(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121371
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ウエブ切断装置及びそのウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/20 20060101AFI20240830BHJP
B65H 21/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B65H19/20
B65H21/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028437
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 2022年9月26日、販売相手先 NIPPON KODOSHI KOGYO (MALAYSIA) SDN. BHD.(マレーシア)(所在地:Kawasan Perindustrian Pasir Gudang, 81700 Pasir Gudang,Johor,マレーシア)、公開者 株式会社山東鐵工所、販売した物の内容 株式会社山東鐵工所は、この出願に係る「ウエブ切断装置」を搭載した「電解コンデンサ用セパレータ欠点除去装置」を、上記販売相手先に販売することで公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】513263282
【氏名又は名称】SANDO TECH株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】冨田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】塚 賢
(72)【発明者】
【氏名】丹田 宗次郎
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 敬太
【テーマコード(参考)】
3F064
【Fターム(参考)】
3F064BB02
3F064BB18
3F064BB35
3F064DA02
(57)【要約】
【課題】ウエブ継ぎ装置においてウエブを切断する作業を容易にする。
【解決手段】帯状のウエブSを支持する複数のロール3,5の間に設けられウエブSを吸着により保持する吸着保持装置40と、ウエブSの幅方向に沿って移動可能な第1切断刃21a及び第2切断刃21bを有する切断装置20と、吸着保持装置40及び切断装置20の動作を制御する制御部60と、を備え、制御部60は、第1切断刃21aがウエブSの幅方向中程の始点B0から幅方向一方側へ所定距離L1だけ進んだ第1地点B1までウエブSに初期切込みC1を形成して第1切断刃21aを停止させる第1工程と、第2切断刃21bが初期切込みC1内の第2地点B2に進入する第2工程と、第1切断刃21aが前記第1地点B1から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃21bが前記第2地点B2から幅方向他方側へ移動してウエブSを幅方向両端縁まで切断する第3工程の制御を行うウエブ切断装置とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のウエブ(S)を長手方向に沿って走行可能に支持する複数のロール(3,5)と、前記複数のロール(3,5)の間に設けられ前記ウエブ(S)を吸着により保持する吸着保持装置(40)と、前記吸着保持装置(40)に対向して設けられ前記ウエブ(S)の幅方向に沿って移動可能な第1切断刃(21a)及び第2切断刃(21b)を有する切断装置(20)と、前記吸着保持装置(40)及び前記切断装置(20)の動作を制御する制御部(100)と、を備え、
前記制御部(100)は、前記第1切断刃(21a)が前記吸着保持装置(40)で保持された前記ウエブ(S)の幅方向中程の始点(B0)から幅方向一方側へ所定距離(L1)だけ進んだ第1地点(B1)まで前記ウエブ(S)に初期切込み(C1)を形成して前記第1切断刃(21a)を停止させる第1工程と、前記第2切断刃(21b)が前記初期切込み(C1)内の第2地点(B2)に進入する第2工程と、前記第1切断刃(21a)が前記第1地点(B1)から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃(21b)が前記第2地点(B2)から幅方向他方側へ移動して前記ウエブ(S)を幅方向両端縁まで切断する第3工程の制御を行うウエブ切断装置。
【請求項2】
前記第3工程において、前記第1切断刃(21a)の幅方向一方側への移動と、前記第2切断刃(21b)の幅方向他方側への移動は、少なくともその一部が重複した時期に行われる請求項1に記載のウエブ切断装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ装置であって、
前記吸着保持装置(40)に対向して設けられ前記ウエブ(S)の幅方向に沿って移動可能な噴射装置(31)を備えた接着剤塗布装置(30)を備え、
前記制御部(100)は、前記第3行程を終えて切断線(A)で切り離された前記ウエブ(S)のうち前記切断線(A)を挟んで進行方向一方の側の前記ウエブ(S)のみを前記吸着保持装置(40)で保持する第4工程と、
前記切断線(A)を挟んで進行方向他方の側に別のウエブ(S)を接近させる第5工程と、
前記噴射装置(31)によって進行方向一方の側及び進行方向他方の側の少なくともいずれかの前記ウエブ(S)に接着剤を塗布する第6工程と、
進行方向一方の側及び進行方向他方の側の前記ウエブ(S)同士を重ねて押圧する第7工程の制御を行うウエブ継ぎ装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ装置であって、
前記吸着保持装置(40)に対向して設けられ前記ウエブ(S)の幅方向に沿って移動可能な噴射装置(31)を備えた接着剤塗布装置(30)を備え、
前記制御部(100)は、前記第1切断刃(21a)が前記吸着保持装置(40)で保持された前記ウエブ(S)の幅方向中程の始点(B0)から幅方向一方側へ所定距離(L1)だけ進んだ第1地点(B1)まで前記ウエブ(S)に初期切込み(C1)を形成して前記第1切断刃(21a)を停止させる第1工程と、前記第2切断刃(21b)が前記初期切込み(C1)内の第2地点(B2)に進入する第2工程と、前記第1切断刃(21a)が前記第1地点(B1)から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃(21b)が前記第2地点(B2)から幅方向他方側へ移動して前記ウエブ(S)を幅方向両端縁まで切断する第3工程と、
前記第3行程を終えて第1切断線(A1)で切り離された前記ウエブ(S)のうち前記第1切断線(A1)を挟んで進行方向上流側の前記ウエブ(S)に介在する欠陥箇所(D)を下流側へ送り出した後、前記欠陥箇所(D)の上流側で前記第1行程、前記第2工程及び前記第3行程と同じ工程を経て前記ウエブ(S)を幅方向全長に亘る第2切断線(A2)で切断する第3’工程と、
前記第3’行程を終えて前記第2切断線(A2)で切り離された前記ウエブ(S)のうち前記第2切断線(A2)を挟んで進行方向上流側の前記ウエブ(S)のみを前記吸着保持装置(40)で保持する第4工程と、
前記第2切断線(A2)を挟んで進行方向下流側に前記第1切断線(A1)の進行方向下流側の前記ウエブ(S)を接近させる第5工程と、
前記噴射装置(31)によって進行方向上流側及び進行方向他方の側の少なくともいずれかの前記ウエブ(S)に接着剤を塗布する第6工程と、
進行方向上流側及び進行方向下流側の前記ウエブ(S)同士を重ねて押圧する第7工程の制御を行うウエブ継ぎ装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ方法であって、
前記吸着保持装置(40)に対向して設けられ前記ウエブ(S)の幅方向に沿って移動可能な噴射装置(31)を備えた接着剤塗布装置(30)を用い、
前記第1切断刃(21a)が前記吸着保持装置(40)で保持された前記ウエブ(S)の幅方向中程の始点(B0)から幅方向一方側へ所定距離(L1)だけ進んだ第1地点(B1)まで前記ウエブ(S)に初期切込み(C1)を形成して前記第1切断刃(21a)を停止させる第1工程と、前記第2切断刃(21b)が前記初期切込み(C1)内の第2地点(B2)に進入する第2工程と、前記第1切断刃(21a)が前記第1地点(B1)から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃(21b)が前記第2地点(B2)から幅方向他方側へ移動して前記ウエブ(S)を幅方向両端縁まで切断する第3工程と、
前記第3行程を終えて第1切断線(A1)で切り離された前記ウエブ(S)のうち前記第1切断線(A1)を挟んで進行方向上流側の前記ウエブ(S)に介在する欠陥箇所(D)を下流側へ送り出した後、前記欠陥箇所(D)の上流側で前記第1行程、前記第2工程及び前記第3行程と同じ工程を経て前記ウエブ(S)を幅方向全長に亘る第2切断線(A2)で切断する第3’工程と、
前記第3’行程を終えて前記第2切断線(A2)で切り離された前記ウエブ(S)のうち前記第2切断線(A2)を挟んで進行方向上流側の前記ウエブ(S)のみを前記吸着保持装置(40)で保持する第4工程と、
前記第2切断線(A2)を挟んで進行方向下流側に前記第1切断線(A1)の進行方向下流側の前記ウエブ(S)を接近させる第5工程と、
前記噴射装置(31)によって進行方向上流側及び進行方向他方の側の少なくともいずれかの前記ウエブ(S)に接着剤を塗布する第6工程と、
進行方向上流側及び進行方向下流側の前記ウエブ(S)同士を重ねて押圧する第7工程と、
を備えるウエブ継ぎ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に(電解コンデンサ用)セパレータ、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、又は金属泊等の各種のシート状物を対象とするウエブ切断装置、及び、そのウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ装置(スプライス装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セパレータ、プラスチックフィルム、プラスチックシート、紙、金属泊、その他各種の可撓性のある素材からなるシート状物(以下、ウエブと称する。)を継ぐ際に、各種のウエブ継ぎ装置が用いられている。この種のウエブ継ぎ装置はスプライス装置とも呼ばれ、走行する長手状のウエブ(以下、今、送り込まれているウエブを「旧ウエブ」という。)に対して、前後方向(走行方向)に延びる新しいウエブ(以下、「新ウエブ」と称する。)の先端を、糊や溶着・接合テープ等を介して接続する(継ぐ)ものである。
【0003】
例えば、特許文献1のウエブ継ぎ装置では、巻出装置に備えられた一方の原反ロールから供給される旧ウエブの走行経路の途中に、上下方向に対向する上側貼り付けロールと及び下側貼り付けロールが設けられ、上側貼り付けロールよりも走行経路の前段側に旧ウエブ用の切断刃が設けられている。他方の原反ロールから供給される新ウエブの先端が、下側貼り付けロールに吸着されるとともに、上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールの少なくとも一方に接合テープが吸着される。上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールとの間に旧ウエブを介在して両者を接圧するとともに、切断刃によって旧ウエブを接圧点の前段で切断する。その後、上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールを走行方向へ回転させて、接合テープを旧ウエブの切断端(後端)及び新ウエブの先端に接着することで、旧ウエブの切断端と新ウエブの先端とを継いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、帯状のウエブの途中には、傷や汚れ等を伴う不良箇所が存在する場合もある。このような場合、進行している旧ウエブの状態を目視で確認して、その不良箇所を除去する必要がある。
【0006】
この点、特許文献1のウエブ継ぎ装置では、旧ウエブの終端が近づいた際に、新ウエブに継ぐことを目的として、旧ウエブの終端付近における適当な箇所を切断刃によって切断している。しかし、この装置で、仮に、進行中の旧ウエブの途中に不良箇所を発見した場合は、その除去作業に手間を要する。すなわち、旧ウエブに介在する不良箇所の始端及び終端を切断するためには、既に上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールの間を通過した後の不良箇所を、上側貼り付けロール及び下側貼り付けロールよりも上流側に位置する切断刃のさらに上流側まで引き戻し、その後、切断刃で始端、終端の順に切断する必要がある。このような作業は非常に煩雑である。また、特許文献1のウエブ継ぎ装置では、ウエブの不良箇所を除去する際に、その不良箇所がロールに挟まった状態である。このため、除去しようとする場所の目視が困難であるという問題もある。
【0007】
さらに、例えば、コンデンサ用セパレータのような特殊な素材では、市販のハサミやカッター等では切断するのが容易ではないという問題がある。また、仮にウエブの途中に傷や汚れ等の欠点が介在した場合、その欠点を除去した後の前後のウエブ同士の貼合せ(重ね合わせ)の状態が製品に影響を及ぼすため、これまではその作業に従事にする熟練者が必要であるという問題があった。
【0008】
そこで、この発明は、ウエブを切断する作業を容易にすることを第1の課題とし、切断したウエブの端部に対して別のウエブの端部を継ぐ作業を容易にすることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の第1の課題を解決するために、この発明は、
帯状のウエブを長手方向に沿って走行可能に支持する複数のロールと、前記複数のロールの間に設けられ前記ウエブを吸着により保持する吸着保持装置と、前記吸着保持装置に対向して設けられ前記ウエブの幅方向に沿って移動可能な第1切断刃及び第2切断刃を有する切断装置と、前記吸着保持装置及び前記切断装置の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1切断刃が前記吸着保持装置で保持された前記ウエブの幅方向中程の始点から幅方向一方側へ所定距離だけ進んだ第1地点まで前記ウエブに初期切込みを形成して前記第1切断刃を停止させる第1工程と、前記第2切断刃が前記初期切込み内の第2地点に進入する第2工程と、前記第1切断刃が前記第1地点から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃が前記第2地点から幅方向他方側へ移動して前記ウエブを幅方向両端縁まで切断する第3工程の制御を行うウエブ切断装置を採用した。
【0010】
ここで、前記第3工程において、前記第1切断刃の幅方向一方側への移動と、前記第2切断刃の幅方向他方側への移動は、少なくともその一部が重複した時期に行われる構成を採用できる。
【0011】
上記の第2の課題を解決するために、この発明は、
上記の各態様からなるウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ装置として、
前記吸着保持装置に対向して設けられ前記ウエブの幅方向に沿って移動可能な噴射装置を備えた接着剤塗布装置を備え、
前記制御部は、前記第3行程を終えて切断線で切り離された前記ウエブのうち前記切断線を挟んで進行方向一方の側の前記ウエブのみを前記吸着保持装置で保持する第4工程と、
前記切断線を挟んで進行方向他方の側に別のウエブを接近させる第5工程と、
前記噴射装置によって進行方向一方の側及び進行方向他方の側の少なくともいずれかの前記ウエブに接着剤を塗布する第6工程と、
進行方向一方の側及び進行方向他方の側の前記ウエブ同士を重ねて押圧する第7工程の制御を行うウエブ継ぎ装置を採用できる。
【0012】
また、上記の各態様からなるウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ装置として、
前記吸着保持装置に対向して設けられ前記ウエブの幅方向に沿って移動可能な噴射装置を備えた接着剤塗布装置を備え、
前記制御部は、前記第1切断刃が前記吸着保持装置で保持された前記ウエブの幅方向中程の始点から幅方向一方側へ所定距離だけ進んだ第1地点まで前記ウエブに初期切込みを形成して前記第1切断刃を停止させる第1工程と、前記第2切断刃が前記初期切込み内の第2地点に進入する第2工程と、前記第1切断刃が前記第1地点から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃が前記第2地点から幅方向他方側へ移動して前記ウエブを幅方向両端縁まで切断する第3工程と、
前記第3行程を終えて第1切断線で切り離された前記ウエブのうち前記第1切断線を挟んで進行方向上流側の前記ウエブに介在する欠陥箇所を下流側へ送り出した後、前記欠陥箇所の上流側で前記第1行程、前記第2工程及び前記第3行程と同じ工程を経て前記ウエブを幅方向全長に亘る第2切断線で切断する第3’工程と、
前記第3’行程を終えて前記第2切断線で切り離された前記ウエブのうち前記第2切断線を挟んで進行方向上流側の前記ウエブのみを前記吸着保持装置で保持する第4工程と、
前記第2切断線を挟んで進行方向下流側に前記第1切断線の進行方向下流側の前記ウエブを接近させる第5工程と、
前記噴射装置によって進行方向上流側及び進行方向他方の側の少なくともいずれかの前記ウエブに接着剤を塗布する第6工程と、
進行方向上流側及び進行方向下流側の前記ウエブ同士を重ねて押圧する第7工程の制御を行うウエブ継ぎ装置を採用できる。
【0013】
また、上記の各態様からなるウエブ切断装置を用いたウエブ継ぎ方法として、
前記吸着保持装置に対向して設けられ前記ウエブの幅方向に沿って移動可能な噴射装置を備えた接着剤塗布装置を用い、
前記第1切断刃が前記吸着保持装置で保持された前記ウエブの幅方向中程の始点から幅方向一方側へ所定距離だけ進んだ第1地点まで前記ウエブに初期切込みを形成して前記第1切断刃を停止させる第1工程と、前記第2切断刃が前記初期切込み内の第2地点に進入する第2工程と、前記第1切断刃が前記第1地点から幅方向一方側へ及び前記第2切断刃が前記第2地点から幅方向他方側へ移動して前記ウエブを幅方向両端縁まで切断する第3工程と、
前記第3行程を終えて第1切断線で切り離された前記ウエブのうち前記第1切断線を挟んで進行方向上流側の前記ウエブに介在する欠陥箇所を下流側へ送り出した後、前記欠陥箇所の上流側で前記第1行程、前記第2工程及び前記第3行程と同じ工程を経て前記ウエブを幅方向全長に亘る第2切断線で切断する第3’工程と、
前記第3’行程を終えて前記第2切断線で切り離された前記ウエブのうち前記第2切断線を挟んで進行方向上流側の前記ウエブのみを前記吸着保持装置で保持する第4工程と、
前記第2切断線を挟んで進行方向下流側に前記第1切断線の進行方向下流側の前記ウエブを接近させる第5工程と、
前記噴射装置によって進行方向上流側及び進行方向他方の側の少なくともいずれかの前記ウエブに接着剤を塗布する第6工程と、
進行方向上流側及び進行方向下流側の前記ウエブ同士を重ねて押圧する第7工程と、
を備えるウエブ継ぎ方法を採用できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、ウエブを切断する作業を容易にすることができ、また、切断したウエブの端部に対して別のウエブの端部を継ぐ作業を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一実施形態のウエブ継ぎ装置を示す正面図
【
図3】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図4】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図5】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図6】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図7】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図8】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図9】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図10】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図11】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図12】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図13】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図14】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図15】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図16】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図17】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図18】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図19】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図20】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図21】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図22】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図23】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図24】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図25】ウエブ切断作業及びウエブ継ぎ作業の工程を示す正面図
【
図26】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図27】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図29】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図30】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図31】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図32】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図33】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図34】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図35】ウエブを切断する工程を模式的に示す斜視図
【
図36】ウエブを接続する工程を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態のウエブ継ぎ装置1は、
図1に示すように、帯状のシート状物(以下、ウエブSと称する。)を切断するウエブ切断装置を含み、その切断したウエブSに対して別のウエブSを接続する(継ぐ)ために使用するものである。このウエブ継ぎ装置1は、特に、シート状の電解コンデンサ用セパレータに介在する傷や汚れ等の欠点を取り除くために使用することができ、電解コンデンサ用セパレータ欠点除去装置として機能する。すなわち、長手方向に沿って走行するウエブSの一部を除去して、その除去した部分を挟む前後のウエブSの先端同士を接続する(継ぐ)ものである。
【0017】
ウエブ継ぎ装置1の前段には、帯状のウエブSを長手方向に沿って巻回したロールから、ウエブSを長手方向に沿って繰り出す送出装置(巻出装置)を備えている。また、ウエブ継ぎ装置1の後段には、ウエブSを長手方向に沿ってロール状に巻き取っていく巻取装置(いずれも図示せず)が設置されている。
【0018】
まず、ウエブ継ぎ装置1の基本構成について説明する。
【0019】
ウエブ継ぎ装置1は、
図1及び
図2に示すように、四角枠状のフレームFに支持されている。ウエブSの走行経路の途中には、進行方向上流側(以下、上流側と称する)から進行方向下流側(以下、下流側と称する)に向かって、ウエブSを長手方向に沿って走行可能に支持する複数のロール2,3,4,5を備えている。これらを上流側から順に、導入ロール2、固定側ニップロール3、可動側ニップロール4、送出しロール5と称する。また、送出しロール5の下方には、回収ロール6を備えている。
【0020】
導入ロール2は、上流側から繰り出されるウエブSを、軸回り空転しながら下方で支えるロール(ローラ)である。導入ロール2の中心軸は、フレームFに対して回転自在に固定されている。固定側ニップロール3は、導入ロール2側から横向きに(
図1では左から右へ)に進行してきたウエブSを、下向きに向きを変えるように案内するロール(ローラ)である。固定側ニップロール3の中心軸は、フレームFに対して回転自在に固定されている。可動側ニップロール4は、固定側ニップロール3に対して接近及び離反することができるロール(ローラ)である。フレームFにアクチュエータ7が固定され、可動側ニップロール4の中心軸は、アクチュエータ7が備える進退自在のロッド7aに軸回り回転自在に支持されている。可動側ニップロール4と固定側ニップロール3が接近してウエブSを挟持することで、ウエブSは動かないように保持される。
【0021】
送出しロール5は、固定側ニップロール3側から下向きに進行してきたウエブSを、横向きに(
図1では左から右へ)に向きを変えるように案内するロール(ローラ)である。送出しロール5の中心軸は、フレームFに対して回転自在に固定されている。送出しロール5に対向してストッパ5aが設けられている。ストッパ5aは、フレームFに固定されたアクチュエータによって、送出しロール5に対して接近及び離反することができる。送出しロール5にストッパ5aが接近してウエブSを挟持することで、ウエブSは動かないように保持される。また、回収ロール6は、切り出されたウエブSを巻回して回収するロール(ローラ)である。回収ロール6の中心軸は、フレームFに対して回転自在に固定されて、回収ロール6は、駆動源からの駆動力によって軸回り回転する。また、駆動源としては、例えば、所定量(回転角度)の軸回り回転、及び、所定位置での停止を制御できるロータリーアクチュエータ又はサーボモータ等の電動モータを採用できる。なお、サーボモータとは、位置、速度等を制御することができるモータ等の駆動源である。ロータリーアクチュエータとは、圧縮空気等の流体を用いて動作部を回転運動させる駆動源である。
【0022】
導入ロール2、固定側ニップロール3、可動側ニップロール4、送出しロール5及び回収ロール6は、それぞれ断面円形の筒状部材で構成され、ウエブSの進行に伴って、軸回り空転しながら回転するようになっている。導入ロール2、送出しロール5及び回収ロール6の周面のウエブSに接触する部分は、鉄やアルミニウム等の金属が用いられる。固定側ニップロール3、可動側ニップロール4の周面のウエブSに接触する部分は、軟質樹脂やゴム等の弾性体で覆われている。ウエブSは、巻取装置側の駆動力によって進行するので、回収ロール6を除く各ローラは、自身が軸回り回転するための駆動源を備えていないが、特に必要がある場合は、これらのローラにモータ等による駆動力を付与してもよい。
【0023】
固定側ニップロール3及び可動側ニップロール4と送出しロール5との間には、ウエブSを吸着により保持する吸着保持装置40が設けられている。吸着保持装置40は、ウエブSの進行方向に沿って順に、第1吸着部41及び第2吸着部42を備えている。第1吸着部41及び第2吸着部42は、内側に中空の内部空間が形成された筒状部材の前面に設けられており、ウエブSの幅方向に平行に伸びている。第1吸着部41及び第2吸着部42は、多数の貫通孔を有するパンチングメタルによって形成されている。第1吸着部41及び第2吸着部42にウエブSが接近すると、筒状部材の内部空間内の負圧によって、ウエブSはそれぞれ対応する第1吸着部41及び第2吸着部42に吸着される。筒状部材の内部空間は、それぞれ図示しない吸気手段(負圧発生手段)に接続されており、吸気手段の吸引により筒状部材の内部は負圧になり、第1吸着部41及び第2吸着部42での吸引力を生じさせる。
【0024】
第1吸着部41及び第2吸着部42の間には、ガイド部43が設けられている。ガイド部43は、ウエブSの幅方向に直線状に伸びて、後述のウエブSの切断の際に、その切断の際に切断刃の移動をガイドする機能を発揮する。また、吸着保持装置40は、エアシリンダ(図示せず)等の駆動力によって、
図1の左右方向へ移動することができる。
【0025】
吸着保持装置40に対向して切断装置(ウエブ切断装置)20が設けられている。切断装置20は、ウエブSの幅方向に沿って直線状に移動可能な第1切断刃21a及び第2切断刃21bを有している。第1切断刃21a及び第2切断刃21bは、
図1に示すように、基台23上に配置された対の移動体22,22にそれぞれ固定されている。第1切断刃21aは一方の移動体22に固定され、第2切断刃21bは他方の移動体22に固定されている。対の移動体22,22は、サーボモータ等の駆動力によって、それぞれ基台23に設けられたレールに沿って所定量移動することができる。レールは、ウエブSの幅方向に沿って直線状に設けられている。また、対の移動体22,22は、基台23上をそれぞれ別々に移動することができる。基台23は、エアシリンダ(図示せず)等の駆動力によってフレームFに対して昇降可能(
図1の上下方向)で、且つ、吸着保持装置40に向かって近づく方向及び遠ざかる方向(
図1の左右方向)に移動可能である。エアシリンダとは、圧縮空気を用いてロッドを軸方向に進退させる駆動源である。
【0026】
第1吸着部41及び第2吸着部42によってウエブSが吸着されて動かないように固定支持される。その固定された状態で、一方の移動体22とともに第1切断刃21aが、他方の移動体22とともに第2切断刃21bが、ウエブSに対して幅方向へ横断(トラバース走行)することによってウエブSが切断される。
【0027】
また、吸着保持装置40に対向して接着剤塗布装置30が設けられている。接着剤塗布装置30は、接着剤を噴射する噴射装置31が移動体32に固定され、移動体32は、サーボモータ等の駆動力によって、それぞれ基台33に設けられたレールに沿って所定量移動することができる。レールは、ウエブSの幅方向に沿って直線状に設けられている。基台33は、エアシリンダ(図示せず)等の駆動力によってフレームFに対して昇降可能(
図1の上下方向)で、且つ、吸着保持装置40に向かって近づく方向及び遠ざかる方向(
図1の左右方向)に移動可能である。
【0028】
また、送出しロール5の下方には、回収装置50が設けられている。回収装置50は、ウエブSを空着により保持できる吸着装置51を備えている。吸着装置51は、内側に中空の内部空間が形成された筒状部材の前面に設けられており、ウエブSの幅方向に平行に伸びている。吸着装置51は、多数の貫通孔を有するパンチングメタルによって形成されている。吸着装置51にウエブSが接近すると、筒状部材の内部空間内の負圧によって、ウエブSはその吸着装置51に吸着される。筒状部材の内部空間は、吸着保持装置40と同様に図示しない吸気手段(負圧発生手段)に接続されており、吸気手段の吸引により筒状部材の内部は負圧になり、吸着装置51での吸引力を生じさせる。
【0029】
さらに、吸着保持装置40に対向して安定化装置60が設けられている。安定化装置60は、ウエブSの接着箇所を押えるローラ状の押圧部61と、その接着箇所を接圧してウエブSを乾燥させる棒状の加熱ヒータ62を備えている。
【0030】
回収装置50の吸着装置51、及び、安定化装置60の押圧部61及びヒータ62は、それぞれエアシリンダ(図示せず)等の駆動力によってフレームFに対して昇降可能(
図1の上下方向)で、且つ、それぞれ単独で、吸着保持装置40に向かって近づく方向及び遠ざかる方向(
図1の左右方向)に移動可能である。
【0031】
なお、各装置の動作は、例示したエアシリンダやロータリーアクチュエータ、サーボモータ等の駆動源には限定されず、油圧による動作機構、モータによる動作機構等、その他の種々の駆動手段を採用してもよい。
【0032】
また、これらの各装置の動作、特に、巻取装置によるウエブSの走行、切断装置20、接着剤塗布装置30、吸着保持装置40、回収装置50、安定化装置60等の各動作は、制御部100によって制御される。
【0033】
以下、ウエブ継ぎ装置、及び、そのウエブ継ぎ装置1を用いたウエブ継ぎ方法について
図1及び
図2の装置の概略図、
図3~
図25のフロー図、
図26~
図36の模式図に基づいて説明する。
【0034】
図1及び
図2に示すように、ウエブ継ぎ装置1に対して
図1の左側(送出装置側)からウエブSが送り出され、ウエブSは一方向へ(
図1の右側へ向かって)走行している。矢印A、矢印Bは、その走行方向を示している。この走行状態において、ウエブSの途中に欠陥箇所Dが介在しているとする。欠陥箇所Dとは、傷や汚れ等を伴う不良箇所である。この欠陥箇所Dを除去するために、ウエブSの切断を行う。欠陥箇所Dの下流側の所定位置が、吸着保持装置40に対面する状態でウエブSの走行を停止させる。そして、送出しロール5に向かってストッパ5aを押し付けてウエブSの走行をロックし(
図1の矢印C
0参照)、その後、固定側ニップロール3と可動側ニップロール4でウエブSを挟んで(
図1の矢印C
0’参照照)、送出しロール5及びストッパ5a、並びに、固定側ニップロール3及び可動側ニップロール4との間で、ウエブSを所定のテンションで保持する。
図26は、欠陥箇所Dの下流側の所定位置が、吸着保持装置40に対面している状態を示している。
【0035】
吸着保持装置40がウエブSに近づく方向、すなわち、
図1の左方向へ移動し(矢印C
1参照)、第1吸着部41及び第2吸着部42を構成する筒状部材の内部空間を吸気することで、ウエブSは第1吸着部41及び第2吸着部42に吸着される。ここで、第1吸着部41は、第2吸着部42よりも上流側(
図1で上側)に位置している。相対的に下流側(
図1で下側)に位置する第2吸着部42に吸着したウエブSに対して、図示しない押えシートを押し付けることで、ウエブSの保持をさらに安定させてもよい。その後、切断装置20が
図1の右方向へ移動する(矢印C
2参照)。
【0036】
図3に示すように、切断装置20が上昇する(矢印C
3参照)。つぎに、
図4に示すように、切断装置20の基台23がウエブSに近づく方向、すなわち、
図4の右方向へ移動する(矢印C
4参照)。
【0037】
ここで、
図27に示すように、第1切断刃21aの刃先が、吸着保持装置40で保持されたウエブSを貫通する。そして、ウエブSの幅方向中程に設定された始点B0から、幅方向一方側(
図27で左側)へ所定距離L1だけ進んだ所に設定された第1地点B1まで、ウエブSに初期切込みC1を形成する。そして、その第1地点B1で第1切断刃21aの動きを停止させる。これを、第1工程と称する。
図28は、第1工程を終えた状態のウエブSの正面図である。
【0038】
つぎに、
図29に示すように、第2切断刃21bが初期切込みC1内の第2地点B2に進入する。第2地点B2は、初期切込みC1の長さ方向中心よりも始点B0側であることが望ましい。この工程を、第2工程と称する。
【0039】
つぎに、
図30に示すように、第1切断刃21aが第1地点B1から幅方向一方側(
図30の左側)へ移動し、第2切断刃21bが第2地点B2から幅方向他方側(
図30の右側)へ移動して、それぞれウエブSを幅方向両端縁に至り、ウエブSを切断する。
図31は、切断を終えて切断線A1が形成された状態である。この工程を、第3工程と称する。第1切断刃21aと第2切断刃21bの2つの切断刃を用いて、ウエブSを幅方向中ほどから幅方向端縁に向かって切断するようにしたので、基材端の折れ曲がりや基材破断、途中での屈曲や湾曲がない直線状の安定した切断線A1の形成が可能である。
【0040】
なお、この第3工程において、第1切断刃21aの幅方向一方側への移動と、第2切断刃21bの幅方向他方側への移動は、少なくともその一部が重複した時期に行われることが望ましい。ここで、第1切断刃21aの移動開始時期と、第2切断刃21bの移動開始時期は、互いに異なっていてもよいが、これを同時とすることが望ましい。また、第1切断刃21aがウエブSの幅方向端縁に至る時期と、第2切断刃21bがウエブSの幅方向端縁に至る時期とは、互いに異なっていてもよいが、これを同時とすることが望ましい。
【0041】
図5に示すように、切断装置20がウエブS側から遠ざかるように移動し(矢印C
5参照)、続いて、切断装置20が下方へ移動する(矢印C
6照)。また、
図6に示すように、切断装置20がウエブS側から遠ざかるように移動して、その後のウエブSの操作に支障しないように退避する(矢印C
8照)。そして、第2吸着部42が、切断線A1を挟んで下流側のウエブSを吸着させた状態のまま、そのウエブSの切断線A1を前方へ、すなわち、切断線A1よりも下流側のウエブSを、切断線A1よりも上流側のウエブSに対してガイド部43から遠ざかる側へ押し出すように旋回する(矢印C
7参照)。
【0042】
つぎに、
図7に示すように、回収装置50の吸着装置51が上昇する(矢印C
9参照)。また、第2吸着部42は、切断線A1よりも下流側のウエブSとともに、後方へ移動、すなわち、吸着装置51から遠ざかる側へ移動する(矢印C
10参照)。
【0043】
図8に示すように、回収装置50の吸着装置51が第1吸着部41側へ移動して(矢印C
11参照)、切断線A1よりも上流側のウエブSに当接する。
図32に示す上方側は、切断線A1よりも上流側のウエブSで、
図32に示す下方側は、切断線A1よりも下流側のウエブSである。ここで、吸着装置51を構成する筒状部材の内部空間を吸気することで、ウエブSは吸着装置51に吸引保持され、その後又は同時に、第1吸着部41の吸引が解除される。
【0044】
図9に示すように、回収装置50の吸着装置51は、切断線A1よりも上流側のウエブSを保持した状態で、第1吸着部41から遠ざかる側へ移動する(矢印C
12参照)。続いて、
図10に示すように、吸着装置51は、切断線A1よりも上流側のウエブSを保持した状態で、回収ロール6の位置まで下降する(矢印C
14参照)。
図33は、切断線A1よりも上流側のウエブS(欠陥Dを含むウエブS)が、下方に引き出されている状態を示している。
図33では図示していないが、図中右下に示す切断線A1よりも下流側のウエブSは、第2吸着部42による保持が継続している。ここで、吸着装置51に保持されたウエブSを回収ロール6に転写する。
図11に示すように回収ロール6を軸回り回転させる(矢印C
17参照)ことで、ウエブSは巻き取られる。なお、回収ロール6の回転開始の後又は同時に、吸着装置51の吸引が解除される。吸着装置51は、回収ロール6から遠ざかる側へ移動する(
図10の矢印C
15及び矢印C
16参照)。
【0045】
図12に示すように、回収ロール6を送出しロール5の直下に移動させる(矢印C
18参照)。ウエブSは、再び第1吸着部41に接する。第1吸着部41を構成する筒状部材の内部空間を吸気することで、ウエブSは第1吸着部41に吸引保持される。ここで、第1吸着部41に吸着したウエブSに対して、図示しない押えシートを押し付けることで、ウエブSの保持をさらに安定させてもよい(矢印C
19及びC
20参照)。
【0046】
この状態で、第3行程を終えて第1切断線A1で切り離されたウエブSのうち第1切断線A1を挟んで進行方向上流側のウエブSに介在する欠陥箇所Dは、吸着保持装置40よりも下流側へ送り出された状態である(
図33参照)。ここで、
図13に示すように、切断装置20が横方向へ移動し、上昇する(矢印C
21及びC
22参照)。つぎに、
図14に示すように、切断装置20の基台23がウエブSに近づく方向、すなわち、
図14の右方向へ移動する(矢印C
23参照)。そして、前述の第1行程、第2工程及び第3行程と同じ工程を行うことで、ウエブSを幅方向全長に亘る第2切断線A2で切断する。この工程を、第3’工程と称する。第2切断線A2は、
図34に示すように、欠陥箇所Dの上流側に設定される。
【0047】
第3’行程を終えて、第2切断線A2で切り離されたウエブSのうち、第2切断線A2を挟んで上流側のウエブSのみを、吸着保持装置40の第1吸着部41で保持した状態である。第2吸着部42は、依然として、第1切断線A1よりも下流側のウエブSの保持を継続している。この工程を、第4工程と称する。欠陥箇所Dを含むウエブS、すなわち、第1切断線A1と第2切断線A2で挟まれたウエブSは、回収ロール6に巻き取られて回収される(
図34、及び、
図15の矢印C
24参照)。
【0048】
図16に示すように、切断装置20がウエブS側から遠ざかるように移動し(矢印C
25参照)、続いて、切断装置20が下方へ移動する(矢印C
26照)。
【0049】
図17に示すように、接着剤塗布装置30の基台33が上昇し(矢印C
27参照)、ウエブSに近づく方向、すなわち、
図17の右方向へ移動する(矢印C
28参照)。ここで、接着剤塗布装置30の噴射装置31が、接着剤を噴射しながらウエブSの幅方向へ移動することによって、第2切断線A2よりも上流側のウエブSに、接着剤の塗布が行われる(
図35参照)。接着剤は、第2切断線A2に沿ってウエブSの端縁の幅方向全長に塗布される。なお、接着剤の塗布は、互いに接着しようとする上流側及び下流側の少なくともいずれかの側のウエブSに行われればよい。この工程を、第6工程と称する。
【0050】
図18に示すように、接着剤塗布装置30は、ウエブS側から遠ざかるように移動し(矢印C
29参照)、続いて、接着剤塗布装置30が下方へ移動する(矢印C
30照)。
【0051】
つぎに、第2吸着部42が、第1切断線A1を挟んで下流側のウエブSを吸着させた状態のまま、そのウエブSの第1切断線A1を、第2切断線A2よりも前方へ押し出すように移動する(
図19の矢印C
31参照)。そして、第2吸着部42が、第1切断線A1を挟んで下流側のウエブSを吸着させた状態のまま、第1切断線A1よりも下流側のウエブSを、第2切断線A2よりも上流側のウエブSに対してガイド部43から遠ざかる側へ押し出すように旋回する(
図20の矢印C
32参照)。すなわち、第2切断線A2を挟んで進行方向下流側に、第1切断線A1の下流側のウエブSを接近させる。この工程を、第5工程と称する。この第5工程は、第6行程の前に行ってもよいし、又は、第6行程と同時に行ってもよい。
【0052】
続いて、
図21に示すように、安定化装置60を下降させ(矢印C
33参照)、さらに、ウエブSに向かって横方向へ移動させる(矢印C
34参照)。上流側及び下流側のウエブS同士を所定の重なり代で重ねて、安定化装置60の押圧部61で押圧する。押圧部61がローラであれば、そのローラをウエブSの面方向に沿って転がしながら(
図22の矢印C
35参照)、接着部全体を均等に押圧することができる。
図36は、押圧部61によるウエブSの押圧を模式的に示している。この工程を、第7工程と称する。なお、この第7行程において、安定化装置60が備えるヒータ62によって、接着箇所を乾燥させてもよい。
図23の矢印C
36は、押圧部61をウエブSから退避させる動作を示し、矢印C
37は、ヒータ62をウエブSの接着部に接近させる動作を示す。
【0053】
図24に示すように、安定化装置60をウエブSから遠ざかるように横方向に移動して(矢印C
38参照)、さらには、安定化装置60を上昇させることで退避させる(矢印C
39参照)。
【0054】
図25に示すように、固定側ニップロール3及び可動側ニップロール4によるウエブSの挟持を解除し(矢印C
40参照)、吸着保持装置40の吸着を全て解除してウエブSから遠ざかる方向へ移動させ(矢印C
41参照)、送出しロール5側に対するストッパ5aの押圧を解除する(矢印C
42参照)。そして、巻取装置側の駆動によるウエブSの走行を再開する(矢印A、矢印B参照)。
【0055】
上記の一連の動作において、ウエブS中における欠陥箇所Dの発見は作業者が目視で行い、欠陥箇所Dが発見された際は、巻取装置側の駆動によるウエブSの走行停止と、欠陥箇所Dの下流側に設定される第1切断線A1の位置設定、欠陥箇所Dの上流側に設定される第2切断線A2の位置設定を、作業者が手動で行うようにしたが、これらの動作を全て自動で行うようにしてもよい。すなわち、ウエブS中における欠陥箇所Dの発見は、ウエブSの表面を撮影した画像等を用いて検査装置が自動的に欠陥を検出するようにし、欠陥箇所Dが発見された際は、巻取装置側の駆動によるウエブSの走行停止と、欠陥箇所Dの下流側に設定される第1切断線A1の位置設定、欠陥箇所Dの上流側に設定される第2切断線A2の位置設定等を、制御部100が自動的に行うようにしてもよい。
【0056】
上記の実施形態は、コンデンサ用電解コンデンサ用セパレータ欠点除去装置を例に、この発明の構成を説明したが、コンデンサ用電解コンデンサ用セパレータ以外のウエブSに対する欠点除去装置としても、この発明を適用できる。また、欠点除去装置以外にも、現在走行中のウエブSの終端の切断線Aに対して、新たなウエブSの始端の切断線Aを接続するスプライス装置においても、この発明のウエブ継ぎ装置1及び、そのウエブ継ぎ装置1の構成を採用できる。また、ウエブ継ぎ装置1の上流側の機器の構成、下流側の機器の構成は、この実施形態には限定されず、送出装置(巻出装置)や巻取装置以外の構成としてもよい。
【0057】
また、適用できるウエブSの種類としては、コンデンサ用電解コンデンサ用セパレータ以外にも、例えば、プラスチックフィルム、プラスチックシート等の樹脂素材、紙、金属泊等、可撓性のある素材からなりロール状に巻き取り可能な薄手状の素材であれば、この発明を適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 ウエブ継ぎ装置(スプライス装置)
3,5 ロール
20 切断装置
21a 第1切断刃
21b 第2切断刃
30 接着剤塗布装置
31 噴射装置
40 吸着保持装置
100 制御部
A 切断線
A1 第1切断線
A2 第2切断線
B0 始点
B1 第1地点
B2 第2地点
C1 初期切込み
S ウエブ