(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121385
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】アラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240830BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
G05B23/02 302Y
G08B25/00 510H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028462
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 優介
(72)【発明者】
【氏名】里村 虎和
【テーマコード(参考)】
3C223
5C087
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF12
3C223FF42
3C223FF45
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
5C087AA19
5C087DD33
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】多種多様な機能レベルの異なるアラーム発生源のアラームを統合的に管理すること。
【解決手段】アラーム管理装置10は、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラームと、所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報とを受信し、受信したアラームに関する情報に基づいて、所定の標準規格に準拠するデータ形式の第2のアラームを生成し、第1のアラームと第2のアラームとを所定の端末に通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信する受信部と、
前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠するデータ形式の第2のアラームを生成する生成部と、
前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する通知部と、
を備えるアラーム管理装置。
【請求項2】
前記生成部は、
アラーム検出機能を有しない前記第2の機器が収集したデータに基づいて前記第2のアラームを生成し、前記アラーム検出機能を有する前記第2の機器が生成したアラームを前記データ形式に変換することによって前記第2のアラームを生成する、
請求項1に記載のアラーム管理装置。
【請求項3】
前記所定の標準規格は、OPC UA A&C(Open Platform Communications Unified Architecture Alarms and Conditions)である、
請求項1または2に記載のアラーム管理装置。
【請求項4】
前記通知部は、
前記所定の標準規格に準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを表示する前記所定の端末に通知する、
請求項1に記載のアラーム管理装置。
【請求項5】
前記生成部は、
アラーム検出機能を有しない前記第2の機器が収集したデータを受信した場合には、前記所定の標準規格に準拠するアラーム検出用ドライバを介して前記データが所定の閾値を超過した際にアラームを検出するとともに、検出したアラームを前記所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して前記データ形式に変換することによって前記第2のアラームを生成する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項6】
前記生成部は、
アラーム検出機能を有する前記第2の機器が生成したアラームを受信した場合には、受信したアラームを前記所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して前記データ形式に変換することによって前記第2のアラームを生成する、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項7】
前記第1の機器は、
プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、前記データ形式で前記第1のアラームを生成する機器である、
請求項1に記載のアラーム管理装置。
【請求項8】
アラーム検出機能を有しない前記第2の機器は、
プラントにおけるプロセス値を収集する機器である、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項9】
アラーム検出機能を有する前記第2の機器は、
プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、前記データ形式とは異なるデータ形式でアラームを生成する機器である、
請求項2に記載のアラーム管理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、
前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成し、
前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する、
処理を実行するアラーム管理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、
前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成し、
前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する、
処理を実行させるアラーム管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント制御システムにおいて、多様な機器を統合的に操作や監視するための土台となる仕組みやルール作りが進んでいる。特に、標準規格であるOPC UA(Open Platform Communications Unified Architecture)に準拠するインタフェースは、プラント制御システムが関与する業界における共通インタフェースとして主流になりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-318147号公報
【特許文献2】特開2015-138548号公報
【特許文献3】特開2022-177415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プラント制御システムにおいて、多種多様な機能レベルの異なるアラーム発生源のアラームを統合的に管理することは難しい。例えば、プラントでは、安価で機能が絞られた計測機器も使用し続けられるケースも多くあり、OPC UAに準拠するインタフェースが実装されていない機器が、プラント制御システム内に混在する場合も少なくない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、効果的にアラームを管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信する受信部と、前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠するデータ形式の第2のアラームを生成する生成部と、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する通知部と、を備えるアラーム管理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、コンピュータが、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成し、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する、処理を実行するアラーム管理方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成し、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する、処理を実行させるアラーム管理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効果的にアラームを管理することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るアラーム管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】参考技術に係るアラーム管理システムの具体例1を示す図である。
【
図3】参考技術に係るアラーム管理システムの具体例2を示す図である。
【
図4】実施形態に係る各装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係るアラーム検出用ドライバの実装例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るアラーム受信用ドライバの実装例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る正規化コンバータの実装例を示す図である。
【
図8】実施形態に係るアラーム管理処理の具体例1を示す図である。
【
図9】実施形態に係るアラーム管理処理の具体例2を示す図である。
【
図10】実施形態に係るアラーム管理処理の具体例3を示す図である。
【
図11】実施形態に係るアラーム管理処理の具体例4を示す図である。
【
図12】実施形態に係るアラーム管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態に係るハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係るアラーム管理装置、アラーム管理方法およびアラーム管理プログラムを、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0012】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係るアラーム管理システム100の構成および処理、アラーム管理システム100の各装置の構成および処理、アラーム管理装置10の処理の具体例、アラーム管理システム100の処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0013】
〔1.アラーム管理システム100の構成および処理〕
図1を用いて、実施形態に係るアラーム管理システム100の構成および処理を詳細に説明する。
図1は、実施形態に係るアラーム管理システム100の構成例を示す図である。以下に、アラーム管理システム100全体の構成例、アラーム管理システム100の処理例、参考技術のアラーム管理システムの問題点を順に説明し、最後にアラーム管理システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、プラントに設置されるデバイスであるプラント機器を使用する工場生産遠隔監視を一例にして説明するが、デバイスや利用分野を限定するものではなく、電力モニタ、風力発電、上下水モニタ、河川監視等の環境計測遠隔監視に適用することもできる。
【0014】
(1-1.アラーム管理システム100全体の構成例)
アラーム管理システム100は、アラーム管理装置10、アラーム発生源20(センサ機器20A、制御機器20B、サーバ機器20C)およびオペレータ端末30を有する。ここで、アラーム管理装置10とアラーム発生源20とオペレータ端末30とは、図示しない所定の通信網(ネットワーク)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。また、オペレータ端末30は、プラントを管理するオペレータOが使用する端末である。なお、
図1に示したアラーム管理システム100には、複数台のアラーム管理装置10または複数台のオペレータ端末30が含まれてもよい。
【0015】
ここで、アラーム発生源20について説明する。第1に、アラーム発生源20のうち、センサ機器20Aは、アラーム検出機能を実装しない機器であって、プラントにおけるプロセス値を収集する温度センサ、圧力センサ、流量センサ等の機器である。第2に、アラーム発生源20のうち、制御機器20Bは、アラーム検出機能を実装する機器であって、プラントにおけるプロセス値をもとにプラントの異常等を示すアラームを検出するコントローラ等である。第3に、アラーム発生源20のうち、サーバ機器20Cは、標準規格であるOPC UA A&C(Alarms and Conditions)に準拠するアラーム検出機能を実装する機器であって、プラントにおけるプロセス値をもとにプラントの異常等を示すアラームを検出するアラームサーバ等である。
【0016】
(1-2.アラーム管理システム100全体の処理例)
上記のようなアラーム管理システム100全体の処理について説明する。以下では、アラーム発生源20として、センサ機器20A、制御機器20Bおよびサーバ機器20Cそれぞれのアラーム管理処理について説明する。なお、下記の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0017】
(1-2-1.センサ機器20Aのアラーム管理処理:第1アラーム管理処理)
第1に、センサ機器20Aは、プロセス値を送信する(
図1(a-1)参照)。例えば、センサ機器20Aは、プラントのプロセスの監視対象が示す、温度データ、圧力データ、流量データ等のプロセス値を収集し、収集したプロセス値をアラーム管理装置10に送信する。
【0018】
第2に、アラーム管理装置10は、アラームを検出する(
図1(a-2)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、センサ機器20Aから受信したプロセス値が所定の閾値を超過した場合に、プラントの異常等を示すアラームを検出し、当該アラームの内容を示すアラームAを生成する。
【0019】
第3に、アラーム管理装置10は、アラームを変換する(
図1(a-3)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、センサ機器20Aから受信したプロセス値に基づいて生成されたアラームAをOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換し、アラームA(A&C)を生成する。
【0020】
第4に、アラーム管理装置10は、アラームを通知する(
図1(a-4)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、OPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換したアラームA(A&C)を、オペレータOが使用するオペレータ端末30に送信する。
【0021】
第5に、オペレータ端末30は、アラームを表示する(
図1(a-5)参照)。例えば、オペレータ端末30は、アラーム管理装置10から受信したアラームA(A&C)をモニタに表示し、オペレータOにプラントの異常等の発生を知らせる。
【0022】
アラーム管理システム100は、上記の第1アラーム管理処理を実行することによって、アラーム発生源20として、アラーム検出機能を実装しない機器が含まれているプラント制御システムにおいて、アラームを管理することができる。
【0023】
(1-2-2.制御機器20Bのアラーム管理処理:第2アラーム管理処理)
第1に、制御機器20Bは、アラームを検出する(
図1(b-1)参照)。例えば、制御機器20Bは、制御機器20Bに接続された機器から受信したプロセス値が所定の閾値を超過した場合に、プラントの異常等を示すアラームを検出し、当該アラームの内容を示すアラームBを生成する。
【0024】
第2に、制御機器20Bは、アラームを送信する(
図1(b-2)参照)。例えば、制御機器20Bは、制御機器20Bに接続された機器から受信したプロセス値に基づいて生成したアラームBを、アラーム管理装置10に送信する。
【0025】
第3に、アラーム管理装置10は、アラームを変換する(
図1(b-3)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、制御機器20Bから受信したアラームBをOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換し、アラームB(A&C)を生成する。
【0026】
第4に、アラーム管理装置10は、アラームを通知する(
図1(b-4)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、OPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換したアラームB(A&C)を、オペレータOが使用するオペレータ端末30に送信する。
【0027】
第5に、オペレータ端末30は、アラームを表示する(
図1(b-5)参照)。例えば、オペレータ端末30は、アラーム管理装置10から受信したアラームB(A&C)をモニタに表示し、オペレータOにプラントの異常等の発生を知らせる。
【0028】
アラーム管理システム100は、上記の第2アラーム管理処理を実行することによって、アラーム発生源20として、OPC UA A&Cに準拠するアラームサーバ以外のアラーム検出機能を実装する機器が含まれているプラント制御システムにおいて、アラームを管理することができる。
【0029】
(1-2-3.サーバ機器20Cのアラーム管理処理:第3アラーム管理処理)
第1に、サーバ機器20Cは、アラームを検出する(
図1(c-1)参照)。例えば、サーバ機器20Cは、サーバ機器20Cに接続された機器から受信したプロセス値が所定の閾値を超過した場合に、プラントの異常等を示すアラームを検出し、当該アラームの内容を示すアラームC(A&C)を生成する。
【0030】
第2に、サーバ機器20Cは、アラームを送信する(
図1(c-2)参照)。例えば、サーバ機器20Cは、OPC UA A&Cに準拠するデータ形式で生成したアラームC(A&C)を、アラーム管理装置10に送信する。
【0031】
第3に、アラーム管理装置10は、アラームを通知する(
図1(c-3)参照)。例えば、アラーム管理装置10は、サーバ機器20Cから受信したアラームC(A&C)を、オペレータOが使用するオペレータ端末30に送信する。
【0032】
第4に、オペレータ端末30は、アラームを表示する(
図1(c-4)参照)。例えば、オペレータ端末30は、アラーム管理装置10から受信したアラームC(A&C)をモニタに表示し、オペレータOにプラントの異常等の発生を知らせる。
【0033】
アラーム管理システム100は、上記の第3アラーム管理処理を実行することによって、アラーム発生源20として、OPC UA A&Cに準拠するアラームサーバが含まれているプラント制御システムにおいて、アラームを管理することができる。
【0034】
(1-3.アラーム管理システム100の効果)
以下では、プラント制御システムの背景、特許文献1~3に記載された参考技術の概要および問題点について説明した上で、アラーム管理システム100の効果について説明する。
【0035】
(1-3-1.プラント制御システムの背景)
近年、プラント制御システムは、大規模化や遠隔化が進み、複数ベンダーの計測機器(適宜、「計器」)が同一システム内に混在することが増えている。このような計測機器は、機能レベルも異なり、外部コミュニケーションに使用される通信用インタフェースも異なる場合もあるので、データやアラームの取り扱いが複雑化する傾向がある。
【0036】
一方で、多様な機器を統合的に操作や監視するための、土台となる仕組みやルール作りが進み、OPC UAインタフェースは、プラント制御システムの関与する業界において異なるベンダー機器がコミュニケーションするための共通インタフェースとして主流になりつつある。上記の流れに合わせて、OPC UAインタフェースに対応可能な計測機器は急速に増え、操作システム側や監視システム側もOPC UAインタフェースをサポートした製品が増えてきている。しかし、それに反する形で、安価で機能が絞られた計測機器もまた使用し続けられるケースも多くあり、OPC UAインタフェースが実装されていない計測機器がシステム内に混在する場合も少なくない。特に、アラーム管理機能が実装された計測機器自体が安価な計測機器の中では少なく、OPC UA A&Cモデルが実装されたものはさらに少ない。
【0037】
(1-3-2.参考技術に係るアラーム管理システムの概要)
図2および
図3を用いて、参考技術に係るアラーム管理システムの概要について説明する。
図2および
図3は、参考技術に係るアラーム管理システムの具体例を示す図である。以下では、アラーム検出、およびオペレータOへのアラーム通知が実行される参考技術に係るアラーム管理システムについて、アラーム管理システムの基本構成を説明した上で、検出機能を有しないアラーム発生源をターゲットとしたアラーム管理システムである具体例1の問題点、検出機能を有するアラーム発生源またはアラームサーバをターゲットとしたアラーム管理システムである具体例2の問題点の順に説明する。
【0038】
(1-3-2-1.参考技術に係るアラーム管理システムの基本構成)
第1に、アラーム発生源20について説明する。アラーム発生源20は、アラームの要因となるデータやアラームイベントを制御する機器、またはシステムの総称である。アラーム発生源20には、自らがアラーム発生条件を設定し、自ら条件を評価することでアラーム検出を行い、その検出結果をアラームイベントとして外部へ通知するものと、自らはアラーム検出を行わず、その要素となるデータのみを外部に通知するものがある。後者の場合、アラームを生成するには、外部の機器やシステムが代わってアラーム検出を行う必要がある。
【0039】
第2に、アラーム管理機能について説明する。アラーム管理機能は、プラント制御システムが備えているアラームを扱うための機能全般である。アラーム管理機能は、アラーム発生源20が検出機能を有しない場合は、取得したプロセス値等を評価してアラームを自ら検出し、検出および生成したアラームを制御する。アラーム検出機能を有する高機能な機器をターゲットとする場合は、受信したアラーム情報から自ら制御可能なアラームのフォーマットに変換して、アラームを管理する。
【0040】
第3に、HMI(Human Machine Interface)について説明する。HMIは、アラーム管理機能より、生成したアラームを収集して、アラームメッセージや現在のアラーム状態を表示する機能を有する。オペレータOは、HMIを通じて、アラームの通知や現在のアラーム状態を知ることができる。その際、アラーム発生源20の種類や特性によらずに、オペレータOが統合的にアラームを扱える機能が望まれている。
【0041】
(1-3-2-2.参考技術に係るアラーム管理システムの具体例1の問題点)
図2を用いて、センサ機器20A等の検出機能を有しないアラーム発生源20をターゲットとしたアラーム管理システムである具体例1の問題点について説明する。
【0042】
図2に示す具体例1は、特に様々な計測機器を接続して扱う必要のあるSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)製品に多く見られる構成となっている。上述したように、多くの計測機器は安価なものも含めて、アラーム管理機能を有しないものや、または独自のアラーム管理機能を有し、ISA18.2やIEC62682等の標準規格に準拠しないアラーム機構が備わっている場合がある。そのような多種多様なアラームポリシーを有した機器が混在するような環境では、操作機能側または監視機能側で統合的にアラーム管理することは難しい。そのため、
図2に示す構成のように、アラーム検出をすべてプラント制御システム側が担い、プラント制御システムは、下位の機器(または通信インタフェース)ごとに、アラーム検出ロジックを実装することになる。
【0043】
具体例1では、プラント制御システムは、プロセス値や計測機器との通信状態等からアラーム検出を行う仕組みになるので、センサ値等のデータを取得可能な計測機器であれば、どのような機器や通信インタフェースに対しても統合的にアラームを扱うことができる。
【0044】
しかしながら、具体例1では、汎用的にアラームを扱うことに特化させているために、アラーム管理機能を有するような高機能計測機器が作り出したアラームの検出時刻等の重要なアラーム情報を扱うことが難しくなる。また、具体例1では、検出ロジックの評価は制御システム側の定期的なタイミングで実行されるので、瞬間的に上限値をプロセス値が超過した場合、アラーム検出が漏れてしまう場合もある。なお、具体例1における上記のような欠陥は、FDA(Food and Drug Administration)等の規則に違反する可能性もあるので、製品として致命的欠陥になり得る。
【0045】
(1-3-2-3.参考技術に係るアラーム管理システムの具体例2の問題点)
図3を用いて、制御機器20Bやサーバ機器20C等の検出機能を有するアラーム発生源20をターゲットとしたアラーム管理システムである具体例2の問題点について説明する。
【0046】
図3に示す具体例2は、プラント制御システムと接続されたアラーム検出機能を有する計測機器、またはアラーム管理機能を有するOPC Classic A&EサーバやOPC UAサーバ等をターゲットとして、これらの機器が検出したアラームイベントを受信して、その情報をもとにアラームを生成し、HMIへ通知する構成になっている。すなわち、具体例2は、具体例1とは違い、自身にはアラーム検出機能は有さず、下位が発生したアラームをそのまま自身に受け入れる方式である。
【0047】
具体例2は、アラーム検出機能を有する機器が送信したアラームをそのまま利用することができる。すなわち、具体例2は、機器が検出した正確なタイムスタンプや、アラーム種別に応じたアラーム重要度等の生データをそのまま利用することが可能になる。また、具体例2は、アラーム検出をアラーム発生源20に任せることにより、イベント駆動によるアラーム生成が可能になるので、システムの負荷や通信負荷の低減やアラームの取りこぼしリスクの低減につながる。
【0048】
しかしながら、具体例2において、アラームを検出および公開する機能を有している機器は、上述したように、高機能計測機器やOPC UA A&Cが実装された機器等に限定されてしまい、安価な機器には備わっていない場合が多い。具体例2において、上記のような安価な機器のアラームを扱うには、中間にOPC UAサーバ等を仲介させて検出ロジックを実装する必要がある。したがって、具体例2は、OPC UAサーバ側への検出ロジックを実現するために、余分なPC(Personal Computer)を準備する等のモジュール構成の複雑化を招く。
【0049】
(1-3-3.アラーム管理システム100の背景)
実施形態に係るアラーム管理システム100では、上述してきたような機能レベルの異なる計測機器が混在する複雑化した環境において、アラームを統合的に扱うことを実現する。以下では、上記の実現のために意識すべき背景について説明する。
【0050】
上述してきたように、計測機器が備えるアラーム機能に関して2極化が進み、安価で目的や機能を限定した計測機器と、高機能で自らアラームを検出してアラームを管理するような高機能計測器とが混在しているのが実情である。また、一方で、オープン化の潮流からOPC UA A&C機能を実装した計測機器や、様々な計測機器と通信可能な汎用的なOPC UAサーバも登場しており、統合的なアラーム管理はいっそう難しくなってきている。
【0051】
上記の問題解決には、プラント制御システムを取り巻くプラント等の現環境の変化も意識する必要がある。近年、クラウド型システムや、複数のサイトを遠隔地で集中管理するような形態が増えてきている。上記のような環境においては、セキュアでオープンな通信方式が採用されるべきである。また、上記のような状況から、システムや機器の配置も意識する必要がある。
【0052】
アラーム管理システム100では、近年の潮流や現場の背景を踏まえて、多様な機能レベルの機器が混在した環境において、統合的なアラーム管理をオペレータOが実行可能なプラント制御システムの仕組みを実現可能とする。
【0053】
(1-3-4.アラーム管理システム100の概要)
アラーム管理システム100において、第1に、アラーム管理装置10は、検出機能を有しないアラーム発生源20であるセンサ機器20Aが収集したデータを受信した場合に、受信したデータに基づいてアラームAを生成し、生成したアラームAをOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換し、変換したアラームA(A&C)をオペレータ端末30に通知する。
【0054】
第2に、アラーム管理装置10は、OPC UA A&Cに準拠しないアラーム検出機能を有するアラーム発生源20である制御機器20Bが生成したアラームBを受信した場合に、受信したアラームBをOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換し、変換したアラームB(A&C)をオペレータ端末30に通知する。
【0055】
第3に、アラーム管理装置10は、アラームサーバ等のOPC UA A&Cに準拠するサーバ機器20Cが生成したOPC UA A&Cに準拠するデータ形式のアラームC(A&C)を受信した場合に、受信したアラームC(A&C)をオペレータ端末30に通知する。
【0056】
(1-3-5.アラーム管理システム100の効果)
アラーム管理システム100では、多種多様な計測機器のアラームの扱い方を低コストで統合化が可能となる。すなわち、上述してきたような、機能レベルの異なる計測機器やシステムが混在するような環境において、アラーム管理システム100は、多種多様なアラームの管理を低コストで実現することが可能である。具体的には、アラーム管理システム100は、以下のような点を実現することが可能である。
【0057】
第1に、アラーム管理システム100において、アラーム検出用ドライバやアラーム受信用ドライバは、インタフェースごとに汎用的に扱うことができることから、実装が一度されてしまえば、どこの環境でも継続的に運用することができる。第2に、アラーム管理システム100において、アラーム管理機能は、常にOPC UA A&Cモデルのみ意識すればよいので、低コストでの開発が期待できる。第3に、アラーム管理システム100において、アラーム管理機能は、アラーム形式が統合化されることにより、アラームの分析機能や解析機能が実現しやすくなる。
【0058】
以上より、アラーム管理システム100は、プラント制御システムにおいて、効果的にアラームを管理することを可能とする。
【0059】
〔2.アラーム管理システム100の各装置の構成および処理〕
図4を用いて、
図1に示したアラーム管理システム100が有するアラーム管理装置10の機能構成について説明する。
図4は、実施形態に係るアラーム管理システム100の各装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100全体の構成例を説明した上で、アラーム管理装置10の構成例および処理例、アラーム発生源20の構成例および処理例、ならびにオペレータ端末30の構成例および処理例を詳細に説明する。
【0060】
(2-1.アラーム管理システム100全体の構成例)
図4を用いて、
図1に示したアラーム管理システム100全体の構成例について説明する。
図4に示すように、アラーム管理システム100は、アラーム管理装置10、アラーム発生源20(センサ機器20A、制御機器20B、サーバ機器20C)およびオペレータ端末30を有する。アラーム管理装置10は、アラーム発生源20およびオペレータ端末30と、所定の通信網によって通信可能に接続されている。
【0061】
(2-2.アラーム管理装置10の構成例および処理例)
図2を用いて、アラーム管理装置10の構成例および処理例について説明する。アラーム管理装置10は、通信部11、記憶部12および制御部13を有する。なお、アラーム管理装置10は、アラーム管理装置10の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0062】
(2-2-1.通信部11)
通信部11は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部11は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部11は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0063】
(2-2-2.記憶部12)
記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、
図4の例では、記憶部12は、アラーム管理装置10の内部に設置されているが、アラーム管理装置10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0064】
(2-2-3.制御部13)
制御部13は、当該アラーム管理装置10全体の制御を司る。制御部13は、受信部13a、生成部13bおよび通知部13cを有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0065】
(2-2-3-1.受信部13a)
受信部13aは、各種情報を受信する。なお、受信部13aは、受信した各種情報を記憶部12に格納してもよい。例えば、受信部13aは、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラームを受信する。標準規格の具体的な例について説明すると、受信部13aは、OPC UA A&Cに準拠するサーバ機器20Cが生成した、OPC UA A&Cに準拠するデータ形式のアラームC(A&C)を受信する。
【0066】
また、受信部13aは、所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信する。アラームに関する情報の具体的な例について説明すると、受信部13aは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有しないセンサ機器20Aが収集したデータを受信する。また、受信部13aは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有する制御機器20Bが生成したアラームBを受信する。
【0067】
また、受信部13aは、後述する生成部13bによって生成された第2のアラームを受信する。第2のアラームの具体的な例について説明すると、受信部13aは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有しないセンサ機器20Aが収集したデータに基づいて生成部13bによって生成された、OPC UA A&Cに準拠するデータ形式のアラームA(A&C)を受信する。また、受信部13aは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有する制御機器20Bが生成したアラームBを、生成部13bによってOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換された、アラームB(A&C)を受信する。
【0068】
また、受信部13aは、所定の標準規格に準拠するアラーム受信用ドライバを介して、各種情報を受信する。例えば、受信部13aは、所定の標準規格に準拠するアラーム受信用ドライバを介して、第1のアラームを受信する。また、受信部13aは、所定の標準規格に準拠するアラーム受信用ドライバを介して、アラームに関する情報を受信する。また、受信部13aは、所定の標準規格に準拠するアラーム受信用ドライバを介して、第2のアラームを受信する。
【0069】
(2-2-3-2.生成部13b)
生成部13bは、各種情報を生成する。なお、生成部13bは、生成した各種情報を記憶部12に格納してもよい。例えば、生成部13bは、アラームに関する情報を受信した場合にアラームに関する情報に基づいて、所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成する。
【0070】
すなわち、生成部13bは、アラーム検出機能を有しない第2の機器が収集したデータに基づいて第2のアラームを生成する。このとき、生成部13bは、アラーム検出機能を有しない第2の機器が収集したデータを受信した場合には、所定の標準規格に準拠するアラーム検出用ドライバを介してデータが所定の閾値を超過した際にアラームを検出するとともに、検出したアラームを所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して所定の標準規格に準拠するデータ形式に変換することによって第2のアラームを生成する。
【0071】
具体的な例について説明すると、生成部13bは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有しないセンサ機器20Aが収集したプロセス値を受信した場合には、OPC UA A&Cに準拠するアラーム検出用ドライバを介してプロセス値が所定の閾値を超過した際にアラームを検出するとともに、検出したアラームをOPC UA A&Cに準拠する正規化コンバータを介してOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換することによって、センサ機器20Aに基づくアラームA(A&C)を生成する。
【0072】
また、生成部13bは、アラーム検出機能を有する第2の機器が生成したアラームを所定の標準規格に準拠するデータ形式に変換することによって第2のアラームを生成する。このとき、生成部13bは、アラーム検出機能を有する第2の機器が生成したアラームを受信した場合には、受信したアラームを所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して所定の標準規格に準拠するデータ形式に変換することによって第2のアラームを生成する。
【0073】
具体的な例について説明すると、生成部13bは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有する制御機器20Bが生成したアラームBを受信した場合には、受信したアラームBをOPC UA A&Cに準拠する正規化コンバータを介してOPC UA A&Cに準拠するデータ形式に変換することによって、制御機器20Bに基づくアラームB(A&C)を生成する。
【0074】
(2-2-3-3.通知部13c)
通知部13cは、各種情報を通知する。例えば、通知部13cは、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラームを所定の端末に通知する。また、通知部13cは、生成部13bによって生成された第2のアラームを所定の端末に通知する。
【0075】
具体的な例について説明すると、通知部13cは、OPC UA A&Cに準拠するサーバ機器20Cが生成した、OPC UA A&Cに準拠するデータ形式のアラームC(A&C)を、プラントを管理するオペレータOが使用するオペレータ端末30に通知する。また、通知部13cは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有しないセンサ機器20Aが収集したプロセス値をもとに生成部13bによって生成されたアラームA(A&C)をオペレータ端末30に通知する。また、通知部13cは、OPC UA A&Cに準拠しない第2の機器であって、アラーム検出機能を有する制御機器20Bが生成したアラームBをもとに生成部13bによって生成されたアラームB(A&C)をオペレータ端末30に通知する。
【0076】
また、通知部13cは、所定の標準規格に準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、第1のアラームと第2のアラームとを表示する所定の端末に通知する。
【0077】
具体的な例について説明すると、通知部13cは、OPC UA A&Cに準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、サーバ機器20Cに基づくアラームC(A&C)を表示するオペレータ端末30に通知する。また、通知部13cは、OPC UA A&Cに準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、センサ機器20Aに基づくアラームA(A&C)を表示するオペレータ端末30に通知する。また、通知部13cは、OPC UA A&Cに準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、制御機器20Bに基づくアラームB(A&C)を表示するオペレータ端末30に通知する。
【0078】
(2-3.アラーム発生源20の構成例および処理例)
図4を用いて、アラーム発生源20の構成例および処理例について説明する。アラーム発生源20は、センサ機器20A、制御機器20Bおよびサーバ機器20Cを含む。
【0079】
(2-3-1.センサ機器20A)
センサ機器20Aは、所定の標準規格(例:OPC UA A&C)に準拠しない第2の機器のうちアラーム検出機能を有しない機器であって、データを収集する。例えば、センサ機器20Aは、温度センサ、圧力センサ、流量センサ等の機器であって、プラントにおける温度データ、圧力データ、流量データ等のプロセス値を収集し、収集したプロセス値をアラーム管理装置10に送信する。
【0080】
(2-3-2.制御機器20B)
制御機器20Bは、所定の標準規格(例:OPC UA A&C)に準拠しない第2の機器のうちアラーム検出機能を有する機器であって、アラームBを生成する。例えば、制御機器20Bは、コントローラ等の機器であって、プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、所定の標準規格に準拠するデータ形式とは異なるデータ形式でアラームBを生成し、生成したアラームBをアラーム管理装置10に送信する。
【0081】
(2-3-3.サーバ機器20C)
サーバ機器20Cは、所定の標準規格(例:OPC UA A&C)に準拠する第1の機器であって、第1のアラームを生成する。例えば、サーバ機器20Cは、アラームサーバ等の機器であって、プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、所定の標準規格に準拠するデータ形式で第1のアラームC(A&C)を生成し、生成した第1のアラームをアラーム管理装置10に送信する。
【0082】
(2-4.オペレータ端末30の構成例および処理例)
図4を用いて、オペレータ端末30の構成例および処理例について説明する。例えば、オペレータ端末30は、プラント制御システムを導入した、またはプラント制御システムの導入を検討しているプラントを管理するオペレータOが所有する閲覧端末である。
【0083】
オペレータ端末30は、アラーム管理装置10の通知部13cによって通知された第1のアラームと第2のアラームとを表示する。
【0084】
具体的な例について説明すると、オペレータ端末30は、第1のアラームとして、アラーム管理装置10の通知部13cによって通知されたサーバ機器20Cに基づくアラームC(A&C)を表示する。また、オペレータ端末30は、第2のアラームとして、アラーム管理装置10の通知部13cによって通知されたセンサ機器20Aに基づくアラームA(A&C)を表示する。また、オペレータ端末30は、第2のアラームとして、アラーム管理装置10の通知部13cによって通知された制御機器20Bに基づくアラームB(A&C)を表示する。
【0085】
〔3.アラーム管理装置10の各処理の具体例〕
図5~
図11を用いて、実施形態に係るアラーム管理装置10の各処理の具体例について説明する。以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100の基本構成を説明した上で、アラーム管理装置10のドライバおよびコンバータの実装例、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例について説明する。
【0086】
(3-1.実施形態に係るアラーム管理システム100の基本構成)
以下では、実施形態に係るアラーム管理システム100の基本構成について、アラーム発生源20、アラーム検出用ドライバ、アラーム受信用ドライバ、アラーム管理機能、OPC UA A&C正規化コンバータの順に説明する。
【0087】
(3-1-1.アラーム発生源20)
第1に、実施形態に係るアラーム発生源20について説明する。アラーム発生源20は、性質に応じて以下の3種類に分類される。
【0088】
(3-1-1-1.検出機能なしアラーム発生源)
「検出機能なしアラーム発生源」は、アラーム検出機能がなく、機能が絞られた計器である。アラーム管理システム100において、「検出機能なしアラーム発生源」は、アラーム検出用ドライバを通すことにより、システム側でアラーム検出ロジックが実装される。
【0089】
(3-1-1-2.検出機能ありアラーム発生源(OPC UAサーバ以外))
「検出機能ありアラーム発生源(OPC UAサーバ以外)」は、アラーム受信後、その情報をOPC UA A&Cモデルへアラーム受信用コンバータを通じて、OPC UA A&Cモデルに自動変換する。
【0090】
(3-1-1-3.OPC UAサーバ)
「OPC UAサーバ」は、OPC UA A&C機能を有し、そのインタフェースからアラームを自ら生成し、通知する。このとき、アラーム管理システム100では、OPC UAインタフェースを通じて直接アラームを受信することができる。ここで、生成されたアラームは、OPC UA A&Cモデルへ変換する必要はないので、そのままアラームに含まれる情報を取得することができる。
【0091】
(3-1-2.アラーム検出用ドライバ)
第2に、実施形態に係るアラーム検出用ドライバについて説明する。アラーム検出用ドライバは、検出機能を有しないアラーム発生源20をターゲットとして、それらのアラーム発生源20から、アラーム発生判定の要素となるプロセス値等を収集し、定期的に評価を行うことで自らアラーム検出を行うためのドライバである。ユーザは、検出用のデータ収集設定をすることにより、任意のアラームを検出させることができる。また、検出されたアラームは、上位のOPC UA A&Cモデル正規化コンバータが公開するインタフェースを通じて、コンバータ側へ渡され、OPC UA A&Cモデルに変換される。
【0092】
(3-1-3.アラーム受信用ドライバ)
第3に、実施形態に係るアラーム受信用ドライバについて説明する。アラーム受信用ドライバは、OPC UAサーバ以外の検出機能を有するアラーム発生源20をターゲットとして、それらのアラーム発生源20から、アラームイベントを受信するためのドライバである。受信されたアラームイベントは、上位のOPC UA A&Cモデル正規化コンバータが公開するインタフェースを通じてコンバータ側へ渡され、そこでOPC UA A&Cモデルに変換される。ユーザは、アラームがどのように変換されるかをエンジニアリングすることができる。
【0093】
(3-1-4.アラーム管理機能)
第4に、実施形態に係るアラーム管理機能について説明する。アラーム管理機能は、OPC UAクライアントのアラーム受信用ドライバを備える、アラームを統合的に扱うための機能である。下位のターゲットとなるアラーム発生源20に関するアラームは、すべてOPC UA A&Cモデルに変換されて渡される。すなわち、アラーム管理機能は、下位のアラーム発生源20の差異を意識する必要はなく、統合的にアラームを扱うことができる。
【0094】
(3-1-5.OPC UA A&C正規化コンバータ)
第5に、実施形態に係るOPC UA A&C正規化コンバータについて説明する。OPC UA A&C正規化コンバータは、アラーム受信用ドライバ、検出用ドライバそれぞれから送られた変換結果を読み込み、OPC UA A&Cモデルへ変換するロジックが組み込まれたモジュールである。OPC UA A&C正規化コンバータは、下位のドライバに対して統合化されたアラーム通知用インタフェースが公開され、ドライバはこのインタフェースに従ってアラームを通知することにより、ドライバ側ではOPC UA A&Cモデルを意識する必要なく実装できる。また、OPC UA A&C正規化コンバータは、上位のアラーム管理機能にアラーム情報を通知するためのOPC UAサーバインタフェースが実装されている。
【0095】
(3-2.アラーム検出用ドライバの実装例)
図5を用いて、実施形態に係るアラーム管理装置10に実装されるアラーム検出用ドライバについて説明する。
図5は、実施形態に係るアラーム検出用ドライバの実装例を示す図である。
【0096】
アラーム検出用ドライバは、データ取得のためのインタフェースごとに実装され汎用的に扱われる。ユーザは、取得データや検出ロジックの定義をドライバごとに行うことができる。
図5(1)に示すように、ユーザであるエンジニアEAは、システムにビルトインされている「MAQQ用ドライバ」、「OPC Classic DA用ドライバ」、「IEC-60870用ドライバ」等のドライバごとに、取得データや検出ロジックの定義を行うことができる。
【0097】
また、アラーム検出用ドライバは、未対応のインタフェースで接続された計器については、ユーザが追加実装を行い、自由にドライバを追加実装することもできる。
図5(2)に示すように、ユーザであるエンジニアEBは、必要に応じてユーザ拡張ドライバの追加を行うことができる。
【0098】
(3-3.アラーム受信用ドライバの実装例)
図6を用いて、実施形態に係るアラーム管理装置10に実装されるアラーム受信用ドライバについて説明する。
図6は、実施形態に係るアラーム受信用ドライバの実装例を示す図である。
【0099】
アラーム受信用ドライバは、データ取得のためのインタフェースごとに実装され汎用的に扱われる。ユーザは、受信するアラームの定義や受信したアラームの変換ルール定義をドライバごとに行うことができる。
図6(1)に示すように、ユーザであるエンジニアEAは、システムにビルトインされている「MATT用ドライバ」、「OPC Classic A&E用ドライバ」、「Vnet/IP用ドライバ」等のドライバごとに、受信するアラームの定義や受信したアラームの変換ルール定義を行うことができる。
【0100】
アラーム受信用ドライバは、未対応のインタフェースで接続された計器については、ユーザが追加実装を行い、自由にドライバを追加実装することもできる。
図6(2)に示すように、ユーザであるエンジニアEBは、必要に応じてユーザ拡張ドライバの追加を行うことができる。
【0101】
(3-4.OPC UA A&C正規化コンバータの実装例)
図7を用いて、実施形態に係るアラーム管理装置10に実装されるOPC UA A&C正規化コンバータについて説明する。
図7は、実施形態に係る正規化コンバータの実装例を示す図である。
【0102】
OPC UA A&C正規化コンバータは、内部的にはOPC UAサーバを実装するモジュールで、下位ドライバに対して、OPC UA A&Cモデルを構成する際に情報を取得するための統一されたインタフェースを公開する。
【0103】
アラーム検出用ドライバ、およびアラーム受信用ドライバのどちらも、公開された統一インタフェースに従い、アラームをOPC UA A&C正規化コンバータへ渡す。各種インタフェースは、OPC協議会(OPC Foundation)が定義するOPC UA A&Cのイベントモデル単位に、アラーム生成用のインタフェースを実装しており、ドライバはこれらのインタフェース(I/F)を用いることにより、OPC UA A&Cモデルの構造の詳細を意識することなく、アラームを生成することができる。
図7に示すように、各種ドライバは、「Exclusive Level用I/F」、「Exclusive MultiDeviation I/F」、「NonExclusive RateOfChange I/F」等のインタフェースに従い、アラームをOPC UA A&C正規化コンバータへ渡している。
【0104】
(3-5.実施形態に係るアラーム管理処理の具体例1)
図8を用いて、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例1として、基本的なアラーム管理処理について説明する。
図8は、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例1を示す図である。
【0105】
具体例1では、オープンインタフェースであるOPC UA A&Cモデルを基盤とした、アラーム検出機能およびアラーム受信機能のハイブリッド型である、基本的なアラーム管理処理について説明する。ここで、具体例1では、将来的な業界における採用度を考慮してOPC UAを基盤として揃えておくことによって、将来的に追加されていく機器の追加対応のコスト軽減や、セキュリティ対応の充実等を期待することができる。また、OPC UA A&Cは、アラーム関連の標準規格であるISA18.2やIEC62682が意識された構造になっていることからも、汎用的に受け入れられる機能仕様が実装されている。
【0106】
第1に、アラーム機能を有しないアラーム発生源20については、参考技術と同様に、収集したプロセス値や通信状態等により、プラント制御システム側がアラーム検出ロジックを有する必要がある。参考技術では、検出されたアラームを独自の形式に正規化するが、具体例1では、OPC UA A&Cモデルの形式に変換し、OPC UAインタフェースを通じて、上位のアラーム管理システムに通知する方式を採用する。具体例1では、上記の方式を採用することにより、正規化ロジックの標準化を可能とし、上位アラーム管理システムがOPC UA A&Cモデルのアラームのみを制御することによって、システムの構築が効率的になる。
【0107】
図8に示すように、センサ機器20A等のアラーム機能を有しないアラーム発生源20については、具体例1に示すアラーム管理システム100は、センサ機器20Aが送信したプロセス値をもとにアラーム検出用ドライバでアラームAを検出し、OPC UA A&Cモデル正規化コンバータを介してアラームA(A&C)をアラーム管理機能に送信し、アラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)でアラームA(A&C)を受信し、アラーム管理機能によってアラームA(A&C)を通知し、オペレータOに対してHMIを介してアラームA(A&C)を表示する。
【0108】
第2に、高度なアラーム管理機能を有するアラーム発生源20、例えばOPC UA A&Cが実装されたような機器については、アラーム管理機能を機器側またはOPC UAサーバ側に任せた方が、機器の能力を活用して、機器側で得た重要なアラームに含まれる情報を活用することができる利点を生かす必要がある。そこで、具体例1では、上記のような高度なアラーム管理機能を有するアラーム発生源20については、受信したアラームをそのまま利用し、下位のアラーム発生源20がOPC UAでない場合は、OPC UA A&Cモデルに変換する仕組みを取り入れる。
【0109】
また、
図8に示すように、制御機器20B等のアラーム機能を有するOPC UAサーバ以外のアラーム発生源20については、具体例1に示すアラーム管理システム100は、制御機器20BがアラームBを検出し、制御機器20Bが送信したアラームBをアラーム受信用ドライバで受信し、受信したアラームをOPC UA A&Cモデル正規化コンバータを介してOPC UA A&Cモデルに変換し、アラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)でアラームB(A&C)を受信し、アラーム管理機能によってアラームB(A&C)を通知し、オペレータOに対してHMIを介してアラームB(A&C)を表示する。また、サーバ機器20C等の高度のアラーム機能を有するアラーム発生源20については、具体例1に示すアラーム管理システム100は、A&Cが実装されたOPC UAサーバであるサーバ機器20CがアラームC(A&C)を検出し、アラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)でアラームC(A&C)を受信し、アラーム管理機能によってアラームC(A&C)を通知し、オペレータOに対してHMIを介してアラームC(A&C)を表示する。
【0110】
以上のように、基本的なアラーム管理処理である具体例1では、2種類のアラーム発生源20に対するアラームの扱い方を両立させたハイブリッドなシステムの構築を可能とする。
【0111】
(3-6.実施形態に係るアラーム管理処理の具体例2)
図9を用いて、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例2として、遠隔地に分散配置されたプラントにおけるアラーム管理処理について説明する。
図9は、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例2を示す図である。
【0112】
具体例2では、遠隔地に設置されるプラントにおいて、アラーム検出機能およびアラーム受信機能を分散配置するアラーム管理処理について説明する。具体例2では、ドライバ機能をエッジサーバ化することにより、遠隔地へ分散配置している。すなわち、具体例2では、アラーム検出用ドライバをプラントA、アラーム受信用ドライバをプラントBに、それぞれ配置する。このとき、具体例2では、上位のアラーム管理機能との間のインタフェースがOPC UAインタフェースで通信されるので、遠隔地配置を実現しやすく、またセキュアな通信を実装しやすい。
【0113】
図9に示すように、プラントAには、センサ機器20A等のアラーム機能を有しないアラーム発生源20が設置されている。また、プラントAには、アラーム検出用ドライバおよびOPC UA A&C正規化コンバータが設置されている。ここで、具体例2に示すアラーム管理システム100は、センサ機器20Aが送信したプロセス値をもとにアラーム検出用ドライバでアラームAを検出し、OPC UA A&Cモデル正規化コンバータおよびOPC UA I/Fを介してアラームA(A&C)をアラーム管理機能に送信し、アラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)でアラームA(A&C)を受信し、アラーム管理機能によってアラームA(A&C)を通知し、オペレータOに対してHMIを介してアラームA(A&C)を表示する。
【0114】
また、
図9に示すように、プラントBには、制御機器20B等のアラーム機能を有するOPC UAサーバ以外のアラーム発生源20が設置されている。また、プラントBには、アラーム受信用ドライバおよびOPC UA A&C正規化コンバータが設置されている。ここで、具体例2に示すアラーム管理システム100は、制御機器20BがアラームBを検出し、制御機器20Bが送信したアラームBをアラーム受信用ドライバで受信し、受信したアラームBをOPC UA A&Cモデル正規化コンバータを介してOPC UA A&Cモデルに変換し、OPC UA I/Fを介してアラームB(A&C)をアラーム管理機能に送信し、アラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)でアラームB(A&C)を受信し、アラーム管理機能によってアラームB(A&C)を通知し、オペレータOに対してHMIを介してアラームB(A&C)を表示する。
【0115】
また、サーバ機器20C等の高度のアラーム機能を有するアラーム発生源20については、具体例1と同様に、具体例2に示すアラーム管理システム100は、A&Cが実装されたOPC UAサーバであるサーバ機器20CがアラームC(A&C)を検出し、アラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)でアラームC(A&C)を受信し、アラーム管理機能によってアラームC(A&C)を通知し、オペレータOに対してHMIを介してアラームC(A&C)を表示する。
【0116】
(3-7.実施形態に係るアラーム管理処理の具体例3)
図10を用いて、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例3として、遠隔地に分散配置されたプラントにおけるマルチクライアント接続に対応したアラーム管理処理について説明する。
図10は、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例3を示す図である。
【0117】
具体例3では、遠隔地に設置されるプラントにおいて、アラーム検出機能およびアラーム受信機能を分散配置し、かつマルチクライアント接続を利用したアラーム管理処理について説明する。具体例3では、具体例2に加えて、OPC UA I/F自体をマルチクライアント接続に対応させることによって、遠隔地に配置されたプラントと複数のシステムとの間のアラームの連携をとることができる。このため、具体例3では、同一のアラームを複数のシステムへ配布することができるとともに、各システムからのアラーム確認等のアラーム操作をシステム間で同期することができる。
【0118】
図10に示すように、具体例3に示すアラーム管理システム100は、センサ機器20Aが送信したプロセス値をもとにアラーム検出用ドライバでアラームAを検出し、OPC UA A&Cモデル正規化コンバータおよびOPC UA I/Fを介してアラームA(A&C)をアラーム管理機能に送信する。このとき、具体例3に示すアラーム管理システム100では、システムAのアラーム管理機能だけではなく、システムBのアラーム管理機能に対しても、アラームA(A&C)を送信することができる。
【0119】
(3-8.実施形態に係るアラーム管理処理の具体例4)
図11を用いて、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例4として、遠隔地に分散配置されたプラントにおけるクラウドシステムを利用したアラーム管理処理について説明する。
図11は、実施形態に係るアラーム管理処理の具体例4を示す図である。
【0120】
具体例4では、遠隔地に設置されるプラントにおいて、アラーム検出機能およびアラーム受信機能を分散配置し、かつクラウドシステムを利用したアラーム管理処理について説明する。具体例4では、具体例2に加えて、急速に増加しているクラウドシステムについても構築することができる。すなわち、具体例4では、具体例2の構成において、アラーム管理機能のみをクラウドシステム上のアプリケーションとして動作させ、アラーム検出用ドライバおよびアラーム受信用ドライバから、遠隔地のプラントと同様にクラウドシステム側へアラームを送信するようにすればよい。このため、具体例4では、OPC UA I/Fに従うことによって、プログラムの変更を行うことなく、ドライバの付け替えやセキュリティポリシーを変更することができる。
【0121】
図11に示すように、具体例4に示すアラーム管理システム100は、センサ機器20Aのプロセス値をもとにプラントAで生成されたアラームA(A&C)、制御機器20BのアラームBをもとにプラントBで生成されたアラームB(A&C)、およびサーバ機器20Cによって生成されたアラームC(A&C)を、クラウドシステムに構築されたアラーム管理機能が有するアラーム受信用ドライバ(OPC UAクライアント)で受信することができる。
【0122】
〔4.アラーム管理システム100の処理の流れ〕
図12を用いて、実施形態に係るアラーム管理処理の流れについて説明する。
図12は、実施形態に係るアラーム管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、下記のステップS101~S108の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S108の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0123】
アラーム管理装置10は、アラーム発生源20がサーバ機器20C等のOPC UAサーバである場合(ステップS101:Yes)、アラーム発生源20が生成したアラームC(A&C)を受信し(ステップS102)、受信したアラームC(A&C)をオペレータ端末30に通知し(ステップS108)、処理を終了する。
【0124】
アラーム管理装置10は、アラーム発生源20がOPC UAサーバでない場合(ステップS101:No)、かつアラーム発生源20が制御機器20B等のアラーム検出機能を有する機器である場合(ステップS103:Yes)、アラームBを受信し(ステップS104)、受信したアラームBをOPC UA A&Cモデルに変換し(ステップS107)、変換したアラームB(A&C)をオペレータ端末30に通知し(ステップS108)、処理を終了する。
【0125】
アラーム管理装置10は、アラーム発生源20がOPC UAサーバでない場合(ステップS101:No)、かつアラーム発生源20がセンサ機器20A等のアラーム検出機能を有しない機器である場合(ステップS103:No)、アラーム発生源20が送信したプロセス値を受信し(ステップS105)、受信したプロセス値に基づいてアラームAを検出し(ステップS106)、検出したアラームAをOPC UA A&Cモデルに変換し(ステップS107)、変換したアラームA(A&C)をオペレータ端末30に通知し(ステップS108)、処理を終了する。
【0126】
〔5.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~9について説明する。
【0127】
(5-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、アラームに関する情報を受信した場合にアラームに関する情報に基づいて、所定の標準規格に準拠するデータ形式の第2のアラームを生成し、第1のアラームと第2のアラームとを所定の端末に通知する。このため、本処理では、各機器が所定の標準規格に準拠するか否かに応じて、効果的にアラームを管理することができる。
【0128】
(5-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラーム検出機能を有しない第2の機器が収集したデータに基づいて第2のアラームを生成し、アラーム検出機能を有する第2の機器が生成したアラームを所定の標準規格に準拠するデータ形式に変換することによって第2のアラームを生成する。このため、本処理では、各機器がアラーム検出機能を有するか否かに応じて、効果的にアラームを管理することができる。
【0129】
(5-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、所定の標準規格は、OPC UA A&Cである。このため、本処理では、OPC UAインタフェースに対応可能な機器について、効果的にアラームを管理することができる。
【0130】
(5-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、所定の標準規格に準拠するアラーム受信用ドライバを介して、第1のアラームと第2のアラームとを受信し、所定の標準規格に準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、第1のアラームと第2のアラームとを表示する所定の端末に通知する。このため、本処理では、所定の標準規格に準拠するドライバやインタフェースを介して、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成したアラームを効果的に管理することができる。
【0131】
(5-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラーム検出機能を有しない第2の機器が収集したデータを受信した場合には、所定の標準規格に準拠するアラーム検出用ドライバを介してデータが所定の閾値を超過した際にアラームを検出するとともに、検出したアラームを所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して所定の標準規格に準拠するデータ形式に変換することによって第2のアラームを生成する。このため、本処理では、所定の標準規格に準拠するドライバやインタフェースを介して、アラーム検出機能を有しない第2の機器が収集したデータに基づくアラームを効果的に管理することができる。
【0132】
(5-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム管理装置10は、アラーム検出機能を有する前記第2の機器が生成したアラームを受信した場合には、受信したアラームを所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して所定の標準規格に準拠するデータ形式に変換することによって第2のアラームを生成する。このため、本処理では、所定の標準規格に準拠するドライバやインタフェースを介して、アラーム検出機能を有する第2の機器が生成したアラームを効果的に管理することができる。
【0133】
(5-7.効果7)
第7に、上述した実施形態に係る処理では、第1の機器は、プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、所定の標準規格に準拠するデータ形式で第1のアラームを生成する機器である。本処理では、所定の標準規格に準拠する第1の機器がプラントにおけるプロセス値をもとに生成したアラームを効果的に管理することができる。
【0134】
(5-8.効果8)
第8に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム検出機能を有しない第2の機器は、プラントにおけるプロセス値を収集する機器である。本処理では、所定の標準規格に準拠しない第2の機器がプラントにおいて収集したプロセス値をもとに生成したアラームを効果的に管理することができる。
【0135】
(5-9.効果9)
第9に、上述した実施形態に係る処理では、アラーム検出機能を有する第2の機器は、プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、所定の標準規格に準拠するデータ形式とは異なるデータ形式でアラームを生成する機器である。本処理では、所定の標準規格に準拠しない第2の機器がプラントにおけるプロセス値をもとに生成したアラームを効果的に管理することができる。
【0136】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0137】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0138】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0139】
〔ハードウェア〕
次に、アラーム管理装置であるアラーム管理装置10のハードウェア構成例を説明する。なお、他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。
図13は、実施形態に係るハードウェア構成例を説明する図である。
図13に示すように、アラーム管理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図13に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0140】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、
図4に示した機能を動作させるプログラムやデータベースを記憶する。
【0141】
プロセッサ10dは、
図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、
図4等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、アラーム管理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、受信部13a、生成部13b、通知部13c等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、受信部13a、生成部13b、通知部13c等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0142】
このように、アラーム管理装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、アラーム管理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、アラーム管理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0143】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0144】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0145】
(1)所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信する受信部と、前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠するデータ形式の第2のアラームを生成する生成部と、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する通知部と、を備えるアラーム管理装置。
【0146】
(2)前記生成部は、アラーム検出機能を有しない前記第2の機器が収集したデータに基づいて前記第2のアラームを生成し、前記アラーム検出機能を有する前記第2の機器が生成したアラームを前記データ形式に変換することによって前記第2のアラームを生成する、(1)に記載のアラーム管理装置。
【0147】
(3)前記所定の標準規格は、OPC UA A&Cである、(1)または(2)に記載のアラーム管理装置。
【0148】
(4)前記通知部は、前記所定の標準規格に準拠するアラーム通知用インタフェースを介して、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを表示する前記所定の端末に通知する、(1)~(3)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0149】
(5)前記生成部は、アラーム検出機能を有しない前記第2の機器が収集したデータを受信した場合には、前記所定の標準規格に準拠するアラーム検出用ドライバを介して前記データが所定の閾値を超過した際にアラームを検出するとともに、検出したアラームを前記所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して前記データ形式に変換することによって前記第2のアラームを生成する、(2)~(4)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0150】
(6)前記生成部は、アラーム検出機能を有する前記第2の機器が生成したアラームを受信した場合には、受信したアラームを前記所定の標準規格に準拠する正規化コンバータを介して前記データ形式に変換することによって前記第2のアラームを生成する、(2)~(5)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0151】
(7)前記第1の機器は、プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、前記データ形式で前記第1のアラームを生成する機器である、(1)~(6)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0152】
(8)アラーム検出機能を有しない前記第2の機器は、プラントにおけるプロセス値を収集する機器である、(1)~(7)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0153】
(9)アラーム検出機能を有する前記第2の機器は、プラントにおけるプロセス値が所定の閾値を超過した際に、前記データ形式とは異なるデータ形式でアラームを生成する機器である、(1)~(8)のいずれか1つに記載のアラーム管理装置。
【0154】
(10)コンピュータが、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成し、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する、処理を実行するアラーム管理方法。
【0155】
(11)コンピュータに、所定の標準規格に準拠する第1の機器が生成した第1のアラーム、および、前記所定の標準規格に準拠しない第2の機器が送信したアラームに関する情報を受信し、前記アラームに関する情報を受信した場合に前記アラームに関する情報に基づいて、前記所定の標準規格に準拠したデータ形式の第2のアラームを生成し、前記第1のアラームと前記第2のアラームとを所定の端末に通知する、処理を実行させるアラーム管理プログラム。
【符号の説明】
【0156】
10 アラーム管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
13a 受信部
13b 生成部
13c 通知部
20 アラーム発生源
20A センサ機器
20B 制御機器
20C サーバ機器
30 オペレータ端末
100 アラーム管理システム