(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121386
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】患者情報処理方法、患者情報処理装置、及び患者情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240830BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028464
(22)【出願日】2023-02-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 到
(72)【発明者】
【氏名】大浦 光宏
(72)【発明者】
【氏名】川村 修平
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握可能とする患者情報処理方法、患者情報処理装置、及び患者情報処理システムを提供する。
【解決手段】患者情報処理方法は、各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得するステップ(S3)と、第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定するステップ(S9、S10)と、を含む。前記表示順を決定するステップは、前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定するステップ(S9)と、前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップ(S10)と、を含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行される患者情報処理方法であって、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得するステップと、
第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定するステップと、
を含み、
前記表示順を決定するステップは、
前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定するステップと、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップと、
を含む、
患者情報処理方法。
【請求項2】
前記第1情報は、前記患者情報一覧画面に対するユーザの入力操作に応じて決定される、
請求項1に記載の患者情報処理方法。
【請求項3】
前記第2情報は、前記患者情報一覧画面に対するユーザの入力操作なしに自動的に決定される、
請求項1に記載の患者情報処理方法。
【請求項4】
前記決定された表示順に従って前記複数の患者情報が表示された前記患者情報一覧画面を表示するステップをさらに含む、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項5】
前記複数の患者の複数のバイタルデータを受信するステップと、
少なくとも前記複数のバイタルデータを利用して、患者の容態を示すバイタルスコアを患者毎に算出するステップと、
をさらに含み、
前記複数の患者情報の各々は、対応する患者に関連付けられた前記複数のバイタルデータと前記バイタルスコアを示す情報を含み、
前記第1情報は、各患者の前記バイタルスコアを示す情報であり、
前記表示順を決定するステップは、
各患者の前記バイタルスコアの値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、各患者の前記バイタルスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定するステップと、
前記第2情報に基づいて、前記バイタルスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップと、
を含む、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項6】
前記第2情報は、前記患者情報一覧画面に表示された各患者情報に対するユーザの所定の操作に関連する情報である、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項7】
前記第2情報は、各患者情報に対するコメントに関する情報であり、
前記表示順を決定するステップは、
各患者情報に関連付けられた前記コメントに関する情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップを含む、
請求項6に記載の患者情報処理方法。
【請求項8】
前記第2情報は、特定の医療機器が各患者に接続されているかどうかを示す情報であり、
前記表示順を決定するステップは、
前記特定の医療機器が各患者に接続されているかどうかを示す情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップを含む、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項9】
前記特定の医療機器は、体外式膜型人工肺(ECMO)である、
請求項8に記載の患者情報処理方法。
【請求項10】
前記第2情報は、各患者の入院日数を示す情報であり、
前記表示順を決定するステップは、
前記各患者の入院日数に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップを含む、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項11】
前記第2情報は、ユーザの属性に関連する情報であり、
前記表示順を決定するステップは、
前記ユーザの属性に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップを含む、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項12】
前記表示順を決定するステップでは、
ユーザによってピン留めされた所定の患者情報の表示順が当該所定の患者情報以外の患者情報の表示順より早くなるように各患者情報の表示順が決定され、
前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記所定の患者情報以外の各患者情報の表示順が決定される、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の患者情報処理方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行される患者情報処理方法であって、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得するステップと、
所定のフィルタリング条件に基づいて前記複数の患者情報をフィルタリングすることで、患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報を決定するステップと、
前記所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて、前記患者情報一覧画面に表示される前記複数の第1患者情報の表示順を決定するステップと、
を含む、
患者情報処理方法。
【請求項14】
前記決定された表示順に従って前記複数の第1患者情報が表示された前記患者情報一覧画面を表示するステップをさらに含む、
請求項13に記載の患者情報処理方法。
【請求項15】
前記所定のフィルタリング条件は、ユーザ又は患者の属性に関連する情報である、
請求項13又は14に記載の患者情報処理方法。
【請求項16】
請求項1又は13に記載の患者情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載されたプログラムが記憶されたコンピュータ読取可能媒体。
【請求項18】
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備えた患者情報処理装置であって、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサによって実行されると、前記患者情報処理装置は、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定し、
前記患者情報処理装置は、前記表示順を決定する際に、
前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定し、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する、
患者情報処理装置。
【請求項19】
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備えた患者情報処理装置であって、
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサによって実行されると、前記患者情報処理装置は、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
所定のフィルタリング条件に基づいて前記複数の患者情報をフィルタリングすることで、患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報を決定し、
前記所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて、前記患者情報一覧画面に表示される前記複数の第1患者情報の表示順を決定する、
患者情報処理装置。
【請求項20】
サーバと、前記サーバに通信可能に接続された表示端末とを備えた患者情報処理システムであって、
前記患者情報処理システムは、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定し、
前記決定された表示順に従って前記複数の患者情報が表示された前記患者情報一覧画面を表示し、
前記患者情報処理システムは、前記表示順を決定する際に、
前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定し、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する、
患者情報処理システム。
【請求項21】
サーバと、前記サーバに通信可能に接続された表示端末とを備えた患者情報処理システムであって、
前記患者情報処理システムは、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
所定のフィルタリング条件に基づいて前記複数の患者情報をフィルタリングすることで、患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報を決定し、
前記所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて、前記患者情報一覧画面に表示される前記複数の第1患者情報の表示順を決定し、
前記決定された表示順に従って前記複数の第1患者情報が表示された前記患者情報一覧画面を表示する、
患者情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者情報処理方法、患者情報処理装置、及び患者情報処理システムに関する。さらに、本開示は、当該患者情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
世界では新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によるパンデミックが依然として猛威をふるっており、特定医療機関では新型コロナウィルスに感染した患者の爆発的な増大に伴って重症患者の管理が非常に重要な要素となってきている。特に、医療現場では、患者の容態を示すバイタルスコア(例えば、(National Early Warning Score)NEWS等)が重症患者の管理に有効的に活用されている。
【0003】
特許文献1では、患者のバイタルデータに基づいてバイタルスコアを患者毎に算出した上で、複数の患者情報を含む患者情報一覧画面を表示する患者情報装置が開示されている。医療従事者は、患者情報一覧画面に表示された各患者情報を確認することで、各患者の容態を把握することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された患者情報一覧画面では、各種バイタルスコアを含む患者情報を患者毎に確認することができる。その一方で、患者の重症度(即ち、バイタルスコアの値)に従って患者情報が患者情報一覧画面上に表示されていないため、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度(重症度)が高い患者を直感的に把握することが難しい。また、各患者情報がバイタルスコアの値に応じて降順に患者情報一覧画面上に表示される場合であっても、バイタルスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順をどのように決定すべきかについては検討の余地がある。例えば、NEWSスコアが10点である重症患者が10人以上存在する場合において、NEWSスコアが10点である重症患者間の患者情報の表示順をどのように決定すべきかについては検討の余地がある。さらに、医療従事者の属性(例えば、医療従事者が所属している診療科等)を考慮した上で、数多くの患者情報の中からどの患者情報を患者情報一覧画面上に表示すべきかについても検討の余地がある。
【0006】
本開示は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握可能とする患者情報処理方法、患者情報処理装置、及び患者情報処理システムを提供することを目的とする。また、本開示は、当該患者情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る患者情報処理方法は、プロセッサによって実行され、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得するステップと、
第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定するステップと、
を含む。
前記表示順を決定するステップは、
前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定するステップと、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定するステップと、
を含む。
【0008】
上記方法によれば、第1情報の値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、第1情報に基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、第2情報に基づいて第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。このように、第1情報と第2情報の2つの異なる情報に基づいて患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定されるので、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することができる。
【0009】
本開示の別の一態様に係る患者情報処理方法は、プロセッサによって実行され、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得するステップと、
所定のフィルタリング条件に基づいて前記複数の患者情報をフィルタリングすることで、患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報を決定するステップと、
前記所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて、前記患者情報一覧画面に表示される前記複数の第1患者情報の表示順を決定するステップと、
を含む。
【0010】
上記方法によれば、所定のフィルタリング条件に基づいて複数の患者情報をフィルタリングすることで患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報が決定されると共に、所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報の表示順が決定される。このように、2つの異なる情報に基づいて患者情報一覧画面上に表示すべき患者情報と当該患者情報の表示順が決定されるので、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者情報を容易に把握することができる。
【0011】
また、上記の患者情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可読媒体が提供されてもよい。
【0012】
本開示の一態様に係る患者情報処理装置は、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備える。
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサによって実行されると、前記患者情報処理装置は、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定し、
前記患者情報処理装置は、前記表示順を決定する際に、
前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定し、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。
【0013】
上記構成によれば、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することができる。このように、ユーザビリティが向上した患者情報処理装置を提供可能となる。
【0014】
本開示の別の一態様に係る患者情報処理装置は、
プロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶するメモリと、を備える。
前記コンピュータ可読命令が前記プロセッサによって実行されると、前記患者情報処理装置は、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
所定のフィルタリング条件に基づいて前記複数の患者情報をフィルタリングすることで、患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報を決定し、
前記所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて、前記患者情報一覧画面に表示される前記複数の第1患者情報の表示順を決定する。
【0015】
上記構成によれば、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することができる。このように、ユーザビリティが向上した患者情報処理装置を提供可能となる。
【0016】
本開示の一態様に係る患者情報処理システムは、サーバと、前記サーバに通信可能に接続された表示端末とを備える。
前記患者情報処理システムは、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
第1情報と前記第1情報とは異なる第2情報とに基づいて、患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順を決定し、
前記決定された表示順に従って前記複数の患者情報が表示された前記患者情報一覧画面を表示する。
前記患者情報処理システムは、前記表示順を決定する際に、
前記第1情報の値に応じて前記患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、前記第1情報に基づいて各患者情報の表示順を決定し、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。
【0017】
上記構成によれば、第1情報の値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、第1情報に基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、第2情報に基づいて第1情報の値が同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。このように、第1情報と第2情報の2つの異なる情報に基づいて患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定されるので、医療従事者は、表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することができる。
【0018】
本開示の別の一態様に係る患者情報処理システムは、サーバと、前記サーバに通信可能に接続された表示端末とを備える。
前記患者情報処理システムは、
各々が複数の患者のうちの一人に関連付けられた複数の患者情報を取得し、
所定のフィルタリング条件に基づいて前記複数の患者情報をフィルタリングすることで、患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報を決定し、
前記所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて、前記患者情報一覧画面に表示される前記複数の第1患者情報の表示順を決定し、
前記決定された表示順に従って前記複数の第1患者情報が表示された前記患者情報一覧画面を表示する。
【0019】
上記構成によれば、所定のフィルタリング条件に基づいて複数の患者情報をフィルタリングすることで患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報が決定されると共に、所定のフィルタリング条件とは異なる情報に基づいて患者情報一覧画面に表示される複数の第1患者情報の表示順が決定される。このように、2つの異なる情報に基づいて患者情報一覧画面上に表示すべき患者情報と当該患者情報の表示順が決定されるので、医療従事者は、表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握可能とする患者情報処理方法、患者情報処理装置、及び患者情報処理システムを提供することができる。また、本開示は、当該患者情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム及び当該プログラムが記憶されたコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の実施形態(以下、本実施形態という。)に係る患者情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】院内情報データベースに含まれる各種テーブルの一例を示す図である。
【
図5】NEWSスコアの算出方法の一例を説明するための図である。
【
図6】医療従事者情報テーブルの一例を示す図である。
【
図7】ピン留め操作履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図8】患者コメントテーブルの一例を示す図である。
【
図9】表示端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る患者情報処理方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図11】医療従事者AA用の患者情報一覧画面の初期画面の一例を示す図である。
【
図12】NEWSスコア(第1優先)とピン留め操作の数(第2優先)に応じて患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図13】NEWSスコア(第1優先)とコメント文字数(第2優先)に応じて患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図14】NEWSスコア(第1優先)と入院日数(第2優先)に応じて患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図15】NEWSスコア(第1優先)と特定の医療機器の接続の有無(第2優先)に応じて患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図16】NEWSスコア(第1優先)と特定の医療機器の接続の有無(第2優先)と入院日数(第3優先)に応じて患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図17】本開示の第2実施形態に係る患者情報処理方法を説明するためのシーケンス図である。
【
図18】NEWSスコアに応じて、患者のベッド所在が3Fであるフィルタリング条件を満たす患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
【
図19】第2実施形態の変形例に係る患者情報処理方法を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、
図1を参照して本実施形態に係る患者情報処理システム1について以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る患者情報処理システム1(以下、処理システム1という。)の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、処理システム1は、サーバ2と、複数のベッドサイドモニタ6と、表示端末3とを備える。サーバ2は、通信ネットワーク5を介して、複数のベッドサイドモニタ6及び表示端末3に通信可能に接続されている。
【0023】
通信ネットワーク5は、例えば、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)により構成された院内ネットワークであってもよい。また、通信ネットワーク5は、院内ネットワークとインターネットによって構成されていてもよい。この場合、サーバ2は、院内ネットワーク内に設置されたサーバであってもよいし、院内ネットワーク外に設置された外部サーバ(例えば、クラウドサーバ)であってもよい。
【0024】
サーバ2は、院内情報データベース4を備えている。院内情報データベース4は、例えば、記憶装置21(
図2参照)内に構築されている。尚、院内情報データベース4は、サーバ2に通信可能に接続された別のデータベースサーバ内に構築されてもよい。
【0025】
次に、
図2を参照してサーバ2のハードウェア構成について以下に説明する。
図2は、サーバ2のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0026】
図2に示すように、サーバ2は、制御部20と、記憶装置21と、通信部22と、入力操作部23と、表示部24とを備える。これらの構成要素はバス25を介して互いに通信可能に接続されている。
【0027】
制御部20は、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、コンピュータ可読命令(プログラム)を記憶するように構成されている。例えば、メモリは、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つにより構成される。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。プロセッサは、記憶装置21又はROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。特に、プロセッサがサーバ2の一連の処理(例えば、
図10等参照)を実行する患者情報処理プログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で当該プログラムを実行することで、制御部20が
図10に示す一連の処理を実行する。患者情報処理プログラムの詳細については後述する。
【0028】
記憶装置21は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置(ストレージ)であって、プログラムや各種データを格納するように構成されている。記憶装置21には、患者情報処理プログラムが組み込まれてもよい。また、記憶装置21には、院内情報データベース4が記憶されている。
【0029】
通信部22は、サーバ2を通信ネットワーク5に接続するように構成されている。具体的には、通信部22は、通信ネットワーク5上に配置された各装置と通信するための各種有線接続端子を含んでもよい。また、通信部22は、各装置と無線通信するための無線通信モジュールを含んでもよい。入力操作部23は、例えば、表示部24上に重ねて配置されたタッチパネル、マウス、及び/又はキーボード等である。入力操作部23は、操作者の入力操作を受け付けると共に、操作者の入力操作に対応した操作信号を生成するように構成されている。表示部24は、例えば、液晶パネル又は有機ELパネルによって構成されている。
【0030】
次に、
図3を参照して記憶装置21内に構築された院内情報データベース4について以下に説明する。
図3に示すように、院内情報データベース4には、患者情報テーブル41と、医療従事者情報テーブル42と、ピン留め操作履歴テーブル43と、患者コメントテーブル44が含まれている。
【0031】
図4は、患者情報テーブル41の一例を示す図である。
図4に示すように、患者情報テーブル41は、患者の属性情報と、患者のバイタルデータを示す情報と、患者のNEWSスコアを示す情報と、患者に接続されている医療機器を示す情報と、患者の入院日数を示す情報とを含む。また、患者情報テーブル41は、酸素投与の有無を示す情報と、患者の意識の有無を示す情報をさらに含む。患者情報テーブル41に含まれるこれらの情報は所定の時間間隔で更新されてもよい。
【0032】
患者の属性情報は、患者名と、ベッド所在と、年齢と、性別を示す情報を含む。患者のバイタルデータを示す情報は、呼吸数(RR)と、酸素飽和度(SpO2)と、体温と、収縮期血圧(Sys)と、心拍数(HR)を示す情報を含む。
【0033】
本実施形態の説明では、患者の容態を示すバイタルスコアの一例としてNEWSスコアが算出されている。例えば、
図5に示すように、サーバ2は、各バイタルデータと、酸素投与の有無と、患者の意識の有無とに基づいてNEWSスコアを算出している。具体的には、サーバ2は、複数のバイタルデータの各々と当該複数のバイタルデータの各々に設定された基準範囲との間の比較に応じて、複数のバイタルデータの各々のサブスコアを算出する。例えば、呼吸数(RR)が12~20回/minの場合では、呼吸数に関連するサブスコアは0となる。呼吸数が9~11回/minの場合では、呼吸数に関連するサブスコアは1となる。呼吸数が21~24回/minの場合では、呼吸数に関連するサブスコアは2となる。呼吸数が8回/min以下または25回以上/minの場合では、呼吸数に関連するサブスコアは3となる。さらに、サーバ2は、酸素投与に関連するサブスコアおよび患者の意識に関連するサブスコアを算出する。例えば、酸素投与がされている場合には、酸素投与に関連するサブスコアは2となる。その一方で、酸素投与がされていない場合には、酸素投与に関連するサブスコアは0となる。また、患者の意識がない場合には、患者の意識に関連するサブスコアは3となる。その一方で、患者の意識がある場合には、患者の意識に関連するサブスコアは0となる。
【0034】
このように、サーバ2は、各算出されたサブスコアを合計することで患者のNEWSスコアを算出する。例えば、
図4に示すように、患者Aの呼吸数(RR)は10回/minであるため、呼吸数に関連するサブスコアは1となる。患者Aの酸素飽和度(SpO2)は98%であるため、酸素飽和度に関連するサブスコアは0となる。患者Aの体温は35.9℃であるため、体温に関連するサブスコアは1となる。患者Aの収縮期血圧(Sys)は78mmHgであるため、収縮期血圧に関連するサブスコアは3となる。患者Aの心拍数(HR)は35回/minであるため、心拍数に関連するサブスコアは3となる。患者Aには酸素投与はされていないため、酸素投与に関連するサブスコアは0となる。患者Aには意識がないため、患者の意識に関連するサブスコアは3となる。このように、患者AのNEWSスコアは、各サブスコアを合計することで11(=1+1+3+3+3)となる。
【0035】
尚、本実施形態において、バイタルスコアはNEWSスコアに限定されるものではない。例えば、バイタルスコアの他の一例としてSOFA、qSOFA、APACHE2、BSAS、NIHSS等が採用されてもよい。また、本実施形態では、NEWSスコアを算出するために患者のバイタルデータとして呼吸数、酸素飽和度、体温、収縮期血圧、心拍数が取得されているが、採用されるバイタルスコアの種類に応じて、患者のバイタルデータの種類が変更されてもよい。
【0036】
また、患者情報テーブル41に含まれる各バイタルデータは、所定の時間間隔で更新される。各患者のこれらのバイタルデータは、
図1に示すように、複数のベッドサイドモニタ6(生体情報モニタの一例)から通信ネットワーク5を介してサーバ2に所定の時間間隔で送信される。複数のベッドサイドモニタ6の各々は、患者A~Zのうちの一人に接続されている。各ベッドサイドモニタ6は、患者の呼吸数や心拍数等のバイタルデータを測定するための複数のバイタルセンサを備えている。複数のバイタルセンサは、例えば、呼吸センサ、SpO2センサ、体温センサ、血圧センサ、心電図センサ等を含んでもよい。
【0037】
また、患者に体外式膜型人工肺(ECMO)が接続されている場合には、患者に接続されている医療機器としてECMOを示す情報が入力される。患者に人工呼吸器が接続されている場合には、患者に接続されている医療機器として呼吸器を示す情報が入力される。尚、患者に接続されている医療機器はECMOや人工呼吸器に限定されるものではなく、CO2センサやペースメーカ等の医療機器であってもよい。
【0038】
患者の入院日数を示す情報は、患者の入院日と現在日との間の差分によってサーバ2によって算出されてもよい。このように、患者の入院日数を示す情報は、毎日更新されるものである。酸素投与の有無を示す情報、患者の意識の有無を示す情報、患者に接続された医療機器を示す情報、患者の入院日を示す情報のそれぞれは、サーバ2の入力操作部23を通じてサーバ2に直接入力されてもよい。または、サーバ2は、通信ネットワーク5上に配置された電子カルテサーバ(図示せず)からこれらの情報を所定の時間間隔で受信してもよい。
【0039】
図6は、医療従事者情報テーブル42の一例を示す図である。
図6に示すように、医療従事者情報テーブル42は、各医療従事者の属性を示す情報(名前、所属する診療科、職種、経験年数等)を含む。
【0040】
図7は、ピン留め操作履歴テーブル43の一例を示す図である。
図7に示すように、ピン留め操作履歴テーブル43は、ピン留め操作を行った医療従事者を示す情報と、医療従事者によってピン留めされた患者を示す情報とを含む。ピン留め操作履歴テーブル43では、ピン留め操作を行った医療従事者とピン留めされた患者が互いに関連付けられている。例えば、
図7では、患者J,C,Wの患者情報が医療従事者AAによってピン留めされていることが理解される。サーバ2は、表示端末3から医療従事者によるピン留め操作に関する情報を受信したときに、ピン留め操作履歴テーブル43を更新してもよい。例えば、医療従事者AAが表示端末3に表示された患者情報一覧画面(
図11参照)を通じて患者J,C,Wの患者情報をピン留めした場合に、医療従事者AAによって患者J,C,Wの患者情報がピン留めされたことを示す情報が表示端末3から通信ネットワーク5を介してサーバ2に送信される。その後、サーバ2は、当該情報の受信に応じてピン留め操作履歴テーブル43を更新する。
【0041】
図8は、患者コメントテーブル44の一例を示す図である。
図8に示すように、患者コメントテーブル44は、患者に関するコメントをした医療従事者を示す情報と、コメントの対象となった患者を示す情報と、患者に関するコメント内容を示す情報と、コメントの文字数を示す情報とを含む。
図8に示す患者コメントテーブル44の一例では、医療従事者AAが患者Jに容態に関してのコメントを入力しており、当該コメントの文字数が100文字であることが理解される。例えば、医療従事者AAが表示端末3に表示された患者情報一覧画面(
図11参照)を通じて患者Jの容態についてのコメントを入力した場合に、医療従事者AAによって入力された患者Jのコメントに関する情報が表示端末3から通信ネットワーク5を介してサーバ2に送信される。その後、サーバ2は、当該情報の受信に応じて患者コメントテーブル44を更新する。
【0042】
次に、
図9を参照して表示端末3のハードウェア構成について以下に説明する。
図9は、表示端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9に示すように、表示端末3は、制御部30と、記憶装置31と、通信部32と、入力操作部33と、表示部34とを備える。これらの構成要素はバス35を介して互いに通信可能に接続されている。表示端末3は、医療従事者によって管理される表示端末であって、後述する患者情報一覧画面(
図11等参照)を表示可能な機能(例えば、WEBブラウザ)を有する端末であれば、その種類は特に限定されるものではない。表示端末3は、生体情報モニタ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン、タブレット、医療従事者の身体(例えば、腕や頭等)に装着されるウェアラブルデバイス(例えば、ARグラスやヘッドマウントディスプレイ等)であってもよい。
【0043】
制御部30は、メモリとプロセッサを備えている。メモリは、コンピュータ可読命令(プログラム)を記憶するように構成されている。例えば、メモリは、ROMやRAM等から構成される。プロセッサは、例えば、CPU、MPU及びGPUのうちの少なくとも一つにより構成される。プロセッサは、記憶装置31又はROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。記憶装置31は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ等の記憶装置であって、プログラムや各種データを格納するように構成されている。
【0044】
通信部32は、表示端末3を通信ネットワーク5に接続するように構成されている。具体的には、通信部32は、通信ネットワーク5上に配置された各装置と通信するための各種有線接続端子を含んでもよい。また、通信部32は、各装置と無線通信するための無線通信モジュールを含んでもよい。入力操作部33は、例えば、表示部34上に重ねて配置されたタッチパネル、マウス、及び/又はキーボード等である。例えば、入力操作部33に対する医療従事者AAの入力操作に応じて、医療従事者AAの入力操作を示す入力操作信号が入力操作部33から制御部30に送信される。その後、制御部30は、当該受信した入力操作信号に応じて所定の処理を実行する。表示部34は、例えば、液晶パネル又は有機ELパネルによって構成されている。表示部34の表示画面上には後述する患者情報一覧画面(
図11参照)が表示される。尚、表示端末3がヘッドマウントディスプレイである場合、仮想空間(メタバース)内に患者情報一覧画面が配置されてもよい。
【0045】
(第1実施形態)
次に、
図10を参照して本開示の第1実施形態に係る患者情報処理方法について以下に説明する。
図10は、第1実施形態に係る患者情報処理方法を説明するためのシーケンス図である。
図10に示すように、第1実施形態に係る患者情報処理方法は、サーバ2と表示端末3との協働により実行される。また、以降の説明では、医療従事者AAが表示端末3を通じてサーバ2にアクセスするものとする。
【0046】
ステップS1では、サーバ2は、各患者A~Zの複数のバイタルデータ(呼吸数、酸素飽和度、体温、収縮期血圧、心拍数)を患者A~Zに接続された複数のベッドサイドモニタ6から取得する。上記したように、サーバ2は、所定の時間間隔(例えば、1日ごと)に患者A~Zのバイタルデータをベッドサイドモニタ6から通信ネットワーク5を介して取得してもよい。
【0047】
ステップS2において、サーバ2は、各患者A~Zの複数のバイタルデータと、各患者A~Zの酸素投与の有無と、各患者A~Zの意識の有無とに基づいて、各患者A~ZのNEWSスコアを算出する。上記したように、サーバ2は、各バイタルデータのサブスコアと、酸素投与に関連するサブスコアと、意識の有無に関連するサブスコアとを合計することで、患者のNEWSスコアを算出することができる。
【0048】
ステップS3において、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を更新する。特に、サーバ2は、患者のバイタルデータを示す情報と、患者のNEWSスコアを示す情報と、患者に接続されている医療機器を示す情報と、患者の入院日数を示す情報と、酸素投与の有無を示す情報と、患者の意識の有無を示す情報とを更新する。
【0049】
次に、ステップS4において、表示端末3は、サーバ2にアクセスするためのログイン情報を通信ネットワーク5を介してサーバ2に送信する。具体的には、表示端末3は、医療従事者AAのログインID及びパスワードを示すログイン情報をサーバ2に送信する。
【0050】
ステップS5において、サーバ2が医療従事者AAのログイン情報を認証した後に、複数の患者情報が表示される患者情報一覧画面を表示するためのデータを表示端末3に送信する。ここで、患者情報一覧画面を表示するためのデータは、患者情報一覧画面を表示端末3のWEBブラウザ上で表示するためのコード(HTML、CSS、JavaScript、JSONデータ(又はXMLデータ)等)であってもよいし、患者情報一覧画面を示す画像データであってもよい。
【0051】
ステップS6において、表示端末3は、サーバ2から受信した患者情報一覧画面を表示するためのデータに基づいて、表示部34の表示画面上に患者情報一覧画面を表示する。例えば、表示端末3に搭載されたWEBブラウザは、患者情報一覧画面を表示するためのデータ(HTML、CSS、JavaScript、JSONデータ(又はXMLデータ)等)を解釈することで、患者情報一覧画面をレンダリングしてもよい。
【0052】
図11は、医療従事者AA用の患者情報一覧画面の初期画面を示している。
図11に示す患者情報一覧画面では、患者A~Zの各患者情報は、患者の属性情報(患者名、ベッド所在、年齢、性別等)と、患者のバイタルデータ(呼吸数、SpO2、体温、収縮期血圧、心拍数)を示す情報と、NEWSスコアを示す情報とを含む。また、患者J,C,Wの患者情報がピン留めされているため、患者J,C,Wの患者情報が患者情報一覧画面において先頭に表示される。この点において、サーバ2は、医療従事者AAを示すログイン情報の受信したときに、ピン留め操作履歴テーブル43(
図7参照)を参照することで、医療従事者AAにビン留めされた患者J,C,Wを特定する。このように、表示端末3に送信される患者情報一覧画面を表示するためのデータでは、患者J,C,Wがピン留めされていることを示す情報が含まれている。尚、ピン留めされた患者J,C,Wの患者情報の表示順については特に決まりはなくてもよい。
【0053】
図10に戻ると、ステップS7において、表示端末3上に表示された患者情報一覧画面に対する医療従事者AAの入力操作に通じて、NEWSスコア(第1情報の一例)が患者情報の表示順の第1優先パラメータとして指定される。この点において、患者情報一覧画面上のNEWSスコアの項目領域L1がクリック操作を通じて指定されることで、NEWSスコアが患者情報の表示順を決定する第1優先パラメータとして指定されてもよい。その後、表示端末3は、NEWSスコアが第1優先パラメータとして指定されたことを示す情報をサーバ2に送信する(ステップS8)。
【0054】
ステップS9において、サーバ2は、NEWSスコアが患者情報の表示順を決定する第1優先パラメータとして指定されたことを示す情報の受信したときに、各患者のNEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。この点において、サーバ2は、患者情報テーブル41(
図4参照)を参照することで、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように(即ち、NEWSスコアの値に応じて各患者情報が降順となるように)、NEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。
【0055】
次に、ステップS10において、サーバ2は、各患者情報に関連付けられたピン留め操作の数(第2情報の一例)を患者情報の表示順を決定する第2優先パラメータとして自動的に指定する。ここで、サーバ2は、
図7に示すピン留め操作履歴テーブル43を参照することで、各患者情報に関連付けられたピン留め操作の数を特定する。例えば、
図7に示すように、患者Cの患者情報は医療従事者AA,DDによってピン留めされているため、患者Cの患者情報に関連付けられたピン留め操作の数は2つとなる。また、患者Lの患者情報は医療従事者GGのみによってピン留めされているため、患者Lの患者情報に関連付けられたピン留め操作の数は1つとなる。
【0056】
その後、サーバ2は、各患者情報に関連付けられたピン留め操作の数に基づいて、NEWSスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。例えば、
図12に示すように、NEWSスコアが同一の値である患者が複数存在する場合には、NEWSスコアが同一の値である患者間の表示順は、NEWSスコアとは異なるピン留め操作の数によって決定される。
図12に示す例では、NEWSスコアが5である患者L,Q,U,Z,Yのピン留め操作の数は1となるため(
図7参照)、患者L,Q,U,Z,Yの患者情報は、ピン留め操作の数が0である患者B,Vの患者情報よりも表示順が早くなる(
図12の領域R1を参照)。
【0057】
尚、本例では、医療従事者AAによって患者J,C,Wがピン留めされているため、患者J,C,Wの患者情報の表示順が患者J,C,W以外の患者の患者情報の表示順よりも早くなるように、各患者情報の表示順が決定される。つまり、サーバ2は、NEWSスコアとピン留め操作の数の2つのパラメータに基づいて、医療従事者AAによってピン留めされている患者J,C,W以外の各患者間の患者情報の表示順を決定する。例えば、医療従事者AAによってピン留めされている患者が存在しない場合には、全ての患者情報の表示順がNEWSスコアとピン留め操作の2つのパラメータによって決定される。
【0058】
次に、ステップS11において、サーバ2は、決定された表示順に従って複数の患者情報が表示される患者情報一覧画面(
図12参照)を表示するためのデータを表示端末3に送信する。上記したように、患者情報一覧画面を表示するためのデータは、患者情報一覧画面を表示端末3のWEBブラウザ上で表示するためのコードであってもよいし、患者情報一覧画面を示す画像データであってもよい。
【0059】
ステップS12では、表示端末3は、サーバ2から受信した患者情報一覧画面を表示するためのデータに基づいて、表示部34の表示画面上に患者情報一覧画面を表示する。このように、
図12に示すように、NEWSスコアとピン留め操作の数の2つのパラメータに基づいて各患者情報が降順に患者情報一覧画面上に表示される。
【0060】
ところで、各患者情報がNEWSスコアなどの特定の指標に応じた順番で患者情報一覧画面に表示される場合、当該指標が同一である患者間の患者情報の表示順をどのように決定すべきかについては検討の余地があった。これに対して、第1実施形態に係る患者情報処理方法によれば、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、各患者のNEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、ピン留め操作の数に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。このように、互いに異なる指標であるNEWSスコアとピン留め操作の数に基づいて、患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定される。この点において、NEWSスコアは患者の容態を示す一方で、ピン留め操作の数は患者に対する医療従事者の関心度を示すものである。このように、医療従事者は、表示端末3に表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することが可能となる。
【0061】
また、ユーザである医療従事者の入力操作に応じて第1優先パラメータであるNEWSスコアが決定されるので、医療従事者の入力操作によって患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順をカスタマイズすることが可能となる。さらに、医療従事者の入力操作なしに第2優先パラメータであるピン留め操作の数がサーバ2により自動的に決定されるので、医療従事者による入力操作の手間を省くことが可能となる。
【0062】
尚、
図10に示す各処理の順番は一例であって、各処理の順番は特に限定されるものではない。特に、ステップS9~S11の各処理(患者情報の表示順を決定する処理)はサーバ2ではなく表示端末3によって実行されてもよい。この場合、ステップS9~S11の各処理が表示端末3によって実行される前にサーバ2に記憶された患者情報テーブル41及びピン留め操作履歴テーブル43が表示端末3に送信されてもよい。また、本実施形態では、患者情報一覧画面が表示端末3に表示されているが、当該患者情報一覧画面はサーバ2の表示部24に表示されてもよい。この場合、医療従事者AAが表示端末3ではなくサーバ2を操作することで、サーバ2の表示部24に患者情報一覧画面が表示される。
【0063】
また、本例では、ピン留め操作の数に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定されているが、ピン留め操作の数と、ユーザである医療従事者の属性に応じて、NEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定されてもよい。例えば、医療従事者の職種や経験年数に応じて所定の重み係数が決定された上で、当該重み係数とピン留め操作の数の乗算によって得られた値によりNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、NEWSスコアとピン留め操作の数の2つのパラメータによって各患者情報の表示順が決定されているが、各患者情報の表示順を決定するためのパラメータはNEWSスコア及びピン留め操作の数に限定されるものではない。以降では、患者情報の表示順を決定するパラメータの変形例について説明する。
【0065】
(第1変形例)
患者情報の表示順を決定するパラメータの第1変形例として、NEWSスコア(第1情報の一例)が第1優先パラメータとして採用されると共に、患者に対するコメントの文字数(第2情報の一例)が第2優先パラメータとして採用されてもよい。患者に対するコメントの文字数は、ピン留め操作の数と同様に、患者情報一覧画面に表示された各患者情報に対する医療従事者の所定の操作に関連する情報の一例である。
【0066】
この場合、
図10のステップS9において、サーバ2は、患者情報テーブル41を参照することで、NEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。次に、ステップS10において、サーバ2は、各患者情報に関連付けられたコメントの文字数を患者情報の表示順を決定する第2優先パラメータとして自動的に指定する。ここで、サーバ2は、
図8に示す患者コメントテーブル44を参照することで、各患者情報に関連付けられたコメントの文字数を特定する。例えば、
図8に示すように、医療従事者AAによる患者Cに対するコメントの文字数は150文字である一方、医療従事者DDによる患者Cに対するコメントの文字数は80文字である。この場合、患者Cの患者情報に関連付けられたコメントの文字数は、230文字(=150+80)となる。また、医療従事者GGによる患者Lに対する文字数は120文字であるため、患者Lの患者情報に関連付けられたコメントの文字数は120文字となる。
【0067】
その後、サーバ2は、各患者情報に関連付けられたコメントの文字数に基づいて、NEWSスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。例えば、
図13に示すように、NEWSスコアが同一の値である患者が複数存在する場合には、NEWSスコアが同一の値である患者間の表示順は、NEWSスコアとは異なるコメントの文字数によって決定される。
図13に示す例では、NEWSスコアが5である患者L,Q,Uに対するコメントの文字数は、それぞれ120、110、60となる(
図8参照)。このため、患者L,Q,Uの患者情報は、コメントされていない(換言すれば、コメントの文字数が0である)患者B,Y,V,Zの患者情報よりも表示順が早くなる(
図13の領域R2を参照)。さらに、患者L,Q,Uに対するコメント文字数に従って、患者L,Q,U間の患者情報の表示順が降順に表示される。
【0068】
第1変形例に係る患者情報処理方法によれば、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、各患者のNEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、各患者に対するコメントの文字数(各患者に対するコメントに関する情報の一例)に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。このように、互いに異なる指標であるNEWSスコアと各患者に対するコメントの文字数に基づいて、患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定される。この点において、NEWSスコアは患者の容態を示す一方で、コメントの文字数は患者に対する医療従事者の関心度を示すものである。このように、医療従事者は、表示端末3に表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することが可能となる。
【0069】
尚、第1変形例では、各患者に対するコメントに関する情報の一例として、各患者に対するコメントの文字数に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定されているが、本例はこれに限定されるものではない。この点において、各患者に対するコメントの入力回数、所定期間内(より具体的には、ログイン時から所定時間前までの期間)における各患者に対するコメントの入力総数、または所定期間内における各患者に対するコメントの入力回数に応じて、NEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定されてもよい。
【0070】
(第2変形例)
患者情報の表示順を決定するパラメータの第2変形例として、NEWSスコア(第1情報の一例)が第1優先パラメータとして採用されると共に、患者の入院日数(第2情報の一例)が第2優先パラメータとして採用されてもよい。
【0071】
この場合、
図10のステップS9において、サーバ2は、患者情報テーブル41を参照することで、NEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。次に、ステップS10において、サーバ2は、各患者の入院日数を患者情報の表示順を決定する第2優先パラメータとして自動的に指定する。ここで、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を参照することで、各患者の入院日数を特定する。
【0072】
その後、サーバ2は、各患者の入院日数に基づいて、NEWSスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。例えば、
図14に示すように、NEWSスコアが同一の値である患者が複数存在する場合には、NEWSスコアが同一の値である患者間の表示順は、NEWSスコアとは異なる患者の入院日数によって決定される。
図14に示す例では、NEWSスコアが9である患者N、I、Xの入院日数は、それぞれ32、4、2となる(
図4参照)。このため、患者の入院日数に応じて患者N、I、X間の患者情報がN、I、Xの順番で表示される。同様に、NEWSスコアの値が同一である患者間の患者情報も患者の入院日数に応じて降順に表示される。
【0073】
第2変形例に係る患者情報処理方法によれば、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、各患者のNEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、各患者の入院日数に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。このように、互いに異なる指標であるNEWSスコアと各患者の入院日数に基づいて、患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定される。この点において、NEWSスコアは患者の容態を示す一方で、患者の入院日数は医療機関による患者の介入度合を示すものである。このように、医療従事者は、表示端末3に表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することが可能となる。
【0074】
(第3変形例)
患者情報の表示順を決定するパラメータの第3変形例として、NEWSスコア(第1情報の一例)が第1優先パラメータとして採用されると共に、特定の医療機器が各患者に接続されているかどうかを示す情報(第2情報の一例)が第2優先パラメータとして採用されてもよい。本例では、新型コロナウィルスの重症患者に接続されるECMO及び人工呼吸器が特定の医療機器となる。尚、特定の医療機器はECMOや人工呼吸器に限定されるものではなく、ペースメーカ等であってもよい。
【0075】
この場合、
図10のステップS9において、サーバ2は、患者情報テーブル41を参照することで、NEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。次に、ステップS10において、サーバ2は、各患者にECMO又は人工呼吸器が接続されているかどうかを示す情報を患者情報の表示順を決定する第2優先パラメータとして自動的に指定する。ここで、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を参照することで、各患者にECMO又は人工呼吸器が接続されているかどうかを特定する。
【0076】
その後、サーバ2は、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無に基づいて、NEWSスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。例えば、
図15に示すように、NEWSスコアが同一の値である患者が複数存在する場合には、NEWSスコアが同一の値である患者間の表示順は、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無によって決定される。
図15に示す例では、NEWSスコアが6である患者間において、患者E、RのみがECMOに接続されている。このため、NEWSスコアが6である患者間の患者情報のうち患者E、Rの患者情報が優先的に先に表示される。同様に、NEWSスコアが5である患者間において、患者YがECMOに接続されていると共に、患者Qが人工呼吸器に接続されている。このため、NEWSスコアが5である患者間の患者情報のうち患者Y、Qの患者情報が優先的に先に表示される。この点において、人工呼吸器に接続されている患者よりもECMOに接続されている患者が優先されるため、患者Yの患者情報は患者Qの患者情報よりも先に表示される。このように、本例では、患者に接続される医療機器の種類に応じて、患者情報一覧画面に表示される患者情報の優先順位が決定されてもよい。
【0077】
第3変形例に係る患者情報処理方法によれば、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、各患者のNEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。このように、互いに異なる指標であるNEWSスコアとECMO又は人工呼吸器の接続の有無に基づいて、患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定される。この点において、NEWSスコアは患者の容態を示すと共に、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無は患者の呼吸器機能の重症度を示すものである。このように、医療従事者は、表示端末3に表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することが可能となる。
【0078】
(第4変形例)
患者情報の表示順を決定するパラメータの第4変形例として、NEWSスコア(第1情報の一例)が第1優先パラメータとして採用され、特定の医療機器(例えば、ECMO又は人工呼吸器)が各患者に接続されているかどうかを示す情報(第2情報の一例)が第2優先パラメータとして採用され、各患者の入院日数(第3情報の一例)が第3優先パラメータとして採用される。尚、上記したように、特定の医療機器はECMO又は人工呼吸器に限定されるものではない。
【0079】
この場合、
図10のステップS9において、サーバ2は、患者情報テーブル41を参照することで、NEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。次に、ステップS10において、サーバ2は、各患者にECMO又は人工呼吸器が接続されているかどうかを示す情報を患者情報の表示順を決定する第2優先パラメータとして自動的に指定する。ここで、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を参照することで、各患者にECMO又は人工呼吸器が接続されているかどうかを特定する。さらに、サーバ2は、各患者の入院日数を患者情報の表示順を決定する第3優先パラメータとして自動的に指定する。ここで、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を参照することで、各患者の入院日数を特定する。
【0080】
その後、サーバ2は、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無に基づいて、NEWSスコアの値が同一である患者間の患者情報の表示順を決定する。例えば、
図16に示すように、NEWSスコアが同一の値である患者が複数存在する場合には、NEWSスコアが同一の値である患者間の表示順は、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無によって決定される。
図16に示す例では、NEWSスコアが6である患者間において、患者E、RのみがECMOに接続されている。このため、NEWSスコアが6である患者間の患者情報のうち患者E、Rの患者情報が優先的に先に表示される。
【0081】
さらに、サーバ2は、各患者の入院日数に基づいて、ECMOに接続された患者E、Rを除いたNEWSスコアが6である患者(具体的には、患者P、K、T、F)間の患者情報の表示順を決定する。
図16に示す例では、NEWSスコアが9である患者P、K、T、Fの入院日数は、それぞれ84日、68日、6日、3日となる(
図4参照)。このため、各患者の入院日数に応じて患者P、K、T、F間の患者情報がP、K、T、Fの順番で表示される。このように、NEWSスコアの値(第1優先順位)→ECMO又は人工呼吸器の接続の有無(第2優先順位)→各患者の入院日数(第3優先順位)の優先順位に従って、各患者情報の表示順が決定される。
【0082】
第4変形例に係る患者情報処理方法によれば、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように、各患者のNEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順が決定されると共に、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無に基づいてNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。さらに、各患者の入院日数に基づいて、ECMO又は人工呼吸器に接続された患者を除いたNEWSスコアが同一である患者間の患者情報の表示順が決定される。
【0083】
このように、互いに異なる指標であるNEWSスコア、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無、及び入院日数に基づいて、患者情報一覧画面上に表示される各患者情報の表示順が細かく決定される。この点において、NEWSスコアは患者の容態を示すと共に、ECMO又は人工呼吸器の接続の有無は患者の呼吸器機能の重症度を示すものである。また、各患者の入院日数は医療機関による患者の介入度合を示すものである。このように、医療従事者は、表示端末3に表示された患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者の患者情報を容易に把握することが可能となる。
【0084】
尚、各患者情報の表示順を決定するための優先パラメータとして、患者又は医療従事者の属性を示す情報が使用されてもよい。この点において、サーバ2は、NEWSスコアが同一の値である患者間の患者情報の表示順を患者又は医療従事者の属性を示す情報に基づいて決定してもよい。患者の属性を示す情報としては、患者の年齢や患者のベッド所在のフロアであってもよい。また、医療従事者の属性を示す情報としては、医療従事者が所属する診療科であってもよい。例えば、表示端末3を通じてサーバ2にアクセスする医療従事者AAの診療科が循環器内科である場合に、サーバ2は、NEWSスコアが同一の値である患者間の患者情報のうち循環器内科に関連する患者情報を優先的に先に表示してもよい。
【0085】
また、本実施形態及び各変形例では、第1優先パラメータとしてNEWSスコアが使用されているが、第1優先パラメータはNEWSスコア以外の他の指標(例えば、患者の入院日数等)であってもよい。
【0086】
(第2実施形態)
次に、
図17及び
図18を主に参照して本開示の第2実施形態に係る患者情報処理方法について以下に説明する。
図17は、第2実施形態に係る患者情報処理方法を説明するためのシーケンス図である。
図18は、NEWSスコアに応じ、患者のベッド所在が3Fであるフィルタリング条件を満たす患者情報の表示順が決定された患者情報一覧画面の一例を示す図である。
図17に示すように、第2実施形態に係る患者情報処理方法はサーバ2と表示端末3との協働により実行されると共に、医療従事者AAが表示端末3を通じてサーバ2にアクセスするものとする。
【0087】
ステップS20では、サーバ2は、各患者A~Zの複数のバイタルデータを複数のベッドサイドモニタ6から取得する。ステップS21において、サーバ2は、各患者A~Zの複数のバイタルデータと、各患者A~Zの酸素投与の有無と、各患者A~Zの意識の有無とに基づいて、各患者A~ZのNEWSスコアを算出する。ステップS22において、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を更新する。
【0088】
次に、ステップS23において、表示端末3は、サーバ2にアクセスするためのログイン情報(例えば、ログインIDとパスワード)を、通信ネットワーク5を介してサーバ2に送信する。ステップS24において、サーバ2は、医療従事者AAのログイン情報を認証した後に、複数の患者情報が表示される患者情報一覧画面を表示するためのデータを表示端末3に送信する。
【0089】
ステップS25において、表示端末3は、サーバ2から受信した患者情報一覧画面を表示するためのデータに基づいて、表示部34の表示画面上に患者情報一覧画面を表示する。この点において、表示端末3に搭載されたWEBブラウザは、患者情報一覧画面を表示するためのデータを解釈することで、患者情報一覧画面をレンダリングしてもよい。
【0090】
ステップS26において、表示端末3上に表示された患者情報一覧画面に対する医療従事者AAの入力操作に通じて、患者情報をフィルタリングするためのフィルタリング条件が指定される。本例では、患者のベッド所在(所在フロア)が3Fであるフィルタリング条件が医療従事者AAによって入力されるものとする。尚、フィルタリング条件を指定するための入力領域が患者情報一覧画面内に設けられてもよい。その後、表示端末3は、患者のベッド所在が3Fであるフィルタリング条件を示す情報をサーバ2に送信する(ステップS27)。
【0091】
ステップS28において、サーバ2は、フィルタリング条件を示す情報を受信した後に、フィルタリング条件に基づいて患者情報をフィルタリングすることで患者情報一覧画面に表示される患者情報を決定する。この点において、サーバ2は、患者情報テーブル41(
図4参照)を参照することで、ベッド所在が3Fである患者の患者情報を抽出する。本フィルタリング処理では、医療従事者AAによってピン留めされた患者であっても、患者のベッド所在が3Fでない場合には、当該患者の患者情報は患者情報一覧画面に表示される患者情報としては抽出されない。
【0092】
次に、ステップS29において、サーバ2は、各患者のNEWSスコアに応じて、フィルタリング条件を満たす患者情報(換言すれば、フィルタリング条件に基づいて抽出された患者情報)の表示順を決定する。この点において、サーバ2は、患者情報テーブル41(
図4参照)を参照することで、各患者のNEWSスコアの値に応じて患者情報一覧画面に表示される各患者情報の表示順が早くなるように(即ち、NEWSスコアの値に応じて各患者情報が降順となるように)、NEWSスコアに基づいて各患者情報の表示順を決定する。
【0093】
次に、ステップS30において、サーバ2は、決定された表示順に従って複数の患者情報が表示される患者情報一覧画面(
図18参照)を表示するためのデータを表示端末3に送信する。上記したように、患者情報一覧画面を表示するためのデータは、患者情報一覧画面を表示端末3のWEBブラウザ上で表示するためのコードであってもよいし、患者情報一覧画面を示す画像データであってもよい。
【0094】
ステップS31では、表示端末3は、サーバ2から受信した患者情報一覧画面を表示するためのデータに基づいて、表示部34の表示画面上に患者情報一覧画面を表示する。このように、
図18に示すように、NEWSスコアに基づいて各患者情報が降順に患者情報一覧画面上に表示される。
【0095】
第2実施形態に係る患者情報処理方法によれば、フィルタリング条件に基づいて複数の患者情報をフィルタリングすることで患者情報一覧画面に表示される複数の患者情報(本例では、ベッド所在が3Fである患者の患者情報)が決定されると共に、フィルタリング条件とは異なる情報(本例では、NEWSスコア)に基づいて患者情報一覧画面に表示される患者情報の表示順が決定される。このように、フィルタリング条件とNEWSスコアの2つの異なる情報に基づいて患者情報一覧画面に表示すべき患者情報と当該患者情報の表示順が決定されるので、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者情報を容易に把握することができる。
【0096】
尚、本実施形態の説明では、患者の属性に関連する条件(具体的には、患者の所在フロア)がフィルタリング条件として医療従事者AAによって指定されているが、フィルタリング条件は特に限定されるものではない。この点において、医療従事者(ユーザ)の属性に関連する条件がフィルタリング条件として入力されてもよいし、患者のバイタルデータやNEWSスコアに関連する条件がフィルタリング条件として指定されてもよい。例えば、フィルタリング条件として、NEWSスコアが所定の値以上の患者情報が抽出されてもよい。また、入院日数が所定日数以上の患者情報が抽出されてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、NEWSスコアに応じて抽出された患者情報の表示順が決定されているが、患者情報の表示順を決定するためのパラメータは、NEWSスコアに限定されるものではない。例えば、患者の入院日数や患者に接続された医療機器の有無等に基づいて患者情報の表示順が決定されてもよいし、複数の優先パラメータ(例えば、NEWSスコアとコメント文字数等)に基づいて患者情報の表示順が決定されてもよい。
【0098】
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例に係る患者情報処理方法について
図19を参照して以下に説明する。
図19は、第2実施形態の変形例に係る患者情報処理方法を説明するためのシーケンス図である。本変形例では、サーバ2にアクセスする医療従事者の属性に基づいてフィルタリング条件がサーバ2側によって自動的に決定される点で第2実施形態に係る患者情報処理方法とは相違する。本変形例でも同様に、医療従事者AAが表示端末3を通じてサーバ2にアクセスするものとする。
【0099】
図19に示すように、ステップS40において、サーバ2は、各患者A~Zの複数のバイタルデータを複数のベッドサイドモニタ6から取得する。ステップS41において、サーバ2は、各患者A~ZのNEWSスコアを算出する。ステップS42において、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を更新する。
【0100】
次に、ステップS43において、表示端末3は、サーバ2にアクセスするためのログイン情報(例えば、ログインIDとパスワード)を通信ネットワーク5を介してサーバ2に送信する。ステップS44において、サーバ2は、医療従事者AAのログイン情報を認証した後に、医療従事者AAの属性に基づいて患者情報をフィルタリングすることで患者情報一覧画面に表示される患者情報を自動的に決定する。この点において、サーバ2は、
図6に示す医療従事者情報テーブルを参照することで、医療従事者AAの属性を特定する。その後、サーバ2は、
図4に示す患者情報テーブル41を参照することで、医療従事者AAの属性に基づいて患者情報をフィルタリングする。例えば、サーバ2は、医療従事者AAが所属する循環器内科を特定した上で、循環器内科が設置されたフロアと同一のフロアに存在する患者の患者情報を抽出してもよい。
【0101】
次に、ステップS45において、サーバ2は、各患者のNEWSスコアに応じて、フィルタリング条件を満たす患者情報の表示順を決定する。ステップS46において、サーバ2は、決定された表示順に従って複数の患者情報が表示される患者情報一覧画面を表示するためのデータを表示端末3に送信する。ステップS47では、表示端末3は、サーバ2から受信した患者情報一覧画面を表示するためのデータに基づいて、表示部34の表示画面上に患者情報一覧画面を表示する。このように、医療従事者の属性に応じて患者情報が自動的に抽出された上で、NEWSスコアに応じて抽出された患者情報の表示順が自動的に決定される。
【0102】
第2実施形態の変形例に係る患者情報処理方法によれば、医療従事者(ユーザ)の属性に基づいて複数の患者情報をフィルタリングすることで患者情報一覧画面に表示される複数の患者情報が自動的に決定されると共に、NEWSスコアに基づいて患者情報一覧画面に表示される患者情報の表示順が決定される。このように、患者情報一覧画面に表示すべき患者情報と当該患者情報の表示順がサーバ側によって自動的に決定されるので、医療従事者は、患者情報一覧画面を通じて、優先度が高い患者情報を容易に把握することができる。特に、医療従事者によるフィルタリング条件の入力操作なしに、患者情報一覧画面上に表示される患者情報が自動的に抽出及びソートされるので、患者情報処理システムのユーザビリティをさらに向上させることが可能となる。
【0103】
また、本実施形態に係る患者情報処理方法をソフトウェアによって実現するためには、患者情報処理プログラムがサーバ2及び/又は表示端末3の記憶装置及び/又はROMに予め組み込まれていてもよい。または、患者情報処理プログラムは、磁気ディスク(例えば、HDD、フロッピーディスク)、光ディスク(例えば、CD-ROM,DVD-ROM、Blu-ray(登録商標)ディスク)、光磁気ディスク(例えば、MO)、フラッシュメモリ(例えば、SDカード、USBメモリ、SSD)等のコンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、記憶媒体に格納された患者情報処理プログラムが記憶装置に組み込まれてもよい。さらに、記憶装置に組み込まれた当該プログラムがRAM上にロードされた上で、プロセッサがRAM上にロードされた当該プログラムを実行してもよい。このように、本実施形態に係る患者情報処理方法がサーバ2及び/又は表示端末3によって実行される。また、患者情報処理プログラムは、通信ネットワーク上の外部コンピュータからダウンロードされてもよい。この場合も同様に、ダウンロードされた当該プログラムが記憶装置に組み込まれてもよい。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0105】
1:患者情報処理システム(処理システム)
2:サーバ
3:表示端末
4:院内情報データベース
5:通信ネットワーク
6:ベッドサイドモニタ
20:制御部
21:記憶装置
22:通信部
23:入力操作部
24:表示部
30:制御部
31:記憶装置
32:通信部
33:入力操作部
34:表示部
41:患者情報テーブル
42:医療従事者情報テーブル
43:操作履歴テーブル
44:患者コメントテーブル