(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121395
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240830BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240830BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/165 501
B41J2/01 401
B41J2/01 301
B41J2/165 207
B41J2/175 119
【審査請求】未請求
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028480
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】春原 岬
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸昌
(72)【発明者】
【氏名】洞田 竜児
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 貴文
(72)【発明者】
【氏名】久保 功
(72)【発明者】
【氏名】林 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 善一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB08
2C056EB39
2C056EB40
2C056EC07
2C056EC23
2C056EC24
2C056EC26
2C056EC39
2C056EC53
2C056EC54
2C056EC57
2C056EC58
2C056EC60
2C056FA10
2C056HA58
2C056JA13
2C056JC06
2C056JC13
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】記録指示を受けてから被記録媒体への画像の記録が開始されるまでの時間を極力短くしつつ、被記録媒体への記録の直前のノズルの状態に応じてより適切にノズルから液体を排出させる。
【解決手段】記録指示を受ける可能性のあることを示す所定信号を受けたときに(S101:YES)、吐出検査処理および記憶処理を実行し、インクジェットヘッドの複数のノズルの状態を示す状態情報を記憶させる(S102)。記録指示を受けたときに(S103:YES)、吐出検査処理および記憶処理の途中でない場合には(S104:NO)、排出動作を実行し(S106)、続いて画像記録処理を実行する(S107)。吐出検査処理および記憶処理の途中である場合には(S104:YES)、吐出検査処理および記憶処理が完了してから(S105:YES)、排出動作を実行し(S106)、続いて画像記録処理を実行する(S107)。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有し、前記ノズルから被記録媒体に液体を吐出させ画像を記録するヘッドと、
前記ノズルから液体を排出させる第1排出動作を行う排出部と、
前記ノズルの吐出状態に応じた状態信号を出力する吐出検査部と、
前記状態信号に関する情報を記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記被記録媒体に画像を記録する記録指示を受けた際に、前記記憶部に記憶された前記状態信号に関する情報に基づいて前記排出部に前記第1排出動作を行わせ、その後、前記ヘッドに前記被記録媒体に画像を記録させる画像記録動作を行わせ、
前記記録指示を受けるよりも前であって、前記記録指示とは別であり、前記記録指示を受ける可能性があることを示す所定信号を受けた際に、前記吐出検査部に、前記状態信号を出力させるための吐出検査処理と、前記状態信号に関する情報を前記記憶部に記憶させる記憶処理と、を実行することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記所定信号を受けたときに、
当該所定信号が所定期間において最初に受けた前記所定信号である場合には、前記吐出検査処理および前記記憶処理を実行し、
当該所定信号が前記所定期間において2回目以降に受けた前記所定信号である場合には、前記吐出検査処理および前記記憶処理を実行しないことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記記録指示を受けたときに、
当該記録指示が、所定期間において最初に受けた前記記録指示である場合には、前記排出部に前記第1排出動作を行わせ、前記第1排出動作が完了した後に、前記ヘッドに前記画像記録動作を行わせ、
当該記録指示が、前記所定期間において2回目以降に受けた前記記録指示である場合には、前記排出部に前記第1排出動作を行わせずに前記ヘッドに前記画像記録動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記吐出検査処理および前記記憶処理の途中に前記記録指示を受けたときに、前記吐出検査処理および前記記憶処理が完了した後に前記排出部に前記第1排出動作を行わせ、前記第1排出動作が完了した後に前記ヘッドに前記画像記録動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記吐出検査処理および前記記憶処理の途中に前記記録指示を受けたときに、前記吐出検査処理および記憶処理が完了した後に、前記排出部に前記第1排出動作を行わせずに前記ヘッドに前記液体吐出動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記液体吐出動作が完了した後に前記排出部に前記第1排出動作を行わせることを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記吐出検査処理および前記記憶処理の途中に前記記録指示を受けたときに、前記吐出検査処理および前記記憶処理を中断し、当該記憶処理よりも前に実行した前記記憶処理において前記記憶部に記憶させた前記状態信号に関する情報に基づいて前記排出部に前記第1排出動作を行わせ、前記第1排出動作が完了した後に前記ヘッドに前記画像記録動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記吐出検査処理および前記記憶処理の途中に前記記録指示を受けたときに、前記吐出検査処理および前記記憶処理を中断し、前記排出部に前記第1排出動作を行わせずに前記ヘッドに前記画像記録動作を行わせることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記画像記録動作が完了した後に、中断させた前記吐出検査処理および前記記憶処理を再開させ、
前記吐出検査処理および前記記憶処理が完了した後に前記排出部に前記前記第1排出動作を行わせることを特徴とする請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記記録指示よりも前に受ける信号のうち第1条件を満たす信号を、前記所定信号に設定することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記第1条件は、ユーザにより前記所定信号に設定することが決定されたという条件であることをと特徴とする請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記記録指示よりも前に受ける信号を受けるタイミングから前記記録指示を受けるタイミングまでの時間の長さを前記記憶部に記憶させ、
前記第1条件は、前記記憶部に記憶された前記時間の長さに関する条件であることを特徴とする請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記所定信号に設定されている信号が第2条件を満たす場合に、当該信号の前記所定信号の設定を解除することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記第2条件は、ユーザにより前記所定信号の設定を解除することが決定されたという条件であることをと特徴とする請求項13に記載の画像記録装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記所定信号に設定されている信号を受けるタイミングから前記記録指示を受けるタイミングまでの時間の長さを前記記憶部に記憶させ、
前記第2条件は、前記記憶部に記憶された前記時間の長さに関する条件であることを特徴とする請求項13に記載の画像記録装置。
【請求項16】
前記所定信号は、ユーザが前記記録指示を出す前に行う前記画像記録装置の操作に伴い前記制御部が受ける信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項17】
前記画像記録装置は、前記被記録媒体への画像の記録を開始することが可能な記録待機状態、および、前記被記録媒体への画像の記録を開始することが可能となるまでに必要な時間が前記記録待機状態のときよりも長い別の状態を取ることができるように構成され、
前記所定信号は、前記画像記録装置が前記別の状態から前記記録待機状態に遷移したことを示す信号であることを特徴とする請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項18】
ユーザにより前記画像記録装置が操作されたことを検出するセンサ、を備え、
前記所定信号は、前記センサから送信される信号であることを特徴とする請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項19】
ユーザによって操作される操作パネルを備え、
前記所定信号は、前記操作パネルが操作されたことを示す信号であることを特徴とする請求項16に記載の画像記録装置。
【請求項20】
前記操作パネルは、所定のアイコンが表示されるアイコン表示部を有し、
前記所定信号は、前記所定のアイコンが表示されている状態の前記アイコン表示部が操作されたことを示す信号であることを特徴とする請求項19に記載の画像記録装置。
【請求項21】
前記所定のアイコンは、前記画像記録動作の設定に関連するアイコンであることを特徴とする請求項20に記載の画像記録装置。
【請求項22】
ユーザによって被記録媒体が配置される媒体配置部、を備え、
前記所定信号は、前記媒体配置部に被記録媒体が配置されたことを示す信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項23】
読取対象が配置される読取台と、
前記読取台に配置された読取対象を読み取る読取部と、を備え、
前記所定信号は、前記読取台に読取対象が配置されたことを示す信号であることをと特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項24】
開閉可能なカバーを備え、
前記所定信号は、前記カバーの開閉を示す信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項25】
読取対象が配置される読取台と、
前記読取台に配置された読取対象を読み取る読取部と、
前記読取台を覆う閉位置と、前記読取台を露出させる開位置との間で移動可能に構成された前記カバーと、を備えていることを特徴とする請求項24に記載の画像記録装置。
【請求項26】
前記ヘッドに供給するための液体が貯留される液体タンクと、
前記液体タンクが収容されるタンク収容部と、
前記タンク収容部を覆う閉位置と、前記タンク収容部を露出させる開位置との間で移動可能に構成された前記カバーと、を備えていることを特徴とする請求項24に記載の画像記録装置。
【請求項27】
取り外し可能に構成され、前記ヘッドに供給するための液体が貯留される液体タンク、を備え、
前記所定信号は、前記液体タンクが交換されたことを示す信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項28】
前記ヘッドに供給するための液体が貯留され、外部から液体を供給するための供給口を有する液体タンク、を備え、
前記所定信号は、前記供給口を介して外部から前記液体タンクに液体が供給されたことを示す信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項29】
外部記憶装置が接続される接続部、を備え、
前記所定信号は、前記接続部に前記外部記憶装置が接続されたことを示す信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項30】
外部装置と通信可能に構成され、
前記所定信号は、前記外部装置と通信可能になったことを示す信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項31】
前記外部装置から前記画像記録装置に前記記録指示を送るための処理と、前記外部装置から前記画像記録装置に前記記録指示とは別の信号を送信するための処理と、を実行可能なアプリケーションが前記外部装置にインストールされており、
前記所定信号は、前記アプリケーションの処理によって前記外部装置から前記画像記録装置に送信される前記別の信号であることを特徴とする請求項30に記載の画像記録装置。
【請求項32】
前記別の信号は、前記アプリケーションが起動したときに、前記外部装置から前記画像記録装置に送信される信号であることを特徴とする請求項31に記載の画像記録装置。
【請求項33】
前記所定信号は、前記画像記録装置および前記外部装置が同じネットワークに接続されることによって通信可能となったことを示す信号であることを特徴とする請求項30に記載の画像記録装置。
【請求項34】
外部装置と通信可能に構成され、
前記外部装置は、前記画像記録動作の設定に関する操作を行わせるための操作部を有するものであり、
前記所定信号は、前記画像記録装置と前記外部装置とが通信可能な状態で、前記操作部において前記画像記録動作の設定に関する操作が行われたときに、前記外部装置から前記画像記録装置に送信される信号であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項35】
ノズルを有し、前記ノズルから被記録媒体に液体を吐出させ画像を記録するヘッドと、
前記ヘッドから吐出された液体を受ける受け部と、
前記ノズルの吐出状態に応じた状態信号を出力する吐出検査部と、
前記状態信号に関する情報を記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記被記録媒体に画像を記録する記録指示を受けた際に、前記記憶部に記憶された前記状態信号に関する情報に基づいて前記ヘッドに前記受け部へ液体を排出させる第2排出動作を行わせ、その後、前記ヘッドに、前記被記録媒体に画像を記録させる画像記録動作を行わせ、
前記記録指示を受けるよりも前であって、前記記録指示とは別であり、前記記録指示を受ける可能性があることを示す所定信号を受けた際に、前記吐出検査部に前記状態信号を出力させるための吐出検査処理と、前記状態信号に関する情報を前記記憶部に記憶させる記憶処理と、を実行することを特徴とする画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出して画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体を吐出して画像を記録する画像記録装置の一例として、特許文献1にはノズルからインクを吐出して記録を行うプリンタが記載されている。特許文献1に記載のプリンタでは、所定時刻にインクジェットヘッドに検査用駆動を行わせることによって、インクジェットヘッドの複数のノズルの各々について異常ノズルであるか否かを示す情報を記憶させる。その後、記録用紙への記録を指示する記録指令を受けたときに、記憶された異常ノズルであるか否かの情報に基づいてパージを行わせてから、記録用紙への記録を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリンタでは、所定時刻に検査用駆動を行わせて異常ノズルであるか否かを示す情報を記憶させた後、記録指令を受けるまでの時間が長いことがある。この場合、記録指令を受けた時点でのインクジェットヘッドの複数のノズルの各々についての異常ノズルであるか否かの状態が、記憶されている情報が示す異常ノズルであるか否かの状態と大きく異なっていることがある。そして、この場合には、記録指令を受けたときに、記憶された情報に基づいて行われるパージが実際のノズルの状態に適切なものでない虞がある。一方で、記録指令を受けてから、検査用駆動を行わせて異常ノズルであるか否かを示す情報を記憶させ、記憶された情報に基づいて行われるパージを行わせると、記録指令を受けてから、記録が開始されるまでの時間が長くなってしまう虞がある。
【0005】
本発明の目的は、被記録媒体へ画像を記録する記録指示を受けてから被記録媒体への画像の記録が開始されるまでの時間を極力短くしつつ、被記録媒体への画像の記録の直前のノズルの状態に応じてより適切にノズルから液体を排出させることが可能な画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像記録装置は、ノズルを有し、前記ノズルから被記録媒体に液体を吐出させ画像を記録するヘッドと、前記ノズルから液体を排出させる第1排出動作を行う排出部と、前記ノズルの吐出状態に応じた状態信号を出力する吐出検査部と、前記状態信号に関する情報を記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記被記録媒体に画像を記録する記録指示を受けた際に、前記記憶部に記憶された前記状態信号に関する情報に基づいて前記排出部に前記第1排出動作を行わせ、その後、前記ヘッドに前記被記録媒体に画像を記録させる画像記録動作を行わせ、前記記録指示を受けるよりも前であって、前記記録指示とは別であり、前記記録指示を受ける可能性があることを示す所定信号を受けた際に、前記吐出検査部に、前記状態信号を出力させるための吐出検査処理と、前記状態信号に関する情報を前記記憶部に記憶させる記憶処理と、を実行する。
【0007】
また、本発明の画像記録装置は、ノズルを有し、前記ノズルから被記録媒体に液体を吐出させ画像を記録するヘッドと、前記ヘッドから吐出された液体を受ける受け部と、前記ノズルの吐出状態に応じた状態信号を出力する吐出検査部と、前記状態信号に関する情報を記憶する記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記被記録媒体に画像を記録する記録指示を受けた際に、前記記憶部に記憶された前記状態信号に関する情報に基づいて前記ヘッドに前記受け部へ液体を排出させる第2排出動作を行わせ、その後、前記ヘッドに、前記被記録媒体に画像を記録させる画像記録動作を行わせ、前記記録指示を受けるよりも前であって、前記記録指示とは別であり、前記記録指示を受ける可能性があることを示す所定信号を受けた際に、前記吐出検査部に前記状態信号を出力させるための吐出検査処理と、前記状態信号に関する情報を前記記憶部に記憶させる記憶処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、記録指示を受ける可能性があることを示す所定信号を受けたときに吐出検査処理および記憶処理を実行する。そして、記録指示を受けたときに、記憶部に記憶された状態信号に関する情報に基づいて排出動作(第1排出動作または第2排出動作)を行わせ、排出動作の後に画像記録動作を行わせる。これにより、排出動作を、画像記録動作の直前のヘッドにおけるノズルの状態に応じたものとすることができる。また、記録指示を受けたときに吐出検査処理および記憶処理を実行し、吐出検査処理および記憶処理の完了後に排出動作を行わせ、排出処理が完了した後に画像記録動作を行わせる場合よりも、記録指示を受けてから、画像記録動作が開始されるまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態のプリンタの概略構成図である。
【
図3】キャップ内に配置された電極およびこの電極に電圧を印加するための構成を説明するための図である。
【
図4】(a)はノズルが正常である場合に信号処理回路から出力される信号を説明するための図であり、(b)はノズルに吐出量異常がある場合に信号処理回路から出力される信号を説明するための図である。
【
図5】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】画像の記録、吐出検査処理および排出処理を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】(a)は所定信号を説明するための図であり、(b)は記録設定のアイコンを含む操作画面を説明するための図である。
【
図8】所定期間において最初に所定信号を受けたときに吐出検査処理を実行し、所定期間において最初に記録指示を受けたときに排出処理を実行する例における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】吐出検査処理および記憶処理の途中に記憶指示を受けたときに、吐出検査処理の完了後に画像記録処理を実行してその後に排出処理を実行する例における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】吐出検査処理および記憶処理の途中に記憶指示を受けたときに、吐出検査処理を中断し、過去の状態情報に基づいて、排出処理を実行してから画像記録処理を実行する例における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】吐出検査処理および記憶処理の途中に記憶指示を受けたときに、吐出検査処理を中断して画像記録処理を実行し、その後に、吐出検査処理を再開し、吐出検査処理後に排出処理を実行する例における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】記録指示を受けるまでの平均時間に基づいて所定信号の設定および所定信号の設定の解除を行うための処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】(a)はユーザの選択に基づいて所定信号の設定および所定信号の設定の解除を行うための処理の流れを示すフローチャートであり、(b)は所定信号の設定画面を説明するための図である。
【
図14】外部装置のアプリケーションが起動されたときに送信される信号を外部装置と通信可能となったことを示す信号とする例を説明する図である。
【
図15】供給口を有するインクタンクを備えたプリンタを説明するための図である。
【
図16】
図15のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0011】
<プリンタの全体構成>
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、直方体状の筐体2と、記録部3と、用紙トレイ4と、用紙カセット5と、排紙トレイ6と、スキャナ7とを備えている。なお、本実施形態では、プリンタ1が、本発明の「記録装置」に相当する。
【0012】
<記録部>
記録部3は、筐体2内に設けられ、キャリッジ12、サブタンク13、インクジェットヘッド14、プラテン15、搬送ローラ16,17、メンテナンスユニット18などを備えている。なお、本実施形態では、インクジェットヘッド14が、本発明の「ヘッド」に相当する。
【0013】
キャリッジ12は、水平な走査方向に延びた2本のガイドレール21,22に支持されている。なお、以下では、
図2に示すように、走査方向の右側および左側を定義して説明を行う。キャリッジ12は、図示しないベルトなどを介して、
図5に示すキャリッジモータ86に接続されている。キャリッジモータ86を駆動させると、キャリッジ12がガイドレール21,22に沿って走査方向に移動する。
【0014】
サブタンク13は、キャリッジ12に搭載されている。ここで、プリンタ1の筐体2には、走査方向における右端部の、水平で且つ走査方向と直交する搬送方向における下流側の端部に、走査方向に並ぶ4つのカートリッジ装着部23が設けられている。各カートリッジ装着部23にはインクカートリッジ24が取り外し可能に装着されている。4つのカートリッジ装着部23に装着された4つのインクカートリッジ24には、走査方向の右側のカートリッジ装着部23に装着されているものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。4つのカートリッジ装着部23に装着された4つのインクカートリッジ24は、4本のチューブ25を介して、サブタンク13と接続されており、4つのインクカートリッジ24に貯留された上記4色のインクが、4本のチューブ25を介してサブタンク13に供給される。
【0015】
また、プリンタ1の筐体2には、4つのカートリッジ装着部23に対して共通の、開閉可能なカートリッジカバー26が設けられている。カートリッジカバー26が閉じた閉状態では、4つのカートリッジ装着部23がカートリッジカバー26に覆われている。カートリッジカバー26が開いた開状態では、カートリッジ装着部23が露出し、カートリッジ装着部23に対するインクカートリッジ24の着脱が可能となる。
【0016】
また、プリンタ1は、
図5に示すカートリッジセンサ91を有する。カートリッジセンサ91は各カートリッジ装着部23に個別に設けられ、カートリッジ装着部23にインクカートリッジ24が装着されているか否かを示す信号を出力する。なお、プリンタ1は4つのカートリッジ装着部23に個別の4つのカートリッジセンサ91を有するが、便宜上、
図5では、カートリッジセンサ91を1つだけ図示している。
【0017】
インクジェットヘッド14は、キャリッジ12に搭載され、サブタンク13の下面に取り付けられている。インクジェットヘッド14には、サブタンク13から上記4色のインクが供給される。また、インクジェットヘッド14は、その下面であるノズル面14aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、搬送方向に配列されることによってノズル列9を形成しており、ノズル面14aにおいて、4列のノズル列9が走査方向に並んでいる。複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列9を構成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0018】
プラテン15は、インクジェットヘッド14の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン15は、走査方向に記録用紙Sの全長にわたって延び、記録用紙Sを下方から支持する。搬送ローラ16は、インクジェットヘッド14およびプラテン15よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ17は、インクジェットヘッド14およびプラテン15よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ16,17は、図示しないギヤなどを介して
図5に示す搬送モータ87に接続されている。搬送モータ87を駆動させると、搬送ローラ16,17が回転し、記録用紙Sが搬送方向に搬送される。なお、本実施形態では、記録用紙Sが本発明の「被記録媒体」に相当する。
【0019】
メンテナンスユニット18は、キャップ71と、吸引ポンプ72と、廃液タンク73とを備えている。キャップ71は、プラテン15よりも走査方向の右側に配置されている。そして、キャリッジ12を、プラテン15よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ71と対向する。
【0020】
また、キャップ71は、
図5に示すキャップ昇降機構88に接続されている。キャップ昇降機構88を駆動させると、キャップ71が昇降する。キャリッジ12を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ71とを対向させた状態で、キャップ昇降機構88によりキャップ71を上昇させると、キャップ71の上端部がノズル面14aに密着し、複数のノズル10がキャップ71に覆われるキャップ状態となる。キャップ71を降下させた状態では、複数のノズル10がキャップ71に覆われない。なお、キャップ71はノズル面14aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ71は、例えば、インクジェットヘッド14のノズル面14aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0021】
吸引ポンプ72はチューブポンプなどであり、キャップ71および廃液タンク73と接続されている。そして、メンテナンスユニット18では、上記キャップ状態で吸引ポンプ72を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド14内のインクを排出させる、いわゆる吸引パージを行うことができる。吸引パージによって排出されたインクは廃液タンク73に貯留される。また、本実施形態では、キャップ71と吸引ポンプ72と廃液タンク73とを合わせたものが、本発明の「排出部」に相当する。
【0022】
なお、ここでは、便宜上、キャップ71が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド14内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ71が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインクを吐出する左側3列のノズル列9を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に備えており、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド14内のブラックインクおよびカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。ここで、カラーインクとは、イエロー、シアン、マゼンタインクのことである。あるいは、例えば、キャップ71が、ノズル列9毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列9毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0023】
また、
図3に示すように、キャップ71内には、矩形の平面形状を有する電極76が配置されている。電極76は、抵抗79を介して高電圧電源回路77に接続されている。そして、高電圧電源回路77は、電極76に例えば600V程度の所定電圧を印加する。一方で、インクジェットヘッド14は、グランド電位に保持されている。これにより、インクジェットヘッド14と電極76との間に電位差が生じる。電極76には、信号処理回路78が接続されている。信号処理回路78は、微分回路などを含み、電極76の電圧に応じた信号を出力する。ただし、信号処理回路78から出力される信号は、電流の信号であってもよい。
【0024】
上記キャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77により電極76に所定電圧を印加させ、かつ、後述する検査用駆動を行わせていない状態では、信号処理回路78から出力される信号の電圧は、
図4(a)、(b)に示す電圧V0となる。
【0025】
また、第1実施形態では、上記キャップ状態としたうえで、高電圧電源回路77により電極76に電圧を印加させた状態で、インクジェットヘッド14に、ノズル10から電極76に向けてインクを吐出させるための吐出駆動を行わせることができる。
【0026】
吐出駆動によってノズル10からインクが吐出された場合、電極76とインクジェットヘッド14との電位差により、吐出されたインクは帯電している。そのため、帯電したインクが電極76に近づき、電極76にインクが着弾するまで、電極76の電位が変化する。そして、帯電したインクが電極76に着弾した後、電極76の電位が減衰しながらインクの吐出前の電位に戻る。
【0027】
これにより、吐出駆動によってノズル10からインクが正常に吐出された場合には、信号処理回路78から出力される信号は、
図4(a)に示すように、電圧V0から、電圧V0よりも高い電圧V1以上の電圧まで上昇し、その後、電圧V0よりも低い電圧V2以下の電圧まで低下し、その後、減衰しながら上昇と低下とを繰り返して電圧V0に戻る。
【0028】
一方、ノズル10に異常があり、吐出駆動によってノズル10から吐出されるインク量が正常時よりも少ない場合には、
図4(b)に示すように、ノズル10から正常にインクが吐出されたときよりも信号処理回路78から出力される信号の変化が小さい。ここで、ノズル10から正常にインクが吐出されたときよりもインクの吐出量が少ないことは、インクが吐出されないことも含む。吐出駆動によってノズル10からインクが吐出されない場合には信号処理回路78から出力される信号は電圧V0からほとんど変化しない。
【0029】
このように、本実施形態では、吐出駆動を行わせたときにノズル10から正常にインクが吐出されたか否かによって、信号処理回路78から出力される信号が異なる。すなわち、信号処理回路78から出力される信号は、ノズル10の吐出状態に応じた状態信号である。そして、本実施形態では、このことを利用して、ノズル10が、インクの吐出に異常のある異常ノズルであるか否かを判定することができる。なお、本実施形態では、電極76、高電圧電源回路77、信号処理回路78および抵抗79を合わせたものが、本発明の「信号出力部」に相当する。
【0030】
ここで、本実施形態では、電極76に所定電圧を印加し、インクジェットヘッド14をグランド電位に保持し、信号処理回路78が電極76の電圧に応じた信号を出力するように構成したが、これには限られない。電極76をグランド電位に保持し、インクジェットヘッド14に所定電圧を印加することによって、電極76とインクジェットヘッド14との間に電位差を生じさせ、信号処理回路78が、インクジェットヘッド14に接続され、インクジェットヘッド14の電圧に応じた信号を出力するように構成してもよい。
【0031】
図1に戻って、用紙トレイ4は、筐体2の搬送方向における上流側の端部に設けられている。用紙トレイ4は、搬送方向の上流側から下流側に向かうほど上方から下方に向かうように延びている。用紙トレイ4は、搬送方向の下流側の端部が筐体2の内部に位置し、これよりも搬送方向の上流側の部分は、筐体2から搬送方向の上流側に飛び出している。用紙トレイ4には記録用紙Sが配置される。
【0032】
また、筐体2の内部には、前後方向において用紙トレイ4と搬送ローラ16との間に位置する給紙ローラ31が設けられている。給紙ローラ31は、図示しないギヤ、図示しない切換装置等を介して
図5に示す給紙モータ89と接続されている。図示しない切換装置は、給紙モータ89を、給紙ローラ31および後述するピックアップローラ43のいずれかと選択的に接続させる。給紙モータ89が給紙ローラ31と接続された状態で給紙モータ89を駆動させると、給紙ローラ31が回転し、
図1に矢印Aで示すように、用紙トレイ4上に配置された記録用紙Sを搬送ローラ16に向けて搬送する。なお、用紙トレイ4に複数枚の記録用紙Sが重ねて配置されている場合には、給紙ローラ31は、用紙トレイ4に配置された複数枚の記録用紙Sのうち最も上方に位置する1枚の記録用紙Sを搬送ローラ16に向けて搬送する。
【0033】
また、プリンタ1は、
図5に示す用紙センサ92を有する。用紙センサ92は、用紙トレイ4に対して設けられており、用紙トレイ4に記録用紙Sが配置されているか否かを示す信号を出力する。
【0034】
<用紙カセット>
用紙カセット5は、筐体2の記録部3よりも下方に位置する部分に設けられたカセット装着部40に取り外し可能に装着されている。より詳細に説明すると、カセット装着部40は、搬送方向の下流側の端が開口しており、用紙カセット5を搬送方向の下流側からカセット装着部40に挿入することにより、用紙カセット5をカセット装着部40に装着することができる。また、カセット装着部40に装着された用紙カセット5を搬送方向の下流側に引き抜くことにより、用紙カセット5をカセット装着部40から取り外すことができる。
【0035】
用紙カセット5は上面が開口した用紙収容部5aを有する。用紙収容部5aには、記録用紙Sを上下方向に複数枚重ねた状態で収容することができる。
【0036】
また、カセット装着部40は、ピックアップローラ43を備えている。ピックアップローラ43は、図示しないギヤ、図示しない切換装置等を介して給紙モータ89と接続されている。給紙モータ89がピックアップローラ43と接続された状態で、給紙モータ89を駆動させると、ピックアップローラ43が回転し、用紙収容部5aに収容された複数の記録用紙Sのうち最も上方に位置する1枚の記録用紙Sが、
図1に矢印Bで示す搬送経路に沿って、搬送方向の上流側から、搬送ローラ16に供給される。なお、
図1では上記搬送経路を形成する部材の図示を省略している。
【0037】
また、プリンタ1は、
図5に示すカセットセンサ93を有する。カセットセンサ93は、カセット装着部40に対して設けられており、カセット装着部40に用紙カセット5が装着されているか否かを示す信号を出力する。
【0038】
<排紙トレイ>
排紙トレイ6は、上下方向において搬送ローラ17とカセット装着部40との間に位置し、搬送方向において搬送ローラ17よりも下流側に位置している。記録部3での記録が完了した記録用紙Sは、搬送ローラ16,17によって搬送方向に搬送されて、排紙トレイ6に排出される。
【0039】
<スキャナ>
スキャナ7は、筐体2の上端部に設けられている。
図1に示すように、スキャナ7は、読取台51と、読取部52と、読取台カバー53とを備えている。読取台51は、筐体2の上端部に設けられており、走査方向および搬送方向に延びている。また、読取台51は、ガラスなどの透明な部材によって構成されている。読取台51の上面に、読取部52に読み取らせる原稿Gが載置される。なお、本実施形態では、原稿Gが本発明の「読取対象」に相当する。
【0040】
読取部52は、筐体2内の読取台51のすぐ下方に位置する部分に位置している。読取部52は、搬送方向に配列された図示しない複数の読み取り素子を有し、走査方向に移動可能に構成されている。読取部52は、走査方向に移動しつつ、上記複数の読取素子で、読取台51上に配置された原稿Gの読み取りを行う。
【0041】
読取台カバー53は、読取台51を覆うためのものである。また、読取台カバー53は、搬送方向の上流側の端部において、走査方向に延びた軸53aに揺動可能に支持されている。これにより、読取台カバー53は、軸53aを中心に揺動することで、
図1の実線で示す、読取台51を覆う閉位置と、
図1の一点鎖線に示す、読取台51に原稿Gが載置可能となるように読取台51を露出させる開位置との間で移動可能となっている。なお、以下では、読取台カバー53を開位置に移動させることを「読取台カバー53を開く」とすることがあり、読取台カバー53を閉位置に移動させることを「読取台カバー53を閉じる」とすることがある。
【0042】
また、プリンタ1は、
図5に示す読取台カバーセンサ94を有する。読取台カバーセンサ94は、読取台カバー53に対して設けられており、読取台カバー53が閉位置にあるか開位置にあるかに応じた信号を出力する。
【0043】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。
図5に示すように、プリンタ1は、制御部80を備えている。制御部80は、CPU81、ROM82、RAM83、フラッシュメモリ84、ASIC85などからなる。なお、CPUはCentral Processing Unitの略語である。ROMはRead Only Memoryの略語である。RAMはRandom Access Memoryの略語である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略語である。制御部80は、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド14、搬送モータ87、キャップ昇降機構88、給紙モータ89、吸引ポンプ72、高電圧電源回路77、信号処理回路78、読取部52などを制御する。また、制御部80は、カートリッジセンサ91、用紙センサ92、カセットセンサ93および読取台カバーセンサ94から出力された信号を受ける。
【0044】
また、プリンタ1は、以上に説明した構成のほかに、操作パネル68とメモリ接続部67と通信部66とを備えている。操作パネル68は、筐体2に設けられたタッチパネルである。制御部80の制御により、操作パネル68には、操作画面、メッセージ等が表示される。また、ユーザが操作画面等に基づいて操作パネル68を操作すると、制御部80にユーザの操作に応じた信号が送信される。
【0045】
メモリ接続部67は、有線または無線によって、外部記憶装置99と接続される。通信部66は、外部装置98との通信を行うための部分である。外部装置98は、例えばPC、スマートフォンなど、プリンタ1に画像の記録を指示する記録指示を送信可能な装置である。通信部66は、有線または無線によって外部装置98と通信可能に接続される。また、通信部66は、外部装置98と直接接続されてもよいし、外部装置98と同じネットワークに接続され、このネットワークを介して外部装置98と接続されてもよい。
【0046】
なお、制御部80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0047】
<記録、吐出検査および排出動作を行わせるための処理>
プリンタ1においては、図示しないコンセントが商用電源に接続される等して電力が供給されている間、制御部80が
図6のフローチャートに沿って処理を行う。
【0048】
図6のフローチャートについて詳細に説明すると、制御部80は、まず、所定信号を受けたか否かを判断する(S101)。所定信号とは、記録用紙Sへの記録を指示する記録指示を受けるよりも前の、記録指示を受ける可能性があることを示す信号である。所定信号については後ほど詳細に説明する。
【0049】
所定信号を受けていない場合(S101:NO)、処理はS103に進む。所定信号を受けた場合(S101:YES)、制御部80が吐出検査処理および記憶処理を開始し(S102)、その後、処理がS103に進む。S102の吐出検査処理において、制御部80は、高電圧電源回路77、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド14等を制御して、インクジェットヘッド14に上述の吐出駆動を行わせることによって、信号処理回路78から状態信号を出力させる。また、S102の記憶処理において、制御部80は、吐出検査処理によって信号処理回路78から出力された状態信号に関する情報をフラッシュメモリ84に記憶させる。状態信号に関する情報は、状態信号が示すノズル10の状態の情報であってもよいし、状態信号が示すノズル10の状態に応じた、後述する排出処理で排出動作を行わせる必要があるか否かを示す情報であってもよい。
【0050】
S103において、制御部80は、記録指示を受けたか否かを判断する。記録指示を受けていない場合(S103:NO)、処理はS101に戻る。記録指示を受けた場合(S103:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理の途中であるか否かを判断する(S104)。吐出検査処理および記憶処理の途中でない場合には(S104:NO)、処理がS106に進む。吐出検査処理および記憶処理の途中である場合には(S104:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理が完了するまで待機し(S105:NO)、吐出検査処理および記憶処理が完了したときに(S105:YES)処理がS106に進む。
【0051】
S106において、制御部80は、排出処理を実行する。S106の排出処理において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報に基づいて、キャリッジモータ86、キャップ昇降機構88、吸引ポンプ72等を制御して吸引パージを行わせる、あるいは、キャリッジモータ86、インクジェットヘッド14等を制御して、ノズル10からキャップ71にインクを排出させるフラッシングを行わせる。
【0052】
例えば、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が、異常ノズルの数が閾値未満であることを示す場合には、S106の排出処理において、制御部80は第1吸引パージを行わせる。一方、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が、異常ノズルの数が閾値以上であることを示す場合には、S106の排出処理において、制御部80は第1吸引パージよりもインクの排出量の多い第2吸引パージを行わせる。第2吸引パージでは、例えば、第1吸引パージよりも、吸引ポンプ72の駆動時間が長い。あるいは、第2吸引パージでは、例えば、第1吸引パージよりも、吸引ポンプ72の回転速度が速い。あるいは、第2吸引パージでは、例えば、第1吸引パージよりも、吸引ポンプ72の駆動時間が長く、且つ、吸引ポンプ72の回転速度が速い。
【0053】
あるいは、例えば、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が、吸引パージを行う必要があることを示す場合に、S105の排出処理において、制御部80は吸引パージを行わせる。
【0054】
あるいは、例えば、S105の排出処理において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が異常ノズルであることを示しているノズル10からインクを排出させるフラッシングを行わせる。
【0055】
あるいは、例えば、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が、異常ノズルの数が閾値未満であることを示す場合には、S106の排出処理において、制御部80は、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が異常ノズルであることを示しているノズル10からインクを排出させるフラッシングを行わせる。一方、フラッシュメモリ84に記憶されている状態情報が、異常ノズルの数が閾値以上であることを示す場合に、S106の排出処理において、制御部80は吸引パージを行わせる。
【0056】
なお、本実施形態では、吸引パージが本発明の「第1排出動作」に相当し、フラッシングが本発明の「第2排出動作」に相当する。また、本実施形態では、フラッシングによってノズル10から排出されるインクを受けるキャップ71が本発明の「受け部」に相当する。ただし、キャップ71とは別に専用の受け部を設け、フラッシングにおいてノズル10からこの受け部にインクを排出させてもよい。
【0057】
また、以下では、S106で行われる吸引パージまたはフラッシングのことを「排出動作」ということがある。また、S106で排出処理を実行することには、例えば、状態信号に関する情報が、異常ノズルがないことを示しているとき、状態信号に関する情報が吸引パージを行う必要がないことを示しているとき等に、吸引パージおよびフラッシングのいずれをも行わせないことも含む。
【0058】
続いて、制御部80は画像記録処理を実行する(S107)。S107の画像記録処理において、制御部80は、まず、給紙モータ89を制御して、給紙ローラ31に、用紙トレイ4に配置された記録用紙Sを供給させる、あるいは、ピックアップローラ43に用紙カセット5に配置された記録用紙Sを供給させる。S107の画像記録処理において、制御部80は、続いて、搬送モータ87を制御して、搬送ローラ16に供給された記録用紙Sをノズル面14aと対向する位置まで搬送させる。S107の画像記録処理において、制御部80は、続いて、キャリッジモータ86を制御してキャリッジ12を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド14に複数のノズル10からインクを吐出させる記録パスと、搬送モータ87を制御して搬送ローラ16,17に記録用紙Sを搬送させる搬送動作とを繰り返し行い、記録用紙Sに画像を記録させる。さらに、S107の画像記録処理において、制御部80は、搬送モータ87を制御して、搬送ローラ16,17に画像の記録が完了した記録用紙Sを排紙トレイ6に排出させる。そして、S107の画像記録処理の完了後、処理がS101に戻る。なお、本実施形態では、記録パスにおいてインクジェットヘッド14に行わせるノズル10からのインクの吐出が、本発明の「画像記録動作」に相当する。
【0059】
<所定信号>
次に、所定信号について説明する。本実施形態では、
図7(a)に示すような所定信号の情報が、フラッシュメモリ84に記憶されている。以下、
図7(a)に示す各信号について説明する。
【0060】
ここで、プリンタ1は、記録待機状態とスリープ状態とを取ることができる。記録待機状態とは、プリンタ1の各部分に電力が供給されており、直ちに記録用紙Sへの記録を開始することが可能な状態である。スリープ状態とは、消費電力を抑えるために、一部のセンサやモータ等への電力供給が停止されている状態である。スリープ状態では、電力供給を停止しているセンサやモータなどへの電力供給を再開して記録待機状態に遷移させてからでないと記録用紙Sの記録を開始することができない。すなわち、スリープ状態では、記録待機状態よりも、記録用紙Sへの記録を開始することが可能となるまでに必要な時間が長い。また、例えば、スリープ状態でユーザが操作パネル68において所定操作を行ったときに、スリープ状態から記録待機状態に遷移する。
図7(a)の「スリープ状態から記録待機状態へ遷移したことを示す信号」とは、例えば、スリープ状態でユーザが操作パネル68において上記所定操作を行ったことによって制御部80が受ける信号である。なお、本実施形態では、スリープ状態が、本発明の「別の状態」に相当する。
【0061】
また、プリンタ1では、操作パネル68に、
図7(b)に示すような操作画面60を表示可能である。操作画面60は、複数のアイコン61を有する。複数のアイコン61は、記録の設定を行う記録設定アイコン61aを含んでいる。
図7(a)の「記録設定のアイコンが操作されたことを示す信号」とは、ユーザにより記録設定アイコン61aが操作されたときに操作パネル68から出力される信号である。ここで、アイコン61が操作されるとは、例えば、操作パネル68にアイコン61が表示されている状態で、操作パネル68のアイコン61が表示された部分がユーザによってタッチされることである。なお、本実施形態では、操作パネル68のアイコン61が表示された部分が、本発明の「アイコン表示部」に相当する。
【0062】
図7(a)の「記録用紙が配置されたことを示す信号」は、用紙トレイ4に記録用紙Sが配置されたときに用紙センサ92から出力される信号、および、カセット装着部40に用紙カセット5が装着されたときにカセットセンサ93から出力される信号である。
【0063】
図7(a)の「読取台に読取原稿が配置されたことを示す信号」は、読取台カバー53が開かれた際にバーセンサ94から出力される信号、または読取台カバー53が閉じられた際にカバーセンサ94から出力される信号である。ここで、「読取台に読取原稿が配置されたことを示す信号」は読取台に載置された原稿を直接検知するセンサの信号であってもよい。
【0064】
図7(a)の「インクカートリッジが交換されたことを示す信号」は、カートリッジ装着部23にインクカートリッジ24が装着されたときにカートリッジセンサ91から出力される信号である。ここで、カートリッジ装着部23からインクカートリッジ24が取り外されたときにカートリッジセンサ91から出力される信号であってもよい。
【0065】
図7(a)の「外部記憶装置が接続されたことを示す信号」は、メモリ接続部67に外部記憶装置99が接続されたときにメモリ接続部67から出力される信号である。
【0066】
図7(a)の「外部装置と通信可能となったことを示す信号」とは、通信部66が、直接あるいはネットワークを介して外部装置98と接続されたときに通信部66から出力される信号である。
【0067】
また、本実施形態において、通信部66と接続される外部装置98には、プリンタ1に画像の記録を指示する記録指示、および、記録の設定を行うための信号を少なくとも含む複数種類の信号を送信可能なアプリケーションがインストールされている。
図7(a)の「外部装置において記録の設定が行われたことを示す信号」は、外部装置98の操作部において記録の設定を行うための操作が行われたときに、上記アプリケーションの処理により外部装置98からプリンタ1に出力される信号である。
【0068】
<効果>
本実施形態では、記録指示を受ける可能性があることを示す所定信号を受けたときに吐出検査処理および記憶処理を実行する。そして、記録指示を受けたときに、フラッシュメモリ84に記憶された状態信号に関する情報に基づいて排出動作を行わせ、その後に記録用紙Sへの画像の記録を行わせる。これにより、記録用紙Sへの画像の記録の直前のインクジェットヘッド14におけるノズル10の状態に応じて排出動作を行わせることができる。また、本実施形態では、記録指示を受けたときに吐出検査処理および記憶処理を実行してから、排出動作を行わせ、その後に記録用紙Sへの画像の記録を行わせる場合よりも、記録指示を受けてから、記録用紙Sへの画像の記録が開始されるまでの時間を短くすることができる。
【0069】
また、本実施形態では、吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けたときに、吐出検査処理および記憶処理が完了した後に、排出動作を行わせ、その後に記録用紙Sへの画像の記録を行わせる。これにより、ノズル10を回復させてから記録用紙Sへの画像の記録を行わせることができる。
【0070】
プリンタ1において、スリープ状態から記録待機状態に遷移するような操作がユーザによって行われたときには、その後に記録指示を受ける可能性が高い。そこで、本実施形態では、スリープ状態から吐出待機状態に遷移したときに制御部80が受ける信号を所定信号とする。
【0071】
ユーザにより記録用紙Sへの記録の設定に関連する記録設定アイコン61aが操作されたときには、その後に記録指示を受ける可能性が高い。そこで、本実施形態では、記録設定アイコン61aが操作されたときに制御部80が受ける信号を所定信号とする。
【0072】
記録用紙Sが用紙トレイ4に配置されたとき、および、用紙カセット5がカセット装着部40に装着されたときには、その後に記録指示を受ける可能性が高い。そこで、本実施形態では、用紙センサ92から出力される、記録用紙Sが用紙トレイ4に配置されたことを示す信号、および、カセットセンサ93から出力される、カセット装着部40に用紙カセット5が装着されたことを示す信号を所定信号とする。
【0073】
読取台51に原稿Gが配置されたときには、その後に読取部52によって読取台51に配置された原稿Gが読み取られ、読取部52の読み取り結果に基づいて記録用紙Sへの画像の記録が行われる可能性が高い。すなわち、その後に記録指示を受ける可能性が高い。また、読取台51に原稿Gが配置される際には、読取台カバー53の開閉が行われる。そこで、本実施形態では、読取台カバーセンサ94から出力される、信号読取台51に原稿Gが配置されたことを示す信号として所定信号とする。
【0074】
また、プリンタ1においてインクカートリッジ24が交換されるときには、その後に記録指示を受ける可能性が高い。そこで、本実施形態では、カートリッジセンサ91から出力される、インクカートリッジ24が装着されたまたは取り外されたことを示す信号を所定信号とする。
【0075】
また、プリンタ1において、外部記憶装置99がメモリ接続部67に接続されたときには、その後に、外部記憶装置99に記憶された画像データに基づいて記録用紙Sに画像を記録することを指示する記録指示を受ける可能性が高い。そこで、本実施形態では、外部記憶装置99がメモリ接続部67に接続されたことを示す信号を所定信号とする。
【0076】
また、外部装置98が、プリンタ1に直接接続されて、プリンタ1と通信可能になったときには、その後に、外部装置98から記録指示を受ける可能性が高い。そこで、本実施形態では、プリンタ1が外部装置98と通信可能になったことを示す信号を所定信号とする。
【0077】
また、外部装置98が、プリンタ1が接続されているのと同じネットワークに接続されることによって、プリンタ1と通信可能となったときには、その後、外部装置98からプリンタ1に記録指示が送信される可能性が高い。そこで、本実施形態では、外部装置98が、プリンタ1が接続されているのと同じネットワークに接続されることによって、プリンタ1と通信可能となったことを示す信号を所定信号とする。
【0078】
また、プリンタ1と外部装置98とが通信可能な状態で、外部装置98の操作部においてプリンタ1における記録用紙Sへの記録の設定に関する設定の操作が行われたときには、その後、外部装置98からプリンタ1に記録指示が送信される可能性が高い。そこで、本実施形態では、プリンタ1と外部装置98とが通信可能な状態で、外部装置98の操作部においてプリンタ1における記録用紙Sへの記録の設定に関する設定の操作が行われたときに外部装置98からプリンタ1に送信される信号を所定信号とする。
【0079】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0080】
上述の実施形態では、所定信号を受けたときに毎回吐出検査処理および記憶処理を実行し、記録指示を受けたときに毎回排出処理を実行してから画像記録処理を実行したが、これには限られない。
【0081】
変形例1では、プリンタ1において、制御部80が、
図8のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、まず、上述の実施形態のS101と同様、所定信号を受けたか否かを判断する(S201)。所定信号を受けていない場合には(S201:NO)、処理がS204に進む。所定信号を受けた場合(S201:YES)、制御部80は、当該所定信号が、所定期間において最初に受けた所定信号であるか否かを判断する(S202)。ここで、S202における所定期間とは、例えば1日(朝の5時から次の日の朝の5時になる前まで)等である。所定期間は2日や数時間などに設定されていてもよい。
【0082】
所定信号が所定期間において2回目以降に受けた所定信号である場合には(S202:NO)、処理がS204に進む。所定信号が所定期間において最初に受けた所定信号である場合には(S203:NO)、制御部80は、上述の実施形態のS102と同様の吐出検査処理および記憶処理を開始し(S203)、処理がS204に進む。
【0083】
S204において、制御部80は、上述の実施形態のS103と同様、記録指示を受けたか否かを判断する。記録指示を受けていない場合(S204:NO)、処理がS201に戻る。記録指示を受けた場合(S204:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理の途中であるか否かを判断する(S205)。吐出検査処理および記憶処理の途中でない場合には(S205:NO)、処理がS207に進む。吐出検査処理および記憶処理の途中である場合には(S205:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理が完了するまで待機し(S206:NO)、吐出検査処理および記憶処理が完了したときに(S206:YES)処理がS207に進む。
【0084】
S207において、制御部80は、記録指示が、所定期間において最初に受けた記録指示であるか否かを判断する(S207)。S207における所定期間とは、例えば1日1日(朝の5時から次の日の朝の5時になる前まで)等である。所定期間は2日や数時間などに設定されていてもよい。また、S202における所定期間とS207における所定期間とは同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0085】
記録指示が所定期間において最初に受けた記録信号である場合には(S207:YES)、制御部80は、上述の実施形態のS106と同様に排出処理を実行したうえで(S208)、上述の実施形態のS107と同様に画像記録処理を実行する(S209)。そして、その後、処理がS201に戻る。
【0086】
記録指示が所定期間において2回目以降に受けた記録信号である場合には(S207:NO)、制御部80は、排出処理を実行せずに、画像記録処理を実行する(S209)。そして、その後、処理がS201に戻る。
【0087】
変形例1では、所定信号を受けたときに、当該所定信号が所定期間において最初に受けた所定信号である場合には、吐出検査処理および記憶処理を実行し、当該所定信号が所定期間において2回目以降に受けた所定信号である場合には、吐出検査処理および記憶処理を実行しない。これにより、所定期間に必要以上に吐出検査処理および記憶処理を実行しないようにして無駄なインクの消費を抑えることができる。
【0088】
また、変形例1では、記録指示を受けたときに、当該記録指示が所定期間において最初に受けた記録指示である場合には、排出動作を行わせ、その後に画像記録動作を行わせる。当該記録指示が所定期間において2回目以降に受けた記録指示である場合には、排出動作を行わせ、その後に画像記録動作を行わせる。これにより、所定期間に必要以上に排出動作を行わせないようにして無駄なインクの消費を抑えることができる。
【0089】
また、変形例1では、所定信号が所定期間において最初に受けた所定信号であるか否かに応じて、吐出検査処理および記憶処理を実行するか否かを変えるとともに、記録指示が所定期間において最初に受けた記録指示であるか否かに応じて、画像記録処理の前に排出処理を実行するか否かを変えたが、これには限られない。例えば、変形例1において、所定信号が所定期間において最初に受けた所定信号であるか否かに応じて、吐出検査処理および記憶処理を実行するか否かを変え、記録指示を受けたときに毎回排出処理を実行してから画像記録処理を実行してもよい。あるいは、所定信号を受けたときに毎回吐出検査処理および記憶処理を開始し、記録指示が所定期間において最初に受けた記録指示であるか否かに応じて、画像記録処理の前に排出処理を実行するか否かを変えてもよい。
【0090】
また、上述の実施形態では、吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けた場合に、吐出検査処理および記憶処理が完了をするのを待ち、吐出検査処理および記憶処理の完了後に排出処理を実行してから画像記録処理を実行したが、これには限られない。
【0091】
変形例2では、プリンタ1において、制御部80が、
図9のフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、上述の実施形態のS101~S104と同様のS301~S304の処理を実行する。そして、S304において吐出検査処理および記憶処理の途中でないと判断した場合には(S304:NO)、制御部80は、上述の実施形態と同様に、排出処理を実行したうえで(S305)、画像記録処理を実行し(S306)、処理がS301に戻る。
【0092】
S304において吐出検査処理および記憶処理の途中であると判断した場合には(S304:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理が完了するまで待機し(S307:NO)、吐出検査処理および記憶処理が完了したときに(S307:YES)、上述の実施形態とは逆に、画像記録処理を実行してから(S308)、排出処理を実行し(S309)、処理がS301に戻る。
【0093】
変形例2では、吐出査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けたときに、吐出検査処理および記憶処理が完了した後に、排出動作を行わせずに画像記録動作を行わせる。これにより、吐出検査処理および記憶処理の後に排出動作を行わせない分、記録指示を受けてから、記録用紙Sへの画像の記録が開始されるまでの時間を短くすることができる。
【0094】
また、変形例2では、記録用紙Sへの画像の記録が完了した後に、排出動作を行わせる。これにより、記録用紙Sへの画像の記録の直前に実行した吐出検査処理の結果に応じてノズル10を回復させることができる。
【0095】
また、変形例2では、吐出検査処理および記憶処理および記憶処理の途中に記録指示を受けた場合に、吐出検査処理および記憶処理および記憶処理が完了してから画像記録処理を実行し、画像記録処理の完了後に排出処理を実行したが、これには限られない。吐出検査処理および記憶処理および記憶処理の途中に記録指示を受けた場合に、吐出検査処理および記憶処理および記憶処理が完了してから画像記録処理を実行した後、排出処理を実行することなく処理がS301に戻るようにしてもよい。
【0096】
変形例3では、プリンタ1において、制御部80が、
図10にフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、上述の実施形態のS101~S104と同様のS401~S404の処理を実行する。そして、S404において吐出検査処理および記憶処理の途中でないと判断した場合には(S404:NO)、上述の実施形態と同様に、排出処理を実行したうえで(S405)、画像記録処理を実行し(S406)、処理がS401に戻る。
【0097】
S404において吐出検査処理および記憶処理の途中であると判断した場合には(S404:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理を中断し(S407)、中断された記憶処理よりも前の過去の記憶処理でフラッシュメモリ84に記憶させた状態信号に関する情報に基づいて排出処理を実行してから(S408)、画像記録処理を実行し(S406)、処理がS401に戻る。
【0098】
変形例3では、吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けたときに、吐出検査処理および記憶処理を中断し、過去にフラッシュメモリ84に記憶させた状態信号に関する情報に基づいて排出動作を行わせ、その後、記録用紙Sへの画像の記録を行わせる。これにより、記録指示を受けてから、記録用紙Sへの記録が開始されるまでの時間を短くすることができる。また、この場合には、記録用紙Sへの画像の記録を開始させる前に、過去の状態信号に関する情報に基づく排出動作によりノズル10の回復を図ることができる。
【0099】
変形例4では、プリンタ1において、制御部80が、
図11にフローチャートに沿って処理を行う。より詳細に説明すると、制御部80は、上述の実施形態のS101~S104と同様のS501~S504の処理を実行する。そして、S504において吐出検査処理および記憶処理の途中でないと判断した場合には(S504:NO)、上述の実施形態と同様に、排出処理を実行したうえで(S505)、画像記録処理を実行し(S506)、処理がS501に戻る。
【0100】
S504において吐出検査処理および記憶処理の途中であると判断した場合には(S504:YES)、制御部80は、吐出検査処理および記憶処理を中断し(S507)、画像記録処理を実行する(S508)。そして、画像記録処理の完了後に吐出検査処理および記憶処理を再開し(S509)、吐出検査処理および記憶処理が完了するまで待機する(S510:NO)。そして、吐出検査処理および記憶処理が完了したときに(S510:YES)、制御部80が排出処理を実行し(S511)、処理がS501に戻る。
【0101】
変形例4では、吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けたときに、吐出検査処理および記憶処理を中断し、排出動作を行わせずに記録用紙Sへの画像の記録を行わせる。これにより、記録指示を受けてから記録用紙Sへの画像の記録が開始されるまでの時間を短くすることができる。
【0102】
また、変形例4では、記録用紙Sへの画像の記録後に、中断させた吐出検査処理および記憶処理を再開させ、その後、排出動作を行わせる。これにより、ノズル10を回復させることができる。
【0103】
また、変形例4では、吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けた場合に、吐出検査処理および記憶処理を中断して画像記録処理を実行し、画像記録処理の完了後に吐出検査処理および記憶処理を再開し、その後排出処理を実行したが、これには限られない。吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受けた場合に、吐出検査処理および記憶処理を中断して画像記録処理を実行した後、吐出検査処理および記憶処理の再開、および、その後の排出処理の実行をせずに、処理がS501に戻るようにしてもよい。
【0104】
また、所定信号の設定、および、所定信号の設定の解除を制御部80の制御によって行ってもよい。
【0105】
変形例5では、制御部80は、
図7(a)に示す複数種類の信号の各々について個別に、信号を受けるタイミングから、その後、記録指示を受けるタイミングまでの時間を記憶している。そして、制御部80は、プリンタ1に電力が供給されている間、
図7(a)に示す複数種類の信号の各々について個別に、
図12のフローチャートに沿って処理を実行する。
【0106】
なお、変形例5では、プリンタ1の初回の使用開始の時点で、
図7(a)に示す複数種類の信号の全てが所定信号に設定されていてもよいし、
図7(a)に示す複数種類の信号のいずれもが所定信号に設定されていなくてもよいし、
図7(a)に示す複数種類の信号のうち一部の信号が所定信号に設定され残りの信号が所定信号に設定されていなくてもよい。
【0107】
図12にフローチャートについて詳細に説明すると、制御部80は、信号が所定信号に設定されていない場合には(S601:NO)、信号を受けるタイミングから、その後、記録指示を受けるタイミングまでの時間を平均した平均時間Tが時間T1以上且つ時間T2以下の範囲にあるか否かを判断する(S602)。平均時間Tが時間T1以上且つ時間T2以下の範囲にない場合には(S602:NO)処理がS601に戻る。平均時間Tが時間T1以上且つ時間T2以下の範囲である場合には(S602:YES)、制御部80は、この信号を所定信号に設定し(S603)、処理がS601に戻る。
【0108】
信号が所定信号に設定されている場合には(S601:YES)、平均時間Tが時間T3以上且つ時間T4以下の範囲にあるか否かを判断する(S604)。平均時間Tが時間T3以上且つ時間T4以下の範囲にない場合には(S604:NO)この信号についての所定信号の設定を解除し(S605)、処理がS601に戻る。平均時間Tが時間T3以上且つ時間T4以下の範囲である場合には(S604:YES)、S601に戻る。
【0109】
なお、変形例5では、平均時間Tが時間T1以上且つ時間T2以下の範囲にあるという条件が、本発明の「第1条件」に相当し、平均時間Tが時間T3未満または時間T4より長い時間であるという条件が、本発明の「第2条件」に相当する。ここで、時間T1以上且つ時間T2以下の範囲と、時間T3以上且つ時間T4以下の範囲とは、同じ範囲であってもよいし、異なる範囲であってもよい。すなわち、第1条件と第2条件とは、同じ条件であってもよいし、異なる条件であってもよい。
【0110】
信号を受けてから記録指示を受けるまでの時間が長すぎる信号を所定信号とした場合、吐出検査処理および記憶処理が実行されてから、記録指示を受けるまでの期間にノズル10の状態が変わってしまうことがある。そして、この場合には、記録指示を受けたことに基づいて行われる排出動作が、ノズル10の状態に適切なものでない可能性がある。一方、信号を受けてから記録指示を受けるまでの時間が短すぎる信号を所定信号とした場合、吐出検査処理および記憶処理の途中に記録指示を受ける頻度が高くなってしまう。
【0111】
そこで、変形例5では、
図7(a)に示す信号の各々について、過去の、信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間の長さをフラッシュメモリ84に記憶させる。そして、記憶された時間から算出される平均時間Tが時間T1以上且つ時間T2以下の信号を所定信号に設定する。これにより、所定信号を適切な信号とすることができる。
【0112】
また、変形例5では、所定信号に設定されている信号の各々について、過去の、信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間の長さをフラッシュメモリ84に記憶させる。そして、記憶された時間から算出される平均時間Tが時間T3以上且つ時間T4以下でない信号についての所定信号の設定を解除する。これにより、一旦所定信号に設定された信号であっても、その信号がその後所定信号として適切でなくなったときに、所定信号の設定を解除することができる。
【0113】
また、変形例5のS602において、平均時間Tが時間T1以上であるか否かを判断し、平均時間Tが時間T1以上である場合に、時間T2以下であるか否かに関係なく信号を所定信号に設定してもよい。また、変形例2のS604において、平均時間Tが時間T3未満であるか否かを判断し、平均時間Tが時間T3未満である場合に所定信号の設定を解除し、平均時間Tが時間T3以上の場合に時間T4よりも長くても所定信号の設定を解除しなくてもよい。これらの場合には、信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間が短い信号が所定信号に設定されないようにすることができる。すなわち、ユーザがすぐに記録を行うときに受ける可能性の高い信号を所定信号から排除し、記録指示を受けるまでの時間が適度な時間となる信号のみを所定信号とすることができる。
【0114】
また、変形例5では、平均時間Tが所定の範囲内にあるか否かに基づいて所定信号の設定およびその解除を行ったが、これには限られない。各信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間に関する別のパラメータの値に基づいて所定信号の設定およびその解除を行ってもよい。別のパラメータとは、例えば、信号を受けた後の所定時間以内に記録指示を受けた回数、信号を受けた後の所定時間以内に記録指示を受けた割合などである。この場合、上記パラメータの値が所定範囲内にあるか否かに基づいて所定信号の設定およびその解除を行ってもよいし、上記パラメータの値の範囲以外の条件を満たすか否かに基づいて所定信号の設定およびその解除を行ってもよい。
【0115】
また、所定信号の設定、および、所定信号の設定の解除をユーザの選択に基づいて行ってもよい。変形例6では、ユーザにより、操作パネル68において、所定信号の設定、および、所定信号の設定の解除を行うための操作が行われたときに、制御部80が
図13(a)のフローチャートに沿って処理を行う。
【0116】
より詳細に説明すると、ユーザにより操作パネル68において上記操作が行われたときに、制御部80は、
図13(b)に示すような所定信号の設定画面100を操作パネル68に表示させる(S701)。
【0117】
図13(b)に示すように、設定画面100は、メッセージ部101と、複数の選択項目部102と、複数のチェックボックス103と、完了アイコン104とを有する。メッセージ部101は、吐出検査処理および記憶処理のトリガーとなる項目の選択をユーザに促すためのメッセージが表示される部分である。
【0118】
複数の選択項目部102は、上下方向に並んでおり、それぞれに吐出検査処理および記憶処理のトリガーの候補となる項目が表示されている。
図13(b)の「スリープ解除時」の項目は、
図7(a)の「スリープ状態から記録待機状態へ遷移したことを示す信号」に対応する。また、
図13(b)の「記録設定時」の項目は、
図7(a)の「記録設定のアイコンが操作されたことを示す信号」および「外部装置において記録の設定が行われたことを示す信号」に対応する。また、
図13(b)の「用紙セット時」の項目は、
図7(a)の「記録用紙が配置されたことを示す信号」に対応する。また、
図13(b)の「読取原稿セット時」の項目は、
図7(a)の「読取台に読取原稿が配置されたことを示す信号」に対応する。また、
図13(b)の「カートリッジ交換時」の項目は、
図7(a)の「インクカートリッジが交換されたことを示す信号」に対応する。また、
図13(b)の「外部記憶装置接続時」の項目は、
図7(a)の「外部記憶装置が接続されたことを示す信号」に対応する。また、
図13(b)の「通信確立時」の項目は、
図7(a)の「外部装置と通信可能となったことを示す信号」に対応する。
【0119】
複数のチェックボックス103は、複数の選択項目部102に対して個別に設けられており、対応する選択項目部102の右側に隣接するように配置されている。操作パネル68を操作して各チェックボックス103にチェックを入れることにより、選択項目部102に対応する信号を所定信号に設定することを決定することができる。操作パネル68を操作して各チェックボックス103のチェックを外すことにより、選択項目部102に対応する信号についての吐出信号の設定を解除することを決定することができる。完了アイコン104は、吐出検査処理および記憶処理のトリガーとなる項目の選択が完了したときに操作される部分である。
【0120】
制御部80は、S701で設定画面100を操作パネル68に表示させた後、ユーザによる設定画面100での入力が完了するまで待機する(S702:NO)。ユーザによる設定画面100での入力が完了するときとは、ユーザにより完了アイコン104が操作されたときである。ユーザによる設定画面100での入力が完了したときに(S702:YES)、制御部80は、設定画面100を閉じる(S703)。続いて、制御部80は、ユーザによる設定画面100での入力の結果に基づいて、所定信号の設定、および、所定信号の設定の解除を行う(S704)。具体的には、制御部80は、
図7(a)に示す複数種類の信号のうち、チェックボックス103にチェックが入れられた選択項目部102に対応する信号を所定信号に設定し、チェックボックス103にチェックが入れられていない選択項目部102に対応する信号の所定信号の設定を解除する。
【0121】
なお、変形例6では、ユーザが操作パネル68においてチェックボックス103にチェックが入れる操作を行うことによって所定信号に設定することを決定したという条件が、本発明の「第1条件」に相当し、ユーザが操作パネル68においてチェックボックス103のチェックを外すことによって所定信号の設定を解除することを決定したという条件が、本発明の「第2条件」に相当する。
【0122】
変形例6では、
図7(a)に示すような記録指示を受ける前に受ける信号のうちユーザが所望する信号を所定信号に設定することができる。
【0123】
また、変形例6では、所定信号に設定されている信号のうちユーザが所望する信号について、所定信号の設定を解除することができる。
【0124】
また、変形例5では、所定信号の設定とその解除の両方を、各信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間に基づいて行い、変形例6では、所定信号の設定とその解除の両方をユーザの選択に基づいて行ったが、これには限られない。例えば、所定信号の設定とその解除のうちの一方を、各信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間に基づいて行い、所定信号の設定とその解除のうちの他方を、ユーザの選択に基づいて行ってもよい。
【0125】
また、変形例5,6では、所定信号の設定とその解除の両方を行うことができるようになっていたが、これには限られない。例えば、
図7(a)に示す信号すべてが予め所定信号に設定されており、各信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間、あるいは、ユーザの選択に基づいて、所定信号の解除のみを行うことができるようになっていてもよい。あるいは、例えば、
図7(a)に示す信号のいずれもが所定信号に設定されておらず、各信号を受けるタイミングから記録指示を受けるタイミングまでの時間、あるいは、ユーザの選択に基づいて、所定信号の設定のみを行うことができるようになっていてもよい。
【0126】
また、記録指示を受ける前に受ける信号のうち、変形例5,6で説明したのとは別の第1条件を満たす信号を所定信号に設定してもよい。また、所定信号に設定されている信号のうち、変形例5,6で説明したのとは別の第2条件を満たす信号の所定信号の設定を解除してもよい。
【0127】
また、上述の実施形態では、通信部66が、直接、あるいは、ネットワークを介して外部装置98に接続されたときに通信部66から出力される信号を、外部装置98と通信可能となったことを示す信号としたが、これには限られない。
【0128】
変形例7では、
図14に示すような所定信号の情報が、フラッシュメモリ84に記憶されている。
図14は、
図7(a)において「外部装置と通信可能となったことを示す信号」を「外部装置の記録指示を送信可能なアプリケーションの起動時に送信される信号」に置き換えたものである。
【0129】
図14の「外部装置の記録指示を送信可能なアプリケーションの起動時に送信される信号」は、例えば、外部装置98にインストールされ、プリンタ1へ記録指示を送信可能なアプリケーションが起動されたときに、このアプリケーションのプリンタ1の情報を取得するための処理によって、外部装置98からプリンタ1に送信される信号である。
【0130】
外部装置98にインストールされている、プリンタ1への記録指示を送信可能なアプリケーションにより、外部装置98からプリンタ1に記録指示が送信されるのは、プリンタ1と外部装置98とが通信可能なときである。また、プリンタ1と外部装置98とが通信可能になっても、外部装置98において、プリンタ1への記録指示を送信可能なアプリケーションが起動されていなければ、外部装置98からプリンタ1に記録指示が送信される可能性は低い。そこで、変形例7では、外部装置98においてプリンタ1へ記録指示を送信可能なアプリケーションが起動されたときに外部装置98からプリンタ1に送信される信号を、外部装置と通信可能となったことを示す信号とする。
【0131】
また、変形例7では、プリンタ1へ記録指示を送信可能なアプリケーションが起動されたときに外部装置98からプリンタ1に送信される信号を、外部装置と通信可能となったことを示す信号としたが、これには限られない。例えば、プリンタ1へ記録指示を送信可能なアプリケーションの処理により、このアプリケーションの起動時以外に外部装置98からプリンタ1に送信される記録指示以外の信号を、外部装置と通信可能となったことを示す信号としてもよい。
【0132】
また、以上の例では、カートリッジ装着部23に装着されたインクカートリッジ24に貯留されたインクがインクジェットヘッド14に供給されるようになっていたが、これには限られない。
【0133】
変形例8では、
図15に示すように、プリンタ150の記録部160が、上述の実施形態の記録部3において、カートリッジ装着部23および4つのインクカートリッジ24を、タンク収容部161および4つのインクタンク162に置き換えたものである。
【0134】
変形例8では、タンク収容部161に4つのインクタンク162が、走査方向に並んだ状態で収容されている。4つのインクタンク162には、走査方向の右側に位置するものから順にブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留される。また、各インクタンク162は、供給口162aを有し、供給口162aを介して外部からインクを供給することができるようになっている。また、供給口162aは、取り外し可能なタンクキャップ163によって塞がれている。
【0135】
また、タンク収容部161の搬送方向の下流側の端部には、開閉可能なタンク収容部カバー164が設けられている。タンク収容部カバー164が閉じた閉状態では、タンク収容部161がタンク収容部カバー164に覆われている。タンク収容部カバー164が開いた開状態では、タンク収容部161が露出する。これにより、タンクキャップ163を開けて供給口162aを介して外部からインクタンク162にインクを供給することが可能となる。
【0136】
また、
図16に示すように、プリンタ150は、プリンタ1のカートリッジセンサ91の代わりに、タンク収容部カバーセンサ151を有する。タンク収容部カバーセンサ151は、タンク収容部カバー164に対して設けられ、タンク収容部カバー164が閉状態であるか開状態であるかを示す信号を出力する。
【0137】
また、変形例8では、
図17に示すような所定信号の情報が、フラッシュメモリ84に記憶されている。
図17は、
図7(a)において「インクカートリッジが交換されたことを示す信号」を「インクタンクにインクが供給されたことを示す信号」に置き換えたものである。
【0138】
図17の「インクタンクにインクが供給されたことを示す信号」は、タンク収容部カバー164が開かれた後に閉じられたときにタンク収容部カバーセンサ151から出力される信号である。
【0139】
変形例8では、インクタンク162にインクが供給されたときには、その後、記録指示を受ける可能性が高い。そこで、変形例6では、インクタンク162にインクが供給されたことを示す信号を、所定信号とする。また、インクタンク162にインクを供給するときには、タンク収容部カバー164を開き、インクタンク162からタンクキャップ63を取り外したうえで、供給口162aを介して外部s3からインクタンク162にインクを供給する。その後、インクタンク162にタンクキャップ63を取り付け、タンク収容部カバー164を閉じる。したがって、インクタンク162にインクが供給されたときには、タンク収容部カバー164が開かれた後に閉じられる。そこで、変形例6では、タンク収容部カバー164が開かれた後に閉じられたときにタンク収容部カバーセンサ151から出力される信号を、インクタンク162にインクが供給されたことを示す信号とする。
【0140】
また、上述の実施形態では、カートリッジ装着部23にインクカートリッジ24が装着されたときにカートリッジセンサ91から出力される信号を、インクカートリッジ24が交換されたことを示す信号としたが、これには限られない。例えば、カートリッジカバー26の開閉状態に応じた信号を出力するセンサを設け、カートリッジカバー26が開かれた後に閉じられたときにこのセンサから出力される信号を、インクカートリッジ24が交換されたことを示す信号としてもよい。あるいは、例えば、ユーザによりインクカートリッジ24が交換された後に、ユーザにより操作パネル68においてインクカートリッジ24を交換したことに対応する操作が行われたときに操作パネル68から出力される信号を、インクカートリッジ24が交換されたことを示す信号としてもよい。
【0141】
また、変形例8では、タンク収容部カバー164が開かれた後に閉じられたときにタンク収容部カバーセンサ151から出力される信号を、インクタンク162にインクが供給されたことを示す信号としたが、これには限られない。例えば、インクタンク162に貯留されているインクの量が所定量以上であるか否かに応じた信号を出力するセンサを設け、インクの量が所定量未満の状態から所定量以上の状態に切り換わったときにこのセンサから出力される信号を、インクタンク162にインクが供給されたことを示す信号としてもよい。あるいは、例えば、ユーザによりインクタンク162にインクが供給された後、ユーザにより操作パネル68においてにインクを供給したことに対応する操作が行われたときに操作パネル68から出力される信号を、インクタンク162にインクが供給されたことを示す信号としてもよい。
【0142】
また、上述の実施形態では、操作パネル68に表示される操作画面60の複数のアイコン61のうち、記録設定アイコン61aが操作されたときに操作パネル68から出力される信号を所定信号としたが、これには限られない。例えば、記録設定アイコン61a以外のアイコン61が操作されたときに操作パネル68から出力される信号を所定信号としてもよい。あるいは、アイコン61が操作されたか否かに関係なく操作パネル68が操作されたときに操作パネル68から出力される信号を所定信号としてもよい。
【0143】
また、上述の実施形態では、スリープ状態から吐出待機状態に遷移したときに制御部80が受ける信号を所定信号としたが、これには限られない。吐出待機状態よりも記録用紙Sへの画像の記録を開始させるのに必要な時間が長い、スリープ状態とは別の状態から吐出待機状態に遷移したときに制御部80が受ける信号を所定信号としてもよい。
【0144】
また、所定信号に設定される信号は、以上の例に説明したものには限られない。以上の例で説明した信号のうち、一部の信号のみが所定信号に設定される信号であってもよい。また、所定信号に設定される信号は、ユーザが記録指示の前に行うプリンタに対する操作に伴い制御部80が受ける別の信号であってもよい。また、所定信号に設定される信号は、ユーザが記録指示の前以外のタイミングで行うプリンタに対する操作に伴い制御部80が受ける別の信号であってもよい。また、所定信号に設定される信号は、ユーザによるプリンタに対する操作とは関係ない別の信号であってもよい。
【0145】
また、以上の例では、操作パネル68がタッチパネルであったが、これには限られない。例えば、操作パネル68は、液晶ディスプレイなどの表示部と、表示部の外部に設けられたボタンなどの操作部とを有するものであってもよい。
【0146】
また、以上の例では、プリンタ1が、パージとして、吸引パージを行ったが、これには限られない。例えば、インクカートリッジ24とインクジェットヘッド14との間の流路等にインクジェットヘッド14内のインクを加圧する加圧ポンプが設けられていてもよい。そして、複数のノズル10がキャップ71で覆われた状態で上記加圧ポンプを駆動させることによってインクジェットヘッド14内のインクを排出させる加圧パージを行ってもよい。なお、この場合には、加圧パージが本発明の「第1排出動作」に相当し、加圧パージを行うためのキャップ71と加圧ポンプとが本発明の「排出部」に相当する。
【0147】
また、吸引ポンプ72を駆動させることによる吸引パージと、上述の加圧ポンプを駆動させることによる加圧パージの両方行ってもよい。この場合には、吸引パージおよび加圧パージが本発明の「第1排出動作」に相当し、吸引パージおよび加圧パージを行うためのキャップ71、吸引ポンプ72および廃液タンク73と加圧ポンプとが本発明の「排出部」に相当する。
【0148】
また、上述の実施形態では、インクジェットヘッド14に吐出駆動を行わせたときの、ノズル10からキャップ71内に配置された電極76における電圧の変化に応じて、信号処理回路78からノズル10の状態を示す状態信号を出力したが、これには限られない。
【0149】
例えば、電極76の代わりに、鉛直方向に延びており、キャリッジ12がメンテナンス位置に位置している状態でノズル10の下方の空間と対向する電極を設けてもよい。そして、信号処理回路78から、キャリッジ12をメンテナンス位置に位置させた状態で吐出駆動を行ったときの上記電極の電圧の変化に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0150】
あるいは、例えば、キャリッジ12がメンテナンス位置等の所定位置に位置している状態で、ノズル10から吐出されたインクを直接検出する光センサを設け、光センサから、検出結果に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0151】
あるいは、例えば、特許第4929699号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドのノズルが形成されたプレートに、ノズルからインクが吐出されたときの電圧の変化を検出する電圧検出回路を接続し、電圧検出回路から、キャリッジを検査位置に移動させた状態でノズルからインクを吐出させるための動作を行わせたときの電圧変化に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0152】
あるいは、例えば、特許第6231759号公報に記載されているのと同様に、インクジェットヘッドの基板を、温度検知素子を備えたものとしてもよい。そして、インクの吐出のために第1印加電圧を印加してヒータを駆動した後に、インクが吐出されないように第2印加電圧を印加してヒータを駆動し、第2印加電圧を印加してから、その後、所定時間が経過するまでの間の、温度検知素子で検知された温度の変化に基づいて、状態信号を出力させてもよい。
【0153】
また、プリンタ1において各ノズル10が異常ノズルであるかを確認するためのテストパターンを記録させ、このテストパターンの記録結果に基づいて異常ノズルであるか否かを判定してもよい。この場合、例えば、ユーザにテストパターンの記録結果に基づいてプリンタの操作パネル68あるいは外部装置98を操作させることによって、操作パネル68あるいは外部装置98からテストパターンの記録結果に応じた状態信号を出力させてもよい。あるいは、テストパターンが記録された記録用紙Sを読取台51に配置して読取部52にテストパターンを読み取らせ、読取部52からテストパターンの記録結果に応じた状態信号を出力させてもよい。
【0154】
また、上述の実施形態では、インクジェットヘッド14の全てのノズル10について、検査用駆動を行わせて、異常ノズルであるか否かを判定したが、これには限られない。例えば、各ノズル列9における1つおきのノズル10等、インクジェットヘッド14の一部のノズル10についてのみ、検査用駆動を行わせて異常ノズルであるか否かを判定してもよい。そして、それ以外のノズル10については、上記一部のノズル10についての判定結果に基づいて異常ノズルであるか否かを推定してもよい。
【0155】
また、以上の例では、状態信号が、インクの吐出量が不足しているか否かを示す信号であったが、これには限られない。状態信号は、インクの吐出状態が悪いか否かを示すものであってもよい。例えば、状態信号は、ノズル内の粘度が高い状態か否か、インクが曲がって吐出される状態か否か、インクの吐出量が所定量未満か否か、などの正常な記録が難しい状態であるか否かを示す信号であってもよい。
【0156】
また、以上では、キャリッジとともに走査方向に移動しつつ複数のノズルからインクを吐出する、いわゆるシリアルヘッドを備えたプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。例えば、走査方向に記録用紙の全長にわたって延びたいわゆるラインヘッドを備えたプリンタに本発明を適用することも可能である。
【0157】
また、以上では、ノズルからインクを吐出して記録用紙Sに記録を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。Tシャツ、屋外広告用のシート、スマートフォン等の携帯端末のケース、段ボール、樹脂部材など、記録用紙以外の被記録媒体に画像を記録する記録装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0158】
1:プリンタ
4:用紙トレイ
5:用紙カセット
10:ノズル
14:インクジェットヘッド
24:インクカートリッジ
51:外部記憶装置
52:外部装置
61:アイコン
61a:記録設定アイコン
66:通信部
67:メモリ接続部
68:操作パネル
71:キャップ
72:吸引ポンプ
73:廃液タンク
76:電極
77:高電圧電源
78:信号処理回路
79:抵抗
80:制御部
84:フラッシュメモリ
91:カートリッジセンサ
92:用紙センサ
93:カセットセンサ
94:読取台カバーセンサ