(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012139
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】養液供給制御システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20240118BHJP
【FI】
A01G31/00 601A
A01G31/00 601B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112468
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0086049
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523260082
【氏名又は名称】グリーンシーエス シーオー.,エルティディ
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】ベ・イムスン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ヨンギュン
(72)【発明者】
【氏名】キム・セグァン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ソンフン
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA21
2B314MA38
2B314MA39
2B314MA40
2B314MA46
2B314PB44
2B314PB64
(57)【要約】
【課題】本発明は、養液供給制御システムに関する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、複数の温室に養液を供給するための養液供給システムが提供され、前記システムは、複数の温室からなる温室グループ(複数の温室のそれぞれには環境測定のためのセンサグループが供給される)と、温室グループにネットワークを介して接続される少なくとも1つの養液供給装置を制御するように構成される養液供給制御装置と、養液供給制御装置にネットワークを介して接続されるユーザ端末とを含み、養液供給制御装置は、温室グループ内の各温室に設置されるセンサグループから環境データを収集し、収集したセンサデータに基づいて、養液供給装置を駆動して養液を供給するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の温室に養液を供給するための養液供給システムにおいて、
複数の温室からなる温室グループ(複数の温室のそれぞれには環境測定のためのセンサグループが供給される)と、
前記温室グループにネットワークを介して接続される少なくとも1つの養液供給装置を制御するように構成される養液供給制御装置と、
前記養液供給制御装置にネットワークを介して接続されるユーザ端末とを含み、
前記養液供給制御装置は、温室グループ内の各温室に設置されるセンサグループから環境データを収集し、収集したセンサデータに基づいて、養液供給装置を駆動して養液を供給するように構成され、
温室の排液を集水・殺菌して再活用できるように排液再活用装置をさらに含み、
集水される排液は、自動制御ステップで殺菌され、殺菌された排液は、供給時に原水と混合して供給され、再活用に適さない排液は、原水で希釈して排出され、
養液供給制御装置は、ユーザインタフェース画面を供給し、ユーザインタフェース画面は、養液制御メイン画面を含み、メイン画面は区域情報を含み、区域情報は区域別設定供給量、残余供給量、累積供給量を表示するように構成され、
前記設定供給量としては、区域の1回の潅水量、区域に設定された潅水量、潅水量調節が適用された最終潅水設定値が表示され、前記残余供給量としては、潅水区域の残余量、区域設定潅水量から残った現在の潅水量が表示され、前記累積供給量としては、潅水区域の1日総潅水量が表示され、
養液供給制御装置は、養液装置非常潅水開始及び非常潅水停止を手動操作できるように設定され、
ここで、非常潅水開始は、設定された区域において非常潅水を開始するものであり、非常潅水停止は、設定された区域において非常潅水を停止するものであり、
前記非常潅水開始は、潅水設定された区域を順に1回潅水し、非常潅水停止後に再び非常潅水を行うと、停止した区域から開始するのではなく、最初の区域から開始することを特徴とする、
養液供給システム。
【請求項2】
前記温室に設置されるセンサは、日射センサ、土壌含水率測定センサ、内部温度センサ、内部湿度センサを含むことを特徴とする、
請求項1に記載の養液供給システム。
【請求項3】
前記養液供給装置の管路には、管内のEC及びpHを測定するためのセンサがさらに供給されることを特徴とする、
請求項2に記載の養液供給システム。
【請求項4】
前記養液供給装置には、ユーザ画面を供給するのに用いられるLCDディスプレイと、原水タンクからの水を養液供給装置内の混合タンクに供給するのに用いられる原水供給ポンプと、養液貯蔵タンクからの養液を養液供給装置内の混合タンクに供給するのに用いられる養液供給ポンプとが備えられることを特徴とする、
請求項1に記載の養液供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養液供給制御システムに関し、特に、1つの養液供給装置を用いて最小1区域、最大12区域まで養液供給制御を行うことができ、また循環式水耕栽培において、温室から排出される排液を3ウェイバルブにより原水とともに供給する際に、4種類の排液をそれぞれ調節することのできる排液再活用コントローラに連動可能な養液供給制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
養液潅水(Irrigation)とは、土地を用いずに、培地に植物を植栽又は播種など様々な方法で植え、その後、植物の生育に必要な必須元素を所定の組成比で含有する養液を植物の生長のために供給する植物栽培方法を意味する。
【0003】
養液潅水による植物の栽培は、土地に植物を植えて栽培する方法とは異なり、植物を植えた土壌の環境を精密かつ均一に調節することができるので、植物の大量生産に積極的に用いられている。
【0004】
また、養液潅水による植物の栽培方法は、十分に土地が確保できない場所や、土壌汚染により植物栽培が困難な場所であっても、養液潅水により植物の栽培領域を構築することができるので、現状、広く用いられている。
【0005】
これに関連して、植物栽培のために潅水される養液を排液後に殺菌処理し、養液を制御システム上に構築された循環経路に沿って自動的に繰り返し利用できるようにする従来技術を示す先行技術文献としては、特許文献1(2016年7月18日)の「養液循環式潅水制御システム」(以下、「従来技術」という)が挙げられる。
【0006】
従来技術をはじめとする従来の養液潅水を制御する装置又はシステムの関連技術は、培地への養液一括供給、培地からの排液排出、排出された排液の回収に至る養液循環経路に沿って繰り返し行われる養液潅水、すなわち植物栽培が自動的に行われるようにするだけであり、養液が供給される複数の温室を周辺環境に連動させ、養液を細かく制御する技術については示唆していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2016-0085437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、複数の温室を周辺環境に連動して細かく制御することのできる養液供給制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の一態様によれば、複数の温室に養液を供給するための養液供給システムが提供され、前記システムは、複数の温室からなる温室グループ(複数の温室のそれぞれには環境測定のためのセンサグループが供給される)と、温室グループにネットワークを介して接続される少なくとも1つの養液供給装置を制御するように構成される養液供給制御装置と、養液供給制御装置にネットワークを介して接続されるユーザ端末とを含み、養液供給制御装置は、温室グループ内の各温室に設置されるセンサグループから環境データを収集し、収集したセンサデータに基づいて、養液供給装置を駆動して養液を供給するように構成される。
【0010】
前述した態様において、温室に設置されるセンサは、日射センサ、土壌含水率測定センサ、内部温度センサ、内部湿度センサを含む。
【0011】
また、前述した態様において、養液供給装置の管路には、管内のEC及びpHを測定するためのセンサがさらに供給される。
【0012】
前述した態様において、養液供給制御装置はユーザインタフェース画面を供給し、ユーザインタフェース画面は養液制御メイン画面を含み、メイン画面は区域情報を含み、区域情報は区域別設定供給量、残余供給量、累積供給量を表示するように構成され、前記設定供給量としては、区域の1回の潅水量、区域に設定された潅水量、潅水量調節が適用された最終潅水設定値が表示され、前記残余供給量としては、潅水区域の残余量、区域設定潅水量から残った現在の潅水量が表示され、前記累積量としては、潅水区域の1日総潅水量が表示される。また、周期毎に日射比例、日射累積速度に応じて設定した基準潅水量の設定ECと潅水量が自動調節され、これらの全ての潅水がスケジュールに従って自動供給される自動精密養液供給システムである。
【0013】
前述した態様において、養液供給装置には、ユーザ画面を供給するのに用いられるLCDディスプレイと、原水タンクからの水を養液供給装置内の混合タンクに供給するのに用いられる原水供給ポンプと、養液貯蔵タンクからの養液を養液供給装置内の混合タンクに供給するのに用いられる養液供給ポンプとが備えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の温室を周辺環境に連動して細かく制御することのできる養液供給制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による養液供給制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による養液供給制御システムの一例を示す図であり、
図2(a)は本発明の実施形態による養液供給制御システムと複合環境制御システムが多重温室内の各温室に配置されるセンサグループ及び駆動装置の一例を示す図であり、
図2(b)は本発明の実施形態による養液供給制御システムが温室に単独で配置される場合のセンサグループ及び駆動装置の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による複合環境制御システムに連係する養液供給制御システムの接続構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態による養液供給制御システムに用いられる養液制御装置の主要構成を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による養液供給制御システムに用いられる養液制御装置の下部接続構造を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による養液供給制御システムにおける、養液貯蔵タンク、原水タンク、養液供給装置間の配管接続を示す図である。
【
図7】ユーザインタフェース画面のうち、養液装置の養液制御メイン画面の構成の一例を示す図である。
【
図8】養液装置の潅水量設定画面の一例を示す図である。
【
図9】養液装置の時間別潅水設定の一例としてのユーザ画面を示す図である。
【
図10】日射比例潅水設定の一例としてのユーザ画面を示す図である。
【
図11】日射比例潅水設定の一例としてのユーザ画面であって、潅水量設定において潅水量を時間(分:秒)3分0秒、区域水量500L、ドリッパー(cc)100ccに設定したユーザ画面を示す図である。
【
図12】日射累積速度に応じた潅水量及びEC値調節のための画面構成の一例を示す図である。
【
図13】養液供給装置の一般設定のための画面構成の一例を示す図である。
【
図14】EC微細速度を適用するEC校正範囲の設定について説明する図である。
【
図15】養液装置のスケジュール設定のための画面構成の一例を示す図である。
【
図17】養液装置のテキスト出力の一例としての画面を示す図である。
【
図18】養液装置のグラフ出力の一例としての画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の利点、特徴及びそれらを達成する方法は、添付図面とともに詳細に後述する実施形態を参照することにより明確になるであろう。しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、様々な形態で実現することができる。
【0017】
本明細書において、これらの実施形態は、本発明の開示が完全なものとなるように、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に理解させるために提供するものである。また、本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。よって、一部の実施形態において、周知の構成要素、周知の動作及び周知の技術については、本発明が不明確になることを避けるために、具体的に説明していない。
【0018】
明細書全体を通して、同一符号は同一構成要素を示すものである。また、本明細書に用いる(言及する)用語は、実施形態について説明するために用いるものであり、本発明を限定するものではない。本明細書において、単数の表現には、特に断らない限り、複数の表現が含まれる。また、「含む(又は、備える)」と言及する構成要素及び動作は、1つ又はそれ以上の他の構成要素及び動作の存在又は追加を排除するものではない。
【0019】
特に断らない限り、本明細書に用いられるあらゆる用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に共通して理解される意味で用いられる。また、一般に用いられる辞書に定義されている用語は、特に断らない限り、理想的又は過度に解釈されてはならない。
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態による養液供給制御装置20を含む養液供給制御システム1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、養液供給制御システム1は、複数の温室10a~10nからなる温室グループ10と、温室グループに接続され又は温室グループの設備に含まれる養液供給制御装置20と、養液供給制御装置20にネットワークを介して接続される養液管理サーバ30と、養液管理サーバ30にネットワークを介して接続されるユーザ端末40とを含む。
【0021】
養液供給制御装置20は、温室グループ内の各温室に設置されるセンサグループ100から環境データ(培地含水率、Ph、EC、内部温度、内部湿度、CO2、外部温度、風向、風速、降雨、日射量など)を収集し、収集したセンサデータに基づいて温室の内部に設置される養液供給装置を駆動するとともに、収集したセンサデータを養液管理サーバ30に送信してユーザ端末40による温室モニタリングできるように備えられる。また、養液供給制御装置20は、養液管理サーバ30を介してユーザのコマンドをも受信できるように構成される。
【0022】
図2は、多重温室内の各温室に配置されるセンサグループ100及び養液供給装置20(その他の駆動装置150を含む)の一例を示す図であり、
図2(a)に示すように、複合環境制御システムと養液供給システムとが連係される場合には、各温室の内部環境を測定するための温室内部センサ110と、温室の外部環境を測定するための外部気象センサ120とを含む。温室内部センサ110は、これらに限定されるものではないが、温室の地上部に設置されるセンサとして、温度センサ111、湿度センサ112及びCO
2センサを含むことが好ましく、温室の根圏部に設置される含水率センサ114、EC及びPhセンサ115を含むことが好ましい。
【0023】
温室の外部環境を測定するための温室気象センサ120は、これらに限定されるものではないが、外部温度測定センサ121、風向及び風速センサ112及び日射及び降雨量測定センサ123を含み、温室の位置する地域、地理的特性、気候などに応じて他の追加のセンサを含んでもよいことは当業者にとって明らかである。
【0024】
また、
図2に示すように、温室の内部又は外部には、温室の内部の環境を調節するための複数のその他の駆動装置が備えられる。これらの駆動装置は、温室の内部の温度、湿度、CO
2濃度、光量、培地状態、養液などを調節又は供給するために備えられ、本発明ではこれらに限定されるものではないが、天窓及び側窓を含む窓駆動装置151、多重保温カーテン駆動装置152、スクリーン及び不織布駆動装置154、冷暖房装置154、補光灯又はLED駆動装置155、CO
2発生装置156、流動ファン又は排気ファン駆動装置157、スプリンクラー駆動装置158、燻蒸装置159、養液供給装置160並びに排液再活用装置162を含み、温室内に設置される他の駆動要素に応じて他の駆動装置がさらに備えられてもよい。
【0025】
一方、
図2(b)に示すように、養液供給システムが単独で設置される場合は、養液精密供給設定のための環境要素及び各温室の内部環境を測定するための温室内部センサ110と、温室の外部環境を測定するための外部気象センサ120とを含む。温室の地上部に設置されるセンサとして、温度センサ111、湿度センサ112を含み、根圏部に設置されるセンサとして、含水率センサ114、EC及びPhセンサ115、外部日射センサ123を含む。
【0026】
図2には、温室の統合制御のための全般的な構成を示しているが、以下の説明では、前記構成のうち養液制御に関する構成についてのみ具体的に説明する。
図3は、前述したような養液供給制御システムの通信環境についての説明図である。
図3に示すように、養液供給制御システムにおいて、ウェブモバイル端末41、運営PC43及び管理サーバ30は、TCP/IP通信方式により、養液供給装置、具体的には養液供給装置を制御する養液供給制御装置と通信を行う。TCP/IPは、パケット通信方式のインターネットプロトコルであるIP(インターネットプロトコル)と、通信プロトコルであるTCP(伝送制御プロトコル)とからなる。IPはパケット伝送の成否を保証せず、パケットを送信した順序と受信した順序が異なることがあるが、TCPはIPの上位レベルで動作するプロトコルであり、データの送信を保証し、送信した順に受信することになる。これらは、遠隔地から温室の内部環境をモニタリング及び管理できるように構成される。
【0027】
一方、その他の駆動装置を制御するための複合環境制御装置が養液供給装置とともに用いられる場合には、複合環境制御装置は、TCP/IPによりウェブモバイル端末、運営PC又は管理サーバからTCP/IPパケットコマンドを受信し、そのコマンドに対応して現在のセンサグループの測定状態をユーザに表示することもでき、駆動装置グループ内の駆動装置を駆動するように動作することもできるが、ここで、養液供給制御装置20と複合環境制御装置120とは、RS485シリアル通信を介して互いに接続されるように構成される。
【0028】
図4は、前述したような養液供給装置20の外部前面構成を示す図である。
図4に示すように、養液供給装置20はユーザ画面を供給するのに用いられるLCDディスプレイと、養液供給装置20が提供する機能(以下に説明)を設定するのに用いられる設定スイッチと、原水タンクからの水を養液供給装置内の混合タンクに供給するのに用いられる原水供給ポンプと、養液貯蔵タンクからの養液を養液供給装置内の混合タンクに供給するのに用いられる養液供給ポンプとを備え、混合タンクにはベンチュリポンプ及び液肥ソレノイドバルブが接続される。
【0029】
ベンチュリポンプは、原水と養液を混合する役割を果たし、養液供給ポンプにより温室内の各区域に設定したEC値に応じて供給されるようにしている。
【0030】
液肥ソレノイドバルブは、A、B、酸(PH)濃縮液を原水と適正比率で混合するための装置(バルブ)である。
【0031】
図5は、前述したような養液供給装置20の下部構成を示す図である。
図5に示すように、養液供給装置20の下部には、養液供給装置内の混合タンクに接続される圧力調節バルブ、濾過装置、流量計及びECセンサが備えられる。
【0032】
圧力調節バルブは、養液タンクの濃縮液を混合タンクに供給するために、内部圧縮空気が同一に供給されるように適正圧力を維持するバルブである。
【0033】
濾過装置は、養液濃縮液A、Bを混合した養液が温室に供給される前に、異物を除去するように機能する。
【0034】
流量計は、同図に示すように、自動養液供給システムにおいて設定した潅水量を確認するために、混合タンクから温室に供給する前に、流量を測定するように機能する。
【0035】
ECセンサは、自動養液供給システムにおいて設定した供給設定EC値に基づいて、混合タンクから温室に供給される配管内のEC値を測定するように機能する。
【0036】
図6は、前述したような養液供給装置20と養液貯蔵タンク21と原水タンク22の結合関係を示す図である。
【0037】
養液貯蔵タンク21は、複数の貯蔵タンクから構成され、各貯蔵タンクには例えば植物生長に比較的多量が必要な元素を含有する第1養液が貯蔵され、他の貯蔵タンクには植物生長に比較的微量が必要な元素を含有する第2養液が貯蔵され、他の貯蔵タンクには養液の酸度を調節するための第3養液が貯蔵される。
【0038】
また、さらに他の貯蔵タンクには、養液用補助添加剤、例えば養液潅水により植物又は土壌環境上に特定免疫機能を付与するための機能性殺虫剤などの成分が貯蔵される。
【0039】
養液供給装置20は、養液貯蔵タンク21内の養液(必要に応じて、補助添加剤を含む)と原水タンク22内の原水とを、温室内の日射センサ、土壌測定センサ、温湿度センサから測定された温室情報に応じて、養液供給装置内の混合タンクで混合し、混合した養液を温室の内部に供給するように構成される。
【0040】
養液供給装置20は、
図4に示すように、原水タンクから水を取り出す原水供給ポンプと、養液貯蔵タンクと原水のミキシングの役割を果たす養液供給ポンプと、養液以外の原水供給のためのハンドタップポンプとから構成され、さらに養液貯蔵タンクは、養液濃縮液の固体化を防止するために攪拌機モータがさらに接続される。
【0041】
養液供給制御装置20は、基本的に次のように構成される。
・養液供給制御システムは、1つの養液供給装置により、最小1区域から最大12区域まで別途に設定することができる。
・循環式水耕栽培において、温室から排出される排液を3ウェイバルブにより原水とともに供給する際に、4種類の排液をそれぞれ調節することのできる排液再活用コントローラに連動させることができる。
・潅水開始時間を日の出前、固定時間に設定することができる(毎日変化する日の出時間に応じて潅水開始時間が自動変更される)。
・1日を4つ以上の周期に区分し、各周期別に累積日射量による潅水、最小待機時間、最大待機時間などの設定値を変更することができ、根圏部の水分と養分の均衡を最適化することができる。
・時間(分:秒)による水量、1区域当たりの水量、1ドリッパー当たりの水量を選択して1回の潅水量を設定することができる。
・2つ以上のグループをそれぞれ設定し、潅水区域別に潅水方法を選択して用いることができる。
・区域別潅水量を決定する際に、時間と水量を複数の値に設定し、2つのうち先に達した値により潅水量を決定することができる(センサ誤作動防止プログラム)。
・EC/PHの上限、下限基準を有し、センサ誤作動があれば、センサ値を無視して比例制御任意設定値で養液を供給することができる。
・潅水区域別に潅水時間を別途に設定することができる。
・日射値に比例して設定EC値を減少させることができる。
・日射累積速度に応じて潅水設定値とEC設定値が自動的に変更される。
・供給された潅水量、EC値、PH値、回数、時間などのデータを保存することができる。
・温室用複合環境制御装置に連係して日射センサ値を共有し、PCで制御することができる。
・全日累積日射量により養液タンクを選択することができる。
【0042】
前述した機能を実現するために、本発明による養液供給制御装置20は、ユーザインタフェース機能、潅水量設定機能、時間別潅水設定機能、日射比例潅水設定機能、日射累積速度に応じた潅水量及びEC調節機能、一般設定機能、スケジュール機能、テキスト出力機能、グラフ出力機能を備える。具体的には、各機能は次の通りである。
1.ユーザインタフェース機能:区域別養液潅水の設定、残余、累積量及び環境状態を統合モニタリングすることができ、非常潅水供給、停止機能を有する。
2.潅水量設定機能:区域別に潅水区域の潅水量基準を設定することができる。
3.時間別潅水設定機能:最小1回から最大28回まで、時間別に潅水回数を設定することができる。
4.日射比例潅水設定機能:1~3グループに構成し、日射比例で潅水率を調整することができる。
5.日射累積速度に応じた潅水量及びEC調節機能:日射累積速度に応じて潅水量及びECが自動調整される。
6.一般設定機能:EC、PHなどの養液供給の基本設定である。
7.スケジュール機能:最小1区間から最大8区間までの区間に分け、潅水供給開始日、期間に応じて水量、EC目標を設定する。
8.テキスト出力機能:養液装置の設定値、現在値などの潅水情報及び環境検出値を表で提供する。
9.グラフ出力機能:養液装置の設定値、現在値などの潅水情報及び環境検出値をグラフで提供する。
【0043】
1.1 ユーザインタフェース機能
図7は、前述したようなユーザインタフェース画面のうち、第1養液装置の養液制御メイン画面の構成の一例を示す図である。
【0044】
A 区域情報としては、区域別設定供給量、残余供給量、累積供給量が表示される。表示される区域は、潅水量設定において設定された区域のみ表示される(
図7は使用説明のための例であり、4つの区域が設定された状態である)。
・設定量:区域の1回の潅水量である。区域に設定された潅水量と、潅水量調節が適用された最終潅水設定値と、が表示される。
・残余量:潅水区域の残余量である。区域設定潅水量から現在残っている潅水量が表示される。
・累積量:潅水区域の1日総潅水量である。1日に潅水された潅水量の総計である。
【0045】
B 養液装置状態情報としては、時間、供給EC及びpH、温室気象情報が表示される。
・開始:当日の養液装置潅水開始時間である。潅水設定のうち最も早い時間が表示される。
・終了:当日の養液装置潅水終了時間である。
・設定EC:現在の潅水区域の設定EC値(dS/m)である。
・設定pH:現在の潅水区域の設定pH値(pH)である。
・現在のEC:現在の潅水区域の供給EC値(dS/m)である。
・現在のpH:現在の潅水区域の供給pH値(pH)である。
・日付:養液装置の現在の日付(年/月/日)である。
・時間:養液装置の現在の時間(時:分:秒)である。
・日の出時間:当日の日の出時間である。
・日没時間:当日の日没時間である。
・現在日射:現在の日射(W/m2)である。
・累積日射:現在の累積日射量(J/cm2)である。
・流量パルス:現在の流量計のパルスである。養液装置の総流量が表示される。パルス単位に流量パルス(L)単位をかけた値が総潅水量である。
例)流量パルスが150日のとき、流量パルス(L)単位が10Lであれば、総潅水量は1500Lである(*流量センサを設置した場合に表示される機能である)。
・含水率:現在の培地含水率(%)である。
・培地EC:現在の培地EC(dS/m)である。
・培地温度:現在の培地温度(℃)である。
・室内温度:現在の温室の内部温度(℃)である。
・室内湿度:現在の温室の内部湿度(%)である。
・水分不足分:現在の温室の水分不足分(g/m3)である。
・配管EC:現在の配管内のEC値(dS/m)である。養液装置ECではなく、配管内のECを測定する。
*培地センサ及び温湿度センサはオプション設置装置である。
【0046】
C 潅水日射情報としては、グループ日射、30分間日射量、全日日射が表示される。
・G1:1グループ潅水後の累積日射量(J/cm2)である。
・G2:2グループ潅水後の累積日射量(J/cm2)である。
・G3:3グループ潅水後の累積日射量(J/cm2)である。
・J/30min:直近30分間に測定された累積日射量(J/cm2)である。
・J/Day:前日の累積日射量(J/cm2)である。
【0047】
D 非常潅水においては、養液装置非常潅水開始、非常潅水停止を手動操作することができる。
・非常潅水:設定された区域において非常潅水を開始する。
・非常潅水停止:設定された区域において非常潅水を停止する。非常潅水は潅水設定された区域を順に1回潅水する。非常潅水停止後に非常潅水すると、停止した区域から開始するのではなく、最初の区域から開始する。
【0048】
1.2 潅水量設定
図8は、前述したような養液供給装置の潅水量設定画面の一例を示す図である。潅水量設定においては、区域別潅水設定、潅水量、終了時間を設定することができる。
【0049】
A 区域設定においては、区域別潅水量を時間(分:秒)、区域水量(L)、cc/ドリッパー(cc)により設定し、EC、pHを設定する。
・時間(分:秒):潅水時間を分:秒単位で設定する。養液装置は、設定された時間(分:秒)だけ潅水する[入力:0000分秒(mmss)]。
・区域水量:潅水量をL単位で入力する。養液装置は、流量計を用いて設定された水量だけ潅水する[入力:0L](*流量計を設定した場合に用いることができる)。
・cc/ドリッパー:潅水量をドリッパー(ボタン)1つ当たりの潅水量(cc)で設定する。養液装置は1時間当たりのドリッパー容量を用いて設定した潅水量に応じて作動時間を調節する[入力:0cc]。
・設定EC:区域潅水ECを設定する(dS/m)[入力:0.0dS/m]。
・設定pH:区域潅水pHを設定する(pH)[入力:0.0pH]。
【0050】
B 潅水グループ設定においては、区域別潅水方法を設定する。
・日射比例グループに設定すると、区域潅水は日射比例潅水方法で制御される。
・時間潅水に設定すると、区域潅水は時間別潅水設定で制御される。
・日射比例潅水設定1グループ:1グループ日射比例潅水設定に設定する。
・日射比例潅水設定2グループ:2グループ日射比例潅水設定に設定する。
・日射比例潅水設定3グループ:3グループ日射比例潅水設定に設定する。
・時間潅水:時間別潅水設定に設定する。
・不使用:区域潅水を使用しない。
【0051】
C 養液装置潅水設定においては、ドリッパー及び流量計単位、潅水終了時間を設定する。
・ドリッパー容量:温室に用いるドリッパーの1時間当たりの潅水容量を設定する[入力:0.0L/hr]。
・流量/パルス:設置された流量計のパルス(1回カウント)単位を設定する[入力:0L]。
・終了時間:養液装置潅水を停止する終了時間を設定する。
・終了時間後は、潅水が開始せず、非常潅水も作動しない。
・固定:潅水終了時間を固定時刻に設定する[入力:0000時分(hhmm)]。
・日没:潅水終了時間を日没前の相対時間に設定する[入力:0000時分(hhmm)]。
・終了時間を固定と日没の両方に設定すると、日没設定に応じて潅水終了時間が設定される。
【0052】
1.3 時間別潅水設定
図9は、第1養液装置の時間別潅水設定の一例としてのユーザ画面を示す図である。時間別潅水設定においては、潅水量設定において時間潅水に設定した区域の潅水回数と回次別潅水時間を設定する。
【0053】
A 潅水時間においては、潅水回次別潅水を開始する時間を設定する。
・時間別潅水においては、1日最大29回まで潅水時間を設定することができる。
・各回次別時間をクリックすると、潅水時間を設定することができる[入力:0000時分(hhmm)]。
・使用しない時間には0を入力して、不使用に設定することができる。
・潅水時間は順に入力しなければならず、不使用を入力すると、それ以降は時間を入力しても潅水されない。
・入力された潅水時間が、次の潅水時間より遅い時間である場合は、次の潅水を開始しない。
【0054】
B 供給EC校正設定においては、校正速度と校正上限下限を設定する。
・EC速度設定においては、液肥ソレノイドバルブの作動間隔を設定し、EC上限及び下限においては、液肥ソレノイドバルブ作動時の作動時間を設定する。
・EC速度:EC設定値に基づいてセンサにより液肥ソレノイドバルブが調節される速度を設定する。この値が大きいほど調節速度が速くなる[入力:0%]。基本100%である。
・EC上限:液肥ソレノイドバルブが開く最大範囲を設定する[入力:0%]。
・EC下限:液肥ソレノイドバルブが開く最小範囲を設定する[入力:0%]。
・EC上限を100%に設定すると、ソレノイドバルブは最大100%作動する(EC下限を10%に設定すると、ソレノイドバルブは最小10%作動する(一般設定が設置時の基本設定であるとき))。
・センサ故障時に、EC上限及び下限に50%を入力すると、液肥ソレノイドバルブは1.5秒ずつ開閉する。
【0055】
C 作動条件においては、時間別潅水に適用する潅水量を設定する。
・時間別潅水に用いる潅水量は、潅水量設定において適用された区域別潅水量である。
【0056】
例えば、
図9(b)に示すように、潅水量設定において潅水量を時間(分:秒)3分0秒、区域水量500L、ドリッパー(cc)100ccに設定すると、時間別潅水設定の作動条件は次のようになる。
・時間で設定した場合の潅水量:養液装置は3分0秒間作動する。
・区域水量で設定した場合の潅水量:養液装置は流量計で測定される水量が500Lになるまで作動する。
・ドリッパー(cc)で設定した場合の潅水量:養液装置はドリッパー1つ当たり100ccになるまで作動する。
【0057】
1.4 日射比例潅水設定
日射比例潅水設定においては、
図9(a)に示すように、メイン画面で日射比例潅水を設定することができる。日射比例潅水設定においては、複数のグループを設定することができ、日射比例潅水設定タブで各グループを選択することができる。
【0058】
図9(b)は第1養液装置第1グループの日射比例潅水設定の一例を示す図である。
【0059】
A 周期設定においては、潅水開始時間及び待機時間、潅水日射、潅水率を設定する。潅水周期は、1日に4つの周期を設定することができる。
・開始時間:日の出後の時間と固定時間で設定された潅水周期開始時間が表示される。
・日の出後の時間:潅水開始時間を日の出後の相対時間に設定する[入力:0000時分(hhmm)]。
・固定時間:潅水開始時間を固定時刻に設定する[入力:0000時分(hhmm)]。
・日の出後の時間と固定時間の両方を入力すると、日の出後の時間に応じて開始時間が設定される。
・最小待機時間:最小潅水間隔を設定する。前回の潅水開始から最小待機時間以内では次の潅水を開始しない[入力:0000分秒(mmss)]。
・最大待機時間:最大潅水間隔を設定する。最大待機時間まで潅水を開始しないと、最大待機時間に潅水を開始する[入力:0000分秒(mmss)]。
例えば、日の出時間:5時11分、日没時間19時49分、日の出2時間後の潅水開始(7時11分)、日没3時間前の潅水終了(16時49分)、最小待機時間30分、最大待機時間3時間であり、曇っていて日射による潅水が行われず、最大待機時間に応じてのみ潅水が行われる場合、潅水は計3回給液される。
・累積日射:潅水を開始するグループ日射を設定する。グループ日射が累積日射設定値より大きくなると、潅水を開始する。
*累積日射使用有無において不使用を設定すると、潅水に日射は適用されず、待機時間に応じてのみ潅水が行われる[入力:0J/cm2]。
*現在のグループ日射はメイン画面の下段に表示される。
・潅水率:周期別グループ潅水量を調節することのできる潅水率を設定する。潅水量設定において設定された潅水量が潅水率において調節され、メイン画面の設定値に表示される[入力:0%]。
・潅水率100%には3.2の潅水量設定において設定された潅水量と同一の値が適用され、50%を入力すると潅水量設定の半分、150%を入力すると潅水量設定の1.5倍に潅水量が調節される。
【0060】
B グループ潅水条件においては、グループ別潅水量作動条件設定、窒素減肥、累積日射潅水率使用有無を設定する。
・作動条件:作動条件においては、潅水に適用する潅水量を時間、L、ccで設定する。時間(分:秒):潅水量設定において設定された時間(分:秒)をグループ潅水量に設定する。区域水量(L):潅水量設定において設定された区域水量(L)をグループ潅水量に設定する。ドリッパー(cc):潅水量設定において設定されたcc/ドリッパー(cc)をグループ潅水量に設定する。
【0061】
例えば、
図11のように、潅水量設定において潅水量を時間(分:秒)3分0秒、区域水量500L、ドリッパー(cc)100ccに設定すると、日射比例潅水設定の作動条件は次のようになる。
・時間で設定した場合の潅水量:養液装置は3分0秒間作動する。
・区域水量で設定した場合の潅水量:養液装置は流量計で測定される水量が500Lになるまで作動する。
・ドリッパー(cc)に設定した場合の潅水量:養液装置はドリッパー1つ当たり100ccになるまで作動する。
・日射比例潅水設定に用いる潅水量は、潅水量設定において適用された区域別潅水量である。
・窒素減肥使用:前日の累積日射量に応じて液肥タンクを変更する設定である。前日の累積日射量が窒素減肥使用設定値より小さいと、養液装置はA’B’液肥を用いる[入力:0J/cm
2]。
*窒素減肥機能を用いない場合は、必ず不使用に設定しなければならない(0を入力すると、不使用に設定される)
・累積日射使用有無:グループの潅水のための累積日射機能使用有無を選択する。
*不使用:日射に関係なく最大待機時間毎に潅水を開始する。
*使用:グループ日射が累積日射設定値より大きくなると、潅水を開始する。
・潅水率使用有無:グループ潅水率を調節する潅水率機能使用有無を選択する。
*不使用:不使用に設定すると、日射比例潅水グループには使用されない。
*使用:潅水量設定において入力された潅水量を潅水率で調節して潅水する。
【0062】
C 供給EC校正設定においては、校正速度及び校正上限下限を設定する。
・EC速度設定においては、液肥ソレノイドバルブの作動間隔を設定し、EC上限及び下限においては、液肥ソレノイドバルブ作動時の作動時間を設定する。
・EC速度:EC設定値に基づいてセンサにより液肥ソレノイドバルブが調節される速度を設定する。この値が大きいほど調節速度が速くなる[入力:0%]。基本100%である。
・EC上限:液肥ソレノイドバルブが開く最大範囲を設定する[入力:0%]。
・EC下限:液肥ソレノイドバルブが開く最小範囲を設定する[入力:0%]。
・EC上限を100%に設定すると、ソレノイドバルブは最大100%作動する。EC下限を10%に設定するとソレノイドバルブは最小10%作動する。
・センサ故障時に、EC上限及び下限に50%を入力すると、液肥ソレノイドバルブは1.5秒ずつ開閉する。
・日射比例潅水設定は、1~3グループにそれぞれ設定することができる。
【0063】
1.5 日射累積速度に応じた潅水量及びEC値調節
図12は日射累積速度に応じた潅水量及びEC値調節のための画面構成の一例を示す図である。
・日射累積速度に応じた潅水量及びEC値調節は、累積日射範囲を設定し、30分間累積日射が設定値より大きいと、潅水量及び設定ECを調節することのできる設定である。
・日射比例潅水設定の複数グループ(例えば、3つ)に対して調節範囲を設定することができる。
・水分不足分調節は、3つのグループの全てに適用される潅水率調節設定である。
【0064】
A 日射累積速度調節においては、日射比例潅水グループ別に日射範囲、潅水率、設定EC調節を設定する。
・日射累積速度調節においては、潅水時点の30分間累積日射量(J/30分)に応じて潅水量及び供給ECを調節する。
・1グループ:J/30分1、潅水量調節1、EC値調節1である。
・2グループ:J/30分2、潅水量調節2、EC値調節2である。
・3グループ:J/30分3、潅水量調節3、EC値調節3である。
・J/30分:30分間累積日射範囲を5つまで設定する。設定値よりグループ日射が高くなると、調節値が適用される[入力:0J/cm2]
・潅水量調節:30分間累積日射範囲別潅水量調節値を設定する[入力:0%]。基本100%である。
・EC値調節:30分間累積日射範囲別EC調節値を設定する[入力:0%]。基本100%である。
・日射累積速度調節が設定されると、一般設定の日射調節は適用されない。
【0065】
B 水分不足分調節設定は、温室水分不足分により潅水率を調節する設定である。
・水分不足分による潅水量調節のためには、温湿度センサの設置が必要である。
・範囲1~4:水分不足分範囲を設定する[入力:0g/m3]。基本不使用である。
・調節1~4:水分不足分範囲による潅水率調節値を設定する[入力:0%]。基本不使用である。
・0を入力すると、不使用に設定される。
・水分不足分調節を用いない場合は、全ての設定に不使用を入力する。
*[0]を入力すると、不使用に設定される。
・潅水時点で30分間累積日射量と水分不足分が範囲1の設定値より小さいと、日射累積速度に応じた潅水量及びEC値調節と水分不足分調節は適用されない。
【0066】
1.6 一般設定
図13は、養液供給装置の一般設定のための画面構成の一例を示す図である。一般設定により警報及びセンサ校正、経緯度などの養液装置設定値を設定することができる。
【0067】
A 養液装置EC、pH校正設定においては、警報偏差、校正範囲などを設定する。
・EC警報偏差:現在のEC及び設定ECの偏差範囲を設定する。
現在のECと設定ECとの差がEC警報偏差より大きくなると、供給ポンプを停止する[入力:0.0dS/m]。
現在のECが設定ECよりEC警報偏差以上大きくなると、EC高濃度警報を発生する。
現在のECが設定ECよりEC警報偏差以上小さくなると、EC低濃度警報を発生する。
・EC警報遅延:EC警報を発生する警報遅延時間を設定する。
警報遅延時間が経過しても継続して偏差がある場合は、警報を発生する[入力:0000分秒(mmss)]。
・pH警報偏差:現在のpH及び設定pHの偏差範囲を設定する。
現在のpHと設定pHとの差がpH警報偏差より大きくなると、供給ポンプを停止する[入力:0.0pH]。
現在のpHが設定pHよりpH警報偏差以上大きくなると、pH高濃度警報を発生する。
現在のpHが設定pHよりpH警報偏差以上小さくなると、pH高濃度警報を発生する。
・pH警報遅延:pH警報を発生する警報遅延時間を設定する。
警報遅延時間が経過しても継続して偏差がある場合は、警報を発生する[入力:0000分秒(mmss)]。
・有効日射量:設定値以下の日射は累積日射量として測定されない[入力:0W/m
2]。
・pH上限開放:pHソレノイドバルブが開く最大範囲を設定する[入力:0%]。
・pH下限開放:pHソレノイドバルブが開く最小範囲を設定する[入力:0%]。
・センサ故障時に、pH上限及び下限に50%を入力すると、液肥ソレノイドバルブは1.5秒ずつ開閉する。
・EC微細速度:現在のECと設定ECの差がEC校正範囲設定値以内である場合に適用されるEC校正速度を設定する(30%が基本であり、高いほど校正速度が速くなる)[入力:0%]。
・EC校正範囲:
図14に示すように、EC微細速度を適用するEC校正範囲を設定する。
*現在のECと設定ECとの差がEC校正範囲内であれば、EC微細速度を適用する[入力:0.0dS/m]。
・pH微細速度:現在のpHと設定pHとの差がpH校正範囲設定値以内である場合に適用されるpH校正速度を設定する(30%が基本であり、高いほど校正速度が速くなる)[入力:0%]。
・pH校正範囲:pH微細速度を適用するpH校正範囲を設定する。
現在のpHと設定pHとの差がpH校正範囲内であれば、pH微細速度を適用する[入力:0.0pH]。
・pH校正速度:pH設定値に基づいてセンサによりpHソレノイドバルブが調節される速度を設定する。この値が大きいほど調節速度が速くなる[入力:0%]。基本100%である。
【0068】
B センサ校正においては、ECセンサ、pHセンサ、日射センサのゼロ・スパンを設定する。
・ゼロ:各センサのゼロ値を入力する(出力がDC4~20mAである場合)。
EC1:210である。
EC2:210である。
pH:210である。
日射:0である。
・スパン:各センサのスパン値を入力する(出力がDC4~20mAである場合)。
EC1:64(範囲が0~5である場合)又は124(範囲が0~10である場合)である。
EC2:64(範囲が0~5である場合)又は124(範囲が0~10である場合)である。
pH:173である。
日射:1000である。
【0069】
C ソレノイドバルブ補正においては、液肥ソレノイドバルブの信号長を補正する。
・補正:液肥ソレノイドバルブの動作時間を補正する[入力:0]。基本100である。
基本値より大きい値を入力すると長く作動し、小さい値を入力すると短く作動する。
【0070】
D 日射EC減少においては、外部日射に応じて設定ECを調節する。
・日射EC減少:日射による設定EC調節値を設定する[入力:0.0dS/m]。
・最小日射:日射EC減少を開始する最小日射を設定する[入力:0W/m2]。
・最大日射:日射EC減少が最大に適用される最大日射を設定する[入力:0W/m2]。
*日射累積速度に応じた潅水量及びEC値調節が適用されると、日射EC減少は適用されない。
【0071】
E 経緯度設定は、養液装置の天文計算に適用される。
【0072】
F 液肥ソレノイドバルブの作動周期及び流量計信号周期を設定する。
・液肥周期:液肥ソレノイドバルブ作動基準時間を設定する[入力:0]。基本300である。
300を入力した場合:ソレノイドバルブは3秒を基準時間として作動する。
液肥周期設定において設定された時間にEC・pH上限・下限などのソレノイドバルブ補正時間が制御される。
・流量信号周期:流量計のパルス(1回カウント)信号が設定時間内に伝達されないと、低流量警報を発生し、その後養液装置システムを停止する[入力:0000分秒(mmss)]。
【0073】
1.7 スケジュール設定機能
図15は、第1養液装置のスケジュール設定に関する画面の一例を示す図である。
・スケジュール機能においては、期間に応じて潅水量及び設定ECを調節する。
・開始日及び期間を設定すると、3.2の潅水量設定、3.5の日射比例潅水設定において設定した潅水量及び設定ECが設定した開始日から設定した期間かけて水量/EC目標値に比例調節される。
・区間:スケジュールを設定する区間を表示する。
・開始日:スケジュール区間を開始する開始日を設定する[入力:0000月日(MMDD)]。
・期間:水量/EC目標設定調節が適用される最終日を設定する。
【0074】
区間の水量/EC目標調節は、設定した開始日から設定した期間かけて比例して適用され、期間設定値以降は水量/EC目標調節された値で潅水される[入力:0日]。
・水量/EC目標:水量及び設定EC調節値を設定する。
1.水量/EC目標:1グループ潅水設定を調節する[入力:0%]。
2.水量/EC目標:2グループ潅水設定を調節する[入力:0%]。
3.水量/EC目標:3グループ潅水設定を調節する[入力:0%]。
・水量/EC目標入力値100%は潅水量設定、日射比例潅水において設定された基本設定値であることを示し、50%は設定値の50%、120%は設定値の120%であることを示す。
・次の区間は、前の区間の最終潅水設定に基づいて潅水量及び設定ECを調節する。
・スケジュール機能を用いない場合は、開始日に不使用を入力しなければならない(0000入力)。
【0075】
例えば、
図16に示すように、11月10日に1区間が開始し、期間が10日である場合、水量/EC目標調節値は毎日1/10ずつ調節され、11月19日に潅水量及び設定ECがスケジュール機能に入力された値に調節される。
【0076】
1.8 テキスト出力機能
図17は、複数の養液装置のうち1番養液装置のテキスト出力の一例としての画面を示す図であり、テキスト出力は養液装置の設定値、現在値などの潅水情報を表で提供する。
【0077】
A 照会期間及び間隔、照会項目において照会開始時間と終了時間、データ照会間隔、照会項目を設定する。
・項目:設定量、残余量、累積量、設定EC&pH、現在のEC&pH、培地含水率、培地温度、培地EC、配管EC、内部温度、内部湿度、水分不足分、グループ日射量、30分間日射量、全日日射量設定量及び残余量、累積量は、時間(分:秒)、区域水量(L)、cc/ドリッパー(cc)のうち設定された値で表示される。
【0078】
B データ間隔設定に応じて時間順にデータが出力される。
【0079】
1.9 グラフ出力機能
図18は、複数の養液装置のうち1番溶液装置のグラフ出力の一例としての画面を示す図であり、グラフ出力は養液装置の設定値、現在値などの潅水情報をグラフで提供する。
【0080】
A 照会開始日及び終了日を設定する。
【0081】
B 設定された期間及び項目のグラフが表示される。縦軸はCの項目選択においてクリックした項目に変更される。
【0082】
C 項目選択においては、グラフで照会するデータ項目を選択する。
・照会項目を選択してAの照会ボタンをクリックすると、グラフが出力される。
【0083】
D 選択された項目における照会期間中の平均値、最小値、最大値を確認することができる。
【0084】
また、
図2及び
図3に示すように、排液再活用装置160は、温室の排液を集水・殺菌して再活用できるように備えられ、ここで、集水される排液は、自動制御ステップで殺菌され、殺菌時間及び殺菌装置出力設定により殺菌容量が調節される。排液再活用装置は、排液モニタリング装置を用いて排液再活用基準を設定し、再活用に適さない排液は、原水で希釈して排出される。殺菌された排液は、供給時に原水と混合して供給され、設定濃度に応じて混合比が自動制御される。
【0085】
排液再活用装置は、排液を殺菌して貯蔵しておき、供給時に再活用するシステムであり、基本作動の流れは次の通りである。
(1)排液集水→(2)モニタリング→(3)排液貯蔵→(4)サンドフィルタ→(5)殺菌装置→(6)殺菌排液貯蔵→(7)養液供給
【0086】
排液集水は、循環式水耕栽培システムに主に用いられるものであり、排液を集水し、濾過・殺菌処理後に貯蔵しておき、培養液の供給時に混合して用いるものである。モニタリングステップにおいて、EC、pH、排液量を測定し、殺菌前のステップにおいて、必要に応じてNa+以外のイオン濃度などをモニタリングする。
【0087】
再活用される排液は、貯蔵され、サンドフィルタ濾過を経て殺菌装置により殺菌される。殺菌装置の作動時間及び周期は自動制御設定され、殺菌された排液は殺菌排液タンクに貯蔵され、養液供給時に原水と混合して用いられる。排液の再活用率(希釈率)は、原水と混合した溶液のECを測定し、設定したECに基づいて自動制御される。
【0088】
前述した装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素の組み合わせにより実現される。例えば、実施形態において説明した装置及び構成要素は、例えばプロセッサ、コントローラ、ALU(Arithmetic Logic Unit)、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor)、マイクロコンピュータ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLU(Programmable Logic Unit)、マイクロプロセッサ、又はコマンド(Command)を実行して応答する他の装置のように、1つ以上の汎用コンピュータ又は特殊目的コンピュータを用いて実現される。処理装置は、OS及び前記OS上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行する。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータにアクセス、保存、操作、処理及び生成する。理解の便宜上、1つの処理装置を用いるように説明することもあるが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、処理装置が複数の処理要素(Processing Element)及び/又は複数タイプの処理要素を含むことを理解するであろう。例えば、処理装置は、1つ又は複数のプロセッサ及び1つのコントローラを含む。また、並列プロセッサ(Parallel Processor)などの他の処理構成(Processing Configuration)を用いるようにしてもよい。
【0089】
ソフトウェアは、コンピュータプログラム(Computer Program)、コード(Code)、コマンド(Command)、又はそれらの1つ以上の組み合わせを含んでもよく、所望の動作をするように処理装置を構成してもよく、独立して又は集団として(Collectively)処理装置に命令するようにしてもよい。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置にコマンドもしくはデータを供給できるように、又は処理装置により解析されるように、特定タイプの機械、構成要素(Component)、物理的装置、仮想装置(Virtual Equipment)、コンピュータ記憶媒体又は装置に具現化(Embody)される。ソフトウェアは、ネットワークにより接続されるコンピュータシステム上に分散するようにしてもよく、分散したまま保存又は実行されるようにしてもよい。ソフトウェア及びデータは、1つ以上のコンピュータ可読記録媒体に保存される。
【0090】
実施形態による方法は、様々なコンピュータ手段により実行できるプログラムコマンド状に形成され、コンピュータ可読媒体に記録されるようにしてもよい。前記コンピュータ可読媒体は、プログラムコマンド、データファイル、データ構造などを単独で又は組み合わせて含んでもよい。前記媒体に記録されるプログラムコマンドは、実施形態のために特別に設計されて構成されたものであってもよく、当該技術分野における通常の知識を有する者に公知の使用可能なものであってもよい。コンピュータ可読記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープなどの磁気媒体(Magnetic Media)、CD-ROM、DVDなどの光媒体(Optical Media)、フロプティカルディスク(Floptical Disk)などの光磁気媒体(Magneto-Optical Media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどのプログラムコマンドを保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が挙げられる。プログラムコマンドの例としては、コンパイラにより作成された機械語コードをはじめとして、インタプリタなどを用いてコンピュータにより実行される高級言語コードが挙げられる。
【0091】
このように、本発明は限られた実施形態及び図面により説明されているが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、これらの記載から様々な変更及び変形が可能であろう。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で実行され、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態に組み合わせられ、及び/又は、他の構成要素もしくは均等物に代替もしくは置換されたとしても、好ましい結果が得られる。
【0092】
よって、他の実施形態、実施例及び請求の範囲の均等物も本発明に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0093】
10 温室グループ
20 養液供給装置
30 サーバ
40 ユーザ端末
100 センサグループ
150 駆動装置グループ
160 排液再活用装置