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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121424
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】表示パネルおよび車両用内装品
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20240830BHJP
   G09F 13/08 20060101ALI20240830BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20240830BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20240830BHJP
   B60K 37/20 20240101ALI20240830BHJP
【FI】
G09F13/04 K
G09F13/08
B60R13/02 C
B60R13/02 B
B60K37/00 Z
B60K37/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028527
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】590000927
【氏名又は名称】龍田化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】外村 文仁
(72)【発明者】
【氏名】山下 英樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【テーマコード(参考)】
3D023
3D344
5C096
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB01
3D023BB08
3D023BB09
3D023BD03
3D023BD08
3D023BD11
3D023BE04
3D023BE06
3D023BE25
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC02
3D344AC13
5C096AA14
5C096BA01
5C096CA13
5C096CA29
5C096CB01
5C096CC06
5C096FA11
5C096FA12
5C096FA17
5C096FA18
(57)【要約】
【課題】表示部を点灯させる光の色味が表皮層の色に影響されて変化するのを抑制する。
【解決手段】表示パネル(10)は、透光性を有する表皮層(14)と、表皮層(14)の裏面側に積層された遮光層(16)とを備える。遮光層(14)には、光(L)を透過させる透光孔(26)が設けられる。表示パネル(10)は、裏側に配置されたLED(34)からの光(L)が透光孔(26)を通じて表皮層(14)を透過することで、表皮層(14)の一部を表示部(22)として点灯可能である。遮光層(16)の彩度は、表皮層(14)の彩度よりも高い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表皮層(14)と、
前記表皮層(14)の裏面側に積層された遮光層(16)と、を備え、
前記遮光層(16)には、光(L)を透過させる透光孔(26)が設けられ、
裏側に配置された光源(34)からの光(L)が前記透光孔(26)を通じて前記表皮層(14)を透過することで、該表皮層(14)の一部を表示部(22)として点灯可能な表示パネルであって、
前記遮光層(16)の彩度は、前記表皮層(14)の彩度よりも高い、
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の表示パネルにおいて、
前記表皮層(14)の彩度は、L*a*b*表色系の彩度で0以上且つ2以下である
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示パネルにおいて、
前記遮光層(16)は、第1遮光層(16a)と、該第1遮光層(16a)の裏面側に積層された第2遮光層(16b)とを含み、
前記第2遮光層(16b)の光透過率は、前記第1遮光層(16a)の光透過率よりも低い、
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項4】
請求項1または2に記載の表示パネルにおいて、
前記遮光層(16)の裏面側に積層されたクッション層(28)をさらに備え、
前記クッション層(28)は、柔軟性および弾力性を併せ持ち、透光性を有する、
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項5】
請求項1または2に記載の表示パネル(10)と、
前記表示パネル(10)の裏側に配置される光源(34)と、を備え、
前記表示パネル(10)は、車両用の内装パネルを構成する、
ことを特徴とする車両用内装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルおよび車両用内装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用内装品に表示機能を持たせることが知られる。そうした車両内装品として、例えば特許文献1には、インストルメントパネルが開示される。このインストルメントパネルは、基材上に弾性層および表皮がこの順に積層された構成を有する。基材、弾性層および表皮層はいずれも、不透明な材料で構成される。当該インストルメントパネルは、ディスプレイ部を有する表示パネルである。
【0003】
ディスプレイ部は、基材、弾性層および表皮層に孔部を設けることで構成される。孔部は、基材の裏側に開口すると共に基材および弾性層を貫通し、表皮層の途中まで達する深さに形成される。インストルメントパネルの裏側には、発光手段が配置される。ディスプレイ部では、発光手段からの光が孔部の底をなす表皮層の残存部を介して表側に漏れることで発光し、その発光部分によって記号などの情報が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-172506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような表示パネルでは、裏側に配置された光源からの光を表皮層に透過させ、表皮層の一部を表示部として点灯させる。そうした表示パネルの外観の色合いは、一般に、表皮層自体の色合いにより表現される。よって、表皮層が有彩色である場合、表示部を点灯させる光(以下、点灯光という)の色味が表皮層の色に影響されて変化する。そのため、表示部の点灯光を所望の色とすることが難しい。このことは、表皮層の色合いが濃いほど顕著である。
【0006】
本発明の目的は、表示部の点灯光の色味が表皮層の色に影響されて変化するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、表皮層の裏面側に遮光層を設け、表皮層に透光性を持たせ、表皮層の彩度を相対的に低くし、遮光層の彩度を相対的に高めるようにした。
【0008】
第1の発明は、表示パネルを対象とする。第1の発明に係る表示パネルは、透光性を有する表皮層と、前記表皮層の裏面側に積層された遮光層とを備える。前記遮光層には、光を透過させる透光孔が設けられる。当該表示パネルは、裏側に配置された光源からの光が前記透光孔を通じて前記表皮層を透過することで、該表皮層の一部を表示部として点灯可能なものである。前記遮光層の彩度は、前記表皮層の彩度よりも高い。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の表示パネルにおいて、前記表皮層の彩度が、L*a*b*表色系の彩度で0以上且つ2以下である、表示パネルである。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明の表示パネルにおいて、前記遮光層が、第1遮光層と、該第1遮光層の裏面側に積層された第2遮光層とを含む、表示パネルである。前記第2遮光層の光透過率は、前記第1遮光層の光透過率よりも低い。
【0011】
第4の発明は、第1~第3の発明のいずれか1つの表示パネルにおいて、前記遮光層の裏面側に積層されたクッション層をさらに備える、表示パネルである。前記クッション層は、クッション性および透光性を有する。
【0012】
第5の発明は、車両用内装品を対象とする。第5の発明に係る車両用内装品は、第1~第4の発明のいずれか1つの表示パネルと、前記表示パネルの裏側に配置される光源とを備える。前記表示パネルは、車両用の内装パネルを構成する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、表皮層が透光性を有し、遮光層の彩度が表皮層の彩度よりも高いので、表示パネルの外観の色合いを遮光層の色合いによって調整できる。そのことで、表示パネルの外観を所望の色合いに表現しながらも、表皮層自体の彩度を低くできる。これにより、光源からの光が表皮層を透過する際に、表皮層が光の色味に与える影響を低減できる。したがって、表示部の点灯光の色味が表皮層の色に影響されて変化するのを抑制できる。
【0014】
第2の発明によれば、表皮層が無彩色または実質的な無彩色であるので、光源からの光が表皮層を透過する際に、表皮層が光の色味に与える影響を好適に低減できる。このことは、表示部の点灯光の色を、光源が発する光の色で所望の色に調整するのに有利である。
【0015】
第3の発明によれば、遮光層が第1遮光層と第2遮光層とを含む。そして、第1遮光層が表皮層側に位置するので、表示パネルの外観の色合いを第1遮光層の色合いによって調整できる。また、第1遮光層の裏面側に積層される第2遮光層の光透過率が第1遮光層の光透過率よりも低いので、遮光層により光源からの光を好適に遮光できる。したがって、第1遮光層の色合いを薄く設定しても、遮光層による光の遮光機能を確保できるので、表皮層の外観に出したい色の自由度が高められる。
【0016】
第4の発明によれば、クッション層が遮光層の裏面側に積層される。クッション層は、表皮層にクッション性を付与し、表示パネルの触感を向上させる。そして、クッション層は、透光性を有するので、光源からの光を透過させる。よって、遮光層の裏面側にクッション層を設けても、光源からの光により表示部を点灯可能な表示パネルを実現できる。
【0017】
第5の発明によれば、表示パネルおよび光源を備える。表示パネルは、光源からの光により表皮層の一部を表示部として点灯させる。このような表示パネルは、車両用の内装パネルとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態1の車両用内装品が組み付けられた自動車のインストルメントパネルの略左側半分を示す正面図である。
図2図2は、図1のII-II線における車両用内装品の断面図である。
図3図3は、実施形態2の車両用内装品の図2に相当する断面図である。
図4図4は、実施形態3の車両用内装品の図2に相当する断面図である。
図5図5は、実施形態4の車両用内装品の図2に相当する断面図である。
図6図6は、その他の実施形態の車両用内装品の図2に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では、本発明に係る表示パネルについて車両用内装品に適用した態様を、アシスタントパネルを例に挙げて説明する。なお、図面は、本発明を概念的に説明するためのものである。よって、図面では、本発明の理解を容易にするために寸法、比または数を、誇張あるいは簡略化して表す場合がある。
【0020】
《実施形態1》
図1に示すように、この実施形態1の車両用内装品1は、インストルメントパネル100に組み込まれる。インストルメントパネル100は、各種の計器類を搭載する樹脂製の計器板であって、自動車の車室前部に配置される。図1に示すインストルメントパネル100は、右ハンドル仕様車用のものである。インストルメントパネル100は、左ハンドル仕様車のものであってもよい。
【0021】
インストルメントパネル100の左右方向における一方側(図1で不図示の右側部分)は運転席に対応し、他方側(図1で例示する左側部分)は助手席に対応する。インストルメントパネル100の助手席に対応する部分の下側位置には、グローブボックス102が開閉可能に組み付けられる。インストルメントパネル100におけるグローブボックス102の上方部分には、パネル装着部104が設けられる。
【0022】
パネル装着部104は、車幅方向に帯状に延びる横長の凹状に形成される。パネル装着部104には、アシスタントパネル106が嵌め込んで装着される。アシスタントパネル106は、正面視で横長の略矩形状に形成される。アシスタントパネル106は、パネル装着部104の開口を塞ぎ、インストルメントパネル本体に固定される。
【0023】
アシスタントパネル106は、表示パネル10によって構成される。表示パネル10は、車両用の内装パネルを構成する。表示パネル10は、車両用内装品1に含まれる構成部品である。図2に示すように、車両用内装品1は、表示パネル10と、照明装置30とを備える。
【0024】
表示パネル10は、基材12と、表皮層14と、遮光層16とを備える。
【0025】
基材12は、表示パネル10のベースとなる樹脂製の板状物である。基材12の裏面には、複数のボス(図2には2つのみ示す)13が一体に形成される。各ボス13は、基材12の裏側に突出する。本例の基材12は、透光性を有する。
【0026】
基材12は、射出成形などによって成形される。基材12は、透光性を有する樹脂材料によって形成される。当該樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート(PC)やアクリル樹脂が挙げられる。ここで、「透光性」とは、可視光を透過させる性質を意味する(以下においても同じ)。
【0027】
本例の表皮層14および遮光層16は、表皮材20を構成する。
【0028】
表皮材20は、基材12の表面側に設けられる。表皮材20は、基材12の表面に被せた状態に張り合わせられる。図示しないが、表皮材20の周縁部分は、基材12の外周端部を包み込むように基材12の裏側に巻き込まれ、基材12の裏面に固定される。表皮材20は、表示パネル10の意匠面を呈する。
【0029】
表皮層14は、表皮材20の表側に位置する。表皮層14は、合成樹脂からなる。表皮層14の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、サーモプラスチックウレタン(TPU)、サーモプラスチックオレフィン(TPO)などの伸縮性を有するものや、ポリカーボネート(PC)などのフィルムが挙げられる。
【0030】
表皮層14は、顔料を含むが、その含有量が比較的少なく、透光性を有する。本例の表皮層14は、顔料として黒色顔料のみを含み、グレートーンのスモーク色を呈する。遮光層16は、表皮層14の裏面側に積層される。他方、遮光層16は、顔料を含む塗膜により形成され、遮光性を有する。遮光層16をなす塗料は、黒色以外の顔料を含むカラー塗料である。
【0031】
表皮層14の光透過率(可視光を透過させる割合;以降同じ)は、例えば3%以上且つ30%以下である。表皮材14がなす意匠面は、表皮層14を透過した遮光層16の色を反映して見える。表皮層14の光透過率は、JIS K7361に準拠して、市販の透過率計を使用して測定される。透過率計としては、例えばトプコン社製の分光放射計SR-LEDWが用いられる。
【0032】
表皮層14は、無彩色または実質的な無彩色である。ここで、無彩色とは、L*a*b*表色系の彩度が0であることを意味し、実質的な無彩色とは、L*a*b*表色系の彩度が0よりも大きく且つ2以下であることを意味する。遮光層16の彩度は、表皮層14の彩度よりも高い。遮光層16の彩度が高いほど、つまり遮光層16と表皮層14との彩度差が大きいほど、表示パネル10の外観意匠として色鮮やかな表現が可能になる。
【0033】
表皮層14と遮光層16との彩度の比較には、例えばL*a*b*表色系の彩度が用いられる。表皮層14の彩度および遮光層16の彩度は、市販の色差計を使用して測定される。色差計としては、例えばコニカミノルタ社製の分光測色計CM3600Aが用いられる。
【0034】
表皮材20には、1つの表示部22が設けられる。表示部22は、アイコン24を表示する部分である。アイコン24は、例えば、車載システムを示す所定の図形である。遮光層16の表示部22を構成する部分には、光Lを透過させる透光孔26が設けられる。透光孔26は、例えばレーザー光の照射により、アイコン24と同一形状に形成される。透光孔26は、遮光層16を印刷により設ける場合、印刷パターンに含まれてもよい。
【0035】
照明装置30は、表示パネル10の裏側に配置される。照明装置30は、基板32と、LED34とを含んで構成される。基板32は、基材12における複数のボス13にタッピングねじ36を用いて固定される。LED34は、光源の一例である。LED34は、基板32上に実装され、表示部22の背面側に位置する。LED34は、表示部22に向けて光Lを発する。
【0036】
表示パネル10では、LED34からの光Lが透光孔26を通じて表皮層14を透過することで、その光Lによりアイコン24が映し出される。これによって、表示部22は、アイコン24を点灯表示する。アイコン24の点灯表示は、車載システムの作動状態(作動または停止)を表す。このように、車両用内装品1は、表皮層14の一部を表示部22として点灯可能に構成される。
【0037】
-実施形態1の特徴-
この実施形態1の表示パネル10では、表皮層14が透光性を有し、遮光層16の彩度が表皮層14の彩度よりも高いので、表示パネル10の外観の色合いを遮光層16の色合いによって調整できる。そのことで、表示パネル10の外観を所望の色合いに表現しながらも、表皮層14自体の彩度を低くできる。これにより、LED34からの光Lが表皮層14を透過する際に、表皮層14が光の色味に与える影響を低減できる。したがって、表示部22の点灯光の色味が表皮層14の色に影響されて変化するのを抑制できる。
【0038】
この実施形態1の表示パネル10では、表皮層14が無彩色または実質的な無彩色であるので、LED34からの光Lが表皮層14を透過する際に、表皮層14が光Lの色味に与える影響を好適に低減できる。このことは、表示部22を点灯させる光Lの色を、LED34が発する光Lの色で所望の色に調整するのに有利である。
【0039】
この実施形態1の車両用内装品1では、表示パネル10およびLED34を備える。表示パネル10は、LED34からの光Lにより表皮層14の一部を表示部22として点灯させる。このような表示パネル10は、車両用の内装パネルとして好適に用いられる。
【0040】
《実施形態2》
この実施形態2の車両用内装品1は、表示パネル10の構成が上記実施形態1と異なる。なお、以降の各実施形態では、表示パネル10の構成が上記実施形態1と異なる他は車両用内装品1について上記実施形態1と同様に構成されるので、表示パネル10の構成の異なる部分についてのみ説明する。
【0041】
上記実施形態1のように表示パネル10において遮光層16が一層のみからなると、遮光層16の色合いが比較的薄い場合、LED34からの光Lを十分に遮光できず、光漏れを生じて、表示部22周りをぼんやり光らせてしまうおそれがある。そうした光漏れの対策として、この実施形態2では、遮光層16に二層構造を採用する。
【0042】
具体的には、図3に示すように、この実施形態2の表示パネル10において、遮光層16は、第1遮光層16aと、第2遮光層16bとを含む。第1遮光層16aは、遮光層16の表皮層14側に位置する。第2遮光層16bは、第1遮光層16aの裏面側に積層される。透光孔26は、第1遮光層16aおよび第2遮光層16bを貫通する。
【0043】
第1遮光層16aの彩度は、表皮層14の彩度よりも高い。第2遮光層16bの彩度は、第1遮光層16aの彩度よりも低い。第2遮光層16bの彩度は、第1遮光層16aの彩度と同等であるか、または第1遮光層16aの彩度よりも高くてもよい。第1遮光層16aの彩度および第2遮光層16bの彩度は、上述した表皮層14の彩度などと同様に、市販の色差計(例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計CM3600A)を使用して測定される。
【0044】
第1遮光層16aの光透過率は、例えば3%以上且つ30%以下である。第2遮光層16bの光透過率は、第1遮光層16aの光透過率よりも低い。第2遮光層16bの光透過率は、例えば0%以上且つ2%以下である。第1遮光層16aの光透過率および第2遮光層16bの光透過率は、上述した表皮層14の光透過率と同様に、JIS K7361に準拠して測定される。
【0045】
-実施形態2の特徴-
この実施形態2の表示パネル10では、遮光層16が第1遮光層16aと第2遮光層16bとを含む。第1遮光層16aが表皮層14側に位置するので、表皮層14の色味を第1遮光層16aの色合いによって調整できる。そして、第2遮光層16bが第1遮光層16aの裏面側に積層され、第2遮光層16bの光透過率が第1遮光層16aの光透過率よりも低いので、遮光層16によりLED34からの光Lを好適に遮光できる。したがって、第1遮光層16aの色合いを薄く設定しても、遮光層16による光Lの遮光機能を確保できるので、表皮層14の外観に出したい色の自由度が高められる。
【0046】
《実施形態3》
図4に示すように、この実施形態3の表示パネル10は、基材12、表皮層14および遮光層16に加え、クッション層28をさらに備える。クッション層28は、遮光層16の裏面側に積層される。クッション層28は、柔軟性および弾力性を併せ持ち、透光性を有する。クッション層28は、表皮層14にクッション性を付与し、表示パネル10の触感を向上させる。
【0047】
クッション層28は、透光性を有する発泡樹脂からなる。当該発泡樹脂としては、例えば発泡ポリウレタン(PU)が挙げられる。クッション層28の彩度は、無彩色または実質的な無彩色である。ここでも、無彩色とは、L*a*b*表色系の彩度が0であることを意味し、実質的な無彩色とは、L*a*b*表色系の彩度が0よりも大きく且つ2以下であることを意味する。
【0048】
クッション層28の光透過率は、例えば15%以上であり、20%以上であることが好ましい。クッション層28の光透過率は、LED34からの光Lの利用効率の観点から高いほど好ましく、上限値が定められるものではないが、クッション層28が厚いほどその光透過率が低下するため、表皮層14に付与するクッション性との兼ね合いでクッション層28の光透過率の上限値が制限される。
【0049】
クッション層28の彩度は、上述した表皮層14の彩度などと同様に、市販の色差計(例えば、コニカミノルタ社製の分光測色計CM3600A)を使用して測定される。クッション層28の光透過率は、上述した表皮層14の光透過率と同様に、JIS K7361に準拠して測定される。
【0050】
-実施形態3の特徴-
この実施形態3の表示パネル10は、クッション層28を備えるので、表面の手触りを良好にできる。このクッション層28は、透光性を有するので、LED34からの光Lを透過させる。よって、遮光層16の裏側にクッション層28を設けても、LED34からの光Lにより表示部22を点灯させることができる。
【0051】
この実施形態3の表示パネル10では、クッション層28が無彩色または実質的な無彩色であるので、LED34からの光Lがクッション層28を透過する際に、クッション層28が光Lの色味に与える影響を好適に低減できる。このことは、表示部22の点灯光の色を、LED34が発する光Lの色で所望の色に調整するのに有利である。
【0052】
《実施形態4》
図5に示すように、この実施形態4の表示パネル10は、基材12、表皮層14および遮光層16に加え、クッション層28と、タッチセンサシート29とを備える。クッション層28は、上記実施形態3と同様のものである。タッチセンサシート29は、クッション層28の裏面側、つまり基材12とクッション層28との間に配置される。
【0053】
タッチセンサシート29は、透光性を有し、図示しない検出電極を含む。検出電極は、ユーザのタッチ操作を検出するための電極である。検出電極は、表示部の裏側に位置する。タッチセンサシートは、図示しないタッチ検知回路に接続される。タッチ検知回路は、ユーザによる表示部22へのタッチ操作を、検出電極が形成する静電容量の変化に基づいて検知する。
【0054】
タッチセンサシート29は、表皮材20とクッション層28との間に配置されてもよい。また、タッチセンサシート29は、基材12の裏面に設けられてもよい。
【0055】
-実施形態4の特徴-
この実施形態4の表示パネル10は、タッチセンサシート29を備え、ユーザによる表示部22へのタッチ操作を検知するように構成されるので、表示部22を操作部(タッチスイッチ)としても機能させることができる。これによれば、車両のインテリアデザインの自由度を向上させることができる。
【0056】
《その他の実施形態》
上記実施形態1および2では、表皮層の彩度および遮光層の彩度について、L*a*b*表色系の彩度での採り得る範囲を例示したが、これに限らない。L*a*b*表色系の彩度は、表皮層14の彩度および遮光層16の彩度を示す指標の一例に過ぎず、遮光層16の彩度が表皮層14の彩度よりも高い関係にあることは、その他の表色系や色空間での彩度または彩度に相当する色の強みや鮮やかさの度合いを示す属性によって測定されてもよい。
【0057】
上記実施形態1~4では、表示パネル10の基材12が透光性を有する樹脂材料によって形成されるとしたが、これに限らない。基材12は、光Lを透過しない又は透光性の乏しい樹脂材料によって形成されてもよい。この場合、例えば、図6に示すように、基材12の表示部22に対応する部分に開口12hが形成され、その開口12hを通じてLED34からの光Lを表示部22に透過させるように構成されていればよい。また、図示しないが、基材12の開口12hに透光性を有する樹脂パネルを嵌め込み、その樹脂パネルを通じてLED34からの光Lを表示部22に透過させるようにしてもよい。
【0058】
上記実施形態3および4では、クッション層28が透光性を有する発泡樹脂からなるとしたが、これに限らない。クッション層28は、光Lを透過しない又は透光性の乏しい樹脂材料によって形成されてもよい。この場合、例えば、クッション層28の表示部22に対応する部分に開口が形成され、その開口を通じてLED34からの光Lを表示部22に透過させるように構成されていればよい。
【0059】
上記実施形態4では、表示パネル10がタッチセンサシート29を備え、タッチセンサシート29により表示部22を操作部として機能させる構成を例示したが、これに限らない。表示パネル10は、タッチセンサシート29に代えて、ユーザによる表示部22への押圧により操作されるスイッチ部材を備えてもよい。スイッチ部材は、基材12に形成された開口内に収容され、表皮材20を介した押圧負荷を受けてスライド可能に設けられる。この場合、例えば、スイッチ部材が押圧されたことを検出する機構が基板32上に設けられる。
【0060】
上記実施形態1~4では、表皮材20が表皮層14および遮光層16を含んで構成されるとしたが、これに限らない。表皮材20は、表皮層14のみで構成されてもよい。この場合、例えば、遮光層16は、基材12の表面に設けられる。基材12の表面に設けられた遮光層16は、表皮層14の裏面側に積層される。そのような態様も、本発明(上記第1の発明)には含まれる。
【0061】
上記実施形態1および2では、表皮材20が基材12の表面に被せた状態に張り合わせられ、表皮材20の周縁部分が基材12の裏側に巻き込んで固定されるとしたが、これに限らない。表皮材20をインサート成形用の金型にセットし、溶融樹脂を注入することで、基材12と表皮材20とを一体成形してもよい。
【0062】
上記実施形態では、車両用内装品1がアシスタントパネル106に適用された場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。本発明に係る車両用内装品1は、コンソールボックスのリッドやドアトリム、ピラートリムなど、他の車両用内装品にも適用することが可能である。また、本発明に係る表示パネル10は、家電製品や家具など、車両用内装品以外の製品にも広く適用することが可能である。
【0063】
以上のように、本発明の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記実施形態について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてさらに色々な変形が可能なこと、またそうした変形も本発明の範囲に属することは、当業者に理解されるところである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、表示パネルおよび車両用内装品について有用である。
【符号の説明】
【0065】
L 光
1 車両用内装品
10 表示パネル
14 表皮層
16 遮光層
16a 第1遮光層
16b 第2遮光層
22 表示部
26 透光孔
28 クッション層
34 LED(光源)
図1
図2
図3
図4
図5
図6