(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121333
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
H01R13/52 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028375
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名和 徹夫
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE14
5E087FF03
5E087FF06
5E087GG26
5E087HH04
5E087LL11
5E087MM09
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間に流体を浸入し難くすることができるコネクタアセンブリを提供する。
【解決手段】コネクタアセンブリ1は、ボディ筐体に取付け固定される第1コネクタ2と、第1コネクタ2に嵌合される第2コネクタ3と、を備える。第2コネクタ3は、第1コネクタ2の表面に付着する流体を、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27の下方に流す流体案内部26を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディ筐体に取付け固定される第1コネクタと、前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、を備えたコネクタアセンブリであって、
前記第2コネクタは、
前記第1コネクタの表面に付着する流体を、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合の隙間の下方に流す流体案内部を有する、コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記第2コネクタは、複数の外面を持つ箱状のハウジングを有し、
前記ハウジングは、対向する一対の外面を有する外面対を、1つ以上有し、
前記流体案内部は、少なくとも1つの前記外面対に設けられている、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記流体案内部は、溝部である、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記溝部の溝形状は、英文字V字状である、請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記溝部は、前記隙間に近い方に位置する第1斜面と、前記第1斜面と対向する位置に配置された第2斜面と、を有し、
前記第1斜面は、前記第2斜面よりも傾斜角が大きく形成されている、請求項4に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記第2コネクタは、前記第1コネクタの内部に挿入される嵌合面と、前記嵌合面に対して対向する背面と、を有し、
前記背面は、前記第2コネクタの表面に存在する前記流体を下方に落とすための突状部を有する、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの一方に設けられ、前記第1コネクタのフード内部に設けられて電気接続するオス端子と並設された仕切り壁と、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの他方に設けられ、前記仕切り壁が挿入される係合溝と、を備える、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項8】
前記ボディ筐体に対する取付状態のとき、前記第1コネクタが上、前記第2コネクタが下に位置する向きをとる、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、第1コネクタハウジングのフード部に第2コネクタハウジングを嵌合することにより、互いの接続端子が電気接続される防水コネクタが周知である。特許文献1の場合、第2コネクタハウジングは、コネクタ内部への水の浸入を抑制する形状に形成された受部を有する。特許文献1の防水コネクタは、コネクタの取付け向きによらず、この受部によってコネクタ内部への水の浸入を抑制することにより、接続端子に腐食を生じ難くする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、ハウジング表面に付着した水が第1コネクタハウジングと第2コネクタハウジングとの嵌合の隙間に至った場合、毛細管現象によって、水が隙間に浸入してしまうことも考えられる。しかし、特許文献1は、シール部材を有する防水コネクタであって、シール部材を備えていない非防水コネクタにおいても、毛細管現象による水の浸入を防止したいニーズがあった。
【0005】
本開示の目的は、第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間に流体を浸入し難くすることができるコネクタアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するコネクタアセンブリは、ボディ筐体に取付け固定される第1コネクタと、前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、を備えた構成であって、前記第2コネクタは、前記第1コネクタの表面に付着する流体を、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合の隙間の下方に流す流体案内部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間に流体を浸入し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、コネクタアセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、コネクタアセンブリの側面図である。
【
図3】
図3は、第2コネクタを嵌合面から見たときの斜視図である。
【
図4】
図4は、第2コネクタを背面から見たときの斜視図である。
【
図7】
図7は、第2コネクタにおける流体案内部の拡大断面図である。
【
図9】
図9は、コネクタアセンブリに付着した流体の流れを示す説明図である。
【
図10】
図10は、コネクタアセンブリにおける極間の沿面距離の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタアセンブリは、ボディ筐体に取付け固定される第1コネクタと、前記第1コネクタに嵌合される第2コネクタと、を備える。前記第2コネクタは、前記第1コネクタの表面に付着する流体を、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの嵌合の隙間の下方に流す流体案内部を有する。
【0010】
本構成によれば、第1コネクタの表面に付着した流体が第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間の入口付近に至ったとき、流体が毛細管現象によって隙間の内部に引き込まれてしまうのではなく、第2コネクタに設けた流体案内部によって、隙間の下方に導くことが可能となる。よって、第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間に流体を浸入し難くすることが可能となる。また、第2コネクタの形状に工夫をした防水対策をとるので、特別なシール部材を用いなくとも、嵌合の隙間の内部への流体の浸入を抑制することが可能となる。よって、シール部材を備えないコネクタアセンブリであっても、防水性を高くすることが可能となる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記第2コネクタは、複数の外面を持つ箱状のハウジングを有し、前記ハウジングは、対向する一対の外面を有する外面対を、1つ以上有し、前記流体案内部は、少なくとも1つの前記外面対に設けられている。この構成によれば、対向する一対の外面の両面において、嵌合の隙間の内部への流体の浸入を抑制することが可能となる。
【0012】
[3]上記[1]又は[2]において、前記流体案内部は、溝部である。この構成によれば、第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間の入口付近に至った流体を、溝部の凹みによって隙間の下方へ流れ易くすることが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0013】
[4]上記[3]において、前記溝部の溝形状は、英文字V字状である。この構成によれば、溝部の英文字V字状の斜面によって、第1コネクタ及び第2コネクタの嵌合の隙間の入口付近に至った流体を、隙間の下方にスムーズに流すことが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0014】
[5]上記[4]において、前記溝部は、前記隙間に近い方に位置する第1斜面と、前記第1斜面と対向する位置に配置された第2斜面と、を有し、前記第1斜面は、前記第2斜面よりも傾斜角が大きく形成されている。この構成によれば、隙間に近い方の第1斜面の傾斜角を急斜面とすることが可能となるので、隙間の下方へ、流体をより一層流し易くすることが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0015】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記第2コネクタは、前記第1コネクタの内部に挿入される嵌合面と、前記嵌合面に対して対向する背面と、を有し、前記背面は、前記第2コネクタの表面に存在する前記流体を下方に落とすための突状部を有する。この構成によれば、流体案内部から流れてくる流体を、第2コネクタの背面に形成された突状部によって、更に隙間から離れていく方向に案内して、排出することが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0016】
[7]上記[1]から[6]のいずれかにおいて、コネクタアセンブリは、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの一方に設けられ、前記第1コネクタのフード内部に設けられて電気接続するオス端子と並設された仕切り壁と、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタの他方に設けられ、前記仕切り壁が挿入される係合溝と、を備える。この構成によれば、オス端子とメス端子とを接続した各々の端子において、隣同士の端子の間に仕切り壁が設けられるので、隣同士の極間の距離、いわゆる沿面距離を、長く設定することが可能となる。このため、所定の端子に流体が至ったとしても、この流体を、隣の端子に流し難くすることが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0017】
[8]上記[1]から[7]のいずれかにおいて、コネクタアセンブリは、前記ボディ筐体に対する取付状態のとき、前記第1コネクタが上、前記第2コネクタが下に位置する向きをとる。この構成によれば、嵌合の隙間と流体案内部との位置関係を、嵌合の隙間を上、流体案内部を下、という配置とすることが可能となる。よって、嵌合の隙間の入口付近に流体が流れ落ちてきたとき、この流体を自重によって流体案内部に導くとともに、下方に落とすことが可能となる。このため、流体が嵌合の隙間に一層流入し難くなる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際とは異なる場合がある。
【0019】
(コネクタアセンブリ1)
図1に示すように、コネクタアセンブリ1は、第1コネクタ2と、第1コネクタ2に嵌合される第2コネクタ3と、を備える。コネクタアセンブリ1は、例えば、1つの第1コネクタ2に対し、複数(本例は、2つ)の第2コネクタ3が嵌合される構造となっている。第2コネクタ3は、第1コネクタ2に対し、第1コネクタ2の幅方向(
図1のY軸方向)に並んで配置される。
【0020】
図2に示すように、コネクタアセンブリ1は、例えば、第1コネクタ2をボディ筐体4に固定することにより、ボディ筐体4に取付けられる。コネクタアセンブリ1は、ボディ筐体4に取付け固定されたとき、第1コネクタ2が上、第2コネクタ3が下に位置する向きをとる。第1コネクタ2は、ボディ筐体4に形成された開口部5に取付けられている。第1コネクタ2及びボディ筐体4の固定方法は、例えば、図示しない締結部を用いた方法や、爪形状でロックする方法など、種々の方法が使用される。
【0021】
(第1コネクタ2)
図1及び
図2に示す通り、第1コネクタ2は、ボディ筐体4への取付部位となるフランジ8と、第2コネクタ3が嵌合されるフード9と、を有する。フード9は、第2コネクタ3が嵌合される部位である。フード9は、例えば、第1コネクタ2の端面に2つ設けられている。フード9の各々は、第2コネクタ3が挿し込まれる収容凹部10を有する。収容凹部10は、例えば、開口の軸方向(
図1のZ軸方向)から見た場合、略四角状に形成されている。
【0022】
第1コネクタ2は、電気接続するオス端子11を備える。オス端子11は、例えば、複数(
図1は、一部のみ図示)形成されている。このように、本例の場合、第1コネクタ2は、オスコネクタである。複数のオス端子11は、例えば、複数の縦と横に並べて配置されている。
【0023】
(第2コネクタ3)
図3及び
図4に示すように、第2コネクタ3は、複数の外面14を持つ箱状のハウジング15を有する。ハウジング15は、例えば、略直方体形状に形成されている。ハウジング15は、例えば、樹脂製である。外面14は、例えば、第1コネクタ2の内部に挿入される嵌合面14aと、嵌合面14aに対して対向する背面14bと、を有する。嵌合面14aは、例えば、コネクタアセンブリ1の組付時においてオス端子11が挿入される面である。背面14bは、例えば、第2コネクタ3の電気端子であるメス端子16が挿入される面である。本例の場合、第2コネクタ3は、メスコネクタである。
【0024】
嵌合面14aは、例えば、オス端子11を挿入するためのオス端子挿入穴17が複数形成されている。オス端子挿入穴17は、例えば、複数の縦と横に並べて配置されるように形成されている。
【0025】
外面14は、上段の列に配列されるメス端子16の端子群を固定するための第1リテーナ18が取付けられた第1外面14cと、下段の列に配列されるメス端子16の端子群を固定するための第2リテーナ19が取付けられた第2外面14dと、を有する。また、外面14は、
図3等においてのハウジング15の側面である第3外面14eと、この第3外面14eに対向する面である第4外面14fと、を有する。以上のように、ハウジング15は、例えば、嵌合面14a、背面14b、及び、第1外面14c~第4外面14f、の6面を有する。
【0026】
図5に示すように、ハウジング15は、第1リテーナ18及び第2リテーナ19を固定するための複数の突起20を有する。本例の場合、第1リテーナ18を固定するための一対の突起20aは、第3外面14e及び第4外面14fに各々1つずつ形成されている。同様に、第2リテーナ19を固定するための突起20bも、第3外面14e及び第4外面14fに各々1つずつ形成されている。
【0027】
第1リテーナ18は、幅方向(
図5のY軸方向)の両端に設けられた一対の係合突18aが突起20aの各々に係合されることにより、ハウジング15に取付けられる。第1リテーナ18には、メス端子16の各々を固定する端子固定部18bが複数形成されている。第2リテーナ19は、幅方向(
図5のY軸方向)の両端に設けられた一対の係合突19aが突起20bの各々に係合されることにより、ハウジング15に取付けられる。第2リテーナ19には、メス端子16の各々を固定する端子固定部19bが複数形成されている。
【0028】
第3外面14e及び第4外面14fには、突起20を金型成型するときの都合上、第2コネクタ3の挿入方向(
図5のZ軸方向)に延びるスリット21が形成される。よって、突起20及びスリット21は、金型の移動方向において、同一直線上に配置されている。
【0029】
図4に示す通り、背面14bは、例えば、メス端子16を挿入するためのメス端子挿入穴22が複数形成されている。本例の場合、メス端子挿入穴22は、オス端子挿入穴17と同様に、複数の縦と横に並べて配置されるように形成されている。ハウジング15の側面、具体的に述べると、第3外面14eには、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合時に第2コネクタ3を第1コネクタ2に固定するためのロック部23が形成されている。
【0030】
(流体案内部26)
図6に示すように、第2コネクタ3は、コネクタアセンブリ1に付着した流体の排水を案内する流体案内部26を備える。流体案内部26は、第1コネクタ2の表面に付着する流体が毛細管現象によって第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27に入り込まないようにするために、流体を隙間27の下方に流す。本例の場合、流体案内部26は、例えば、溝部28である。溝部28の溝形状は、例えば、溝の長手方向(
図6のY軸方向)から見て、英文字V字状に形成されている。
【0031】
図3~
図5に示す通り、本例の場合、複数の外面14、具体的に述べると、第1外面14c~第4外面14fは、対向面からなる外面対30を設ける。本例の場合、外面対30は、例えば、第1外面14c及び第2外面14dから構成される第1外面対30aと、第3外面14e及び第4外面14fから構成される第2外面対30bと、を含む。流体案内部26は、少なくとも1つの外面対30に設けられている。具体的には、流体案内部26は、第1外面対30a及び第2外面対30bのうち、第1外面対30aに設けられている。
【0032】
流体案内部26は、例えば、第1外面14cに設けられた第1流体案内部26aと、第2外面14dに設けられた第2流体案内部26bと、を有する。第1流体案内部26a及び第2流体案内部26bは、ともに、第2コネクタ3の幅方向(
図3~
図5のY軸方向)に延びるように形成されている。具体的には、第1流体案内部26a(第2流体案内部26b)は、第2コネクタ3の第1外面14c(第2外面14d)において幅方向一帯に亘って形成されている。
【0033】
図7に示すように、溝部28は、隙間27に近い方に位置する第1斜面32aと、第1斜面32aと対向する位置に配置された第2斜面32bと、を有する。本例の場合、第1斜面32aは、第2斜面32bよりも傾斜角が大きく形成されている。具体的には、第1斜面32aの傾斜角を「θ1」とし、第2斜面32bの傾斜角を「θ2」とした場合、第1斜面32a及び第2斜面32bの傾斜角の関係は、「θ1>θ2」となるように設定されている。
【0034】
(排水案内の突状部34)
図6に示す通り、第2コネクタ3の背面14bは、第2コネクタ3の表面に存在する流体を下方に落とすための突状部34を有する。突状部34は、本例におけるZ軸に対して線対称形状に一対設けられている。具体的には、突状部34は、第1外面14c寄りに位置する第1突状部34aと、第2外面14d寄りに位置する第2突状部34bと、を有する。第1突状部34a及び第2突状部34bは、例えば、コネクタアセンブリ1の取付状態のとき、頂点が高さ方向(
図6のZ軸方向)において最下点に位置するように形成されている。
【0035】
(排出凹部35)
図6に示す通り、第2コネクタ3は、一対の突状部34の間に流体を溜めて排出する排出凹部35を有する。本例の場合、排出凹部35は、一対の突状部34の間に形成された溝である。排出凹部35は、例えば、第2コネクタ3の幅方向一帯(
図6のY軸方向一帯)に形成されている。
【0036】
(端子間の短絡防止構造)
図3及び
図8に示すように、コネクタアセンブリ1は、端子間の短絡防止構造として、仕切り壁37及び係合溝38を備える。
図8に示す通り、仕切り壁37は、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の一方(本例は、第1コネクタ2)に設けられるとともに、オス端子11に並設されている。仕切り壁37は、例えば、十字状の壁を第1コネクタ2の幅方向(
図8の紙面左右方向)に複数繋げた形状に形成されている。
【0037】
図3に示す通り、係合溝38は、係合溝38を第1コネクタ2及び第2コネクタ3の他方(本例は、第2コネクタ3)に設けられるとともに、仕切り壁37が挿入される形状に形成されている。係合溝38は、例えば、十字溝を第2コネクタ3の幅方向(
図3のY軸方向)に複数配列した形状に形成されている。
【0038】
次に、本実施形態のコネクタアセンブリ1の作用について説明する。
(流体案内部26による流体の排出)
図9に示すように、例えば、ボディ筐体4の内外で大きな温度差が発生した場合は、ボディ筐体4の表面に流体が付着することがある。流体は、例えば、結露水である。流体付着は、例えば、寒冷地において車両走行した際に、外気が低温でトランスミッション内が高温であることを要因に発生する例が挙げられる。
【0039】
ボディ筐体4に付着した流体は、例えば、自重や、車両走行時の加速度により、第1コネクタ2の表面を伝って、下方に流れ落ちる(
図9の矢印A)。この流体は、結果、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27の周辺付近に至る。嵌合の隙間27の周辺に至った流体は、隙間27の毛細管現象により、隙間27の内部に引き込まれてしまう可能性がある(
図9の矢印B)。これは、コネクタアセンブリ1の電気端子の電蝕に繋がるので、流体を嵌合の隙間27に流入させないようにする必要がある。
【0040】
そこで、本例の場合は、第2コネクタ3の表面に、隙間27の周辺付近に至った流体を隙間27の下方に流す流体案内部26を形成している。このため、隙間27の周辺付近に至った流体は、流体案内部26に沿って、下方に流れ落ちる(
図9の矢印C)。このため、隙間27の周辺付近に至った流体が毛細管現象によって隙間27に浸入してしまう状況を生じ難くすることが可能となる。
【0041】
また、本例の場合は、流体案内部26の形状を、溝の長手方向(
図9のX軸方向)から見て、Y軸方向へ英文字V字状に形成された溝部28としている。そして、この溝部28は、第1斜面32a及び第2斜面32bのうち、隙間27に近い方の第1斜面32aの傾斜角θ1を、反対側の第2斜面32bの傾斜角θ2よりも大きくしている。このように、上側の傾斜である第1斜面32aを第2斜面32bよりも急勾配としたので、上から流れてきた流体を、より下方に落とし易くすることが可能となる。よって、隙間27への流体の浸入抑制に一層寄与する。
【0042】
(突状部34による流体の排出)
図9に示す通り、流体案内部26から流れ落ちてきた流体は、第2コネクタ3の背面14bに形成された突状部34によって、下方に落とされる(
図9の矢印D)。このように、第2コネクタ3の背面14bに形成した突状部34によっても、流体の流れを作って、下方に落とし易くすることが可能となる。よって、隙間27への流体の浸入抑制に一層寄与する。
【0043】
(仕切り壁37及び係合溝38による端子間の短絡防止)
図10に示すように、オス端子11及びメス端子16が接続された端子同士の間には、仕切り壁37が形成されることにより、沿面距離Lが長く設定されている。このため、仮に、ある端子に流体が至ったとしても、十分な長さの沿面距離Lが確保されているので、この流体が隣の端子に至る状況を生じ難くすることが可能となる。よって、端子間の短絡を生じ難くすることが可能となる。
【0044】
(実施形態の効果)
上記実施形態の構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)コネクタアセンブリ1は、ボディ筐体4に取付け固定される第1コネクタ2と、第1コネクタ2に嵌合される第2コネクタ3と、を備える。第2コネクタ3は、第1コネクタ2の表面に付着する流体を、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27の下方に流す流体案内部26を有する。
【0045】
本構成によれば、第1コネクタ2の表面に付着した流体が第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27の入口付近に至ったとき、流体が毛細管現象によって隙間27の内部に引き込まれてしまうのではなく、第2コネクタ3に設けた流体案内部26によって、隙間27の下方に導くことが可能となる。よって、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27に流体を浸入し難くすることが可能となる。すなわち、特別なシール部材を用いなくとも、嵌合の隙間27の内部への流体の浸入を抑制することができる。
【0046】
(2)第2コネクタ3は、複数の外面14を持つ箱状のハウジング15を有する。ハウジング15は、対向する一対の外面14を有する外面対30を、1つ以上有する。流体案内部26は、少なくとも1つの外面対30に設けられている。この構成によれば、対向する一対の外面14の両面において、嵌合の隙間27の内部への流体の浸入を抑制することができる。
【0047】
(3)流体案内部26は、溝部28である。この構成によれば、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27の入口付近に至った流体を、溝部28の凹みによって隙間27の下方へ流れ易くすることが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0048】
(4)溝部28の溝形状は、溝の長手方向から見て、英文字V字状である。このように、溝部28は、
図9のY軸方向から見て、X軸方向に深さを有する形状である。この構成によれば、溝部28の英文字V字状の傾斜によって、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合の隙間27の入口付近に至った流体を、隙間27の反対側にスムーズに流すことが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0049】
(5)溝部28は、隙間27に近い方に位置する第1斜面32aと、第1斜面32aと対向する位置に配置された第2斜面32bと、を有する。第1斜面32aは、第2斜面32bよりも傾斜角θ1が大きく形成されている。この構成によれば、隙間27に近い方の第1斜面32aの傾斜角θ1を急斜面とすることが可能となるので、隙間27の下方へ、流体をより一層流し易くすることが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0050】
(6)第2コネクタ3は、第1コネクタ2の内部に挿入される嵌合面14aと、嵌合面14aに対して対向する背面14bと、を有する。背面14bは、第2コネクタ3の表面に存在する流体を下方に落とすための突状部34を有する。この構成によれば、流体案内部26から流れてくる流体を、第2コネクタ3の背面14bに形成された突状部34によって、更に隙間27から離れていく方向に更に案内して、排出することが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0051】
(7)コネクタアセンブリ1は、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の一方に設けられた仕切り壁37と、これらの他方に設けられた係合溝38と、を備える。仕切り壁37は、第1コネクタ2のフード内部に設けられて電気接続するオス端子11に並設されている。係合溝38は、第1コネクタ2及び第2コネクタ3の嵌合時、仕切り壁37が挿入される。この構成によれば、オス端子11とメス端子16とを接続した各々の端子において、隣同士の端子の間に仕切り壁37が設けられるので、隣同士の極間の距離、いわゆる沿面距離Lを、長く設定することが可能となる。このため、所定の端子に流体が至ったとしても、この流体を、隣の端子に流し難くすることが可能となる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0052】
(8)コネクタアセンブリ1は、ボディ筐体4に対する取付状態のとき、第1コネクタ2が上、第2コネクタ3が下に位置する向きをとる。この構成によれば、嵌合の隙間27と流体案内部26との位置関係を、嵌合の隙間27を上、流体案内部26を下、という配置とすることが可能となる。よって、嵌合の隙間27の入口付近に流体が流れ落ちてきたとき、この流体を自重によって流体案内部26に導くとともに、下方に落とすことが可能となる。このため、流体が嵌合の隙間27に一層流入し難くなる。よって、防水性の向上に一層寄与する。
【0053】
(10)第2コネクタ3の側面である第3外面14e及び第4外面14fに、製造上の都合で形成されるものではあるが、スリット21が存在する。よって、このスリット21を、流体を流すための経路として使用することもできる。
【0054】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・流体案内部26は、ハウジング15のどの外面14に形成されてもよい。また、流体案内部26は、ハウジング15の外面14の全てに形成されてもよい。
・流体案内部26は、1つの外面14において複数形成されてもよい。
【0056】
・流体案内部26は、例えば、上下方向に延びる溝としてもよい。
・第1斜面32a及び第2斜面32bは、例えば、同じ傾斜角としてもよい。
・溝部28の形状は、英文字V字状に限定されず、例えば、断面円弧状など、他の形状に変更してもよい。
【0057】
・流体案内部26は、溝部28に限定されない。すなわち、流体案内部26は、溝形状に限定されず、例えば、突起としてもよい。
・突状部34は、複数形成されることに限らず、例えば、1つのみでもよい。
【0058】
・突状部34は、第2コネクタ3の背面14bにおいてスポット的に形成されてもよい。
・背面14bの排出凹部35は、省略されてもよい。
【0059】
・第1コネクタ2は、例えば、第2コネクタ3が1つのみ嵌合される形状としてもよい。
・第2コネクタ3は、幅方向端部が局所的に所定量突出した形状に形成されることに限定されない。すなわち、第1外面14c及び第2外面14dは、ほぼフラットな形状としてもよい。
【0060】
・ハウジング15は、箱状に限定されず、他の形状に変更してもよい。
・第1コネクタ2をメスコネクタとし、第2コネクタ3をオスコネクタとしてもよい。この場合、第1コネクタ2に係合溝38が形成され、第2コネクタ3に仕切り壁37が形成されるとよい。
【0061】
・コネクタアセンブリ1の取付け向きは、ボディ筐体4に対して上下方向に限定されず、例えば、ボディ筐体4に対して水平方向としてもよい。
・コネクタアセンブリ1は、車載用に限定されず、他の機器や装置に使用されてもよい。
【0062】
・本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本開示において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0063】
・本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0064】
1 コネクタアセンブリ
2 第1コネクタ
3 第2コネクタ
4 ボディ筐体
5 開口部
8 フランジ
9 フード
10 収容凹部
11 オス端子
14 外面
14a 嵌合面
14b 背面
14c 第1外面
14d 第2外面
14e 第3外面
14f 第4外面
15 ハウジング
16 メス端子
17 オス端子挿入穴
18 第1リテーナ
18a 係合突
18b 端子固定部
19 第2リテーナ
19a 係合突
19b 端子固定部
20 突起
20a 突起
20b 突起
21 スリット
22 メス端子挿入穴
23 ロック部
26 流体案内部
26a 第1流体案内部
26b 第2流体案内部
27 隙間
28 溝部
30 外面対
30a 第1外面対
30b 第2外面対
32a 第1斜面
32b 第2斜面
34 突状部
34a 第1突状部
34b 第2突状部
35 排出凹部
37 仕切り壁
38 係合溝
L 沿面距離