(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121330
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】医療用具包装体の製造方法、および、搬送容器
(51)【国際特許分類】
B65B 43/16 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65B43/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028371
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居村 真人
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA02
3E030AA04
3E030BA02
3E030BA05
3E030BB02
3E030BC03
3E030GA02
(57)【要約】
【課題】医療用具包装体を製造する際に用いることができる搬送容器と、その搬送容器を用いた医療用具包装体の製造方法であって、包装体が受けるダメージを少なくすることができるものを提供する。
【解決手段】底部211と側部212を有しており、底部211に底穴213が形成されている外側容器210と、外側容器210の底部211上に配置されており、包装容器100が載置される載置部材220と、を備えており、外側容器210の側部212には外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部214が形成されている搬送容器200と、搬送容器200を用いた医療用具包装体の製造方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用具が包装容器で包装された医療用具包装体を製造する方法であって、
厚み方向から観察したときに、外縁部に前記医療用具を出し入れ可能に構成されている開口部と、前記外縁部のうち前記開口部以外の部分である非開口部と、を有している複数の前記包装容器を準備するステップと、
底部と側部を有しており前記底部に底穴が形成されている外側容器と、前記外側容器の底部上に配置されており前記包装容器が載置される載置部材と、を備えており、前記外側容器の側部には前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている搬送容器を準備するステップと、
前記包装容器を把持する把持部を有する搬送装置を準備するステップと、
前記包装容器の外縁部と接触可能に構成されている接触部を有している払い落とし装置を準備するステップと、
上から観察したときに、前記包装容器の外縁部のうち、前記非開口部が前記外側容器の凹部と対向し、前記開口部が前記外側容器の凹部と対向しないように、複数の前記包装容器を前記載置部材上に載置するステップと、
前記搬送装置の把持部が前記包装容器を把持するステップと、
前記凹部を介して前記外側容器内に前記接触部を配置するステップと、
前記把持部によって把持された前記包装容器の外縁部のうち、前記非開口部に前記接触部を接触させるステップと、
を有する医療用具包装体の製造方法。
【請求項2】
前記把持部によって把持された前記包装容器の外縁部のうち、前記非開口部に前記接触部を接触させるステップにおいて、前記接触部は前記開口部に接触しない請求項1に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項3】
前記外側容器に対する前記載置部材の上下方向の位置を調節可能に構成されている昇降装置を準備するステップと、
複数の前記包装容器を前記載置部材上に載置するステップの後であって、前記搬送装置の把持部が前記包装容器を把持するステップの前に、前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップと、
を有する請求項1に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項4】
前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップの後であって、前記包装容器を把持するステップの前に、前記昇降装置が前記外側容器に対する前記載置部材の位置を上昇させるステップを有する請求項3に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項5】
前記包装容器を把持するステップの後に、前記昇降装置が前記外側容器に対する前記載置部材の位置を上昇させるステップを有する請求項4に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項6】
前記外側容器は第1挿入部と前記第1挿入部とは異なる位置に位置している第2挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられるものであって、前記外側容器の側部には、前記第1挿入部を挿入可能な第1穴と、前記第1穴とは異なる位置に位置しており前記第2挿入部を挿入可能な第2穴と、が形成されており、前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっており、
前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップの前に、前記第1挿入部を前記第1穴に挿入し、前記第2挿入部を前記第2穴に挿入するステップを有する請求項3に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項7】
前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップは前記吊り上げ治具が前記外側容器を吊り上げることによって行われる請求項6に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項8】
前記第1穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有しており、前記第2穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有していない請求項6に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項9】
前記搬送容器を搬送可能なコンベヤを準備するステップを有し、
前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップは、前記コンベヤが前記搬送容器を搬送することによって行われる請求項3に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項10】
前記外側容器の底穴の面積は前記載置部材の底面の面積よりも小さい請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項11】
前記外側容器の凹部の最大深さは前記包装容器の最大厚みよりも長い請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項12】
前記包装容器の開口部から前記包装容器内に前記医療用具を挿入するステップを有する請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項13】
前記載置部材の形状は板状であり、前記外側容器の形状は多角柱状である請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
【請求項14】
底部と側部を有しており、前記底部に底穴が形成されている外側容器と、
前記外側容器の底部上に配置されており、前記包装容器が載置される載置部材と、を備えており、
前記外側容器の側部には前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている搬送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具包装体の製造方法と、医療用具包装体の製造方法で用いられる搬送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、容器としては、様々なものが開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、下部から上部に亘り同形・同サイズの内周面を備えた容器体Aと、容器体Aの底部に回転可能に且つ容器体A外部からの回転操作が可能に設けるとともに容器体A内に螺軸Cを立設した操作ハンドルBと、螺軸Cに内周縁を螺着するとともに外周縁を容器体A内周面に摺動可能に嵌合させた中皿Dとを備え、操作ハンドルBを回転させることによる螺軸Cの回転で中皿Dが上昇する如く構成した容器が開示されている。
【0004】
特許文献2には、底部と底部から容器開口部を画定する上縁まで上向きに延在する側壁部とを有する容器本体と、上縁に係合して容器開口部を密閉する蓋と、を有する包装物品であって、包装物品は底部と側壁部と蓋によって画定される封入容積を有し、封入容積を分割する取り外し可能なインサートをさらに含む包装物品について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-212238号公報
【特許文献2】国際公開第2020/127362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの容器は医療用具包装体を製造する際には使用しにくかった。このため、医療用具包装体を製造する際に用いることができる容器の開発と、その容器を用いた医療用具包装体の製造方法の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、医療用具包装体を製造する際に用いることができる容器と、その容器を用いた医療用具包装体の製造方法であって、包装体が受けるダメージを少なくすることができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決できた本発明の医療用具包装体の製造方法は、以下の通りである。
[1] 医療用具が包装容器で包装された医療用具包装体を製造する方法であって、
厚み方向から観察したときに、外縁部に前記医療用具を出し入れ可能に構成されている開口部と、前記外縁部のうち前記開口部以外の部分である非開口部と、を有している複数の前記包装容器を準備するステップと、
底部と側部を有しており前記底部に底穴が形成されている外側容器と、前記外側容器の底部上に配置されており前記包装容器が載置される載置部材と、を備えており、前記外側容器の側部には前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている搬送容器を準備するステップと、
前記包装容器を把持する把持部を有する搬送装置を準備するステップと、
前記包装容器の外縁部と接触可能に構成されている接触部を有している払い落とし装置を準備するステップと、
上から観察したときに、前記包装容器の外縁部のうち、前記非開口部が前記外側容器の凹部と対向し、前記開口部が前記外側容器の凹部と対向しないように、複数の前記包装容器を前記載置部材上に載置するステップと、
前記搬送装置の把持部が前記包装容器を把持するステップと、
前記凹部を介して前記外側容器内に前記接触部を配置するステップと、
前記把持部によって把持された前記包装容器の外縁部のうち、前記非開口部に前記接触部を接触させるステップと、
を有する医療用具包装体の製造方法。
【0009】
本発明の医療用具包装体の製造方法においては、包装容器の外縁部のうち、非開口部が外側容器の凹部と対向し、開口部が外側容器の凹部と対向しないように、複数の包装容器を載置部材上に載置するステップと、凹部を介して外側容器内に接触部を配置するステップと、把持部によって把持された包装容器の外縁部のうち、非開口部に接触部を接触させるステップと、を有する。接触部が包装容器の外縁部に接触することで、把持部によって把持されている包装容器以外の包装容器を払い落とすことができる。このとき、包装容器の外縁部のうち、開口部よりも剛性が高い非開口部に接触部が接触する。これにより、包装容器に接触部が接触することによって包装容器が受けるダメージを少なくすることができる。
【0010】
本発明の医療用具包装体の製造方法は、以下の[2]~[13]であることが好ましい。
[2] 前記把持部によって把持された前記包装容器の外縁部のうち、前記非開口部に前記接触部を接触させるステップにおいて、前記接触部は前記開口部に接触しない[1]に記載の医療用具包装体の製造方法。
[3] 前記外側容器に対する前記載置部材の上下方向の位置を調節可能に構成されている昇降装置を準備するステップと、
複数の前記包装容器を前記載置部材上に載置するステップの後であって、前記搬送装置の把持部が前記包装容器を把持するステップの前に、前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップと、
を有する[1]または[2]に記載の医療用具包装体の製造方法。
[4] 前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップの後であって、前記包装容器を把持するステップの前に、前記昇降装置が前記外側容器に対する前記載置部材の位置を上昇させるステップを有する[3]に記載の医療用具包装体の製造方法。
[5] 前記包装容器を把持するステップの後に、前記昇降装置が前記外側容器に対する前記載置部材の位置を上昇させるステップを有する[3]または[4]に記載の医療用具包装体の製造方法。
[6] 前記外側容器は第1挿入部と前記第1挿入部とは異なる位置に位置している第2挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられるものであって、前記外側容器の側部には、前記第1挿入部を挿入可能な第1穴と、前記第1穴とは異なる位置に位置しており前記第2挿入部を挿入可能な第2穴と、が形成されており、前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっており、
前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップの前に、前記第1挿入部を前記第1穴に挿入し、前記第2挿入部を前記第2穴に挿入するステップを有する[3]~[5]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
[7] 前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップは前記吊り上げ治具が前記外側容器を吊り上げることによって行われる[6]に記載の医療用具包装体の製造方法。
[8] 前記第1穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有しており、前記第2穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有していない[6]または[7]に記載の医療用具包装体の製造方法。
[9] 前記搬送容器を搬送可能なコンベヤを準備するステップを有し、
前記搬送容器を前記昇降装置上に載置するステップは、前記コンベヤが前記搬送容器を搬送することによって行われる[3]~[5]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
[10] 前記外側容器の底穴の面積は前記載置部材の底面の面積よりも小さい[1]~[9]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
[11] 前記外側容器の凹部の最大深さは前記包装容器の最大厚みよりも長い[1]~[10]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
[12] 前記包装容器の開口部から前記包装容器内に前記医療用具を挿入するステップを有する[1]~[11]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
[13] 前記載置部材の形状は板状であり、前記外側容器の形状は多角柱状である[1]~[12]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の製造方法。
【0011】
上記課題を解決できた本発明の搬送容器は、以下の通りである。
[14] 底部と側部を有しており、前記底部に底穴が形成されている外側容器と、
前記外側容器の底部上に配置されており、前記包装容器が載置される載置部材と、を備えており、
前記外側容器の側部には前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている搬送容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、医療用具包装体を製造する際に用いることができる搬送容器と、その搬送容器を用いた医療用具包装体の製造方法であって、包装体が受けるダメージを少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す模式図を表す。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す上面図を表す。
【
図7】
図7は、
図2に示す外側容器に設けられている第1穴を拡大した図を表す。
【
図8】
図8は、
図2に示す外側容器に設けられている第2穴を拡大した図を表す。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法で用いられる吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法で用いられる包装容器の一例を示す上面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0015】
本発明の医療用具包装体の製造方法は、医療用具が包装容器で包装された医療用具包装体を製造する方法であって、厚み方向から観察したときに、外縁部に医療用具を出し入れ可能に構成されている開口部と、外縁部のうち開口部以外の部分である非開口部と、を有している複数の包装容器を準備するステップと、底部と側部を有しており底部に底穴が形成されている外側容器と、外側容器の底部上に配置されており包装容器が載置される載置部材と、を備えており、外側容器の側部には外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている搬送容器を準備するステップと、包装容器を把持する把持部を有する搬送装置を準備するステップと、包装容器の外縁部と接触可能に構成されている接触部を有している払い落とし装置を準備するステップと、上から観察したときに、包装容器の外縁部のうち、非開口部が外側容器の凹部と対向し、開口部が外側容器の凹部と対向しないように、複数の包装容器を載置部材上に載置するステップと、搬送装置の把持部が包装容器を把持するステップと、凹部を介して外側容器内に接触部を配置するステップと、把持部によって把持された包装容器の外縁部のうち、非開口部に接触部を接触させるステップと、を有する点に要旨を有する。
【0016】
図1~
図10を参照して本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法と、その医療用具包装体の製造方法で使用される搬送容器について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す模式図を表す。
図3は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図4は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図5は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図6は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法の一例を示す上面図を表す。
図7は、
図2に示す外側容器に設けられている第1穴を拡大した図を表す。
図7では、第1穴に吊り上げ治具の第1挿入部が挿入されている状態を示している。
図8は、
図2に示す外側容器に設けられている第2穴を拡大した図を表す。
図8では、第2穴に吊り上げ治具の第2挿入部が挿入されている状態を示している。
図9は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法で用いられる吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。
図10は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の製造方法で用いられる包装容器の一例を示す上面図を表す。本図面においては、水平方向をx、鉛直方向をyで示している。なお、上下方向と鉛直方向は同じ方向である。水平方向xは鉛直方向yに垂直な方向であるが、本図面では紙面左右方向の水平方向xのみを矢印で示している。
【0018】
本明細書内において、上方とは鉛直方向のうちの上側に向かう方向のことを指し、下方とは鉛直方向のうちの下側に向かう方向のことを指す。各部材の上部とは各部材のうちの上方側半分を指し、各部材の下部とは各部材のうちの下方側半分を指す。各部材の上端とは各部材のうち鉛直方向において最も上に位置している端である。各部材の下端とは各部材のうち鉛直方向において最も下に位置している端である。
【0019】
図1~
図10に示すように、医療用具包装体の製造方法は、複数の包装容器100と、搬送容器200と、搬送装置300と、払い落とし装置400と、を準備するステップS0を有する。
【0020】
図6、
図10に示すように、包装容器100は、厚み方向から観察したときに、外縁部に医療用具を出し入れ可能に構成されている開口部110と、外縁部のうち開口部110以外の部分である非開口部120と、を有している。包装容器100は、医療用具を包装するための容器である。包装容器100は、医療用具を収納するための内部空間が設けられている。
【0021】
外縁部とは、包装容器100を厚み方向から観察したときに、包装容器100の外縁101の近傍に位置している部分である。
【0022】
開口部110は、包装容器100を厚み方向から観察したときの外縁部に設けられている部分であって、包装容器100の内部空間と包装容器100の外部とを連通しており、少なくとも包装容器100に収納される医療用具を出し入れ可能な部分のことを指す。
【0023】
非開口部120は、包装容器100を厚み方向から観察したときの外縁部のうち、開口部110以外の部分である。即ち、医療用具を出し入れ可能に構成されていない部分である。例えば、包装容器100の内部空間と包装容器100の外部とを連通している部分であっても、包装容器100の内部空間と包装容器100の外部とを僅かな隙間によって連通している部分のように、包装容器100に収納される医療用具を出し入れできるほどの大きさを有していない部分は非開口部120である。
【0024】
図2~
図6に示すように、搬送容器200は、外側容器210と載置部材220とを備えている。搬送容器200は、包装容器100を入れるための容器である。
【0025】
外側容器210は底部211と側部212を有している。外側容器210の底部211には外側容器210の内部空間と外側容器210の外部を連通する底穴213が形成されており、外側容器210の側部212には外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部214が形成されている。なお、図面では外側容器210の深さ方向と鉛直方向yが一致している態様を示している。
【0026】
図3に示すように、外力が加えられていない場合には、載置部材220は外側容器210の底部211上に配置される。載置部材220上には、包装容器100が載置される。
【0027】
図4、
図5に示すように、搬送装置300は、包装容器100を把持する把持部310を有している。搬送装置300は、把持部310で包装容器100を把持し、包装容器100を所定の位置まで搬送する。
【0028】
図5に示すように、払い落とし装置400は、包装容器100の外縁部と接触可能に構成されている接触部410を有している。払い落とし装置400の接触部410が包装容器100の外縁部と接触することによって包装容器100を払い落とすことができる。
【0029】
図1、
図6に示すように、医療用具包装体の製造方法は、上から観察したときに、包装容器100の外縁部のうち、非開口部120が外側容器210の凹部214と対向し、開口部110が外側容器210の凹部214と対向しないように、複数の包装容器100を載置部材220上に載置するステップS1を有する。包装容器100を載置部材220上に載置するステップS1は、機械が行ってもよいし、人間が行ってもよい。上述したように、外側容器210の側部212には、凹部214が形成されているため、凹部214に機械や人間の手を入れることができるので、包装容器100を載置部材220上に載置しやすくなる。
【0030】
図1、
図4に示すように、医療用具包装体の製造方法は、搬送装置300の把持部310が包装容器100を把持するステップS4を有する。このとき、複数の包装容器100のうち、最上部に位置している包装容器100を把持部310で把持することが好ましい。
【0031】
図1、
図5に示すように、医療用具包装体の製造方法は、外側容器210の凹部214を介して外側容器210内に、払い落とし装置400の接触部410を配置するステップS5を有する。凹部214内とは、側面視において、外側容器210の側部212の外縁のうち凹部214の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部214の外縁と、で囲まれている部分のことを指す。ステップS5において、払い落とし装置400の接触部410の一部または全体が凹部214内を通過することが好ましい。ステップS5において、払い落とし装置400の接触部410の全体が外側容器210内に位置していてもよいが、接触部410の一部のみが外側容器210内に位置していることが好ましい。外側容器210内は、外側容器210の内部空間と言い換えることもできる。外側容器210の内部空間の下端は、外側容器210の底部211で区画される。外側容器210の内部空間の水平方向における端は、外側容器210の側部212で区画される。外側容器210の内部空間の上端は、鉛直方向yにおける外側容器210の側部212の上端の位置で区画される。
【0032】
ステップS4とステップS5については、どちらのステップを先に行っても構わない。医療用具包装体の製造に要する時間を短くするため、ステップS4とステップS5は同時に行われてもよい。
【0033】
図1、
図5に示すように、医療用具包装体の製造方法は、把持部310によって把持された包装容器100の外縁部のうち、非開口部120に接触部410を接触させるステップS6を有する。一の包装容器100が把持部310によって把持されたとき、静電気などによって他の包装容器100が把持部310によって把持されている包装容器100に引っ付いてしまうことがある。このような場合であっても、接触部410が包装容器100の外縁部に接触することで、把持部310によって把持されている包装容器100以外の包装容器100を払い落とすことができる。これにより、把持部310は包装容器100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0034】
本発明の医療用具包装体の製造方法においては、包装容器100の外縁部のうち、非開口部120が外側容器210の凹部214と対向し、開口部110が外側容器210の凹部214と対向しないように、複数の包装容器100を載置部材220上に載置するステップS1と、凹部214を介して外側容器210内に接触部410を配置するステップS5と、把持部310によって把持された包装容器100の外縁部のうち、非開口部120に接触部410を接触させるステップS6と、を有する。接触部410が包装容器100の外縁部に接触することで、把持部310によって把持されている包装容器100以外の包装容器100を払い落とすことができる。このとき、包装容器100の外縁部のうち、開口部110よりも剛性が高い非開口部120に接触部410が接触する。これにより、包装容器100に接触部410が接触することによって包装容器100が受けるダメージを少なくすることができる。
【0035】
医療用具包装体の製造方法において、包装容器100に包装される医療用具は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンジ、カテーテル、メス、縫合糸などが挙げられる。
【0036】
包装容器100は、
図6に示すような袋状、または、
図10に示すような箱であって畳まれている状態のものなどが挙げられる。箱は畳まれている状態で開口部が存在しているものであれば、箱の具体的な形状は特に限定されるものではない。例えば、上下差込式、上差込下組式、上差込下風車式、上差込下仕切式などが挙げられる。
図10では、上下差込式の箱が畳まれている状態を示している。
【0037】
医療用具包装体の製造方法は、ステップS6の後に、包装容器100の開口部110から包装容器100内に医療用具を挿入するステップS8を有していてもよい。ステップS4~ステップS6を介して、搬送容器200内から包装容器100が取り出される。ステップS8では、このようにして取り出された包装容器100内に医療用具を挿入する。医療用具の包装容器100内への挿入は、機械が行ってもよいし、人間が行ってもよい。ステップS8の後に、包装容器100の開口部110を閉じるステップをさらに有していてもよい。
【0038】
ステップS1において、複数の包装容器100は、載置部材220上に、包装容器100の厚み方向に積層されるように載置されることが好ましい。また、包装容器100の積層方向は鉛直方向yであることが好ましい。
【0039】
包装容器100は、例えば、不織布、フィルム、段ボール、紙などで構成することができる。
【0040】
包装容器100の非開口部120は、包装容器100を構成する不織布、フィルム、段ボール、紙などを折り曲げることによって形成してもよいし、包装容器100を構成する不織布、フィルム、段ボール、紙などを接着剤で接着することによって形成してもよい。
【0041】
搬送容器200を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、木材、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。外側容器210を構成する材料と載置部材220を構成する材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0042】
外側容器210の形状、特に外観は、例えば柱状、多角柱状、多角錐台状、四角柱状、箱状などにすることができるが、多角柱状であることが好ましい。
【0043】
外側容器210の底部211に形成される底穴213は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、底穴213の外形は特に限定されるものではなく、例えば円形状、楕円形状、多角形状、四角形状などが挙げられる。
【0044】
外側容器210の側部212に形成される凹部214は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、凹部214の外形は特に限定されるものではなく、例えば半円形状、多角形状、四角形状などが挙げられる。凹部214の外形とは、側面視において、外側容器210の側部212の外縁のうち凹部214の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部214の外縁と、で囲まれている部分のことを指す。
【0045】
外側容器210の凹部214の最大深さは包装容器100の最大厚みよりも長いことが好ましい。凹部214の深さとは、側面視において、外側容器210の側部212の外縁のうち凹部214の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部214の最も下方にある部分である底部と、を最短で結ぶ線分の距離のことを指す。これにより、凹部214に機械や人間の手を入れやすくすることができるので、包装容器100を載置部材220上に載置しやすくすることができる。
【0046】
載置部材220の形状は、例えば網状、シート状、板状などにすることができるが、板状であることが好ましい。
【0047】
載置部材220は、外側容器210の底部211上に配置できる大きさであればよい。例えば載置部材220の底面の面積は外側容器210の底部211の外形の面積よりも小さいことが好ましい。また、外側容器210の底穴213の面積は載置部材220の底面の面積よりも小さいことがより好ましい。これにより、搬送容器200が傾いてしまった場合であっても、載置部材220が外側容器210の底穴213を通過して床などに落下してしまうのを抑制することができる。なお、載置部材220の底面の面積が外側容器210の底穴213の面積よりも小さい態様であっても、載置部材220を外側容器210の底部211に載置することは可能である。
【0048】
把持部310は、搬送装置300に一つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。把持部310の形状は、特に限定されないが、例えば、多角柱状、円錐状、円錐台状、多角錐台状、半球状や板状など、種々の形状にすることができる。
【0049】
把持部310を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、シリコン樹脂などの合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0050】
把持部310は、包装容器100を把持することができる構成であればよい。例えば、把持部310が外部のエアを吸引する孔を有しており、その吸引力によって包装容器100を吸着して包装容器100を把持するものであってもよい。吸引力によって包装容器100を把持する場合は、包装容器100の吸着性向上の観点から、把持部310は可撓性を有する材料で構成されていることが好ましく、例えば、シリコン樹脂やゴム等で構成されていることが好ましい。
【0051】
包装容器100に押し付けることで吸着する機能を有している吸盤を、把持部310として使用することもできる。この場合、把持部310の形状は円錐状や円錐台状であって、その下端部に窪みが形成されていることが好ましい。これにより、該下端部を包装容器100に押し付けて窪みの内部からエアを押し出し、真空に近い状態にして、圧力の差を利用して包装容器100を吸着することができる。
【0052】
図4に示すように、搬送装置300は、把持部310を支持する支持部320をさらに有していてもよい。
【0053】
図示しないが、把持部310がエアの吸引によって包装容器100を吸着するもので、把持部310がそれぞれエアを吸引するための孔を有しているような場合は、当該エアが通過するための流路が支持部320に形成されていてもよい。
【0054】
搬送装置300の支持部320を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0055】
接触部410の形状は、例えば、ブラシ状、棒状、板状、爪状等が挙げられる。中でも、接触部410の形状は、爪状であることが好ましい。接触部410が爪状の形状であることにより、把持部310が把持している包装容器100の外縁部に接触部410が接触しやすく、把持部310によって把持されている包装容器100以外の包装容器100を払い落としやすくすることができる。これにより、把持部310は包装容器100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0056】
払い落とし装置400が有している接触部410の数は、1つであってもよいが、2つ以上であることが好ましい。接触部410の数が複数であることにより、接触部410が包装容器100の外縁部の複数箇所において接触することができるため、把持部310によって把持されている包装容器100以外の包装容器100を払い落としやすくすることができる。これにより、把持部310は包装容器100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0057】
接触部410を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0058】
上記の把持部310によって把持された包装容器100の外縁部のうち、非開口部120に接触部410を接触させるステップS6において、接触部410は開口部110に接触しないことが好ましい。接触部410を開口部110に接触させないようにすることで、開口部110から包装容器100の内部空間に埃などの異物が入り込むのを防止することができる。
【0059】
医療用具包装体の製造方法は、外側容器210に対する載置部材220の上下方向の位置を調節可能に構成されている昇降装置500を準備するステップをさらに有していることが好ましい。このステップは、
図1に示すステップS0に含まれていてもよい。昇降装置500を準備するステップを有する場合、医療用具包装体の製造方法は、複数の包装容器100を載置部材220上に載置するステップS1の後であって、搬送装置300の把持部310が包装容器100を把持するステップS4の前に、搬送容器200を昇降装置500上に載置するステップS2を有していることが好ましい。昇降装置500が外側容器210の底穴213を介して載置部材220にのみ力を加えることで、載置部材220のみを上昇させたり、上昇させた載置部材220を下降させたりすることができる。これにより、把持部310が把持しやすい位置に包装容器100の上端の位置を調整しやすくすることができる。
【0060】
昇降装置500は、例えば、上端が上下方向に移動可能な昇降部501と、昇降部501の動作によって上端の位置が変化しない土台部502を有していてもよい。
【0061】
昇降部501としてはアクチュエータを用いることができる。アクチュエータは、入力されたエネルギーを直線運動や揺動運動のようなさまざまな物理運動に変換することが可能な装置である。
【0062】
アクチュエータは、例えば、モータと、モータによって鉛直方向yに移動する機構で構成されることが可能である。モータとしては、直流モータ、交流モータ、誘導モータ、油圧モータ、空気圧モータ、同期モータ、ステッピングモータなどが挙げられる。
【0063】
アクチュエータは、空気圧によってシリンダ内のピストンを鉛直方向yに移動させる空気圧シリンダ、油圧によってシリンダ内のピストンを鉛直方向yに移動させる油圧シリンダ、水圧によってシリンダ内のピストンを鉛直方向yに移動させる水圧シリンダであってもよい。
【0064】
土台部502は、昇降部501の動作によって上端の位置が変化しない部分である。土台部502は、外側容器210を支持する部分であってもよい。例えば、テーブル、台などを土台部502として用いてもよい。
【0065】
医療用具包装体の製造方法は、搬送容器200を昇降装置500上に載置するステップS2の後であって、包装容器100を把持するステップS4の前に、昇降装置500が外側容器210に対する載置部材220の位置を上昇させるステップS3を有していることが好ましい。昇降装置500により、把持部310が包装容器100を把持しやすくなる高さに載置部材220上の包装容器100の上端の位置を上昇させることで、把持部310が安定して包装容器100を把持しやすくすることができる。
【0066】
昇降装置500を準備するステップを有し、載置部材220上に包装容器100が載置されている場合、医療用具包装体の製造方法は、包装容器100を把持するステップS4の後に、昇降装置500が外側容器210に対する載置部材220の位置を上昇させるステップS7を有していることが好ましい。把持部310が包装容器100を把持した後は、把持された包装容器100の厚み分、載置部材220上に載置されている包装容器100の上端の位置が下がるが、ステップS4の後に、昇降装置500により、把持部310が包装容器100を把持しやすくなる高さに載置部材220上の包装容器100の上端の位置を再度上昇させることで、残りの包装容器100を把持部310が安定して把持しやすくすることができる。
【0067】
載置部材220上に包装容器100が載置されていない場合、即ち、搬送容器200内に入れられていた包装容器100を搬送装置300によって全て搬送し終えた場合、医療用具包装体の製造方法は、外側容器210の底部211上に載置部材220が配置されるように、外側容器210に対する載置部材220の位置を下降させるステップS10を有していてもよい。これにより、載置部材220上に包装容器100が載置されていない搬送容器200を昇降装置500上から取り除きやすくすることができる。これにより、載置部材220上に包装容器100が載置されていない搬送容器200と、載置部材220上に包装容器100が載置されている他の搬送容器200との交換をスムーズに行いやすくすることができる。
【0068】
図2、
図7~
図9に示すように、外側容器210は第1挿入部610と第1挿入部610とは異なる位置に位置している第2挿入部620を有している吊り上げ治具600によって吊り上げられるものであることが好ましい。具体的には、外側容器210は、その側部212に、第1挿入部610を挿入可能な第1穴215と、第1穴215とは異なる位置に位置しており第2挿入部620を挿入可能な第2穴216と、が形成されており、第1穴215の深さ方向から観察したときの第1穴215の外形は、第2穴216の深さ方向から観察したときの第2穴216の外形と異なっているものであることが好ましい。このような外側容器210が用いられる場合、医療用具包装体の製造方法は、搬送容器200を昇降装置500上に載置するステップS2の前に、第1挿入部610を第1穴215に挿入し、第2挿入部620を第2穴216に挿入するステップS9を有していることが好ましい。第1穴215に挿入された第1挿入部610と第2穴216に挿入された第2挿入部620の鉛直方向yにおける位置を上昇させることで、搬送容器200を吊り上げることができる。このとき、第1穴215の深さ方向から観察したときの第1穴215の外形が第2穴216の深さ方向から観察したときの第2穴216の外形と異なっていることにより、第1穴215の内腔において第1挿入部610が安定する領域と、第2穴216の内腔において第2挿入部620が安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴215と第2穴216の距離と、第1挿入部610と第2挿入部620の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて一方の挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で他方の挿入部が移動することができる。これにより、外側容器210が第1挿入部610および第2挿入部620に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、昇降装置500上に搬送容器200を載置しやすくすることができる。このようにして、搬送容器200を昇降装置500上に載置するステップS2は、吊り上げ治具600が外側容器210を吊り上げることによって行うことができる。
【0069】
第1穴215の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。第2穴216の数についても同様である。第1穴215と第2穴216の数がそれぞれ2つ以上である場合、各第1穴215同士が対向しており、各第2穴216同士が対向していることが好ましい。第1穴215の数と第2穴216の数は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第1穴215の数と第2穴216の数は同じであることが好ましい。これにより、外側容器210を吊り上げ治具600によって吊り上げたときの重量バランスを取りやすくすることができるため、安定して搬送容器200を搬送しやすくすることができる。
【0070】
第1挿入部610および第2挿入部620を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0071】
第1挿入部610および第2挿入部620の形状は特に限定されるものではないが、棒状、柱状、円柱状、多角柱状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。第1挿入部610と第2挿入部620の形状は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0072】
第1挿入部610および第2挿入部620は水平方向xに延在していることが好ましい。第1挿入部610および第2挿入部620はその全体が水平方向xに延在しているものであってもよい。また、第1挿入部610と第2挿入部620の一部のみが水平方向xに延在しており、残りの部分が他の方向に延在していても構わない。
【0073】
吊り上げ治具600は、第1挿入部610と第2挿入部620を支持する支持部630をさらに有していてもよい。支持部630を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0074】
外側容器210の側部212に形成されている第1穴215は、水平方向xにおける幅215wが上方に向かって狭くなる所定区間217を有していることが好ましい。外側容器210の側部212に形成されている第2穴216は、水平方向xにおける幅216wが上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。当該構成により、第1穴215の内腔において第1挿入部610が安定する領域を、第2穴216の内腔において第2挿入部620が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1穴215と第2穴216の距離と、第1穴215に挿入される第1挿入部610と第2穴216に挿入される第2挿入部620の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1穴215に第1挿入部610が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2穴216の内腔で第2挿入部620が移動しやすくすることができる。これにより、搬送容器200が挿入部に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、昇降装置500上に搬送容器200を載置しやすくすることができる。
【0075】
医療用具包装体の製造方法は、搬送容器200を搬送可能なコンベヤを準備するステップを有していてもよい。このステップは
図1に示すステップS0に含まれていてもよい。コンベヤを準備するステップを有している場合、搬送容器200を昇降装置500上に載置するステップS2は、コンベヤが搬送容器200を搬送することによって行われることが好ましい。
【0076】
ステップS2で用いられるコンベヤは、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
【0077】
本発明には、底部211と側部212を有しており、底部211に底穴213が形成されている外側容器210と、外側容器210の底部211上に配置されており、包装容器100が載置される載置部材220と、を備えており、外側容器210の側部212には外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部214が形成されている搬送容器200も含まれる。搬送容器200の構成については医療用具包装体の製造方法について説明する際に既に説明しているため、ここでは搬送容器200の構成についての説明を省略する。
【符号の説明】
【0078】
100:包装容器
200:搬送容器
210:外側容器
211:底部
212:側部
213:底穴
214:凹部
215:第1穴
215w:幅
216:第2穴
216w:幅
217:所定区間
220:載置部材
300:搬送装置
310:把持部
320:支持部
400:払い落とし装置
410:接触部
500:昇降装置
501:昇降部
502:土台部
600:吊り上げ治具
610:第1挿入部
620:第2挿入部
630:支持部