(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121403
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】組合せ菓子及びシートゼリーの調製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 21/00 20160101AFI20240830BHJP
A23L 29/20 20160101ALI20240830BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240830BHJP
【FI】
A23L21/00
A23L29/20
A23L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028489
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石牧 優規
(72)【発明者】
【氏名】酒井 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 咲恵
(72)【発明者】
【氏名】吉田 龍矢
【テーマコード(参考)】
4B035
4B041
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE06
4B035LG02
4B035LG15
4B035LG20
4B035LG21
4B035LG22
4B035LG25
4B035LG26
4B035LG27
4B035LG33
4B035LG43
4B035LG44
4B035LK04
4B035LP21
4B035LP25
4B035LP31
4B035LP59
4B035LT20
4B041LC10
4B041LD02
4B041LE03
4B041LH02
4B041LH06
4B041LH10
4B041LH11
4B041LH16
4B041LK02
4B041LK14
4B041LK25
4B041LK38
4B041LP09
4B041LP12
(57)【要約】
【課題】
木枠に障子紙を張るように、枠の空間部にシートゼリーを調製することのできる組合せ菓子及びシートゼリーの調製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記(A)、(B)、及び(C)を備えることを特徴とする組合せ菓子により上記課題を解決する。
(A)シート形成成分:下記(X)及び下記(Y)を含有する粉体又は液体
(X)シート形成剤:ホエイパウダー、アルギン酸プロピレングリコールエステル、卵白、キラヤサポニン、大豆多糖類、大豆たんぱく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの成分
(Y)ゲル化剤:カルシウムイオンと会ってゼリー化する成分
(B)シートゼリー化成分:カルシウム塩類を含有する粉体又は液体
(C)シートゼリー張着枠:枠内の最長距離が80mm以下である枠
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)、及び(C)を備えることを特徴とする組合せ菓子。
(A)シート形成成分:下記(X)及び下記(Y)を含有する粉体又は液体
(X)シート形成剤:ホエイパウダー、アルギン酸プロピレングリコールエステル、卵白、キラヤサポニン、大豆多糖類、大豆たんぱく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの成分
(Y)ゲル化剤:カルシウムイオンと会ってゼリー化する成分
(B)シートゼリー化成分:カルシウム塩類を含有する粉体又は液体
(C)シートゼリー張着枠:枠内の最長距離が80mm以下である枠
【請求項2】
下記(1)~(3)の工程を順次備えてなることを特徴とするシートゼリーの調製方法。(1)溶液準備工程:
下記(A)及び下記(B)を各々異なる容器に投入後、その状態のまま又は加水溶解して、(A)溶液及び(B)溶液を準備する工程
(A)シート形成成分:下記(X)及び下記(Y)を含有する粉体又は液体
(X)シート形成剤:ホエイパウダー、アルギン酸プロピレングリコールエステル、卵白、キラヤサポニン、大豆多糖類、大豆たんぱく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの成分
(Y)ゲル化剤:カルシウムイオンと会ってゼリー化する成分
(B)シートゼリー化成分:カルシウム塩類を含有する粉体又は液体
(2)シート形成工程:
下記(C)を、前記(A)溶液に浸漬後、引き上げ、該(C)の枠内にシートを形成する工程
(C)シートゼリー張着枠:枠内の最長距離が80mm以下である枠
(3)シートゼリー化工程:
枠内にシートが形成された(C)を、前記(B)溶液に浸漬後、引き上げ、該シートをゼリー化し、シートゼリーを調製する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木枠に障子紙を張るように、枠の空間部にシートゼリーを調製することのできる組合せ菓子及びシートゼリーの調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らはこれまで、アルギン酸ナトリウムなどの「カルシウム成分と会ってゼリー化するゲル化剤を含有するゼリー成分(以後「ゼリー成分」ともいう。)」と、「カルシウム塩類を含有するカルシウム成分(以後「カルシウム成分」ともいう。)」とを用いて、喫食者が手作りでゼリーを調製できる様々な組合せ菓子を提案してきた。
【0003】
前記組合せ菓子としては、治具などを工夫することで、様々な形状のゼリーを調製できることが知られている。例えば、スポイト状容器を用いて、球状、糸状(ところてん状)のゼリー菓子(例えば、特許文献1参照)、あるいは自由な形を描くようにつくる絵柄模様ゼリー菓子(例えば、特許文献2参照)などが挙げられる。しかしながら、これらの組合せ菓子から、シート状のゼリーを調製することはできなかった。
【0004】
他には、ひも状のゼリー菓子などが挙げられる(例えば、特許文献3参照)。該ゼリー菓子は、ゼリー成分溶液上にカルシウム成分溶液を載置、積層することで両液の界面に生成した薄膜状のゼリー菓子を、箸、フォーク、ピンセットなどのような引き上げ用治具を用いて引き上げ、ひも状のゼリー菓子を調製するものである。すなわち、界面に生成したゼリー菓子がシート状であっても、引き上げるとひも状となり、シート状のゼリーとして取り出すことはできなかった。
【0005】
さらにシート状のゼリーとして、帯状の薄膜ゼリー菓子が挙げられる(例えば、特許文献4参照)。該ゼリー菓子は、ゼリー成分溶液上にカルシウム成分粉末を載置し、両者を接触させ、その界面に生成したゼリー菓子を、L字型の棒状治具や折り曲げ可能なストローのような引き上げ用治具を用いて引き上げ、引き上げることで上部に残っているカルシウム成分粉末が漸次ゼリー成分溶液と接触することを利用して、薄膜ゼリー菓子を帯状に調製するものである。しかしながら、この組合せ菓子の場合、引き上げ用治具の挿入部(2a)がリング型でも、得られるのは該挿入部(2a)から暖簾のようにぶら下がる帯状の薄膜ゼリーであって、リング型の型枠内にシート状のゼリーを調製することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61-187749号公報
【特許文献2】特公平6-65281号公報
【特許文献3】特開平6-46766号公報
【特許文献4】特開平6-38692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、木枠に障子紙を張るように、枠の空間部にシートゼリーを調製することのできる組合せ菓子及びシートゼリーの調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下により上記目的を達成する。
【0009】
[1]
下記(A)、(B)、及び(C)を備えることを特徴とする組合せ菓子である。
(A)シート形成成分:下記(X)及び下記(Y)を含有する粉体又は液体
(X)シート形成剤:ホエイパウダー、アルギン酸プロピレングリコールエステル、卵白、キラヤサポニン、大豆多糖類、大豆たんぱく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの成分
(Y)ゲル化剤:カルシウムイオンと会ってゼリー化する成分
(B)シートゼリー化成分:カルシウム塩類を含有する粉体又は液体
(C)シートゼリー張着枠:枠内の最長距離が80mm以下である枠
【0010】
[2]
下記(1)~(3)の工程を順次備えてなることを特徴とするシートゼリーの調製方法である。
(1)溶液準備工程:
下記(A)及び下記(B)を各々異なる容器に投入後、その状態のまま又は加水溶解して、(A)溶液及び(B)溶液を準備する工程
(A)シート形成成分:下記(X)及び下記(Y)を含有する粉体又は液体
(X)シート形成剤:ホエイパウダー、アルギン酸プロピレングリコールエステル、卵白、キラヤサポニン、大豆多糖類、大豆たんぱく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの成分
(Y)ゲル化剤:カルシウムイオンと会ってゼリー化する成分
(B)シートゼリー化成分:カルシウム塩類を含有する粉体又は液体
(2)シート形成工程:
下記(C)を、前記(A)溶液に浸漬後、引き上げ、該(C)の枠内にシートを形成する工程
(C)シートゼリー張着枠:枠内の最長距離が80mm以下である枠
(3)シートゼリー化工程:
枠内にシートが形成された(C)を、前記(B)溶液に浸漬後、引き上げ、該シートをゼリー化し、シートゼリーを調製する工程
【0011】
上述したように、シート状のゼリーとして、帯状の薄膜ゼリーはあったが、木枠に障子紙を張るように、枠の空間部に調製されたシートゼリーはこれまでに無かった。また、従来は、シート状のゼリーを調製すること自体が完成形であったが、このようなシート状のゼリーを、張力を加えた状態でピンと張ったように枠に装着できれば、シート状のゼリーに汎用性を持たせることができると考えた。
【0012】
そこで、まず従来技術であるゼリー成分溶液とカルシウム成分粉末による帯状の薄膜ゼリーを調製した後にその薄膜ゼリーを枠に張り着けようとしたところ、該薄膜ゼリーはすぐに撚れてしまい枠に張り着けることが困難であった。加えて、張り着け作業中薄膜ゼリーが破れることも頻繁に生じた。他方、枠を、アルギン酸塩溶液に浸漬し引き上げた後に、カルシウム成分溶液に浸漬しても、調製されたゼリーは枠部に付着するだけで、枠の空間部に張着するシートゼリーを調製することはできなかった。
【0013】
そのため「ゲル化剤によるシート状のゼリー」から「膜の調製」に視点を変えて検討したところ、界面活性作用のあるホエイパウダー溶液に枠を浸漬すると、枠内に膜を形成す
ることはできた。しかしながら、該膜は、何かと接触したり、枠を少し動かすだけでシャボン玉のようにはじけてしまい該膜では安定性に欠けていた。
【0014】
さらに鋭意検討した結果、次のような二段階浸漬によって、膜様の不安定なシートを経て安定性のあるシートゼリーを枠の空間部に調製できることを見出し、このシートゼリーであれば汎用性を付与できるため本発明に到達した。
【0015】
すなわち、枠を、ホエイパウダーとアルギン酸塩の混合溶液(シート形成成分溶液)に浸漬する第一段階浸漬と、カルシウム塩溶液(シートゼリー化成分溶液)に浸漬する第二段階浸漬である。第一段階浸漬でまず枠の空間部にシートを形成し、第二段階浸漬で枠の空間部に形成されたシートをゼリー化することにより、枠内にシートゼリーを調製できることを見出し本発明に到達した。
【発明の効果】
【0016】
木枠に障子紙を張るように、枠の空間部に、張着するシートゼリーを調製することができる。
【0017】
シート形成成分溶液とシートゼリー化成分溶液の2種の溶液に、シートゼリー張着枠を順次浸漬するだけで、枠の空間部にシートゼリーを簡単に調製できる。また、繰り返しのシートゼリー調製も可能である。
【0018】
本発明によって調製されたシートゼリーは可食性で、ステンドグラス様の菓子、虫眼鏡や眼鏡やサングラスを模した菓子、菓子などの掬い上げ(例えば、金魚を模した菓子を掬う金魚すくい)等様々な菓子に応用、あるいは現実を再現する「ごっこ遊び」、さらに、固体と液体を分画ろ過する透過膜等に利用できるため、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)はシートゼリー張着枠の一例を、(b)はシートゼリー張着枠の他の一例を示す説明図である。
【
図2】(a)~(e)はそれぞれシートゼリー張着枠の形状の例を示した説明図である。
【
図3】本発明のシートゼリーの調製方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、「シート」とは、シートゼリー張着枠内に張着する液状の膜状素材であって、液状のためシートにモノが接触するとすぐにはじけるように破損する不安定な素材である。また、「シートゼリー」とは、前記シートが、シート中のゲル化剤とカルシウムイオンの架橋反応によってゲル化(ゼリー化)した、ゲル状の膜状組成物であり、ゲル状のためシートゼリーにモノが接触しても破損せず、前記シートと比較して安定性のある組成物を指す。
【0021】
なお、本明細書では、(A)を「シート形成成分」や「(A)成分」と、(X)を「シート形成剤」や「(X)成分」と、(Y)を「ゲル化剤」や「(Y)成分」と、(B)を「シートゼリー化成分」や「(B)成分」と、(C)を「シートゼリー張着枠」と表記する場合がある。
【0022】
本発明を詳しく説明する。本発明の組合せ菓子は、次に説明する(A)、(B)、及び(C)を備えることが、シートゼリーを調製する点で重要である。
【0023】
(A)シート形成成分
(A)は、枠の空間部にシートを形成するための成分であり、(X)シート形成剤及び(Y)ゲル化剤を含有することがシートゼリーを調製する点で重要である。
【0024】
その一つ目の理由は、本発明では、(A)に(X)成分を配合することで、枠を(A)溶液に浸漬して空気中に引き上げたときに、(X)成分の界面活性作用によって枠の空間部にシートを形成させることができることを見出したからである。
【0025】
二つ目の理由は、本発明では、(A)に(Y)成分を配合しておくことで、後述する(B)溶液に枠を浸漬したときにシートゼリーを調製できることを見出したからである。これは、(A)に前もって(Y)成分を配合しておくことで、(Y)成分を前記シートの全域に分散させておくことができる。そのため、当該シートを(B)溶液に浸漬したときに、(B)溶液中のカルシウムイオンが当該シート中の(Y)成分と架橋反応してゼリー化(ゲル化)し、当該シート全体がゲル化されてシートゼリーを得られるものと推測している。なお、(X)成分と(Y)成分を混合せず別々の溶液とし、その各溶液に順次枠を浸漬したときは、(X)溶液に浸漬するとシートは形成されるが、そのシートを(B)溶液に浸漬しても(X)・(Y)溶液の浸漬順序に関係なくシートゼリーは調製できないことを確認している。
【0026】
また、(A)の形態は、粉体又は液体であってよいが、シートを形成する際は溶液に浸漬するため、(A)が粉体又は高濃度の液体の場合は適宜加水溶解して用いる。
【0027】
(X)シート形成剤
(X)は、シートゼリー張着枠にシートを形成することのできる界面活性能を有する成分である。具体的には、ホエイパウダー、アルギン酸プロピレングリコールエステル、卵白、キラヤサポニン、大豆多糖類、大豆たんぱく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びオクテニルコハク酸でん粉ナトリウムが挙げられ、これらは単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。この中でも、ホエイパウダー及びアルギン酸プロピレングリコールエステルは、シートが破損しにくく容易に形成されるとともに、ゼリー化後のシートゼリーの風味が良好となる点でも好適に用いられる。
【0028】
前記ホエイパウダーとは、乳を乳酸菌で発酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清(ホエイ)からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたものをいう。ホエイがチーズ製造やカゼイン製造の副産物であることから、原料ホエイによって、具体的には、チーズやレンネットカゼインの製造で得られるスイートホエイ(チーズホエイ)パウダーと、酸カゼインの製造で得られる酸ホエイパウダーの2種に大別されるが、本発明ではどちらも用いることができる。
【0029】
前記アルギン酸プロピレングリコールエステルとは、アルギン酸を構成するカルボキシル基の少なくとも一部がプロピレングリコール基にエステル結合されている化合物である。親水性のアルギン酸分子に親油性のプロピレングリコール基を備えることから界面活性能を有する。好ましくは、エステル化度が75%以上のアルギン酸プロピレングリコールエステルを用いることがシートを形成する点で好適である。
【0030】
前記卵白としては、乾燥卵白(粉末状)、生卵白(液体状)、液卵白(液体状)等が例示できるが、前記(A)の形態に合わせて適宜選択される。
【0031】
前記キラヤサポニンとは、キラヤ酸をアグリコンとするトリテルペン系の配糖体であり、キラヤ酸骨格を親油基とし、糖残基部分を親水基とする界面活性剤である。
【0032】
前記大豆多糖類とは、おからから製造される水溶性大豆多糖類を指し、糖質等が複数結
合して構成された多糖類で、主要な構成成分はガラクトース、アラビノース、ガラクツロン酸である。さらに、細胞壁多糖を構成する糖である、ラムノース、キシロース、及びグルコースも含まれており、被膜能を有することが知られている。
【0033】
前記大豆たんぱくとは、脱脂大豆に水を加えて水溶性成分を抽出し、おからを除いた脱脂豆乳に酸を加えることにより沈殿したたん白質を遠心分離により回収したもので、特にβ-コングリシニンに界面活性能があることが知られている。
【0034】
前記ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースとは、セルロースの誘導体である。
【0035】
オクテニルコハク酸でん粉ナトリウムとは、でん粉を無水オクテニルコハク酸でエステル化して得られる、界面活性能を有する加工でん粉である。
【0036】
(Y)ゲル化剤
(Y)は、カルシウムイオンと会ってゼリー化するゲル化剤であり、本発明では、シートをゼリー化(ゲル化)するための成分である。例えば、アルギン酸ナトリウム、脱アシルジェランガム、低メトキシルペクチンなどが挙げられる。これらは単独もしくは複数組み合わせて用いればよい。この中アルギン酸ナトリウムは、水への溶解性(常温水及び冷水)、ゼリー強度、ゼリー化速度の点で好適に用いられる。
【0037】
なお、(A)中の(X)成分と(Y)成分の配合比率は、シート形成及びシートゼリー調製に影響を与えないため適宜配合すればよい。
【0038】
また、(A)には、(X)成分及び(Y)成分の他に、本願の目的を損なわない範囲であれば、副原料として、甘味料(糖質、高甘味度甘味料等)、酸味料、増粘剤、香料、着色料、水性媒体(液体の場合)等を適宜選択して、単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
【0039】
(B)シートゼリー化成分
(B)は、枠の空間部に形成されたシートをゼリー化(ゲル化)するために、すなわち、当該シート中に分散する(Y)成分と架橋反応してゼリー化するために、カルシウムイオンを供給する成分であり、カルシウム塩類を含有することがシートゼリーを調製する点で重要である。
【0040】
カルシウム塩類としては、例えば、乳酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられ、これらは単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、乳酸カルシウムは、水への溶解性、常温での品質安定性、シートゼリーの風味の点で好適である。
【0041】
また、(B)の形態は、粉体又は液体であってよいが、シートゼリー化する際は溶液に浸漬するため、(B)が粉体又は高濃度の液体の場合は適宜加水溶解して用いる。
【0042】
また、(B)には、カルシウム塩類の他に、本願の目的を損なわない範囲であれば、副原料として、甘味料(糖質、高甘味度甘味料等)、酸味料、増粘剤、香料、着色料、水性媒体(液体状の場合)等を適宜選択して、単独もしくは複数組み合わせて用いてもよい。
【0043】
(C)シートゼリー張着枠
(C)は、木枠に障子を張るように、枠の空間部に、張着するシートゼリーを調製するための型枠であり、本発明においてシート及びシートゼリーの支持体の役目を持つ。(C
)としては、内側に空間部を有する枠であればよく、例えば、クッキーなどの焼き菓子用の抜型、手芸用品のレジン枠・刺繍枠・ローズウインドウフレーム等が挙げられる。また、シートゼリーを調製する時に、針金、紙、プラスチックシート等から手作りしてもよく、シートゼリー張着枠用の手作りキットとしてもよい。なお、プラスチックシート素材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)等が挙げられる。
【0044】
(C)について
図1を用いて説明する。
図1(a)はシートゼリー張着枠の一例を、
図1(b)はシートゼリー張着枠の他の一例を示す説明図である。
図1(a)は真上から見下ろした図であり、
図1(b)は斜視図である。3がシートゼリー張着枠、12が枠部、13が空間部、14が柄部である。
図1(a)のシートゼリー張着枠3は形状が円形の枠部12を備えており、その枠部12の内側には空洞の空間部13を有している。
図1(b)のシートゼリー張着枠3は
図1(a)の枠部12にさらに柄部14を備えたものである。本発明では、空間部13を有する枠部12を備えたシートゼリー張着枠3であればシートゼリーを調製できるが、さらに柄部14を備えると、シートゼリー張着枠3の保持し易さ、各溶液の手への付着を防止できる点で好適である。
【0045】
また(C)は、枠内の最長距離が80mm以下であることが、シートゼリー調製の点で重要である。該最長距離が80mmより大きいと、シートが形成されない、又はシートが形成されてもシートゼリー化成分溶液に浸漬する際にシートが壊れる等、いずれもシートゼリーを調製できない。
【0046】
なお、前記枠内の最長距離とは、
図1(a)に示す、枠内の最長距離、すなわち枠部12内の空間部13の長手方向の長さであるLをいう。
図1(a)に示すように、形状が円形の場合は最長距離Lが枠部12の内側の直径(内径)に相当する。
【0047】
また、(C)の形状は前記円形の他、例えば、楕円形、多角形、及び
図2(a)~(e)に示すような形状等であってもよい。
図2(a)~(e)は、それぞれシートゼリー張着枠の形状の例を示した説明図であり、
図1(a)と同様に真上から見下ろした図である。(a)は正三角形(多角形の一つ)、(b)は正方形(多角形の一つ)、(c)は星形、(d)はハート形、(e)は花形の形状である。各シートゼリー張着枠3には、枠部12及び空間部13が備わっている。これらは柄部を備えていてもよい。また、これらの形状の場合、楕円形は長径が、
図2の形状は
図2に示す通り、長手方向の長さが最長距離Lに相当する。
【0048】
本発明の組合せ菓子の製品化は、例えば、次のようにして行われる。まず、別々に容器詰めされたシート形成成分(前記(A))及びシートゼリー化成分(前記(B))、並びにシートゼリー張着枠(前記(C))を準備する。これら(A)、(B)、(C)を一つの包装体に収容後密封し、組合せ菓子製品とすればよい。なお、前記(A)及び前記(B)を詰める容器、並びに組合せ菓子製品を収容する包装体の材質は、例えば、PP(ポリプロピレン)やPE等の軟質なプラスチック、紙、あるいは金属等の各種材質等の中から適宜選択して用いればよい。その包装形態は、袋体、筒状や箱状等が挙げられる。
【0049】
さらに、前記組合せ菓子製品には、(A)や(B)を投入して溶液を準備する或いは(C)を浸漬するための異なる容器(コップ、茶碗などの凹部容器、凹部付きトレー、バット、食品保存用バッグ等)、(A)溶液や(B)溶液を撹拌する治具(かきまぜ棒、マドラー、スプーン、フォーク、へら、つまようじ等)、トッピングや追加の食品や菓子、及び成形用モールドなどを同封してもよい。
【0050】
次に、本発明のシートゼリーの調製方法は、以下に説明する(1)溶液準備工程、(2)シート形成工程、(3)シートゼリー化工程を順次備えてなることが、シートゼリーを調製する点で重要である。
【0051】
本発明のシートゼリーの調製方法について、
図3を用いて説明する。なお、本発明に係る(A)、(B)、(C)としては、前記組合せ菓子の項にて説明した(A)、(B)、(C)が挙げられる。また、以下の説明では(C)として、
図1(b)と同様の円形の枠部及び柄部を備えるシートゼリー張着枠を用いて説明する。
【0052】
図3は、本発明のシートゼリーの調製方法の一例を示す説明図である。1が(A)シート形成成分、1´が(A)溶液、2が(B)シートゼリー化成分、2´が(B)溶液、3(a)~3(c)が(C)シートゼリー張着枠、5及び6が異なる容器、12が3(a)~3(c)の枠部、13が、3(a)~3(c)の空間部、31がシート、33がシートゼリーである。
【0053】
(1)溶液準備工程
図3(1)の左側に示すように、(A)シート形成成分1を容器5に投入する。1が粉体の場合は、1を5に投入後さらに水性媒体を投入し、撹拌混合して1を溶解して(A)溶液1´とする(水性媒体の投入、撹拌混合は図示せず)。1が液体の場合は、
図3(1)に示すように、その状態のまま容器に投入するだけで1´となる。他に、1が高濃度の液体の場合は、水性媒体を投入し、1´としてもよい。以上のようにして、1´を準備する。
【0054】
水性媒体としては、例えば、水を挙げることができる。水は、手軽に使用でき、ゲル化剤のゼリー化、シートゼリーの風味や発色の点で好適に用いられる。
【0055】
好ましくは、(A)溶液中の(X)シート形成剤の濃度を合計0.02~7.0質量%にするとシート形成の点で好適である。0.02質量%以上であれば容易にシート形成する傾向があり、7.0質量%以下であれば調製後のシートゼリーの風味を良好にする傾向がある。
【0056】
さらに、(A)溶液中の(Y)ゲル化剤の濃度を合計0.15~5.5質量%にするとシートゼリー調製の点で好適である。0.15質量%以上であれば容易にシートゼリー化する傾向があり、5.5質量%以下であればシートゼリー調製の際の作業性を良好にする傾向がある。
【0057】
次に、
図3(1)の右側に示すように、(B)シートゼリー化成分2を、5とは別の容器6に投入する。以降は(A)溶液1´と同様の方法で、(B)溶液2´を準備する。なお、2に投入する水性媒体も、1に投入する水性媒体と同様である。
【0058】
好ましくは、(B)溶液のカルシウム塩類の濃度を0.4質量%以上にするとシートのゲル化の点で好適である。
【0059】
(2)シート形成工程
図3(2)に示すように、(C)シートゼリー張着枠3(a)の枠部12を、5中の1´に浸漬後、引き上げる。引き上げると、3(b)のような、(C)のシートゼリー張着枠内に、すなわち12内に、液状の膜状素材であるシート31が形成される。これは、1´中のシート形成剤が3(a)の12内に31の形成を可能にするためである。好ましくは、3(a)の12を1´に1秒以上浸漬すると、12及び空間部13全体に1´が行き渡り、31の形成を容易にする点で好適である。
【0060】
(3)シートゼリー化工程
図3(3)に示すように、31が形成された3(b)の12を、6中の2´に浸漬後、引き上げる。引き上げると、3(c)のような、シートゼリー張着枠内に、すなわち12に張着するゲル状の膜状組成物であるシートゼリー33が調製される。これは、31中に分散するゲル化剤と、2´中のカルシウムイオンとが出会い架橋反応することで該31の全域がゼリー化(ゲル化)して33に変化したためである。好ましくは、3(b)の12を2´に4秒以上浸漬すると、安定性のあるシートゼリーを調製できる点で好適である
【実施例0061】
以下、本発明の実施例、比較例、及び参考例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0062】
<実施例1~2、比較例1~3>
≪組合せ菓子の調製≫
表1に示す組成の(A)5.0gと(B)3.5gを別々のアルミ製の袋に充填後密封し、
図1(b)に示す(C)シートゼリー張着枠、PS製のスプーンを準備した。これらを、一纏めにしてPP製の包装体に収容後密封することにより組合せ菓子とした。なお(C)は、枠内の最長距離L(枠部の内径)が25mmの円形で、枠部12の幅が4mmのシートゼリー張着枠(材質はPET)を使用した。
【0063】
【0064】
≪シートゼリーの調製≫
上記組合せ菓子を用いて、
図3に示す手順にて下記(1)~(3)を順次行い、シートゼリーを調製した。
(1)溶液準備工程
まず、
図3(1)の左側に示すように、(A)1を容器5に投入後さらに水(20℃)25gを投入し同封のスプーンで撹拌混合して(A)1を溶解して(A)溶液1´を準備した(水投入、スプーンによる撹拌混合は図示せず)。他方、
図3(1)の右側に示すように、(B)2を容器6に投入後さらに水(20℃)20gを投入しスプーンで撹拌混合して(B)2を溶解して(B)溶液2´を準備した(水投入、スプーンによる撹拌混合は図示せず)。
(2)シート形成工程
図3(2)に示すように、3(a)の枠部12を、5中の(A)溶液1´に5秒間浸漬後、引き上げ、3(b)のような12内にシート31を形成した。
(3)シートゼリー化工程
図3(3)に示すように、シート31が形成された3(b)の枠部12を、6中の(B)溶液2´に30秒間浸漬後、引き上げ、3(c)のような12に張着するシートゼリー33を調製した。
【0065】
上記のようにしてシートゼリーを調製する際のシートの形成の可否及びシートゼリーの調製の可否、並びに繰り返しのシートゼリー調製の可否について、次の評価基準を用いて評価した。その結果を表1に示す。
【0066】
[シート形成評価]
上記(2)工程にてシートゼリー張着枠を引き上げた時に、該枠の空間部の全面にシートが有るか無いかをシート形成の可否とした。
○ シートが形成された(可)
× シートが形成されなかった(否)
【0067】
[シートゼリー調製評価]
上記(3)工程にてシートゼリー張着枠を引き上げた後、シートゼリーに直接軽く触る、シートゼリー張着枠を軽く振ると壊れたらシートゼリー調製否とし、壊れず該枠に張着し続けると、シートゼリー調製可とした。さらに、引き上げると空洞の場合もシートゼリー調製否とした
○ シートゼリーを調製できた(可)
×1 枠内空洞のため、シートゼリーを調製できなかった(否)
×2 触る又は振るとすぐに損壊したため、シートゼリーを調製できなかった(否)
― シートが形成されなかったため、(3)工程未実施(未調製)
【0068】
[繰り返しのシートゼリー調製評価]
シートゼリーの調製が可の場合、そのシートゼリーを故意に破いた後に、もう一度シートゼリーを調製し、シートゼリー調製評価と同様に評価した。
〇 シートゼリーを調製できた(可)
×1 枠内空洞のため、シートゼリーを調製できなかった(否)
×2 触る又は振るとすぐに損壊したため、シートゼリーを調製できなかった(否)
― シート形成又はシートゼリー調製が否のため、再調製しなかった(未調製)
【0069】
表1の結果より、実施例1、2はいずれもシートを形成することができ、次いでシートゼリーを調製することができた。また、実施例2は、実施例1よりもシートを容易に形成できた。また実施例2のシートゼリーを喫食すると異味異臭を感じることなく良好な風味
であった。一方、比較例はすべてシートゼリーを調製することができなかった。比較例1はシートが形成されなかった。また、比較例2、3は、シートは形成されたものの、シートゼリーは調製できなかった。
【0070】
<比較例4>
≪組合せ菓子の調製≫
実施例2の(A)の代わりに表2に示す組成の(X)組成物と(Y)組成物を調製し、(X)組成物5.0g、(Y)組成物5.0g、及び表2に示す(B)3.5gを別々のアルミ製の袋に充填後密封し、この3袋を包装体に収容する以外は実施例2と同様にして組合せ菓子とした。
【0071】
【0072】
≪シートゼリーの調製≫
<参考例1>
比較例4の組合せ菓子を用いて、以下に示す手順にてシートゼリーを調製した。
(1)溶液準備工程
まず、アルミ製の袋から(X)組成物を容器に投入後さらに水(20℃)25gを投入し同封のスプーンで撹拌混合して(X)溶液を準備した。次に、アルミ製の袋から(Y)組成物を別の容器に投入後さらに水(20℃)25gを投入しスプーンで撹拌混合して(Y)溶液を準備した。他方、表2の(B)をさらに別の容器に投入後水(20℃)20gを投入しスプーンで撹拌混合して(B)溶液を準備した。
(2)シート形成工程
シートゼリー張着枠の枠部を(X)溶液に5秒間浸漬後引き上げた。次に、該枠部を(Y)溶液に5秒間浸漬後引き上げた。
(3)シートゼリー化工程
上記(2)の枠部を、(B)溶液に30秒間浸漬後引き上げた。
【0073】
<参考例2>
比較例4の組合せ菓子を用いて、参考例1の(2)工程における(X)溶液と(Y)溶液への浸漬の順番を入れ替えてシートゼリーを調製した。
【0074】
上記のようにしてシートゼリーを調製する際の(2)工程の(X)溶液浸漬後及び(Y)溶液浸漬後のシート形成の可否、並びに(3)工程後のシートゼリー調製の可否について、実施例2と同様の評価基準を用いて評価した。その結果を表3に示す。
【0075】
【0076】
表3の結果より、参考例1は(X)溶液浸漬後にシートが形成され、次の(Y)溶液浸漬後にもシートはそのまま保持されていた。しかし、(3)工程にて(B)溶液に浸漬後引き上げた途端損壊したため、シートゼリーを調製することはできなかった。また、参考例2もまた(X)溶液浸漬後にシートは形成されたが、(3)工程にて(B)溶液から引き上げたときは枠内が空洞のためシートゼリーを調製できなかった。したがって、シートがすでに形成された後に、ゲル化剤を付着や浸透させてシートをゲル化することは困難であると推察される。
【0077】
以上のことから、シートゼリーの調製には、シート形成剤(X)、ゲル化剤(Y)、シートゼリー化成分及びシートゼリー張着枠が必要であった。さらに、(X)と(Y)はそれぞれ単独ではシートゼリーを調製することはできず、(X)のシート形成作用と(Y)のゲル化作用を混在させることが、シートゼリー化には重要であると理解できる。
【0078】
<実施例3~16、比較例5~8>
≪組合せ菓子の調製≫
表4又は表5に示す組成の(A)及び(B)を用いる以外は実施例1と同様にして組合せ菓子とした。なお、(B)は乳酸カルシウム以外のカルシウム塩類を含有する場合、カルシウム塩類の溶解性向上のためにクエン酸を副原料として加えた。
【0079】
【0080】
【0081】
≪シートゼリーの調製≫
上記組合せ菓子を用いて、実施例1と同様にしてシートゼリーを調製した。
【0082】
シートゼリーを調製する際のシートとシートゼリーについて、実施例1と同様に評価した。その結果を表4又は表5に示す。
【0083】
表4の結果より、実施例はすべてシートゼリーを調製することができた。一方、比較例はすべてシートが形成されず、シートゼリーを調製することはできなかった。また、一般的に界面活性能を有するとされるショ糖脂肪酸エステルを用いた比較例6~8は、シートを形成することはできなかった。
【0084】
表5の結果より、実施例はすべてシートゼリーを調製することができた。また、実施例11は、実施例1に比べシートからシートゼリーにゲル化する速度が若干遅かった。
【0085】
<実施例17~24、比較例9、10>
≪組合せ菓子の調製≫
(C)として、表6、
図1(a)、及び
図2(a)~(e)に記載の形状で、柄部を備えるシートゼリー張着枠(材質はPET)を準備する以外は実施例2と同様にして組合せ
菓子とした。
【0086】
【0087】
≪シートゼリーの調製≫
上記組合せ菓子を用いて、実施例2と同様にしてシートゼリーを調製した。
【0088】
シートゼリーを調製する際のシートとシートゼリーについて、実施例2と同様に評価した。その結果を表6に示す。
【0089】
表6の結果より、実施例はすべてシートゼリーを調製することができた。また、枠内の最長距離Lが短い程シートゼリーの調製が容易であった。一方、比較例はシートが形成されず、シートゼリーを調製することはできなかった。すなわち、本発明では様々な形状のシートゼリーを調製できるものの、枠内の最長距離Lが80mm以下とすることが本発明の効果を奏するためには重要であることが理解できる。
【0090】
<実施例25~31>
≪シートゼリーの調製≫
実施例2の組合せ菓子を用いて、(2)工程の(A)溶液1´への浸漬時間及び(3)工程の(B)溶液2´への浸漬時間を、表7記載の通りにする以外は、実施例2と同様にしてシートゼリーを調製した。
【0091】
【0092】
シートゼリーを調製する際のシートとシートゼリーについて、実施例2と同様に評価した。その結果を表7に示す。
【0093】
表7の結果より、実施例はすべてシートゼリーを調製することができた。
【0094】
<実施例32~46>
≪組合せ菓子の調製≫
表8~10に示す組成の(A)及び(B)を用いる以外は実施例2と同様にして組合せ菓子とした。
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
≪シートゼリーの調製≫
上記組合せ菓子を用いて、実施例2と同様にしてシートゼリーを調製した。
【0099】
シートゼリーを調製する際のシートとシートゼリーについて、実施例2と同様に評価した。その結果を表8~10に示す。
【0100】
表8~10の結果より、実施例はすべてシートゼリーを調製することができた。
【0101】
<実施例47~49>
≪組合せ菓子の調製≫
<実施例47>
表11に示す組成の(A)5.0gと(B)23.5gを別々のアルミ製の袋に充填後密封する以外は実施例2と同様にして組合せ菓子とした。
<実施例48>
表11に示す組成の(A)30.0gと(B)3.5gを別々のアルミ製の袋に充填後密封する以外は実施例2と同様にして組合せ菓子とした。
<実施例49>
表11に示す組成の(A)30.0gと(B)23.5gを別々のアルミ製の袋に充填
後密封する以外は実施例2と同様にして組合せ菓子とした。
【0102】
【0103】
≪シートゼリーの調製≫
上記組合せ菓子を用いて、(1)工程を以下のようにする以外は、実施例2と同様にしてシートゼリーを調製した。
<実施例47>
(1)溶液準備工程
まず、
図3(1)の左側に示すように、(A)1を容器5に投入後さらに水(20℃)25gを投入し同封のスプーンで撹拌混合して(A)溶液1´を準備した(水投入、スプーンによる撹拌混合は図示せず)。他方、
図3(1)の右側に示すように、(B)2をその状態のまま容器6に投入して(B)溶液2´を準備した。
<実施例48>
(1)溶液準備工程
まず、
図3(1)の左側に示すように、(A)1をその状態のまま容器5に投入して(A)溶液1´を準備した。他方、
図3(1)の右側に示すように、(B)2を容器6に投入後さらに水(20℃)20gを投入し同封のスプーンで撹拌混合して(B)溶液2´を準備した(水投入、スプーンによる撹拌混合は図示せず)。
<実施例49>
(1)溶液準備工程
まず、
図3(1)の左側に示すように、(A)1をその状態のまま容器5に投入して(A)溶液1´を準備した。他方、
図3(1)の右側に示すように、(B)2をその状態のまま容器6に投入して(B)溶液2´を準備した。
【0104】
シートゼリーを調製する際のシートとシートゼリーについて、実施例2と同様に評価した。その結果を表11に示す。
【0105】
表11の結果より、実施例はすべてシートゼリーを調製することができた。すなわち、シートゼリーの調製では(A)溶液と(B)溶液の準備が必要であるが、組合せ菓子としての形態は粉体及び液体のいずれでもよいといえる。
【0106】
<実施例50>
≪組合せ菓子の調製≫
実施例2の(A)、(B)、(C)、及びPS製のスプーンに加えて、次の(D)~(G)を準備した。
(D)金魚を模ったグミ菓子 5個
(E)金魚を模ったPP製おもちゃ 5個
(F)凹部容器 2個
(G)バット 1個
これらを、一纏めにしてPP製の包装体に収容後密封することにより組合せ菓子とした。
【0107】
≪シートゼリーの調製≫
上記組合せ菓子を用いて、実施例2と同様にしてシートゼリーを調製した。なお、(1)溶液準備工程では凹部容器(F)2個を使用した。
【0108】
≪シートゼリーの汎用性-金魚すくいごっこ-≫
バット(G)に水を満たし、そこに(D)と(E)を全て浮かべた。次に、枠の空間部にシートゼリーが調製されたシートゼリー張着枠を用いて、(D)や(E)をすくい上げた。何回かすくい上げるうちにシートゼリーが壊れても、シートゼリーを再調製して、再びすくい上げることができた。また(D)と共にシートゼリーを喫食すると良好な風味であった。