(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012138
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】自立性包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B65D30/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112410
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2022114113
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲也
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB26
3E064AB28
3E064BA01
3E064BA22
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA01
3E064GA04
3E064HM01
(57)【要約】
【課題】本体部の基材として紙が使用され且つ優れた落下耐性を有する自立性包装袋を提供すること。
【解決手段】本開示の一側面に係る自立性包装袋は、第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、を備え、第一の基材層が紙基材であり、第二の基材層が樹脂フィルムであり、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.10~0.30である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、
第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、
をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、
前記一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、
前記一対の本体部と前記底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、
を備え、
前記第一の基材層が紙基材であり、
前記第二の基材層が樹脂フィルムであり、
前記本体部の底辺から前記山折り部までの距離Lに対する前記底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.10~0.30である、自立性包装袋。
【請求項2】
第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、
第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、
をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、
前記一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、
前記一対の本体部と前記底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、
を備え、
前記第一の基材層及び前記第二の基材層が紙基材であり、
前記本体部の底辺から前記山折り部までの距離Lに対する前記底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.14~0.30である、自立性包装袋。
【請求項3】
前記底シール部と未シール部の境界線を底シール線と定義したとき、前記山折り部と前記底シール線とが交差する点における、前記山折り部と前記底シール線とのなす角度θが、20~60°である、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【請求項4】
当該自立性包装袋の横方向の長さWに対する前記距離Lの比L/Wが、0.15~0.30である、請求項1又は2に記載の自立性包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自立性包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
自立性包装袋の一例として、スタンディングパウチが挙げられる。従来、種々のタイプのスタンディングパウチが開発されている。例えば、特許文献1は、スタンディングパウチの内部空間に比べて大きさが小さい固形の商品を封入する場合に好適なスタンディングパウチを開示している。特許文献2は、適度な耐油耐水性を有し、ヒートシール性、通気性にも優れ、特にファーストフードや揚げ物、焼き物などの惣菜等の調理済食品の包装に適したスタンド型の包装用袋を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-70045号公報
【特許文献2】特開2018-131210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、海洋プラスチックごみ問題にみられるようにマイクロプラスチックによって環境汚染に影響を与えることが問題視されている。これに伴って、脱プラスチック運動やプラスチック製品の使用を控える風潮が高まり、紙単体又は紙を含む複合材を使用した包装材の需要が高まっている。
【0005】
しかし、紙基材を用いたスタンディングパウチは、特に、内容物として液体を収容する場合において、落下耐性の点で改善の余地があることが本発明者らの検討で明らかとなった。
【0006】
本開示は、本体部の基材として紙が使用され且つ優れた落下耐性を有する自立性包装袋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る自立性包装袋は、第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、を備え、第一の基材層が紙基材であり、第二の基材層が樹脂フィルムであり、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.10~0.30である。
【0008】
上記自立性包装袋は、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.10~0.30であることで、本体部の基材として紙を使用しつつも、内容物を収容した状態で自立性包装袋が落下しても底テープの破損を抑制できる。
【0009】
本開示の他の一側面に係る自立性包装袋は、第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、を備え、第一の基材層及び第二の基材層が紙基材であり、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.14~0.30である。
【0010】
上記自立性包装袋は、本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.14~0.30であることで、本体部の基材として紙を使用しつつも、内容物を収容した状態で自立性包装袋が落下しても底テープの破損を抑制できる。
【0011】
上記自立性包装袋において、底シール部と未シール部の境界線を底シール線と定義したとき、山折り部と底シール線とが交差する点における、山折り部と底シール線とのなす角度θが、20~60°であってよい。このような自立性包装袋は、落下耐性が一層向上する傾向にある。
【0012】
上記自立性包装袋の横方向の長さWに対する距離Lの比L/Wは、0.15~0.30であってよい。このような自立性包装袋は、落下耐性が一層向上する傾向にある。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、本体部の基材として紙が使用され且つ優れた落下耐性を有する自立性包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は本開示に係るスタンディングパウチの一実施形態を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は
図1に示すスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は
図1に示すスタンディングパウチを構成する一対の本体部と、底テープとを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は
図1に示すスタンディングパウチを構成する第一の包装材を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は
図1に示すスタンディングパウチを構成する第二の包装材を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
<スタンディングパウチ>
[第一実施形態]
図1は、本実施形態に係るスタンディングパウチ(自立性包装袋)を模式的に示す正面図である。
図2は、本実施形態に係るスタンディングパウチの構成を模式的に示す断面図である。これらの図に示すスタンディングパウチ50は、一対の本体部10,20と、底テープ30とをヒートシールして形成されている。一対の本体部10,20はいずれも、第一の基材層1Aと、ガスバリア層2と、ヒートシール層3をこの順序で備える積層体で構成されている。第一の基材層1Aは紙基材である。底テープ30は、ガスバリア層2と、第二の基材層1Bと、ヒートシール層3とをこの順序で備える積層体で構成されている(
図2参照)。ヒートシールによるスタンディングパウチの形成は、従来の方法と同様に実施することができる。
【0017】
底テープ30は一つの山折り部30aを有する。すなわち、スタンディングパウチ50が自立した状態において、底テープ30は逆V字状に配置されている(
図2,3参照)。スタンディングパウチ50の底部は、
図2に示すように、底シール部5と、底シール部6とによって構成されている。底シール部5は、本体部10の底部10aと底テープ30の一方の底部30bとをヒートシールした部分である。底シール部6は、本体部20の底部20aと底テープ30の他方の底部30cとをヒートシールした部分である。
【0018】
本体部の底辺から山折り部30aまでの距離Lに対する底シール部5,6の最小幅aの比a/Lは、0.10~0.30であり、スタンディングパウチ50の落下耐性が一層向上する傾向にあることから、0.13~0.30であることが好ましく、0.135~0.30であることがより好ましく、0.15~0.30であることがさらに好ましく、0.20~0.30であることがさらに好ましく、0.25~0.30であることが特に好ましい。
【0019】
本体部の底辺から山折り部30aまでの距離Lは、自立性、及び十分な内容物量の確保の観点から、20~55mm、25~50mm、又は30~45mmであってもよい。底シール部5,6の最小幅aは、自立性、及び十分な内容物量の確保の観点から、3~18mm、5~15mm、又は7~12mmであってもよい。
【0020】
スタンディングパウチ50の側部は、サイドシール部7で構成されている。サイドシール部7の幅は、例えば、3~18mmであり、5~15mmであってもよい。サイドシール部7の幅が3mm以上であることで十分なシール強度を達成できる傾向にあり、他方、18mm以下であることでスタンディングパウチ50の十分な内容量を確保しやすい傾向にある。
【0021】
底シール線65は、底シール部5と未シール部60の境界線であり、底シール線66は、底シール部6と未シール部61の境界線である。底シール線65,66は、その両端部は直線状であり、中央部は曲線状である。山折り部30aと底シール線65、66とが交差する点における山折り部30aと底シール線65、66とのなす角度θは、スタンディングパウチ50の落下耐性が一層向上する傾向にあることから、20~60°であることが好ましく、20~50°であることがより好ましく、20~40°であることが更に好ましい。
【0022】
スタンディングパウチ50の横方向の長さWに対する距離Lの比L/Wは、スタンディングパウチ50の落下耐性が一層向上する傾向にあることから、0.15~0.30であることが好ましく、0.15~0.25であることがより好ましく、0.15~0.20であることが更に好ましい。
【0023】
スタンディングパウチ50の横方向の長さWは、100~200mm、120~180mm、又は140~160mmであってもよい。スタンディングパウチ50の縦方向の長さHは、150~300mm、175~275mm、又は200~250mmであってもよい。
【0024】
図1に示されたとおり、スタンディングパウチ50は、底部の両サイドに接合部9をそれぞれ有する。接合部9は本体部10と本体部20とを接合している。接合部9は、底テープ30に設けられた切り欠き部8を通じて本体部10,20のヒートシール層3同士が局所的に接着している箇所である。
図3に示されたように、底テープ30の切り欠き部8は、山折り部30aと底辺30d,30dとの間の領域であり且つ底テープ30の側部に設けられている。
【0025】
スタンディングパウチに含まれる紙基材の割合は、スタンディングパウチの全量を基準として、リサイクル適性に優れることから、50~70質量%、51~65質量%、又は52~60質量%であってもよい。
【0026】
スタンディングパウチ50に収容される内容物としては、例えば、スープ等の液状物、惣菜等の固形物、あるいはカレー等の液状物と固形物の固液混合物などが挙げられる。スタンディングパウチ50は、高温の加熱殺菌処理後であっても落下耐性に優れる傾向にあることから、ボイル・レトルトパウチとして好適に用いることができる。
【0027】
<第一の包装材>
スタンディングパウチ50の本体部10,20は第一の基材層として紙基材を含む包装材で構成されている。
図4は本体部10,20に適用される第一の包装材の層構成を模式的に示す断面図である。この図に示す包装材40は、第一の基材層1Aと、ガスバリア層2と、ヒートシール層3とをこの順序で備える。包装材40は、例えば、ドライラミネート法により形成することによって得ることができる。
【0028】
紙基材1Aとして使用し得る紙の具体例として、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙及びクラフト紙が挙げられる。紙基材1Aの坪量は、例えば、80~150g/m2であり、90~125g/m2であってもよい。
【0029】
ガスバリア層2は、蒸着層2aと、フィルム基材2bから構成されている。
【0030】
蒸着層2aは、無機酸化物又は金属を蒸着した層である。スタンディングパウチ50は、蒸着層2aを備えることでガスバリア層に優れる傾向にある。蒸着層2aは、例えば、酸化ケイ素(SiOx)を蒸着した層であってもよく、酸化アルミニウム(AlOx)を蒸着した層であってもよく、アルミニウムを蒸着した層であってもよい。
【0031】
蒸着層2aの厚さは、使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10~300nmであり、より好ましくは30~100nmである。蒸着層2aの厚さを10nm以上とすることで蒸着層2aの連続性を十分なものとしやすく、300nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
【0032】
フィルム基材2bの材料としては、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びナイロンフィルムが挙げられる。ポリオレフィンフィルムとしては、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムが挙げられる。フィルム基材2bは、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムであってもよい。
【0033】
フィルム基材2bの厚さは、例えば、5~200μm、5~100μm、又は10~50μmであってもよい。
【0034】
ヒートシール層3は、例えば、ヒートシール性を有する樹脂フィルムで構成されている。ヒートシール層3を構成する樹脂材料として、ポリエチレン樹脂(例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)やポリプロピレン樹脂(例えば、無延伸ポリプロピレン(CPP))を使用することができる。ヒートシール層3の厚さは、例えば、40~150μmである。
【0035】
<第二の包装材>
スタンディングパウチ50の底テープ30は、基材層として樹脂フィルムを含む包装材で構成されている。
図5は、底テープ30に適用される第二の包装材の層構成を模式的に示す断面図である。この図に示す包装材45は、ガスバリア層2と、基材層1Bと、ヒートシール層3とをこの順序で備える。包装材45は、例えば、ドライラミネート法により形成することによって得ることができる。
【0036】
基材層1Bは、樹脂フィルムである。このような樹脂フィルムとしては、例えば、ナイロン樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルムが挙げられる。基材層1Bの厚さは、例えば、5~200μm、5~100μm、又は10~50μmであってもよい。
【0037】
ガスバリア層2及びヒートシール層3は、第一の包装材と同様の材料及び厚さのものを用いてよい。
【0038】
以上、一実施形態に係るスタンディングパウチについて説明したが、本開示に係るスタンディングパウチは、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、底シール線65,66の形状は、曲線状であってよい。その場合、山折り部30aと底シール線65、66とが交差する点における、底シール線65、66に対する接線と山折り部30aとがなす角度θは、スタンディングパウチ50におけるなす角度θと同様であってよい。
【0039】
[第二実施形態]
包装材45において、基材層が紙基材であってもよい。その場合、第二の包装材は、紙基材と、ガスバリア層と、ヒートシール層とをこの順序に備えていてよい。第二実施形態に係るスタンディングパウチと、第一実施形態に係るスタンディングパウチとは、距離Lに対する最小幅aの比a/Lが相違する。その他の点は第一実施形態と同様であってよい。
【0040】
比a/Lは、0.14~0.30であり、スタンディングパウチ50の落下耐性が一層向上する傾向にあることから、0.20~0.30であることがより好ましく、0.25~0.30であることがさらに好ましい。
【実施例0041】
以下、実施例により本開示を更に詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
[シミュレーション解析]
スタンディングパウチの寸法とフィルム構成とが落袋耐性に与える影響をシミュレーション解析にて評価した。まず、下記積層体1及び積層体2を準備した。
【0043】
積層体1:紙基材(坪量:80g/m2)、ガスバリア層(ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミナ蒸着層が設けられたフィルム基材、商品名「GL-ARH-F」、凸版印刷株式会社製、厚さ:12μm)、ヒートシール層(無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム、厚さ:50μm)をこの順で備える積層体
積層体2:ガスバリア層(ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミナ蒸着層が設けられたフィルム、商品名「GL-ARH-F」、凸版印刷株式会社製、厚さ:12μm)、ナイロン樹脂フィルム(厚さ:15μm)、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ:50μm)をこの順で備える積層体
積層体1は、フィルム基材と紙基材とが接し、蒸着層とヒートシール層とが接している。積層体2は、蒸着層とナイロン樹脂フィルムが接している。
【0044】
積層体を切り出して短冊状(幅:15mm、長さ:140mm)の試験片を得た。試験片についてテンシロン万能試験機を用いてMDに引張を与え破断時ひずみを測定した。試験速度は200mm/分とした。
【0045】
図1に示すスタンディングパウチについて落下時の衝撃により底テープに生じるひずみのうち最も大きい値(想定ひずみ)を解析した。スタンディングパウチの構成と、解析条件は以下のとおりである。
【0046】
(スタンディングパウチの構成)
底テープの材料:表1に示す積層体
本体部の材料:積層体1
サイドシール部の幅:5mm
スタンディングパウチの寸法(縦:158mm、横:150mm)
本体部の底辺から山折り部までの距離L:表1に示す値
底シール部の最小幅a:表1に示す値
(解析条件)
解析ソフト:LD-DYNA
使用要素(構造):完全積分シェル要素
使用要素(流体):ALEソリッド要素
要素サイス:約2mm
接触方法:ペナルティ法
【0047】
表1に示す構成1~6のスタンディングパウチについて破袋リスクを算出した。破袋リスクは、解析により得られた想定ひずみをそれぞれのスタンディングパウチの底テープとして用いられている積層体の破断時ひずみで除して算出される。結果を表1に示した。
【0048】
【0049】
シミュレーションの結果、距離Lを小さくし、最小幅aを大きくし、底テープを積層体2とすることで落袋時の衝撃による破袋リスクが低減されることが示された。
【0050】
[スタンディングパウチの製造]
<実施例1-1~1-5、2-1、2-2、比較例1-1、2-1>
下記に示す構成のスタンディングパウチを製造した。
(スタンディングパウチの構成)
底テープの材料:表2に示す積層体
本体部の材料:表2に示す積層体
サイドシール部の幅:5mm
スタンディングパウチの寸法(縦:158mm、横(長さW):表2に示す値)
本体部の底辺から山折り部までの距離L:表2に示す値
底シール部の最小幅a:表2に示す値
山折り部と底シール線とのなす角度θ:表2に示す値
【0051】
[落下耐性の評価]
<実施例1-1~1-5、2-1、2-2、比較例1-1、2-1>
(評価1)
各実施例及び比較例で得られたスタンディングパウチに、200g又は150gの水をそれぞれ収容した。水が収容されたスタンディングパウチを1mの高さからコンクリートの地面に対して10回落下させた。落下後のスタンディングパウチについて破袋の有無を目視により確認した。評価したスタンディングパウチの個数は、表2に示すとおりである。評価は、常温(23℃)又は5℃で行った。評価したスタンディングパウチのうち破袋が確認された個数を表2に示した。
【0052】
(評価2)
実施例1-1で得られたスタンディングパウチに、150gの水をそれぞれ収容した。水が収容されたスタンディングパウチを121℃、30分の条件でレトルト処理した。レトルト処理後のスタンディングパウチを1mの高さからコンクリートの地面に対して10回落下させて破袋の有無を目視により確認した。評価したスタンディングパウチの個数は、表2に示すとおりである。評価は、常温(23℃)又は5℃で行った。評価したスタンディングパウチのうち破袋が確認された個数を表2に示した。
【0053】
[スタンディングパウチに含まれる紙基材の割合]
<実施例1-1~1-5、2-1、2-2、比較例1-1、2-1>
各実施例及び比較例で得られたスタンディングパウチについて(紙化率)を算出した。紙化率は、スタンディングパウチの全量を基準とした、スタンディングパウチに含まれる紙基材の割合(質量%)である。結果を表2に示した。
【0054】
【0055】
本開示の要旨は、以下の[1]~[4]のとおりである。
[1]第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、
第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、
をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、
一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、
一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、
を備え、
第一の基材層が紙基材であり、
第二の基材層が樹脂フィルムであり、
本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.10~0.30である、自立性包装袋。
[2]第一の基材層及び第一のヒートシール層をそれぞれ含む一対の本体部と、
第二の基材層及び第二のヒートシール層を含み且つ山折り部を有する底テープと、
をヒートシールして形成された自立性包装袋であって、
一対の本体部同士を、当該自立性包装袋の縦方向に接着している一対のサイドシール部と、
一対の本体部と底テープとを、当該自立性包装袋の横方向にそれぞれ接着している底シール部と、
を備え、
第一の基材層及び第二の基材層が紙基材であり、
本体部の底辺から山折り部までの距離Lに対する底シール部の最小幅aの比a/Lが、0.14~0.30である、自立性包装袋。
[3]底シール部と未シール部の境界線を底シール線と定義したとき、山折り部と底シール線とが交差する点における、山折り部と底シール線とのなす角度θが、20~60°である、[1]又は[2]に記載の自立性包装袋。
[4]当該自立性包装袋の横方向の長さWに対する距離Lの比L/Wが、0.15~0.30である、[1]~[3]のいずれかに記載の自立性包装袋。
1A…第一の基材層、1B…第二の基材層、2…ガスバリア層、3…ヒートシール層(第一及び第二のヒートシール層)、5,6…底シール部、7…サイドシール部、8…切り欠き部、9…接合部、10,20…本体部、30…底テープ、30a…山折り部、40…包装材、50…スタンディングパウチ(自立性包装袋)、60,61…未シール部、65,66…底シール線。