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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121325
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】野菜の芯取り機
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028364
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】593219931
【氏名又は名称】株式会社榎村鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】木村 崇
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061AA02
4B061AB08
4B061BA03
4B061BB05
4B061BB07
4B061BB13
4B061BB17
4B061CB03
4B061CB04
4B061CB13
4B061CB16
(57)【要約】
【課題】材料受け20にキャベツ21等の野菜を載置するときの芯合わせ作業が容易で作業効率に優れ、また野菜の商品価値の低下を来さない野菜の芯取り機10を提供すること。
【解決手段】載置ステーション10Aにおいて作業者がキャベツ21を材料受け20に載置するとき、キャベツ21の芯21aの底部を上に向け、レーザーマーカー22の照射光を目印にしてキャベツ21を材料受け20の所定箇所に載置する。キャベツ21を材料受け20の所定箇所に載置する芯合わせ作業が容易、迅速に行える。芯取り刃23と芯割り刃26を昇降させて芯取りを行い、芯取り刃23の回転を伴わない。また、芯取り刃23で芯21aを切り抜くと同時に芯割り刃26で芯21aを分割し、切り抜かれて分割された状態で芯取り刃23に押し込まれている芯21aを後続のキャベツ21の芯21aで押し出して芯取り刃23の上面開口23bから排出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料受けが固定され、間欠的に駆動されるコンベアベルトを備え、コンベアベルトの上流側から下流側へ順に載置ステーションと芯取りステーション及び排出ステーションを設け、
載置ステーションにおいて、載置位置に材料受けを停止して野菜を材料受けの所定箇所に載置し、芯取りステーションにおいて、材料受けを芯取り位置に停止して載置されている野菜からその芯を芯取り刃で切り取り、
排出ステーションにおいて、芯取りした野菜を材料受けから排出する野菜の芯取り機であって、
載置位置の上方にレーザーマーカーを設置し、
芯取り位置の上方に芯取り用材料押えと、上下両端面が開口し下端開口に刃が形成された筒型の芯取り刃と、芯割り刃を芯取り用モータで昇降可能に設け、
載置位置で野菜を材料受けに載置するとき野菜の芯の底部を上に向け、レーザーマーカーの照射光を目印にして野菜を材料受けの所定箇所に載置し、
芯取り位置で芯取り用材料押えを下降させて野菜を材料受けに押し付け、芯取り刃と芯割り刃を下降させ、芯取り刃で芯を切り割いて芯取り刃に押し込み、芯の上部を芯割り刃で分割し、
芯取り刃に押し込まれた芯を後続の野菜の芯を切り抜くときに後続の野菜の芯で芯取り刃の上面開口から押し出して排出するようにしたことを特徴とする野菜の芯取り機。
【請求項2】
芯割り刃を兼用する上割り刃を芯取り刃の下端開口を横断して外周面から左右又は前後に延伸するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の芯取り機。
【請求項3】
芯取り刃と芯割り刃を一体に設けるとともに、芯取り刃と芯取り用材料押えを解除可能に連結するロック手段を設け、
芯取り刃は、芯割り刃が芯を所定深さに分割するまで下降して停止し、
芯取り刃が下降するとき芯取り用材料押えは自重で芯取り刃に乗って野菜に当接するまで下降し、
芯取り刃が下降して停止したとき、ロック手段で芯取り刃と芯取り用材料押えが連結され、
芯取り刃が上昇するとき芯取り刃と一体に芯取り用材料押えが上昇するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の野菜の芯取り機。
【請求項4】
材料受けを横割り位置に停止させて野菜を横に分割する横割りステーションを芯取りステーションの下流に設置し、
横割り位置に横割り用材料押えを材料押えモータで昇降可能に設けるとともに、横割り用材料押えに連動して昇降する横割り刃を横割り用モータで材料受けの進行方向に沿って往復移動可能に設け、
横割り用材料押えを下降させて野菜を材料受けに押し付けるとともに、横割り用材料押えに連動して横割り刃を所定位置まで下降させ
所定位置で横割り刃を材料受けの進行方向に往復移動させて野菜を上下に分割するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の野菜の芯取り機。
【請求項5】
横割り刃に十字に交差する横割り縦刃を設け、横割り刃で上下に分割すると同時に横割り縦刃で左右に分割するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の野菜の芯取り機。
【請求項6】
横割り用材料押えと一体に昇降するラックを設けるとともに、横割り刃と一体に昇降するピニオンを設け、
ラックにピニオンを噛み合せ、横割り刃が横割り用材料押えと材料受けの間の中央に位置しながら横割り用材料押えに連動して下降するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の野菜の芯取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャベツ、レタス、白菜等の野菜の芯を取り除く野菜の芯取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の野菜の芯取り機の一例として特許第5685681号公報には間欠的に駆動されるコンベアベルトを備え、コンベアベルトに野菜が載置される材料受けを固定し、コンベアベルトの上流側から下流側へ順に載置ステーションと芯取りステーション及び排出ステーションを設けた芯取り機の構成が開示されている。
【0003】
この芯取り機では、載置ステーションにおいて載置位置に材料受けを停止して野菜が載置される。この材料受けには野菜を載置するための切り欠きが形成され、芯の底部を下にして野菜を材料受けの切り欠き部分に載置する。
【0004】
芯取りステーションでは材料受けを芯取り位置に停止し、載置されている野菜からその芯が芯取り刃で切り取られ、ついで排出ステーションにおいて芯取りした野菜が材料受けから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5685681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の野菜の芯取り機では、野菜の芯の底部を下に向けて材料受けの切り欠き部分に正しく載置するため、材料受けの下方にカメラを設置し、そのカメラで野菜を撮影し、撮影画像をモニターで見ながら作業を行っている。そのため、作業者は視線をモニターと材料受けの間で動かさなければならず、野菜を材料受けに載置する際の芯合わせの作業,すなわち野菜の芯が次の芯取りステーションにおいて芯取り刃できれいに芯取りされるように野菜を材料受けの所定箇所に載置する作業が甚だ面倒で、作業効率が悪い。
また、芯取り刃を回転させ、芯を細かく裁断して除去するので、芯の除去部分の見栄えが悪いだけでなく、除去部分から野菜が傷みやすく、野菜の商品価値が低下する。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、材料受けに野菜を載置するときの芯合わせ作業が容易で作業効率に優れ、また野菜の商品価値の低下を来さない野菜の芯取り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
材料受けが固定され、間欠的に駆動されるコンベアベルトを備え、コンベアベルトの上流側から下流側へ順に載置ステーションと芯取りステーション及び排出ステーションを設け、
載置ステーションにおいて、載置位置に材料受けを停止して野菜を材料受けの所定箇所に載置し、芯取りステーションにおいて、材料受けを芯取り位置に停止して載置されている野菜からその芯を芯取り刃で切り取り、
排出ステーションにおいて、芯取りした野菜を材料受けから排出する野菜の芯取り機であって、
載置位置の上方にレーザーマーカーを設置し、
芯取り位置の上方に芯取り用材料押えと、上下両端面が開口し下端開口に刃が形成された筒型の芯取り刃と、芯割り刃を芯取り用モータで昇降可能に設け、
載置位置で野菜を材料受けに載置するとき野菜の芯の底部を上に向け、レーザーマーカーの照射光を目印にして野菜を材料受けの所定箇所に載置し、
芯取り位置で芯取り用材料押えを下降させて野菜を材料受けに押し付け、芯取り刃と芯割り刃を下降させ、芯取り刃で芯を切り割いて芯取り刃に押し込み、芯を芯割り刃で分割し、
芯取り刃に押し込まれた芯を後続の野菜の芯を切り抜くときに後続の野菜の芯で芯取り刃の上面開口から押し出して排出するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の芯取り機において、
芯割り刃を兼用し、野菜を前後又は/及び左右に分割する上割り刃を、芯取り刃の下端開口を横断して、芯取り刃の外周面から左右又は前後に延伸するように設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の野菜の芯取り機において、
芯取り刃と芯割り刃を一体に設けるとともに、芯取り刃と芯取り用材料押えを解除可能に連結するロック手段を設け、
芯取り刃は、芯割り刃が芯を所定深さに分割するまで下降して停止し、
芯取り刃が下降するとき芯取り用材料押えは自重で芯取り刃に乗って野菜に当接するまで下降し、
芯取り刃が下降して停止したとき、ロック手段で芯取り刃と芯取り用材料押えが連結され、
芯取り刃が上昇するとき芯取り刃と一体に芯取り用材料押えが上昇するようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の野菜の芯取り機において、
材料受けを横割り位置に停止させて野菜を横に分割する横割りステーションを芯取りステーションの下流に設置し、
横割り位置に横割り用材料押えを材料押えモータで昇降可能に設けるとともに、横割り用材料押えに連動して昇降する横割り刃を横割り用モータで材料受けの進行方向に沿って往復移動可能に設け、
横割り用材料押えを下降させて野菜を材料受けに押し付けるとともに、横割り用材料押えに連動して横割り刃を所定位置まで下降させ
所定位置で横割り刃を材料受けの進行方向に往復移動させて野菜を上下に分割するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の野菜の芯取り機において、
横割り刃に十字に交差する横割り縦刃を設け、横割り刃で上下に分割すると同時に横割り縦刃で左右に分割するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の野菜の芯取り機において、
横割り用材料押えと一体に昇降するラックを設けるとともに、横割り刃と一体に昇降するピニオンを設け、
ラックにピニオンを噛み合せ、横割り刃が横割り用材料押えと材料受けの間の中央に位置しながら横割り用材料押えに連動して下降するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、載置ステーションにおいて作業者が野菜を材料受けに載置するとき、野菜の芯の底部を上に向け、レーザーマーカーの照射光を目印にして野菜を材料受けの所定箇所に載置するので、野菜を材料受けの所定箇所に載置する芯合わせ作業が容易、迅速に行える。
芯取り刃と芯割り刃を昇降させて芯取りを行い、芯取り刃の回転を伴わない。また、芯取り刃で芯を切り抜くと同時に芯割り刃で芯を分割し、切り抜かれて分割された状態で芯取り刃に押し込まれている芯を、後続の野菜の芯を切り抜くときに後続の野菜の芯で押し出して芯取り刃の上面開口から排出する。このため、短時間で芯の除去部分をきれいに除去でき、芯取りした野菜の見栄えも良く、傷み難い。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、芯取り刃の昇降に伴い、芯割り刃を兼用する上割り刃で野菜を前後又は/及び左右に分割できる。
請求項3に記載の発明によれば、単一の芯取り用モータで材料押えと芯取り刃及び芯割り刃の3つの部材を昇降させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、芯取りした野菜を上下2個の野菜片に分割できる。
請求項5に記載の発明によれば、芯取りした野菜を計4個の野菜片に分割できる。
また、請求項6に記載の発明によれば、野菜を嵩がほぼ等しい上下の野菜片に分割できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係るキャベツの芯取り機の外観を示す斜視図である。
図2】同キャベツの芯取り機の概略を示す左側面図である。
図3】同キャベツの芯取り機の概略を示す後面図である。
図4】同キャベツの芯取り機の主要部を示す斜視図である。
図5】同キャベツの芯取り機の主要部を示す斜視図である。
図6】同キャベツの芯取り機の芯取りステーションの概略を示す説明図である。
図7】同キャベツの芯取り機の芯取りステーションの概略を示す説明図である。
図8】同キャベツの芯取り機の芯取りステーションの概略を示す説明図である。
図9】同キャベツの芯取り機の芯取りステーションの概略を示す説明図である。
図10】同キャベツの芯取り機の芯取りステーションの概略を示す説明図である。
図11】同キャベツの芯取り機の芯取りステーションの概略を示す説明図である。
図12】同キャベツの芯取り機の芯取り刃を示す斜視図である。
図13】同キャベツの芯取り機で芯取りしたキャベツを示す斜視図である。
図14】同キャベツの芯取り機の横割りステーションの概略を示す正面図である。
図15図14の15-15線から切断した断面図である。
図16】同キャベツの芯取り機の横割り刃を示す斜視図である。
図17】同キャベツの芯取り機の横割りステーションの概略を示す正面図である。
図18】同キャベツの芯取り機の横割りステーションの概略を示す断面図である。
図19図17の19-19線から切断した断面図ある。
図20】同キャベツの芯取り機の横割りステーションの概略を示す断面図である。
図21】同キャベツの芯取り機で芯取りし、横から4つ割りしたキャベツを示す斜視図である。
図22】同キャベツの芯取り機の他の芯取り刃を示す斜視図である。
図23】同キャベツの芯取り機で芯取りし、上から2つ割りしたキャベツを示す斜視図である。
図24】同キャベツの芯取り機で芯取りし、上から4つ割りしたキャベツを示す斜視図である。
【実施例0017】
以下に本発明を図面に基づき説明する。図1図2及び図3には本発明の一実施例に係るキャベツの芯取り機10が示されている。この芯取り機10はコンベアベルト11、コンベア用モータ12、芯取り用モータ13、横割り用材料押えモータ14、横割り用モータ15、及びこれら各種モータ12,13,14,15を制御する制御ボックス16を備え、コンベアベルト11の上流側から下流側へ順に載置ステーション10A、芯取りステーション10B、横割りステーション10C及び排出ステーション10Dが設けられれている。
【0018】
コンベアベルト11には複数個の材料受け20が固定されている。この材料受け20はコンベアベルト11の進行方向に沿って等間隔で並べられている。材料受け20の中央部にはキャベツ21を受ける窪み20aが形成されている。
【0019】
コンベアベルト11は間欠的に駆動され、載置ステーション10Aでは、材料受け20が載置位置に停止し、そこで作業者がキャベツ21を材料受け20に載置する。芯取りステーション10Bでは材料受け20が芯取り位置に停止し、材料受け20に載置されているキャベツ21からその芯21aが切り取られる。横割りステーション10Cでは芯取りしたキャベツ21が上下二つのキャベツ片に分割される。そして分割されたキャベツ片が排出ステーション10Dで材料受け20から排出される。
【0020】
載置ステーション10Aにはレーザーマーカー22が設置されている。このレーザーマーカー22から載置位置に停止している材料受け20の窪みに向けて十字光が照射される。作業者はキャベツ21の芯21aの底部を上に向け、レーザーマーカー22から照射される十字光を目印にして芯合わせしながらキャベツ21を材料受け20に載置する。
【0021】
図2図4図5及び図6図11に示すように、芯取りステーション10Bにおける材料受け20が停止する芯取り位置の上方には芯取り刃23と芯取り用材料押え24が設けられている。
図12に示すように、芯取り刃23は下端開口23aと上端開口23bを有する円筒型を有し、下端開口端面に刃23aが形成され、T字形の取付用プレート25の下端部に固定されている。この取付用プレート25の先端には芯割り刃26が固定されている。この芯割り刃26は芯取り刃23の内部を縦に二分するように芯取り刃23の内部に垂設されている。
【0022】
図4図5に示すように、芯取り刃23と芯割り刃26が取り付けられたT字形プレート25は芯取り用フレーム27と一体に連結されている。芯取り用フレーム27は機枠28(図4または図5参照)に垂設された第1ガイドロッド27aに昇降可能に組み付けられている。芯取り用フレーム27には芯取り用カム30が固定されている。芯取り用フレーム27は芯取り用モータ13で回転する第1クランク31とコネクティングロッド32を介して連結されているので、芯取り用モータ13によって芯取り用フレーム27及び一体のT字形プレート25、T字形プレート25に固定された芯取り刃23と芯割り刃26が第1ガイドロッド27aに沿って昇降する。
【0023】
図6に示すように、芯取り用材料押え24は材料押え用フレーム24Aの下縁に設けられている。この材料押え用フレーム24Aは機枠28に垂設した第2ガイドロッド33に昇降可能に組み付けられている。材料押え用フレーム24Aの上縁部は芯取り用フレーム27に自重で乗っている。機枠28に垂設した第1ロッド29の一側にはラッチ状の溝29aが長手方向に沿って列設されている。材料押え用フレーム24Aにはこのラッチ状の溝29aに掛合するロック爪34が取り付けられ、コイルスプリング34bでラッチ状の溝29aに掛合する方向に付勢されている。このロック爪34の下部にはテーパ面34aが形成されている。一方、芯取り用カム30の左右両端部の上部には芯取り用カム30の昇降に伴い、ロック爪34のテーパ面34aに摺接し、又は離間するカム面30aが形成されている。芯取り用カム30のカム面30aがロック爪34のテーパ面34aに摺接しているとき、ロック爪34はコイルスプリング34bの付勢力に抗してラッチ状の溝29aから離れる。この状態では、材料押え用フレーム24Aの上縁が自重で芯取り用フレーム27に乗っているので、材料押え用フレーム24Aの下縁に設けた芯取り用材料押え24が芯取り用フレーム27と一体に昇降する。一方、芯取り用カム30のカム面30aがロック爪34のテーパ面34aから離間しているとき、ロック爪34はコイルスプリング34bで付勢され、ラッチ状の溝29aに係合するので、材料押え用フレーム24Aが第1ロッド29に連結されて停止する。
【0024】
芯取りステーション10Bにおいて、材料受け20に載置されているキャベツ21からその芯21aを切り取る工程を図6図11を参照して説明する。
コンベアモータ12でコンベアベルト11が駆動され、載置ステーション10Aでキャベツ21が載置された材料受け20が移動し、芯取り位置に到達するとコンベアモータ12の駆動が停止し、図6に示すように、材料受け20が芯取り位置に停止する。このとき芯取り刃23、芯割り刃26及び芯取り用材料押え24は上昇ストローク端にセットされている。上昇ストローク端では、芯取り用カム30のカム面30aがロック爪34のテーパ面34aに当接し、ロック爪34がコイルスプリング34bの付勢力に抗してラッチ状の溝29aから離れている。そのため、材料押え用フレーム24Aの上縁が自重で芯取り用フレーム27に乗っている。
【0025】
次に図7に示すように、芯取り用モータ13で第1クランク31が駆動され、芯取り用フレーム27が下降し、芯取り刃23でキャベツ21の芯21aの外周部が切り割かれ、芯割り刃26でキャベツ21の芯21aが縦に割かれ左右2個に分割される。そして、芯取り用フレーム27の下降に伴い、芯取り用材料押え24を設けた材料押え用フレーム24Aも自重で下降し、芯取り用材料押え24がキャベツ21に当接してキャベツ21を押えて下降が停止するが、芯取り刃23と芯割り刃26はさらに下降する。
【0026】
図8に示すように、芯取り用材料押え24が停止した後、芯取り用フレーム27がさらに下降すると芯取り用カム30のカム面30aがロック爪34のテーパ面34aから離脱するので、ロック爪34がコイルスプリング34bで付勢されてラッチ状の溝29aに掛止する。そのため芯取り用材料押え24はキャベツ21を押し付けた状態に保たれる。一方、芯取り刃23と芯割り刃26はキャベツ21の芯21aの底部から所定の深さに達するまで下降し、芯21aの外周部を切り割くとともに芯21aを縦に2分割する。2分割された芯21aは芯取り刃23に押し込まれる。
【0027】
図9に示すように、芯取り刃23に押し込まれた芯21aは後続のキャベツ21の芯21aが2分割されて芯取り刃23に押し込まれるとき、後続のキャベツ21の芯21aで芯取り刃23の上端面開口23bから左右に倒れるようにして押し出される。
【0028】
続いて図10に示すように、芯取り用フレーム27が上昇し、それに伴い芯取り刃23と芯割り刃26が上昇し、芯取り用カム30のカム面30aがロック爪34のテーパ面34aに当接し、ロック爪34がコイルスプリング34bの付勢力に抗して移動する。そのため、ロック爪34がラッチ状の溝29aから外れるので、材料押え用フレーム24Aが芯取り用フレーム27の上縁部に係止し、図11に示すように、芯取り用フレーム27とともに芯取り用材料押え24、芯取り刃23、芯割り刃26が上昇ストローク端まで上昇して停止する。図6図11に示す工程を経ることにより、図13に示すようにキャベツ21の芯21aが切り取られる。
【0029】
横割りステーション10Cにおける材料受け20が停止する横割り位置の上方には図4図5及び図14図15及び図16に示すように、横割り用材料押え35と横割り刃36及び横割り縦刃37が設けられている。
横割りステーション10Cには、コンベアベルト11の進行方向に沿って延びる左右2本及び上下2本のガイドロッド38、39,40,41が機枠28に固定されている。各ガイドロッド38,39,40,41にコンベアベルト11の進行方向に沿って横割り用ブラケット42,43,44,45が往復移動可能に組み付けられている。そして横割り用ブラケット42と横割り用ブラケット43がフレーム46で連結されている。同様に、横割り用ブラケット44と横割り用ブラケット45がフレーム47で、横割り用ブラケット42と横割り用ブラケット44がフレーム48で、そして横割り用ブラケット43と横割り用ブラケット45がフレーム49で連結されている。
【0030】
上側の左右2個の横割り用ブラケット42,43には丸ラック50が昇降可能に組み付けられている。丸ラック50の下端部にコ字形ブラケット51が固定され、該コ字型ブラケット51に横割り用材料押え35が着脱可能に組み付けられている。そして、横割り用材料押え35が横割り用材料押えモータ14で回転する第2クランク52とコネクティングロッド53を介して連結されている。
【0031】
上側の左右2個のブラケット42,43にはガイドロッド54が昇降可能に組み付けられている。両ガイドロッド54の下端部の間に横割り刃36が取り付けられている。また、上下のフレーム46,47に横割り縦刃37が横割り刃36と十字に交わるように組み付けられている。各ガイドロッド54の上端部にはピニオン55が回転可能に組み付けられ、ピニオン55が丸ラック50とブラケット42,43に固定したラック56に噛み合っている。
【0032】
横割り用材料押えモータ14で第2クランク52を回転させると横割り用材料押え35が昇降し、それに伴いピニオン55が回転するので、横割り用材料押え35の昇降に連動して横割り刃36も昇降する。横割り刃36は横割り用材料押え35と材料受け20の間の中央に位置しながら横割り用材料押え35に連動して昇降するようにラック50,56とピニオン55を介して横割り用材料押え35に連結されている。
また、左右のフレーム48,49は横割り用モータ15で回転する第3クランク57とコネクティングロッド58を介して連結されているので、第3クランク57が回転すると横割り刃36と横割り縦刃37がコンベアベルト11の進行方向に沿って往復移動する。
【0033】
横割りステーション10Cにおいて、材料受け20に載置されているキャベツ21を横割りする工程を図14図19を参照して説明する。芯取りステーション10Bで芯取りされたキャベツ21は、続いて横割りステーション10Bへ送り込まれ、横割り位置で停止する。図14図15に示すように横割り工程の開始時、横割り用材料押え35は上昇ストローク端に位置し、横割り刃36も上昇ストローク端に位置している。また、横割り刃36と横割り縦刃37はコンベアベルト11の進行方向の下流側ストローク端に停止している。
【0034】
図17図18に示すように、横割り用材料押えモータ14で第2クランク52が回転され、横割り用材料押え35が上昇ストローク端から下降し、材料受け20に載置されているキャベツ21に当接してキャベツ21を押え付けて停止する。横割り用材料押え35の下降に伴い、横割り刃36は横割り用材料押え35と材料受け20の間の中央に位置しながら横割り用材料押え35に連動して下降する。そして、横割り用材料押え35が停止すると横割り刃36も、横割り用材料押え35と材料受け20の間の中央で停止する。
【0035】
続いて、図19に示すように、横割り用モータ15で第3クランク57が回転され、横割り用ブラケット42,43,44,45がガイドロッド38,39,40,41に沿ってコンベアベルトの進行方向の上流側へと移動し、横割り刃36と横割り縦刃37も同方向のストローク端まで移動する。これにより、材料受け20に載置されているキャベツ21が図21に示すように四つ割りキャベツ片に分割される。
【0036】
キャベツ21が四つ割りされた後、図20に示すように横割り用材料押え35と横割り刃36は上昇ストローク端まで上昇し、続いて図14図15に示す初期位置へ復帰する。
【0037】
本実施例に係るキャベツの芯取り機によれば、載置ステーション10Aにおいて作業者がキャベツ21を材料受け20に載置するとき、キャベツ21の芯21aの底部を上に向け、レーザーマーカー22の照射光を目印にしてキャベツ21を材料受け20の所定箇所に載置するので、キャベツ21を材料受け20の所定箇所に載置する芯合わせ作業が容易、迅速に行える。
芯取り刃23と芯割り刃26を昇降させて芯取りを行い、芯取り刃23の回転を伴わない。また、芯取り刃23で芯21aを切り抜くと同時に芯割り刃26で芯21aを分割し、切り抜かれて分割された状態で芯取り刃23に押し込まれている芯21aを、後続のキャベツ21の芯21aを切り抜くときに後続のキャベツ21の芯21aで押し出して芯取り刃23の上面開口23bから排出する。このため、短時間で芯21bの除去部分をきれいに除去でき、芯取りしたキャベツ21の見栄えも良く、傷み難い。
【0038】
単一の芯取り用モータ13で材料押え24と芯取り刃23及び芯割り刃26の3つの部材を昇降させることができる。芯取りしたキャベツ21を横割り刃36で上下2個のベツ片に分割できる。芯取りしたキャベツ21を計4個のキャベツ片に分割することも可能である。また、キャベツ21を嵩がほぼ等しい上下のキャベツ片に分割することも可能である。
【0039】
図22に他の実施例に係る芯取り刃60と芯割り刃兼用上割り刃61を示す。この芯取り刃60は上下両端面が開口する円筒型を有し、芯割り刃兼用上割り刃61は細長の形状を有し、横長長方形の取付プレート62の下部に固定されている。芯割り刃兼用上割り刃61は芯取り刃60の下端開口を2分し、芯取り刃60外方へ延びている。取付プレート62は芯取り用フレーム27に取り付けられる。
なお、他の構成は上述したキャベツの芯取り機10と同じである。
【0040】
この芯取り刃60及び芯割り刃兼用上割り刃61を用いたキャベツ21の芯取り機10によれば、図23に示すように、キャベツ21の芯21aを取り除いて、左右2個のキャベツ片に分割できる。
なお、芯割り刃兼用上割り刃61に直交する別の芯割り刃兼用上割り刃61を取り付けプレートに設ければ、図24に示すように、左右2個及び前後2個のキャベツ片に分割できる。
【符号の説明】
【0041】
10…キャベツの芯取り機
10A…載置ステーション
10B…芯取りステーション
10C…横割りステーション
10D…排出ステーション
11…コンベアベルト
12…コンベアモータ
13…芯取り用モータ
14…横割り用材料押えモータ
15…横割り用モータ
16…制御ボックス
20…材料受け
21…キャベツ
21a…(キャベツの)芯
22…レーザーマーカー
23…芯取り刃
24…芯取り用材料押え
24A…材料押え用フレーム
25…取付用プレート
26…芯割り刃
27…芯取り用フレーム
27a…第1ガイドロッド
28…機枠
29…第1ロッド
29a…ラッチ状の溝
30…芯取り用カム
30a…カム面
31…第1クランク
32…コネクティングロッド
33…第2ガイドロッド
34…ロック爪
34a…テーパ面
35…横割り用材料押え
36…横割り刃
37…横割り縦刃
38,39,40,41…ガイドロッド
42,43,44,45…横割り用ブラケット
46,47,48,49…フレーム
50…丸ラック
51…コ字型ブラケット
52…第2クランク
53…コネクティングロッド
54…ガイドロッド
55…ピニオン
56…ラック
57…第3クランク
58…コネクティングロッド
60…芯取り刃
61…芯割り刃兼用上割り刃
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