(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121342
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】衝撃吸収体およびエネルギ吸収装置
(51)【国際特許分類】
F16F 7/00 20060101AFI20240830BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
F16F7/00 B
F16F15/02 Z
F16F15/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028388
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100167232
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 みな
(72)【発明者】
【氏名】小山 真
(72)【発明者】
【氏名】平井 隆行
(72)【発明者】
【氏名】笹川 崇
(72)【発明者】
【氏名】梅本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】西垣 英一
【テーマコード(参考)】
3J048
3J066
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BD04
3J048BD05
3J048BD07
3J066BA01
3J066BB01
3J066BC10
3J066BE01
3J066BE05
(57)【要約】
【課題】衝撃吸収体のエネルギ吸収特性を向上させる。
【解決手段】衝撃吸収体は、第1樹脂によって構成される第1樹脂層と、第1樹脂よりも圧縮弾性率が小さい第2樹脂によって構成される第2樹脂層と、の積層体として形成されると共に、第1樹脂層と第2樹脂層との界面を3箇所以上備えており、第1樹脂と第2樹脂の圧縮弾性率の差は、第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上であり、衝撃吸収体を、第1樹脂層および第2樹脂層の積層方向に3等分して、積層方向の一方の端部側から順に、第1積層部、第2積層部、第3積層部としたときに、第1積層部から第3積層部までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、第1樹脂と第2樹脂の双方を備え、第1積層部と第3積層部とでは、第1樹脂と第2樹脂の体積比率が異なっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃吸収体であって、
第1樹脂によって構成される第1樹脂層と、前記第1樹脂よりも圧縮弾性率が小さい第2樹脂によって構成される第2樹脂層と、の積層体として形成されると共に、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との界面を3箇所以上備えており、
前記第1樹脂と前記第2樹脂の圧縮弾性率の差は、前記第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上であり、
前記衝撃吸収体を、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の積層方向に3等分して、前記積層方向の一方の端部側から順に、第1積層部、第2積層部、第3積層部としたときに、前記第1積層部から前記第3積層部までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、前記第1樹脂と前記第2樹脂の双方を備え、
前記第1積層部と前記第3積層部とでは、前記第1樹脂と前記第2樹脂の体積比率が異なっている
衝撃吸収体。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃吸収体であって、
前記第1樹脂および前記第2樹脂の各々は、共通する樹脂成分を30質量%以上含む
衝撃吸収体。
【請求項3】
請求項2に記載の衝撃吸収体であって、
前記共通する樹脂成分は、ポリアミドである
衝撃吸収体。
【請求項4】
請求項1に記載の衝撃吸収体であって、
前記第1樹脂および前記第2樹脂のうちの少なくとも一方は、変性エラストマーを、変性エラストマー以外の他の成分の合計を100重量部としたときに5重量部以上含む
衝撃吸収体。
【請求項5】
請求項1に記載の衝撃吸収体であって、
前記第2積層部における前記第1樹脂の体積比率は、前記第1積層部および前記第3積層部のいずれかにおける前記第1樹脂の体積比率と同じ、あるいは、前記第1積層部における前記第1樹脂の体積比率と前記第3積層部における前記第1樹脂の体積比率との間の値である
衝撃吸収体。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の衝撃吸収体を複数備える
エネルギ吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衝撃吸収体およびエネルギ吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収体として、種々の形状を有する樹脂部材が提案されている。例えば、特許文献1には、樹脂を繊維で強化した複合材料で構成されたエネルギ吸収部材として、弾性率が互いに異なる複数の層が、圧潰方向と直交する方向に沿って積層されて構成され、圧潰方向の一端部が、上記部材を圧潰させる押圧部材の押圧面に対して傾斜している部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたエネルギ吸収部材では、当該部材の端部構造および端部形状により、圧潰方向の衝撃エネルギを吸収する際の初期特性を改善している。しかしながら、このようなエネルギ吸収を行う衝撃吸収体においては、初期特性だけでなく、衝撃吸収体全体としてのエネルギ吸収特性のさらなる向上が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、衝撃吸収体が提供される。この衝撃吸収体は、第1樹脂によって構成される第1樹脂層と、前記第1樹脂よりも圧縮弾性率が小さい第2樹脂によって構成される第2樹脂層と、の積層体として形成されると共に、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との界面を3箇所以上備えており、前記第1樹脂と前記第2樹脂の圧縮弾性率の差は、前記第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上であり、前記衝撃吸収体を、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の積層方向に3等分して、前記積層方向の一方の端部側から順に、第1積層部、第2積層部、第3積層部としたときに、前記第1積層部から前記第3積層部までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、前記第1樹脂と前記第2樹脂の双方を備え、前記第1積層部と前記第3積層部とでは、前記第1樹脂と前記第2樹脂の体積比率が異なっている。
この形態の衝撃吸収体によれば、第1樹脂層と第2樹脂層との界面を3箇所以上備えること、第1樹脂と第2樹脂の圧縮弾性率の差は第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上であること、第1積層部から第3積層部までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、第1樹脂と第2樹脂の双方を備えること、第1積層部と第3積層部とでは第1樹脂と第2樹脂の体積比率が異なっていること、という要件を満たすことにより、衝撃吸収体のエネルギ吸収量をより大きくして、衝撃吸収体の性能を高めることができる。
(2)上記形態の衝撃吸収体において、前記第1樹脂および前記第2樹脂の各々は、共通する樹脂成分を30質量%以上含むこととしてもよい。このような構成とすれば、隣接する第1樹脂層と第2樹脂層との間の界面における接着性を高めることができる。
(3)上記形態の衝撃吸収体において、前記共通する樹脂成分は、ポリアミドであることとしてもよい。このような構成とすれば、ポリアミドは、比較的脆性破壊を起こし難く、また、変形量に対して比較的大きな荷重を確保することが可能であるため、ポリアミドを共通する樹脂成分とすることにより、衝撃吸収体全体の性能を向上させることがより容易になる。
(4)上記形態の衝撃吸収体において、前記第1樹脂および前記第2樹脂のうちの少なくとも一方は、変性エラストマーを、変性エラストマー以外の他の成分の合計を100重量部としたときに5重量部以上含むこととしてもよい。このような構成とすれば、第1樹脂や第2樹脂の圧縮弾性率を低下させて、所望の圧縮弾性率に調節することが容易になる。
(5)上記形態の衝撃吸収体において、前記第2積層部における前記第1樹脂の体積比率は、前記第1積層部および前記第3積層部のいずれかにおける前記第1樹脂の体積比率と同じ、あるいは、前記第1積層部における前記第1樹脂の体積比率と前記第3積層部における前記第1樹脂の体積比率との間の値であることとしてもよい。このような構成とすれば、衝撃吸収体のエネルギ吸収量を大きくする効果を高めることができる。
(6)本開示の他の一形態によれば、エネルギ吸収装置が提供される。このエネルギ吸収装置は、(1)から(5)までのいずれか一項に記載の衝撃吸収体を複数備える。
この形態のエネルギ吸収装置によれば、衝撃エネルギを分散して吸収し、衝撃吸収能を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、衝撃吸収体の製造方法や、衝撃吸収体を用いたエネルギ吸収方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】衝撃吸収体と第1構造体と第2構造体の荷重-変位線図を示す説明図。
【
図5】サンプルS2の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図6】サンプルS3の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図7】サンプルS4の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図8】サンプルS5の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図9】サンプルS6の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図10】サンプルS7の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図11】サンプルS8の衝撃吸収体の構成を模式的に表す斜視図。
【
図12A】サンプルS1~S12の詳細な構成を表す説明図。
【
図12B】サンプルS1~S12の詳細な構成を表す説明図。
【
図13】サンプルS1~S8の仕事量および破断ひずみを示す説明図。
【
図14】サンプルS1について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図15】サンプルS2について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図16】サンプルS3について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図17】サンプルS4について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図18】サンプルS5について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図19】サンプルS6について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図20】サンプルS7について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【
図21】サンプルS8について行った圧縮試験の結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本開示の実施形態としての衝撃吸収体10の構成の一例を模式的に表す斜視図である。本実施形態の衝撃吸収体10は、衝撃エネルギを受けて、衝撃エネルギの方向に変形することにより衝撃エネルギを吸収する衝撃吸収体として用いることができる。本実施形態の衝撃吸収体10は、特定の性質を有する2種類の樹脂層を、特定の配置となるように積層して形成することにより、衝撃吸収体としての性能を高めている。
【0008】
本実施形態の衝撃吸収体10は、第1樹脂によって構成される第1樹脂層21と、第2樹脂によって構成される第2樹脂層22と、の積層体として形成されており、第1樹脂層21と第2樹脂層22との界面を3箇所以上備えている。すなわち、衝撃吸収体10は、合計4層以上の第1樹脂層21および第2樹脂層22を備えており、第1樹脂層21および第2樹脂層22を、それぞれ2層以上備えている。第2樹脂は、第1樹脂よりも圧縮弾性率が小さく、第1樹脂よりも柔らかい樹脂である。本実施形態では、第1樹脂と第2樹脂の圧縮弾性率の差は、第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上となっている。なお、
図1、および、後述する
図5~
図11には、方向を特定するために、互いに直交するXYZ軸を示している。Z軸は鉛直方向を示し、X軸およびY軸は水平方向を示している。Z軸方向は、第1樹脂層21および第2樹脂層22の積層方向に対応しており、
図1では、想定される衝撃エネルギの向きが-Z軸方向である場合に、衝撃吸収のために衝撃吸収体10が配置される様子を示している。ただし、衝撃吸収体10は異なる向きに配置してもよく、例えば、想定される衝撃エネルギと上記積層方向とが平行となるように衝撃吸収体10を配置すればよい。
【0009】
図1では、衝撃吸収体10を積層方向に3等分した様子を示しており、3等分した各部は、+Z軸側(鉛直上方側)から順に、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13として示している。衝撃吸収体10では、上記3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、第1樹脂と第2樹脂の双方を備えている。ここで、「第1樹脂層21と第2樹脂層22の双方を備えている」とせずに「第1樹脂と第2樹脂の双方を備えているとしているのは、隣接する積層部間の境界が、いずれかの第1樹脂層21あるいは第2樹脂層22における積層方向の中程の位置に存在する場合を含むためである。
【0010】
また、衝撃吸収体10において、第1積層部11と第3積層部13とでは、第1樹脂と第2樹脂との体積比率が異なっている。
図1では、鉛直方向(Z軸方向)下方に配置された第3積層部13の方が、鉛直方向上方に配置された第1積層部11よりも、第1樹脂の体積比率が高い様子を示している。
【0011】
このとき、第2積層部12における第1樹脂の体積比率は、第1積層部11および第3積層部13のいずれかにおける第1樹脂の体積比率と同じ、あるいは、第1積層部11における第1樹脂の体積比率と第3積層部13における第1樹脂の体積比率との間の値であることが好ましい。また、第1積層部11から第3積層部13までの各層においても、第3積層部13が配置される側の端部、すなわち、鉛直方向(Z軸方向)下方の端部側ほど、第1樹脂の体積比率が高い方が望ましい。さらに、衝撃吸収体10においては、衝撃吸収体10全体の体積の半分以上が、圧縮弾性率がより高い樹脂である第1樹脂によって構成されることが好ましい。
【0012】
第1樹脂および第2樹脂の各々の圧縮弾性率は、例えば、300MPa以上とすることが好ましく、400MPa以上とすることがより好ましく、500MPa以上とすることがさらに好ましい。また、第1樹脂および第2樹脂の各々の圧縮弾性率は、15000MPa以下とすることが好ましく、14000MPa以下とすることがより好ましく、13000MPa以下とすることがさらに好ましい。このような圧縮弾性率は、衝撃吸収体10において想定される吸収すべき衝撃エネルギの大きさや衝撃力が加えられる態様等に応じて、適宜設定すればよい。
【0013】
また、既述したように、本実施形態では、第1樹脂と第2樹脂の圧縮弾性率の差は、第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上となっているが、第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの300%以下とすることが好ましい。
【0014】
第1樹脂および第2樹脂としては、種々の樹脂を採用可能であるが、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリアミド6やポリアミド66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに代表される各種結晶性ポリマーおよびポリカーボネート、あるいは、ポリメタクリル酸メチルなどの非晶性ポリマーを好適に用いることが可能である。また、これらのポリマーから選択される複数種類のポリマーを混合したポリマーブレンドを用いることとしてもよい。また、第1樹脂および第2樹脂は、上記したような各種のポリマーやポリマーブレンドに対して、さらにエラストマーなどの軟質樹脂を混合したものであってもよい。あるいは、第1樹脂および第2樹脂は、ガラス繊維などの無機フィラーのような、樹脂成分以外の成分をさらに混合した樹脂組成物とすることもできる。第1樹脂および第2樹脂は、圧縮弾性率に係る既述した条件を満たすように、適宜選択すればよい。
【0015】
上記した第1樹脂および第2樹脂の各々は、共通する樹脂成分を30質量%以上含むことが好ましい。このように、第1樹脂および第2樹脂が共通する樹脂成分を含むことにより、隣接する第1樹脂層21と第2樹脂層22との間の界面における接着性を高めることができる。隣接する第1樹脂層21と第2樹脂層22との間の界面における接着性を高める観点からは、第1樹脂および第2樹脂の各々は、共通する樹脂成分を40質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましい。隣接する第1樹脂層21と第2樹脂層22との間で共通する樹脂成分としては、例えばポリアミドを用いることが望ましい。ポリアミドは一般に、圧縮弾性率の観点から、比較的脆性破壊を起こし難く、また、変形量に対して比較的大きな荷重を確保することが可能であり、衝撃吸収体の母材として好適に用いることができる。
【0016】
上記した第1樹脂および第2樹脂のうちの少なくとも一方は、変性エラストマーを、変性エラストマー以外の他の成分の合計を100重量部としたときに5重量部以上含むこととしてもよい。このように変性エラストマーを加えることにより、第1樹脂や第2樹脂の圧縮弾性率を低下させて、所望の圧縮弾性率に調節することが容易になる。第1樹脂や第2樹脂における変性エラストマーの添加量は、例えば、変性エラストマー以外の他の成分の合計を100重量部としたときに、50重量部以下の範囲で適宜調節すればよい。
【0017】
衝撃吸収体10は、例えば、3Dプリンタ(3次元造形装置)を用いて製造することができる。3Dプリンタの中では、樹脂材料の選択の自由度が比較的高いため熱溶解積層方式のものが好ましい。3Dプリンタを用いることで、所望の形状の衝撃吸収体10を容易に作製可能になり、より多数の第1樹脂層21および第2樹脂層22を積層して衝撃吸収体10を作製することが容易になる。ただし、衝撃吸収体10の製造方法は特に限定されず、異なる樹脂である第1樹脂および第2樹脂によって構成される第1樹脂層21および第2樹脂層22を積層した構造を形成可能であればよい。例えば、射出成形により第1樹脂層21および第2樹脂層22を1層ずつ作製した後に、各層を所望の順序で貼り合わせることとしてもよい。
【0018】
図1に示す衝撃吸収体10は円筒状であるが、衝撃吸収体10の形状は円筒状以外の形状であってもよい。例えば、円柱状としてもよい。また、円筒状や円柱状のような横断面(
図1におけるXY平面に平行な面であり、積層方向に垂直な面)が円形となる形状の他、横断面が三角形、四角形、あるいはその他の多角形となる形状など、種々の形状を採用可能である。また、横断面の径が積層方向に変化する形状であってもよい。例えば、後述する
図7に示すように、全体の外形がコーン型あるいは円錐台型のような末広がり形状であってもよい。このように、衝撃吸収体10の形状を、衝撃吸収体10の設置面に対して衝撃吸収体10の側面が傾斜する形状とする場合には、衝撃吸収体10を側面視したとき(Z軸に垂直な方向から見たとき)に、設置面に対して衝撃吸収体10の側面が成す角度は、例えば45°以上135°以下とすることができる。このような形状であれば、既述した3Dプリンタを用いて容易に作製することができる。
【0019】
衝撃吸収体10の大きさ、すなわち、衝撃吸収体10の横断面の面積や高さは、衝撃吸収体10が受けることが想定される衝撃エネルギの大きさや、第1樹脂および第2樹脂の種類に応じて適宜設定することができる。ここで、例えば衝撃吸収体10を円筒状に形成する場合には、衝撃吸収体10のアスペクト比(底面の直径に対する高さの比)は、座屈を抑制するという観点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。
【0020】
以上のように構成された本実施形態の衝撃吸収体10によれば、第1樹脂層21と第2樹脂層22との界面を3箇所以上備えること、第1樹脂と第2樹脂の圧縮弾性率の差は第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上であること、第1積層部11から第3積層部13までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、第1樹脂と第2樹脂の双方を備えること、第1積層部11と第3積層部13とでは第1樹脂と第2樹脂の体積比率が異なっていること、という要件を満たすことにより、衝撃吸収体のエネルギ吸収量をより大きくして、衝撃吸収体の性能を高めることができる。
【0021】
図2は、
図1に示す衝撃吸収体10と、この衝撃吸収体10と同じ外形形状であって第1樹脂のみによって構成される第1構造体と、上記衝撃吸収体10と同じ外形形状であって第2樹脂のみによって構成される第2構造体とを作製し、これらについて圧縮試験を行った結果としての荷重-変位線図の一例を示す説明図である。
図2に示すように、圧縮弾性率が比較的大きな第1樹脂からなる第1構造体では、荷重-変位線図の初期傾きおよび最大荷重が比較的大きくなり、破断(圧潰)までの変位量が比較的小さくなる。このとき、最大荷重が比較的大きくても、破断(圧潰)までの変位量が比較的小さいことにより、全体の仕事量(吸収できるエネルギ量)は制限されることになる。また、圧縮弾性率が比較的小さな第2樹脂からなる第2構造体では、荷重-変位線図における初期傾きおよび最大荷重が比較的小さくなり、破断(圧潰)までの変位量が比較的大きく(破断し難く)なる。このとき、破断(圧潰)までの変位量が比較的大きくても、最大荷重が比較的小さいことにより、全体の仕事量(吸収できるエネルギ量)は制限されることになる。これに対して、本実施形態の衝撃吸収体10では、最大荷重は第1構造体よりも小さくなるものの、初期傾きが小さくなって破断(圧潰)までの変位量が比較的大きくなる。また、変位量が大きくなったときの荷重が第2構造体よりも大きくなる。その結果、全体の仕事量(吸収できるエネルギ量)を大きく確保することが可能になる。
図2に示した衝撃吸収体10の具体的な構成および圧縮試験の詳細については、後述する実施例において説明する。
【0022】
第1樹脂と第2樹脂とを用いて構成する衝撃吸収体において、第1樹脂と第2樹脂との配置を既述した配置とすることにより、衝撃吸収体が吸収できるエネルギ量を大きくできる原理は定かではないが、例えば、以下のように考えられる。すなわち、本実施形態の衝撃吸収体10は、衝撃力を受ける構造の一端(
図1に示した本実施形態の衝撃吸収体10では、+Z軸方向側の端部)に、柔らかい材料である第2樹脂が多くあることで、初期荷重の増加が緩やかになる効果が高まる。また、構造の他端(
図1に示した本実施形態の衝撃吸収体10では、-Z軸方向側の端部)に硬い材料である第1樹脂が多くあることで、変位量が大きくなったときの荷重を、より大きく増加させることができ、それらの結果として全体の仕事量(吸収できるエネルギ量)を大きく確保することが可能になる。
【0023】
さらに、本実施形態の衝撃吸収体10では、圧縮弾性率が異なる第1樹脂層21および第2樹脂層22の界面が3箇所以上設けられているため、衝撃吸収体10内における応力集中を緩和することができ、その結果、構造を破壊することなく衝撃吸収体10が変形されて、全体の仕事量(吸収できるエネルギ量)をより大きくできると考えられる。さらに、第1樹脂層21と第2樹脂層22との界面では、衝撃吸収体10に衝撃力が加えられる方向(Z軸方向)に垂直な方向にも衝撃吸収体10が大きく変形しやすくなり、上記垂直な方向への変形によってもエネルギを吸収できるため、上記界面をより多く確保することにより、衝撃吸収体10の構造破壊を抑えて、全体の仕事量(吸収できるエネルギ量)をより大きくすることができる。
【0024】
また、衝撃エネルギを吸収するために衝撃吸収体を用いる際には、用いる衝撃吸収体の形状の工夫によっても衝撃吸収能を高めることが可能であるが、本実施形態の衝撃吸収体10では、積層する樹脂の圧縮弾性率(硬さ)や各樹脂層の配置によって衝撃吸収能を高めている。そのため、本実施形態の衝撃吸収体10によれば、衝撃エネルギを吸収するための形状の制約を抑えて、形状の自由度を高めることができる。
【0025】
本実施形態の衝撃吸収体10を用いて、衝撃力を吸収するためのエネルギ吸収装置を構成する場合には、エネルギ吸収装置は、単一の衝撃吸収体10を備えることとしてもよいが、複数の衝撃吸収体10を備えることとしてもよい。複数の衝撃吸収体10を備えることにより、衝撃エネルギを分散して吸収し、衝撃吸収能を高めることができる。衝撃吸収体10を複数備える場合には、設置面に対する衝撃吸収体10の配置の向きを揃えることが望ましい。
【実施例0026】
<第1樹脂および第2樹脂>
第1樹脂および第2樹脂を構成する材料として、以下の2種類の材料を用いた。
・ポリアミド6(以下、「PA6」と記載):東レ株式会社製 CM1017
・変性エチレンブチレン系エラストマー(以下、「m-EBR」と記載):三井化学株式会社製 タフマー(登録商標) MH7020
【0027】
(第1樹脂の調整)
PA6を1kg/hの投入速度で二軸押出機(株式会社テクノベル製、二軸押出機、KZW15-60MG)に投入し、混練温度250℃、スクリュ―回転数72rpmの条件で混練を行い、直径約1.7mmの3次元造形用のフィラメント(以下、「第1樹脂材料」と呼ぶ)を作製した。
【0028】
(第2樹脂の調整)
PA6を0.7kg/h、m-EBRを0.3kg/hの投入速度で二軸押出機(株式会社テクノベル製、二軸押出機、KZW15-60MG)に投入し、混練温度250℃、スクリュ―回転数72rpmの条件で混練を行い、直径約1.7mmの3次元造形用のフィラメント(以下、「第2樹脂材料」と呼ぶ)を作製した。
【0029】
(圧縮弾性率の測定)
3次元造形装置(FLASHFORGE社製、Creator Pro2)を用い、上記した第1樹脂材料を材料として、1辺の長さが8mmの立方体形状に成形し、第1樹脂の圧縮弾性率測定用の第1樹脂部材を作製した。また、3次元造形装置(FLASHFORGE社製、Creator Pro2)を用い、上記した第2樹脂材料を材料として、1辺の長さが8mmの立方体形状に成形し、第2樹脂の圧縮弾性率測定用の第2樹脂部材を作製した。
【0030】
上記第1樹脂部材および第2樹脂部材を用いて圧縮試験を行い、第1樹脂および第2樹脂の圧縮弾性率を測定した。圧縮試験は、万能試験機(インストロン社製、材料試験機、4302型)を用いて、変位速度2.0[mm/min]、最大変位量1[mm]、試行回数N=3で行った。圧縮試験により得られた応力[MPa]-変位[mm]線図において、変位量0.2mmから0.4mmの範囲(全体高さの2.5%から5.0%の範囲)の傾き量を、圧縮弾性率[MPa]とした。
【0031】
図3は、第1樹脂の圧縮弾性率の測定に係る説明図であり、
図4は、第2樹脂の圧縮弾性率の測定に係る説明図である。
図3(A)および
図4(A)は、応力-変位線図であり、弾性率の計算に用いた範囲にはハッチングを付している。
図3(B)および
図4(B)は、圧縮弾性率の測定結果を示しており、それぞれ、3回測定した測定値と、平均値と、標準偏差とを示している。
図3および
図4に示すように、第1樹脂と第2樹脂の圧縮弾性率の差は、第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上となっている。
【0032】
<各種衝撃吸収体の作製>
上記した第1樹脂材料および第2樹脂材料を用いて、第1樹脂層21および第2樹脂層22の配置の態様等が種々異なる衝撃吸収体を作製して、衝撃吸収能を評価した。ここでは、衝撃吸収体として以下にサンプルS1~サンプルS8として説明する8種の樹脂構造体を作製した。
【0033】
図5~
図11は、サンプルS2~S8の衝撃吸収体の各々の構成を模式的に表す斜視図である。サンプルS1の構成は、既述した
図1に示している。
【0034】
各衝撃吸収体は、3次元造形装置(FLASHFORGE社製、Creator Pro2)を用いて円筒状に形成した。具体的には、サンプルS1~S3、およびサンプルS5~S8は、厚さ0.2mmの円環状の樹脂層を60層積層することにより、円筒状の造形物を作製した。円筒状の樹脂構造体の外形寸法は、高さ12mm、直径10mm、厚さ1mmである。サンプルS4は、同様に、厚さ0.2mmの円環状の樹脂層を60層積層することにより、高さ12mm、厚さ1mの筒状に形成されているが、横断面の直径が12mmから8mmへと(+Z軸方向に向かって)線形的に変化するように形成されている。以下では、3Dプリンタにより形成する厚さ0.2mmの円環状の樹脂層を「単位層」と呼び、第1樹脂によって形成される単位層を「第1単位層」と呼び、第2樹脂によって形成される単位層を「第2単位層」と呼ぶ。
【0035】
図12Aおよび
図12Bは、サンプルS1~S8の詳細な構成を表す説明図である。すなわち、上記のように円環状の樹脂を60層積層した各サンプルを構成する各単位層が、第1単位層であるか第2単位層であるかを示している。ここでは、最上層(
図1に示す+Z軸側端部の層)を単位層番号1としており、最下層(
図1に示す-Z軸側端部の層)を単位層番号60として、第1単位層と第2単位層の配置の順序を示している。第1積層部11は番号1~20の単位層によって構成され、第2積層部12は番号21~40の単位層によって構成され、第3積層部13は番号41~60の単位層によって構成される。また、既述した第1樹脂層21とは、連続して配置されるひとかたまりの第1単位層を指し、第2樹脂層22とは、連続して配置されるひとかたまりの第2単位層を指す。
【0036】
図1に示すサンプルS1は、
図12Aおよび
図12Bに示した構成を有しており、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=1:9、5:5、9:1となっている。
【0037】
同様に、
図5に示すサンプルS2では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=5:5、9:1、9:1となっている。
【0038】
図6に示すサンプルS3では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=5:5、9:1、10:0となっている。
【0039】
図7に示すサンプルS4では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=5:5、9:1、9:1となっている。
図7に示すような末広がり形状のサンプルS4においても、第1積層部11と第3積層部13とでは、第1樹脂と第2樹脂の体積比率が異なっているといえる。また、第2積層部12における第1樹脂の体積比率は、第1積層部11および第3積層部13のいずれかにおける第1樹脂の体積比率と同じ、あるいは、第1積層部11における第1樹脂の体積比率と第3積層部13における第1樹脂の体積比率との間の値であるといえる。
【0040】
図8に示すサンプルS5では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=5:5、5:5、5:5となっている。サンプルS5は、第1積層部11と第3積層部13とを比べると第1樹脂と第2樹脂の体積比率が同じであるため、比較例のサンプルである。
【0041】
図9に示すサンプルS6では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=0:10、5:5、10:0となっている。サンプルS6は、第1樹脂層21(番号31~60の単位層)と第2樹脂層22(番号1~30の単位層)との界面の数が1箇所であるため、比較例のサンプルである。
【0042】
図10に示すサンプルS7では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=5:5、10:0、10:0となっている。サンプルS7は、第1積層部11から第3積層部13までの3つの積層部のうちの1つの積層部である第1積層部11のみが、第1樹脂と第2樹脂の双方を備えるため、比較例のサンプルである。
【0043】
図11に示すサンプルS8では、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=3:7、9:1、3:7となっている。サンプルS8は、第1積層部11と第3積層部13とでは、第1樹脂と第2樹脂の体積比率が同じであるため、比較例のサンプルである。
【0044】
<圧縮試験による評価>
(評価方法)
各サンプルについての圧縮試験を、万能試験機(インストロン社製、材料試験機、4302型)を用いて、変位速度2.0[mm/min]、最大変位量8[mm]、試行回数N=3で行った。仕事量[N・m]は、圧縮試験で得られた荷重-変位線図におけるグラフで囲まれた部分の面積([N]×[m])から求めた。破断ひずみ[%]は、最大変位量到達前にサンプルが破断した場合には、破断時の実測値としており、最大変位量到達時にサンプルの破断が生じなかった場合には、66%以上とした。
【0045】
図13は、サンプルS1~S8について上記のようにして求めた仕事量および破断ひずみの大きさをまとめて示す説明図である。
図14~
図21は、サンプルS1~S8について行った圧縮試験の結果を示す説明図である。
図14(A)~
図21(A)は、荷重-変位線図を示しており、
図14(B)~
図21(B)は、上記荷重-変位線図から求めた仕事量の値と、その平均値および標準偏差をまとめて示している。
図13では、
図14(B)~
図21(B)に示す各サンプルの仕事量の平均値を示している。
【0046】
なお、既述した
図2に示した衝撃吸収体10、第1構造体、および第2構造体は、上記サンプルS1~S8と同様に、既述した第1樹脂材料および第2材料を材料として、3次元造形装置(FLASHFORGE社製、Creator Pro2)を用いて円筒状に形成したサンプルであり、サンプルS1~S3、およびサンプルS5~S8と同様の条件で作製した。
図2に示した衝撃吸収体10は、サンプル1と同様に、第1積層部11、第2積層部12、第3積層部13の各々における第1樹脂と第2樹脂との体積比率(第1単位層の数と第2単位層の数との比)は、順に、(第1樹脂:第2樹脂)=1:9、5:5、9:1となっている。
図2は、これらの衝撃吸収体10、第1構造体、および第2構造体について、上記した条件で圧縮試験を行った結果を示している。
【0047】
図13および
図14~
図17に示すように、「(a)第1樹脂層21と第2樹脂層22との界面を3箇所以上備えること」、「(b)第1積層部11から第3積層部13までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、第1樹脂と前記第2樹脂の双方を備えること」、「(c)第1積層部11と第3積層部13とでは、第1樹脂と第2樹脂の体積比率が異なっていること」、という3つの要件をすべて満たすサンプルS1~S4は、ひずみ(変位量)が66%を超えても破断することがなく、高い仕事量を示した。
【0048】
図13および
図18~
図21に示すように、既述した(a)~(c)の3つの要件のうちの少なくともいずれかを満たさないサンプルS5~S8では、サンプルS1~S4に比べて低い仕事量を示した。特にサンプルS7では、比較的小さな変位量でサンプルの破断が生じた。
【0049】
本開示は、上述の実施形態等に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0050】
本開示は、以下の形態としても実現することが可能である。
[適用例1]
衝撃吸収体であって、
第1樹脂によって構成される第1樹脂層と、前記第1樹脂よりも圧縮弾性率が小さい第2樹脂によって構成される第2樹脂層と、の積層体として形成されると共に、前記第1樹脂層と前記第2樹脂層との界面を3箇所以上備えており、
前記第1樹脂と前記第2樹脂の圧縮弾性率の差は、前記第2樹脂の圧縮弾性率の大きさの20%以上であり、
前記衝撃吸収体を、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層の積層方向に3等分して、前記積層方向の一方の端部側から順に、第1積層部、第2積層部、第3積層部としたときに、前記第1積層部から前記第3積層部までの3つの積層部のうちの少なくとも2つの積層部において、前記第1樹脂と前記第2樹脂の双方を備え、
前記第1積層部と前記第3積層部とでは、前記第1樹脂と前記第2樹脂の体積比率が異なっている
衝撃吸収体。
[適用例2]
適用例1に記載の衝撃吸収体であって、
前記第1樹脂および前記第2樹脂の各々は、共通する樹脂成分を30質量%以上含む
衝撃吸収体。
[適用例3]
適用例2に記載の衝撃吸収体であって、
前記共通する樹脂成分は、ポリアミドである
衝撃吸収体。
[適用例4]
適用例1から3までのいずれか一項に記載の衝撃吸収体であって、
前記第1樹脂および前記第2樹脂のうちの少なくとも一方は、変性エラストマーを、変性エラストマー以外の他の成分の合計を100重量部としたときに5重量部以上含む
衝撃吸収体。
[適用例5]
適用例1から4までのいずれか一項に記載の衝撃吸収体であって、
前記第2積層部における前記第1樹脂の体積比率は、前記第1積層部および前記第3積層部のいずれかにおける前記第1樹脂の体積比率と同じ、あるいは、前記第1積層部における前記第1樹脂の体積比率と前記第3積層部における前記第1樹脂の体積比率との間の値である
衝撃吸収体。
[適用例6]
適用例1から5までのいずれか一項に記載の衝撃吸収体を複数備える
エネルギ吸収装置。