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  • 特開-情報提示方法及び情報提示システム 図1
  • 特開-情報提示方法及び情報提示システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121341
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報提示方法及び情報提示システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/22 20060101AFI20240830BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61B5/22 100
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028386
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洸
(72)【発明者】
【氏名】高松 敦
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB11
4C038VB14
4C038VC05
4C038VC09
(57)【要約】
【課題】乗員の筋肉運動量に基づいた情報を提示できる情報提示システムを提供する。
【解決手段】情報提示システム100を用いて、車両1に乗車している乗員Pに情報を提示し、情報提示システム100は、乗員Pの腕及び脚の関節のうち、少なくともいずれか1つの関節の関節角度θを検出し、検出された関節角度θの経時的な変化に基づいて乗員の筋肉運動量を算出し、筋肉運動量に基づいて運動情報を生成し、運動情報を出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提示システムを用いて、車両に乗車している乗員に情報を提示する情報提示方法であって、
前記情報提示システムは、
前記乗員の腕及び脚の関節のうち、少なくともいずれか1つの関節の関節角度を検出し、
検出された前記関節角度の経時的な変化に基づいて前記乗員の筋肉運動量を算出し、
前記筋肉運動量に基づいて運動情報を生成し、
前記運動情報を出力する、情報提示方法。
【請求項2】
前記情報提示システムは、
前記乗員を撮影した映像を取得し、
前記映像に基づいて前記関節角度を検出する、請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項3】
前記情報提示システムは、
前記関節角度の経時的な変化に基づいて、前記関節における前記乗員の筋肉の伸展収縮回数を前記筋肉運動量として算出する、請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項4】
前記情報提示システムは、
前記筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値以下である場合に、前記乗員に運動を促す前記運動情報を出力する、請求項3に記載の情報提示方法。
【請求項5】
前記情報提示システムは、
前記車両が自動運転モードで走行しているときに前記運動情報を出力する、請求項1に記載の情報提示方法。
【請求項6】
車両に乗車している乗員に情報を提示する情報提示システムであって、
前記乗員の腕及び脚の関節のうち、少なくともいずれか1つの関節の関節角度を検出する関節角度検出部と、
検出された前記関節角度の経時的な変化に基づいて前記乗員の筋肉運動量を算出する筋肉運動量算出部と、
前記筋肉運動量に基づいて運動情報を生成する運動情報生成部と、
前記運動情報を出力する情報出力部とを備える、情報提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示方法及び情報提示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の運転者身体状態適合装置は、車両のシートに設けられた体圧分布センサで乗員の姿勢を検出し、検出された姿勢から推定された身体状態に関する情報を乗員に伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-156877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の運転者身体状態適合装置は、乗員の腕や脚の関節の角度変化を検出しない。そのため、乗員の筋肉の伸展収縮に伴う筋肉運動量を取得できず、筋肉運動量に基づいた情報を乗員に提示できない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、乗員の筋肉運動量に基づいた情報を提示できる情報提示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗員の関節角度を検出し、関節角度の経時的な変化に基づいて乗員の筋肉運動量を算出し、筋肉運動量に基づいて生成された運動情報を出力することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員の関節角度を検出するので、乗員の筋肉運動量に基づいた情報を提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る情報提示システムの構成を模式的に示す図である。
図2図1に示す情報提示システムが実行する情報提示方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両1には、乗員Pに情報を提示する情報提示システム100が搭載されている。情報提示システム100は、映像取得部10、情報出力部20及び制御装置30を備える。制御装置30は、映像取得部10及び情報出力部20の各々とCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続するが、これに限定されず、有線で接続してもよい。映像取得部10と制御装置30との間、及び、情報出力部20と制御装置30との間では、互いに情報の授受が可能である。また、車両1には乗員Pが乗車している。乗員Pは、本実施形態において、ドライバであるが、これに限定されず、助手席又は後部座席に座る乗員であってもよい。なお、本実施形態において、車両1は自動運転モードと手動運転モードとを切替え可能な自動運転車両であるが、これに限定されない。
【0010】
映像取得部10は、乗員Pを撮影した映像を取得する。本実施形態において、映像取得部10は車両1に搭載されたカメラであるが、これに限定されず、乗員Pが車両1に乗車するときにスマートフォン等の携帯端末を所定の場所に取り付けて、携帯端末に内蔵されたカメラを映像取得部10として用いてもよい。また、映像取得部10は、例えば、マイクロソフト社製のKinect(登録商標)等のカメラと深度センサとを組み合わせた装置であってもよい。映像取得部10は、取得した映像を含む情報を制御装置30に送出する。
【0011】
情報出力部20は、制御装置30が生成した情報を出力する。本実施形態において、情報出力部20は、音声によって情報を出力する車載オーディオ機器であるが、これに限定されず、文字や画像を含む視覚的な情報を出力する車載ディスプレイであってもよい。また、情報出力部20は、乗員Pのスマートフォンのディスプレイ又はスピーカであってもよい。
【0012】
制御装置30は、情報出力部20を制御するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とを備える。制御装置30は、姿勢検出部31、関節角度検出部32、筋肉運動量算出部33及び運動情報生成部34を有する。制御装置30は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、姿勢検出部31、関節角度検出部32、筋肉運動量算出部33及び運動情報生成部34の各機能を実行する。なお、本実施形態において、制御装置30は、車両1に搭載された演算装置であるが、これに限定されず、スマートフォンに内蔵された制御回路であってもよい。また、制御装置30は、映像取得部10及び情報出力部20と通信可能なサーバであってもよい。
【0013】
制御装置30の各々の構成について、以下に説明する。
姿勢検出部31は、映像取得部10が取得した映像に基づいて、乗員Pの姿勢を検出する。具体的には、姿勢検出部31は、OpenPose等の骨格検出モデルを用いて乗員Pの関節点情報、骨格情報を取得し、乗員Pの姿勢を検出する。また、姿勢検出部31は、予め乗員Pの体に付けられたマーカに基づいて、モーションキャプチャにより乗員Pの姿勢を検出してもよい。
【0014】
関節角度検出部32は、姿勢検出部31が検出した乗員Pの姿勢に基づいて、乗員Pの両腕の肘関節A1,A2及び両脚の膝関節A3,A4の各々の関節角度θを検出する。すなわち、関節角度検出部32は、映像取得部10が取得した映像に基づいて関節角度θを検出する。なお、関節角度検出部32が関節角度θを検出する関節は、乗員Pの手首の関節、肩関節又は足首の関節であってもよい。また、関節角度検出部32は、乗員Pの両腕の肘関節A1,A2及び両脚の膝関節A3,A4の各々に直接取り付けられたセンサの検出結果に基づいて関節角度θを取得してもよい。
【0015】
筋肉運動量算出部33は、関節角度θの経時的な変化に基づいて乗員Pの筋肉運動量を算出する。具体的には、筋肉運動量算出部33は、関節角度θの経時的な変化に基づいて、所定の時点(例えば、車両1が走行を開始した時点)から現時点までの各々の関節(両腕の肘関節A1,A2及び両脚の膝関節A3,A4)における乗員Pの筋肉の伸展収縮回数を筋肉運動量として算出する。なお、各々の関節における乗員Pの筋肉の伸展収縮回数とは、各々の関節に接続する筋肉が伸展した回数と収縮した回数とを合計した回数である。すなわち、筋肉運動量算出部33は、各々の関節における筋肉運動量を算出する。なお、筋肉運動量算出部33は、全ての関節(両腕の肘関節A1,A2及び両脚の膝関節A3,A4)の伸展収縮回数を積算して筋肉運動量として算出してもよい。また、筋肉運動量は、予め設定された所定時間内における筋肉の伸展収縮回数や、車両1が所定区間を走る間の筋肉の伸展収縮回数であってもよい。また、筋肉運動量算出部33は、関節角度θの経時的な変化に基づいて、筋肉運動量を熱量(カロリー)で算出してもよい。
【0016】
運動情報生成部34は、車両1が自動運転モードで走行しているときは、筋肉運動量算出部33が算出した筋肉運動量に基づいて運動情報を生成し、運動情報を出力する制御指令を情報出力部20に送出する。具体的には、運動情報生成部34は、乗員Pの筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値X以下である場合に、「体を動かしましょう」等、乗員Pに運動を促す運動情報を生成し、情報出力部20に出力させる。また、筋肉運動量算出部33は、乗員Pの体の各部位に応じて運動情報を生成してもよい。例えば、乗員Pの右腕の肘関節A1において筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値X以下である場合に、筋肉運動量算出部33は「右腕を動かしましょう」という運動情報を生成する。また、本実施形態では、運動情報生成部34は、車両1が自動運転モードで走行しているときに運動情報を生成するが、これに限定されず、車両1が乗員Pによる手動運転で走行しているときに運動情報を生成してもよい。
【0017】
また、車両1が自動運転モードで走行中は、乗員Pが走行状態を監視するために長時間同じ姿勢(ステアリングホイールを把持する姿勢や、足をペダルに乗せる姿勢)になりやすい。そのため、運動情報生成部34は、車両1が自動運転モードで走行しているときは、手動運転で走行しているときに比べて、筋肉運動量の閾値Xを低くしてもよい。また、運動情報生成部34は、車両1が自動運転モードで走行しており、かつ、所定時間以内に自動運転モードの解除が予測される場合に閾値Xを下げてもよい。
【0018】
次に、図2のフローチャートを用いて、情報提示システム100が実行する情報提示方法の手順を説明する。
まず、ステップS1において、情報提示システム100の映像取得部10が乗員Pの映像を取得する。
次に、ステップS2において、姿勢検出部31が乗員Pの姿勢を検出する。
さらに次に、ステップS3において、関節角度検出部32が、乗員Pの姿勢に基づいて両腕の肘関節A1,A2及び両脚の膝関節A3,A4の各々の関節角度θを検出する。
次に、ステップS4において、筋肉運動量算出部33は、関節角度検出部32が検出した各々の関節の関節角度θの経時的な変化に基づいて、所定時間内の筋肉の伸展収縮回数を筋肉運動量として算出する。
【0019】
次に、ステップS5において、運動情報生成部34は、ステップS4で算出した筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値X以下か否かを判定する。筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値Xよりも多い場合は、処理は終了する。
一方、筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値X以下である場合は、ステップS6において、運動情報生成部34は、乗員Pの運動を促す運動情報を生成し、情報出力部20に出力させる。
【0020】
以上より、本実施形態における情報提示システム100は、乗員Pの腕及び脚の関節のうち、少なくともいずれか1つの関節の関節角度θを検出し、関節角度θの経時的な変化に基づいて乗員Pの筋肉運動量を算出し、筋肉運動量に基づいて運動情報を生成し、運動情報を出力する。これにより、情報提示システム100は、乗員Pの筋肉運動量に基づいた情報を提示できる。また、乗員Pは、情報提示システム100が提示する運動情報に基づいて体を動かすことにより、長時間同じ姿勢を取り続けることによる疲労や血行不良を予防し、筋肉の緊張状態を解消することができる。
【0021】
また、情報提示システム100は、乗員Pを撮影した映像を取得し、映像に基づいて関節角度θを検出する。これにより、乗員Pの関節(両腕の肘関節A1,A2及び両脚の膝関節A3,A4)の各々に対するセンサの取り付けが不要となり、情報提示システム100は、簡易に関節角度θを検出できる。
【0022】
また、情報提示システム100は、関節角度θの経時的な変化に基づいて、関節における乗員Pの筋肉の伸展収縮回数を筋肉運動量として算出する。これにより、情報提示システム100は、筋肉運動量を明瞭かつ分かりやすい数値で算出できる。
【0023】
また、情報提示システム100は、筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値X以下である場合に、乗員Pに運動を促す運動情報を出力する。これにより、情報提示システム100は、筋肉の伸展収縮回数が所定の閾値X以下である場合に、乗員Pに疲労や血行不良の可能性があると判断して、運動を促し、乗員Pの疲労や血行不良を予防することができる。
【0024】
また、情報提示システム100は、車両1が自動運転モードで走行しているときに運動情報を出力する。これにより、情報提示システム100は、車両1の運転が自動運転モードから手動運転モードに移行したときに乗員Pがスムーズに運転ができるように、予め運動をして体をほぐすように促すことができる。
【符号の説明】
【0025】
100…情報提示システム
1…車両
20…情報出力部
32…関節角度検出部
33…筋肉運動量算出部
34…運動情報生成部
P…乗員
θ…関節角度
図1
図2