(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121437
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】植物の忌避方法
(51)【国際特許分類】
A01N 39/02 20060101AFI20240830BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240830BHJP
C09D 133/08 20060101ALI20240830BHJP
C09D 133/10 20060101ALI20240830BHJP
C09D 101/18 20060101ALI20240830BHJP
A01M 21/00 20060101ALI20240830BHJP
A01P 13/02 20060101ALI20240830BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20240830BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A01N39/02 A
C09D5/00
C09D133/08
C09D133/10
C09D101/18
A01M21/00 Z
A01P13/02
A01N25/10
A01P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028554
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000115382
【氏名又は名称】ヨツギ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池側 勝己
(72)【発明者】
【氏名】竹中 一貴
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
4J038
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121BB30
2B121BB32
2B121CC05
2B121CC31
2B121EA21
2B121FA12
4H011AB01
4H011AB04
4H011BA05
4H011BB06
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA06
4H011DD07
4H011DH02
4H011DH10
4J038BA081
4J038CG141
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4J038HA446
4J038HA456
4J038JA09
4J038JA65
4J038KA09
4J038KA15
4J038KA21
4J038LA06
4J038NA03
4J038NA27
4J038PB05
4J038PC02
4J038PC04
4J038PC08
4J038RA02
4J038RA03
(57)【要約】
【課題】従来技術よりも簡便に、対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止する手段を提供すること。
【解決手段】線状又は柱状の対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止するための忌避方法であって、前記線状又は柱状の対象物に、植物忌避剤組成物を塗布することを含み、前記植物忌避剤組成物が有機溶媒に以下を含むことを特徴とする、忌避方法:(1)15質量%~30質量%の2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル;(2)1質量%~5質量%のアクリル樹脂;(3)2質量%~5質量%のニトロセルロース。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状又は柱状の対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止するための忌避方法であって、
前記線状又は柱状の対象物に、植物忌避剤組成物を塗布することを含み、
前記植物忌避剤組成物が有機溶媒に以下を含むことを特徴とする、忌避方法:
(1)15質量%~30質量%の2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル;
(2)1質量%~5質量%のアクリル樹脂;
(3)2質量%~5質量%のニトロセルロース。
【請求項2】
前記アクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の忌避方法。
【請求項3】
無機物を構成成分として含むシェルと、前記シェルの内部に2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルを含むコアを有するマイクロカプセルを含む、請求項1又は2に記載の忌避方法。
【請求項4】
前記シェルの構成成分は、シリカ及び珪酸カルシウムからなる群から選択される1種以上である、請求項3に記載の忌避方法。
【請求項5】
さらに、界面活性剤を2質量%~5質量%含む、請求項1又は2に記載の忌避方法。
【請求項6】
前記界面活性剤は、アマイド系ワックスである、請求項5に記載の忌避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の忌避方法に関する。とりわけ、本発明は、ワイヤ、ケーブル、電線、支線等の線状や柱状の対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止するための忌避方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱には電柱間の電線ケーブルの張力などで倒壊や傾斜してしまうことを防止するために、鋼線からなる支線や傾斜させて固定した支柱が設置されることが多い。支線は、電柱を立てた状態に保つという重要な役割を持っている。
【0003】
電柱と支線を設置する場所として、例えば雑草が生い茂る草むらを選んだ場合、支線を設置してしばらく放置すると、葛や蔦などの蔓蔦状植物が支線に巻き上がって成長していることがある。この蔓蔦状植物がさらに成長して支線から電柱、そして電線に接近または接触すると、蔓蔦状植物を介して短絡や地絡などの設備事故が発生する危険がある。また、蔓蔦状植物が支線を覆うと、外観からの目視による支線の錆、たるみなどの状態確認が困難である。これらの問題が起こらないように、支線に巻き上がっている蔓蔦状植物や支線が地面に打ち込まれている近傍の蔓蔦状植物を定期的に人の手で伐採する必要があった。しかし、支線を設置している場所が非常に多く、また蔓蔦状植物の繁殖も速いため、特に夏場は伐採を頻繁に実施しなければならないので、伐採する費用(主として人件費)が膨大になってしまう。
【0004】
上記のように蔓蔦状植物に対しては、従来からさまざまな対策が講じられている。例えば、特許文献1(特開2020-115802号公報)には、蔓蔦状植物に対する忌避成分を含み、可撓性を有するシート状の本体部と、前記本体部を、線状の対象物に巻き付いた巻付状態と、広げた展開状態と、を維持できる形状保持部と、を有する植物忌避具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される植物忌避具は忌避成分を含み、線状の対象物に巻き付けられた状態では、蔓蔦状植物が絡まって這い上がっていくことを防止することが可能である。しかし、対象物を物理的に保護するため、植物忌避具を設置する手間が必要であり、また、対象物の長さや太さによっては設置が困難である場合がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み完成されたものであり、一実施形態において、従来技術よりも簡便に、対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討した結果、蔓蔦状植物を忌避する手段として、植物忌避具ではなく、植物忌避成分を含む植物忌避剤組成物を塗料の形で対象物に塗布することで、より簡便に忌避効果を発揮することができ、上記課題を解決できることを見出した。また、特定の組成を有する植物忌避剤組成物を用いることにより、優れた耐候性をもたらすことができ、長期間忌避効果を維持できることを見出した。本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下に例示される。
【0009】
[1]
線状又は柱状の対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止するための忌避方法であって、
前記線状又は柱状の対象物に、植物忌避剤組成物を塗布することを含み、
前記植物忌避剤組成物が有機溶媒に以下を含むことを特徴とする、忌避方法:
(1)15質量%~30質量%の2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル;
(2)1質量%~5質量%のアクリル樹脂;
(3)2質量%~5質量%のニトロセルロース。
[2]
前記アクリル樹脂は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上である、[1]に記載の忌避方法。
[3]
無機物を構成成分として含むシェルと、前記シェルの内部に2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルを含むコアを有するマイクロカプセルを含む、[1]又は[2]に記載の忌避方法。
[4]
前記シェルの構成成分は、シリカ及び珪酸カルシウムからなる群から選択される1種以上である、[3]に記載の忌避方法。
[5]
さらに、界面活性剤を2質量%~5質量%含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の忌避方法。
[6]
前記界面活性剤は、アマイド系ワックスである、[5]に記載の忌避方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来技術よりも簡便に、対象物に蔓蔦状植物が巻き上がることを防止する手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例における、植物忌避効果の比較試験の結果を示す写真である。
【
図2】本発明の実施例における、植物忌避効果の比較試験の結果を示す写真である。
【
図3】植物忌避剤組成物をポリ塩化ビニルの板に塗布した場合の促進耐候性試験の結果を示す写真である。
【
図4】植物忌避剤組成物を鋼板に塗布した場合の促進耐候性試験の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0013】
(1.植物忌避剤組成物の組成)
本実施形態の植物忌避剤組成物は、塗料としての形で対象物に塗布するため、溶媒として有機溶媒を含む。有機溶媒は、後述の各成分と配合して塗料を形成できる限り、特に制限されないが、例えばトルエン、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールからなる群から選択され得る。これらの溶媒は、1種単独で使用することができ、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0014】
本実施形態の植物忌避剤組成物は、植物忌避成分として、植物忌避剤組成物の全質量に対して、15質量%~30質量%の2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルを含む。2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルの含有量が15質量%以上であれば、植物忌避効果を十分に発揮することができる。この観点から、2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルの含有量は18質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルの含有量が多すぎると、効果が頭打ちするほか、植物忌避剤組成物を塗料の形で塗布することが難しくなるので、30質量%以下とする。この観点から、2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルの含有量は28質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
【0015】
ただし、植物忌避剤組成物を塗布する対象物は、室外に設置されることが通常であるため、室外環境、特に日射に対して耐候性がなければ、植物忌避効果が持続せず、頻繁な塗布が必要になるため、実用的ではない。そこで、本発明者は、アクリル樹脂及びニトロセルロースを併用することにより、対象物に強固な塗膜を形成することができ、植物忌避剤組成物の耐候性を向上させることを発見した。
【0016】
本実施形態の植物忌避剤組成物は、植物忌避剤組成物の全質量に対して、1質量%~5質量%のアクリル樹脂を含む。アクリル樹脂は、上記溶媒に溶解できるものであれば特に種類は限定されないが、典型的には、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上を使用することが好ましい。これらのアクリル樹脂は、1種単独で使用することができ、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0017】
アクリル樹脂の含有量が1質量%以上であれば、耐候性向上効果を十分に発揮することができる。アクリル樹脂の含有量が多すぎると効果が頭打ちするので、5質量%以下とする。この観点から、アクリル樹脂の含有量は3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
ニトロセルロース(硝化綿ともいう)の含有量が2質量%未満であると、十分な厚さで塗膜を形成することができず、耐候性向上効果が不十分である。ニトロセルロースの含有量が多すぎると効果が頭打ちするので、5質量%以下とする。
【0019】
上記アクリル樹脂及びニトロセルロース単独では、耐候性を向上させる効果が発揮できず、両者を併用して初めて、実用的な耐候性向上効果をもたらすことができる。
【0020】
一実施形態では、植物忌避剤組成物は、無機物を構成成分として含むシェルと、前記シェルの内部に2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルを含むコアを有するマイクロカプセルを含む。マイクロカプセルを形成することにより、植物忌避成分である2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルを長期間保持することができ、耐候性をさらに向上させることができる。
【0021】
マイクロカプセルを形成するためのシェルの構成成分は特に限定されず、シリカ、珪酸カルシウムなどを挙げることができる。これらの構成成分は、1種単独で使用することができ、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0022】
さらに、上記2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステルの植物忌避剤組成物における分散性を向上させる観点から、植物忌避剤組成物の全質量に対して、界面活性剤を2質量%~5質量%を含むことが好ましい。界面活性剤の種類は特に限定されず、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれも含めることができる。例えば、アマイド系ワックスを界面活性剤として使用することが好ましい。
【0023】
(2.植物忌避剤組成物の塗布)
本実施形態の植物忌避剤組成物は、常温では液体であるため、塗料として刷毛やローラーで対象物に簡単に塗布することができる。対象物としては、ワイヤ、ケーブル、電線、支線等の線状や柱状のもののほか、網や柵など、線状や柱状の構造部材の集合体についても、蔓蔦状植物が絡まって這い上がっていく可能性があれば、塗布の対象になり得る。
【0024】
植物忌避剤組成物を塗布した後、自然に乾燥して塗膜が形成される。塗膜の厚さは必要に応じて適宜調整できるが、例えば5μm~1500μmとすることができる。本実施形態の植物忌避剤組成物は高い耐候性を有するため、塗膜は忌避成分を長期間保持することができ、植物忌避効果を長期間にわたり維持することができ、頻繁に手入れする必要がない。
【実施例0025】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
【0026】
(1.植物忌避効果の比較試験)
植物忌避剤組成物の成分として、以下の化合物を用いた。
2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル:LANXESS社製プリベントールB2;
アクリル樹脂:日本ペイント社製オートクリヤースーパー(メタクリル酸エステル及びニトロセルロースを1:5の質量比で含む混合物)
ニトロセルロース:日本ペイント社製オートクリヤースーパー(メタクリル酸エステル及びニトロセルロースを1:5の質量比で含む混合物)
溶媒:山一化学工業社製トルエン。
【0027】
プリベントールB2の含有量の違いによる効果を確認するため、アクリル樹脂の含有量は1質量%、ニトロセルロースの含有量は5質量%に固定し、プリベントールB2及び溶媒の量を調整した。植物忌避剤組成物は、上記各組成物をディスパー撹拌することにより調製した。
【0028】
プリベントールB2の含有量が異なる植物忌避剤組成物を、刷毛を用いて、対象物の支柱用ポールに塗布した。塗布後の対象物を年間平均気温約15℃、東向きに放置し、約6カ月の期間の屋外曝露試験を実施した。
【0029】
屋外曝露試験後の対象物の写真を
図1に示す。
図1からわかるように、プリベントールB2を10質量%配合した植物忌避剤組成物では、植物忌避効果が不十分であり、蔓蔦状植物が巻き上がっていることが確認された。一方、プリベントールB2を15質量%又は20質量%配合した植物忌避剤組成物では、蔓蔦状植物が巻き上がっておらず、植物忌避効果が確認された。
【0030】
さらに、以下の表1に示される植物忌避剤組成物を準備し、前述と同様の条件で比較試験を行った。屋外曝露試験後の対象物の写真を
図2に示す。
図2に示される各番号に対応する植物忌避剤組成物の違いは表1に示されている。なお、「マイクロカプセル」と示される試験例は、組成物を配合する際シリカ(鈴木油脂社製ゴッドボール)を10質量%配合することにより調製した。
【表1】
【0031】
図2からわかるように、プリベントールB2を配合しなければ、蔓蔦状植物が巻き上がっていることが確認された。一方、プリベントールB2を20質量%又は30質量%配合した植物忌避剤組成物では、蔓蔦状植物が巻き上がっておらず、植物忌避効果が確認された。プリベントールB2をマイクロカプセルの形で保持した試験例でも、同じく植物忌避効果が確認された。
【0032】
(2.促進耐候性試験)
以下の3種類の配合について、JIS A 1415に基づいて促進耐候性試験(サンシャインウェザーメーター)を実施した。
配合1(発明例):2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル(プリベントールB2)20質量%、アクリル樹脂(オートクリヤースーパー)1質量%、ニトロセルロース(オートクリヤースーパー)5質量%。
配合2(比較例):2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル(プリベントールB2)20質量%、ニトロセルロース(NONTEXラッカー)30質量%。
配合3(比較例):2-(4-クロロ-2-メチルフェノキシン)-プロキオン酸ポリグリコールエステル(プリベントールB2)20質量%、アクリル樹脂(エイトクリヤー)5質量%、ニトロセルロース(エイトクリヤー)1質量%。
【0033】
上記配合1~3の植物忌避剤組成物を、ポリ塩化ビニルの板及び鋼板にそれぞれ塗布して、促進耐候性試験を実施したところ、配合3ではニトロセルロースの配合量が不足するため、十分な厚さで塗膜を形成することができず、耐候性を評価できなかった。一方、配合1及び配合2は塗布することができた。塗布した試験片に、以下の条件で紫外線を照射し、塗布直後、300時間後、500時間後、及び1000時間後の外観を観察した。なお、1000時間の照射は、室外環境では約5年の自然劣化に相当すると推測される。
試験装置の種類:WS-A形
ブラックパネル温度:63±3℃
スプレーサイクル:120分中18分
【0034】
植物忌避剤組成物をポリ塩化ビニルの板に塗布した場合の試験結果を
図3に示し、鋼板に塗布した場合の試験結果を
図4に示す。
図3及び
図4では、上方は配合1の植物忌避剤組成物を塗布した試験片であり、下方は配合2の植物忌避剤組成物を塗布した試験片である。
図3からわかるように、アクリル樹脂及びニトロセルロースを適切な量で配合した植物忌避剤組成物を用いた場合、優れた耐候性が得られ、塗膜の変色が少なかった。アクリル樹脂を配合せず、ニトロセルロースのみを配合した配合2では、変色がより顕著であり、耐候性が劣っていた。
【0035】
図4の試験では、いずれの試験片でもある程度変色が確認されたが、配合2の植物忌避剤組成物を塗布した試験片では、変色に加えて塗膜が剥がれ落ちていることが確認された。一方、配合1の植物忌避剤組成物を塗布した試験片では、塗膜はおおむね保持できたので、耐候性が優れていることが分かる。
【0036】
以上より、本発明の植物忌避剤組成物を使用した場合、優れた植物忌避効果を得ることができ、また、アクリル樹脂及びニトロセルロースを適切な量で配合することにより、両者の相乗効果が得られ、優れた耐候性が得られる。