(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121380
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240830BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H04N1/00 519
H04N1/12 Z
H04N1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028450
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳大
【テーマコード(参考)】
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB10
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AC02
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC26
5C062AD02
5C062AE01
5C062BA01
5C072AA01
5C072BA01
5C072DA21
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072FB23
5C072LA02
5C072LA08
5C072LA18
5C072MA01
5C072NA01
5C072NA04
5C072WA01
5C072XA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】上下方向の小型化と、第1方向の小型化と、を共に実現し、ひいては、第1方向の一方にはみ出す部分のはみ出し長さを小さくできる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置1において、接触凸部76は、原稿ガラス82の裏面82Bに接触し間隔GL1を一定に維持し、センサ筐体74よりも第1方向の一方に突出して裏面82Bに接触する。カバー9は、カバー9が閉鎖位置にある状態で原稿ガラス82よりも第1方向の一方に位置して読取面82Aよりも下方に突出する突出部99を有する。枠体85は、カバー9が閉鎖位置にある状態で突出部99を収容する凹部89と、凹部89における第2方向の両端89E1、89E2よりも第2方向の一方及び他方に位置し、原稿ガラス82よりも第1方向の一方に位置して裏面82Bと面一に延び、接触凸部76と接触可能な支持面88と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が通過する読取面を有する原稿ガラスと、前記読取面を露出させた状態で前記原稿ガラスを保持する枠体と、前記枠体及び前記原稿ガラスよりも下方に位置して前記読取面と平行な第1方向に移動可能であり、前記読取面の真下に位置して前記読取面を通過する原稿の画像を読み取る第1読取センサと、を有する本体と、
前記枠体及び前記原稿ガラスを覆う閉鎖位置と、前記枠体及び前記原稿ガラスを露出させる開放位置と、の間で移動可能に前記本体に支持されたカバーと、
を備えた画像読取装置であって、
前記第1読取センサは、前記第1方向に直交し、かつ前記読取面と平行な第2方向に延びるラインセンサと、
前記ラインセンサを収容するセンサ筐体と、
前記原稿ガラスにおける前記読取面とは反対を向く裏面に接触して前記ラインセンサと前記読取面との間隔を一定に維持し、前記センサ筐体よりも前記第1方向の一方に突出して前記裏面に接触する接触凸部と、
を有し、
前記カバーは、前記カバーが前記閉鎖位置にある状態において、前記原稿ガラスよりも前記第1方向の前記一方に位置して前記読取面よりも下方に突出する突出部を有し、
前記枠体は、前記カバーが前記閉鎖位置にある状態において、前記突出部を収容する凹部と、
前記凹部における前記第2方向の両端よりも前記第2方向の一方及び他方に位置し、かつ前記原稿ガラスよりも前記第1方向の前記一方に位置して前記裏面と面一に延び、前記接触凸部と接触可能な支持面と、
を有していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記カバーは、原稿を支持する供給トレイと、
前記供給トレイから1枚ずつ給送される原稿を前記読取面に向けて搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラに対向する搬送ピンチローラと、
前記搬送ピンチローラを前記搬送ローラに向けて押圧する押圧部材と、を有し、
前記搬送ピンチローラ及び前記押圧部材の少なくとも一方の一部は、前記突出部に含まれている請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記カバーは、原稿を前記供給トレイから前記第1方向の前記一方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに前記第1方向の他方に向けてガイドして前記読取面を通過させる搬送ガイドを有し、
前記搬送ローラ及び前記搬送ピンチローラは、前記Uターンさせた原稿を前記読取面に向けて搬送する位置に1組だけ配置されている請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記押圧部材に対して前記搬送ピンチローラとは反対側に位置して前記第2方向に延び、前記押圧部材を支持する台座を有し、
前記台座の一部は、前記突出部に含まれており、
前記台座における前記第2方向の両端は、前記カバーが前記閉鎖位置にある状態において、前記読取面における前記第2方向の両端よりも前記第2方向の内側に位置している請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記本体は、前記支持面と、前記裏面における前記接触凸部と接触する領域と、を接続するガイドフィルムを有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記カバーは、前記読取面を通過した原稿における上を向く面の画像を読み取る第2読取センサと、
前記供給トレイに支持された原稿を給送する給送ローラと、
前記給送ローラによって給送される原稿を1枚ずつに分離しつつ前記搬送ローラに向けて搬送する分離ローラと、
を有し、
前記第2読取センサは、前記分離ローラの下端よりも下方に位置し、かつ前記搬送ローラの下端よりも上方に位置している請求項2乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記カバーは、前記第2読取センサを通過した原稿を支持する排出トレイと、
前記第2読取センサを通過した原稿を前記排出トレイに排出する排出ローラと、
を有し、
前記供給トレイに最も接近するときの前記給送ローラの一部は、前記排出ローラの上端よりも下方に位置し、
前記第2読取センサの一部は、前記排出ローラの下端よりも上方に位置している請求項6記載の画像読取装置。
【請求項8】
上下方向に沿って見て、前記給送ローラの少なくとも一部は前記第2読取センサと重なり、前記分離ローラの少なくとも一部は前記読取面と重なっている請求項7記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記台座は、2つの屈曲部を有する断面略C字形状の金属部材であり、
前記台座の一方の前記屈曲部は、前記突出部の一部である請求項4記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記接触凸部は、回転コロと、
前記回転コロを保持するとともに、前記回転コロを前記センサ筐体に対して高さ方向で位置決めする回転コロ保持部と、からなる請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の一例が開示されている。この画像読取装置は、読取ユニット及び原稿搬送ユニットを備えている。
【0003】
読取ユニットは、原稿が通過する読取面を有する第二透明部と、第二透明部を保持する枠体と、枠体及び第二透明部よりも下方に位置して読取面と平行な第1方向(左右方向)に移動可能なイメージセンサと、を有している。
【0004】
原稿搬送ユニットは、枠体及び第二透明部を覆う閉鎖位置と、枠体及び第二透明部を露出させる開放位置と、の間で第1方向(左右方向)に延びる開閉軸心周りに揺動可能に読取ユニットに支持されている。
【0005】
原稿搬送ユニットは、原稿搬送ユニットが閉鎖位置にある状態において、第二透明部よりも第1方向の一方(左方)に位置して第二透明部の読取面よりも下方に突出する突出部を有している。突出部は、原稿をUターンさせるためのガイドの一部及びピンチローラを有している。この突出部により、この画像読取装置は、上下方向の小型化を図っている。
【0006】
また、特許文献2に従来の画像読取装置の別の一例が示されている。この画像読取装置の下部には、画像形成部が設けられており、その画像形成部は、インクジェット記録方式を採用するか、電子写真記録方式を採用することが多い。
【0007】
画像読取対象の原稿の長辺載置方向(左右方向)と、画像形成対象のシートの搬送方向と、が直交するものにおいて、インクジェット記録方式する場合は、記録領域の左右にヘッドの乾燥防止や目詰まり防止のための装置を配置する必要があるので、画像形成部も左右方向に長くなり、画像読取装置の原稿の長辺載置方向と一致するため、画像読取装置と画像形成部との左右方向の長さの差は小さくなる。
【0008】
一方、電子写真記録方式を採用する場合は、インクジェット記録方式のようなメンテナンスのための装置が必要ない。このため、画像形成部の左右方向の大きさは、電子写真記録方式の方がインクジェット記録方式よりも小さくできるが、画像読取装置と画像形成部との左右方向の長さの差は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5935555号公報
【特許文献2】特許第7180460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記従来の画像読取装置は、突出部がイメージセンサの第1方向(左右方向)の移動範囲よりも第1方向の一方(左方)に設けられる構成により、第1方向(左右方向)の小型化が難しく、読取ユニットにおけるイメージセンサよりも下方に位置する画像形成部に対して、読取ユニットにおけるイメージセンサが位置する部分及び原稿搬送ユニットが第1方向の一方(左方)にはみ出す構成となる場合が多い。
【0011】
そして、そのような構成の画像読取装置を移動させるときに、往々にしてユーザがそのはみ出す部分を持ち手部代わりに使うことがあり、持ち手部として想定していない部分を持つことで、画像読取装置を落下させて破損させてしまうおそれがある。
【0012】
このため、上記従来の画像読取装置に対しては、上下方向の小型化と、第1方向(左右方向)の小型化と、を共に実現することが求められている。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、上下方向の小型化と、第1方向の小型化と、を共に実現し、ひいては、第1方向の一方にはみ出す部分のはみ出し長さを小さくできる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像読取装置は、原稿が通過する読取面を有する原稿ガラスと、前記読取面を露出させた状態で前記原稿ガラスを保持する枠体と、前記枠体及び前記原稿ガラスよりも下方に位置して前記読取面と平行な第1方向に移動可能であり、前記読取面の真下に位置して前記読取面を通過する原稿の画像を読み取る第1読取センサと、を有する本体と、
前記枠体及び前記原稿ガラスを覆う閉鎖位置と、前記枠体及び前記原稿ガラスを露出させる開放位置と、の間で移動可能に前記本体に支持されたカバーと、
を備えた画像読取装置であって、
前記第1読取センサは、前記第1方向に直交し、かつ前記読取面と平行な第2方向に延びるラインセンサと、
前記ラインセンサを収容するセンサ筐体と、
前記原稿ガラスにおける前記読取面とは反対を向く裏面に接触して前記ラインセンサと前記読取面との間隔を一定に維持し、前記センサ筐体よりも前記第1方向の一方に突出して前記裏面に接触する接触凸部と、
を有し、
前記カバーは、前記カバーが前記閉鎖位置にある状態において、前記原稿ガラスよりも前記第1方向の前記一方に位置して前記読取面よりも下方に突出する突出部を有し、
前記枠体は、前記カバーが前記閉鎖位置にある状態において、前記突出部を収容する凹部と、
前記凹部における前記第2方向の両端よりも前記第2方向の一方及び他方に位置し、かつ前記原稿ガラスよりも前記第1方向の前記一方に位置して前記裏面と面一に延び、前記接触凸部と接触可能な支持面と、
を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明の画像読取装置は、カバーが閉鎖位置にある状態において、本体の凹部がカバーの突出部を収容する構成により、上下方向の小型化を実現できる。
【0016】
そして、この画像読取装置において、支持面は、第1方向において原稿ガラスよりも凹部側に設けられている。これにより、第1読取センサのセンサ筐体が凹部ぎりぎりまで接近しても、センサ筐体よりも第1方向の一方に突出する接触凸部を支持面が支持できるので、仮に枠体が支持面を有していない構成と比較して、第1方向の小型化を実現できる。
【0017】
したがって、本発明の画像読取装置は、上下方向の小型化と、第1方向の小型化と、を共に実現し、ひいては、第1方向の一方にはみ出す部分のはみ出し長さを小さくできる。
【0018】
その結果、本発明の画像読取装置を移動させるときに、ユーザが持ち手部として想定していない部分を持つことで画像読取装置を落下させて破損させてしまう不具合を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施例の画像読取装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例の画像読取装置の模式部分断面図である。
【
図3】
図3は、枠体、第1原稿ガラスの原稿支持面、及び第2原稿ガラスの読取面を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、枠体、第1原稿ガラス、第2原稿ガラス、支持面及びガイドフイルムを示す部分斜視図である。
【
図7】
図7は、枠体、第1原稿ガラスの原稿支持面、第2原稿ガラスの読取面等を示す部分上面図であって、凹部、支持面、給送ローラ、分離ローラ、読取面、第2読取センサ、台座等の相対位置関係を説明する図である。
【
図8】
図8は、第1読取センサ及びキャリッジを示す部分斜視図である。
【
図10】
図10は、給送ローラ、分離ローラ、排出ローラ、読取面、第2読取センサ等の相対位置関係を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。
【0022】
図1において、画像読取装置1の操作パネル8P側が前方である。操作パネル8Pに向かった場合に左に来る側が左方である。そして、
図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。
【0023】
図1に示すように、画像読取装置1は、本体8及びカバー9を備えている。
【0024】
<本体>
本体8は、扁平な略箱状体である。本体8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが位置している。本体8は、その下部分に画像形成部2を収容している。画像形成部2は、インクジェット方式又はレーザ方式等によりシートに画像を形成する。
【0025】
<枠体、原稿支持面及び読取面>
図2及び
図3に示すように、本体8は、枠体85、第1原稿ガラス81及び第2原稿ガラス82を有している。第2原稿ガラス82は、本発明の「原稿ガラス」の一例である。
【0026】
枠体85は、本体8の上面を形成する枠形状の樹脂製部材であり、第1開口85H1及び第2開口85H2を有している。第1開口85H1は、大きな矩形状の開口である。第2開口85H2は、第1開口85H1よりも左方に位置し、前後方向の長さが左右方向の長さよりも大幅に大きい矩形状の開口である。
【0027】
第1原稿ガラス81は、原稿支持面81Aを有している。原稿支持面81Aは、第1原稿ガラス81の上面に形成されている。枠体85は、第1開口85H1によって原稿支持面81Aを露出させた状態で第1原稿ガラス81を保持している。
【0028】
図示は省略するが、枠体85は、枠体85に向かって上向きに突出する複数のリブと枠体85とによって第1原稿ガラス81の前端縁、後端縁及び右端縁を挟持するとともに、両面テープによって第1原稿ガラス81の左端縁を枠体85に貼り付けることにより、第1原稿ガラス81を保持している。
【0029】
第2原稿ガラス82は、読取面82Aを有している。読取面82Aは、第2原稿ガラス82の上面に形成されている。枠体85は、第2開口85H2によって読取面82Aを露出させた状態で第2原稿ガラス82を保持している。
【0030】
図示は省略するが、枠体85は、枠体85に向かって上向きに突出する複数のリブと枠体85とによって第2原稿ガラス82の前端縁及び後端縁を挟持するとともに、両面テープによって第2原稿ガラス82の左端縁を枠体85に貼り付けることにより、第2原稿ガラス82を保持している。
【0031】
原稿支持面81A及び読取面82Aはそれぞれ、左右方向及び前後方向に延びる平坦面である。原稿支持面81Aは、画像読取対象の原稿を支持する。画像読取対象の原稿は、用紙、OHPシート等のシートや書籍等である。読取面82Aは、後述する搬送部4が作動する場合に利用され、
図2に示すシート状の原稿SHが通過する。
【0032】
左右方向は、本発明の「読取面と平行な第1方向」の一例である。左方は、本発明の「第1方向の一方」の一例である。右方は、本発明の「第1方向の他方」の一例である。
【0033】
前後方向は、本発明の「第1方向に直交し、かつ読取面と平行な第2方向」の一例である。前方は、本発明の「第2方向の一方」の一例である。後方は、本発明の「第2方向の他方」の一例である。
【0034】
図4及び
図5に示すように、第1原稿ガラス81における原稿支持面81Aとは反対を向く裏面81Bと、第2原稿ガラス82における読取面82Aとは反対を向く裏面82Bと、は面一である。
【0035】
第1原稿ガラス81の裏面81Bの左端から第2原稿ガラス82の裏面82Bの右端までに亘って、それらの隙間を覆うための薄い粘着フィルム87Fが貼り付けられている。
【0036】
<枠体の凹部>
図2、
図3、
図6及び
図7に示すように、枠体85は、凹部89を有している。凹部89は、枠体85における第2原稿ガラス82よりも左方に位置して下向きに凹んでいる。
【0037】
図3及び
図7に示すように、凹部89の前後方向の長さは、凹部89の左右方向の長さよりも大幅に大きい。凹部89の底面は、左右方向及び前後方向に延びる平坦面である。
【0038】
図2に示すように、凹部89の右内壁面は、鉛直方向に延び、かつ前後方向に延びる平坦面である。凹部89の左内壁面は、左向きに緩やかに上り傾斜し、かつ前後方向に延びる平坦面である。
【0039】
図7に示すように、読取面82Aの前端82E1及び後端82E2は、本発明の「読取面における第2方向の両端」の一例である。凹部89の前端89E1及び後端89E2は、本発明の「凹部における第2方向の両端」の一例である。
【0040】
凹部89の前端89E1及び後端89E2は、読取面82Aの前端82E1及び後端82E2よりも前後方向の内側に位置している。
図2に示すように、凹部89は、後述する突出部99を収容可能である。
【0041】
<枠体の支持面>
図4~
図7に示すように、枠体85は、2つの支持面88を有している。2つの支持面88は、枠体85の前後2か所からそれぞれ下向きに凹む2つの凹部の裏面であって、左右方向及び前後方向に延びる矩形状の平坦面である。前方の支持面88と、後方の支持面88とは、位置が異なる点以外は同じ構成である。
【0042】
図7に示すように、前方の支持面88は、凹部89の前端89E1よりも前方に位置し、読取面82Aの前端82E1よりも後方に位置している。後方の支持面88は、凹部89の後端89E2よりも後方に位置し、読取面82Aの後端82E2よりも前方に位置している。
【0043】
図4及び
図5に示すように、前方及び後方の支持面88は、第2原稿ガラス82の左端縁よりも左方に位置して第2原稿ガラス82の裏面82Bと面一に延びている。
【0044】
本体8は、2枚のガイドフィルム87を有している。ガイドフィルム87は、粘着フィルム87Fと同様の粘着フィルムである。
【0045】
前方のガイドフィルム87は、前方の支持面88と、裏面82Bにおける前端縁側の領域と、を接続してそれらの隙間を覆っている。後方のガイドフィルム87は、後方の支持面88と、裏面82Bにおける後端縁側の領域と、を接続してそれらの隙間を覆っている。
【0046】
裏面82Bにおける前端縁側の領域及び後端側の領域は、後述する接触凸部76と接触する領域である。
【0047】
<画像読取部>
図2に示すように、本体8は、その上部分に画像読取部3を収容している。画像読取部3は、第1読取センサ71、ガイドレール79及びキャリッジ79Cと、図示しない駆動源及び駆動力伝達機構と、を有している。
【0048】
ガイドレール79は、第1原稿ガラス81及び第2原稿ガラス82から下方に離隔した位置で左右方向に延びる鋼製丸棒である。ガイドレール79の左端は、第2原稿ガラス82よりも左方に位置している。図示は省略するが、ガイドレール79の右端は、第1原稿ガラス81よりも右方に位置している。
【0049】
図5、
図6及び
図8に示すように、キャリッジ79Cは、前後方向に延びる樹脂製部材である。
図2に示すように、ガイドレール79は、キャリッジ79Cにおける前後方向の中央部を下から支持している。
【0050】
図示しない駆動力伝達機構は、ガイドレール79の左端側に位置して図示しない駆動源に駆動される駆動プーリと、ガイドレール79の右端側に位置する従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられたタイミングベルトと、を有している。キャリッジ79Cは、タイミングベルトの一部に係合している。
【0051】
図示しない駆動源及び駆動力伝達機構が作動することにより、キャリッジ79Cがガイドレール79に案内されて左右方向に移動し、第1読取センサ71が枠体85、第1原稿ガラス81及び第2原稿ガラス82よりも下方に位置して左右方向に移動する。
【0052】
図8に示すように、第1読取センサ71は、ラインセンサ73、センサ筐体74及び2つの間隔維持部75を有している。
【0053】
ラインセンサ73は、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサであり、前後方向に細長く延びている。
【0054】
センサ筐体74は、ラインセンサ73の上面を露出させた状態で、ラインセンサ73を収容する樹脂製部材である。キャリッジ79Cの前端及び後端は、センサ筐体74の上下方向の移動を許容する状態で、センサ筐体74の前端及び後端を支持している。
【0055】
図2に示すように、センサ筐体74とキャリッジ79Cとの間には、複数の圧縮コイルバネ79Sが前後方向に並んで配置されている。圧縮コイルバネ79Sは、ラインセンサ73及びセンサ筐体74を第1原稿ガラス81及び第2原稿ガラス82に接近させるように上向きに付勢している。
【0056】
図8に示すように、前方の間隔維持部75と後方の間隔維持部75とは、勝手違いの同一構成である。間隔維持部75は、係合部75A、回転コロ保持部78A、78B及び回転コロ77A、77Bを有している。
【0057】
前方の間隔維持部75において、係合部75Aは、センサ筐体74の前端に係合している。後方の間隔維持部75において、係合部75Aは、センサ筐体74の後端に係合している。
【0058】
前方及び後方の間隔維持部75において、左方の回転コロ保持部78Aは、係合部75Aの左方の上端部から左方に突出し、右方の回転コロ保持部78Bは、係合部75Aの右方の上端部から右方に突出している。
【0059】
左方の回転コロ保持部78Aは、左方の回転コロ77Aを保持するとともに、左方の回転コロ77Aをセンサ筐体74に対して高さ方向で位置決めしている。右方の回転コロ保持部78Bは、右方の回転コロ77Bを保持するとともに、右方の回転コロ77Bをセンサ筐体74に対して高さ方向で位置決めしている。回転コロ77A、77Bは左右方向に並んで配置されている。
【0060】
図2に示すように、各間隔維持部75は、左方の回転コロ77Aが第2原稿ガラス82の裏面82Bに接触し、かつ右方の回転コロ77Bが枠体85における粘着フィルム87Fが貼られた部分に接触することにより、センサ筐体74と読取面82Aとの間隔を一定に維持し、ひいては、センサ筐体74に位置決めされたラインセンサ73と読取面82Aとの間隔GL1を一定に維持する。
【0061】
図2に示すように、読取面82Aの下方で停止した第1読取センサ71の位置は、静止読取位置である。後述する搬送部4が作動する場合、第1読取センサ71は、図示しない駆動源及び駆動力伝達機構の作動により、静止読取位置に移動して停止する。
【0062】
図5に示すように、第1読取センサ71が静止読取位置よりも左方に移動して停止した位置は、待機位置である。
【0063】
第1読取センサ71が待機位置に移動すると、各間隔維持部75において、左方の回転コロ77Aが支持面88にガイドフィルム87を介して接触し、かつ右方の回転コロ77Bが第2原稿ガラス82の裏面82Bに接触する。これにより、第1読取センサ71のセンサ筐体74が凹部89ぎりぎりまで接近しても、センサ筐体74よりも左方に突出する接触凸部76を支持面88が支持できる
【0064】
図示は省略するが、第1読取センサ71が第1原稿ガラス81よりも下方に位置して左右方向に移動する場合、各間隔維持部75は、回転コロ77A、77Bが第1原稿ガラス81の裏面81Bに接触することにより、ラインセンサ73と原稿支持面81Aとの間隔を一定に維持する。
【0065】
第1読取センサ71は、画像読取部3が原稿支持面81Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、図示しない駆動源及び駆動力伝達機構の作動により、原稿支持面81Aの左端縁の下方から右向きに、すなわち副走査方向に移動しながら、その原稿の画像を前後方向、すなわち主走査方向においてライン状に読み取る。第1読取センサ71は、原稿支持面81Aの右端縁の下方まで移動すると画像の読み取りを終了し、図示しない駆動源及び駆動力伝達機構の作動により待機位置に復帰する。
【0066】
<接触凸部>
図8に示すように、第1読取センサ71は、2つの接触凸部76を有している。前方の接触凸部76は、前方かつ左方の回転コロ77Aと、前方かつ左方の回転コロ保持部78Aと、からなり、センサ筐体74の前端よりも左方に突出している。後方の接触凸部76は、後方かつ左方の回転コロ77Aと、後方かつ左方の回転コロ保持部78Aと、からなり、センサ筐体74の後端よりも左方に突出している。
【0067】
図6に示すように、前方の支持面88は、第1読取センサ71が待機位置に移動するときに、前方の接触凸部76と接触可能である。
図5に示すように、後方の支持面88は、第1読取センサ71が待機位置に移動するときに、後方の接触凸部76と接触可能である。
【0068】
<カバー>
図1に示すように、カバー9は、本体8の上方に位置している。カバー9の後端は、図示しないヒンジを介して本体8の後端に支持されている。カバー9は、左右方向に延びる揺動軸心X9周りに揺動可能である。
【0069】
図2及び
図9に示すように、カバー9は、樹脂製のベース部材39を有している。ベース部材39の下面は、カバー9の底面を形成している。カバー9の底面は、本体8の上面の全体を覆うことが可能な大きさを有している。
【0070】
図1に示すカバー9の位置は、閉鎖位置である。カバー9は閉鎖位置にある状態で、枠体85、第1原稿ガラス81の原稿支持面81A及び第2原稿ガラス82の読取面82Aを覆う。
【0071】
図示は省略するが、ユーザがカバー9を揺動軸心X9周りに上向きかつ後向きに揺動させることにより、カバー9は、開放位置に移動する。カバー9は開放位置にある状態で、枠体85、第1原稿ガラス81の原稿支持面81A及び第2原稿ガラス82の読取面82Aを露出させる。この状態で、ユーザは、原稿支持面81Aへの原稿の載置、及びその原稿の取り出しを行うことができる。
【0072】
<供給トレイ及び排出トレイ>
図1及び
図2に示すように、カバー9は、供給トレイ91及び排出トレイ96を有している。供給トレイ91及び排出トレイ96は、カバー9の右部分に位置している。
【0073】
ベース部材39の右部分の上面は、排出トレイ96を形成している。供給トレイ91は、排出トレイ96の上方に位置している。供給トレイ91は、画像読取対象であるシート状の原稿SHを積層状態で支持する。排出トレイ96は、画像読取済の原稿SHを積層状態で支持する。
【0074】
<搬送部、第1~第3搬送ガイド及び第2読取センサ>
図2に示すように、カバー9は、搬送部4、第1搬送ガイド31、第2搬送ガイド32、第3搬送ガイド33及び第2読取センサ72を有している。第1搬送ガイド31、第2搬送ガイド32及び第3搬送ガイド33は、本発明の「搬送ガイド」の一例である。
【0075】
搬送部4、第1~第3搬送ガイド31~33及び第2読取センサ72は、カバー9の左部分の内部に位置している。
【0076】
搬送部4は、給送ローラ41、分離ローラ42、分離パッド42A、搬送ローラ43、搬送ピンチローラ43P、原稿押え44A、44B、排出ローラ45、排出ピンチローラ45P、補助排出ローラ47及び弾性片48を有している。
【0077】
給送ローラ41は、供給トレイ91の左端部に上から対向している。給送ローラ41は、供給トレイ91に支持される最上位の原稿SHに当接するため、上下方向に移動可能である。分離ローラ42及び分離パッド42Aは、給送ローラ41よりも左方に位置している。
【0078】
搬送ローラ43は、カバー9の左方の側壁側であって、本体8の上面に近い側に位置している。搬送ピンチローラ43Pは、搬送ローラ43に対して左方かつ下方に位置し、搬送ローラ43に対向している。
【0079】
カバー9は、台座98及び圧縮コイルバネ43Sを有している。圧縮コイルバネ43Sは、本発明の「押圧部材」の一例である。
【0080】
台座98は、2つの屈曲部98B1、98B2を有する断面略C字形状の金属部材である。本実施例では、台座98は、鋼板が打ち抜き加工及び折り曲げ加工等されてなる。
【0081】
図9に示すように、2つの圧縮コイルバネ43Sが前後方向に並んで配置されている。台座98は、圧縮コイルバネ43Sに対して搬送ピンチローラ43Pとは反対側に位置し、前後方向に細長く延びている。
【0082】
台座98の前端及び後端は、断面略C字形状とは異なるネジ止め形状とされている。台座98の前端及び後端がベース部材39の左端部の下面側にネジ止めされることにより、台座98がベース部材39に締結されている。
【0083】
図2に示すように、台座98は、屈曲部98B1と屈曲部98B2との間に位置する平板部分によって、圧縮コイルバネ43Sを支持している。圧縮コイルバネ43Sは、搬送ピンチローラ43Pを搬送ローラ43に向けて押圧している。
【0084】
原稿押え44Aは、読取面82Aの真上に位置している。原稿押え44Bは、原稿押え44Aから右方に離隔した位置にある。
【0085】
第2読取センサ72は、第1読取センサ71のラインセンサ73及びセンサ筐体74と同様のラインセンサ及びセンサ筐体を有している。第2読取センサ72は、原稿押え44Bに上から対向している。第2読取センサ72は、搬送部4が作動するときに、画像読取部3の一部として機能する。
【0086】
排出ローラ45は、排出トレイ96の左端から上方かつ左方に離隔する位置にある。排出ピンチローラ45Pは、排出ローラ45に対して下方に位置し、排出ローラ45に向けて押圧されている。
【0087】
補助排出ローラ47は、排出トレイ96の左端から上方に離隔する位置、かつ排出トレイ96の左端から左方にずれた位置にある。補助排出ローラ47の上端は、排出ローラ45と排出ピンチローラ45Pとのニップ位置よりも上方に位置している。
【0088】
弾性片48は、剛性の高いフィルム製である。弾性片48は、排出ローラ45と補助排出ローラ47との間で片持ち支持されて右方に突出し、補助排出ローラ47よりも右方の位置で屈曲して右向きに下り傾斜している。弾性片48は、補助排出ローラ47に対して前後方向にずれて配置されている。
【0089】
第1搬送ガイド31、第2搬送ガイド32及び第3搬送ガイド33は、カバー9の内部に位置する複数のシュート部材の一部や、カバー9の上壁部材の裏面から下向きに突出するリブ等からなる。
【0090】
第1搬送ガイド31は、原稿SHを供給トレイ91の左端部から左向きに案内して下向きにUターンさせ、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pまで案内する。
【0091】
第2搬送ガイド32は、その原稿SHを搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pから読取面82Aまで下り傾斜するように案内し、次に、原稿押え44Aと読取面82Aとの間を、すなわち静止読取位置にある第1読取センサ71の上方を通過させるように案内する。
【0092】
第3搬送ガイド33は、読取面82Aよりも右方において原稿SHを右向きに上り傾斜するように案内し、次に、原稿押え44Bと第2読取センサ72との間を通過させるように案内する。そして、第3搬送ガイド33は、その原稿SHを補助排出ローラ47及び弾性片48まで案内する。
【0093】
つまり、第1~第3搬送ガイド31~33は、原稿SHを供給トレイ91から左方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに右方に向けてガイドして読取面82A及び第2読取センサ72を通過させる。
【0094】
搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pは、第1、第2搬送ガイド31、32がUターンさせた原稿SHを読取面82Aに向けて搬送する位置に1組だけ配置されている。
【0095】
<突出部>
図9に示すように、カバー9は、突出部99を有している。
図2に示すように、突出部99は、カバー9が閉鎖位置にある状態において、第2原稿ガラス82よりも左方に位置して読取面82Aよりも下方に突出する。
【0096】
2つの圧縮コイルバネ43Sの下端側の一部と、台座98における一方の屈曲部98B1を含む一部と、は、突出部99に含まれている。凹部89は、カバー9が閉鎖位置にある状態において、突出部99を収容する。
【0097】
図7に示すように、台座98の前端98E1及び後端98E2は、本発明の「台座における第2方向の両端」の一例である。台座98の前端98E1及び後端98E2は、カバー9が閉鎖位置にある状態において、読取面82Aの前端82E1及び後端82E2よりも前後方向の内側に位置している。
【0098】
また、台座98の前端98E1及び後端98E2は、カバー9が閉鎖位置にある状態において、凹部89の前端89E1及び後端89E2よりも前後方向の内側に位置している。
【0099】
<給送ローラ、分離ローラ、排出ローラ、読取面、第2読取センサ等の相対位置関係>
図10に示すように、分離ローラ42の下端を通過して左右方向に延びる仮想線を仮想線K1とする。搬送ローラ43の下端を通過して左右方向に延びる仮想線を仮想線K2とする。第2読取センサ72は、分離ローラ42の下端(仮想線K1)よりも下方に位置し、かつ搬送ローラ43の下端(仮想線K2)よりも上方に位置している。
【0100】
排出ローラ45の上端を通過して左右方向に延びる仮想線を仮想線K3とする。
図10に示す給送ローラ41は、供給トレイ91に最も接近している。供給トレイ91に最も接近するときの給送ローラ41の下端側の一部は、排出ローラ45の上端(仮想線K3)よりも下方に位置している。
【0101】
排出ローラ45の下端を通過して左右方向に延びる仮想線を仮想線K4とする。第2読取センサ72の上端側の一部は、排出ローラ45の下端(仮想線K4)よりも上方に位置している。
【0102】
図7に示すように、上下方向に沿って見て、給送ローラ41の少なくとも一部は第2読取センサ72と重なり、分離ローラ42の少なくとも一部は読取面82Aと重なっている。
【0103】
このような給送ローラ41、分離ローラ42、排出ローラ45、読取面82A、第2読取センサ72等の相対位置関係によっても、画像読取装置1の上下方向及び左右方向の小型化を実現できる。
【0104】
<供給トレイに支持された原稿の画像読取動作>
図2に示すように、画像読取部3が供給トレイ91に支持された原稿SHの画像を読み取る場合、搬送部4が作動し、給送ローラ41が供給トレイ91に支持された原稿SHを給送する。分離ローラ42及び分離パッド42Aは、給送ローラ41によって給送される原稿SHを1枚ずつに分離しつつ搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pに向けて搬送する。
【0105】
次に、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pは、その原稿SHを引き継ぎ、第1搬送ガイド31及び第2搬送ガイド32に案内される原稿SHを搬送して読取面82Aを通過させる。これにより、静止読取位置にある第1読取センサ71は、読取面82Aの真下に位置して読取面82Aを通過する原稿SHの下を向く面の画像を読み取る。
【0106】
さらに、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pは、その原稿SHを第2読取センサ72に向けて搬送する。画像読取部3がその原稿SHの両面の画像を読み取る場合、第2読取センサ72は、読取面82Aを通過した原稿SHにおける上を向く面の画像を読み取る。
【0107】
その後、排出ローラ45及び排出ピンチローラ45Pは、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pによって搬送されて第3搬送ガイド33に案内される原稿SHを引き継いて排出トレイ96に排出する。
【0108】
この際、補助排出ローラ47及び弾性片48は、排出ローラ45及び排出ピンチローラ45Pを補助し、排出ローラ45及び排出ピンチローラ45Pのニップ位置よりも高い位置から排出トレイ96に原稿SHを排出する。
【0109】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1は、
図2に示すように、カバー9が閉鎖位置にある状態において、本体8の凹部89がカバー9の突出部99を収容する構成により、上下方向の小型化を実現できる。
【0110】
そして、この画像読取装置1において、
図4及び
図5に示すように、前後2つの支持面88は、左右方向において第2原稿ガラス82よりも凹部89側に設けられている。これにより、第1読取センサ71のセンサ筐体74が凹部89ぎりぎりまで接近しても、センサ筐体74よりも左方に突出する前後2つの接触凸部76を前後2つの支持面88が支持できるので、仮に枠体85が支持面88を有していない構成と比較して、左右方向の小型化を実現できる。
【0111】
したがって、実施例の画像読取装置1は、上下方向の小型化と、左右方向の小型化と、を共に実現し、ひいては、画像形成部2を大きくすることなく、左方にはみ出す部分のはみ出し長さを小さくできる。
図1に示すように、本実施例では、画像読取装置1の左側面は、左方にはみ出す部分がゼロである。
【0112】
その結果、この画像読取装置1を移動させるときに、ユーザが持ち手部として想定していない部分を持つことで画像読取装置1を落下させて破損させてしまう不具合を抑制できる。
【0113】
また、この画像読取装置1において、
図2に示すように、搬送ピンチローラ43P及び2つの圧縮コイルバネ43Sの少なくとも一方の一部は、より詳しくは、2つの圧縮コイルバネ43Sの下端側の一部は、突出部99に含まれている。この構成により、上下方向の一層の小型化を実現できる。
【0114】
さらに、この画像読取装置1において、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pは、Uターンさせた原稿SHを読取面82Aに向けて搬送する位置に1組だけ配置されている。この構成により、仮に原稿SHをUターンさせる前の位置に別の1組の搬送ローラ及び搬送ピンチローラを追加的に配置する場合と比較して、上下方向の一層の小型化を実現できる。
【0115】
また、この画像読取装置1において、台座98の一部は、突出部99に含まれている。そして、
図7に示すように、台座98の前端98E1及び後端98E2は、カバー9が閉鎖位置にある状態において、読取面82Aの前端82E1及び後端82E2よりも前後方向の内側に位置している。この構成により、台座98に支持された圧縮コイルバネ43Sが搬送ピンチローラ43Pを好適に押圧できる。また、凹部89は、突出部99に含まれる台座98の一部を収容し易い。
【0116】
さらに、この画像読取装置1において、
図4に示すように、本体8は、前後2つの支持面88と、裏面82Bにおける前端縁側の領域及び後端側の領域と、を接続する2枚のガイドフィルム87を有している。裏面82Bにおける前端縁側の領域及び後端側の領域は、裏面82Bにおける接触凸部76と接触する領域である。この構成により、第1読取センサ71が左右方向に移動するときに、接触凸部76は、ガイドフィルム87に接触することにより、支持面88及び裏面82Bの一方に接触する状態から、支持面88及び裏面82Bの他方に接触する状態に円滑に移行できる。
【0117】
また、この画像読取装置1において、
図10に示すように、第2読取センサ72は、分離ローラ42の下端(仮想線K1)よりも下方に位置し、かつ搬送ローラ43の下端(仮想線K2)よりも上方に位置している。この構成により、上下方向の一層の小型化を実現できる。
【0118】
さらに、この画像読取装置1において、供給トレイ91に最も接近するときの給送ローラ41の下端側の一部は、排出ローラ45の上端(仮想線K3)よりも下方に位置し、第2読取センサ72の上端側の一部は、排出ローラ45の下端(仮想線K4)よりも上方に位置している。この構成により、上下方向のより一層の小型化を実現できる。
【0119】
また、この画像読取装置1において、
図7に示すように、上下方向に沿って見て、給送ローラ41の少なくとも一部は第2読取センサ72と重なり、分離ローラ42の少なくとも一部は読取面82Aと重なっている。この構成により、左右方向の一層の小型化を実現できる。
【0120】
さらに、この画像読取装置1において、
図2に示すように、台座98の一方の屈曲部98B1は、突出部99の一部である。台座98が断面略C字形状である構成により、ピンチローラの押圧力による変形を抑制できる。また、一方の屈曲部98B1が突出部99の一部である構成により、一方の屈曲部98B1がカバー9と接触することもない。
【0121】
また、この画像読取装置1において、
図8に示すように、接触凸部76は、回転コロ77Aと、回転コロ保持部78Aと、からなる。この構成により、接触凸部76が第2原稿ガラス82に回転接触するので、接触凸部76の移動負荷を低減できる。
【0122】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0123】
実施例では、搬送ピンチローラ43Pが突出部99に含まれていないが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、実施例に係る搬送ピンチローラ43Pの位置を下方に移動させて、搬送ピンチローラ43Pの一部が圧縮コイルバネ43Sの少なくとも一部と共に突出部99に含まれるように変更した構成も、本発明に含まれる。また、搬送ピンチローラの一部だけが突出部99に含まれる構成も、本発明に含まれる。
【0124】
実施例では、接触凸部76は、回転コロ77Aと、回転コロ保持部78Aと、からなるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、接触凸部は、半球形状の凸部、ソリ形状部等であってもよい。
【0125】
実施例では、押圧部材が圧縮コイルバネ43Sであるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、押圧部材は、捩じりコイルバネ、板バネ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は例えば、画像読取装置、又は、画像形成機能及び画像読取機能を備えた複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1…画像読取装置、SH…原稿、82A…読取面
82…原稿ガラス(第2原稿ガラス)、85…枠体
71…第1読取センサ、8…本体、9…カバー
73…ラインセンサ、74…センサ筐体
82B…原稿ガラスの裏面(第2原稿ガラスの裏面)
GL1…ラインセンサと読取面との間隔
76…接触凸部、99…突出部、89…凹部
89E1、89E2…凹部における第2方向の両端(89E1…凹部の前端、89E2…凹部の後端)
88…支持面、91…供給トレイ、43…搬送ローラ
43P…搬送ピンチローラ、43S…押圧部材(圧縮コイルバネ)
31、32、33…搬送ガイド(31…第1搬送ガイド、32…第2搬送ガイド、33…第3搬送ガイド)
98…台座
98E1、98E2…台座における第2方向の両端(98E1…台座の前端、98E2…台座の後端)
82E1、82E2…読取面における第2方向の両端(82E1…読取面の前端、82E2…読取面の後端)
87…ガイドフィルム、72…第2読取センサ
41…給送ローラ、42…分離ローラ
96…排出トレイ、45…排出ローラ
98B1、98B2…屈曲部、77A、77B…回転コロ
78A、78B…回転コロ保持部