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特開2024-121331搬送容器、および、搬送対象物の搬送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121331
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】搬送容器、および、搬送対象物の搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65D77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028372
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居村 真人
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA12
3E067AA24
3E067AC03
3E067BA05B
3E067BA05C
3E067BA09B
3E067BA09C
3E067EE43
3E067FA04
3E067FC02
(57)【要約】
【課題】搬送対象物を搬送する際に用いることができる搬送容器と、その搬送容器を用いた搬送対象物の搬送方法であって、搬送対象物が比較的軽い物であっても搬送容器から落下するのを抑制することができ、搬送対象物が載置されている場所から容器内に搬送対象物を移動させやすいものを提供する。
【解決手段】底部211と側部212を有しており、底部211に底穴213が形成されている外側容器210と、外側容器210の底部211上に配置されており搬送対象物が載置される載置部226と、載置部226上に設けられている第1側壁部221および第2側壁部222と、を有している内側容器220と、を備え、載置部226上であって第1側壁部221と第2側壁部222の間に搬送対象物が載置される搬送容器200と、搬送容器200を用いた搬送対象物の搬送方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と側部を有しており、前記底部に底穴が形成されている外側容器と、
前記外側容器内に配置されている内側容器であって、前記外側容器の底部上に配置されており搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部上に設けられている第1側壁部と、前記載置部上に設けられており前記第1側壁部と異なる位置に配置されている第2側壁部と、を有する内側容器と、を備え、
前記載置部上であって前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に前記搬送対象物が載置される搬送容器。
【請求項2】
前記外側容器の側部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている請求項1に記載の搬送容器。
【請求項3】
前記外側容器は前記外側容器の側部の上端部に配置される蓋部を有しており、
側面視において、前記蓋部は、前記外側容器の側部の上端部に配置されているときに、前記凹部を覆うように構成されている請求項2に記載の搬送容器。
【請求項4】
前記内側容器は、前記載置部上に設けられており、一端が前記第1側壁部と接続され、前記一端と反対側に位置している他端が前記第2側壁部と接続されている第3側壁部を有している請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項5】
前記内側容器の第3側壁部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている請求項4に記載の搬送容器。
【請求項6】
前記内側容器の第3側壁部に形成されている凹部の最大幅は、前記内側容器の第3側壁部に形成されている凹部の最大深さよりも短い請求項5に記載の搬送容器。
【請求項7】
前記内側容器は、前記第1側壁部と接続されている第1端と、前記第1端と反対側に位置している第2端と、を有している第4側壁部を有しており、
前記第4側壁部は前記第4側壁部の第1端から前記第4側壁部の第2端に向かって前記外側容器の側部に近づくように構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項8】
前記内側容器は、前記第2側壁部と接続されている第1端と、前記第1端と反対側に位置している第2端と、を有している第5側壁部を有しており、
前記第5側壁部は前記第5側壁部の第1端から前記第5側壁部の第2端に向かって前記外側容器の側部に近づくように構成されている請求項7に記載の搬送容器。
【請求項9】
前記外側容器は第1挿入部と前記第1挿入部とは異なる位置に位置している第2挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられるものであって、
前記外側容器の側部には、前記第1挿入部を挿入可能な第1穴と、前記第1穴とは異なる位置に位置しており前記第2挿入部を挿入可能な第2穴と、が形成されており、
前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっている請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項10】
前記第1穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有しており、前記第2穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有していない請求項9に記載の搬送容器。
【請求項11】
前記底穴の面積は前記載置部の底面の面積よりも小さい請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送容器。
【請求項12】
底部と側部を有しており前記底部に底穴が形成されている外側容器と、前記外側容器内に配置されている内側容器であって、前記外側容器の底部上に配置されており搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部上に設けられている第1側壁部と、前記載置部上に設けられており前記第1側壁部と異なる位置に配置されている第2側壁部と、を有する内側容器と、を備え、前記載置部上であって前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に前記搬送対象物が載置される搬送容器を準備するステップと、
前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節可能に構成されている第1昇降装置を準備するステップと、
前記搬送対象物を準備するステップと、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップと、
前記内側容器の上端が前記外側容器の側部の上端よりも上の位置になるように、前記第1昇降装置が前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、
前記搬送対象物を前記載置部上であって前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に載置するステップと、
前記内側容器の載置部が前記外側容器の底部上に載置されるように、前記第1昇降装置が前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、
を有する搬送対象物の搬送方法。
【請求項13】
前記第1昇降装置とは異なる位置に配置されており、前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節可能に構成されている第2昇降装置を準備するステップと、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上から前記第2昇降装置上に移動させるステップと、
を有する請求項12に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項14】
前記内側容器の上端が、前記外側容器の側部の上端よりも上の位置になるように、前記第2昇降装置が前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、
前記搬送対象物を前記内側容器から取り出すステップと、
を有する請求項13に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項15】
前記外側容器の側部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されており、
前記搬送対象物を把持する把持部を有する搬送装置を準備するステップと、
前記搬送対象物と接触可能に構成されている接触部を有している払い落とし装置を準備するステップと、を有し、
前記搬送対象物を前記内側容器から取り出すステップは、前記外側容器の凹部を介して前記外側容器内に前記接触部を配置するステップと、前記把持部によって把持された前記搬送対象物に前記接触部を接触させるステップと、を有する請求項14に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項16】
前記内側容器は、前記載置部上に設けられており、一端が前記第1側壁部と接続され、前記一端と反対側に位置している他端が前記第2側壁部と接続されている第3側壁部を有しており、
前記内側容器の第3側壁部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されており、
前記外側容器の凹部を介して前記外側容器内に前記接触部を配置するステップにおいて、前記接触部は前記内側容器の凹部を介して前記内側容器内に配置される請求項15に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項17】
前記外側容器は第1挿入部と前記第1挿入部とは異なる位置に位置している第2挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられるものであって、前記外側容器の側部には、前記第1挿入部を挿入可能な第1穴と、前記第1穴とは異なる位置に位置しており前記第2挿入部を挿入可能な第2穴と、が形成されており、前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっており、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップの前に、前記第1挿入部を前記第1穴に挿入し、前記第2挿入部を前記第2穴に挿入するステップを有する請求項12に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項18】
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップは前記吊り上げ治具によって行われる請求項17に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項19】
前記搬送容器を搬送可能なコンベヤを準備するステップを有し、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップは、前記コンベヤが前記搬送容器を搬送することによって行われる請求項12に記載の搬送対象物の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送容器と、搬送容器を用いた搬送対象物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、容器としては、様々なものが開発されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、下部から上部に亘り同形・同サイズの内周面を備えた容器体Aと、容器体Aの底部に回転可能に且つ容器体A外部からの回転操作が可能に設けるとともに容器体A内に螺軸Cを立設した操作ハンドルBと、螺軸Cに内周縁を螺着するとともに外周縁を容器体A内周面に摺動可能に嵌合させた中皿Dとを備え、操作ハンドルBを回転させることによる螺軸Cの回転で中皿Dが上昇する如く構成した容器が開示されている。
【0004】
特許文献2には、底部と底部から容器開口部を画定する上縁まで上向きに延在する側壁部とを有する容器本体と、上縁に係合して容器開口部を密閉する蓋と、を有する包装物品であって、包装物品は底部と側壁部と蓋によって画定される封入容積を有し、封入容積を分割する取り外し可能なインサートをさらに含む包装物品について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-212238号公報
【特許文献2】国際公開第2020/127362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの容器は搬送対象物を搬送する際には使用しにくかった。このため、搬送対象物を搬送する際に用いることができる容器の開発と、その容器を用いた搬送対象物の搬送方法の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送対象物を搬送する際に用いることができる容器と、その容器を用いた搬送対象物の搬送方法であって、搬送対象物が比較的軽い物であっても搬送容器から落下するのを抑制することができ、搬送対象物が載置されている場所から容器内に搬送対象物を移動させやすいものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決できた本発明の搬送容器とは、以下の通りである。
[1] 底部と側部を有しており、前記底部に底穴が形成されている外側容器と、
前記外側容器内に配置されている内側容器であって、前記外側容器の底部上に配置されており搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部上に設けられている第1側壁部と、前記載置部上に設けられており前記第1側壁部と異なる位置に配置されている第2側壁部と、を有する内側容器と、を備え、
前記載置部上であって前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に前記搬送対象物が載置される搬送容器。
【0009】
外側容器の底穴を介して内側容器の載置部にのみ力を加えることで、内側容器のみを上昇させたり、上昇させた内側容器を下降させたりすることができる。これにより、内側容器の載置部の高さを搬送対象物が載置されている場所の高さに調節しやすくすることができるため、搬送対象物が載置されている場所から内側容器内に搬送対象物を移動させやすくすることができる。また、搬送対象物が載置された内側容器を外側容器内に配置することにより、搬送容器を移動させる際に搬送対象物が受ける風量を少なくすることができるため、搬送対象物が比較的軽い物であっても搬送容器から落下するのを抑制することができる。
【0010】
本発明の搬送容器は、以下の[2]~[11]であることが好ましい。
[2] 前記外側容器の側部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている[1]に記載の搬送容器。
[3] 前記外側容器は前記外側容器の側部の上端部に配置される蓋部を有しており、
側面視において、前記蓋部は、前記外側容器の側部の上端部に配置されているときに、前記凹部を覆うように構成されている[2]に記載の搬送容器。
[4] 前記内側容器は、前記載置部上に設けられており、一端が前記第1側壁部と接続され、前記一端と反対側に位置している他端が前記第2側壁部と接続されている第3側壁部を有している[1]~[3]のいずれか一項に記載の搬送容器。
[5] 前記内側容器の第3側壁部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されている[4]に記載の搬送容器。
[6] 前記内側容器の第3側壁部に形成されている凹部の最大幅は、前記内側容器の第3側壁部に形成されている凹部の最大深さよりも短い[5]に記載の搬送容器。
[7] 前記内側容器は、前記第1側壁部と接続されている第1端と、前記第1端と反対側に位置している第2端と、を有している第4側壁部を有しており、
前記第4側壁部は前記第4側壁部の第1端から前記第4側壁部の第2端に向かって前記外側容器の側部に近づくように構成されている[1]~[6]のいずれか一項に記載の搬送容器。
[8] 前記内側容器は、前記第2側壁部と接続されている第1端と、前記第1端と反対側に位置している第2端と、を有している第5側壁部を有しており、
前記第5側壁部は前記第5側壁部の第1端から前記第5側壁部の第2端に向かって前記外側容器の側部に近づくように構成されている[7]に記載の搬送容器。
[9] 前記外側容器は第1挿入部と前記第1挿入部とは異なる位置に位置している第2挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられるものであって、
前記外側容器の側部には、前記第1挿入部を挿入可能な第1穴と、前記第1穴とは異なる位置に位置しており前記第2挿入部を挿入可能な第2穴と、が形成されており、
前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっている[1]~[8]のいずれか一項に記載の搬送容器。
[10] 前記第1穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有しており、前記第2穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有していない[9]に記載の搬送容器。
[11] 前記底穴の面積は前記載置部の底面の面積よりも小さい[1]~[10]のいずれか一項に記載の搬送容器。
【0011】
上記課題を解決できた本発明の搬送対象物の搬送方法は、以下の通りである。
[12] 底部と側部を有しており前記底部に底穴が形成されている外側容器と、前記外側容器内に配置されている内側容器であって、前記外側容器の底部上に配置されており搬送対象物が載置される載置部と、前記載置部上に設けられている第1側壁部と、前記載置部上に設けられており前記第1側壁部と異なる位置に配置されている第2側壁部と、を有する内側容器と、を備え、前記載置部上であって前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に前記搬送対象物が載置される搬送容器を準備するステップと、
前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節可能に構成されている第1昇降装置を準備するステップと、
前記搬送対象物を準備するステップと、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップと、
前記内側容器の上端が前記外側容器の側部の上端よりも上の位置になるように、前記第1昇降装置が前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、
前記搬送対象物を前記載置部上であって前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に載置するステップと、
前記内側容器の載置部が前記外側容器の底部上に載置されるように、前記第1昇降装置が前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、
を有する搬送対象物の搬送方法。
【0012】
外側容器の底穴を介して第1昇降装置が内側容器の載置部にのみ力を加えることで、内側容器のみを上昇させたり、上昇させた内側容器を下降させたりすることができる。内側容器の上端が外側容器の側部の上端よりも上の位置になるように、第1昇降装置が外側容器に対する内側容器の上下方向の位置を調節することにより、内側容器の載置部の高さを搬送対象物が載置されている場所の高さに調節しやすくすることができるため、搬送対象物が載置されている場所から内側容器内に搬送対象物を移動させやすくすることができる。また、内側容器の載置部が外側容器の底部上に載置されるように、第1昇降装置が外側容器に対する内側容器の上下方向の位置を調節することにより、搬送対象物が載置された内側容器を外側容器内に配置することができ、搬送容器を移動させる際に搬送対象物が受ける風量を少なくすることができるため、搬送対象物が比較的軽い物であっても搬送容器から落下するのを抑制することができる。
【0013】
本発明の搬送対象物の搬送方法は、以下の[13]~[19]であることが好ましい。
[13] 前記第1昇降装置とは異なる位置に配置されており、前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節可能に構成されている第2昇降装置を準備するステップと、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上から前記第2昇降装置上に移動させるステップと、
を有する[12]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[14] 前記内側容器の上端が、前記外側容器の側部の上端よりも上の位置になるように、前記第2昇降装置が前記外側容器に対する前記内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、
前記搬送対象物を前記内側容器から取り出すステップと、
を有する[13]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[15] 前記外側容器の側部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されており、
前記搬送対象物を把持する把持部を有する搬送装置を準備するステップと、
前記搬送対象物と接触可能に構成されている接触部を有している払い落とし装置を準備するステップと、を有し、
前記搬送対象物を前記内側容器から取り出すステップは、前記外側容器の凹部を介して前記外側容器内に前記接触部を配置するステップと、前記把持部によって把持された前記搬送対象物に前記接触部を接触させるステップと、を有する[14]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[16] 前記内側容器は、前記載置部上に設けられており、一端が前記第1側壁部と接続され、前記一端と反対側に位置している他端が前記第2側壁部と接続されている第3側壁部を有しており、
前記内側容器の第3側壁部に前記外側容器の深さ方向に凹んでいる凹部が形成されており、
前記外側容器の凹部を介して前記外側容器内に前記接触部を配置するステップにおいて、前記接触部は前記内側容器の凹部を介して前記内側容器内に配置される[15]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[17] 前記外側容器は第1挿入部と前記第1挿入部とは異なる位置に位置している第2挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられるものであって、前記外側容器の側部には、前記第1挿入部を挿入可能な第1穴と、前記第1穴とは異なる位置に位置しており前記第2挿入部を挿入可能な第2穴と、が形成されており、前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっており、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップの前に、前記第1挿入部を前記第1穴に挿入し、前記第2挿入部を前記第2穴に挿入するステップを有する[12]~[16]のいずれか一項に記載の搬送対象物の搬送方法。
[18] 前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップは前記吊り上げ治具によって行われる[17]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[19] 前記搬送容器を搬送可能なコンベヤを準備するステップを有し、
前記搬送容器を前記第1昇降装置上に載置するステップは、前記コンベヤが前記搬送容器を搬送することによって行われる[12]~[16]のいずれか一項に記載の搬送対象物の搬送方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、搬送対象物を搬送する際に用いることができる搬送容器と、その搬送容器を用いた搬送対象物の搬送方法であって、搬送対象物が比較的軽い物であっても搬送容器から落下するのを抑制することができ、搬送対象物が載置されている場所から容器内に搬送対象物を移動させやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す模式図を表す。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す上面図を表す。
図8図8は、図1に示す外側容器に設けられている第1穴を拡大した図を表す。
図9図9は、図1に示す外側容器に設けられている第2穴を拡大した図を表す。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法で用いられる吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法で搬送される搬送対象物の一例を示す上面図を表す。
図12図12は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す模式図を表す。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図15図15は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0017】
図1図15を参照して本発明の実施の形態に係る搬送容器と、その搬送容器を用いた搬送対象物の搬送方法について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す模式図を表す。図2は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。図3は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。図4は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。図5は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。図6は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。図7は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す上面図を表す。図8は、図1に示す外側容器に設けられている第1穴を拡大した図を表す。図8では、第1穴に吊り上げ治具の第1挿入部が挿入されている状態を示している。図9は、図1に示す外側容器に設けられている第2穴を拡大した図を表す。図9では、第2穴に吊り上げ治具の第2挿入部が挿入されている状態を示している。図10は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法で用いられる吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。図11は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法で搬送される搬送対象物の一例を示す上面図を表す。図12は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す模式図を表す。図13は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法の一例を示すフローチャートである。図14は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。図15は、本発明の実施の形態に係る搬送容器の一例を示す断面図(一部側面図)を表す。本図面においては、水平方向をx、鉛直方向をyで示している。なお、上下方向と鉛直方向は同じ方向である。水平方向xは鉛直方向yに垂直な方向であるが、本図面では紙面左右方向の水平方向xのみを矢印で示している。
【0019】
まずは、本発明の実施の形態に係る搬送容器について具体的に説明する。
【0020】
本発明の搬送容器は、底部と側部を有しており、底部に底穴が形成されている外側容器と、外側容器内に配置されている内側容器であって、外側容器の底部上に配置されており搬送対象物が載置される載置部と、載置部上に設けられている第1側壁部と、載置部上に設けられており第1側壁部と異なる位置に配置されている第2側壁部と、を有する内側容器と、を備え、載置部上であって第1側壁部と第2側壁部の間に搬送対象物が載置される点に要旨を有する。
【0021】
本明細書内において、上方とは鉛直方向のうちの上側に向かう方向のことを指し、下方とは鉛直方向のうちの下側に向かう方向のことを指す。各部材の上部とは各部材のうちの上方側半分を指し、各部材の下部とは各部材の下方側半分を指す。各部材の上端とは各部材のうち鉛直方向において最も上に位置している端である。各部材の下端とは各部材のうち鉛直方向において最も下に位置している端である。
【0022】
図1図7図12に示すように、搬送容器200は、外側容器210と内側容器220とを備えている。搬送容器200は、搬送対象物100を入れるための容器である。
【0023】
図1図7図12に示すように、外側容器210は底部211と側部212を有している。外側容器210の底部211には外側容器210の内部空間と外側容器210の外部を連通する底穴213が形成されている。
【0024】
図2に示すように、外力が加えられていない場合には、内側容器220は外側容器210内に配置されている。図1図7図12に示すように、内側容器220は、外側容器210の底部211上に配置されており搬送対象物100が載置される載置部226と、載置部226上に設けられている第1側壁部221と、載置部226上に設けられており第1側壁部221と異なる位置に配置されている第2側壁部222と、を有する。搬送対象物100は、載置部226上であって第1側壁部221と第2側壁部222の間に載置される。搬送対象物100を載置部226上に載置する主体は、機械であってもよいし、人間であってもよい。
【0025】
図2図3に示すように、外側容器210の底穴213を介して内側容器220の載置部226にのみ力を加えることで、内側容器220のみを上昇させたり、上昇させた内側容器220を下降させたりすることができる。これにより、内側容器220の載置部226の高さを搬送対象物100が載置されている場所の高さに調節しやすくすることができるため、搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させやすくすることができる。図4は、内側容器220内に搬送対象物100を載置した状態を表している。また、図6に示すように、載置部226上の搬送対象物100の高さが搬送対象物の搬送先の高さになるように、搬送対象物100が載置された内側容器220の載置部226の高さを調節しやすくすることができるため、搬送対象物100を内側容器220内から当該搬送先に移動させることが容易になる。さらに、図5に示すように、搬送対象物100が載置された内側容器220を外側容器210内に配置することにより、搬送容器200を移動させる際に搬送対象物100が受ける風量を少なくすることができるため、搬送対象物100が比較的軽い物であっても搬送容器200から落下するのを抑制することができる。
【0026】
搬送対象物100は、特に限定されるものではないが、例えば、ラベルや包装容器などが挙げられる。包装容器としては、図7に示すような袋状、または、図11に示すような箱であって畳まれている状態のものなどが挙げられる。箱の具体的な形状は特に限定されるものではない。例えば、上下差込式、上差込下組式、上差込下風車式、上差込下仕切式などが挙げられる。図11では、上下差込式の箱が畳まれている状態を示している。なお、箱は必ずしも畳まれている必要はなく、組み立てられている状態、即ち、立方体や直方体の形状であってもよい。
【0027】
搬送対象物100は、例えば、不織布、フィルム、段ボール、紙などで構成することができる。
【0028】
搬送容器200を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、木材、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。外側容器210を構成する材料と内側容器220を構成する材料は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
外側容器210の形状、特に外観は、例えば柱状、多角柱状、多角錐台状、四角柱状、箱状などにすることができるが、多角柱状であることが好ましい。
【0030】
外側容器210の底部211に形成される底穴213は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、底穴213の外形は特に限定されるものではなく、例えば円形状、楕円形状、多角形状、四角形状などが挙げられる。
【0031】
図1図7図12に示すように、外側容器210の側部212に外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部214が形成されていることが好ましい。凹部214が形成されていることにより、凹部214内に機械や人間の手を入れることができるので、搬送対象物100を載置部226上に載置しやすくなる。また、凹部214内には後述する接触部410を配置することもできる。なお、図面では外側容器210の深さ方向と鉛直方向yが一致している態様を示している。
【0032】
外側容器210の側部212に形成される凹部214は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。また、凹部214の外形は特に限定されるものではなく、例えば半円形状、多角形状、四角形状などが挙げられる。凹部214の外形とは、側面視において、外側容器210の側部212の外縁のうち凹部214の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部214の外縁と、で囲まれている部分のことを指す。
【0033】
外側容器210の凹部214の最大深さは搬送対象物100の最大厚みよりも長いことが好ましい。凹部214の深さとは、側面視において、外側容器210の側部212の外縁のうち凹部214の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部214の最も下方にある部分である底部と、を最短で結ぶ線分の距離のことを指す。これにより、凹部214に機械や人間の手を入れやすくすることができるので、搬送対象物100を載置部226上に載置しやすくすることができる。また、凹部214に後述する接触部410を配置することもできる。
【0034】
図2図5に示すように、外側容器210は外側容器210の側部212の上端部に配置される蓋部230を有していてもよい。蓋部230は、搬送容器200が所定の場所から他の所定の場所に移動される際に用いられることが好ましい。図2図5に示すように、側面視において、蓋部230は、外側容器210の側部212の上端部に配置されているときに、凹部214を覆うように構成されていることが好ましい。これにより、搬送容器200を移動させる際に搬送対象物100が受ける風量が少なくなるため、搬送対象物100が比較的軽い物であっても搬送容器200から落下するのを抑制しやすくすることができる。
【0035】
載置部226の形状は、例えば網状、シート状、板状、などにすることができるが、板状であることが好ましい。
【0036】
搬送対象物100は、載置部226上に、搬送対象物100の厚み方向に積層されるように載置されることが好ましい。また、搬送対象物100の積層方向は鉛直方向yであることが好ましい。
【0037】
載置部226は、外側容器210の底部211上に配置できる大きさであればよい。例えば載置部226の底面の面積は外側容器210の底部211の外形の面積よりも小さいことが好ましい。また、外側容器210の底穴213の面積は載置部226の底面の面積よりも小さいことがより好ましい。これにより、搬送容器200が傾いてしまった場合であっても、内側容器220が外側容器210の底穴213を通過して床などに落下してしまうのを抑制することができる。なお、載置部226の底面の面積が外側容器210の底穴213の面積よりも小さい態様であっても、内側容器220の載置部226を外側容器210の底部211に載置することは可能である。
【0038】
第1側壁部221の形状は、例えば網状、シート状、板状、連続して並べられている複数のポールなどで構成することができるが、板状であることが好ましい。
【0039】
第2側壁部222の形状は、例えば網状、シート状、板状、連続して並べられている複数のポールなどで構成することができるが、板状であることが好ましい。
【0040】
図1図12に示すように、第1側壁部221と第2側壁部222は対向していることが好ましい。第1側壁部221と第2側壁部222は板状であって、第1側壁部221の主面と第2側壁部222の主面が対向していることがより好ましい。搬送対象物100を水平方向xに移動させることによって搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させる際に、搬送対象物100は第1側壁部221と第2側壁部222に沿って移動しやすくなるため、搬送対象物100を第1側壁部221と第2側壁部222の間に載置しやすくすることができる。
【0041】
内側容器220内に搬送対象物100を移動させる際に、搬送対象物100を水平方向xに移動させる方法としては、例えばローラーが回転することによって搬送対象物100を内側容器220内に向かって1つずつ送り出す方法が挙げられる。
【0042】
図1図7に示すように、内側容器220は、載置部226上に設けられており、一端が第1側壁部221と接続され、その一端と反対側に位置している他端が第2側壁部222と接続されている第3側壁部223を有していてもよい。搬送対象物100を水平方向xに移動させることによって搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させる際に、第3側壁部223が搬送対象物100の水平方向xの移動を止めることができる。このため、搬送対象物100を水平方向xに移動させる場合であっても、搬送対象物100が載置部226上に位置しやすくなる。なお、図12に示すように、第3側壁部223が設けられていない場合は、外側容器210の側部212が搬送対象物100の水平方向xにおける移動を止めてもよい。
【0043】
第3側壁部223の形状は、例えば網状、シート状、板状、などにすることができるが、板状であることが好ましい。
【0044】
図1に示すように、内側容器220の第3側壁部223に外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部227が形成されていることが好ましい。凹部227が形成されていることにより、凹部227内に機械や人間の手を入れることができるので、搬送対象物100を載置部226上に載置しやすくなる。また、凹部227内には、後述する接触部410を配置することもできる。
【0045】
図1に示すように、内側容器220の第3側壁部223に形成されている凹部227の最大幅は、内側容器220の第3側壁部223に形成されている凹部227の最大深さよりも短いことが好ましい。凹部227の最大幅とは、水平方向xにおける凹部227の長さのうち最も長い長さを指す。凹部227の深さとは、側面視において、内側容器220の第3側壁部側部223の外縁のうち凹部227の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部227の最も下方にある部分である底部と、を最短で結ぶ線分の距離のことを指す。これにより、凹部227内に機械や人間の手を入れやすくすることができるので、搬送対象物100を載置部226上に載置しやすくすることができる。また、凹部227内に、後述する接触部410を配置しやすくすることもできる。
【0046】
図1図7に示すように、内側容器220は、第1側壁部221と接続されている第1端2241と、第1端2241と反対側に位置している第2端2242と、を有している第4側壁部224を有していてもよい。この場合、第4側壁部224は第4側壁部224の第1端2241から第4側壁部224の第2端2242に向かって外側容器210の側部212に近づくように構成されていることが好ましい。搬送対象物100を水平方向xに移動させることによって搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させる際に、搬送対象物100の移動方向が内側容器220の第1側壁部221よりも外側にずれることがある。内側容器220に第4側壁部224が設けられていることにより、水平方向xにおける搬送対象物100の移動方向が内側容器220の第1側壁部221よりも外側にずれたとしても、搬送対象物100を内側容器220内に入れやすくすることができる。
【0047】
図1図7に示すように、内側容器220は、第2側壁部222と接続されている第1端2251と、第1端2251と反対側に位置している第2端2252と、を有している第5側壁部225を有していてもよい。この場合、第5側壁部225は第5側壁部225の第1端2251から第5側壁部225の第2端2252に向かって外側容器210の側部212に近づくように構成されていることが好ましい。搬送対象物100を水平方向xに移動させることによって搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させる際に、搬送対象物100の移動方向が内側容器220の第2側壁部222よりも外側にずれることがある。内側容器220に第5側壁部225が設けられていることにより、水平方向xにおける搬送対象物100の移動方向が内側容器220の第2側壁部222よりも外側にずれたとしても、搬送対象物100を内側容器220内に入れやすくすることができる。
【0048】
図1図8図10に示すように、外側容器210は第1挿入部610と第1挿入部610とは異なる位置に位置している第2挿入部620を有している吊り上げ治具600によって吊り上げられるものであることが好ましい。具体的には、外側容器210は、その側部212に第1挿入部610を挿入可能な第1穴215と、第1穴215とは異なる位置に位置しており第2挿入部620を挿入可能な第2穴216と、が形成されており、第1穴215の深さ方向から観察したときの第1穴215の外形は、第2穴216の深さ方向から観察したときの第2穴216の外形と異なっているものであることが好ましい。第1穴215に挿入された第1挿入部610と第2穴216に挿入された第2挿入部620の鉛直方向yにおける位置を上昇させることで、搬送容器200を吊り上げることができる。このとき、第1穴215の深さ方向から観察したときの第1穴215の外形が第2穴216の深さ方向から観察したときの第2穴216の外形と異なっていることにより、第1穴215の内腔において第1挿入部610が安定する領域と、第2穴216の内腔において第2挿入部620が安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴215と第2穴216の距離と、第1挿入部610と第2挿入部620の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて一方の挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で他方の挿入部が移動することができる。これにより、外側容器210が第1挿入部610および第2挿入部620に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、昇降装置500上に搬送容器200を載置しやすくすることができる。
【0049】
第1穴215の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。第2穴216の数についても同様である。第1穴215と第2穴216の数がそれぞれ2つ以上である場合、各第1穴215同士が対向しており、各第2穴216同士が対向していることが好ましい。第1穴215の数と第2穴216の数は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第1穴215の数と第2穴216の数は同じであることが好ましい。これにより、外側容器210を吊り上げ治具600によって吊り上げたときの重量バランスを取りやすくすることができるため、安定して搬送容器200を搬送しやすくすることができる。
【0050】
第1挿入部610および第2挿入部620を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0051】
第1挿入部610および第2挿入部620の形状は特に限定されるものではないが、棒状、柱状、円柱状、多角柱状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。第1挿入部610と第2挿入部620の形状は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0052】
第1挿入部610および第2挿入部620は水平方向xに延在していることが好ましい。第1挿入部610および第2挿入部620はその全体が水平方向xに延在しているものであってもよい。また、第1挿入部610と第2挿入部620の一部のみが水平方向xに延在しており、残りの部分が他の方向に延在していても構わない。
【0053】
図10に示すように、吊り上げ治具600は、第1挿入部610と第2挿入部620を支持する支持部630をさらに有していてもよい。支持部630を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0054】
図8に示すように、外側容器210の側部212に形成されている第1穴215は水平方向xにおける幅215wが上方に向かって狭くなる所定区間217を有していることが好ましい。図9に示すように、外側容器210の側部212に形成されている第2穴216は水平方向xにおける幅216wが上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。当該構成により、第1穴215の内腔において第1挿入部610が安定する領域を、第2穴216の内腔において第2挿入部620が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1穴215と第2穴216の距離と、第1穴215に挿入される第1挿入部610と第2穴216に挿入される第2挿入部620の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1穴215に第1挿入部610が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2穴216の内腔で第2挿入部620が移動しやすくすることができる。これにより、搬送容器200が挿入部に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、所定の位置に搬送容器200を載置しやすくすることができる。
【0055】
図8に示すように、所定区間217は、第1穴215の全体に設けられていてもよい。なお、図示しないが、所定区間217は、第1穴215の一部のみに設けられていてもよい。所定区間217が第1穴215の一部のみに設けられている場合は、所定区間217は、第1穴215の上部に設けられていることが好ましい。
【0056】
次に、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法について具体的に説明する。
【0057】
本発明の搬送対象物の搬送方法は、底部と側部を有しており底部に底穴が形成されている外側容器と、外側容器内に配置されている内側容器であって、外側容器の底部上に配置されており搬送対象物が載置される載置部と、載置部上に設けられている第1側壁部と、載置部上に設けられており第1側壁部と異なる位置に配置されている第2側壁部と、を有する内側容器と、を備え、載置部上であって第1側壁部と第2側壁部の間に搬送対象物が載置される搬送容器を準備するステップと、外側容器に対する内側容器の上下方向の位置を調節可能に構成されている第1昇降装置を準備するステップと、搬送対象物を準備するステップと、搬送容器を第1昇降装置上に載置するステップと、内側容器の上端が外側容器の側部の上端よりも上の位置になるように、第1昇降装置が外側容器に対する内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、搬送対象物を載置部上であって第1側壁部と第2側壁部の間に載置するステップと、内側容器の載置部が外側容器の底部上に載置されるように、第1昇降装置が外側容器に対する内側容器の上下方向の位置を調節するステップと、を有する点に要旨を有する。なお、既に説明済みの構成については説明を省略する。
【0058】
図1図4図7図10図13に示すように、搬送対象物の搬送方法は、上述の搬送容器200と、第1昇降装置510と、搬送対象物100と、を準備するステップS0を有する。
【0059】
第1昇降装置510は、外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節可能に構成されている。
【0060】
図2図13に示すように、搬送対象物の搬送方法は、搬送容器220を第1昇降装置510上に載置するステップS1を有する。
【0061】
図3図13に示すように、搬送対象物の搬送方法は、内側容器220の上端が外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、第1昇降装置510が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS2を有する。
【0062】
図4図7図13に示すように、搬送対象物の搬送方法は、搬送対象物100を載置部226上であって第1側壁部221と第2側壁部222の間に載置するステップS3を有する。
【0063】
図13に示すように、搬送対象物の搬送方法は、内側容器220の載置部226が外側容器210の底部211上に載置されるように、第1昇降装置510が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS4と、を有する。
【0064】
図2図3に示すように、外側容器210の底穴213を介して第1昇降装置510が内側容器220の載置部226にのみ力を加えることで、内側容器220のみを上昇させたり、上昇させた内側容器220を下降させたりすることができる。内側容器220の上端が外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、第1昇降装置510が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節することにより、内側容器220の載置部226の高さを搬送対象物100が載置されている場所の高さに調節しやすくすることができるため、搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させやすくすることができる。図4は、内側容器220内に搬送対象物100を載置した状態を表している。また、内側容器220の載置部226が外側容器210の底部211上に載置されるように、第1昇降装置510が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節することにより、搬送対象物100が載置された内側容器220を外側容器210内に配置することができ、搬送容器200を移動させる際に搬送対象物100が受ける風量を少なくすることができるため、搬送対象物100が比較的軽い物であっても搬送容器200から落下するのを抑制することができる。
【0065】
図2図4に示すように、第1昇降装置510は、上端が上下方向に移動可能な昇降部511と、昇降部511の動作によって上端の位置が変化しない土台部512を有していてもよい。
【0066】
昇降部511としてはアクチュエータを用いることができる。アクチュエータは、入力されたエネルギーを直線運動や揺動運動のようなさまざまな物理運動に変換することが可能な装置である。
【0067】
アクチュエータは、例えば、モータと、モータによって鉛直方向yに移動する機構で構成されることが可能である。モータとしては、直流モータ、交流モータ、誘導モータ、油圧モータ、空気圧モータ、同期モータ、ステッピングモータなどが挙げられる。
【0068】
アクチュエータは、空気圧によってシリンダ内のピストンを鉛直方向yに移動させる空気圧シリンダ、油圧によってシリンダ内のピストンを鉛直方向yに移動させる油圧シリンダ、水圧によってシリンダ内のピストンを鉛直方向yに移動させる水圧シリンダであってもよい。
【0069】
図2図4に示すように、土台部512は、昇降部511の動作によって上端の位置が変化しない部分である。土台部512は、外側容器210を支持する部分であってもよい。例えば、テーブル、台などを土台部512として用いてもよい。
【0070】
搬送対象物100が載置されていた場所に搬送対象物100が残っている、即ち、搬送容器200内に入れられる前の搬送対象物100が残っている場合であって、搬送容器200内に搬送対象物100を入れるスペースが残っている場合は、搬送対象物の搬送方法は、図13図4に示すように、ステップS3の後に、載置部226上に載置された搬送対象物100の上端が外側容器210の側部212の上端と同じ位置または外側容器210の側部212の上端よりも下の位置になるように、第1昇降装置510が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS9を有していてもよい。これにより、内側容器220の載置部226上に載置されている搬送対象物100の上端の高さを搬送対象物100が載置されている場所の高さに調整しやすくすることができるため、搬送対象物100が載置されている場所から内側容器220内に搬送対象物100を移動させやすくすることができる。
【0071】
搬送対象物100が載置されていた場所に搬送対象物100が残っている場合、即ち、搬送容器200内に入れられる前の搬送対象物100が残っている場合であっても、搬送容器200内に搬送対象物100を入れるスペースが残っていない場合は、ステップS9に進むことなくステップS4に進むことが好ましい。
【0072】
搬送対象物の搬送方法は、第1昇降装置510とは異なる位置に配置されており、外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節可能に構成されている第2昇降装置520を準備するステップを有していてもよい。このステップは、図13に示すステップS0に含まれていてもよい。この場合、搬送容器200を第1昇降装置510上から第2昇降装置520上に移動させるステップS5を有することが好ましい。これにより、搬送対象物100を入れた状態の搬送容器200が移動された先、即ち搬送先においても、外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節することができる。
【0073】
図5図6に示すように、第2昇降装置520は、上端が上下方向に移動可能な昇降部521と、昇降部521の動作によって上端の位置が変化しない土台部522を有していてもよい。第2昇降装置520が有している昇降部521および土台部522の説明は、第1昇降装置510が有している昇降部511および土台部512について記載されている部分を参照することができる。
【0074】
図6図13に示すように、搬送対象物の搬送方法は、ステップS5の後に、内側容器220の上端が、外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS6を有していてもよい。また、搬送対象物100を内側容器220から取り出すステップS7を有していてもよい。内側容器220の上端が外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節することにより、搬送対象物100の高さを搬送対象物100の搬送先の高さに調整しやすくすることができる。このため、搬送対象物100を内側容器220内から当該搬送先に移動させることが容易になる。
【0075】
ステップS7の後に、載置部226上に搬送対象物が載置されている場合には、搬送対象物の搬送方法は、載置部226上に載置された搬送対象物100の上端が外側容器210の側部212の上端と同じ位置または外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS10を有していることが好ましい。載置部226上に載置された搬送対象物100の上端が外側容器210の側部212の上端と同じ位置または外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節することにより、搬送対象物100の高さを該搬送対象物100の搬送先の高さに調整しやすくすることができる。このため、搬送対象物100を内側容器220内から当該搬送先に移動させることが容易になる。
【0076】
搬送対象物の搬送方法は、ステップS10の後に、搬送対象物100を内側容器220から取り出すステップS7に戻ることが好ましい。
【0077】
載置部226上に搬送対象物が載置されていない場合、即ち、搬送容器200に入れられていた搬送対象物100を全て搬送先に搬送し終えた場合には、内側容器220の載置部226が外側容器210の底部211上に載置されるように、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS11を有していることが好ましい。これにより、載置部226上に搬送対象物100が載置されていない搬送容器200と、載置部226上に搬送対象物100が載置されている他の搬送容器200との交換をスムーズに行いやすくすることができる。
【0078】
上述したように、外側容器210の側部212に外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部214が形成されていてもよい。この場合、搬送対象物の搬送方法は、図6に示すような、搬送対象物100を把持する把持部310を有する搬送装置300を準備するステップと、搬送対象物100と接触可能に構成されている接触部410を有している払い落とし装置400を準備するステップと、を有していることが好ましい。また、上述した搬送対象物100を内側容器220から取り出すステップS7は、図13に示すように、搬送装置300の把持部310が搬送対象物100を把持するステップと、外側容器210の凹部214を介して外側容器210内に接触部410を配置するステップと、把持部310によって把持された搬送対象物100に接触部410を接触させるステップと、を有していることが好ましい。一の搬送対象物100が把持部310によって把持されたとき、静電気などによって他の搬送対象物100が把持部310によって把持されている搬送対象物100に引っ付いてしまうことがある。このような場合であっても、把持部310によって把持された搬送対象物100に接触部410を接触させることで、把持部310によって把持されている搬送対象物100以外の搬送対象物100を払い落とすことができる。これにより、把持部310は搬送対象物100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0079】
図6に示すように、搬送装置300は、搬送対象物100を把持する把持部310を有している。搬送装置300は、把持部310で搬送対象物100を把持し、搬送対象物100を所定の位置まで搬送する。
【0080】
搬送装置300の把持部310が搬送対象物100を把持するステップにおいて、複数の搬送対象物100がある場合は、最上部に位置している搬送対象物100を把持部310で把持することが好ましい。
【0081】
把持部310は、搬送装置300に一つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。把持部310の形状は、特に限定されないが、例えば、多角柱状、円錐状、円錐台状、多角錐台状、半球状や板状など、種々の形状にすることができる。
【0082】
把持部310を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、シリコン樹脂などの合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0083】
把持部310は、搬送対象物100を把持することができる構成であればよい。例えば、把持部310が外部のエアを吸引する孔を有しており、その吸引力によって搬送対象物100を吸着して搬送対象物100を把持するものであってもよい。吸引力によって搬送対象物100を把持する場合は、搬送対象物100の吸着性向上の観点から、把持部310は可撓性を有する材料で構成されていることが好ましく、例えば、シリコン樹脂やゴム等で構成されていることが好ましい。
【0084】
搬送対象物100に押し付けることで吸着する機能を有している吸盤を、把持部310として使用することもできる。この場合、把持部310の形状は円錐状や円錐台状であって、その下端部に窪みが形成されていることが好ましい。これにより、該下端部を搬送対象物100に押し付けて窪みの内部からエアを押し出し、真空に近い状態にして、圧力の差を利用して搬送対象物100を吸着することができる。
【0085】
図6に示すように、搬送装置300は、把持部310を支持する支持部320をさらに有していてもよい。
【0086】
図示しないが、把持部310がエアの吸引によって搬送対象物100を吸着するもので、把持部310がそれぞれエアを吸引するための孔を有しているような場合は、当該エアが通過するための流路が支持部320に形成されていてもよい。
【0087】
搬送装置300の支持部320を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0088】
図6に示すように、払い落とし装置400は、搬送対象物100と接触可能に構成されている接触部410を有している。払い落とし装置400の接触部410が搬送対象物100と接触することによって搬送対象物100を払い落とすことができる。
【0089】
外側容器210の凹部214を介して外側容器210内に払い落とし装置400の接触部410が配置される際、払い落とし装置400の接触部410の一部または全部が凹部214内を通過することが好ましい。凹部214内とは、側面視において、外側容器210の側部212の外縁のうち凹部214の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部214の外縁と、で囲まれている部分のことを指す。
【0090】
外側容器210の凹部214を介して外側容器210内に払い落とし装置400の接触部410が配置される際、図6に示すように、払い落とし装置400の接触部410の一部または全部が外側容器210内に位置していることが好ましい。外側容器210内は、外側容器210の内部空間と言い換えることもできる。外側容器210の内部空間の下端は、外側容器210の底部211で区画される。外側容器210の内部空間の水平方向における端は、外側容器210の側部212で区画される。外側容器210の内部空間の上端は、鉛直方向yにおける外側容器210の側部212の上端の位置で区画される。
【0091】
接触部410の形状は、例えば、ブラシ状、棒状、板状、爪状等が挙げられる。中でも、接触部410の形状は、爪状であることが好ましい。接触部410が爪状の形状であることにより、把持部310が把持している搬送対象物100に接触部410が接触しやすく、把持部310によって把持されている搬送対象物100以外の搬送対象物100を払い落としやすくすることができる。これにより、把持部310は搬送対象物100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0092】
払い落とし装置400が有している接触部410の数は、1つであってもよいが、2つ以上であることが好ましい。接触部410の数が複数であることにより、接触部410が搬送対象物100の複数箇所において接触することができるため、把持部310によって把持されている搬送対象物100以外の搬送対象物100を払い落としやすくすることができる。これにより、把持部310は搬送対象物100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0093】
接触部410を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0094】
搬送装置300の把持部310が搬送対象物100を把持するステップと、外側容器210の凹部214を介して外側容器210内に接触部410を配置するステップと、は、どちらのステップを先に行っても構わない。搬送対象物の搬送に要する時間を短くするため、これら2つのステップは同時に行われてもよい。
【0095】
搬送対象物100が包装容器である場合、図7図11に示すように、包装容器は、厚み方向から観察したときに、外縁部に物品を出し入れ可能に構成されている開口部110と、外縁部のうち開口部110以外の部分である非開口部120と、を有していてもよい。ここでは、包装容器は、物品を包装するための容器である。物品は特に限定されないが、例えば医療用具であってもよい。医療用具としては、例えば、シリンジ、カテーテル、メス、縫合糸などが挙げられる。包装容器は、物品を収納するための内部空間が設けられている。
【0096】
外縁部とは、包装容器を厚み方向から観察したときに、包装容器の外縁101の近傍に位置している部分である。
【0097】
開口部110は、包装容器を厚み方向から観察したときの外縁部に設けられている部分であって、包装容器の内部空間と包装容器の外部とを連通しており、少なくとも包装容器によって包装される物品を出し入れ可能な部分のことを指す。
【0098】
非開口部120は、包装容器を厚み方向から観察したときの外縁部のうち、開口部110以外の部分である。即ち、物品を出し入れ可能に構成されていない部分である。例えば、包装容器の内部空間と包装容器の外部とを連通している部分であっても、包装容器の内部空間と包装容器の外部とを僅かな隙間によって連通している部分のように、包装容器によって包装される物品を出し入れできるほどの大きさを有していない部分は非開口部120である。
【0099】
非開口部120は、包装容器を構成する不織布、フィルム、段ボール、紙などを折り曲げることによって形成してもよいし、包装容器を構成する不織布、フィルム、段ボール、紙などを接着剤で接着することによって形成してもよい。
【0100】
搬送対象物100が包装容器である場合、搬送対象物100を載置部226上であって第1側壁部221と第2側壁部222の間に載置するステップS3において、上から観察したときに、包装容器の外縁部のうち、非開口部120が外側容器210の凹部214と対向し、開口部110が外側容器210の凹部214と対向しないように、包装容器を載置部226上に載置することが好ましい。さらに、把持部310によって把持された搬送対象物100に接触部410を接触させるステップにおいては、把持部310によって把持された包装容器の外縁部のうち、非開口部120に接触部410を接触させることが好ましい。接触部410が包装容器の外縁部に接触することで、把持部310によって把持されている包装容器以外の包装容器を払い落とすことができる。このとき、包装容器の外縁部のうち、開口部110よりも剛性が高い非開口部120に接触部410が接触する。これにより、包装容器に接触部410が接触することによって包装容器が受けるダメージを少なくすることができる。
【0101】
把持部310によって把持された搬送対象物100に接触部410を接触させるステップにおいて、接触部410は開口部110に接触しないことが好ましい。接触部410を開口部110に接触させないようにすることで、開口部110から包装容器の内部空間に埃などの異物が入り込むのを防止することができる。
【0102】
上述したように、内側容器220は、載置部226上に設けられており、一端が第1側壁部221と接続され、一端と反対側に位置している他端が第2側壁部222と接続されている第3側壁部223を有していてもよい。この場合、内側容器220の第3側壁部223に外側容器210の深さ方向に凹んでいる凹部227が形成されていることが好ましい。そして、図6に示すように、外側容器210の凹部214を介して外側容器210内に接触部410を配置するステップにおいて、接触部410は内側容器220の凹部227を介して内側容器220内に配置されることが好ましい。上記ステップにおいて、払い落とし装置400の接触部410の一部または全体が凹部217内を通過することが好ましい。凹部227内とは、側面視において、第3側壁部223の外縁のうち凹部227の外縁とそれ以外の部分の外縁との境界部同士を結ぶ線分と、凹部227の外縁と、で囲まれている部分のことを指す。上記ステップにおいて、払い落とし装置400の接触部410の一部または全体が内側容器220内に配置されることが好ましい。内側容器220内は、内側容器220の内部空間と言い換えることもできる。内側容器220の内部空間の下端は、内側容器220の載置部226で区画される。内側容器220の内部空間の水平方向における端は、内側容器220の載置部226の水平方向xにおける端で区画される。内側容器220の内部空間の上端は、鉛直方向yにおける内側容器210の第3側壁部223の上端で区画される。これにより、内側容器220内において、把持部310によって把持されている搬送対象物100以外の搬送対象物100を払い落とすことができる。これにより、把持部310は搬送対象物100を1つずつ把持して搬送しやすくなる。
【0103】
搬送対象物の搬送方法は、図14図15に示すような、繰出部330と抑制部340とを有している搬送装置300を準備するステップを有していてもよい。繰出部330と抑制部340とを有している搬送装置300を用いる場合、搬送対象物の搬送方法の搬送対象物100を内側容器220から取り出すステップS7は、操出部330と載置部226上に載置されている搬送対象物100が接触するステップと、繰出部330が接触している搬送対象物100を内側容器220の外部に向かって送り出すステップと、繰出部330によって送り出された搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100に抑制部340を当接させるステップと、を有していることが好ましい。繰出部330が接触している一の搬送対象物100が操出部330によって送り出されるとき、静電気などによって他の搬送対象物100が操出部330と接触することによって送り出されている搬送対象物100に引っ付いてしまうことがある。このような場合であっても、操出部330と接触している搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100に対して抑制部340を当接させることで、操出部330と接触している搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100が内側容器220の外部に向かう移動を抑制することができる。これにより、操出部330と接触している搬送対象物100のみを内側容器220の外部に送り出すことができるため、操出部330と接触している搬送対象物100を1つずつ送り出しやすくなる。
【0104】
繰出部330は、繰出部330が接触している搬送対象物100を内側容器220の外部に向かって送り出す機能を有している部分である。
【0105】
繰出部330は、円筒状または円柱状の形状であって、中心軸を中心に回転することが好ましい。円筒状または円柱状の繰出部330を回転させるため、搬送装置300は、繰出部330に回転力を付与するトルクモーターを有していることが好ましい。トルクモーターは、後述する搬送装置300の支持部350に設けられていてもよい。
【0106】
搬送装置300は繰出部330を1つのみ有していてもよいが、図14図15に示すように、搬送装置300は繰出部330を複数有していてもよい。複数の操出部330は、図14図15に示すように、水平方向xに並んでいることが好ましい。これにより、搬送対象物100を内側容器220内から順に外部に向かって送り出しやすくすることができるため、スムーズに内側容器220の外部に送り出しやすくなる。
【0107】
抑制部340は、繰出部330によって送り出された搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100に当接することによって、繰出部330によって送り出された搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100が内側容器220の外部に向かう移動を抑制する機能を有している部分である。
【0108】
抑制部340は、操出部330と接触している搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100に当接することで、他の搬送対象物100が内側容器220の外部に向かう移動を抑制することができるものであれば、特にその形状は限定されることはないが、例えば、円筒状、円柱状、多角柱状、中空多角柱状、箱状などの形状にすることができる。円筒状または円柱状の形状である場合、抑制部340は、中心軸を中心に回転するものであって、繰出部330の回転方向とは逆の方向に回転するものであっても構わない。これにより、操出部330と接触している搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100が内側容器220の外部に向かう移動を抑制しやすくなる。円筒状または円柱状の抑制部340を回転させるため、搬送装置300は、抑制部340に回転力を付与するトルクモーターを有していることが好ましい。トルクモーターは、後述する搬送装置300の支持部350に設けられていてもよい。
【0109】
図14図15に示すように、搬送装置300は、操出部330および抑制部340の少なくともいずれか一方を支持する支持部350をさらに有していてもよい。図15に示すように、操出部330と抑制部340は支持部350に対して回転可能に取付けられていることが好ましい。
【0110】
操出部330、抑制部340、支持部350を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、シリコン樹脂などの合成樹脂、天然樹脂、ゴム、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0111】
繰出部330と抑制部340とを有している搬送装置300を用いる場合であって、操出部330と載置部226上に載置されている搬送対象物100が接触するステップと、繰出部330が接触している搬送対象物100を内側容器220の外部に向かって送り出すステップと、繰出部330によって送り出された搬送対象物100に引っ付いている他の搬送対象物100に抑制部340を当接させるステップと、を有しているステップS7の後に、載置部226上に搬送対象物100が載置されている場合には、搬送対象物の搬送方法は、載置部226上に載置された搬送対象物100の上端が外側容器210の側部212の上端と同じ位置または外側容器210の側部212の上端よりも上の位置になるように、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS10を有していることが好ましい。この場合のステップS10において、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節する際には、載置部226上に載置された搬送対象物100の上端が繰出部330に接触する高さに調整されることがより好ましい。これにより、搬送対象物100を内側容器220内から搬送先に移動させることが容易になる。
【0112】
繰出部330と抑制部340とを有している搬送装置300を用いる場合でも、搬送対象物の搬送方法は、ステップS10の後に、搬送対象物100を内側容器220から取り出すステップS7に戻ることが好ましい。
【0113】
繰出部330と抑制部340とを有している搬送装置300を用いる場合でも、ステップS7の後に、載置部226上に搬送対象物100が載置されていない場合、即ち、搬送容器200に入れられていた搬送対象物100を全て搬送先に搬送し終えた場合には、内側容器220の載置部226が外側容器210の底部211上に載置されるように、第2昇降装置520が外側容器210に対する内側容器220の上下方向の位置を調節するステップS11を有していることが好ましい。これにより、載置部226上に搬送対象物100が載置されていない搬送容器200と、載置部226上に搬送対象物100が載置されている他の搬送容器200との交換をスムーズに行いやすくすることができる。
【0114】
上述したように、外側容器210は第1挿入部610と第1挿入部610とは異なる位置に位置している第2挿入部620を有している吊り上げ治具600によって吊り上げられるものであって、外側容器210の側部212には、第1挿入部610を挿入可能な第1穴215と、第1穴215とは異なる位置に位置しており第2挿入部620を挿入可能な第2穴216と、が形成されており、第1穴215の深さ方向から観察したときの第1穴215の外形は、第2穴216の深さ方向から観察したときの第2穴216の外形と異なっていてもよい。このような外側容器210が用いられる場合、搬送対象物の搬送方法は、搬送容器200を第1昇降装置510上に載置するステップS1の前に、第1挿入部610を第1穴215に挿入し、第2挿入部620を第2穴216に挿入するステップS8を有していてもよい。第1穴215に挿入された第1挿入部610と第2穴216に挿入された第2挿入部620の鉛直方向yにおける位置を上昇させることで、搬送容器200を吊り上げることができる。このとき、第1穴215の深さ方向から観察したときの第1穴215の外形が第2穴216の深さ方向から観察したときの第2穴216の外形と異なっていることにより、第1穴215の内腔において第1挿入部610が安定する領域と、第2穴216の内腔において第2挿入部620が安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴215と第2穴216の距離と、第1挿入部610と第2挿入部620の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて一方の挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で他方の挿入部が移動することができる。これにより、外側容器210が第1挿入部610および第2挿入部620に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、第1昇降装置510上に搬送容器200を載置しやすくすることができる。このようにして、搬送容器200を第1昇降装置510上に載置するステップS1は吊り上げ治具600によって行うことができる。また、内容が重複するので詳細には説明しないが、搬送容器200を第1昇降装置510上から第2昇降装置520上に移動させるステップS5も吊り上げ治具600によって行うことができる。
【0115】
搬送対象物の搬送方法は、搬送容器200を搬送可能なコンベヤを準備するステップを有していてもよい。このステップは図13に示すステップS0に含まれていてもよい。この場合、搬送容器200を第1昇降装置510上に載置するステップS1は、コンベヤが搬送容器200を搬送することによって行われることが好ましい。また、内容が重複するので詳細には説明しないが、搬送容器200を第1昇降装置510上から第2昇降装置520上に移動させるステップS5もコンベヤが搬送容器200を搬送することによって行うことができる。
【0116】
ステップS2で用いられるコンベヤは、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
【符号の説明】
【0117】
100:搬送対象物
200:搬送容器
210:外側容器
211:底部
212:側部
213:底穴
214:凹部
215:第1穴
215w:幅
216:第2穴
216w:幅
217:所定区間
220:内側容器
221:第1側壁部
222:第2側壁部
223:第3側壁部
224:第4側壁部
225:第5側壁部
226:載置部
227:凹部
300:搬送装置
310:把持部
320:支持部
330:繰出部
340:抑制部
350:支持部
400:払い落とし装置
410:接触部
510:第1昇降装置
511:昇降部
512:土台部
520:第2昇降装置
521:昇降部
522:土台部
600:吊り上げ治具
610:第1挿入部
620:第2挿入部
630:支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15