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特開2024-121355個人間送金用プログラム及び個人間送金方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121355
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】個人間送金用プログラム及び個人間送金方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20240830BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20240830BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q20/32 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028406
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 洋介
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA64
5L020AA72
5L055AA64
5L055AA72
(57)【要約】
【課題】正当な受取人ではないものに対する誤送金の発生を防止することができる個人間送金用プログラム及び個人間送金方法を提供する。
【解決手段】
近距離無線通信を用いて、送金人端末1a及び受取人端末1bの間で、送金取引の取引相手を識別するための取引相手識別情報を交換し(S102~S103,S202~S203)、その取引相手識別情報に基づいて、送金人端末1a及び受取人端末1bのそれぞれの表示部に、取引相手を特定可能な取引相手特定情報を表示し(S104,S204)、その表示部のそれぞれに表示された取引相手特定情報に基づいて、取引相手が正当な取引先であることが送金人及び受取人の双方で確認された場合、送金人端末1a及び受取人端末1bが送金取引を行うための送金処理(S106~S113,S206~S210)を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部及び近距離無線通信部を有する送金人及び受取人のコンピュータのそれぞれにインストールされ、前記送金人から前記受取人への送金取引を実現する個人間送金用プログラムであって、
送金取引の一方側の前記コンピュータを、
近距離無線通信を用いて、送金取引の取引相手側の前記コンピュータから、当該取引相手を識別するための取引相手識別情報を取得する取得部、
前記取引相手識別情報に基づいて、前記取引相手を特定可能な取引相手特定情報を前記表示部に表示させる表示制御部、
及び、前記表示部に表示された前記取引相手特定情報に基づいて、前記取引相手が正当な取引先であることが前記送金取引の一方側で確認された場合、前記送金取引を行うための送金処理を実行する送金実行部
として機能させる、個人間送金用プログラム。
【請求項2】
前記送金取引の一方側は送金人であり、
前記送金処理には、前記取引相手が正当な受取人であることを確認した前記送金人によって入力された送金額を受け付ける処理が含まれる、
請求項1に記載の個人間送金用プログラム。
【請求項3】
前記送金取引の一方側は送金人であり、
前記送金処理には、前記取引相手が正当な受取人であることを確認した前記送金人によって選択された口座からの送金を行うための処理が含まれる、
請求項1に記載の個人間送金用プログラム。
【請求項4】
前記送金取引の一方側は受取人であり、
前記送金処理には、前記送金人が正当な送金元であることを確認した前記受取人によって選択された口座への送金を行うための処理が含まれる、
請求項1に記載の個人間送金用プログラム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記送金処理が実行中であることを示す処理実行中情報を、前記取引相手側の前記コンピュータにおける表示と同期して前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の個人間送金用プログラム。
【請求項6】
前記表示制御部は、近距離無線通信を用いて前記取引相手側の前記コンピュータと通信することにより、前記処理実行中情報を前記表示と同期して前記表示部に表示させる、
請求項5に記載の個人間送金用プログラム。
【請求項7】
送金取引の一方側の前記コンピュータを、
前記表示部において前記処理実行中情報が表示されている間に、前記送金取引を中止するための送金中止処理を実行する送金中止実行部
としてさらに機能させる、
請求項5又は6に記載の個人間送金用プログラム。
【請求項8】
表示部及び近距離無線通信部を有する送金人及び受取人のコンピュータを用いて、前記送金人から前記受取人への送金取引を行う個人間送金方法であって、
近距離無線通信を用いて、送金人及び受取人のコンピュータの間で、送金取引の取引相手を識別するための取引相手識別情報を交換し、
前記取引相手識別情報に基づいて、送金人及び受取人のコンピュータのそれぞれの表示部に、前記取引相手を特定可能な取引相手特定情報を表示し、
前記表示部のそれぞれに表示された前記取引相手特定情報に基づいて、前記取引相手が正当な取引先であることが送金人及び受取人の双方で確認された場合、送金及び受取人のコンピュータが前記送金取引を行うための送金処理を実行する、
個人間送金方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等の情報端末を用いて個人間送金を実現する個人間送金用プログラム及び個人間送金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つの移動体端末間で近距離無線通信を行って端末間送金用アプリケーションを起動させ、一方の移動体端末が決済サーバから送金システム用鍵を取得すると共に、近距離無線通信を行ってその移動体端末から他方の移動体端末が送金システム用鍵を取得し、この送金システム用鍵を用いて非接触カード機能により減算処理を行う端末間送金システムが開示されている。この端末間送金システムによれば、近距離無線通信を用いて送金システム用鍵を端末間で受け渡しすることによって、個人間送金を容易に実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-27319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、送金人の端末の近くに受取人の端末以外の端末が存在する場合、その端末と送金人の端末との間で近距離無線通信が行われる可能性があり、その結果、正当な受取人ではない者に対して誤って送金が行われることもあり得る。上記の従来の端末間送金システムの場合、ユーザがそのような誤送金に気付かずに処理が完了してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、正当な受取人ではないものに対する誤送金の発生を防止することができる個人間送金用プログラム及び個人間送金方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の個人間送金用プログラムは、表示部及び近距離無線通信部を有する送金人及び受取人のコンピュータのそれぞれにインストールされ、前記送金人から前記受取人への送金取引を実現する個人間送金用プログラムであって、送金取引の一方側の前記コンピュータを、近距離無線通信を用いて、送金取引の取引相手側の前記コンピュータから、当該取引相手を識別するための取引相手識別情報を取得する取得部、前記取引相手識別情報に基づいて、前記取引相手を特定可能な取引相手特定情報を前記表示部に表示させる表示制御部、及び、前記表示部に表示された前記取引相手特定情報に基づいて、前記取引相手が正当な取引先であることが前記送金取引の一方側で確認された場合、前記送金取引を行うための送金処理を実行する送金実行部として機能させる。
【0007】
前記態様において、前記送金取引の一方側は送金人であり、前記送金処理には、前記取引相手が正当な受取人であることを確認した前記送金人によって入力された送金額を受け付ける処理が含まれてもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記送金取引の一方側は送金人であり、前記送金処理には、前記取引相手が正当な受取人であることを確認した前記送金人によって選択された口座からの送金を行うための処理が含まれてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記送金取引の一方側は受取人であり、前記送金処理には、前記送金人が正当な送金元であることを確認した前記受取人によって選択された口座への送金を行うための処理が含まれてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記表示制御部は、前記送金処理が実行中であることを示す処理実行中情報を、前記取引相手側の前記コンピュータにおける表示と同期して前記表示部に表示させてもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記表示制御部は、近距離無線通信を用いて前記取引相手側の前記コンピュータと通信することにより、前記処理実行中情報を前記表示と同期して前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
また、前記態様において、送金取引の一方側の前記コンピュータを、前記表示部において前記処理実行中情報が表示されている間に、前記送金取引を中止するための送金中止処理を実行する送金中止実行部としてさらに機能させてもよい。
【0013】
本発明の一の態様の個人間送金方法は、表示部及び近距離無線通信部を有する送金人及び受取人のコンピュータを用いて、前記送金人から前記受取人への送金取引を行う個人間送金方法であって、近距離無線通信を用いて、送金人及び受取人のコンピュータの間で、送金取引の取引相手を識別するための取引相手識別情報を交換し、前記取引相手識別情報に基づいて、送金人及び受取人のコンピュータのそれぞれの表示部に、前記取引相手を特定可能な取引相手特定情報を表示し、前記表示部のそれぞれに表示された前記取引相手特定情報に基づいて、前記取引相手が正当な取引先であることが送金人及び受取人の双方で確認された場合、送金及び受取人のコンピュータが前記送金取引を行うための送金処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、送金人及び受取人のコンピュータ間で近距離無線通信を行うことにより、安全且つ容易な個人間送金を実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】個人間送金システムの構成を示すブロック図。
図2】利用者端末の構成を示すブロック図。
図3】顧客マスタデータベースのレイアウトの一例を示す図。
図4】個人間送金処理の手順を示すフローチャート。
図5A】受取人特定画面の一例を示す図。
図5B】送金人特定画面の一例を示す図。
図6】送金額入力画面の一例を示す図。
図7A】送金口座選択画面の一例を示す図。
図7B】受取口座選択画面の一例を示す図。
図8】送金指示画面の一例を示す図。
図9A】送金中画面(送金人側)の一例を示す図。
図9B】送金中画面(受取人側)の一例を示す図。
図10】送金中画面(送金人側及び受取人側)の他の例を示す図。
図11】送金中画面(送金人側及び受取人側)の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
なお、本発明における個人間送金は、銀行等の預貯金取扱金融機関の口座、及び資金移動業者の口座などの各種の口座間で金銭的価値を移動させることを意味する。以下の実施の形態では、金融機関の口座間での個人間送金を例示するが、これに限定されるわけではなく、様々な口座間で金銭的価値を移動させる場合に、本発明を適用することができる。
【0018】
(個人間送金システムの構成)
図1は、本実施の形態の個人間送金システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態の個人間送金システムは、送金人及び受取人によって操作される利用者端末1と、送金サーバ2とを備える。利用者端末1及び送金サーバ2はインターネット101を介して通信する。また、送金サーバ2は、専用線を介して、各金融機関側に設けられる金融機関サーバ3と通信する。なお、以下では、送金人及び受取人によって操作される利用者端末1を送金人端末1a及び受取人端末1bとそれぞれ称する。
【0019】
(利用者端末の構成)
利用者端末1は、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ及びタブレット端末等の情報端末である。利用者(送金人及び受取人)は、利用者端末1を用いて個人間送金を実行する。以下、利用者端末1の詳細な構成について説明する。
【0020】
図2は、利用者端末1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、利用者端末1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、表示部15と、マイク16と、スピーカ17とを備えている。
【0021】
制御部11は、図示しないCPUと、SRAM又はDRAM等のRAMとを少なくとも備えている。制御部11のCPUがRAMにロードされた各種のコンピュータプログラムを実行することにより、利用者端末1は後述するように動作する。
【0022】
記憶部12は、フラッシュメモリ等で構成されており、制御部11にて実行されるオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の各種のコンピュータプログラム、並びにその実行の際に用いられるデータ等を記憶する。このコンピュータプログラムには、個人間送金を実行するためのプログラムである送金アプリ121が含まれる。
【0023】
通信部13は、3G(Generation)、4G、5G、及びLTE(Long Term Evolution)等の長距離無線通信方式、並びにNFC(Near Field Communication)、Wi-Fi(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線通信方式に対応する通信モジュールで構成されている。利用者端末1は、この通信部13を介して送金サーバ2などと通信を行う。また、利用者端末1は、通信部13におけるNFCモジュールを介して、他の利用者端末1と通信を行う。
【0024】
入力部14は、静電容量方式のタッチパネル等で構成されており、利用者からの入力を受け付け、その入力に基づく電気信号を制御部11に出力する。利用者は、入力部14を用いることにより、利用者端末1に対して必要な操作を行う。
【0025】
表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成されており、制御部11から入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0026】
マイク16は、外部から音声の入力を受け付けて、その入力に基づく電気信号を制御部11に出力する。上記の入力部14による入力に代えて、マイク16による音声入力を行うことも可能である。
【0027】
スピーカ17は、制御部11からの指示にしたがって、外部に音声を出力する。上記の表示部15による表示の代わりに、スピーカ17による音声出力によって各種のメッセージ等を出力することができる。
【0028】
(送金サーバの構成)
送金サーバ2は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部を備えるコンピュータで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。また、送金サーバ2は、個人間送金を行う利用者である顧客に関する顧客マスタデータベース(DB)21を有している。
【0029】
図3は、顧客マスタDB21のレイアウトの一例を示す図である。図3に示すとおり、顧客マスタDB21には、利用者の氏名、識別子、並びに利用者が利用する金融機関及び口座等の情報が格納されている。本実施の形態の場合、識別子として、利用者のメールアドレス及び電話番号などが用いられる。
【0030】
顧客マスタDB21に格納される各情報は利用者によって提供される。各利用者は、自身が使用している各金融機関の口座に関する情報を、識別子と紐付けて送金サーバ2側へ提供する。その他にも、各金融機関が、利用者からの要求に応じて当該利用者の口座に関する情報を送金サーバ2側へ提供してもよい。
【0031】
後述するように、本実施の形態において、各利用者は複数の口座を使い分けることができる。その場合、同一の利用者について、複数の口座に関する情報が識別子別に顧客マスタDB21に格納される。
【0032】
(個人間送金システムの動作)
送金人及び受取人は、送金アプリ121がインストールされた利用者端末1(送金人端末1a及び受取人端末1b)を用いて個人間送金を行う。以下、その場合の個人間送金システムの動作について説明する。
【0033】
図4は、送金人端末1a及び受取人端末1bによって実行される個人間送金処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下で説明する各処理は、送金アプリ121によって実現される。
【0034】
送金人及び受取人はそれぞれ、送金人端末1a及び受取人端末1bを用いて送金アプリ121を起動させた上で、端末同士を互いに近付ける。このとき、送金人端末1a及び受取人端末1bのNFCモジュールが作動し、近距離無線通信が確立する(S101及びS201)。これ以降、送金人端末1a及び受取人端末1b間の通信は近距離無線通信で行われる。
【0035】
近距離無線通信が確立された後、送金人端末1aは送金人を識別するための送金人識別情報を送信し(S102)、受取人端末1bがこれを受信する(S202)。次に、受取人端末1bが受取人を識別するための受取人識別情報を送信し(S203)、送金人端末1aがこれを受信する(S103)。なお、先に受取人識別情報が送受信された後に、送金人識別情報が送受信されても構わない。
【0036】
本実施の形態において、上記の送金人識別情報及び受取人識別情報は、送金アプリ121に予め登録されている利用者情報(氏名、ニックネーム、及び顔写真等のアイコン画像など)である。したがって、送金人の利用者情報が送金人識別情報として受取人端末1bへ渡される一方で、受取人の利用者情報が受取人識別情報として送金人端末1aへ渡されることになる。
【0037】
送金人端末1aは、受信した受取人識別情報を用いて、受取人を特定可能な受取人特定情報を表示部15に表示する(S104)。他方、受取人端末1bは、受信した送金人識別情報を用いて、送金人を特定可能な送金人特定情報を表示部15に表示する(S204)。
【0038】
図5Aは、受取人特定情報を含む受取人特定画面の一例を示す図である。この例では、受取人特定情報として、受取人の顔画像及び受取人のニックネームである“yamachan”が表示されている。また、この受取人特定画面には、紙幣を表すアイコン画像、及びその紙幣から受取人に向かう方向を示す三角形状の3個の矢印画像が示されている。これらの表示を参照することにより、送金人は、自身がこれから送金を行おうとしていることを確認するとともに、その送金取引の相手が所望の送金先であるか否か、すなわち正当な受取人であるか否かを目視で確認することができる。
【0039】
図5Bは、送金人特定情報を含む送金人特定画面の一例を示す図である。この例では、送金人特定情報として、送金人の顔画像及び送金人の名前である“花子”が表示されている。また、この送金人特定画面には、財布を表すアイコン画像、及び送金人からその財布に向かう方向を示す三角形状の3個の矢印画像が示されている。これらの表示を参照することにより、受取人は、自身がこれから送金を受け取ろうとしていることを確認するとともに、その送金取引の相手が所望の送金元であるか否か、すなわち正当な送金人であるか否かを目視で確認することができる。
【0040】
図5A及び図5Bに示すように、受取人特定画面及び送金人特定画面には、確認ボタン111が設けられている。送金人は、受取人特定画面にて相手が正当な受取人であることを確認した場合、確認ボタン111をクリックすることによってその旨を送金人端末1aに伝える。同様にして、受取人は、送金人特定画面にて相手が正当な送金人であることを確認した場合、確認ボタン111をクリックすることによりその旨を受取人端末1bに伝える。
【0041】
送金人端末1aは、確認ボタン111のクリックの有無を判定する(S105)。ここで、確認ボタン111のクリックが検知されなかった場合(S105でNO)、送金人端末1aは、処理を終了する。同様にして、受取人端末1bにおいても確認ボタン111のクリックの有無が判定され(S205)、クリックが検知されなかった場合(S205でNO)、処理が終了される。なお、送金人端末1a及び受取人端末1bの何れか一方において確認ボタン111のクリックが検知された場合であっても、もう一方においてクリックが検知されなかったときは、両端末1a,1bとも処理を終了させる。この場合、確認ボタン111のクリックが検知されなかったことを示す情報が両端末1a,1b間で送受信される。
【0042】
送金人端末1a及び受取人端末1bの双方において確認ボタン111のクリックが検知された場合(S105及びS205でYES)、これ以降の処理が続行される。なお、これ以降のステップS106乃至S113、及びS206乃至S210は、送金取引を行うための送金処理に相当する。
【0043】
送金人端末1aは、送金額を入力可能な送金額入力画面を表示部15に表示した上で、送金人から送金額の入力を受け付ける(S106)。図6は、その送金額入力画面の一例を示す図である。図6に示すように、送金額入力画面には、送金額を入力するためのテンキーボタンの他、挿入額の入力欄112及び送金ボタン113が設けられている。送金人は、入力部14を用いて入力欄112に対して今回の送金額を入力した後、送金ボタン113をクリックする。
【0044】
送金人端末1aは、送金額の入力を受け付け(S106)、送金ボタン113のクリックを検知すると、送金口座を選択可能な送金口座選択画面を表示部15に表示した上で、送金口座の選択を受け付ける(S107)。
【0045】
他方、受取人端末1bは、確認ボタン111のクリックの有無を検知すると(S205でYES)、受取口座を選択可能な受取口座選択画面を表示部15に表示した上で、受取口座の選択を受け付ける(S206)。
【0046】
図7A及び図7Bはそれぞれ、送金口座選択画面及び受取口座選択画面の一例を示す図である。図7Aに示すように、送金口座選択画面には、受取人特定情報、紙幣のアイコン画像、三角形状の矢印画像及び送金額が示されており、さらに送金口座を表す画像を表示する表示欄114が設けられている。送金人によって予め登録されている口座が複数ある場合、表示欄114には各口座に対応する複数の画像が表示される。図7Aには、複数の口座が登録されている場合の例が示されている。
【0047】
同様にして、受取口座選択画面には、図7Bに示すとおり、送金人特定情報、財布のアイコン画像、三角形状の矢印画像及び受取額が示されており、さらに受取口座を表す画像を表示する表示欄115が設けられている。受取人によって予め登録されている口座が複数ある場合、表示欄115には各口座に対応する複数の画像が表示される。図7Bには、複数の口座が登録されている場合の例が示されている。
【0048】
送金人は、送金口座選択画面を参照し、送金額及び送金日などを考慮した上で、今回の送金に利用する口座を表示欄114の中から選択する。同様に、受取人は、受取口座選択画面を参照し、受取額及び受取日などを考慮した上で、今回の受取に利用する口座を表示欄115の中から選択する。なお、口座の選択は、当該口座を表す画像がクリックされることにより実行される。
【0049】
送金人端末1aは、送金口座の選択を受け付けると(S107)、選択された送金口座を示す送金口座情報を送金サーバ2に対して送信する(S108)。なお、この送金口座情報には、ステップS106にて入力を受け付けた送金額も含まれている。同様に、受取人端末1bは、受取口座の選択を受け付けると(S206)、選択された受取口座を示す受取口座情報を送金サーバ2に対して送信する(S207)。
【0050】
送金サーバ2は、これらの送金口座情報及び受取口座情報を受信した後、各口座情報で示される口座が顧客マスタDB21に登録されているか否かを確認し、登録されていない場合はその旨を示す情報を送金人端末1a又は受取人端末1bへ送信する。この場合、送金処理は終了される。以下、顧客マスタDB21に両口座が登録されていることが送金サーバ2で確認されたものとして説明を続ける。
【0051】
送金人端末1aは、送金指示を受け付けるための送金指示画面を表示した上で、送金人から送金指示の入力を受け付ける(S109)。図8は、その送金指示画面の一例を示す図である。本実施の形態の場合、送金指示画面の内容は送金口座選択画面と同一であり、送金口座選択画面がそのまま送金指示画面となる。
【0052】
送金口座の選択を終えた送金人は、必要に応じて受取人が正当であるかを再度確認した上で、送金指示を実行する。本実施の形態の場合、受取人が上方向(受取人特定情報側の方向)にスワイプすることによって送金指示が行われる。
【0053】
送金人端末1aは、送金人から送金指示の入力を受け付けると(S109)、送金処理が実行中であることを示す処理実行中情報を含む送金中画面を送金表示部15に表示する(S110)。このとき、送金人端末1aは、送金中画面を表示していることを示す情報を、受取人端末1bに対して送信する。これを受けた受取人端末1bは、同様にして送金中画面を表示部15に表示する(S208)。ここで、送金人端末1a及び受取人端末1bは、近距離無線通信を用いて互いに同期しながら表示を行う。
【0054】
図9Aは、送金人端末1aにて表示される送金中画面の一例を示す図であり、図9Bは、受取人端末1bにて表示される送金中画面の一例を示す図である。図9Aに示すように、送金人側の送金中画面には、上から順に、受取人特定情報、三角形状の3個の矢印画像、紙幣のアイコン画像及び送金額が示されており、さらに送金処理を中止するためのキャンセルボタン116が設けられている。他方、図9Bに示すように、受取人側の送金中画面には、上から順に、送金人特定情報、三角形状の3個の矢印画像、財布のアイコン画像及び受取額が示されており、さらに上記と同様のキャンセルボタン116が設けられている。
【0055】
送金中画面における三角形状の3個の矢印画像は、送金処理の進行状況を表している。より具体的に説明すると、送金人側の送金中画面では、下側(紙幣のアイコン画像側)に位置する矢印画像から順に白色から黒色へ変化し、受取人側の送金中画面では、上側(送金人特定情報側)に位置する矢印画像から順に白色から黒色へ変化する。ここで、矢印画像の白色から黒色への変化は、両端末1a,1bで同期して行われる。同期の態様は種々想定可能であるが、例えば、矢印画像の白色から黒色への変化が両端末1a,1bで同じタイミングで行われるようにする。
【0056】
送金人及び受取人は、自身の端末及び相手方の端末の表示部15で表示されている送金中画面を参照し、同期した表示が行われているか否かを確認する。ここで、同期した表示が行われていることが確認できた場合、両端末1a,1b間で個人間送金が実行されていると判断することができるため、送金人及び受取人は安心して送金処理を続行させることができる。
【0057】
他方、同期した表示が行われていないことが確認された場合(例えば、矢印画像の白色から黒色への変化が両端末で同期していないことが確認できた場合など)、送金処理が正しく行われていないことが想定される。例えば、送金人端末1aが受取人端末1b以外の端末との間で近距離無線通信しながら送金処理を実行しているような場合、送金人端末1a及び受取人端末1bの間で送金中画面の表示が同期しないため、送金人及び受取人は送金処理が正しく行われていないことを確認できる。
【0058】
両端末1a,1bでの送金中画面の表示が同期していないため、送金処理が正しく行われていないと判断した送金人及び/又は受取人は、送金処理を中止するために、送金中画面におけるキャンセルボタン116をクリックする。送金人端末1aは、このクリックを受け付けた場合(S111でYES)、送金処理を終了する。同様にして、受取人端末1bがこのクリックを受け付けた場合(S209でYES)も処理が終了される。なお、キャンセルボタン116のクリックが検知された場合、そのことを示す情報が両端末1a,1b間で送受信される。
【0059】
送金人端末1aは、送金中画面の表示が開始してから一定時間以内に上記の送金処理中止の指示(キャンセルボタン116のクリック)を受け付けなかった場合(S111でNO)、今回の個人間送金の実行を要求する送金要求を送金サーバ2へ送信する(S112)。これを受けた送金サーバ2は、先に受け取っている送金額、送金口座情報及び受取口座情報に基づいて、各口座の金融機関側に設けられる金融機関サーバ3と連携しながら、送金人と受取人との間の個人間送金を実行する。
【0060】
送金サーバ2は、個人間送金が完了した後、そのことを示す送金完了情報を、送金人端末1a及び受取人端末1bへ送信する。両端末1a,1bは、送金完了情報を受信すると(S113,S210)、個人間送金が完了したことを示す情報を表示部15に表示して処理を終了する。
【0061】
上記のとおり、本実施の形態では、送金人端末1a及び受取人端末1bが、相手方の端末から取得した取引相手識別情報に基づいて、取引相手を特定可能な情報を表示する。これにより、送金人及び受取人の双方が、取引相手の正当性を目視で確認可能なため、誤送金の発生を効果的に防止することができる。
【0062】
また、送金中画面の表示が両端末1a,1bで同期して行われることにより、正しい送金処理が行われていることを送金人及び受取人が視覚的に確認することができる。そのため、両端末1a,1b以外の端末に対して誤送金されるような事態を容易に回避することができる。
【0063】
なお、本実施の形態の場合、送金中画面の表示が行われている間は送金処理をキャンセルすることできる。そのため、送金中画面の表示処理は、キャンセルが可能な時間を確保するための処理としても機能する。
【0064】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、送金中画面における矢印画像の色の変化のタイミングについて、送金人端末1a及び受取人端末1bで同期がとられているが、これに限定されるわけではない。例えば、図10に示す例のように、送金人端末1aにおいて複数枚の紙幣を示す画像が送金中画面で表示されており、これらの紙幣が順次受取人端末1bへ渡されるように、送金人端末1aの送金中画面から紙幣が1枚ずつ削除されるとともに、受取人端末1bの送金中画面に紙幣が1枚ずつ表示されるようにする。この場合、送金人端末1aから受取人端末1bへの紙幣の移動について同期がとられる。送金人及び受取人は、その表示の同期を確認することによって、送金処理が正しく行われていることを把握することができる。
【0065】
また、図11に示す例のように、1枚の紙幣が、送金人端末1aから受取人端末1bへ少しずつ移動するような表示にしてもよい。この場合でも、送金人端末1aから受取人端末1bへの紙幣の移動について同期がとられ、その同期の成否によって送金処理が正しく行われているか否かを判断することができる。
【0066】
また、上記の実施の形態では、送金人端末1a及び受取人端末1bが、近距離無線通信を用いて送金中画面の表示の同期をとっているが、これに限定されるわけではない。例えば、送金人端末1a及び受取人端末1bが、送金サーバ2から表示のタイミングを指示する情報を受信した上で、その情報に基づいて送金中画面の表示の同期をとるようにしてもよい。
【0067】
また、上記の実施の形態では、図5A及び図5Bにそれぞれ示す受取人特定画面及び送金人特定画面において確認ボタン111が設けられているが、正当な受取人又は送金人であることが確認できなかった場合に押下される取消ボタンがさらに設けられてもよい。送金人及び受取人は、この取消ボタンを押下することによって、個人間送金をキャンセルすることができる。なお、これらの受取人特定画面及び送金人特定画面は、送金人端末1a又は受取人端末1bの誤操作・意図しない操作などによって両端末間で近距離無線通信が確立された場合でも表示されることがあり得る。その場合、送金人及び受取人は上記の取消ボタンを押下すればよい。このような取消ボタンを設けられていない場合においては、一定時間経過しても確認ボタン111が押下されないときに当該画面の表示を終了したり、確認ボタン111を押下不能にしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 利用者端末
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
16 マイク
17 スピーカ
121 送金アプリ(プログラム)
2 送金サーバ
21 顧客マスタデータベース
3 金融機関サーバ
101 インターネット
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11