された動画像の1フレーム分の例である。
図3は、
図2に示した状況下で撮影された画像である。表示部562が生成した動画像では、プレイヤキャラクタPCは、画面の左よりに後ろ姿が表示されている。プレイヤキャラクタPCが左よりに表示されているので、ユーザは、プレイヤキャラクタPCの正面にいるノンプレイヤキャラクタNPCを画面上で視認できる。
【0039】
表示部562は、生成した動画像データをグラフィック処理部52に出力する。グラフィック処理部52は、受け取った動画像データに基づいて、動画像をディスプレイ61に表示する。
【0040】
-音響処理部563-
このゲームプログラムでは、種々の音声データが予め用意されている。例えば、このゲームプログラムでは、銃器の発砲音や、弾丸の着弾音などが用意されている。音響処理部563は、ゲームの進行に応じて音声データを再生する。具体的に音響処理部563は、ゲームの進行に応じた音声データを選択し、選択した音声データをオーディオ処理部53に出力する。
【0041】
このゲームでは、仮想空間内に存在する仮想音源の音声が、その仮想音源の位置において発せられたように、音響的な演出が行われる。例えば、画面の左方にある仮想音源(オブジェクト)が仮想的に音声を発したとする。この場合、左方からの音としてユーザが認識できるように、スピーカ62から音声が出力される。
【0042】
この音響的演出を行なうために、音響処理部563は、音声の再生において音像定位を行う。音像定位とは、人間(ユーザ)が感じる音源の位置を、仮想空間内の所定仮想位置に定位させることである。
【0043】
音響処理部563は、音像定位を行うために、音声が聴取される仮想の受音点として仮想のマイクロフォン(以下、仮想マイク)を仮想空間に設定する。仮想マイクは、画面(ディスプレイ61)には表示されない。
【0044】
音響処理部563は、仮想の音源から発せられた音声を、仮想マイクで集音したような音響表現で、スピーカ62に出力する。仮想マイクは仮想の聴取者であり、仮想マイクの位置は音響処理部563による音像定位の基準位置である。
【0045】
音響処理部563は、2つの仮想マイクを設定する。以下では、2つの仮想マイクを、それぞれ第1仮想マイクL1、第2仮想マイクL2と命名する。また、仮想空間VSにおける第1仮想マイクL1の位置を第1基準位置LP1と呼ぶ。仮想空間VSにおける第2仮想マイクL2の位置を第2基準位置LP2と呼ぶ。
【0046】
図2は、第1仮想マイクL1の配置および第2仮想マイクL2の配置例も示している。第1仮想マイクL1は、プレイヤキャラクタPCの近傍に設定されている。より具体的には、第1仮想マイクL1は、プレイヤキャラクタPCの真後ろに配置されている。換言すると、第1基準位置LP1は、プレイヤキャラクタPCに対応する位置である。第1仮想マイクL1(第1基準位置LP1)は、プレイヤキャラクタPCの移動にともなって移動する。
【0047】
第1仮想マイクL1は、プレイヤキャラクタPCに紐付けられた音声のみを集音する。換言すると、第1基準位置LP1は、第1音声の音像を定位する場合における基準位置(仮想聴取者の位置)である。
【0048】
ここで、プレイヤキャラクタPCに紐付けられた音声(以下、第1音声という)とは、プレイヤキャラクタPCを仮想音源とする音、プレイヤキャラクタPCが装備するアイテムを仮想音源とする音などである。より具体的に、第1音声としては、プレイヤキャラクタPCの声、プレイヤキャラクタPCの装備品(衣装など)の音、装備した武器(銃器)の音などを例示できる。
【0049】
第2仮想マイクL2は、第1音声以外の音声(以下、第2音声という)を集音する。本ゲームプログラムでは、プレイヤキャラクタPC以外にも、仮想音源となり得るオブジェクトが存在する。第2音声は、仮想音源となり得るオブジェクトが発したものとして再生される音声である。第2音声としては、ノンプレイヤキャラクタNPCの声(例えば叫び声)、仮想空間VS内に配置されたアイテム(自動車、電話機など)が発する音等を例示できる。
【0050】
第2基準位置LP2は、第2音声の音像を定位する場合における基準位置(仮想聴取者の位置)である。第2基準位置は、第1基準位置とは異なる位置である。第2仮想マイクL2は、仮想カメラVCの真後ろに配置されている(
図2参照)。第2仮想マイクL2(第2基準位置LP2)は、仮想カメラVCの移動にともなって移動する。
【0051】
《動作例》
ゲームが開始されると、キャラクタ制御部561は、ユーザ(ゲームのプレイヤ)のコントローラ63の操作に応じて、プレイヤキャラクタPCを仮想空間VS内で動作させる。キャラクタ制御部561は、必要に応じてノンプレイヤキャラクタNPC等のオブジェクトも仮想空間VS内で動作させる。
【0052】
ゲームが進行し、プレイヤキャラクタPCが敵キャラクタ(ノンプレイヤキャラクタNPC)に遭遇したとする。具体的には、
図2、
図3に示すように、プレイヤキャラクタPCと複数のノンプレイヤキャラクタNPCが対峙しているとする。また、プレイヤキャラクタPCは、武器Wを装備しているものとする(
図3参照)。この例において武器Wは、銃器である。
【0053】
ここで、キャラクタ制御部561が、ノンプレイヤキャラクタNPCの動作制御の一環として、その叫び声の再生を指示する発音信号を音響処理部563に出力したとする。ノンプレイヤキャラクタNPCの叫び声は、第2音声である。
【0054】
音響処理部563は、ノンプレイヤキャラクタNPCの叫び声(第2音声)を第2仮想マイクL2で集音したものとして音声データを生成する。つまり、第2基準位置LP2において第2音声を聴取したものとして、ユーザが感じる第2音声の仮想音源の位置を定位させる。
【0055】
音響処理部563は、生成した音声データをオーディオ処理部53に出力する。オーディオ処理部53は、音声データをアナログ信号に変換し、スピーカ62に出力する。
【0056】
図2に示す状況下では、ノンプレイヤキャラクタNPCは、仮想カメラVCの概ね正面に位置している。換言すると、ノンプレイヤキャラクタNPCは、第2仮想マイクL2の正面に位置している。そのため、
図2に示す状況下では、ノンプレイヤキャラクタNPCの叫び声は、正面からの音としてユーザに聞こえる。
【0057】
ユーザがコントローラ63を操作して武器Wの発砲を指示したとする。武器Wの発砲音は、第1音声である。キャラクタ制御部561は、ユーザの指示に応じ、発砲音の再生を指示する発音信号を音響処理部563に出力する。
【0058】
音響処理部563は、武器Wの発砲音(第1音声)を第1仮想マイクL1で集音したように音像を定める音声データを生成する。つまり、第1基準位置LP1において第1音声を聴取したものとして、ユーザが感じる第1音声の仮想音源(武器W)の位置を定位させる。
【0059】
音響処理部563は、生成したオーディオ処理部53に出力する。オーディオ処理部53は、音声データをアナログ信号に変換し、スピーカ62に出力する。
【0060】
図2に示す状況下では、武器Wは、第2仮想マイクL2の概ね正面に位置している。そのため、プレイヤキャラクタPCが画面左寄りに位置していても、武器Wの発砲音は、正面からの音としてユーザに聞こえる。
【0061】
以上をまとめると、本件態様は、コンピュータ(制御部56)を、ユーザの操作に応じて仮想空間内のキャラクタを制御するキャラクタ制御部561と、前記キャラクタに紐付けられた第1音声と、前記第1音声とは異なる第2音声とを合成して出力する音響処理部563として機能させ、前記音響処理部563は、前記キャラクタに対応する位置を第1基準位置LP1として前記第1音声の音像を定位する第1処理と、前記第1基準位置とは異なる位置を第2基準位置LP2として前記第2音声の音像を定位する第2処理とを行なうプログラムである。
【0062】
《本実施形態の効果》
本実施形態では、2つの仮想マイクL1,L2を設けている。第1仮想マイクL1は、プレイヤキャラクタPC専用の聴取者である。
【0063】
本実施形態では、第2音声は、仮想音源(オブジェクト)の位置から発せられた音としてユーザには聞こえる。第2音声に関しては、ユーザにとって自然な音像定位である。
【0064】
一方、第1音声は、プレイヤキャラクタPCが画面上の片寄った位置に表示されていても、ユーザの正面且つ近傍で発せられた音としてユーザに聞こえる。ユーザがプレイヤキャラクタPCになったつもりで画面を見てプレイしているとすれば、このように第1音声が音像定位されるのがユーザにとって自然である。
【0065】
以上の通り、本実施形態によれば、音像定位における違和感の低減が可能になる。
【0066】
[その他の実施形態]
仮想カメラVCの位置や撮影方向は例示である。例えば、仮想カメラVCをプレイヤキャラクタの左斜め後方に配置してもよいし、ユーザが位置や撮影方向を設定できるようにしてもよい。
【0067】
第1仮想マイクL1の位置(第1基準位置LP1)および第2仮想マイクL2の位置(第2基準位置LP2)も例示である。例えば、これらの仮想マイクL1,L2の位置は、音像定位に関してユーザに違和感が起こらない範囲において変更可能である。
【0068】
第1音声として説明したプレイヤキャラクタPCの声等は例示に過ぎない。どのような音をプレイヤキャラクタPCに紐付けるかは、プログラム開発者の任意である。
【0069】
プログラムは、ゲームプログラム以外にも応用が可能である。音響制御装置は、ゲーム装置5以外の装置として実現できる。
【0070】
音響制御装置は、サーバとクライアントに分けて実現してもよい。この場合には、制御部56で行っていた処理をそれらに代わってサーバ側で行ってもよいし、サーバ側とクライアント側とで分担してもよい。
【0071】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本態様の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0072】
5 ゲーム装置(音響制御装置)
55 記憶部
56 制御部(コンピュータ)
561 キャラクタ制御部
562 表示部
563 音響処理部
L1 第1仮想マイク
L2 第2仮想マイク
LP1 第1基準位置
LP2 第2基準位置
VC 仮想カメラ
VS 仮想空間