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特開2024-121398ドライバ特性推定装置、ドライバ特性推定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121398
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ドライバ特性推定装置、ドライバ特性推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028483
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】細田 康雄
(72)【発明者】
【氏名】小幡 一智
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181CC27
5H181FF10
(57)【要約】
【課題】 本発明が解決しようとする課題としては、ドライバの特性を精度よく推定することが一例として挙げられる。
【解決手段】
ドライバ特性推定装置1は、挙動情報取得部10と区間情報生成部20と運転情報取得部30と推定部40とを備えている。挙動情報取得部10は、移動体の挙動に関する挙動情報を取得する。区間情報生成部20は、挙動情報を用いて、移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、走行イベント区間情報を用いて、走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する。運転情報取得部30は、延長区間情報に紐づいている、移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する。推定部40は、延長区間情報に紐づいた運転情報を用いて、ドライバの特性を推定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する挙動情報取得部と、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する区間情報生成部と、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する推定部と、を備える、ドライバ特性推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドライバ特性推定装置において、
前記運転情報取得部は、前記走行イベント区間情報に紐づいている、前記ドライバの運転に関する運転情報をさらに取得し、
前記推定部は、前記走行イベント区間情報に紐づいた前記運転情報をさらに用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定装置。
【請求項3】
請求項2に記載のドライバ特性推定装置において、
前記第1の基準には、複数の基準が設けられており、
前記走行イベント区間情報は、複数の前記第1の基準を各々が満たす、複数の前記走行イベント区間に関する情報を含んでいる、ドライバ特性推定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のドライバ特性推定装置において、
前記区間情報生成部は、少なくとも2つの前記走行イベント区間、及び少なくとも1つの前記延長区間を統合した統合走行イベント区間に関する統合走行イベント区間情報を生成し、
前記運転情報取得部は、前記統合走行イベント区間情報に紐づいている、前記ドライバの運転に関する運転情報を取得し、
前記推定部は、前記統合走行イベント区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定装置。
【請求項5】
請求項4に記載のドライバ特性推定装置において、
前記走行イベント区間情報は、前記移動体の挙動の大小に関する第2の基準を満たす複数の走行イベント区間に関する情報を含んでおり、
前記区間情報生成部は、前記第2の基準を満たす複数の前記走行イベント区間、及び複数の前記延長区間を統合した統合走行イベント区間に関する前記統合走行イベント区間情報を生成する、ドライバ特性推定装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1つに記載のドライバ特性推定装置において、
前記ドライバの特性は、前記ドライバが認知機能低下者であるか、及び高齢者であるかの少なくとも一方を含む、ドライバ特性推定装置。
【請求項7】
ドライバ特性推定装置を実現するコンピュータが、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得し、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成し、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得し、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定方法。
【請求項8】
ドライバ特性推定装置を実現するコンピュータに、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する手順、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する手順、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する手順、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する手順、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ特性推定装置、ドライバ特性推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転タイプの分類精度を向上させる、運転タイプ分類装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、場所毎の道路形状の違いに起因する誤判定を抑制しつつ、ドライバの状態が正常ではないと判定した場合には警告を実施するドライバ状態診断装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、ドライバの安全運転レベルを正確に判定し、安全運転レベルに応じた妥当な保険料を計算する、安全運転診断システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-021824号公報
【特許文献2】特開2016-091056号公報
【特許文献3】特開2009-128486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1から特許文献3に記載されているように、車両の挙動など様々なパラメータを使用して、種々のドライバの特性を推定することが行われている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、ドライバの特性を精度よく推定することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車両の挙動、ドライバの運転操作、及びドライバの生体情報など、様々なパラメータを用いて、ドライバの特性(ドライバの運転タイプ、ドライバの状態など)を推定することが行われている。
【0009】
一時停止、右左折、及び左右カーブなど、一定基準以上の動きを伴う挙動を分析することは、ドライバの特性を推定するにあたって重要なことであるが、これらの挙動を分析するだけでは、ドライバの特性を精度よく推定することができなかった。
【0010】
本願発明者は、実際に、一時停止、右左折、及び左右カーブなどの区間(走行イベント区間と呼ぶ)における、車両の挙動を調べたところ(ハンドル操作、アクセル操作、及びブレーキ操作などを解析)、走行イベント区間だけでは無く、特に、走行イベント区間の前後の区間や、隣り合う走行イベント区間の間の区間で、ドライバの特性を推定するのに役立つ特徴的な挙動を抽出できることを確認した。そして、当該特徴的な挙動を用いて、ドライバの特性を評価することで、ドライバの特性を精度よく評価できることを見出した。
【0011】
請求項1に記載の発明は、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する挙動情報取得部と、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する区間情報生成部と、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する推定部と、を備える、ドライバ特性推定装置である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、
ドライバ特性推定装置を実現するコンピュータが、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得し、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成し、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得し、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定方法である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、
ドライバ特性推定装置を実現するコンピュータに、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する手順、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する手順、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する手順、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する手順、を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係るドライバ特性推定装置の機能を示すブロック図である。
図2】区間情報生成部により生成された区間情報を説明するための概略図である。
図3】区間情報生成部により生成された延長区間の別例を説明するための概略図である。
図4】ドライバ特性推定装置のハードウエア構成例を示す図である。
図5】推定部がドライバ特性を推定する際のフロー図である。
図6】第2実施形態に係る区間情報生成部が生成する統合走行イベント区間を説明するための概略図である。
図7】第3実施形態に係るドライバ特性推定装置の機能を示すブロック図である。
図8】連続区間を説明するための概略図である。
図9】第3実施形態に係るドライバ特性推定装置がドライバ特性を推定する際のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
なお、以下に示す説明において、各装置の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るドライバ特性推定装置1の機能を示すブロック図である。図1を用いて、第1実施形態に係るドライバ特性推定装置1について説明する。
【0018】
第1実施形態において、ドライバ特性推定装置1は移動体の外に設けられている。ドライバ特性推定装置1は、いわゆるクラウドサーバであってもよい。第1実施形態において、移動体は車両3である。
【0019】
ドライバ特性推定装置1は、通信ネットワーク101を介して、少なくとも1つの移動体側装置2と通信可能な構成となっている。通信ネットワーク101は例えば、4G又は5G回線での通信を含む。ドライバ特性推定装置1は、通信ネットワーク101を構成するための車外通信部(図示しない)を含んで構成されている。
【0020】
(移動体側装置2)
移動体側装置2は、車両3の内部にある。第1実施形態において、移動体側装置2は、車両3に搭載されている。移動体側装置2は、車両3の外から車両3の中に持ち込まれてもよい。移動体側装置2は、通信ネットワーク101を介して、ドライバ特性推定装置1と通信可能な構成となっている。移動体側装置2は、通信ネットワーク101を構成するための車外通信部(図示しない)を含んで構成されている。
【0021】
第1実施形態において、移動体側装置2は、速度センサ部2a、加速度センサ部2b、角速度センサ部2c、及び位置センサ部2dを備えている。速度センサ部2aは、車両3の速度に関する速度情報を例えば車速パルスを介して取得する。加速度センサ部2bは、車両3の加速度に関する加速度情報を例えば加速度センサを介して取得する。角速度センサ部2cは、車両3の角速度(ヨーレート)に関する角速度情報を例えばジャイロセンサを介して取得する。位置センサ部2dは、車両3(又は移動体側装置2)の位置情報を例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)により取得する。
【0022】
(挙動情報取得部10)
ドライバ特性推定装置1は、挙動情報取得部10と、区間情報生成部20と、運転情報取得部30と、推定部40とを備えている。挙動情報取得部10は、挙動情報を取得する。挙動情報は、車両3の挙動に関する情報である。
【0023】
挙動情報は、車両3の速度に関する速度情報、車両3の加速度に関する加速度情報、車両3の角速度に関する角速度情報、及び車両3の位置情報に関する位置情報を含む。挙動情報取得部10は、移動体側装置2(速度センサ部2a、加速度センサ部2b、角速度センサ部2c、及び位置センサ部2d)から、挙動情報を取得する。
【0024】
挙動情報は、角速度センサ部2cより取得した角速度情報を用いて生成された、角速度の微分値である角加速度(ヨーレート微分)に関する角加速度情報を含んでいてもよい。挙動情報は、加速度センサ部2bより取得した加速度情報を用いて生成された、加速度の微分値である加加速度(躍度)に関する加加速度情報を含んでいてもよい。
【0025】
挙動情報は、ドライバのハンドル操作に関するハンドル操作情報、ドライバのアクセル操作に関するアクセル操作情報、及びドライバのブレーキ操作に関するブレーキ操作情報を含んでいてもよい。挙動情報取得部10は、ハンドル操作情報を移動体側装置2に搭載されたハンドルセンサ(図示しない)、アクセル操作情報を移動体側装置2に搭載されたアクセルセンサ(図示しない)、ブレーキ操作情報を移動体側装置2に搭載されたブレーキセンサ(図示しない)から取得してもよい。ハンドル操作情報は、ハンドル操作量、及びハンドルの操作角に関する情報を含む。アクセル操作情報は、アクセルの踏み込み量に関する情報を含む。ブレーキ操作情報は、ブレーキの踏み込み量に関する情報を含む。
【0026】
速度情報は位置センサ部2dの情報を用いて生成されてもよい。速度情報、及び加速度情報は、アクセル操作情報及びブレーキ操作情報の少なくとも一方を用いて生成されてもよい。角速度情報は、ハンドル操作情報を用いて生成されてもよい。
【0027】
(区間情報生成部20)
図2は、区間情報生成部20により生成された区間情報を説明するための概略図である。図2のDR1は、車両3の進行方向である。図2に示すように、区間情報生成部20は、地図情報(実際の道路形状)を用いずに、挙動情報を用いて、実際の車両3の走行軌跡29に関する情報を生成する。走行軌跡29は、後述する走行イベント区間21及び延長区間22を含む。
【0028】
(走行イベント区間21)
区間情報生成部20は、挙動情報を用いて、走行イベント区間21に関する走行イベント区間情報を生成する。区間情報生成部20は、挙動情報を解析して、走行イベント区間21を生成する。走行イベント区間情報には、走行イベント区間21の種別(例えば、左右の急カーブ、左右の緩いカーブ、一時停止、右左折、坂道など)を識別する情報が含まれる。走行イベント区間情報には、車両3が走行イベント区間21を走行した際に挙動情報取得部10により取得された、車両3の速度情報、加速度情報、角速度情報、位置情報、ハンドル操作情報、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、角加速度情報、及び加加速度情報などが紐づいている。
【0029】
走行イベント区間21は、例えば、左右の緩いカーブ、左右の急カーブ、直線道路、右左折、ラウンドアバウト、交差点での停止・発進、横断歩道、信号機、一時停止、一時停止場所での停車と発車、直線道路の坂道、及び高速道路の入口・出口に係る区間を含む。図2では、走行イベント区間21は、急な右カーブ区間21a及び右折区間21bを含んでいる。なお、「急なカーブ」とは、曲率半径が比較的小さい(所定基準以下)カーブのことを指し、「緩いカーブ」とは、曲率半径が比較的大きい(所定基準以上)カーブのことを指す。カーブの曲率半径の基準は、急カーブと緩いカーブのみに限らず、それ以外にも中程度のカーブのような複数の段階の基準が定められていても良い。
【0030】
坂道についても、カーブと同様に、急な坂道・緩い坂道のように複数の走行イベント区間21として定めてもよい。ここで「急な坂道」とは、傾斜が比較的大きい(所定基準以上)坂道のことを指し、「緩い坂道」とは、傾斜が比較的小さい(所定基準以下)坂道のことを指す。
【0031】
走行イベント区間21は、車両3の走行状態が第1の基準を満たす区間である。第1の基準には、複数の基準が設けられている。複数の基準は、例えば、左右の急カーブの基準、左右の緩いカーブの基準、一時停止の基準、右左折の基準、坂道の基準などがある。例えば、急な右カーブの基準は、ハンドルの操作量に関する基準を含んでいる。例えば、ハンドルの操作量、ハンドルの操作角、又は車両3の所定走行距離当たりの車両3の回転角度が所定の閾値を超えた場合(第1の基準を満たした場合)、車両3は、急な右カーブの走行状態であると判定してもよい。
【0032】
このように、車両3の走行状態が、急な右カーブの基準(ハンドルの操作量、ハンドルの操作角、又は所定走行距離当たりの回転角度が所定の閾値を超えるか)を満たしている場合、走行イベント区間21は、急な右カーブ区間ということになる。なお、カーブ区間の曲率半径Rの代表値(例えば、曲率半径R=100[m])は、カーブ区間のうち最も半径が小さい円弧部に相当する半径を用いてもよい。
【0033】
また、走行イベント区間21は、区間の長さがゼロの区間を含んでもよい。例えば、車両3の速度がゼロの状態が所定時間以上継続した場合に、車両3は一時停止に関する第1の基準を満たしたと判定されてもよい。一時停止に関する第1の基準を満たした位置(すなわち、区間長がゼロの走行イベント区間21)において、車両3が一時停止の走行イベントを実行したと判定されてもよい。
【0034】
第1実施形態において、走行イベント区間情報は、複数の走行イベント区間21(図2では急な右カーブ区間21a、及び右折区間21b)に関する情報を含んでいる。言い換えれば、走行イベント区間情報には、複数の種別の走行イベント(急な右カーブ及び右折)のそれぞれを識別する情報が含まれる。複数の走行イベント区間21は、複数の第1の基準を各々が満たしている。例えば図2では、急な右カーブ区間21a(=走行イベント区間21)は、急な右カーブの基準(第1の基準)を満たしている区間である。例えば図2では、右折区間21b(=走行イベント区間21)は、右折の基準(第1の基準)を満たしている区間である。
【0035】
(延長区間22)
区間情報生成部20は、走行イベント区間情報を用いて、延長区間22に関する延長区間情報を生成する。延長区間情報は、複数の種別の走行イベント区間21(例えば、左右の急カーブ、左右の緩いカーブ、一時停止、右左折、坂道など)のうち、いずれの走行イベント区間21に連続する延長区間であるかを識別する情報が含まれる。延長区間情報には、車両3が延長区間22を走行した際に挙動情報取得部10により取得された、車両3の速度情報、加速度情報、角速度情報、位置情報、ハンドル操作情報、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、角加速度情報、加加速度情報などが紐づいている。
【0036】
延長区間22は、走行イベント区間21の両端のうち少なくとも一方を延長した区間である。図2の例では、急な右カーブ区間21aの両端を延長したそれぞれの延長区間22a(22a1、及び22a2)、及び右折区間21bの両端を延長したそれぞれの延長区間22b(22b1、及び22b2)が生成されている。延長区間22は、走行イベント区間21の少なくとも一方の端部を一方向に伸ばした区間ともいえる。
【0037】
延長区間22の長さは、走行イベント区間21の種別ごとに予め定められていてもよい(例えば、走行イベント区間21が急カーブ区間の場合は50[m]、右折の場合は25[m]など)。また、延長区間22の長さは、走行イベント区間21の前後を走行した実際の時間に基づいて、決定されてもよい。例えば、走行イベント区間21にさしかかる前の20秒間に移動した距離を延長区間22の長さにしてもよい。、又は、例えば、走行イベント区間21にさしかかる前(抜けた後)の所定時間の間に移動した長さと、予め定めた長さとの短い方を延長区間22の長さとして選択してもよい。例えば、走行イベント区間21を抜けた後の30秒間に移動した距離と、予め定めた長さ50[m]との短い方を延長区間22の長さにしてもよい。また、延長区間22の長さは、車両3が走行イベント区間21を走行する距離によって、予め定められていてもよい。例えば、走行イベント区間21がカーブであり、カーブを走行する距離が100[m]の場合、延長区間22の長さは30[m]と定めてもよい。また、例えば、走行イベント区間21がカーブであり、カーブの曲率半径Rが100[m]の場合、延長区間22の長さは30[m]と定めてもよい。
【0038】
なお、図2の例では、延長区間22a1と延長区間22b2との間の区間は、走行軌跡29のうち走行イベント区間21でも延長区間22でもない区間である。
【0039】
図3は、区間情報生成部20により生成された延長区間22の別例を説明するための概略図である。図3の例では、延長区間22a1と延長区間22b2とが重複している。区間情報生成部20は、車両3の実際の挙動情報を用いて生成した走行軌跡29(走行イベント区間21及び延長区間22など)を、細分化していくのではなく、走行イベント区間21、及び延長区間22をそれぞれ抽出していく。
【0040】
走行イベント区間21および延長区間22の生成について、ハンドル操作関係、アクセル操作関係、及びブレーキ操作関係のそれぞれの挙動情報に対応して、別々に生成してもよい。例えば、ハンドル操作に関しては、急なカーブに対応した走行イベント区間21をひとつ生成して延長区間22を生成してもよい。一方、カーブの途中で減速や停止が有った場合には、アクセル操作やブレーキ操作に関して、減速や停止に関する走行イベント区間21を別途生成し、その前後に延長区間22をそれぞれ生成しておくことが望ましい場合も有る。カーブの途中で停止が有った場合、走行イベント区間21には、停止時間と言う時間軸の長さのみがあり、区間の距離軸の長さは0となる場合が有り得る。
【0041】
一般的に、車両の速度による停止検出だけでは一時停止か信号停止かは判断できず、また、停止の前に減速があったとしても停止に向けた減速か速度調整かの判断が困難である。第1実施形態では、停止時間の長さによって一時停止か信号停止(短時間の信号停止は一時停止とほぼ同じと考える)かを判定する。そして、右左折を伴う停止の場合は交差点右左折として、そうでない場合は直進路での一時停止または信号停止として、距離がほぼ0(又は停止に近い速度の徐行運転距離)の走行イベント区間21を生成する。そして、距離がほぼ0の走行イベント区間21の前後に延長区間22を生成する。
【0042】
こうすることで、停止に向けた複数回(又は多段階)の減速や、発進時の複数回(又は多段階)の加速も区間に入れて判断することが可能になる。比較的大きい速度での運転時には、時間あたりの走行距離が長くなると同時に制動に必要な距離も長くなるため、予め定めた長さと、予め定めた時間の間に実際に走行した長さとの長い方を延長区間22として選択してもよい。なお、実際の道路では複雑な状況が重複して発生するので、適宜例外措置等を取ることを妨げない。
【0043】
(運転情報取得部30)
図1に戻り、運転情報取得部30は、延長区間情報に紐づいている、運転情報を取得(又は抽出)する。運転情報は、車両3のドライバの運転に関する情報である。運転情報は、ドライバのハンドル操作に関するハンドル操作情報、ドライバのアクセル操作に関するアクセル操作情報、及びドライバのブレーキ操作に関するブレーキ操作情報を含んでいてもよい。また、運転情報は、車両3の速度に関する速度情報、車両3の加速度に関する加速度情報、車両3の角速度に関する角速度情報、車両3の位置情報に関する位置情報、角加速度情報、及び加加速度情報を含んでいてもよい。第1実施形態において、運転情報と挙動情報とは同じでもよい。
【0044】
運転情報は、後述する推定部40がドライバの特性を推定するために必要な情報である。運転情報取得部30は、延長区間情報に紐づいている、ハンドル操作情報、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報を取得する。運転情報取得部30は、延長区間情報に紐づいている、車両3の微細な挙動を抽出するために、角加速度情報、及び加加速度情報を取得してもよい。
【0045】
運転情報取得部30は、車両3の走行速度別に運転情報を取得してもよい。運転情報取得部30は、区間ごと(走行イベント区間21、延長区間22)に区別して運転情報を取得してもよい。
【0046】
また、運転情報取得部30は、延長区間情報に紐づいている運転情報に加えて、走行イベント区間情報に紐づいている、ドライバの運転に関する運転情報をさらに取得(又は抽出)してもよい。
【0047】
(推定部40)
推定部40は、延長区間情報に紐づいた上記運転情報を用いて、ドライバの特性を推定する。推定部40は、延長区間情報に紐づいた上記運転情報のうち、その一部を抽出して、ドライバの特性を推定してもよい。ドライバの特性は、ドライバが認知機能低下者であるか、及びドライバが高齢者であるかの少なくとも一方を含んでいる。
【0048】
また、推定部40は、延長区間情報だけでなく、走行イベント区間情報に紐づいた運転情報をさらに用いて、ドライバの特性を推定してもよい。
【0049】
(ドライバ特性の推定方法)
推定部40のドライバの特性の推定方法は、任意であるが、例えば、機械学習を用いた推定方法でもよい。機械学習を用いた推定方法の場合、予め、複数の種別の走行イベント区間21(急なカーブ区間、緩いカーブ区間、右左折区間など)に連続する延長区間22のそれぞれについて、運転情報(ブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作など)と、当該運転情報に対応するドライバの特性のラベル(「認知機能低下」、「認知機能低下傾向あり」、「健常」、「高齢者」、及び「若年者」など)を組合せたデータを複数入力して学習させたAI(Artificial Intelligence)モデルを生成してもよい。当該AIモデルを使用する場合には、延長区間情報、及び当該延長区間情報に紐づいた運転情報を入力データとして当該AIモデルに入力することで、当該入力データに対応すると推定されるドライバの特性が出力されてもよい。
【0050】
また、別の方法として、AIモデルを使用せずに、複数の種別の走行イベント区間21(急なカーブ区間、緩いカーブ区間、右左折区間など)に連続する延長区間22のそれぞれに対して、予め所定の閾値を設けておいて、当該閾値を満たす運転情報に基づいてルールベースで推定されるドライバの特性を出力してもよい。
【0051】
また、ルールベースのドライバの特性の出力は、多段階のステップに分かれていてもよい。例えば走行イベント区間情報のそれぞれについて認知機能低下に関する特徴的な挙動を検出するステップと、それらが検出される割合の情報を重み付け集計してドライバ特性を推定するステップとに分かれていてもよい。また、それらのステップのうちの1つ以上にAIモデルを使用するハイブリッドな方法を用いてもよい。
【0052】
(ハードウエア構成例)
図4は、ドライバ特性推定装置1のハードウエア構成例を示す図である。ドライバ特性推定装置1は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0053】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0054】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0055】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0056】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどのリムーバブルメディア、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置であり、記録媒体を有している。ストレージデバイス1040の記録媒体はドライバ特性推定装置1の各機能(例えば、挙動情報取得部10、区間情報生成部20、運転情報取得部30、及び推定部40)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040はドライバ特性推定装置1に接続された記憶部(図示しない)として機能してもよい。
【0057】
入出力インタフェース1050は、ドライバ特性推定装置1と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0058】
ネットワークインタフェース1060は、ドライバ特性推定装置1をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。ドライバ特性推定装置1は、ネットワークインタフェース1060を介して移動体側装置2と通信してもよい。
【0059】
(第1実施形態の動作例)
図5は、推定部40がドライバ特性を推定する際のフロー図である。ステップS10では、挙動情報取得部10が、移動体側装置2から挙動情報を取得する。
【0060】
ステップS20では、区間情報生成部20が、挙動情報を用いて、走行イベント区間情報を生成する。区間情報生成部20は、カーブ等の走行イベント区間を識別するために、ローパスフィルタや所定の平滑化処理を用いて、車両の挙動情報からドライバの微細なハンドル操作情報、アクセル操作情報、及びブレーキ操作情報を除去し、操作量が比較的大きいドライバの操作に基づいて、走行イベント区間情報を生成する。例えば、挙動情報取得部10が、図2に示すような急な右カーブに係る挙動情報(ハンドル操作、アクセル操作など)を取得した場合、区間情報生成部20は、急な右カーブに係る比較的変化量の大きい挙動情報を用いて、急な右カーブ区間21a(=走行イベント区間21)を特定することで、急な右カーブ区間21aを示す走行イベント区間情報を生成する。
【0061】
ステップS30では、区間情報生成部20が、走行イベント区間情報を用いて、延長区間情報を生成する。例えば、区間情報生成部20が、急な右カーブ区間21a及び右折区間21bを生成した場合、区間情報生成部20は、走行イベント区間情報(急な右カーブ区間21aに係る情報、及び右折区間21bに係る情報)を用いて、延長区間22(延長区間22a1、延長区間22a2、延長区間22b1、及び延長区間22b2)を生成する。
【0062】
ステップS40では、運転情報取得部30は、延長区間22に係る延長区間情報に紐づいている、運転情報を取得する。例えば、区間情報生成部20が、延長区間22a1、延長区間22a2、延長区間22b1、及び延長区間22b2を生成した場合、運転情報取得部30は、延長区間22a1、延長区間22a2、延長区間22b1、及び延長区間22b2に係る延長区間情報に紐づいている、運転情報を取得する。
【0063】
ステップS50では、推定部40は、延長区間情報に紐づいた運転情報を用いて、ドライバの特性を推定する。ドライバの特性の推定方法は、上記で説明した通りである。例えば、急な右カーブ区間21aの後の延長区間22a1に紐づいた運転情報(ハンドル操作情報、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、角加速度情報、加加速度情報など)のうち、所定の閾値を超えるものの割合が一定数ある場合、推定部40は、ドライバは、認知機能が低下傾向にあると推定してもよい。この場合、急な右カーブ区間21aの後の区間である延長区間22a1に、認知機能低下に関する特有の挙動が表れているといえる。
【0064】
以上、第1実施形態によれば、ドライバ特性推定装置1は、挙動情報取得部10と、区間情報生成部20と、運転情報取得部30と、推定部40とを備えている。
【0065】
カーブ等の走行イベント区間では、ドライバは操作量が比較的大きい操作を要求されることになる。そのため、この時の挙動情報は変化量が比較的大きくなり、ドライバの微細なハンドル操作、アクセル操作、及びブレーキ操作等に対応する挙動データが埋もれてしまい、その結果、ドライバ特性の推定に必要なデータが得られない可能性がある。
【0066】
しかし、操作量の大きい操作を要求されない走行イベント区間21の前後の区間(延長区間22)を解析することによって、走行イベント区間21には表れないレベルの微細な挙動を抽出することができる。
【0067】
従って、ドライバの特性に関わる、特有の微細な挙動が表れやすい区間(延長区間22)に紐づいている運転情報を用いて、ドライバの特性を推定することにより、ドライバの特性を精度よく推定することができる。
【0068】
さらに、運転情報として、角加速度及び加加速度情報を用いることにより、より微細な挙動を抽出することができる。
【0069】
さらに、運転情報取得部30は、走行イベント区間情報に紐づいている、運転情報をさらに取得し、推定部40は、当該走行イベント区間情報に紐づいた運転情報をさらに用いて、ドライバの特性を推定する。延長区間22だけでなく、走行イベント区間21に係る情報を用いることにより、ドライバの特性をより精度よく推定することができる。
【0070】
さらに、走行イベント区間情報は、複数の第1の基準(左右カーブの基準、右左折の基準、一時停止の基準など)を各々が満たす、複数の走行イベント区間21に関する情報を含んでいる。より具体的には、第1の基準としては、複数の種別の走行イベントの各々に対応して設定された基準であって、それぞれが互いに異なる複数の基準が予め設定されている。区間情報生成部20は、挙動情報がこれらの複数の基準のいずれを満たすかに応じて走行イベント区間21を特定することで、複数の種別の走行イベント区間21を含んだ走行イベント区間情報を生成する。複数の走行イベント区間21を含んだ走行イベント区間情報を用いて、推定部40がドライバの特性を推定することにより、ドライバの特性をより精度よく推定することができる。
【0071】
さらに、ドライバの特性は、ドライバが認知機能低下者であるか、及びドライバが高齢者であるかの少なくとも一方を含んでいる。ドライバが認知機能低下者であるかを推定部40が推定することにより、ドライバが、自分自身の認知機能が低下している可能性があることに気づくことができる。これにより、交通事故を抑制することができる。また、ドライバが高齢者であるかを推定部40が推定することにより、ドライバの年齢を聞かずとも高齢者向けのガイダンスや高齢者向けのサービスを提供することが可能となる。
【0072】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る区間情報生成部20が生成する統合走行イベント区間23を説明するための概略図である。図6のDR2は、車両3の進行方向を示している。第2実施形態に係るドライバ特性推定装置1の構成は、図1と同様であるが、特に、区間情報生成部20の機能が第1実施形態と異なっている。
【0073】
第2実施形態に係る区間情報生成部20は、走行イベント情報及び延長区間情報を用いて、統合走行イベント区間23に関する統合走行イベント区間情報を生成する。統合走行イベント区間23は、少なくとも2つの走行イベント区間21、及び少なくとも1つの延長区間22を統合した区間である。統合走行イベント区間情報には、車両3が統合走行イベント区間23を走行した際に挙動情報取得部10により取得された、車両3の速度情報、加速度情報、角速度情報、位置情報、ハンドル操作情報、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、角加速度情報、及び加加速度情報などが紐づいている。
【0074】
図6の例では、2つの走行イベント区間21(緩い左カーブ区間21c、緩い右カーブ区間21d)及び4つの延長区間22(緩い左カーブ区間21cの延長区間22c1、緩い左カーブ区間21cの延長区間22c2、緩い右カーブ区間21dの延長区間22d1、緩い右カーブ区間21dの延長区間22d2)を統合した区間である。統合延長区間22xは、緩い左カーブ区間21cの一方の延長区間22c2と緩い右カーブ区間21dの一方の延長区間22d1とが統合した区間である。
【0075】
第2実施形態では、第1実施形態と異なり、走行イベント区間21、及び延長区間22の単独でなく、統合走行イベント区間23の全体として、運転情報を解析する。統合走行イベント区間23は、緩い連続カーブ、S字カーブ(図6参照)及び急な連続カーブ等を含む。左右どちらかのカーブのみの連続カーブと左右が組み合わされたS字カーブ等の複合連続カーブとは区別して扱ってよい。なお、連続カーブ及び単独カーブ(図2の急な右カーブ区間21a参照)は、区別して扱われる。
【0076】
例えば、延長区間22c1は、緩い左カーブ区間21cの入口に近づく際の速度調整、曲がりだす前にハンドルをこまめに操作するなどの挙動が表れる。例えば、緩い左カーブ区間21c及び緩い右カーブ区間21dでは、カーブ中、速度調整が不要なポイントでのアクセル操作、及びブレーキ操作が現れたり、カーブに合わせてこまめで速いハンドル操作がおこなわれたりする挙動が表れる。
【0077】
例えば、統合延長区間22xでは、緩い左カーブ区間21cの終了に伴うアクセル操作やブレーキ操作、また、次の緩い右カーブ区間21dが連続していることに気が付くことで行われるハンドル操作、アクセル操作、及びブレーキ操作などの挙動が表れる。延長区間22d2では、右カーブ区間21dの終了に伴うアクセル操作やブレーキ操作、また、直線に調整するまでのこまめなハンドル操作などに関する挙動が表れる。
【0078】
このように、延長区間22c1、緩い左カーブ区間21c、統合延長区間22x、緩い右カーブ区間21d、及び延長区間22d2をそれぞれ単独で解析するのではなく、これらを1つの区間(統合走行イベント区間23)として運転情報(挙動情報)を解析する。
【0079】
そして、運転情報取得部30は、統合走行イベント区間情報に紐づいている、ドライバの運転に関する運転情報(ブレーキ操作、アクセル操作、ハンドル操作など)を取得する。推定部40は、統合走行イベント区間情報に紐づいた運転情報を用いて、ドライバの特性を推定する。
【0080】
(第2の基準)
第2実施形態において、走行イベント区間情報は、車両の挙動の大小(車両の挙動の激しさ)に関する第2の基準を満たす、複数の走行イベント区間21に関する情報を含んでいる。第2実施形態において、走行イベント区間21は、第2の基準を満たしている。
【0081】
第2の基準を満たす場合は、例えば、ある走行イベント区間21における車両の挙動(ハンドル操作、アクセル操作、ブレーキ操作)の大きさが所定の閾値以下の場合である。第2実施形態において、例えば、左右の緩いカーブ区間(走行イベント区間21)は、車両3の挙動の大きさが所定の閾値以下(所定のハンドル操作量、アクセル操作量、ブレーキ操作量以下)の区間である。また同様に、例えば車両3の挙動の大きさが所定の値以上かつ別の所定の値以下となる、左右の中程度のカーブ区間、といったように、第2の基準は、複数の基準が設けられている。
【0082】
第2実施形態に係る区間情報生成部20は、第2の基準を満たす走行イベント区間21を用いて、統合走行イベント区間情報を生成する(第2の基準を満たさない走行イベント区間21を用いて、統合走行イベント区間情報を生成しない)。
【0083】
第2実施形態に係る区間情報生成部20は、第2の基準を満たす複数の走行イベント区間21、及び複数の延長区間22を統合した統合走行イベント区間に関する統合走行イベント区間情報を生成する。なお、第2の基準は、第1の基準と同じであってもよい。
【0084】
以上、第2実施形態によれば、走行イベント区間21と延長区間22とを統合した統合走行イベント区間23に関する統合走行イベント区間情報に紐づく運転情報を用いて、推定部40がドライバの特性を推定する。
【0085】
隣り合う走行イベント区間21の間の区間(図6の例では、統合延長区間22x)のデータを走行イベント区間21と関連付けて解析することによって、各種の走行イベント区間が連続することに起因して表れる、車両3のドライバの特有の操作(挙動)を検出することができる。
【0086】
走行イベント区間21、及び延長区間22のそれぞれ単体で解析するのではなく、走行イベント区間21、及び延長区間22を統合した1つの区間として解析することで、ドライバの特性をより精度よく推定することができる。
【0087】
さらに、区間情報生成部20は、第2の基準を満たす複数の走行イベント区間21(図6の場合、緩い左カーブ区間21c、及び緩い右カーブ区間21d)、及び複数の延長区間22(延長区間22c1、延長区間22c2、延長区間22d1、及び延長区間22d2)を統合した統合走行イベント区間23に関する統合走行イベント区間情報を生成する。
【0088】
例えば、車両の挙動の大きさが所定閾値以下の小さい挙動の走行イベント区間21の組み合わせ(例えば、緩い右カーブと緩い左カーブ)を用いて統合走行イベント区間23を生成した場合、統合走行イベント区間23にドライバの特性(特に認知機能低下の特性)が表れやすい。走行イベント区間21が第2の基準を満たすものを統合走行イベント区間23の生成に用いることにより、ドライバの特性をより精度よく推定することができる。
【0089】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係るドライバ特性推定装置1の機能を示すブロック図である。第3実施形態に係るドライバ特性推定装置1は、第1実施形態と異なり、検出部50と連続区間情報生成部60とを備えており、区間情報生成部20は備えていない。なお、挙動情報取得部10の機能は第1実施形態と同様である。第3実施形態において、延長区間22は生成されなくてもよい。
【0090】
検出部50は、挙動情報を用いて、車両3の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間情報を生成し、当該走行イベント区間情報から走行イベント区間21を検出する。
【0091】
図8は、連続区間25を説明するための概略図である。DR3は、車両3の進行方向である。連続区間情報生成部60は、2つの走行イベント区間21(図8の場合、急な右カーブ21e、及び急な右カーブ21f)の間にある通常区間24が所定基準(=第3の基準)を満たした場合、2つの走行イベント区間21と通常区間24とを統合した連続区間25に関する連続区間情報を生成する。
【0092】
通常区間24が第3の基準を満たす場合は、通常区間24の長さが所定距離以下である場合、及び車両3が通常区間24を走行する(走行した)時間が所定時間以内の場合の少なくとも一方を含む。通常区間24の長さの基準は、予め定められていてもよい(例えば、通常区間24は100[m]以内など)。
【0093】
連続区間情報生成部60は、通常区間24を間に挟んだ2つの走行イベント区間21が同種の場合(例えば、急な右カーブ区間と急な左カーブ区間、急な右カーブ区間と緩い右カーブ区間の組み合わせなど)にのみ、連続区間情報を生成してもよい。例えば、右カーブ区間と左カーブ区間の組み合わせの場合、S字カーブとして扱ってもよい。
【0094】
第3実施形態に係る運転情報取得部30は、連続区間情報に紐づいている、運転情報を取得(又は抽出)する。推定部40は、連続区間情報に紐づいた運転情報を用いて、ドライバの特性を推定する。ドライバ特性の推定方法は第1実施形態と同様である。
【0095】
また、連続区間情報生成部60は、車両3の挙動の大小に関する第2の基準を満たす2つの走行イベント区間21を検出部50が検出した場合に、連続区間情報を生成してもよい。第2の基準についても、第2実施形態と同様である。
【0096】
なお、連続区間情報生成部60は、3つ以上の走行イベント区間21と2つ以上の通常区間24とを統合して、連続区間情報を生成してもよい(例えば、3連続の急カーブなど)。
【0097】
なお、第3実施形態において、ハードウエア構成は、第1実施形態と同様でもよい。
【0098】
(第3実施形態の動作例)
図9は、第3実施形態に係るドライバ特性推定装置1がドライバ特性を推定する際のフロー図である。ステップS11は、第1実施形態と同様である。
【0099】
ステップS21では、検出部50が、車両3の走行状態が第1の基準を満たす、1回目(最初)の走行イベント区間21を検出する。例えば、挙動情報取得部10が、図8に示すような1回目の急な右カーブに係る挙動(ハンドル操作、アクセル操作、及びブレーキ操作)を取得した場合、検出部50は、1回目の急な右カーブに関する挙動情報を用いて、急な右カーブ区間21e(=走行イベント区間21)を生成し、当該急な右カーブ区間21e(=走行イベント区間21)を検出する。
【0100】
ステップS22では、検出部50が、車両3の走行状態が第1の基準を満たす、2回目の走行イベント区間21を検出する。例えば、挙動情報取得部10が、図8に示すような2回目の急な右カーブに係る挙動を取得した場合、検出部50は、2回目の急な右カーブに関する挙動情報を用いて、急な右カーブ区間21f(=走行イベント区間21)を生成し、当該急な右カーブ区間21f(=走行イベント区間21)を検出する。
【0101】
ステップS23では、連続区間情報生成部60は、1回目の走行イベント区間21(=急な右カーブ区間21e)及び2回目の走行イベント区間21(=急な右カーブ区間21f)が車両の挙動の大小に関する第2の基準を満たすか否かを判断する。1回目の走行イベント区間21及び2回目の走行イベント区間21の双方が第2の基準を満たすと連続区間情報生成部60が判断した場合(ステップS23でYES)、ステップS24に進む。1回目の走行イベント区間21及び2回目の走行イベント区間21の少なくとも一方が第2の基準を満たさないと連続区間情報生成部60が判断した場合(ステップS23でNO)、処理を終了してもよい。
【0102】
ステップS24では、連続区間情報生成部60は、1回目と2回目の走行イベント区間21の間にある通常区間24が第3の基準(=所定基準)を満たすか否かを判断する。通常区間24が第3の基準を満たすと連続区間情報生成部60が判断した場合(ステップS24でYES)、ステップS31に進む。通常区間24が第3の基準を満たさないと連続区間情報生成部60が判断した場合(ステップS24でNO)、処理を終了してもよい。
【0103】
ステップS31では、連続区間情報生成部60は、2つの走行イベント区間21と通常区間24とを統合した連続区間25に関する連続区間情報を生成する。例えば、図8のように、連続区間情報生成部60が、急な右カーブ区間21e及び急な右カーブ区間21fを検出した場合、連続区間情報生成部60は、急な右カーブ区間21e、通常区間24、及び急な右カーブ区間21fを統合した連続区間25を生成する。
【0104】
ステップS41では、運転情報取得部30は、連続区間情報に紐づいている、運転情報を取得する。
【0105】
ステップS51では、推定部40は、連続区間情報に紐づいた運転情報を用いて、ドライバの特性を推定する。ドライバの特性の推定方法は、第1実施形態と同様である。
【0106】
以上、第3実施形態によれば、ドライバ特性推定装置1は、挙動情報取得部10と、運転情報取得部30と、推定部40と、検出部50と連続区間情報生成部60とを備えている。
【0107】
カーブ等の走行イベント区間では、ドライバは操作量が比較的大きい操作を要求されることになる。そのため、この時の挙動情報は変化量が比較的大きくなり、ドライバの微細なハンドル操作、アクセル操作、及びブレーキ操作等に対応する挙動データが埋もれてしまい、その結果、ドライバ特性の推定に必要なデータが得られない可能性がある。
【0108】
しかし、隣り合う走行イベント区間21の間の区間(通常区間24)を解析することによって、走行イベント区間21には表れないレベルの微細な挙動を抽出することができる。
【0109】
ドライバの特性に関わる、微細な挙動が表れやすい区間(通常区間24)に紐づいている運転情報を用いて、ドライバの特性を推定することにより、ドライバの特性を精度よく推定することができる。
【0110】
さらに、隣り合う走行イベント区間21の間の区間(図8では通常区間24)のデータを連続区間25や走行イベント区間21(図8では急な右カーブ21e、及び急な右カーブ21f)と関連付けて解析することによって、各種の走行イベント区間が連続することに起因して表れる車両3のドライバに特有の操作(挙動)を検出することができる。
【0111】
そして、走行イベント区間21、及び通常区間24のそれぞれ単体で解析するのではなく、走行イベント区間21、及び通常区間24を統合した1つの区間(連続区間25(=2連続の急な右カーブ))として解析することで、ドライバの特性をより精度よく推定することができる。
【0112】
さらに、運転情報として、角加速度及び加加速度情報を用いることにより、より微細な挙動を抽出することができる。
【0113】
さらに、連続区間情報生成部60は、第2の基準を満たす2つの走行イベント区間21(図8の例では、急な右カーブ区間21e、及び急な右カーブ区間21f)を検出部50が検出した場合に、連続区間情報を生成する。
【0114】
例えば、車両の挙動の大きさが所定閾値以下の小さい挙動の走行イベント区間21の組み合わせ(例えば、図8では急な右カーブ21eと急な右カーブ21f)を用いて連続区間25を生成した場合、連続区間25にドライバの特性(特に認知機能低下の特性)が表れやすい。走行イベント区間21が第2の基準を満たすものを連続区間25の生成に用いることにより、ドライバの特性をより精度よく推定することができる。
【0115】
さらに、通常区間24が所定基準を満たす場合は、通常区間24が所定距離以下である場合、及び車両3が通常区間24を走行する時間が所定時間以内の場合の少なくとも一方を含んでいる。これにより、特有の微細な挙動が表れやすい通常区間24を用いて、連続区間情報生成部60が連続区間25を生成することができる。
【0116】
さらに、ドライバの特性は、ドライバが認知機能低下者であるか、及びドライバが高齢者であるかの少なくとも一方を含んでいる。ドライバが認知機能低下者であるかを推定部40が推定することにより、ドライバが、自分自身の認知機能が低下している可能性があることに気づくことができる。これにより、交通事故を抑制することができる。また、ドライバが高齢者であるかを推定部40が推定することにより、ドライバの年齢を聞かずとも高齢者向けのガイダンスや高齢者向けのサービスを提供することが可能となる。
【0117】
以上、図面を参照して実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0118】
図示しないが、実施形態において、推定部40による推定結果を出力させる出力制御部をさらに設けてもよい。当該出力制御部は、移動体側装置2に搭載された音声出力部(図示しない)に、ドライバの認知機能が低下している恐れがある旨のアラートを出力させてもよい。
【0119】
ドライバ特性推定装置1は、運転中の認知機能を診断するシステムの少なくとも一部、又は認知機能の診断結果を通知するシステムの少なくとも一部として用いられてもよい。
【0120】
ドライバ特性推定装置1は、運転年齢を推定するシステムの少なくとも一部として用いられてもよい。運転年齢を推定するシステムは、例えば、車両3の挙動情報(運転情報)を用いて、ドライバが高齢者と同様な運転傾向を持つかどうかを判定して、ドライバに年齢を聞かずに高齢者向けのガイダンスや各種サービスを実施するシステムである。
【0121】
なお、図6に示すように、第2実施形態に係る区間情報生成部20は、隣り合う同一種の走行イベント区間21における延長区間22が重なっている場合に、統合走行イベント区間情報を生成してもよい。図6の例では、隣り合う同一種の走行イベント区間21とは、緩い左カーブ21c、及び緩い右カーブ21dである。
【0122】
運転情報取得部30が、ふらつき、急ブレーキ、急ハンドル、及び急アクセルに係る運転情報を取得すると、運転の粗い(主に)若年者層を、誤って認知機能低下者であると推定部40が推定する場合がある。このような誤った推定を防ぐために、
・車両3の走行速度が低い範囲でのみ、運転情報を取得する
・赤信号停止の場合の停止数秒前、発進時の数秒後、に運転情報(アクセルやブレーキの踏込み強さなど)を取得する
などの方法がある。
【0123】
区間情報の生成に地図情報は用いなくてもよいが、ドライバがどの場所で、認知機能低下の推定がなされたかを特定するために地図情報を用いてもよい。
【0124】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 移動体の挙動に関する挙動情報を取得する挙動情報取得部と、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する区間情報生成部と、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する運転情報取得部と、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する推定部と、を備える、ドライバ特性推定装置。
2. 1.に記載のドライバ特性推定装置において、
前記運転情報取得部は、前記走行イベント区間情報に紐づいている、前記ドライバの運転に関する運転情報をさらに取得し、
前記推定部は、前記走行イベント区間情報に紐づいた前記運転情報をさらに用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定装置。
3. 2.に記載のドライバ特性推定装置において、
前記第1の基準には、複数の基準が設けられており、
前記走行イベント区間情報は、複数の前記第1の基準を各々が満たす、複数の前記走行イベント区間に関する情報を含んでいる、ドライバ特性推定装置。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載のドライバ特性推定装置において、
前記区間情報生成部は、少なくとも2つの前記走行イベント区間、及び少なくとも1つの前記延長区間を統合した統合走行イベント区間に関する統合走行イベント区間情報を生成し、
前記運転情報取得部は、前記統合走行イベント区間情報に紐づいている、前記ドライバの運転に関する運転情報を取得し、
前記推定部は、前記統合走行イベント区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定装置。
5. 4.に記載のドライバ特性推定装置において、
前記走行イベント区間情報は、前記移動体の挙動の大小に関する第2の基準を満たす複数の走行イベント区間に関する情報を含んでおり、
前記区間情報生成部は、前記第2の基準を満たす複数の前記走行イベント区間、及び複数の前記延長区間を統合した統合走行イベント区間に関する前記統合走行イベント区間情報を生成する、ドライバ特性推定装置。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載のドライバ特性推定装置において、
前記ドライバの特性は、前記ドライバが認知機能低下者であるか、及び高齢者であるかの少なくとも一方を含む、ドライバ特性推定装置。
7. ドライバ特性推定装置を実現するコンピュータが、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得し、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成し、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得し、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する、ドライバ特性推定方法。
8. ドライバ特性推定装置を実現するコンピュータに、
移動体の挙動に関する挙動情報を取得する手順、
前記挙動情報を用いて、前記移動体の走行状態が第1の基準を満たす走行イベント区間に関する走行イベント区間情報を生成し、かつ、前記走行イベント区間情報を用いて、前記走行イベント区間の両端のうち少なくとも一方を延長した延長区間に関する延長区間情報を生成する手順、
前記延長区間情報に紐づいている、前記移動体のドライバの運転に関する運転情報を取得する手順、
前記延長区間情報に紐づいた前記運転情報を用いて、前記ドライバの特性を推定する手順、を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0125】
1 ドライバ特性推定装置
2 移動体側装置
3 車両
10 挙動情報取得部
20 区間情報生成部
21 走行イベント区間
22 延長区間
23 統合走行イベント区間
24 通常区間
25 連続区間
30 運転情報取得部
40 推定部
50 検出部
60 連続区間情報生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9