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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121392
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
A63F7/02 308F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028473
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】593045053
【氏名又は名称】株式会社NAITO
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小竹 均
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA09
2C088DA23
(57)【要約】
【課題】スラスト方向に大きな荷重がかかっても、発射ハンドルをスムーズに回動させる。
【解決手段】遊技機は、遊技盤と、遊技盤に遊技球を発射する発射装置と、遊技者の回動操作により発射装置による遊技球の発射強度を調整する発射ハンドルと、遊技盤の下方において前方に突出する支持部材と、を備える。発射ハンドルは、支持部材の上面に回動可能に支持されるハンドル本体と、ハンドル本体に対するスラスト方向の荷重を受ける軸受け部材と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤と、
前記遊技盤に遊技球を発射する発射装置と、
遊技者の回動操作により、前記発射装置による遊技球の発射強度を調整する発射ハンドルと、
を備える遊技機であって、
前記遊技盤の下方において、前方に突出する支持部材を備え、
前記発射ハンドルは、前記支持部材の上面に回動可能に支持されるハンドル本体と、前記ハンドル本体に対するスラスト方向の荷重を受ける軸受け部材と、を有する、
遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記発射ハンドルは、発射強度が弱まる回動方向に前記ハンドル本体を付勢する付勢部材と、前記ハンドル本体の回動に対して減衰力を付与する減衰力付与部材と、を有し、
前記減衰力付与部材は、前記ハンドル本体の回動位置に応じて付与する減衰力を変更する、
遊技機。
【請求項3】
請求項2に記載の遊技機であって、
前記ハンドル本体が初期位置と当該初期位置から所定量回動した所定回動位置との間を回動する場合には遊技球を発射せず、前記ハンドル本体が前記所定回動位置と最大量回動した最大回動位置との間を回動する場合には前記最大回動位置に近づくほど発射強度が強くなるように構成され、
前記減衰力付与部材は、前記初期位置と前記所定回動位置との間を回動する場合の方が前記所定回動位置と前記最大回動位置との間を回動する場合よりも前記ハンドル本体の回動に対して大きな減衰力を付与する、
遊技機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の遊技機であって、
前記減衰力付与部材は、前記支持部材側に固定されるロータリダンパと、偏心ピンの旋回運動を前記ロータリダンパの回転運動に変換するカム部材と、前記ハンドル本体側に固定されると共に前記ハンドル本体の回動軸の周りに前記偏心ピンが係合する半円弧状のスリットを有するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記ハンドル本体の回動量に対する前記偏心ピンの旋回量が前記ハンドル本体の回動位置に応じて変化するように、半円弧の曲率が変化している、
遊技機。
【請求項5】
請求項2または3に記載の遊技機であって、
前記軸受け部材は、前記ハンドル本体の回動軸の延在方向から見て前記減衰力付与部材を包含する円周上に配置される、
遊技機。
【請求項6】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の遊技機であって、
前記操作ハンドルは、センサを備え、
前記軸受け部材は、前記ハンドル本体の回動軸の延在方向から見て前記センサを包含する円周上に配置される、
遊技機。
【請求項7】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の遊技機であって、
前記発射ハンドルは、前記遊技機の正面側から見たときに、水平線に対して右下がりに傾いた状態で、前記支持部材に回動可能に支持されている、
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発射ハンドルを備える遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機としては、前面枠に取り付けられた遊技盤と、遊技盤の遊技領域へ遊技球を発射する発射装置と、操作者の回動操作によって発射装置の発射勢を調整する発射ハンドルと、を備えるものにおいて、前面枠における遊技盤の下方に配置されて前面枠の前面から前方に突出するハンドル支持台を設け、ハンドル支持台の上部に発射ハンドルを回動可能に設けたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この遊技機では、発射ハンドルは、上方を向き、その回動中心軸が上下方向に延びるように設置される。これにより、発射ハンドルを回動操作する遊技者の疲労を軽減することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-148152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した遊技機では、発射ハンドルは、遊技者により手の平が発射ハンドルの上に載るようにして把持される。この場合、発射ハンドルに対してスラスト方向に大きな荷重がかかり、摩擦により発射ハンドルの回動がスムーズに行なわれないおそれが生じる。
【0005】
本発明の遊技機は、スラスト方向に大きな荷重がかかっても、発射ハンドルをスムーズに回動させることが可能な遊技機を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の遊技機は、
遊技盤と、
前記遊技盤に遊技球を発射する発射装置と、
遊技者の回動操作により、前記発射装置による遊技球の発射強度を調整する発射ハンドルと、
を備える遊技機であって、
前記遊技盤の下方において、前方に突出する支持部材を備え、
前記発射ハンドルは、前記支持部材の上面に回動可能に支持されるハンドル本体と、前記ハンドル本体に対するスラスト方向の荷重を受ける軸受け部材と、を有する、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の遊技機では、遊技盤の下方において前方に突出する支持部材を備え、発射ハンドルは、支持部材の上面に回動可能に支持されるハンドル本体と、ハンドル本体に対するスラスト方向の荷重を受ける軸受け部材と、を有する。前方に突出する支持部材の上面にハンドル本体が回動可能に支持されるタイプの遊技機においては、遊技者の手の平をハンドル本体の上に載せることができ、ハンドル本体に対してスラスト方向に大きな荷重がかかりやすい。本発明の遊技機では、スラスト方向の荷重を受ける軸受け部を設けることで、遊技者は、ハンドル本体に対してスラスト方向に大きな荷重がかかった状態でも、発射ハンドル(ハンドル本体)をスムーズに回動させることができる。
【0009】
こうした本発明の遊技機において、前記発射ハンドルは、発射強度が弱まる回動方向に前記ハンドル本体を付勢する付勢部材と、前記ハンドル本体の回動に対して減衰力を付与する減衰力付与部材と、を有し、前記減衰力付与部材は、前記ハンドル本体の回動位置に応じて付与する減衰力を変更してもよい。この場合、前記ハンドル本体が初期位置と当該初期位置から所定量回動した所定回動位置との間を回動する場合には遊技球を発射せず、前記ハンドル本体が前記所定回動位置と最大量回動した最大回動位置との間を回動する場合には前記最大回動位置に近づくほど発射強度が強くなるように構成され、前記減衰力付与部材は、前記初期位置と前記所定回動位置との間を回動する場合の方が前記所定回動位置と前記最大回動位置との間を回動する場合よりも前記ハンドル本体の回動に対して大きな減衰力を付与してもよい。こうすれば、遊技者がハンドル本体から手を離した際に、所定回動位置までは付勢部材の付勢力によりハンドル本体を素早く戻すことができ、所定回動位置以降は、比較的大きな減衰力によりハンドル本体が初期位置に戻る際の衝撃を緩和することができる。これらの場合、前記減衰力付与部材は、前記支持部材側に固定されるロータリダンパと、偏心ピンの旋回運動を前記ロータリダンパの回転運動に変換するカム部材と、前記ハンドル本体側に固定されると共に前記ハンドル本体の回動軸の周りに前記偏心ピンが係合する半円弧状のスリットを有するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記ハンドル本体の回動量に対する前記偏心ピンの旋回量が前記ハンドル本体の回動位置に応じて変化するように、半円弧の曲率が変化してもよい。こうすれば、簡易かつコンパクトな構成により、付与する減衰力を変更することができる。さらにこれらの場合、前記軸受け部材は、前記ハンドル本体の回動軸の延在方向から見て前記減衰力付与部材を包含する円周上に配置されてもよい。こうすれば、軸受け部材の大径化によりハンドル本体に対するスラスト荷重を当該ハンドル本体の外周側で受けることができ、ハンドル本体を安定的に支持することができる。また、減衰力付与部材を操作ハンドルにコンパクトに収めることができる。
【0010】
また、本発明の遊技機において、前記操作ハンドルは、センサを備え、前記軸受け部材は、前記ハンドル本体の回動軸の延在方向から見て前記センサを包含する円周上に配置されてもよい。こうすれば、軸受け部材の大径化によりハンドル本体に対するスラスト荷重を当該ハンドル本体の外周側で受けることができ、ハンドル本体を安定的に支持することができる。また、必要なセンサを操作ハンドルにコンパクトに収めることができる。
【0011】
また、本発明の遊技機において、前記発射ハンドルは、前記遊技機の正面側から見たときに、水平線に対して右下がりに傾いた状態で、前記支持部材に回動可能に支持されてもよい。こうすれば、遊技者が発射ハンドルを把持し易くすることができる。また、発射ハンドルを傾けて配置することで、発射ハンドルを水平に配置するものに比して、スラスト方向の荷重を低減させることができ、発射ハンドルの回動をよりスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の遊技機1の構成の概略を示す構成図である。
図2】支持台10に設けられた発射ハンドル20の外観斜視図である。
図3】発射ハンドル20を遊技機1の正面側から見たときの平面図である。
図4】発射ハンドル20の分解斜視図である。
図5】発射ハンドル20をその回動軸を通る面で切断した断面図である。
図6】ハンドル本体30とユニットベース40とスラストベアリング部45の分解斜視図である。
図7】位置センサ52と可変抵抗60とダンパユニット70とこれらを保持するメカステー50の外観図である。
図8】ジョイントスペーサ34(ハンドル本体側)の回動運動をロータリダンパ71の回転運動に変換する様子を示す説明図である。
図9】ハンドル本体側の入力角とロータリダンパ側の出力角との関係を示す説明図である。
図10】変形例のダンパユニットにおけるハンドル本体側の回動運動をロータリダンパの回転運動に変換する様子を示す説明図である。
図11】変形例のダンパユニットにおけるハンドル本体側の回動運動をロータリダンパの回転運動に変換する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の遊技機1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、支持台10に設けられた発射ハンドル20の外観斜視図であり、図3は、発射ハンドル20を遊技機1の正面側から見たときの平面図であり、図4は、発射ハンドル20の分解斜視図であり、図5は、発射ハンドル20をその回動軸を通る面で切断した断面図である。また、図6は、ハンドル本体30とユニットベース40とスラストベアリング部45の分解斜視図であり、図7は、位置センサ52と可変抵抗60とダンパユニット70とこれらを保持するメカステー50の外観図である。
【0015】
本実施形態の遊技機1は、図1に示すように、略長方形状の本体2と、本体2の前面中央に図示しない透明板を介して視認可能に設けられ遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤3と、遊技盤3の下方の前面パネル4に設けられ遊技球を貯留する上受け皿5および下受け皿6と、上受け皿5に貯留されている遊技球を遊技盤3へ発射する発射装置7と、発射装置7から発射される遊技球の勢い(発射強度)を調整するための発射ハンドル20と、を備える。
【0016】
遊技盤3の遊技領域には、図示しないが、センター役物や始動口、大入賞口、多数の釘などが設けられている。本実施形態の遊技機1は、遊技者による発射ハンドル20の回動操作に基づいて発射装置7により遊技領域に発射された遊技球が始動口や大入賞口に入球されることで遊技を進行する。
【0017】
遊技機1は、前面パネル4の右部において前方に突出する支持台10が設けられている。図2に示すように、支持台10の上面後方には、発射ハンドル20を回動可能に支持する支持部11が設けられ、支持台10の上面前方には、アームレスト部12が設けられている。また、支持台10における発射ハンドル20の左隣には、遊技者が発射ハンドル20を把持した状態で遊技球の打ち出しを止めるための止め打ちボタン21が配置されている。
【0018】
支持部11は、本実施形態では、図3(a)に示すように、遊技機1の正面側から見たときに、水平線に対して所定角度θ1、右下がりに傾いた状態で、発射ハンドル20を回動可能に支持している。これにより、遊技者が手の平を発射ハンドル20の上に載せて当該発射ハンドル20を把持し易くすることができる。また、発射ハンドル20を傾けて配置することで、発射ハンドル20を水平に配置するものに比して、スラスト方向の荷重を低減させることができ、発射ハンドル20の回動をよりスムーズにすることができる。ここで、所定角度θ1は、好ましくは、10度~25度、より好ましくは15度~20度の範囲で適宜設定することができる。本実施形態では、所定角度θ1は、17.5度とした。
【0019】
アームレスト部12は、遊技者が発射ハンドル20を把持した際に手首を置くことができる部分であり、長時間の発射ハンドル20の操作による疲労を軽減する。ここで、アームレスト部12は、図3(b)に示すように、水平線に対して所定角度θ2、表面(接触面)が右下がりに傾くように形成される。所定角度θ2は、好ましくは、所定角度θ1よりも5度~15度小さい傾斜角の範囲で適宜設定することができる。本実施形態では、所定角度θ2は、所定角度θ1(17.5度)よりも10度小さい7.5度とした。これにより、発射ハンドル20の傾斜により遊技者が当該発射ハンドル20を把持し易くなることに加えて、アームレスト部12の発射ハンドル20と同側かつ発射ハンドル10よりも小さい傾斜角による傾斜によって疲労の軽減効果をより高めることが可能となる。また、アームレスト部12には、振動デバイス(図示せず)を内蔵することもできる。振動デバイスは、例えば、遊技の進行に応じた演出や報知に用いることができる。
【0020】
発射ハンドル20は、図4および図5に示すように、ハンドル本体30と、ユニットベース40と、スラストベアリング部45と、メカステー50と、接触センサ51と、位置センサ52と、可変抵抗60と、ダンパユニット70と、を備える。
【0021】
ハンドル本体30は、ハンドルベース33と、ハンドルベース33の上部に固定されるハンドル天面部31およびハンドルサイド外装部32と、ハンドルベース33の下部に固定されるジョイントスペーサ34と、を有する。ハンドルサイド外装部32は、ハンドル天面部31の周りに配置される環状の外表面を有し、当該外表面には、導通性を有するように金属めっきが施されている。ハンドルサイド外装部32の金属めっき部は、接触センサ51と電気的に接続されており、接触センサ51は、遊技者がハンドル本体30(ハンドルサイド外装部32の外表面)に触れていることを検知する。
【0022】
ハンドルベース33は、ユニットベース40に対して回動可能に支持されている。図5に示すように、ハンドルベース33の回動中心部には、下方に突出する筒状の突出部33pが形成されている。また、ハンドルベース33の外周底部には、環状かつ平坦な環状平坦面33fが形成されている。
【0023】
ジョイントスペーサ34は、図5に示すように、ユニットベース40を挟んでハンドルベース33に固定される抜け止め板であると共にハンドルベース33と可変抵抗60のシャフト60sとを連結する連結部材である。ジョイントスペーサ34の回動中心部には、上下に貫通する貫通孔34oが形成され、当該貫通孔34oの周囲には、下方に突出する筒状の突出部34pが形成されている。突出部34pの外周面には、コイル状のリターンスプリング38が挿通されている。リターンスプリング38は、図4に示すように、2つのばね腕部を有するコイルばねであり、一方のばね腕部は、ユニットベース40に係止され、他方のばね腕部は、ジョイントスペーサ34に係止される。これにより、リターンスプリング38は、ジョイントスペーサ34(ハンドル本体30)を、図2中、反時計回り(発射装置7の発射強度を弱める方向)に付勢する。
【0024】
ユニットベース40は、支持台10に固定されている。図5に示すように、ユニットベース40の中央部には、上下に貫通する貫通孔40oが形成されている。貫通孔40oには、ハンドルベース33の突出部33pが挿通され、突出部33pの突出端面には、ジョイントスペーサ34がねじ35により固定される。これにより、ハンドル本体30は、ユニットベース40に対して抜け止めされる。
【0025】
また、図5に示すように、ユニットベース40の貫通孔40oの内周面とハンドルベース33の突出部33pの外周面との間には、ベアリング36(ラジアルベアリング)が設置されており、ハンドルベース33(ハンドル本体30)は、径方向において、ベアリング36を介してユニットベース40、即ち支持台10に対して回動可能に支持される。なお、ベアリング36は、省略されてもよい。
【0026】
また、図6に示すように、ユニットベース40は、上段が小径で下段が大径の2段の円筒形状により形成されている。ユニットベース40の大径円筒部分の上面に形成される環状端面40fには、スラストベアリング部45が配置される。スラストベアリング部45は、環状のリテーナ46と、リテーナ46の周方向に転動可能にリテーナ46に保持される複数のボール47と、を有する。スラストベアリング部45は、複数のボール47が上述したハンドルベース33の環状平坦面33fと接触することで(図5参照)、ハンドルベース33(ハンドル本体30)に対するスラスト方向の荷重を受けつつ、ハンドルベース33(ハンドル本体30)をユニットベース40に対して回動自在に支持する。なお、スラストベアリング部45は、ローラ式のベアリングにより構成されてもよい。また、リテーナ部がユニットベース40に一体的に形成されてもよい。
【0027】
メカステー50は、図7に示すように、位置センサ52や可変抵抗60、ダンパユニット70を保持するものであり、ユニットベース40に固定される。上述したスラストベアリング部45が配置されるユニットベース40の環状端面40fは、ハンドル本体30の回動軸の延在方向から見て、位置センサ52、可変抵抗60およびダンパユニット70を包含する円周上に形成される。これにより、スラストベアリング部45は、ハンドル本体30の外周側で接触して、ハンドル本体30に対するスラスト方向の荷重を受けることができ、ハンドル本体30を安定的に支持することができる。
【0028】
位置センサ52は、図7に示すように、所定の間隔をおいて互いに対向するように配置された発光部52aと受光部52bとを有するフォトセンサである。ジョイントスペーサ34(図中、破線参照)の外周部には下方に延出する遮蔽部34bが設けられている。ハンドル本体30が遊技球を発射させない原点θ0に位置するときには、遮蔽部34bは、発光部52aと受光部52bとの間に位置し、発光部52aから受光部52bへ向かう光を遮蔽する。一方、ハンドル本体30が原点θ0以外に位置するときには、遮蔽部34bは、発光部52aと受光部52bとの間を離れ、発光部52aからの光は受光部52bに受光される。これにより、位置センサ52は、ハンドル本体30が原点θ0にあることを検知する。
【0029】
可変抵抗60のシャフト60sには、図5に示すように、可変抵抗ジョイント61が装着されている。可変抵抗ジョイント61は、可変抵抗60のシャフト60sとジョイントスペーサ34(ハンドル本体30)とを同軸かつ相対回転不能に連結する。これにより、ハンドル本体30の回動量(操作量)が可変抵抗60によって検出される。また、可変抵抗60のシャフト60sとジョイントスペーサ34(ハンドル本体30)との間に、可変抵抗ジョイント61を介在させることで、ハンドル本体30に対して径方向の力が作用しても、その力をある程度、吸収することができ、部品の破損等を防止することができる。
【0030】
ダンパユニット70は、ハンドル本体30の回動に対して減衰力を付与するものである。図7に示すように、ダンパユニット70は、ロータリダンパ71と、ロータリダンパ71の回転軸71aに相対回転不能に嵌合される嵌合孔72aと当該回転軸71aに対して偏心した位置に設けられた円柱状のピン72bとを有するダンパカム72と、ピン72bの外周面に取り付けられるカム用のベアリング73と、ピン72bがベアリング73と共に係合される半円弧状のスリット34sと、を備える。スリット34sは、ジョイントスペーサ34に形成され、ピン72bは、ジョイントスペーサ34(ハンドル本体30)の回動に伴ってスリット34sに沿って相対移動することで、ロータリダンパ71の回転軸71aの周りを旋回する。これにより、ハンドル本体30の回動運動はロータリダンパ71の回転運動に変換され、ハンドル本体30に対してロータリダンパ71による減衰力が付与される。なお、ベアリング73は、省略されてもよい。
【0031】
また、半円弧状のスリット34sは、図8に示すように、一方側に進むにつれて、ジョイントスペーサ34(ハンドル本体30)の回動軸34aとの距離が徐々に変化するように形成される。言い換えると、半円弧状のスリット34sは、一方側に進むにつれて曲率が徐々に変化するように形成される。これにより、ハンドル本体30の回動位置(入力角)とロータリダンパ71の回転位置(出力角)とは、図9に示すように、入力角の変化に対して出力角が曲線状に変化するような関係を有する。ロータリダンパ71は、単位時間当りの回転量が大きいほど大きな減衰力を発生するから、ダンパユニット70は、ハンドル本体30の回動位置に応じてハンドル本体30の回動に対して付与する減衰力を変更するものとなる。具体的には、スリット34sの曲率が比較的小さい範囲内にダンパカム72のピン72bが位置する場合には、ハンドル本体30の回動位置(入力角)の変化量に対してロータリダンパ71の回転位置(出力角)の変化量が小さくなり、当該ハンドル本体30に対して付与される減衰力が小さくなる。一方、スリット34sの曲率が比較的大きい範囲内にダンパカム72のピン72bが位置する場合には、ハンドル本体30の回動位置(入力角)の変化量に対してロータリダンパ71の回転位置(出力角)の変化量が大きくなり、当該ハンドル本体30に対して付与される減衰力が大きくなる。
【0032】
本実施形態では、原点θ0と原点θ0からハンドル本体30を所定量回動させた所定回動位置θstopとの間にハンドル本体30が位置する場合において、ダンパカム72のピン72bはスリット34sの曲率が比較的小さい範囲内に位置し、所定回動位置θstopとハンドル本体30を最大量回動させた最大回動位置θmaxとの間にハンドル本体30が位置する場合において、ダンパカム72のピン72bはスリット34sの曲率が比較的大きい範囲内に位置する。このため、ダンパユニット70は、原点θ0と所定回動位置θstopとの間にハンドル本体30が位置する場合にハンドル本体30の回動に対して付与される減衰力の方が、所定回動位置θstopと最大回動位置θmaxとの間にハンドル本体30が位置する場合にハンドル本体30の回動に対して付与される減衰力よりも大きくなる。したがって、ハンドル本体30を把持して回動操作をしていた遊技者がその手をハンドル本体30から離した際に、ハンドル本体30は、所定回動位置θstopに至るまでは、リターンスプリング38の付勢力により素早く戻され、所定回動位置θsotp以降は、ダンパユニット70から付与される比較的大きな減衰力によって原点θ0までゆっくりと戻されることとなる。この結果、ハンドル本体30が戻されて原点θ0に突き当たる際の衝撃を緩和することができ、衝撃音の発生を抑制することができる。また、本実施形態では、原点θ0から所定回動位置θstopまでの範囲は、発射装置7から遊技球が発射されない遊びの範囲であり、ハンドル本体30が原点θ0まで戻る過程において、弱い発射力で遊技球(所謂ちょろ球)が発射されないようにすることができる。
【0033】
以上説明した本実施形態の遊技機1では、遊技盤3の下方において前方に突出する支持台10を備え、発射ハンドル20は、支持台10の上面に回動可能に支持されるハンドル本体30と、ハンドル本体30に対するスラスト方向の荷重を受けるスラストベアリング部45と、を有する。これにより、遊技者は、ハンドル本体30に対してスラスト方向に大きな荷重がかかった状態でも、ハンドル本体30をスムーズに回動させることができる。
【0034】
また、本実施形態の遊技機1では、発射ハンドル20は、発射強度が弱まる回動方向にハンドル本体30を付勢するリターンスプリング38と、ハンドル本体30の回動に対して減衰力を付与すると共にハンドル本体30の回動位置に応じてハンドル本体30の回動に対して付与する減衰力を変更するダンパユニット70と、を有する。そして、ハンドル本体30の回動角が原点θ0と所定回動位置θstopとの間にある場合の方が、所定回動位置θstopと最大回動位置θmaxとの間にある場合よりもハンドル本体30に対して大きな減衰力を付与する。これにより、ハンドル本体30を把持して回動操作をしていた遊技者がその手をハンドル本体30から離した際に、所定回動位置θstopに至るまでは、リターンスプリング38の付勢力によりハンドル本体30を素早く戻し、所定回動位置θsotp以降は、ダンパユニット70から付与される大きな減衰力によってハンドル本体30を原点θ0までゆっくりと戻すことができる。この結果、ハンドル本体30が原点θ0に突き当たる際の衝撃を緩和することができ、衝撃音の発生を抑制することができる。さらに、原点θ0から所定回動位置θstopまでの範囲を発射装置7から遊技球が発射されない遊びの範囲とすることで、ハンドル本体30が原点θ0まで戻る過程において、弱い発射力で遊技球が発射されないようにすることができる。
【0035】
また、本実施形態の遊技機1では、スラストベアリング部45は、ハンドル本体30の回動軸の延在方向から見て、位置センサ52やダンパユニット70を包含する円周上に配置される。これにより、スラストベアリング部45の大径化により、ハンドル本体30に対するスラスト方向の荷重を当該ハンドル本体30の外周側で受けることができ、ハンドル本体30を安定的に支持することができる。また、位置センサ52やダンパユニット70をコンパクトに収めることができる。
【0036】
上述した実施形態では、ダンパユニット70は、ロータリダンパ71の回転軸71aに取り付けられ回転軸71aから偏心した位置にピン72bを有するダンパカム72と、ハンドル本体30側に形成されピン72bが係合される半円弧状のスリット34sと、を備え、スリット34sの一方側に向かって曲率を変化させることでハンドル本体30の回動位置に応じてハンドル本体30の回動に対して付与する減衰力を変化させるものとした。しかし、ロータリダンパ71の回転位置(出力角)の変化量がハンドル本体30の回動位置(入力角)の変化量に対して曲線状に変化するものであれば、これに限定されない。例えば、ダンパユニットは、図10に示すように、ハンドル本体に同軸に連結される楕円状の入力ギヤ101と、入力ギヤ101と噛合すると共にロータリダンパの回転軸に同軸に連結される楕円状の出力ギヤ102と、を備えてもよい。また、図11に示すように、ダンパユニットは、ハンドル本体に同軸に連結される入力側回転体201と、ロータリダンパの回転軸に同軸に連結される出力側回転体202と、入力側回転体201と出力側回転体202とをそれぞれその回転軸から離間した位置で連結する連結棒203と、を備えてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、ダンパユニット70は、ハンドル本体30の回動位置に応じてハンドル本体30の回動に対して付与する減衰力を変更するものとしたが、ハンドル本体30の回動位置に拘わらず一定の減衰力を付与するようにしてもよい。また、ダンパユニット70を省略しても差し支えない。
【0038】
上述した実施形態では、発射ハンドル20は、ハンドル本体30に対するスラスト方向の荷重を受ける環状のスラストベアリング部45を備えるものとした。しかし、遊技機1の正面側から見て発射ハンドル20(ハンドル本体30)が水平線に対して傾斜した状態で支持台10に支持される場合、ハンドル本体30に対する荷重がハンドル本体30の傾斜方向端部を受ける部分に集中する。例えば、図3に示すように、遊技機1の正面側から見て、発射ハンドル20(ハンドル本体30)が水平線に対して右下がりに傾斜した状態で支持台10に支持される場合、ハンドル本体30に対する荷重がハンドル本体30の右下部を受ける部分に集中する。この場合、ユニットベース40の荷重が集中する部分に、ボールやローラを配置するようにしてもよい。また、ユニットベース40を摺動性の良い材料(樹脂)により構成し、ハンドルベース33がユニットベース40に直接接触するようにしてもよい。すなわち、スラストベアリング部45を省略してもよい。この場合でも、発射ハンドル20を傾けて配置することで、発射ハンドル20を水平に配置するものに比して、スラスト方向の荷重を低減させることができるから、発射ハンドル20の回動をスムーズにすることができる。
【0039】
上述した実施形態では、遊技機1は、島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上皿5に払い出すように構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、内部に封入された遊技球を循環させて遊技を行なう所謂封入式の遊技機として構成されてもよい。この場合、上皿5や下皿6は省略されてもよい。
【0040】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、遊技盤3が「遊技盤」に相当し、発射装置7が「発射装置」に相当し、発射ハンドル20が「発射ハンドル」に相当し、支持台10が「支持部材」に相当し、ハンドル本体30が「ハンドル本体」に相当し、スラストベアリング部45が「軸受け部材」に相当する。また、リターンスプリング38が「付勢部材」に相当し、ダンパユニット70が「減衰力付与部材」に相当する。また、ロータリダンパ71が「ロータリダンパ」に相当し、ピン72bが「偏心ピン」に相当し、ダンパカム72が「カム部材」に相当し、スリット34sを有するジョイントスペーサ34が「ガイド部材」に相当する。また、位置センサ52が「センサ」に相当する。
【0041】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、発射ハンドルを有する遊技機の製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 遊技機、2 本体、3 遊技盤、4 前面パネル、5 上受け皿、6 下受け皿、7 発射装置、10 支持台、11 支持部、12 アームレスト部、20 発射ハンドル、21 止め打ちボタン、30 ハンドル本体、31 ハンドル天面部、32 ハンドルサイド外装部、33 ハンドルベース、33f 環状平坦面、33p 突出部、34 ジョイントスペーサ、34a 回動軸、34b 遮蔽部、34o 貫通孔、34p 突出部、34s スリット、35 ねじ、36 ベアリング、38 リターンスプリング、40 ユニットベース、40f 環状端面、40o 貫通孔、45 スラストベアリング部、46 リテーナ、47 ボール、50 メカステー、51 接触センサ、52 位置センサ、52a 発光部、52b 受光部、60 可変抵抗、60s シャフト、61 可変抵抗ジョイント、70 ダンパユニット、71 ロータリダンパ、71a 回転軸、72 ダンパカム、72a 嵌合孔、72b ピン、73 ベアリング、101 入力ギヤ、102 出力ギヤ、201 入力側回転体、202 出力側回転体、203 連結棒。
図1
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図11