(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121346
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】長尺定規用位置決め装置
(51)【国際特許分類】
B27B 9/04 20060101AFI20240830BHJP
B23D 47/02 20060101ALI20240830BHJP
B23D 59/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B27B9/04
B23D47/02
B23D59/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028395
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 洋平
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040GG00
(57)【要約】
【課題】携帯用加工機と共に使用される長尺定規用の位置決め装置の小型化に資する改良を提供する。
【解決手段】位置決め装置は、本体と、第1方向に直線状に移動可能に本体に支持された押圧部材とを含む固定機構を備える。本体は、第1方向において押圧部材から離間して設けられた少なくとも1つの支持部を備える。固定機構は、長尺定規の第1側壁が、第1方向において少なくとも1つの支持部と押圧部材の間に配置された状態で、押圧部材が第1方向において少なくとも1つの支持部に向かう押圧方向に移動され、第1側壁に当接して第1側壁を少なくとも1つの支持部に押し付けて固定するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる第1側壁を備えた長尺定規を、加工材に対して位置決めするように構成された位置決め装置であって、
本体と、第1方向に直線状に移動可能に前記本体に支持された押圧部材とを含む固定機構を備え、
前記本体は、前記第1方向において前記押圧部材から離間して設けられた少なくとも1つの支持部を備え、
前記固定機構は、前記長尺定規の前記第1側壁が、前記第1方向において前記少なくとも1つの支持部と前記押圧部材の間に配置された状態で、前記押圧部材が前記第1方向において前記少なくとも1つの支持部に向かう押圧方向に移動され、前記第1側壁に当接して前記第1側壁を前記少なくとも1つの支持部に押し付けて固定するように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記固定機構は、使用者による手動操作に応じて、アンロック位置とロック位置との間で移動可能に前記本体に支持された操作部材を更に備え、
前記押圧部材は、前記第1方向において、前記少なくとも1つの支持部と前記操作部材の間にあり、
前記操作部材と前記押圧部材とは、前記操作部材の第1当接面と、前記押圧部材の第2当接面とを介して動作可能に当接しており、
前記第1当接面及び前記第2当接面は、前記操作部材の前記アンロック位置から前記ロック位置への移動に応じて、前記押圧部材を前記押圧方向に移動させ、且つ、前記押圧部材の移動量が前記操作部材の移動量よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置決め装置であって、
前記操作部材は、前記第1方向に交差する第2方向に直線状に移動可能であって、
前記第1当接面及び前記第2当接面の各々は、前記第2方向に延びる直線に対して少なくとも部分的に傾斜していることを特徴とする位置決め装置。
【請求項4】
請求項3に記載の位置決め装置であって、
前記第1当接面及び前記第2当接面のうち一方は、複数の第1の歯を有し、
前記第1当接面及び前記第2当接面のうち他方は、前記複数の第1の歯と係合する少なくとも1つの第2の歯を有することを特徴とする位置決め装置。
【請求項5】
請求項4に記載の位置決め装置であって、
前記複数の第1の歯の各々は、第1傾斜面と、第2傾斜面とで規定されており、
前記第1傾斜面は、前記操作部材が前記アンロック位置から前記ロック位置へ向かうときに前記第2の歯に当接するように構成されており、
前記第2方向に延びる前記直線に対する前記第2傾斜面の傾斜角度は、前記第1面の傾斜角度よりも小さいことを特徴とする位置決め装置。
【請求項6】
請求項2~5の何れか1つに記載の位置決め装置であって、
前記操作部材の移動方向における第1の端と、前記第1の端とは反対側の第2の端は、前記使用者による押圧操作が可能であって、
前記操作部材は、前記第1の端が押圧されるのに応じて前記アンロック位置から前記ロック位置へ移動し、前記第2の端が押圧されるのに応じて前記ロック位置から前記アンロック位置へ移動するように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項7】
請求項2~6の何れか1つに記載の位置決め装置であって、
前記操作部材は、第1ガイド溝又は第1突起を有し、
前記押圧部材は、前記第1ガイド溝に係合する第2突起、又は、前記第1突起が係合する第2ガイド溝を有し、
前記第1ガイド溝及び前記第2突起、又は、前記第1突起及び前記第2ガイド溝は、前記操作部材が前記ロック位置から前記アンロック位置へ移動するのに応じて、前記押圧部材を前記第1方向において前記押圧方向と反対の解除方向に移動させるように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の位置決め装置であって、
前記押圧部材のうち、前記第1側壁に当接する部分は、少なくとも部分的に弾性体で形成されていることを特徴とすることを特徴とする位置決め装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1つに記載の位置決め装置であって、
前記長尺定規は、前記第1側壁と実質的に平行な第2側壁を備え、
前記第1側壁と前記第2側壁との間に、前記長尺定規の前記長手方向に延びる溝であって、T字状の断面を有する溝が規定されており、
前記少なくとも1つの支持部は、前記長尺定規の前記溝に嵌合するように構成されていることを特徴とする位置決め装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1つに記載の位置決め装置であって、
前記少なくとも1つの支持部は、前記第1方向に直交する方向に離間配置された2つの支持部を含み、
前記押圧部材は、前記第1方向に直交する前記方向において、前記2つの支持部の間に位置することを特徴とする位置決め装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1つに記載の位置決め装置であって、
前記固定機構の前記本体に支持され、前記第1方向に延びる長尺状のレールと、
前記第1方向における位置を変更可能に前記レールに支持されたガイド部であって、前記第1方向に直交する側面を有するガイド部材とを更に備えた位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯用加工機と共に使用される長尺定規に選択的に取り付けられる位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用加工機(例えば、携帯用マルノコ、ジグソー、ルータ)を用いた加工作業中に、加工材に対する携帯用加工機の位置を精度よく保つために、携帯用加工機と共に長尺定規が用いられることがある。なお、「長尺定規」は、英語では、一般的には、guide rail、guide track、saw guide等と称されている。「携帯用加工機」は、電動モータで駆動された刃物によって木材の切断や溝の切削加工等を行うための機械であり、電動工具の一種である。長尺定規は、長尺の矩形平板状であって、加工材の上面に載せられて使用される。携帯用加工機は、長尺定規の長手方向に延びるレールに係合し、レールによって、長尺定規の長手方向に直線状に移動するように案内される。
【0003】
また、長尺定規には、加工材に対する長尺定規の配置、ひいては携帯用加工機による加工方向を正確に設定するために、様々な位置決め装置を選択的に取り付けることができる。例えば、特許文献1に開示されている位置決め装置(位置合わせツール)は、長尺定規への固定機構として、板状の本体と、何れも本体上に設けられたリブと、クランプアセンブリと、保持要素とを備える。クランプアセンブリは、長尺定規の一端に沿って設けられた側壁に係合可能なラッチを含む。保持要素は、本体に設けられた長尺定規の溝に係合可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のクランプアセンブリは、回動式のラッチの先端が、長尺定規の側壁の上端のリップ部に係合した状態で、側壁を本体のリブに向けて引き寄せて押し付けるように構成されている。そこで、位置決め装置が長尺定規に対して回動するのを防止するために、本体のリブから離間した位置に保持要素が設けられている。このため、この位置決め装置の固定機構は、比較的大型である。
【0006】
本開示は、携帯用加工機と共に使用される長尺定規用の位置決め装置の小型化に資する改良を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の非限定的な一態様によれば、長手方向に延びる第1側壁を備えた長尺定規を、加工材に対して位置決めするように構成された位置決め装置が提供される。この位置決め装置は、本体と、第1方向に直線状に移動可能に本体に支持された押圧部材とを含む固定機構を備えている。本体は、第1方向において押圧部材から離間して設けられた少なくとも1つの支持部を備えている。固定機構は、長尺定規の第1側壁が、第1方向において少なくとも1つの支持部と押圧部材の間に配置された状態で、押圧部材が第1方向において少なくとも1つの支持部に向かう押圧方向に移動され、第1側壁に当接して第1側壁を少なくとも1つの支持部に押し付けて固定するように構成されている。
【0008】
本態様の位置決め装置の固定機構では、第1方向に直線状に移動可能な押圧部材が、本体の少なくとも1つの支持部に長尺定規の第1側壁を押し付け、少なくとも1つの支持部と共に第1側壁を挟み込んで固定するように構成されている。よって、回動式のラッチを採用する公知の固定機構のように、位置決め装置が長尺定規に対して回動するのを防止するための構成が不要である。このため、回動式のラッチを採用する場合に比べ、固定機構、ひいては位置決め装置を小型化することが可能となる。
【0009】
なお、本態様の位置決め装置は、長尺定規に選択的に取り付けられて使用されるいかなる種類の位置決め装置であってもよい。例えば、本態様の位置決め装置は、加工材の端面に対して長尺定規の一端を平行に位置合わせするための装置(いわゆるパラレルガイド)、加工材の端面に対して長尺定規の一端を直角に位置合わせするための装置(いわゆるスクエアガイド)、加工材の端面に対して長尺定規の一端を所望の角度に位置合わせするための装置(いわゆるアングルガイド)として具現化されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】長尺定規に取り付けられた2つのパラレルガイドの斜視図であって、操作部材がロック位置にある状態を示す。
【
図2】長尺定規に取り付けられた2つのパラレルガイドの上面図であって、操作部材がロック位置にある状態を示す。
【
図3】
図2のIII-III線における断面図である。
【
図6】長尺定規に取り付けられたパラレルガイドの底面図であって、操作部材がロック位置にある状態を示す。
【
図10】第1当接部の歯と第2当接部の歯を説明するための
図7の部分拡大図である。
【
図12】押圧部材と操作部材の別の分解斜視図である。
【
図13】長尺定規とパラレルガイドの底面図であって、操作部材がアンロック位置にある状態を示す。
【
図14】
図5に対応する断面図であって、操作部材がアンロック位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の非限定的な一実施形態において、固定機構は、使用者による手動操作に応じて、アンロック位置とロック位置との間で移動可能に本体に支持された操作部材を更に備えてもよい。押圧部材は、第1方向において、少なくとも1つの支持部と操作部材の間にあってもよい。操作部材と押圧部材とは、操作部材の第1当接面と、押圧部材の第2当接面とを介して動作可能に当接していてもよい。第1当接面及び前記第2当接面は、操作部材のアンロック位置からロック位置への移動に応じて、押圧部材を押圧方向に移動させ、且つ、押圧部材の移動量が操作部材の移動量よりも小さくなるように構成されていてもよい。
【0012】
この実施形態によれば、使用者が操作部材をアンロック位置からロック位置へ手動で移動させることで、押圧部材を押圧方向に移動させ、少なくとも1つの支持部に第1側壁を押し付けて固定させることができる。また、押圧部材の移動量を操作部材の移動量よりも小さくすることで、操作しやすい操作部材が実現される。
【0013】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、操作部材は、第1方向に交差する第2方向に直線状に移動可能であってもよい。操作部材の第1当接面及び押圧部材の第2当接面の各々は、第2方向に延びる直線に対して少なくとも部分的に傾斜していてもよい。この実施形態によれば、簡易な構成の第1当接面及び第2当接面を利用して、操作部材の第2方向の直線移動を押圧部材の押圧方向の直線移動に変換することができる。また、楔の作用によって、操作荷重に対して大きな押圧荷重を作用させることができるため、第1側壁が少なくとも1つの支持部と押圧部材によって強固に挟持される。また、操作部材を直線的に移動させることで、楔の作用を与えやすくできる。
【0014】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、第1当接面及び第2当接面のうち一方は、複数の第1の歯を有してもよい。第1当接面及び第2当接面のうち他方は、複数の第1の歯に係合する少なくとも1つの第2の歯を有してもよい。この実施形態によれば、第1の歯と第2の歯とが係合することで、操作部材がロック位置からアンロック位置へ移動し、押圧部材による第1側壁の押圧が解除されるのを効果的に抑制することができる。
【0015】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、複数の第1の歯の各々は、第1傾斜面と、第2傾斜面とで規定されていてもよい。第1傾斜面は、操作部材がアンロック位置からロック位置へ向かうときに第2の歯に当接するように構成されていてもよい。第2方向に延びる直線に対する第2傾斜面の傾斜角度は、第1面の傾斜角度よりも小さくてもよい。この実施形態によれば、操作部材がロックする寸前のときに操作部材がアンロック位置からロック位置へ移動する荷重を重くし、そのかわりに使用者がロック位置からアンロック位置へ戻しやすい操作部材が実現される。
【0016】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、操作部材の移動方向における第1の端と、第1の端とは反対側の第2の端は、使用者による押圧操作が可能であってもよい。操作部材は、第1の端が押圧されるのに応じてアンロック位置からロック位置へ移動し、第2の端が押圧されるのに応じてロック位置からアンロック位置へ移動するように構成されていてもよい。この実施形態によれば、使用者は操作部材の何れかの端を押圧操作するだけで、操作部材を容易にロック位置/アンロック位置に移動させることができる。
【0017】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、操作部材は、第1ガイド溝又は第1突起を有してもよい。押圧部材は、第1ガイド溝に係合する第2突起、又は、第1突起が係合する第2ガイド溝を有してもよい。第1ガイド溝及び第2突起、又は、第1突起及び第2ガイド溝は、操作部材がロック位置からアンロック位置へ移動するのに応じて、押圧部材を第1方向において押圧方向と反対の解除方向に移動させるように構成されていてもよい。この実施形態によれば、簡易な構成を用いて、操作部材のロック位置からアンロック位置の移動に応じて押圧部材を解除方向に移動させることができる。
【0018】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、押圧部材のうち、第1側壁に当接する部分は、少なくとも部分的に弾性体で形成されていてもよい。この実施形態によれば、弾性体の弾性力により、押圧荷重を安定させることができる。
【0019】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、長尺定規は、第1側壁と実質的に平行な第2側壁を備えてもよい。第1側壁と第2側壁との間に、長尺定規の長手方向に延びる溝であって、T字状の断面を有する溝が規定されていてもよい。少なくとも1つの支持部は、長尺定規の溝に嵌合するように構成されていてもよい。この実施形態によれば、位置決め装置をより安定した状態で長尺定規に固定することができる。
【0020】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、少なくとも1つの支持部は、第1方向に直交する方向に離間配置された2つの支持部を含んでもよい。押圧部材は、第1方向に直交する方向において、2つの支持部の間に位置してもよい。この実施形態によれば、押圧部材が第1側壁を2つの支持部にバランスよく押し付け、固定することができる。
【0021】
上記実施形態に加え、あるいは上記実施形態に代えて、位置決め装置は、長尺状のレールと、ガイド部材とを更に備えてもよい。レールは、固定機構の本体に支持され、第1方向に延びてもよい。ガイド部材は、第1方向における位置を変更可能にレールに支持されていてもよい。ガイド部材は、第1方向に直交する側面を有してもよい。この実施形態に係る位置決め装置は、ガイド部材の側面を加工材の端面に当接させることで、加工材に対して長尺定規を位置決めすることができる。よって、使用者は、レール上の同一位置にガイド部材が夫々配置された2つの位置決め装置を長尺定規に取り付け、2つの位置決め装置をいわゆるパラレルガイドとして使用することができる。
【0022】
以下、図面を参照して、本開示の非限定的な一実施形態に係るパラレルガイド1について、具体的に説明する。パラレルガイド1は、長尺定規7に選択的に取り付けられ、加工材9に対して長尺定規7を位置決めする(位置合わせする)ように構成された位置決め装置の一例である。
【0023】
まず、長尺定規7について説明する。
図1~
図3に示すように、長尺定規7は、加工材9に対する携帯用加工機8の位置を精度よく保つために用いられる補助器具であって、加工材9の上面91に載せられて使用され、携帯用加工機8を直線状に案内するように構成されている。以下、携帯用加工機8を、単に加工機8という。なお、長尺定規7と共に使用される加工機8の非限定的な例として、携帯用マルノコ、ジグソー、ルータが挙げられる。
【0024】
長尺定規7の本体70は、長尺の矩形平板状に形成されており、作業台上に載せられた加工材9の上面91に接するように配置される第1面701と、加工機8が載せられる第2面702とを有する。本体70は、長尺定規7の長手方向に互いに平行に直線状に延びる第1の側端711及び第2の側端712と、長尺定規7の短手方向に互いに平行に直線状に延びる第3の側端713及び第4の側端と714とを有する。
【0025】
長尺定規7は、加工機8を案内するためのレール73を備えている。レール73は、本体70が加工材9の上面91に載せられた状態で、本体70から上方に突出し、第3の側端713から第4の側端714まで、長尺定規7の長手方向に(つまり、第1の側端711、第2の側端712と平行に)延びる。周知の構成であるため、簡単に説明すると、
図3に示すように、加工機8のベース81の下端部には、レール73に嵌合可能な溝82が形成されており、加工機8は、レール73が溝82に係合した状態で、レール73に沿って案内される。例えば、加工機8が携帯用マルノコの場合、携帯用マルノコに取り付けられた先端工具(鋸刃)は、長尺定規7の第1の側端711に沿って案内され、加工材9を直線状に切断する。使用者は、長尺定規7を加工材9に対して適切に位置決め(位置合わせ)することで、加工材9を正確に加工することができる。
【0026】
なお、使用者は、上述のような加工作業時には、長尺定規7の第1の側端711を使用者の右側に配置し、第3の側端713から第4の側端714に向かって、使用者の前方に加工機8を移動させる。よって、以下の説明では、便宜上、長尺定規7の第1面701及び第2面702に直交する方向を、長尺定規7の上下方向と規定し、第1面701を下面、第2面702を上面と規定する。長尺定規7の長手方向を長尺定規7の前後方向と規定し、第3の側端713及び第4の側端714を、夫々、長尺定規7の後端及び前端と規定する。長尺定規7の短手方向を長尺定規7の左右方向と規定し、第1の側端711及び第2の側端712を、夫々、長尺定規7の右端、左端と規定する。
【0027】
長尺定規7には、長尺定規7に選択的に取り付けられ、加工材9に対して長尺定規7を位置決めする(位置合わせする)ための様々な位置決め装置が用意されている。そこで、長尺定規7には、位置決め装置を選択的に取り付け可能な取付け部75が設けられている。
【0028】
図1、
図4、
図5に示すように、取付け部75は、第1側壁751と、第2側壁756とを含む。第1側壁751は、本体70が加工材9の上面91に載せられた状態で、本体70から上方に突出する壁部である。第1側壁751は、本体70の左端(第2の側端712)に沿って、本体70の後端(第3の側端713)から前端(第4の側端714)まで延びる。第2側壁756は、第1側壁751と同様、本体70が加工材9の上面91に載せられた状態で、本体70から上方に突出する壁部である。第2側壁756は、第2の側端712から右方(第1の側端711側)に離間しており、第1側壁751と平行に、本体70の後端から前端まで延びる。第1側壁751の上端部と、第2側壁756の上端部は、互いに近づく方向に屈曲するリップ部を構成する。このような構成により、第1側壁751と、第2側壁756とは、概ねT字状の断面を有する溝(以下、T溝750という)を規定している。
【0029】
以下、パラレルガイド1の詳細構成について説明する。なお、以下の説明では、パラレルガイド1の方向については、便宜上、パラレルガイド1が長尺定規7に取り付けられたとき長尺定規7の方向に準ずるものとする。
【0030】
図2に示すように、本実施形態のパラレルガイド1は、2つ1組で使用され、加工材9の端面93に対して長尺定規7の第1の側端711を平行に位置決めするように構成された位置決め装置である。パラレルガイド1は、固定部2と、固定部2に支持されたレール3と、レール3に支持されたガイド部材4とを備えている。
【0031】
固定部2は、パラレルガイド1のうち、長尺定規7に取り外し可能に固定(ロック)されるように構成された部分である。よって、固定部2は、長尺定規7用の固定機構/固定装置といってもよい。
図4~
図8に示すように、本実施形態の固定部2は、本体21と、押圧部材24と、操作部材27とを備えている。
【0032】
本体21は、押圧部材24と操作部材27とを移動可能に支持する部材である。また、本体21は、長尺定規7の取付け部75のT溝750内に配置され、押圧部材24と共に第1側壁751を挟み込んで固定状に保持するように構成された保持部22を備える。より詳細には、本体21は、上下方向に薄い平板状に形成された上板部211を含む。保持部22は、上板部211の右端部の下面から下方に突出している。本実施形態の保持部22は、前後方向に延びる延在部221と、延在部221の前端部と後端部に夫々設けられた2つの矩形ブロック状の支持部223とを含む。なお、本実施形態では、保持部22は、本体21の他の部分とは別部材として形成され、ネジで上板部211に固定されている。但し、保持部22は、本体21の他の部分と一体的に形成されていてもよい。
【0033】
保持部22のうち支持部223が設けられた前端部及び後端部は、長尺定規7の取付け部75のT溝750に嵌合するように構成されている(
図5参照)。つまり、保持部22の前端部及び後端部の断面形状は、T溝750の断面形状に概ね整合するT字状である。2つの支持部223の左側面は、実質的に同一面内に配置されており、第1側壁751の右側面に当接可能である。以下、第1側壁751の右側面を、第1壁面752ともいい、支持部223の左側面を、支持面224ともいう。
【0034】
押圧部材24は、本体21の保持部22の左方で、本体21によって、左右方向に移動可能に支持されている。より詳細には、本体21は、保持部22から左方に離間して、上板部211から下方に突出する2つの第1ガイド壁213を有する。なお、左右方向における支持部223(支持面224)と第1ガイド壁213の右側面との間の距離は、長尺定規7の第1側壁751の厚みよりも若干大きい。2つの第1ガイド壁213は、前後方向に互いから離間している。押圧部材24は、2つの第1ガイド壁213の間に配置されており、2つの第1ガイド壁213の対向面に摺動しつつ、左右方向に延びる直線L1(
図6、
図7参照)に沿って、直線状に移動可能である。
【0035】
なお、詳細は後述するが、押圧部材24は、右方(保持部22に近づく方向)に移動されて、保持部22と押圧部材24の間に配置された第1側壁751を押圧する。また、押圧部材24は、左方(保持部22から離れる方向)に移動されて第1側壁751の押圧を解除する。よって、以下では、押圧部材24の移動方向については、右方向を押圧方向ともいい、左方向を解除方向ともいう。
【0036】
本実施形態では、押圧部材24の右端面、つまり、保持部22に対向する面は、固定部2が長尺定規7に連結されるときに第1側壁751の右側面に押し付けられる。以下、押圧部材24の右側面を、押圧面241ともいい、第1側壁751の左側面を、第2壁面753ともいう。また、押圧部材24の右端部は、部分的に弾性体245(例えば、ゴム、弾性を有する合成樹脂)を含み、押圧面241の一部は弾性体245の表面で形成されている。なお、本実施形態では、押圧部材24の弾性体245以外の部分は、合成樹脂で形成されている。
【0037】
弾性体245は、外力が付与されない状態では、押圧部材24の他の部分の右側面より僅かに右方へ突出している(
図7参照)。よって、押圧面241が第2壁面753に押し付けられると、弾性体245は圧縮される。よって、弾性体245の弾性力により、押圧負荷が大きくなる。なお、押圧部材24の右端部は、一部でなく全体が弾性体245で形成されてもよいし、弾性体245で覆われていてもよい。
【0038】
操作部材27は、本体21の押圧部材24の左方で、本体21によって、押圧部材24の移動方向(左右方向)と交差する方向に移動可能に支持されている。なお、本実施形態では、操作部材27の移動方向は、押圧部材24の移動方向と直交する前後方向である。本体21は、上述の第1ガイド壁213の左方に離間して、上板部211から下方に突出する第2ガイド壁215を有する。操作部材27は、直線状に延びる長尺部材であって、第1ガイド壁213と第2ガイド壁215の間に、前後方向に延在するように配置されている。操作部材27は、第1ガイド壁213の左側面と第2ガイド壁215の右側面に摺動しつつ、前後方向に延びる直線L2に沿って、直線状に移動可能である。本実施形態の操作部材27は、スライドレバーとも言い換えられる。
【0039】
詳細は後述するが、操作部材27は、固定部2が長尺定規7に固定(ロック)されるときには、後方に移動される。また、操作部材27は、固定部2の固定(ロック)が解除されるときには、前方に移動される。よって、以下では、操作部材27の移動方向については、後方向をロック方向ともいい、前方向をアンロック方向ともいう。
【0040】
図7~
図9に示すように、操作部材27は、前後方向に延在する2つの長孔271を有する。長孔271の各々には、操作部材27の下側からネジ272が挿入され、上板部211の下面から突出する円筒状の雌ネジ部212(
図9参照)に締め込まれている。ネジ272の頭部と操作部材27の下面との間には、ワッシャが介在している。このような構成により、操作部材27は、雌ネジ部212が長孔271を規定する面に摺動しつつ、可動範囲内の最前方位置と最後方位置との間で移動可能である。
【0041】
操作部材27の移動方向における両端部、つまり前端部274及び後端部275は、常に本体21の外部に露出している。操作部材27の前端部274及び後端部275は、手動操作可能な操作部を構成する。使用者は、前端部274又は後端部275を操作部材27の長手方向に押圧することで、操作部材27を本体21に対して後方(ロック方向)又は前方(アンロック方向)へ移動させることができる。
【0042】
なお、本実施形態では、操作部材27と押圧部材24とは、操作部材27の移動に応じて、押圧部材24が保持部22に近づく方向(押圧方向)または、保持部22から離れる方向(解除方向)に移動するように構成されている。このための操作部材27と押圧部材24の詳細な構成については、後述する。
【0043】
図1に示すように、レール3は、直線状に延びる長尺部材であって、固定部2の本体21に取り外し可能に連結されている。レール3には、長尺定規7のT溝750と同様のT字状の断面を有する溝30が設けられている。溝30は、レール3の左端から右端まで、レール3の全長に亘って延在する。
【0044】
一方、
図3に示すように、固定部2の本体21の左端部には、レール3の右端部を受け入れ可能な凹部217が設けられている。レール3の右端部は、凹部217に挿入されており、固定ネジ31が、本体21の孔を通って、レール3の溝30内に配置された固定板33に締め付けられている。これにより、レール3は固定部2に対して実質的に移動不能に固定されている。
【0045】
図3及び
図4に示すように、ガイド部材4は、レール3から取り外し可能、且つ、レール3の長手方向における位置を変更可能に、レール3に支持されている。詳細な図示及び説明は省略するが、ガイド部材4は、レール3に係合し、レール3に沿って摺動可能に構成されている。ガイド部材4は、レール3の長手方向の任意の位置に配置され、固定ネジ41が、レール3の溝30内に配置された固定板43に締め付けられている。これにより、ガイド部材4は、レール3に対して実質的に移動不能に固定される。使用者は、固定ネジ41を緩めてレール3上のガイド部材4の位置を変更し、再度固定ネジ41を締め付けることで、ガイド部材4の位置を調整することができる。
【0046】
使用者は、
図2に示すように、2つのパラレルガイド1のガイド部材4をレール3上の同じ位置に固定し、固定部2を長尺定規7に取り付ける。使用者は、更に、長尺定規7を加工材9上に載せ、ガイド部材4の下端部の右面が加工材9の端面93に当接するように位置合わせする。これにより、長尺定規7の第1の側端711が、加工材9の端面93に平行に位置決めされる。
【0047】
以下、操作部材27と押圧部材24の構成について、より詳細に説明する。
【0048】
図7に示すように、操作部材27と押圧部材24とは、第1当接部28と第2当接部25とを介して、動作可能に当接している。第1当接部28及び第2当接部25は、操作部材27の後方への移動に応じて、押圧部材24を右方、つまり、保持部22に近づく方向(押圧方向)へ移動させるように構成されている。
【0049】
より詳細には、第1当接部28及び第2当接部25は何れも、操作部材27の移動方向である前後方向に延びる直線L2に対して、後方に向かうにつれて左方に(つまり保持部22から離れる方向に)傾斜している。また、
図7、
図10~
図12に示すように、第1当接部28は、複数の歯(凸部)285を有する歯部として構成されている。第2当接部25も歯部として構成されており、第2当接部25の複数の歯285に係合する複数の歯(凸部)255を有する。
【0050】
より詳細には、操作部材27の第1当接部28は、第1当接面280を有する。第1当接面280は、押圧部材24に対向する面であって、操作部材27の下端部の右側面に設けられている。第1当接面280は、前後方向に交互に配置された複数の第1傾斜面281と複数の第2傾斜面282とを含む。1つの第1傾斜面281と1つの第2傾斜面282とが1つの歯285を規定する。第1傾斜面281は、第2傾斜面282よりも前後方向に長い。
図10に示すように、直線L2に対する第1傾斜面281の傾斜角度(以下、第1傾斜角θ1という)は、45度よりも小さく、例えば、10~20度の範囲内に設定されている。また、第1傾斜角θ1は、直線L2に対する第2傾斜面282の傾斜角度(以下、第2傾斜角θ2という)よりも大きい。
【0051】
一方、押圧部材24の第2当接部25は、第2当接面250を有する。第2当接面250は、操作部材27に対向する面であって、押圧部材24の下板部242の下端部の左側面に設けられている。本実施形態の押圧部材24は、下板部242と上板部243とが、押圧面241を有する右端部から左方に突出するように形成されている。これにより、下板部242と上板部243との間には、左方に開放された凹部が形成されている。なお、上板部243は、下板部242の第2当接部25よりも左方に突出している。操作部材27は、部分的に下板部242と上板部243の間の凹部内に配置されており、押圧部材24の上板部243は操作部材27の上面の上側にあり、第2当接部25が第1当接部28の右側にある。
【0052】
第2当接面250は、前後方向に交互に配置された複数の第1傾斜面251と複数の第2傾斜面252とを含む。第1傾斜面251と第2傾斜面252とが1つの歯255を規定する。第1傾斜面251は、操作部材27の第1傾斜面281に整合する面である。第2傾斜面252は、操作部材27の第2傾斜面282に整合する面である。よって、直線L2に対する第1傾斜面251、第2傾斜面252の傾斜角度は、夫々、第1傾斜角θ1、第2傾斜角θ2と同一である。
【0053】
このような構成により、操作部材27がロック方向(後方)に移動されると、互いに摺動する第1傾斜面251及び第1傾斜面281の作用によって、押圧部材24は、保持部22に近づくように、押圧方向(右方)に移動される。上述のように、第1傾斜角θ1は45度より小さいため、操作部材27の前後方向の移動量に対する押圧部材24の左右方向の移動量は小さくなる。
【0054】
なお、第1側壁751が保持部22と押圧部材24の間に配置されていないときには、操作部材27は、最前方位置から最後方位置までロック方向に移動可能である。一方、第1側壁751が保持部22と押圧部材24の間にあるときには、最後方位置よりも前方で、押圧部材24が第1側壁751に当接して押圧する状態に至る。以下、このときの操作部材27の位置をロック位置ともいう。また、操作部材27の最前方位置を、アンロック位置ともいう。押圧部材24が第1側壁751に当接して押圧する位置を、押圧位置ともいう。
【0055】
また、
図5、
図9、
図11、
図12に示すように、操作部材27と押圧部材24とは、突起277と傾斜溝247とを介して、動作可能に係合している。突起277及び傾斜溝247は、操作部材27の前方への移動に応じて、押圧部材24を左方へ移動させるように構成されている。
【0056】
操作部材27の突起277は、操作部材27の前後方向における略中央部の上面から上方に突出している。突起277は、操作部材27の上方からみて楕円状であり、その長軸は、第2当接部25に接する直線(複数の歯285の先端に接する直線)に対して実質的に平行に延びている。押圧部材24の傾斜溝247は、上板部243の下面に形成されている。傾斜溝247は、第2当接部25に接する直線(複数の歯255の先端に接する直線)に対して実質的に平行に延びている。傾斜溝247の長さは、突起277よりも大幅に長い。傾斜溝247の幅は、遊びがある状態で突起277が傾斜溝247内を移動できるように設定されている。
【0057】
このような構成により、操作部材27がアンロック方向(前方)に移動されるときには、突起277が傾斜溝247を規定する面に当接して摺動しつつ、押圧部材24を解除方向(左方)に移動させる。なお、操作部材27がロック方向(後方)に移動するときには、第1当接部28及び第2当接部25が押圧部材24を押圧方向(右方)へ移動させる間に、突起277は傾斜溝247内を遊びがある状態で移動する。
【0058】
以下、長尺定規7に対する固定部2の固定と、長尺定規7からの固定部2の取外しについて説明する。
【0059】
図13及び
図14に示すように、操作部材27がアンロック位置にあるとき、押圧部材24はその可動範囲内で最左方位置、つまり、保持部22から最も離れた位置(以下、最離間位置という)にある。このときの支持部223の支持面224と、押圧部材24の押圧面241との間の距離は、第1側壁751の厚みよりも大きい。また、押圧面241は、第1ガイド壁213の右端面よりも左方にある。つまり、押圧部材24は、第1ガイド壁213から右方に突出していない。
【0060】
使用者が、長尺定規7の後端又は前端から固定部2の保持部22を長尺定規7のT溝750内に挿入すると、長尺定規7の第1側壁751が、左右方向において保持部22と押圧部材24の間に配置される。なお、押圧部材24が第1ガイド壁213から突出していないため、使用者は保持部22を容易にT溝750に挿入することができる。使用者は、固定部2を長尺定規7の長手方向の所望の位置まで摺動させる。
【0061】
使用者が操作部材27の前端部274を押圧し、操作部材27をアンロック位置からロック方向(後方)に移動させると、第1傾斜面251及び第1傾斜面281の作用により、押圧部材24が押圧方向(右方)に移動される。操作部材27がロック位置に到達すると、押圧部材24は、押圧位置に配置されて、第1側壁751を右方に押圧し、保持部22の支持部223に押し付ける(
図5、
図6参照)。これにより、パラレルガイド1が長尺定規7に固定される。なお、押圧部材24が押圧位置にあるとき、押圧部材24の右端部は、第1ガイド壁213よりも右方に突出している。
【0062】
上述のように、第1傾斜角θ1が比較的小さく設定されているため、操作部材27をロック位置まで移動させるときの使用者の押圧力(操作荷重)が比較的小さくても、操作部材27が楔として機能し、第1側壁751に対する押圧部材24の押圧力(押圧荷重)を効果的に増大させることができる。また、操作部材27がアンロック方向に移動するのを抑制することができる。本実施形態では、摩擦力に加え、第2傾斜面252、282が設けられることで、操作部材27がアンロック方向に移動することが確実に防止される。また、第2傾斜面252、282の前後方向に延びる直線Lに対する傾斜角度は、第1傾斜面251、281の直線Lに対する傾斜角度よりも小さいので、操作部材27をロック方向へ移動させる荷重よりもアンロック方向へ移動させる荷重の方が小さくなるので、アンロック位置へ戻しやすくなる。
【0063】
このように、本体21の2つの支持部223と押圧部材24とは、支持面224と第1側壁751の第1壁面752とが当接し、且つ、押圧面241と第1側壁751の第2壁面753とが当接した状態で、第1側壁751を強固に挟み込み、保持することができる。また、押圧方向と直交する前後方向において、2つの支持部223の間(実質的に真ん中)に押圧部材24が位置するため、押圧部材24は、第1側壁751を2つの支持部223にバランスよく押し付け、固定することができる。また、本実施形態の支持部223は、T溝750に実質的に整合する断面形状を有し、T溝750に嵌合することで、固定状態の安定化に寄与する。
【0064】
固定部2を長尺定規7から取り外すときには、使用者は、後端部275を押圧し、操作部材27をロック位置からアンロック位置まで、アンロック方向(前方)に移動させる。これに伴い、傾斜溝247に係合する突起277によって、押圧部材24が最離間位置まで、解除方向(左方)に移動され、第1側壁751から離間する(
図13、
図14参照)。使用者は、固定部2の保持部22をT溝750から離脱させることで、固定部2を長尺定規7から取り外すことができる。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態のパラレルガイド1は、長尺定規7に取り外し可能に固定されるように構成された固定部2(固定機構)を備えている。固定部2は、左右方向に直線状に移動可能な押圧部材24を備える。押圧部材24は、本体21の少なくとも1つの支持部223に長尺定規7の第1側壁751を押し付け、少なくとも1つの支持部223と共に第1側壁751を挟み込んで固定するように構成されている。よって、回動式のラッチを採用する公知の固定機構のように、パラレルガイド1が長尺定規7に対して回動するのを防止するための構成が不要である。このため、回動式のラッチを採用する場合に比べ、固定部2(固定機構)を小型化することが可能となる。これにより、パラレルガイド1も全体的に小型化することができる。
【0066】
上記実施形態の各構成要素(特徴)と本開示又は発明の各構成要素(特徴)の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は、単なる一例であって、本開示又は本発明の各構成要素を限定するものではない。
【0067】
長尺定規7、第1側壁751は、夫々、「長尺定規」、「第1側壁」の一例である。パラレルガイド1は、「位置決め装置」の一例である。固定部2、本体21、押圧部材24は、夫々、「固定機構」、「本体」、「押圧部材」の一例である。パラレルガイド1の左右方向は、「第1方向」の一例である。支持部223は、「支持部」の一例である。操作部材27は、「操作部材」の一例である。操作部材27の第1当接面280は、「第1当接面」の一例である。押圧部材24の第2当接面250は、「第2当接面」の一例である。パラレルガイド1の前後方向は、「第2方向」の一例である。直線L2は、「第2方向に延びる直線」の一例である。
【0068】
操作部材27の歯285は、「第1の歯」又は「第2の歯」の一例である。押圧部材24の歯255は、「第1の歯」又は「第2の歯」の一例である。第1傾斜面281、第1傾斜面251の各々は、「第1傾斜面」の一例である。第2傾斜面282、第2傾斜面252の各々は、「第2傾斜面」の一例である。操作部材27の前端及び後端は、夫々、操作部材の「第1の端」及び「第2の端」の一例である。操作部材27の突起277は、「第1突起」の一例である。押圧部材24の傾斜溝247は、「第2ガイド溝」の一例である。弾性体245は、「弾性体」の一例である。長尺定規7の第2側壁756は、「第2側壁」の一例である。T溝750は、長尺定規の「溝」の一例である。レール3は、「レール」の一例である。ガイド部材4は、「ガイド部材」の一例である。
【0069】
なお、上記実施形態は単なる例示であり、本開示に係る位置決め装置は、例示されたパラレルガイド1に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。また、これらの変更のうち少なくとも1つが、実施形態に例示されるパラレルガイド1、及び各請求項に記載された発明の何れかと組み合わされて採用されうる。
【0070】
例えば、固定部2は、パラレルガイド1のみならず、長尺定規7に取り付け可能な他の種類の位置決め装置(例えば、スクエアガイド、アングルガイド)にも適用可能である。例えば、レール3とガイド部材4のような別部材でなく、本体21自体が、位置合わせに使用される基準面(例えば、加工材9の何れかの端面に当てられる面)を有するように構成されてもよい。あるいは、本体21にレール3とガイド部材4以外の位置合わせ用の部材(例えば、角度調整用の部材)が取り付けられてもよい。
【0071】
固定部2の構成は、少なくとも1つの支持部223と押圧部材24とを備え、押圧部材24が支持部223に近づく方向に移動して、第1側壁751を支持部223に押し付けて固定できる限り、適宜、変更されてよい。例えば、本体21の形状、本体21による押圧部材24及び操作部材27の支持態様、押圧部材24及び操作部材27の形状や係合態様は、任意に選択されうる。
【0072】
例えば、本体21の保持部22は、延在部221を備えず、2つの支持部223のみで構成されてもよい。また、支持部223の数、位置、形状は、任意に選択されうる。例えば、支持部223の数は、1つでも3つ以上であってもよい。但し、1又は複数の支持部223が、押圧部材24の押圧面241に対して、前後方向にバランスよく配置されることが好ましい。また、安定した固定状態を実現するために、支持部223は、第1側壁751の第1壁面752と整合する支持面224を有すると好ましい。
【0073】
押圧部材24は、常時、付勢部材(例えば、バネ、ゴム等の弾性体)によって押圧方向に付勢されていてもよい。この変形例では、操作部材27は、付勢部材の付勢力に抗して押圧部材を解除方向に移動させるように構成されうる。
【0074】
操作部材27の第1当接部28及び押圧部材24の第2当接部25の歯285/255の数は、同じでなくてもよい。また、第1当接部28及び第2当接部25は、歯部ではなく、互いに当接し、摺動可能な傾斜面として構成されていてもよい。この場合も、直線L2対する傾斜面の角度は、楔の作用を効果的に発揮させるため、上記実施形態と同様、比較的小さく設定されることが好ましい。あるいは、第1当接部28及び第2当接部25は、カム面を有するカム部として構成されてもよい。この変形例では、操作部材27は、スライドレバーであってもよいし、外周面がカム面として形成された回動式のカムレバーとして構成されてもよい。また、第1当接部28及び第2当接部25の一方のみが傾斜面/カム面を有していてもよい。
【0075】
上記実施形態では、互いに係合する突起277と傾斜溝247が、操作部材27のロック位置からアンロック位置への移動に応じて押圧部材24を解除方向に移動させる。かかる構造に代えて、例えば、操作部材27のロック位置からアンロック位置への移動に応じて、押圧部材24を解除方向に付勢する付勢部材(例えば、バネ、ゴム等の弾性体)が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1:パラレルガイド、2:固定部、21:本体、211:上板部、212:雌ネジ部、213:第1ガイド壁、215:第2ガイド壁、217:凹部、22:保持部、221:延在部、223:支持部、224:支持面、24:押圧部材、241:押圧面、242:下板部、243:上板部、245:弾性体、247:傾斜溝、25:第2当接部、250:第2当接面、251:第1傾斜面、252:第2傾斜面、255:歯、27:操作部材、271:長孔、272:ネジ、274:前端部、275:後端部、277:突起、28:第1当接部、280:第1当接面、281:第1傾斜面、282:第2傾斜面、285:歯、3:レール、30:溝、31:固定ネジ、33:固定板、4:ガイド部材、41:固定ネジ、43:固定板、7:長尺定規、70:本体、701:第1面、702:第2面、711:第1の側端、712:第2の側端、713:第3の側端、714:第4の側端、73:レール、75:取付け部、750:T溝、751:第1側壁、752:第1壁面、753:第2壁面、756:第2側壁、8:携帯用加工機、81:ベース、82:溝、9:加工材、91:上面、93:端面