(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121397
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】電子機器の端子接続部
(51)【国際特許分類】
G11B 5/60 20060101AFI20240830BHJP
G11B 21/21 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G11B5/60 P
G11B21/21 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028482
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 幹男
(57)【要約】
【課題】長さが大きくなることを抑制できる電子機器の端子接続部を提供する。
【解決手段】第1の回路部材30に第1の曲げ部50と第2の曲げ部60とが設けられている。第1の曲げ部50はL形であり、縦部50aと横部50bとを有している。第2の曲げ部60は第1の曲げ部50とは反対側に曲がっている。第1の曲げ部50に第1の端子31が配置されている。第2の曲げ部60に第2の端子32が配置されている。第1の曲げ部50と第2の曲げ部60との間に開口61が形成されている。この開口61に第2の回路部材40の凸部90が挿入される。第2の回路部材40の第1の面71に第1の基板側端子81が配置されている。第2の面72に第2の基板側端子82が配置されている。第1の端子31と第1の基板側端子81とが第1の導電部材101によって接続される。第2の端子32と第2の基板側端子82とが第2の導電部材102によって接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の端子接続部であって、
一方の面と他方の面とを有し前記一方の面に配置された第1の導体および第2の導体を備えた第1の回路部材と、
前記第1の回路部材の一部で前記第1の回路部材の厚さ方向に曲がる第1の曲げ部と、
前記第1の回路部材の一部で前記第1の曲げ部とは反対の方向に曲がる第2の曲げ部と、
前記第1の曲げ部に配置され前記第1の導体と導通する第1の端子と、
前記第2の曲げ部に配置され前記第2の導体と導通する第2の端子と、
第1の面および第2の面を有する電気絶縁性の基板を備えた第2の回路部材と、
前記第1の面の前記第1の端子と対応した位置に配置された第1の基板側端子と、
前記第2の面の前記第2の端子と対応した位置に配置された第2の基板側端子と、
前記第1の端子と前記第1の基板側端子とを接続する第1の導電部材と、
前記第2の端子と前記第2の基板側端子とを接続する第2の導電部材と、
を具備したことを特徴とする電子機器の端子接続部。
【請求項2】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の曲げ部が、前記第1の回路部材の厚さ方向に曲がる縦部と、前記縦部から前記一方の面に沿う方向に延びる横部とを有し、
前記横部と前記第2の曲げ部との間に形成された開口を有し、
前記第2の回路部材が、前記開口に挿入される凸部を有し、
前記凸部に前記第1の基板側端子と前記第2の基板側端子とが配置された端子接続部。
【請求項3】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の回路部材がメタルベースと、該メタルベースと重なるベース絶縁層とを有し、
前記第1の曲げ部が前記メタルベースの一部と、前記ベース絶縁層の一部と、前記第1の端子とを含み、
前記第2の曲げ部が前記メタルベースの一部と、前記ベース絶縁層の一部と、前記第2の端子とを含む端子接続部。
【請求項4】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の曲げ部が前記第1の回路部材の前記一方の面の側に曲がり、前記第2の曲げ部が前記他方の面の側に曲がった端子接続部。
【請求項5】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の回路部材がディスク装置のサスペンションのフレキシャのテールパッド部であり、
前記第2の回路部材が前記ディスク装置の回路基板である端子接続部。
【請求項6】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の導電部材が前記第1の端子に取付けたはんだバンプであり、前記第2の導電部材が前記第2の端子に取付けたはんだバンプである端子接続部。
【請求項7】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の導電部材が前記第1の基板側端子に取付けたはんだバンプであり、前記第2の導電部材が前記第2の基板側端子に取付けたはんだバンプである端子接続部。
【請求項8】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の回路部材がメタルベースと、該メタルベースと重なるベース絶縁層とを有し、
前記第1の曲げ部に前記第1の端子のみからなる端子部を有した端子接続部。
【請求項9】
請求項1に記載の端子接続部において、
前記第1の回路部材がメタルベースと、該メタルベースと重なるベース絶縁層とを有し、
前記第2の曲げ部に前記第2の端子のみからなる端子部を有した端子接続部。
【請求項10】
請求項9に記載の端子接続部において、
前記第1の曲げ部が前記第1の回路部材の前記他方の面の側に曲がり、前記第2の曲げ部が前記第1の回路部材の前記一方の面の側に曲がった端子接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハードディスク装置等の電子機器の第1の回路部材と第2の回路部材とを接続するのに適した端子接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置に、ハードディスク装置(これ以降、単にディスク装置と称す)が使用されている。ディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクと、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジなどを含んでいる。キャリッジは複数のアーム部を有し、ポジショニング用モータによって、前記ピボット軸を中心に旋回する。
【0003】
前記アーム部にディスク装置のためのサスペンション(これ以降、サスペンションと称す)が取付けられている。サスペンションは、ロードビーム(load beam)と、ロードビームに沿って配置されたフレキシャ(flexure)などを含んでいる。フレキシャの先端付近にスライダが搭載されている。スライダには、データの読取りあるいは書込み等のアクセスを行なうための素子が設けられている。
【0004】
前記フレキシャは、薄いステンレス鋼の板からなるメタルベースと、該メタルベース上に形成されたベース絶縁層と、該ベース絶縁層上に形成された複数の導体と、これら導体を覆うカバー層などを含んでいる。各導体の一端側は、それぞれ前記スライダの素子や各種機能部品に接続されている。各導体の他端側は、端子接続部を介してプリアンプ等の電子機器に接続される。前記ベース絶縁層と前記カバー層とは、ポリイミド等の電気絶縁性の樹脂からなる。これらベース絶縁層と、複数の導体と、カバー層等によってフレキシャの配線部が構成されている。
【0005】
特許文献1に記載されているように、フレキシャは、ロードビームに沿うフレキシャ本体部と、ロードビームの後方に延出するフレキシャテールとを有している。フレキシャテールの端部にテールパッド部が形成されている。
【0006】
前記テールパッド部に、テール端子と称される複数の端子が配置されている。複数のテール端子は、前記テールパッド部の長さ方向に間隔を存して配置されている。これらテール端子は、それぞれ、前記配線部の前記導体と導通している。これらテール端子に、プリアンプ等の回路基板に設けられた端子が、はんだ等の導電部材を介して接続される。
【0007】
データの高密度化に対応するために、1つのディスク装置に内蔵されるディスクの枚数が増加する傾向がある。これに伴い、1つのディスク装置に使用されるサスペンションの数も増加している。しかもサスペンションの多機能化に伴ない、フレキシャの配線部の導体の数も増加している。このため前記テール端子の数も増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8,467,153号明細書
【特許文献2】特許第5075970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記テール端子の数が多くなると、前記テールパッド部の長さが大きくなる。しかしディスク装置の内部のスペースには限りがあるため、前記テールパッド部の長さが制約を受ける。このためディスク装置の仕様によっては、多数のテール端子をテールパッド部に配置することが困難となる。
【0010】
テール端子のサイズを小さくすれば、より多くのテール端子をテールパッド部に配置することができる。しかし小さなテール端子と回路基板の端子とをはんだ等の導電部材を介して接続することが困難となる。しかも互いに隣り合う端子同士の距離が小さくなると、電気的な短絡を防ぐことが困難となる。
【0011】
特許文献2に記載されたテールパッド部は、テールパッド部の一方の側部と他方の側部とにそれぞれ複数の端子が配置されている。しかしテールパッド部の幅が小さい場合、端子間の距離が小さくなるため、電気的な絶縁距離を確保することが困難である。
【0012】
本発明の1つの実施形態の目的は、複数の端子を有する第1の回路部材と第2の回路部材とを接続するための端子接続部において、端子接続部の長さが大きくなることを抑制でき、かつ、端子同士の短絡を回避できる端子接続部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの実施形態の端子接続部は、第1の回路部材と、第2の回路部材とを有している。前記第1の回路部材は一方の面と他方の面とを有し、前記一方の面に配置された第1の導体および第2の導体とを有している。前記第1の回路部材の一部に、前記第1の回路部材の厚さ方向に曲がる第1の曲げ部と、前記第1の曲げ部とは反対の方向に曲がる第2の曲げ部とが設けられている。前記第1の曲げ部に第1の端子が配置されている。前記第1の端子は、前記第1の導体と導通する。前記第2の曲げ部に第2の端子が配置されている。前記第2の端子は、前記第2の導体と導通する。
【0014】
前記第2の回路部材は電気絶縁性の基板を有している。前記基板は第1の面と第2の面とを有している。前記第1の面には、前記第1の端子と対応した位置に第1の基板側端子が配置されている。前記第2の面には、前記第2の端子と対応した位置に第2の基板側端子が配置されている。前記第1の端子と前記第1の基板側端子とが、第1の導電部材によって接続される。前記第2の端子と前記第2の基板側端子とが、第2の導電部材によって接続される。
【0015】
前記第1の曲げ部の一例は、前記第1の回路部材の厚さ方向に曲がる縦部と、前記縦部から前記一方の面に沿う方向に延びる横部とを有している。前記横部と前記第2の曲げ部との間に開口が形成されている。前記第2の回路部材に凸部が形成されていてもよい。前記凸部は前記開口に挿入される。前記凸部に、前記第1の基板側端子と前記第2の基板側端子とが配置されている。
【0016】
前記第1の回路部材がメタルベースと、該メタルベースと重なる前記ベース絶縁層とを有してもよい。そして前記第1の曲げ部が、前記メタルベースの一部と、前記ベース絶縁層の一部と、前記第1の端子とを含んでいてもよい。また前記第2の曲げ部が、前記メタルベースの一部と、前記ベース絶縁層の一部と、前記第2の端子とを含んでいてもよい。前記第1の曲げ部の一例は、前記第1の回路部材の前記一方の面の側に曲がっている。前記第2の曲げ部は、前記第1の回路部材の前記他方の面の側に曲がっている。
【0017】
前記第1の回路部材は、例えばディスク装置のためのサスペンションのフレキシャのテールパッド部である。前記第2の回路部材の一例は前記ディスク装置の回路基板である。前記第1の導電部材の一例は、前記第1の端子に取付けたはんだバンプである。前記第2の導電部材の一例は、前記第2の端子に取付けたはんだバンプである。前記第1の導電部材の他の例が前記第1の基板側端子に取付けたはんだバンプであってもよい。前記第2の導電部材の他の例が前記第2の基板側端子に取付けたはんだバンプであってもよい。
【0018】
前記第1の回路部材がメタルベースと、該メタルベースと重なるベース絶縁層とを有してもよい。前記第1の曲げ部に前記第1の端子のみからなる端子部を有してもよい。また前記第2の曲げ部に前記第2の端子のみからなる端子部を有してもよい。前記第1の曲げ部が前記第1の回路部材の前記他方の面の側に曲がり、前記第2の曲げ部が前記第1の回路部材の前記一方の面の側に曲がってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の1つの実施形態によれば、第1の回路部材の第1の曲げ部に配置された第1の端子と、第2の回路部材の第1の面に設けた第1の基板側端子とを、互いに接続することができる。また前記第1の回路部材の第2の曲げ部に配置された第2の端子と、前記第2の回路部材の第2の面に設けた第2の基板側端子とを、互いに接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ディスク装置用サスペンションの一例を示した平面図。
【
図2】第1の実施形態に係る端子接続部の一部を拡大して示した斜視図。
【
図3】
図2中のF3-F3線に沿う端子接続部の断面図。
【
図4】
図2に示された端子接続部の第1の回路部材の一部の斜視図。
【
図5】
図4に示された第1の回路部材の第1の曲げ部と第2の曲げ部とを曲げる前の第1の回路部材の斜視図。
【
図6】
図2に示された端子接続部の第2の回路部材の一部の斜視図。
【
図7】ディスク装置の一例を模式的に示した断面図。
【
図8】第2の実施形態に係る端子接続部の第1の回路部材の一部の斜視図。
【
図9】第3の実施形態に係る端子接続部の第2の回路部材の一部の斜視図。
【
図10】第4の実施形態に係る端子接続部の一部を示した斜視図。
【
図11】第5の実施形態に係る第1の回路部材の一部の斜視図。
【
図12】
図11に示された第1の回路部材を備えた端子接続部の
図11中のF12-F12線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施形態]
以下に1つの実施形態に係る電子機器の端子接続部について、
図1から
図7を参照して説明する。
図1はハードディスク装置に使用されるサスペンション10の一例を示した平面図である。サスペンション10は、ベースプレート11と、ロードビーム12と、フレキシャ(flexure)13と、フレキシャ13のタング部14に設けられたスライダ15などを含んでいる。
【0022】
ロードビーム12はステンレス鋼の板からなり、サスペンション10の長さ方向に延びている。
図1に示された両方向矢印X1がロードビーム12の長手方向、すなわちサスペンション10の長手方向である。ロードビーム12の厚さは、例えば20~40μmであるが、それ以外の厚さでもよい。
【0023】
フレキシャ13は、ロードビーム12に固定されたフレキシャ本体部16と、フレキシャ本体部16からベースプレート11の後方(
図1に矢印R1で示す方向)に延びるフレキシャテール17とを含んでいる。フレキシャテール17の端部にテールパッド部17aが形成されている。テールパッド部17aはフレキシャテール17の一部であり、端子接続部20の一部をなしている。
【0024】
この明細書では、テールパッド部17aを第1の回路部材30と称すことがある。第1の回路部材30は、端子接続部20を介して、第2の回路部材40に接続される。第2の回路部材40は、例えばアンプ側の回路基板である。第2の回路部材40の一例は、フレキシブルなプリント配線板(flexible print circuit board)からなる。端子接続部20は、第1の回路部材30と第2の回路部材40とが互いに重なる部分に形成されている。
【0025】
図2は第1の実施形態に係る端子接続部20の一部を拡大した斜視図である。
図3は、
図2中のF3-F3線に沿う端子接続部20の断面図である。
図4は第1の回路部材30の一部を示している。
図3に示されたように第1の回路部材30は、互いに平行な一方の面30aと他方の面30bとを有している。
図5に示すように、一方の面30aに複数の第1の端子31と、複数の第2の端子32とが交互に配置されている。説明の便宜上、
図2と
図4と
図5とは、いずれも2個の第1の端子31と2個の第2の端子32とを有した端子接続部20を模式的に表わしている。
【0026】
図2から
図5に示されたように、フレキシャ13の一部である第1の回路部材30は、メタルベース41と配線部42とを含んでいる。メタルベース41は、ステンレス鋼の薄い板からなる。メタルベース41の厚さの一例は20μm(12~25μm)であり、ロードビーム12の厚さよりも小さい。配線部42は、メタルベース41に沿って配置されている。
【0027】
配線部42は、ポリイミド等の電気絶縁性の樹脂からなるベース絶縁層43と、ベース絶縁層43の上に形成された複数の導体44,45(一部のみ示す)と、導体44,45を覆うカバー層とを含んでいる。カバー層はポリイミド等の電気絶縁性の樹脂からなる。図面が複雑になることを避けるためにカバー層は図面に描かれていない。第1の回路部材30の一方の面30aに導体44,45が配置されている。
【0028】
第1の回路部材30は、複数の第1の曲げ部50と、複数の第2の曲げ部60とを有している。第1の曲げ部50と第2の曲げ部60とは、第1の回路部材30の長さ方向(
図4にL1で示す)に所定ピッチで交互に配置されている。複数の第1の曲げ部50は互いに共通の構成であるため、これ以降は1つの第1の曲げ部50を代表して説明する。複数の第2の曲げ部60も互いに共通の構成であるため、これ以降は1つの第2の曲げ部60を代表して説明する。
【0029】
第1の曲げ部50は、第1の回路部材30の一部であり、第1の回路部材30の側部に設けられている。第1の曲げ部50は、一方の面30aに対し、角度θ1(
図4に示す)をなして第1の回路部材30の厚さ方向に曲がっている。角度θ1は90°に近い角度である。ただし角度θ1が90°以外であってもよい。第1の曲げ部50は、メタルベース41の一部とベース絶縁層43の一部とを含んでいる。第1の曲げ部50に第1の端子31が配置されている。
【0030】
第1の曲げ部50は縦部50aと横部50bとを有している。縦部50aは、第1の回路部材30の一方の面30aに対し、角度θ1(
図4に示す)をなして第1の回路部材30の厚さ方向に曲がっている。横部50bは、縦部50aの先端から一方の面30aに沿って、第1の回路部材30の長さ方向(
図4にL1で示す)に延びている。第1の曲げ部50は、おおむねL形をなしている。
【0031】
縦部50aは、第1の回路部材30の厚さ方向に延びる一対の側面51,52を有している。横部50bは、第1の回路部材30の一方の面30aに沿う一対の側面53,54を有している。
図4に示されたように、互いに対をなす第1の曲げ部50と第2の曲げ部60との間に、開口61が形成されている。開口61は、縦部50aの一方の側面51と、横部50bの一方の側面53と、第2の曲げ部60の折り縁62(
図4に示す)とによって規定(define)されている。
【0032】
第1の回路部材30に第2の曲げ部60が設けられている。第2の曲げ部60は、第1の回路部材30の側部に形成され、他方の面30bに向けて90°に近い角度で曲がっている。すなわち第2の曲げ部60は、第1の回路部材30の厚さ方向に関し、第1の曲げ部50の反対側に曲がっている。ただし第2の曲げ部60が90°以外の角度で曲がっていてもよい。第2の曲げ部60は、メタルベース41の一部とベース絶縁層43の一部とを含んでいる。第2の曲げ部60に第2の端子32が配置されている。
【0033】
図5は、第1の曲げ部50と第2の曲げ部60とを曲げる前の第1の回路部材30を示している。曲げる前の第1の回路部材30はほぼ平板である。メタルベース41の上にベース絶縁層43が重なっている。ベース絶縁層43の上に、第1の端子31と、第2の端子32とが、第1の回路部材30の長さ方向に交互に形成されている。第1の端子31に第1の導体44が接続されている。第2の端子32に第2の導体45が接続されている。これら導体44,45はカバー絶縁層によって覆われているが、図面が複雑になることを避けるため図面に描かれていない。第1の端子31と第2の端子32の表面に、それぞれ金めっき層が形成されていてもよい。
【0034】
図6は第2の回路部材40の一部を示している。第2の回路部材40の一例はフレキシブルなプリント配線板(flexible print circuit board)であり、電気絶縁性の樹脂からなる基板(board)70を有している。基板70は、第1の面71と、第2の面72と、側部73とを有している。第2の面72は第1の面71とは反対側の面である。第1の面71と第2の面72とは、実質的に平行である。この明細書では、説明の便宜上、第1の面71を表側と称し、第2の面72を裏側と称すことがある。
【0035】
第2の回路部材40は、表側の第1の面71に設けられた第1の基板側端子81と、裏側の第2の面72に設けられた第2の基板側端子82とを有している。第1の基板側端子81は一方の導体85と導通している。第2の基板側端子82は他方の導体86と導通している。導体85,86はカバー絶縁層によって覆われているが、図面が複雑になることを避けるため、図面上はカバー絶縁層が省略されている。第1の基板側端子81の表面と、第2の基板側端子82の表面とに、それぞれ金めっきが設けられていてもよい。
【0036】
図6に示されたように、第2の回路部材40の側部73に凸部90と凹部91,92とが形成されている。凸部90は凹部91,92の間に形成されている。凸部90の幅W1は、第1の回路部材30の開口61の幅W2(
図4に示す)よりも小さい。凸部90の厚さT1(
図6に示す)は、開口61の高さH1(
図4に示す)よりも小さい。このため凸部90を開口61に挿入することができる。
【0037】
第2の回路部材40の第1の面71には、凸部90が設けられた箇所に、第1の基板側端子81が配置されている。第1の基板側端子81は、第1の回路部材30の第1の端子31と対応した位置に設けられている。第2の回路部材40の第2の面72には、凸部90が設けられた箇所に、第2の基板側端子82が配置されている。第2の基板側端子82は、第1の回路部材30の第2の端子32と対応した位置に設けられている。第1の基板側端子81と第2の基板側端子82とは、それぞれ、導体85,86を介してプリアンプ等の電気回路に接続されている。
【0038】
図2に示されたように、第1の回路部材30の開口61に、第2の回路部材40の凸部90が挿入される。そして第1の端子31と第1の基板側端子81とが、第1の導電部材101によって電気的に接続される。また第2の端子32と第2の基板側端子82とが、第2の導電部材102によって電気的に接続される。第1の導電部材101と第2の導電部材102の一例は、はんだである。
【0039】
以上説明したように本実施形態の端子接続部20は、第1の回路部材30に設けたL形の第1の曲げ部50と、第1の曲げ部50と対をなす第2の曲げ部60とを有している。第2の曲げ部60は第1の曲げ部50とは逆方向に曲げられている。そして第1の曲げ部50と第2の曲げ部60との間に開口61が形成されている。互いに対をなす第1の端子31と第1の基板側端子81とが、第1の面71において対応している。また互いに対をなす第2の端子32と第2の基板側端子82とが、第2の面72において互いに対応している。
【0040】
互いに対をなす第1の端子31と第1の基板側端子81とが、第1の導電部材101によって接続される。第1の導電部材101は、表側の第1の面71に供給される。互いに対をなす第2の端子32と第2の基板側端子82とが、第2の導電部材102によって接続される。第2の導電部材102は、裏側の第2の面72に供給される。このため第1の導電部材101と第2の導電部材102とが電気的に短絡することが回避される。
【0041】
このように第1の端子31と第1の基板側端子81とが、表側の第1の面71において第1の導電部材101によって接続される。また第2の端子32と第2の基板側端子82とが、裏側の第2の面72において第2の導電部材102によって接続される。このため複数の端子31,32と複数の基板側端子81,82を有する端子接続部20の長さを短くすることができた。
【0042】
図7は、サスペンション10を備えたディスク装置120の一例を模式的に示した断面図である。ディスク装置120は、ケース121(一部のみ示す)と、スピンドルを中心に回転するディスク122と、ピボット軸123を中心に旋回するキャリッジ124と、キャリッジ124を駆動するポジショニング用のモータ125などを有している。ケース121は蓋によって密閉される。キャリッジ124の複数のアーム部126の先端に、それぞれサスペンション10が取付けられている。ケース121の内部にプリアンプ等の信号処理回路127が収容されている。
【0043】
ディスク122が高速で回転すると、スライダ15(
図1と
図7に示す)とディスク122との間にエアベアリングが形成される。ポジショニング用のモータ125よってキャリッジ124が旋回すると、サスペンション10がディスク122の径方向に移動する。これによりスライダ15がディスク122の所望位置に移動する。
【0044】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態に係る端子接続部の第1の回路部材30を示している。この実施形態では、第1の曲げ部50に、第1の導電部材としてのはんだバンプ(solder bump)131が設けられている。第2の曲げ部60に、第2の導電部材としてのはんだバンプ132が設けられている。
【0045】
はんだバンプ131,132を加熱し溶融させることにより、第1の端子31と第1の基板側端子81(
図2に示す)とが、はんだバンプ131によって接続される。第2の端子32と第2の基板側端子82(
図2に示す)とがはんだバンプ132によって接続される。それ以外の構成と作用について、第2の実施形態の端子接続部は、第1の実施形態の端子接続部20(
図2に示す)と同様に構成されているため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明を省略する。
【0046】
[第3の実施形態]
図9は、第3の実施形態に係る端子接続部の第2の回路部材40を示している。この実施形態では、第2の回路部材40の第1の基板側端子81と第2の基板側端子82とに、それぞれ、はんだバンプ141,142が設けられている。それ以外の構成と作用について、第3の実施形態の端子接続部は、第1の実施形態の端子接続部20と共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明を省略する。
【0047】
[第4の実施形態]
図10は、第4の実施形態に係る端子接続部150を示している。この端子接続部150の第1の回路部材30は、第1の曲げ部50の横部50bに、第1の端子31のみからなる端子部が形成されている。この端子部はメタルベース41とベース絶縁層43とを含んでいない。このため第1の端子31と第1の基板側端子81とを接続するための第1の導電部材101を、第2の導電部材102と同じ側に設けることができる。それ以外の構成と作用について、第4の実施形態の端子接続部150は、第1の実施形態の端子接続部20と共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明を省略する。
【0048】
[第5の実施形態]
図11は、第5の実施形態に係る第1の回路部材30を示している。
図12は、
図11中のF12-F12線に沿う端子接続部160の断面図である。この端子接続部160の第1の回路部材30は、第1の回路部材30の他方の面30bの側に曲げた第1の曲げ部50Aと、第1の回路部材30の一方の面30aの側に曲げた第2の曲げ部60Aとを有している。
【0049】
第1の曲げ部50Aは、第1の端子31のみからなる端子部を有している。第1の端子31と基板側端子82とが、第1の導電部材101によって接続される。第2の曲げ部60Aは、第2の端子32のみからなる端子部を有している。第2の端子32と基板側端子81とが、第2の導電部材102によって接続される。
【0050】
第5の実施形態の端子接続部160によれば、第2の回路部材40を第1の回路部材30の他方の面30bの側に配置することができる。それ以外の構成と作用について、第5の実施形態の端子接続部160は、第1の実施形態の端子接続部20と共通であるため、両者に共通の構成要素に共通の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本発明を実施するに当たり、第1の回路部材および第2の回路部材の具体的な態様をはじめとして、第1の端子や第2の端子の形状や位置、第1の基板側端子や第2の基板側端子の形状や位置など、本発明を構成する要素の具体的な態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。また本発明の技術思想がディスク装置以外の電子機器の端子接続部に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10…ディスク装置用サスペンション、13…フレキシャ、17…フレキシャテール、17a…テールパッド部、20…端子接続部、30…第1の回路部材、30a…一方の面、30b…他方の面、31…第1の端子、32…第2の端子、40…第2の回路部材、41…メタルベース、42…配線部、43…ベース絶縁層、44,45…導体、50,50A…第1の曲げ部、50a…縦部、50b…横部、60,60A…第2の曲げ部、61…開口、62…折り縁、70…基板、71…第1の面、72…第2の面、81…第1の基板側端子、82…第2の基板側端子、90…凸部、101…第1の導電部材、102…第2の導電部材、120…ディスク装置、131,132…はんだバンプ、141,142…はんだバンプ、150…端子接続部、160…端子接続部。