(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121329
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】カテーテルおよびカテーテルシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240830BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61M25/09 514
A61M25/09 516
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028370
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 雄起
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160FF44
4C267AA29
4C267BB02
4C267BB06
4C267BB07
4C267BB16
4C267BB52
4C267CC19
4C267GG04
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG09
4C267GG22
4C267GG24
4C267HH14
4C267HH17
(57)【要約】
【課題】生体膜を突き通しやすく、体腔内におけるカテーテルの遠位端部の位置を確認することができるカテーテルおよびカテーテルシステムであって、術者が行う工程を従来よりも減らすことができるものを提供する。
【解決手段】樹脂チューブ10と、先端チップ21とコイル22とコアワイヤ23とを有しているガイドワイヤ部材20と、を備え、自然状態において、ガイドワイヤ部材20は樹脂チューブ10の内腔13に配置されている第1区間201と樹脂チューブ10の第1端11から突出しており生体膜と接触可能に構成されている第2区間202を有しており、第1区間201に位置しているコイル22のピッチP1の平均よりも第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2の平均の方が大きいカテーテル1と、カテーテル1を備えたカテーテルシステム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端と、前記第1端よりも近位側に位置している第2端と、前記第1端から前記第2端まで延在している内腔と、を有している樹脂チューブと、
先端チップと、第1端と前記第1端よりも近位側に位置している第2端を有している線材が巻回しているコイルであって前記線材の第1端が前記先端チップに接続されているコイルと、前記先端チップに接続されており前記コイルの内腔に配置されているコアワイヤと、を有しているガイドワイヤ部材と、を備え、
自然状態において、前記ガイドワイヤ部材は、前記樹脂チューブの内腔に配置されている第1区間と、前記樹脂チューブの第1端から突出している第2区間と、を有しており、前記第1区間に位置している前記コイルのピッチの平均よりも前記第2区間に位置している前記コイルのピッチの平均の方が大きく、
前記ガイドワイヤ部材の前記第2区間は生体膜と接触可能に構成されているカテーテル。
【請求項2】
自然状態において、前記先端チップは前記線材の遠位端よりも遠位側に位置している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
自然状態において、前記カテーテルの延在方向における前記先端チップの位置は、前記カテーテルの延在方向における前記線材の遠位端の位置と同じ位置である請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
自然状態において、前記先端チップは前記線材の遠位端よりも近位側に位置している請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
自然状態において、前記コアワイヤは、近位側から遠位側に向かって直線状に延在している直線状部と、前記直線状部よりも遠位側に位置しており遠位側に向かって突出するように湾曲している湾曲部と、を有している請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
自然状態において、前記コアワイヤの直線状部は前記第1区間に位置している前記コイルの内腔に配置されており、前記コアワイヤの湾曲部は前記第2区間に位置している前記コイルの内腔に配置されている請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
自然状態において、前記第1区間に位置している前記コイルのピッチは、前記線材の線径と同じ長さである請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記樹脂チューブの近位部にハンドルが接続されている請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテルと、
前記先端チップに接続されている高周波発生装置と、
前記コイルの内腔へ液体を供給する液体供給装置と、
を有しているカテーテルシステムであって、
前記ハンドルは、前記コイルの内腔における前記コアワイヤの位置と、高周波発生装置による前記先端チップへの高周波電界の印加と、前記液体供給装置による前記コイルの内腔への液体の供給と、を操作可能に構成されているカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体膜を穿刺するカテーテルおよびカテーテルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動(AF)や房室性リエントリー頻拍(AVRT)等の不整脈の検査や治療において、電極を備えているカテーテルが用いられる。検査時において、電極を備えているカテーテルは心腔内に挿入され、その電極によって心内電位を測定する。これにより、不整脈の原因となっている心臓の異常部位を特定する。治療時において、カテーテルに備えられている電極は、不整脈の原因となっている心臓の異常部位に対して高周波電流を含むエネルギーを印加する。これにより、不整脈の発生源は壊死し、心臓から電気的に分離される。この技術は一般的にアブレーション手術と呼ばれる。検査時や治療時において、心房細動が自然に生じることや心臓の異常部位を特定するために心房細動を惹起することがあるが。このような場合には、電極から電気的な刺激を心臓に与えることで除細動が行われる。
【0003】
アブレーション手術において、術者は、カテーテルを患者の右心房から左心房に移動させる必要がある。この時に、ブロッケンブロー法が用いられている。ブロッケンブロー法は、中隔穿刺針(ブロッケンブロー針ともいわれる)を右心房から心房の中隔部分の卵円窩に穿刺することでカテーテルが左心房に挿入するための経路を形成する方法である。
【0004】
より詳細には、超音波やX線照射によって中隔穿刺針や卵円窩の位置を確認しながら中隔穿刺針の先端を卵円窩に押し付け、当該中隔穿刺針に電流を流すことで卵円窩を焼灼し、卵円窩に中隔穿刺針を貫通させる。卵円窩に中隔穿刺針を貫通させた状態で、中隔穿刺針の先端から生理食塩水や造影剤等の液体を流し、超音波やX線照射を用いて左心房に該液体が流れ込むことを確認することで、卵円窩に右心房と左心房を連通する孔が形成されたか否かを調べることができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、遠位端と近位端とを有し、長手方向に延在する樹脂チューブと、前記樹脂チューブの内腔に配置されている金属チューブと、前記金属チューブの遠位端部に接合されている金属芯材と、前記金属芯材の遠位端部に接合されている金属チップと、を有しており、前記樹脂チューブの内表面と前記金属芯材の外表面との間に、液体の流路を有し、前記流路は、前記金属チューブの内腔と連通しており、前記樹脂チューブは、前記流路と前記樹脂チューブの外部とを連通させる開口部を側面に有している穿刺デバイスについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されている穿刺デバイスが使用される際は、まずガイドワイヤが挿入され、次にガイドワイヤに沿ってシースが挿入され、ガイドワイヤが抜去された後に穿刺デバイスがシースの内腔に挿入されて、穿刺デバイスが処置対象の部分である処置部まで搬送される。このように、従来の穿刺デバイスは、術者が行わなければならない工程が多かったため、術者が行わなければならない工程が少ないものの開発が望まれていた。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体膜を突き通しやすく、また、液体が吐出される様子を超音波やX線照射を用いて観察することにより、体腔内におけるカテーテルの遠位端部の位置を確認することができるカテーテルおよびカテーテルシステムであって、術者が行う工程を従来よりも減らすことができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施態様に係るカテーテルは、以下の通りである。
[1] 第1端と、前記第1端よりも近位側に位置している第2端と、前記第1端から前記第2端まで延在している内腔と、を有している樹脂チューブと、
先端チップと、第1端と前記第1端よりも近位側に位置している第2端を有している線材が巻回しているコイルであって前記線材の第1端が前記先端チップに接続されているコイルと、前記先端チップに接続されており前記コイルの内腔に配置されているコアワイヤと、を有しているガイドワイヤ部材と、を備え、
自然状態において、前記ガイドワイヤ部材は、前記樹脂チューブの内腔に配置されている第1区間と、前記樹脂チューブの第1端から突出している第2区間と、を有しており、前記第1区間に位置している前記コイルのピッチの平均よりも前記第2区間に位置している前記コイルのピッチの平均の方が大きく、
前記ガイドワイヤ部材の前記第2区間は生体膜と接触可能に構成されているカテーテル。
【0010】
ガイドワイヤ部材は、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって動かしたり、近位側から遠位側に向かって動かしたりすることでガイドワイヤ部材の進行方向を調節しやすくすることができる。即ち、ガイドワイヤ部材は、所謂ガイドワイヤとしての機能を奏することができる。また、コイルに対してコアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させることで、第2区間に位置しているコイルのピッチが狭くなる。これにより、ガイドワイヤ部材の遠位端部の剛性を高くすることができるので、遠位端に位置している先端チップによって生体膜を突き通しやすくすることができる。即ち、ガイドワイヤ部材は、コイルのピッチを調整することによって所謂穿刺針としての機能を奏することができる。ガイドワイヤ部材は、生体膜を突き通した後にコイルに対するコアワイヤの位置を元の位置に戻すことで、自然状態に戻ることができる。即ち、狭くなっていた第2区間に位置しているコイルのピッチは元のピッチに戻る。このため、近位側から遠位側に向かってコイルの内腔を通過してきた液体を、第2区間に位置しているコイルを構成する線材同士の間から吐出させることができる。液体が吐出される様子を超音波やX線照射を用いて観察することにより、体腔内におけるカテーテルの遠位端部の位置を確認することができる。このため、従来行われていた、ガイドワイヤを抜去した後に穿刺針を挿入する、といった工程が不要になる。よって、術者が行う工程を従来よりも減らすことができる。
【0011】
本発明のカテーテルは、以下の[2]~[7]であることが好ましい。
[2] 自然状態において、前記先端チップは前記線材の遠位端よりも遠位側に位置している[1]に記載のカテーテル。
[3] 自然状態において、前記カテーテルの延在方向における前記先端チップの位置は、前記カテーテルの延在方向における前記線材の遠位端の位置と同じ位置である[1]に記載のカテーテル。
[4] 自然状態において、前記先端チップは前記線材の遠位端よりも近位側に位置している[1]に記載のカテーテル。
[5] 自然状態において、前記コアワイヤは、近位側から遠位側に向かって直線状に延在している直線状部と、前記直線状部よりも遠位側に位置しており遠位側に向かって突出するように湾曲している湾曲部と、を有している[4]に記載のカテーテル。
[6] 自然状態において、前記コアワイヤの直線状部は前記第1区間に位置している前記コイルの内腔に配置されており、前記コアワイヤの湾曲部は前記第2区間に位置している前記コイルの内腔に配置されている[5]に記載のカテーテル。
[7] 自然状態において、前記第1区間に位置している前記コイルのピッチは、前記線材の線径と同じ長さである[1]~[6]のいずれか一項に記載のカテーテル。
【0012】
本発明は、以下の[8]に記載のカテーテルシステムを含む。
[8] 前記樹脂チューブの近位部にハンドルが接続されている[1]~[7]のいずれか一項に記載のカテーテルと、
前記先端チップに接続されている高周波発生装置と、
前記コイルの内腔へ液体を供給する液体供給装置と、
を有しているカテーテルシステムであって、
前記ハンドルは、前記コイルの内腔における前記コアワイヤの位置と、高周波発生装置による前記先端チップへの高周波電界の印加と、前記液体供給装置による前記コイルの内腔への液体の供給と、を操作可能に構成されているカテーテルシステム。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカテーテルおよびカテーテルシステムが有するガイドワイヤ部材は、所謂ガイドワイヤとしての機能と所謂穿刺針としての機能を奏することができ、液体を吐出させることもできるものである。このため、術者が行う工程を従来よりも減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係るカテーテルを示す側面図(一部断面図)を表す。
【
図2】
図2は、
図1に示すカテーテルにおいて、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させたときの状態を示す側面図(一部断面図)を表す。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係るカテーテルの変形例を示す側面図(一部断面図)を表す。
【
図4】
図4は、
図3に示すカテーテルにおいて、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させたときの状態を示す側面図(一部断面図)を表す。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係るカテーテルの変形例を示す側面図(一部断面図)を表す。
【
図6】
図6は、
図5に示すカテーテルにおいて、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させたときの状態を示す側面図(一部断面図)を表す。
【
図7】
図7は、
図1に示すカテーテルの近位部を拡大した模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0016】
本発明のカテーテルは、第1端と、第1端よりも近位側に位置している第2端と、第1端から第2端まで延在している内腔と、を有している樹脂チューブと、先端チップと、第1端と第1端よりも近位側に位置している第2端を有している線材が巻回しているコイルであって線材の第1端が先端チップに接続されているコイルと、先端チップに接続されておりコイルの内腔に配置されているコアワイヤと、を有しているガイドワイヤ部材と、を備え、自然状態において、ガイドワイヤ部材は、樹脂チューブの内腔に配置されている第1区間と、樹脂チューブの第1端から突出している第2区間と、を有しており、第1区間に位置しているコイルのピッチの平均よりも第2区間に位置しているコイルのピッチの平均の方が大きく、ガイドワイヤ部材の第2区間は生体膜と接触可能に構成されている点に要旨を有する。
【0017】
図1~
図7を参照して本発明の実施の形態に係るカテーテル1の全体構成について説明する。
図1~
図6では、樹脂チューブ10と、ガイドワイヤ部材20と、を備えているカテーテル1を示す。本図面では、カテーテル1の延在方向をxで示している。
【0018】
本明細書内において、近位側とはカテーテル1の延在方向xに対して術者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対側、即ち処置対象側を指す。また、各部材の遠位部とは各部材のうちの遠位側半分を指し、各部材の近位部とは各部材のうちの近位側半分を指す。各部材の遠位端とは各部材のうち最も遠位側に位置している端である。各部材の近位端とは各部材のうち最も近位側に位置している端である。本図面では、図面左側が遠位側であり、図面右側が近位側である。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るカテーテルを示す側面図(一部断面図)を表す。
図2は、
図1に示すカテーテルにおいて、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させたときの状態を示す側面図(一部断面図)を表す。
図3は、本発明の実施の形態に係るカテーテルの変形例を示す側面図(一部断面図)を表す。
図4は、
図3に示すカテーテルにおいて、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させたときの状態を示す側面図(一部断面図)を表す。
図5は、本発明の実施の形態に係るカテーテルの変形例を示す側面図(一部断面図)を表す。
図6は、
図5に示すカテーテルにおいて、コアワイヤを遠位側から近位側に向かって移動させたときの状態を示す側面図(一部断面図)を表す。なお、
図1、
図3、
図5は、本発明の実施の形態に係るカテーテルの自然状態、即ち、ガイドワイヤ部材に対して外力が加えられていない状態を表している。
図7は、
図1に示すカテーテルの近位部を拡大した模式図を表す。より詳細には、
図7は、
図1に示すカテーテルに設けられているハンドルの一例を具体的に示している。
図7では、ハンドルに設けられている構成がわかりやすくなるよう、ハンドルの断面にはハッチングを付していない。
【0020】
図1~
図6に示すように、カテーテル1は、樹脂チューブ10を備えている。樹脂チューブ10は、第1端11と、第1端11よりも近位側に位置している第2端12と、第1端11から第2端12まで延在している内腔13と、を有している。
【0021】
図1~
図6に示すように、カテーテル1は、先端チップ21と、コイル22と、コアワイヤ23と、を有しているガイドワイヤ部材20を備えている。ガイドワイヤ部材20は、第1端203と、第1端203よりも近位側に位置している第2端204を有している。
【0022】
先端チップ21は、ガイドワイヤ部材20の遠位部に設けられている部材である。先端チップ21は、ガイドワイヤ部材20の第1端部に設けられていることが好ましい。
【0023】
コイル22は、線材220が巻回することによって構成されている。線材220は、第1端221と第1端221よりも近位側に位置している第2端222を有している。線材220の第1端221は先端チップ21に接続されている。
【0024】
コアワイヤ23は、先端チップ21に接続されておりコイル22の内腔223に配置されている。
【0025】
図1、
図3、
図5に示すように、自然状態において、ガイドワイヤ部材20は、樹脂チューブ10の内腔13に配置されている第1区間201と、樹脂チューブ10の第1端11から突出している第2区間202と、を有している。言い換えれば、第1区間201は、ガイドワイヤ部材20のうち、樹脂チューブ10の内腔13に配置されている部分のことを指し、第2区間202はガイドワイヤ部材20のうち、樹脂チューブ10の第1端11から突出しており樹脂チューブ10の外部に露出している部分のことを指す。なお、本明細書内において、自然状態とは、ガイドワイヤ部材20に対して外力が加えられていない状態を指す。また、ガイドワイヤ部材に対して外力が加えられている状態とは、特に、コアワイヤが遠位側から近位側に向かって移動させられている状態のことを指す。
【0026】
ガイドワイヤ部材20の第2区間202は生体膜と接触可能に構成されている。即ち、ガイドワイヤ部材20の第2区間202のうち、少なくとも一部が生体膜と接触可能に構成されていればよい。ガイドワイヤ部材20の第2区間202は全体が生体膜と接触可能であってもよいし、ガイドワイヤ部材20の第2区間202の一部のみが生体膜と接触可能であってもよい。
【0027】
カテーテル1は、自然状態において、第1区間201に位置しているコイル22のピッチP1の平均よりも、第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2の平均の方が大きくなるように構成されている。より詳細には、ガイドワイヤ部材20の第1区間201に位置しているコイル22のピッチP1の長さの平均よりも、ガイドワイヤ部材20の第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2の長さの平均の方が大きくなるように構成されている。
【0028】
本明細書において、第1区間201に位置しているコイル22のピッチをP1と記載している。第2区間202に位置しているコイル22のピッチをP2と記載している。ピッチとは、隣り合う線材220の中心軸から中心軸までの間隔であって、最も長い長さを有する部分を指す。例えば、
図1に示すように、ピッチP2は、隣り合う線材220の中心軸から中心軸までの間隔の長さが測る場所によって異なる。このため、隣り合う線材220の中心軸から中心軸までの間隔であって、最も長い長さを有する部分をピッチとする。ピッチP2の平均を求める際には、隣り合う線材220の中心軸から中心軸までの間隔であって最も長い長さを有する部分の長さの平均を求めることになる。
【0029】
ガイドワイヤ部材20は、コアワイヤ23を遠位側から近位側に向かって動かしたり、近位側から遠位側に向かって動かしたりすることでガイドワイヤ部材20の進行方向を調節しやすくすることができる。即ち、ガイドワイヤ部材20は、所謂ガイドワイヤとしての機能を奏することができる。また、
図1、
図3、
図5に示すカテーテル1において、コイル22に対してコアワイヤ23を遠位側から近位側に向かって移動させることで、
図2、
図4、
図6に示すように、第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2が狭くなる。これにより、ガイドワイヤ部材22の遠位端部の剛性を高くすることができるので、遠位端に位置している先端チップ21によって生体膜を突き通しやすくすることができる。即ち、ガイドワイヤ部材20は、コイル22のピッチを調整することによって所謂穿刺針としての機能を奏することができる。ガイドワイヤ部材20は、生体膜を突き通した後にコイル22に対するコアワイヤ23の位置を元の位置に戻すことで、自然状態に戻ることができる。即ち、
図2、
図4、
図6に示すように、狭くなっていた第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2は、
図1、
図3、
図5に示すように、元のピッチに戻る。このため、近位側から遠位側に向かってコイル22の内腔223を通過してきた液体を、第2区間202に位置しているコイル22を構成する線材220同士の間から吐出させることができる。液体が吐出される様子を超音波やX線照射を用いて観察することにより、体腔内におけるカテーテル1の遠位端部の位置を確認することができる。このため、従来行われていた、ガイドワイヤを抜去した後に穿刺針を挿入する、といった工程が不要になる。よって、術者が行う工程を従来よりも減らすことができる。
【0030】
樹脂チューブ10の形状としては、例えば中空円柱状や中空多角柱状などが挙げられる。樹脂チューブ10は、樹脂チューブ10の外部に面している外面14と、内腔13に面している内面15を有していることが好ましい。
【0031】
樹脂チューブ10は、体内に挿入されるため、好ましくは可撓性を有している。これにより体腔の形状に沿って樹脂チューブ10を変形させることができる。また、形状保持のため、樹脂チューブ10は弾性を有していることが好ましい。
【0032】
樹脂チューブ10は、例えば押出成形によって製造することができる。樹脂チューブ10は、単層または複数層から構成することができる。樹脂チューブ10は、樹脂チューブ10の長手方向または周方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0033】
樹脂チューブ10は、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂から構成することができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
樹脂チューブ10の外面14には、PTFEやPFA等が含まれている潤滑性コーティング層が形成されていることが好ましい。これにより樹脂チューブ10を体腔内に挿入しやすくすることができる。
【0035】
樹脂チューブ10の第1端11から樹脂チューブ10の第2端12までの長さは、例えば100mm以上、150mm以上、200mm以上などにすることができる。樹脂チューブ10の第1端11から樹脂チューブ10の第2端12までの長さは、例えば2400mm以下、2350mm以下、2300mm以下などにすることができる。
【0036】
樹脂チューブ10の外径は、例えば0.25mm以上、0.36mm以上、0.64mm以上などにすることができる。樹脂チューブ10の外径は、例えば1.28mm以下、0.95mm以下、0.82mm以下などにすることができる。
【0037】
ガイドワイヤ部材20は、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂や、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成することができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ガイドワイヤ部材20を構成する、先端チップ21、コイル22、コアワイヤ23は、同じ材料で構成されていてもよいし、それぞれ異なる材料で構成されていてもよいが、後述するように、先端チップ21に高周波電界を印加する場合は、先端チップ21を導電性の材料で構成することが好ましい。
【0038】
ガイドワイヤ部材20の第2区間202の全体が、樹脂チューブ10以外の部材に覆われていないことが好ましい。より具体的には、ガイドワイヤ部材20の第2区間202の全体が、樹脂チューブ10とは別に設けられた他の樹脂チューブといった管状の部材の内腔に配置されていないことが好ましい。これにより、近位側から遠位側に向かってコイル22の内腔223を通過してきた液体を、第2区間202に位置しているコイル22を構成する線材220同士の間から吐出させやすくすることができる。なお、ガイドワイヤ部材20の第2区間202の一部のみが、樹脂チューブ10以外の部材に覆われていても構わない。より具体的には、ガイドワイヤ部材20の第2区間202の一部のみが、樹脂チューブ10とは別に設けられた他の樹脂チューブといった管状の部材の内腔に配置されていても構わない。
【0039】
ガイドワイヤ部材20の遠位部は、樹脂チューブ10の内面15に固定されていないことが好ましい。ガイドワイヤ部材20の遠位部の一部のみが樹脂チューブ10の内面15に固定されていない態様であっても構わないが、ガイドワイヤ部材20の遠位部の全体が樹脂チューブ10の内面15に固定されていない態様であることがより好ましい。
【0040】
カテーテル1の延在方向xにおけるガイドワイヤ部材20の第1区間201の長さは、カテーテル1の延在方向xにおけるガイドワイヤ部材20の第2区間202の長さよりも長いことが好ましい。
【0041】
ガイドワイヤ部材20の第1端203からガイドワイヤ部材20の第2端204までの長さは、例えば100mm以上、150mm以上、200mm以上、250mm以上などにすることができる。ガイドワイヤ部材20の第1端203からガイドワイヤ部材20の第2端204までの長さは、例えば2500mm以下、2400mm以下、2350mm以下、2300mm以下などにすることができる。
【0042】
先端チップ21の形状は、例えば円柱状、円錐状、円錐台状、多角柱状、多角錐状、多角錐台状、球状、半球状などにすることができるが、
図1~
図6に示すように、半球状であることが好ましい。
【0043】
先端チップ21は、樹脂チューブ10の第1端11に間接的にも直接的にも固定されていないことが好ましい。例えば、先端チップ21は、他の部材や接着剤などを介して樹脂チューブ10の第1端11に固定されていないことが好ましい。先端チップ21は、樹脂チューブ10の第1端11に溶着固定されていないことが好ましい。
【0044】
コイル22の線材220はコアワイヤ23の周りを回るように配置されていることが好ましい。コイル22の形状は螺旋状である。コイル22の内腔223は、線材220が螺旋状の形になっていることによって形成される。コイル22は、樹脂チューブ10側に面している外面224と、コイル22の内腔223に面している内面225を有することが好ましい。
【0045】
コイル22を構成する線材220の線径や、線材220の巻き数は特に限定されない。例えば、線材220の線径は0.05mm以上、0.10mm以上などにすることができる。線材220の線径は0.50mm以下、0.40mm以下などにすることができる。線材220の巻き数は250以上、300以上などにすることができる。線材220の巻き数は60000以下、55000以下などにすることができる。
【0046】
コイル22は、単層巻きコイルであってもよく、多層巻きコイルであってもよく、これらを組み合わせたものであってもよい。例えば
図1~
図6ではコイル22が単層巻きコイルである例を示している。
【0047】
コイル22を構成している線材220は、第1端221から第2端222まで単一の線状部材から構成されていてもよく、線材220はその長手軸方向において互いに連結された複数の線状部材から構成されてもよい。
【0048】
ガイドワイヤ部材20の第1区間201に位置しているコイル22は、全てのピッチP1が同じ幅であってもよいし、一部のピッチP1が異なる幅であってもよい。
【0049】
自然状態において、ガイドワイヤ部材20の第1区間201に位置しているコイル22のピッチP1は線材220の線径と同じ長さであることが好ましく、第1区間201に位置しているコイル22のピッチP1の全てが線材220の線径と同じ長さであることがより好ましい。また、第1区間201に位置しているコイル22部分については、隣り合う線材220同士の間に隙間がない、即ち、隣り合う線材220同士が密着していることがさらに好ましい。これにより、コイル22の内腔223において、近位側から遠位側に向かって液体を通過させやすくすることができる。なお、第1区間201に位置しているコイル22のピッチP1の一部のみが、線材220の線径と同じ長さである態様も許容される。
【0050】
ガイドワイヤ部材20の第2区間202に位置しているコイル22は、全てのピッチP2が同じ幅であってもよいし、一部のピッチP2が異なる幅であってもよい。
【0051】
自然状態において、ガイドワイヤ部材20の第2区間202に位置しているコイル22部分については、隣り合う線材220同士の間に隙間がある、即ち、隣り合う線材220同士が密着していないことが好ましい。例えば、ガイドワイヤ部材20の第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2は、線材220の線径の1.5倍以上、1.8倍以上、2.0倍以上などにすることができる。ガイドワイヤ部材20の第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2は、線材220の線径の10.0倍以下、8.0倍以下、5.0倍以下などにすることができる。第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2の一部のみが上記のような範囲にある態様でも構わないが、第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2の全てが上記のような範囲にあることが好ましい。これにより、近位側から遠位側に向かってコイル22の内腔223を通過してきた液体を、第2区間202に位置しているコイル22を構成する線材220同士の間から吐出させやすくすることができる。
【0052】
コアワイヤ23の形状は、例えば線状であることが好ましい。
【0053】
コアワイヤ23を構成する線状の部材の線径は特に限定されない。例えば、線状の部材の線径は0.10mm以上、0.15mm以上などにすることができる。線状の部材の線径は0.80mm以下、0.60mm以下などにすることができる。
【0054】
コアワイヤ23は、第1端231と第1端231よりも近位側に位置している第2端232を有しており、コアワイヤ23の第1端部が先端チップ21に接続されていることが好ましく、コアワイヤ23の第1端231が先端チップ21に接続されていることがより好ましい。コイル22に対するコアワイヤ23の位置を操作しやすくする観点から、自然状態において、コアワイヤ23の第2端232は、コイル22の第2端222よりも遠位側に位置していることが好ましい。
【0055】
図3に示すように、自然状態において、先端チップ21は線材220の遠位端220dよりも遠位側に位置していてもよい。また、自然状態において、ガイドワイヤ部材20はカテーテル1の延在方向xに直線状に延在していてもよい。
【0056】
図5に示すように、自然状態において、カテーテル1の延在方向xにおける先端チップ21の位置は、カテーテル1の延在方向xにおける線材220の遠位端220dの位置と同じ位置であってもよい。より具体的には、自然状態において、カテーテル1の延在方向xにおける線材220の遠位端220dの位置が、カテーテル1の延在方向xにおける先端チップ21の遠位端21dの位置から先端チップ21の近位端21pの位置までの間に位置していることを意味する。この場合、自然状態において、ガイドワイヤ部材20はL字状であってもよい。
【0057】
図1に示すように、自然状態において、先端チップ21は線材220の遠位端220dよりも近位側に位置していてもよい。
図1に示すように、自然状態において、先端チップ21は線材220の遠位端220dよりも近位側に位置している状態から、コイル22に対してコアワイヤ23を遠位側から近位側に向かって移動させることで、
図2に示すように、ガイドワイヤ部材20の第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2が狭くなる。このため、自然状態において線材220の遠位端220dよりも近位側に位置していた先端チップ21は、線材220の遠位端220dよりも遠位側に位置するように移動する。これにより、ガイドワイヤ部材20の遠位端部の剛性が高くなるので、遠位端に位置する先端チップ21で生体膜を突き通しやすくすることができる。また、生体膜を突き通した後にコイル22に対するコアワイヤ23の位置を元の位置に戻すことで、ガイドワイヤ部材20は自然状態に戻ることができる。即ち、
図2に示すように、狭くなっていた第2区間202に位置しているコイル22のピッチP2は元のピッチに戻る。これにより、線材220の遠位端220dよりも遠位側に位置するように移動していた先端チップ21も、元の位置、即ち、線材220の遠位端220dよりも近位側の位置に戻る。これにより、ガイドワイヤ部材20のうち比較的剛性が低いコイル22が遠位端に位置するようになるため、標的の生体膜以外の膜を損傷させるリスクを減らすことができる。この場合、自然状態において、ガイドワイヤ部材20はJ字状であってもよい。
【0058】
自然状態において、先端チップ21が線材220の遠位端220dよりも近位側に位置している構成とする際には、
図1に示すように、自然状態において、コアワイヤ23は、近位側から遠位側に向かって直線状に延在している直線状部233と、直線状部233よりも遠位側に位置しており遠位側に向かって突出するように湾曲している湾曲部234と、を有していることが好ましい。また、自然状態において、コアワイヤ23の直線状部233は第1区間201に位置しているコイル22の内腔223に配置されており、コアワイヤ23の湾曲部234は第2区間202に位置しているコイル22の内腔223に配置されていることが好ましい。
【0059】
図1~
図7に示すように、カテーテル1は、ハンドル30をさらに有していてもよい。
【0060】
ハンドル30には、コイル22に対するコアワイヤ23の位置を、遠位側から近位側に向かって移動させたり、近位側から遠位側に向かって移動させたりすることが可能な操作部が設けられていることが好ましい。操作部としては例えばボタンやダイヤルなどが挙げられる。
【0061】
ハンドル30の構成材料は特に限定されないが、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を用いることができる。
【0062】
ハンドル30の形状としては、例えば中空円柱状や中空多角柱状などが挙げられる。
【0063】
ハンドル30は、樹脂チューブ10の近位部に固定されていることが好ましい。例えば、
図1に示すように、ハンドル30は中空部を有する中空円柱状であって、当該中空部に樹脂チューブ10の近位部が配置されている構成とすることができる。
【0064】
次に、
図1~
図7を参照して本発明の実施の形態に係るカテーテルシステムについて説明する。なお、カテーテル1の説明において既に説明した構成については、内容が重複するため説明を省略する。
【0065】
図1~
図7に示すように、本発明の一実施態様に係るカテーテルシステムは、樹脂チューブ10の近位部にハンドル30が接続されているカテーテル1と、先端チップ21に接続されている高周波発生装置51と、コイル22の内腔223へ液体を供給する液体供給装置52と、を有しているカテーテルシステムであって、ハンドル30は、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置と、高周波発生装置51による先端チップ21への高周波電界の印加と、液体供給装置52によるコイル22の内腔223への液体の供給と、を操作可能に構成されている点に要旨を有する。
【0066】
高周波発生装置51は、先端チップ21に高周波電界を印加することができる装置を指す。高周波発生装置51は電源回路や高周波発振回路を含んでいてもよい。
【0067】
詳細には図示しないが、先端チップ21は導線41の一端に接続されており、導線41は近位側まで延びて導線41の他端が高周波発生装置51に接続されている構成としてもよい。高周波電界を印加することで先端チップ21を加熱することができ、生体膜を穿刺しやすくすることができる。また、ガイドワイヤ部材20自体が電導性の材料で構成されており、ガイドワイヤ部材20が導線41の一端に接続されており、導線41が近位側まで延びて導線41の他端が高周波発生装置51に接続されていてもよい。
【0068】
液体供給装置52は、コイル22の内腔223へ液体を供給することが可能な装置を指す。液体供給装置52としては、シリンジやポンプ等があげられる。コイル22の内腔223に供給される液体としては、例えば、生理食塩水、造影剤、またはこれらの混合液等の液体を挙げることができる。
【0069】
図7に示すように、例えば、カテーテルシステムは、コイル22の内腔223と連通可能な内腔を有している筒状部材42をさらに有し、筒状部材42の一端が液体供給装置52に接続されている構成としてもよい。筒状部材42の他端はコイル22の内腔223に配置されていてもよい。
【0070】
ハンドル30は、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が自然状態にある場合と同じ位置である場合には、液体供給装置52によるコイル22の内腔223への液体の供給が可能となり、高周波発生装置51による先端チップ21への高周波電界の印加が行われないように構成されていることが好ましい。コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が遠位側から近位側に向かって移動させられている場合には、高周波発生装置51による先端チップ21への高周波電界の印加が可能となり、液体供給装置52によるコイル22の内腔223への液体の供給が行われないように構成されていることが好ましい。上記構成により、生体膜を貫通させる際にはコイル22の第2区間202のピッチP2が狭くなり、ガイドワイヤ部材20の遠位端部の剛性を高くすることができるうえ、先端チップ21に高周波電界を印加することができるようになる。これにより、遠位端に位置している先端チップ21によって生体膜を突き通しやすくすることができる。また、上記構成により、カテーテル1の遠位端部の位置を視認する際には、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置を近位側から遠位側に向かって移動させることで、コイル22の第2区間202のピッチP2が元のピッチに戻ることができる。このため、液体供給装置52から送られてきた液体を第2区間202に位置しているコイル22を構成する線材220同士の間から吐出させることができる。
【0071】
上記のような構成を実施するためには、例えば、ハンドル30は、高周波発生装置51と先端チップ21との接続のON/OFFを切り替えるスイッチ31を備えている構成とすればよい。より具体的には、ガイドワイヤ部材20が自然状態にある場合、例えば、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が所定の第1の位置よりも遠位側に位置している場合には、スイッチ31によって高周波発生装置51と先端チップ21との接続がOFFになるように制御する。そして、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が遠位側から近位側に向かって移動させられている場合、例えば、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が所定の第2の位置よりも近位側に位置している場合には、スイッチ31によって高周波発生装置51と先端チップ21との接続がONになるようにするように制御することで実施可能である。
【0072】
上述したスイッチ31は、高周波発生装置51と先端チップ21との接続のON/OFFを切り替えるものである。高周波発生装置51からの高周波電界の印加は、例えば高周波発生装置51に設けられたボタンやレバーなどの操作部を操作して行うことができる。なお、ハンドル30に高周波発生装置51からの高周波電界の印加のON/OFFを切り替えるスイッチをさらに設けてもよい。
【0073】
上記のような構成を実施するためには、例えば、ハンドル30は、筒状部材42の内腔における液体の移動の可否をコントロールする制御機構を備えている構成とすればよい。より具体的には、制御機構として筒状部材42を挟むことで筒状部材42の内腔を閉塞させることが可能なクリップ32を用いることができる。ガイドワイヤ部材20が自然状態にある場合、例えば、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が所定の第3の位置よりも遠位側に位置している場合には、クリップ32が開いて筒状部材42の内腔を液体が通過できるように制御する。そして、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が遠位側から近位側に向かって移動させられている場合、例えば、コイル22の内腔223におけるコアワイヤ23の位置が所定の第4の位置よりも近位側に位置している場合には、筒状部材42をクリップ32が挟み、筒状部材42の内腔が閉塞するように制御することで実施可能である。
【0074】
液体供給装置52によるコイル22の内腔223への液体の供給は、例えば液体供給装置52に設けられたボタンやレバーなどの操作部を操作して行うことができる。なお、ハンドル30に流体供給装置52からの流体の供給のON/OFFを切り替えるスイッチをさらに設けてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1:カテーテル
10:樹脂チューブ
11:樹脂チューブの第1端
12:樹脂チューブの第2端
13:樹脂チューブの内腔
14:樹脂チューブの外面
15:樹脂チューブの内面
20:ガイドワイヤ部材
201:第1区間
202:第2区間
203:ガイドワイヤ部材の第1端
204:ガイドワイヤ部材の第2端
220d:ガイドワイヤ部材の遠位端
220p:ガイドワイヤ部材の近位端
21:先端チップ
21d:先端チップの遠位端
21p:先端チップの近位端
22:コイル
221:コイルの第1端
222:コイルの第2端
223:コイルの内腔
P1:第1区間に位置しているコイルのピッチ
P2:第2区間に位置しているコイルのピッチ
23:コアワイヤ
231:コアワイヤの第1端
232:コアワイヤの第2端
233:直線状部
234:湾曲部
30:ハンドル
31:スイッチ
32:クリップ
41:導線
42:筒状部材
51:高周波発生装置
52:液体供給装置