(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121439
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8238 20060101AFI20240830BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240830BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H01L27/092 D
H01L27/04 B
H01L29/78 301G
H01L27/092 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028556
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】泉 直希
(72)【発明者】
【氏名】竹井 祥司
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F038AV06
5F038BB02
5F048AB08
5F048AC02
5F048AC03
5F048BA07
5F048BB05
5F048BB06
5F048BB07
5F048BC06
5F048BE02
5F048BE03
5F048BE04
5F048BE05
5F048BG12
5F048BG13
5F048DA25
5F140AB02
5F140AB03
5F140BA01
5F140BA02
5F140BA16
5F140BD05
5F140BF04
5F140BF37
5F140BG12
5F140BG32
5F140BH15
5F140CB01
5F140CB04
5F140CC02
(57)【要約】
【課題】新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETを提供する。
【解決手段】一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、第1主面側の表層領域にp型領域を有する半導体層と、p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域およびn型のドレイン領域と、ソース領域およびドレイン領域の間に形成されたチャネル領域と、チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部が、ノンドープポリシリコンから構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域にp型領域を有する半導体層と、
前記p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域およびn型のドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に形成されたチャネル領域と、
前記チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、
前記ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部が、ノンドープポリシリコンから構成されている、エンハンスメント型MOSFET。
【請求項2】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域にp型領域を有する半導体層と、
前記p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域およびn型のドレイン領域と、
前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に形成されたチャネル領域と、
前記チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、
前記ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部に、p型ポリシリコンからなるp型部分を含み、
前記p型部分のp型不純物濃度が1×1017cm-3以下である、エンハンスメント型MOSFET。
【請求項3】
前記チャネル領域は、n型不純物を含む、請求項1または2に記載のエンハンスメント型MOSFET。
【請求項4】
前記ポリシリコンゲートは、その両側部に、n型ポリシリコンからなるn型部分を含む、請求項3に記載のエンハンスメント型MOSFET。
【請求項5】
前記p型領域の表層領域において、前記ソース領域と前記ポリシリコンゲートとの間および前記ドレイン領域と前記ポリシリコンゲートとの間に、前記ソース領域および前記ドレイン領域よりもn型不純物濃度が低い2つのn型低濃度領域を含み、
前記チャネル領域は、前記2つのn型低濃度領域の間領域に形成されている、請求項3に記載のエンハンスメント型MOSFET。
【請求項6】
前記ポリシリコンゲートの両側面を覆う、絶縁物からなるサイドウォールをさらに含む、請求項5に記載のエンハンスメント型MOSFET。
【請求項7】
前記2つのn型低濃度領域は、前記サイドウォールの直下の領域に形成されている、請求項6に記載のエンハンスメント型MOSFET。
【請求項8】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域に互いに間隔を空けて形成された第1p型領域および第2p型領域を有する半導体層と、デフレッション型MOSFETと、エンハンスメント型MOSFETとを含み、
前記デフレッション型MOSFETは、
前記第1p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第1ソース領域およびn型の第1ドレイン領域と、
前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域の間に形成された第1チャネル領域と、
前記第1チャネル領域上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、p型不純物を含む第1ポリシリコンゲートとを含み、
前記エンハンスメント型MOSFETは、
前記第2p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第2ソース領域およびn型の第2ドレイン領域と、
前記第2ソース領域および前記第2ドレイン領域の間に形成され、前記第1チャネル領域と同じ不純物濃度を有する第2チャネル領域と、
前記第2チャネル領域上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ポリシリコンゲートとを含み、
前記第2ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部が、ノンドープポリシリコンから構成されている、半導体装置。
【請求項9】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域に互いに間隔を空けて形成された第1p型領域および第2p型領域を有する半導体層と、デフレッション型MOSFETと、エンハンスメント型MOSFETとを含み、
前記デフレッション型MOSFETは、
前記第1p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第1ソース領域およびn型の第1ドレイン領域と、
前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域の間に形成された第1チャネル領域と、
前記第1チャネル領域上に配置された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、p型不純物を含む第1ポリシリコンゲートとを含み、
前記エンハンスメント型MOSFETは、
前記第2p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第2ソース領域およびn型の第2ドレイン領域と、
前記第2ソース領域および前記第2ドレイン領域の間に形成され、前記第1チャネル領域と同じ不純物濃度を有する第2チャネル領域と、
前記第2チャネル領域上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ポリシリコンゲートとを含み、
前記第2ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部に、p型ポリシリコンからなるp型部分を含み、
前記p型部分のp型不純物濃度が1×1017cm-3以下である、半導体装置。
【請求項10】
前記第2ポリシリコンゲートは、その両側部に、n型ポリシリコンからなるn型部分を含む、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2p型領域の表層領域において、前記第2ソース領域と前記第2ポリシリコンゲートとの間および前記第2ドレイン領域と前記第2ポリシリコンゲートとの間に、前記第2ソース領域および前記第2ドレイン領域よりもn型不純物濃度が低い2つの第2n型低濃度領域を含み、
前記第2チャネル領域は、前記2つの第2n型低濃度領域の間領域に形成されている、請求項8また9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2ポリシリコンゲートの両側面を覆う、絶縁物からなる第2サイドウォールをさらに含む、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記2つの第2n型低濃度領域は、前記第2サイドウォールの直下の領域に形成されている、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1p型領域の表層領域において、前記第1ソース領域と前記第1ポリシリコンゲートとの間および前記第1ドレイン領域と前記第1ポリシリコンゲートとの間に、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域よりもn型不純物濃度が低い2つの第1n型低濃度領域を含み、
前記第1チャネル領域は、前記2つの第1n型低濃度領域の間領域に形成されている、請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1ポリシリコンゲートの両側面を覆う、絶縁物からなる第1サイドウォールをさらに含む、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記2つの第1n型低濃度領域は、前記第1サイドウォールの直下の領域に形成されている、請求項15に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンハンスメント型MOSFETおよび半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基準電圧発生回路を備える回路として、特許文献1の定電流回路が公知である。特許文献1の定電流回路は、デプレッション(Depletion:DEN)型MOSFETとエンハンスメント(Enhancement:EN)型MOSFETにより構成された基準電圧発生回路と、当該基準電圧発生回路から出力された信号が入力されるオペアンプと、オペアンプからの出力が入力されるトランジスタと、トランジスタのソースに接続された抵抗とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETおよび新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETを含む半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域にp型領域を有する半導体層と、前記p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域およびn型のドレイン領域と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、前記ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部が、ノンドープポリシリコンから構成されている、エンハンスメント型MOSFETを提供する。
【0006】
この構成では、新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETが得られる。
【0007】
本開示の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域にp型領域を有する半導体層と、前記p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域およびn型のドレイン領域と、前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲートとを含み、前記ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部に、p型ポリシリコンからなるp型部分を含み、前記p型部分のp型不純物濃度が1×1017cm-3以下である、エンハンスメント型MOSFETを提供する。
【0008】
この構成では、新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETが得られる。
【0009】
本開示の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域に互いに間隔を空けて形成された第1p型領域および第2p型領域を有する半導体層と、デフレッション型MOSFETと、エンハンスメント型MOSFETとを含み、前記デフレッション型MOSFETは、前記第1p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第1ソース領域およびn型の第1ドレイン領域と、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域の間に形成された第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、p型不純物を含む第1ポリシリコンゲートとを含み、前記エンハンスメント型MOSFETは、前記第2p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第2ソース領域およびn型の第2ドレイン領域と、前記第2ソース領域および前記第2ドレイン領域の間に形成され、前記第1チャネル領域と同じ不純物濃度を有する第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ポリシリコンゲートとを含み、前記第2ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部が、ノンドープポリシリコンから構成されている、半導体装置を提供する。
【0010】
この構成では、新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETを含む半導体装置が得られる。
【0011】
本開示の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域に互いに間隔を空けて形成された第1p型領域および第2p型領域を有する半導体層と、デフレッション型MOSFETと、エンハンスメント型MOSFETとを含み、前記デフレッション型MOSFETは、前記第1p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第1ソース領域およびn型の第1ドレイン領域と、前記第1ソース領域および前記第1ドレイン領域の間に形成された第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域上に配置された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、p型不純物を含む第1ポリシリコンゲートとを含み、前記エンハンスメント型MOSFETは、前記第2p型領域の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第2ソース領域およびn型の第2ドレイン領域と、前記第2ソース領域および前記第2ドレイン領域の間に形成され、前記第1チャネル領域と同じ不純物濃度を有する第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域上に配置された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ポリシリコンゲートとを含み、前記第2ポリシリコンゲートは、少なくともその主要部に、p型ポリシリコンからなるp型部分を含み、前記p型部分のp型不純物濃度が1×1017cm-3以下である、半導体装置を提供する。
【0012】
この構成では、新規な構造を有するエンハンスメント型MOSFETを含む半導体装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の回路図(一部)である。
【
図2】
図2は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のCMOS領域を拡大して示す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のRef回路領域を拡大して示す拡大断面図である。
【
図5】
図5は、第1比較例におけるRef回路領域を示す断面図であって、
図4に対応する断面図である。
【
図6】
図6は、第1比較例におけるデプレッション型MOSFETおよびエンハンスメント型MOSFETのVg-Ig特性を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第2比較例におけるRef回路領域を示す断面図であって、
図4に対応する断面図である。
【
図8】
図8は、第2比較例におけるデプレッション型MOSFETおよびエンハンスメント型MOSFETのVg-Ig特性を示すグラフである。
【
図10】
図10は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置の模式的な断面図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す断面図であり、
図2に対応する断面図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す断面図であり、
図2に対応する断面図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す断面図であり、
図2に対応する断面図である。
【
図16】
図16は、エンハンスメント型MOSFETのポリシリコンゲートの両側部にn型部分が形成される理由を説明するための模式図である。
【
図17】
図17は、エンハンスメント型MOSFETのゲート絶縁膜の両側にゲート絶縁膜よりも膜厚が厚いゲート絶縁膜が形成された構成を示す部分拡大断面図である。
【
図18】
図18は、エンハンスメント型MOSFETのゲート絶縁膜の両側にLOCOS酸化膜が形成された構成を示す部分拡大断面図である。
【
図19】
図19は、エンハンスメント型MOSFETのゲート絶縁膜の両側にSTI酸化膜が形成された構成を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本開示の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1の回路図(一部)である。
【0016】
半導体装置1は、基準電圧発生回路2と、基準電圧発生回路2に接続された動作回路としての増幅回路3とを備えている。
【0017】
基準電圧発生回路2は、ドレイン(D)が電源端子VDDに接続され、ソース(S)とゲート(G)同士が接続されたデプレッション型MOSFET4(DEN)と、ドレイン(D)とゲート(G)同士が接続され、このドレインおよびゲートがデプレッション型MOSFET4のソースに接続されたエンハンスメント型MOSFET5(EN)とを含む。デプレッション型MOSFET4およびエンハンスメント型MOSFET5のバックゲートおよびエンハンスメント型MOSFET5のソースはグランド(GNE)電位に固定されている。
【0018】
このような基準電圧発生回路2では、常にVGS=0Vで動作するデプレッション型MOSFET4の定電流を、これに直列に接続されたエンハンスメント型MOSFET5に流すことにより、エンハンスメント型MOSFET5に発生する電圧を基準電圧(Vref)として増幅回路3に入力し、増幅回路3で増幅された電圧を出力電圧(Vout)として取り出す。基準電圧Vrefは、エンハンスメント型MOSFET5のしきい値電圧Vth_Eとデプレッション型MOSFET4のしきい値電圧Vth_Dとの差(Vth_E-Vth_D)である。
【0019】
図2は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な断面図である。
図3は、
図2のCMOS領域7を拡大して示す拡大断面図である。
図4は、
図2のRef回路領域8を拡大して示す拡大断面図である。
【0020】
半導体装置1は、たとえばシリコンからなるp型の半導体基板6と、半導体基板6に設定された動作回路領域としてのCMOS領域7および基準回路領域としてのRef(Reference)回路領域8とを含む。CMOS領域7およびRef回路領域8が共通の半導体基板6に設定されている。
【0021】
CMOS領域7に動作MOSFETとしてのn型MOSFET9およびp型MOSFET10が形成されており、これらのMOSFET9,10が
図1の増幅回路3を構成している。一方、Ref回路領域8にデプレッション型MOSFET4およびエンハンスメント型MOSFET5が形成されており、これらのMOSFET4,5が
図1の基準電圧発生回路2を構成している。
【0022】
半導体基板6は、この実施形態では、ベース基板61と、半導体層の一例としてn型エピタキシャル層62とを含んでいる。ベース基板61は、この実施形態では、シリコン(Si)基板で形成されているが、他の素材(たとえば、炭化シリコン(SiC)等)で形成された基板であってもよい。ベース基板61は、この実施形態ではp型である。ベース基板61は、たとえば、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下の不純物濃度を有していてもよい。また、ベース基板61の厚さは、100μm以上500μm以下であってもよい。
【0023】
n型エピタキシャル層62は、ベース基板61に接しており、かつベース基板61に積層されている。n型エピタキシャル層62は、ベース基板61側とは反対側の第1主面62aと、ベース基板61側の第2主面62bとを有している。n型エピタキシャル層62は、この実施形態では、ベース基板61と逆の導電型を有しており、n型である。n型エピタキシャル層62は、たとえば、1×1015cm-3以上1×1017cm-3以下の不純物濃度を有していてもよい。また、n型エピタキシャル層62の厚さは、2μm以上15μm以下であってもよい。
【0024】
半導体基板6には、CMOS領域7およびRef回路領域8を確保するために、p型素子分離ウェルからなる素子分離部11が形成されている。また、半導体基板6には、MOSFET4,5,9,10用の領域4R,5R,9R,10Rを確保するために、酸化シリコン等の絶縁物からなる素子分離部としてのフィールド絶縁膜12(素子分離膜)が形成されている。
【0025】
半導体基板6においてフィールド絶縁膜12で区画された領域にはゲート絶縁膜13が形成されている。
【0026】
CMOS領域7およびRef回路領域8には、それぞれn型埋め込み層14が形成されている。n型埋め込み層14は、ベース基板61とn型エピタキシャル層62との境界を跨ぐように形成されている。n型埋め込み層14は、n型エピタキシャル層62よりも高いn型不純物濃度を有している。n型埋め込み層14の厚さは、1μm以上5μm以下であってもよい。
【0027】
CMOS領域7においてn型MOSFET9は、p型ウェル21と、n型ソース領域22と、n型ドレイン領域23と、p型バックゲート領域24とを備えている。
【0028】
p型ウェル21は、n型エピタキシャル層62の第1主面62a側の表層領域に形成されている。n型ソース領域22およびn型ドレイン領域23は、p型ウェル21の表層領域に間隔を空けて形成されている。n型ソース領域22およびドレイン領域23は、n型エピタキシャル層62よりも高いn型不純物濃度を有している。
【0029】
p型バックゲート領域24は、p型ウェル21の表層領域であって、n型ドレイン領域23に対してn型ソース領域22とは反対側の領域に、n型ドレイン領域23から間隔を空けて形成されている。p型バックゲート領域24は、p型ウェル21よりも高いp型不純物濃度を有している。
【0030】
n型ソース領域22およびドレイン領域23の間のチャネル領域25に対向するように、ゲート絶縁膜13を挟んでポリシリコンゲート26が形成されている。ポリシリコンゲート26の両側面は、酸化シリコン等の絶縁物からなるサイドウォール27で覆われている。ポリシリコンゲート26は、n型不純物を含む導電性ポリシリコンからなる。n型不純物は、この実施形態ではP(リン)である。つまり、ポリシリコンゲート26は、n型ポリシリコンからなる。ポリシリコンゲート26は、n型ポリシリコンゲート26と称されてもよい。
【0031】
n型ソース領域22およびn型ドレイン領域23とポリシリコンゲート26との間、すなわち、サイドウォール27の直下の領域には、n型低濃度層28,29が形成されている。こうして、LDD構造が形成されている。n型低濃度層28,29は、n型ソース領域22およびn型ドレイン領域23よりも低濃度に形成され、かつ、これらよりも浅く不純物イオンを注入して形成された領域である。
【0032】
n型低濃度層28,29は、ポリシリコンゲート26に対して自己整合的に形成されており、n型ソース領域22およびn型ドレイン領域23はサイドウォール27に対して自己整合的に形成されている。n型低濃度層28,29は、n型ドレイン領域23の近傍における電界を緩和して、ホットエレクトロン効果を抑制する。
【0033】
CMOS領域7においてp型MOSFET10は、n型ウェル31と、p型ソース領域32と、p型ドレイン領域33と、n型バックゲート領域34とを備えている。
【0034】
n型ウェル31は、n型エピタキシャル層62の第1主面62a側の表層領域に形成されている。p型ソース領域32およびp型ドレイン領域33は、n型ウェル31の表層領域に間隔を空けて形成されている。
【0035】
n型バックゲート領域34は、n型ウェル31の表層領域であって、p型ソース領域32に対してp型ドレイン領域33とは反対側の領域に、p型ソース領域32から間隔を空けて形成されている。n型バックゲート領域34は、n型ウェル31よりも高いn型不純物濃度を有している。
【0036】
p型ソース領域32およびp型ドレイン領域33の間のチャネル領域35に対向するように、ゲート絶縁膜13を挟んでポリシリコンゲート36が形成されている。ポリシリコンゲート36の両側面は、酸化シリコン等の絶縁物からなるサイドウォール37で覆われている。ポリシリコンゲート36は、p型不純物を含む導電性ポリシリコンからなる。p型不純物は、この実施形態ではB(ボロン)である。つまり、ポリシリコンゲート36は、p型ポリシリコンからなる。ポリシリコンゲート36は、p型ポリシリコンゲート36と称されてもよい。
【0037】
p型ソース領域32およびp型ドレイン領域33とポリシリコンゲート36との間、すなわち、サイドウォール37の直下の領域には、p型低濃度層38,39が形成されている。こうして、LDD構造が形成されている。p型低濃度層38,39は、p型ソース領域32およびp型ドレイン領域33よりも低濃度に形成され、かつ、これらよりも浅く不純物イオンを注入して形成された領域である。
【0038】
p型低濃度層38,39は、ポリシリコンゲート36に対して自己整合的に形成されており、p型ソース領域32およびp型ドレイン領域33はサイドウォール37に対して自己整合的に形成されている。p型低濃度層38,39は、p型ドレイン領域33の近傍における電界を緩和して、ホットエレクトロン効果を抑制する。
【0039】
Ref回路領域8においてデプレッション型MOSFET4は、p型ウェル41とn型ソース領域42およびn型ドレイン領域43と、p型バックゲート領域44とを備えている。p型ウェル41は、本開示の「第1p型領域」の一例である。n型ソース領域42は、本開示の「第1ソース領域」の一例である。n型ドレイン領域43は、本開示の「第1ドレイン領域」の一例である。
【0040】
p型ウェル41は、n型エピタキシャル層62の第1主面62a側の表層領域に形成されている。n型ソース領域42およびn型ドレイン領域43は、p型ウェル41の表層領域に間隔を空けて形成されている。n型ソース領域42およびドレイン領域43は、n型エピタキシャル層62よりも高いn型不純物濃度を有している。
【0041】
p型バックゲート領域44は、p型ウェル41の表層領域に、n型ドレイン領域43に対してn型ソース領域42とは反対側に、n型ドレイン領域43から間隔を空けて形成されている。p型バックゲート領域44は、p型ウェル41よりも高いp型不純物濃度を有している。
【0042】
n型ソース領域42およびn型ドレイン領域43の間のチャネル領域45に対向するように、ゲート絶縁膜13を挟んでポリシリコンゲート46が形成されている。ポリシリコンゲート46の両側面は、酸化シリコン等の絶縁物からなるサイドウォール47で覆われている。チャネル領域45には、n型不純物が注入されている。ポリシリコンゲート46は、n型不純物を含む導電性ポリシリコンからなる。n型不純物は、この実施形態ではP(リン)である。つまり、ポリシリコンゲート46は、n型ポリシリコンからなる。ポリシリコンゲート46は、n型ポリシリコンゲート46と称されてもよい。
【0043】
チャネル領域45は、本開示の「第1チャネル領域」の一例である。ポリシリコンゲート46は、本開示の「第1ポリシリコンゲート」の一例である。ポリシリコンゲート46の下方のゲート絶縁膜13は、本開示の「第1ゲート絶縁膜」の一例である。サイドウォール47は、本開示の「第1サイドウォール」の一例である。
【0044】
n型ソース領域42およびn型ドレイン領域43とポリシリコンゲート46との間、すなわち、サイドウォール47の直下の領域には、n型低濃度層48,49が形成されている。こうして、LDD構造が形成されている。n型低濃度層48,49は、n型ソース領域42およびn型ドレイン領域43よりも低濃度に形成され、かつ、これらよりも浅く不純物イオンを注入して形成された領域である。
【0045】
n型低濃度層48,49は、ポリシリコンゲート46に対して自己整合的に形成されており、n型ソース領域42およびn型ドレイン領域43はサイドウォール47に対して自己整合的に形成されている。n型低濃度層48,49は、n型ドレイン領域43の近傍における電界を緩和して、ホットエレクトロン効果を抑制する。
【0046】
Ref回路領域8においてエンハンスメント型MOSFET5は、p型ウェル51と、第2ソース領域としてのn型ソース領域52と、第2ドレイン領域としてのn型ドレイン領域53と、p型バックゲート領域54とを備えている。
【0047】
p型ウェル51は、本開示の「p型領域」および「第2p型領域」の一例である。n型ソース領域52は、本開示の「n型のソース領域」および「第2ソース領域」の一例である。n型ドレイン領域43は、本開示の「n型のドレイン領域」および「第2ドレイン領域」の一例である。
【0048】
p型ウェル51は、n型エピタキシャル層62の第1主面62a側の表層領域に、デプレッション型MOSFET4のp型ウェル41と間隔を空けて形成されている。n型ソース領域52およびn型ドレイン領域53は、p型ウェル51の表層領域に間隔を空けて形成されている。n型ソース領域52およびドレイン領域53は、n型エピタキシャル層62よりも高いn型不純物濃度を有している。
【0049】
p型バックゲート領域54は、p型ウェル51の表層領域に、n型ドレイン領域53に対してn型ソース領域52とは反対側に、n型ドレイン領域53から間隔を空けて形成されている。p型バックゲート領域54は、p型ウェル51よりも高いp型不純物濃度を有している。
【0050】
n型ソース領域52およびn型ドレイン領域53の間のチャネル領域55に対向するように、ゲート絶縁膜13を挟んでポリシリコンゲート56が形成されている。ポリシリコンゲート46の両側面は、酸化シリコン等の絶縁物からなるサイドウォール57で覆われている。チャネル領域55には、n型不純物が注入されている。チャネル領域55内のn不純物濃度は、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45内のn型不純物濃度と等しい。
【0051】
チャネル領域55は、本開示の「第2チャネル領域」の一例である。ポリシリコンゲート56は、本開示の「ポリシリコンゲート」および「第2ポリシリコンゲート」の一例である。ポリシリコンゲート56の下方のゲート絶縁膜13は、本開示の「第2ゲート絶縁膜」の一例である。サイドウォール57は、本開示の「第2サイドウォール」の一例である。
【0052】
ポリシリコンゲート56の主要部は、ノンドープポリシリコンからなる。ポリシリコンゲート56の主要部とは、ポリシリコンゲート56におけるチャネル領域55に対向している部分の80%以上を占める領域をいう。また、ノンドープポリシリコンとは、不純物濃度が1×1014cm-3以下のポリシリコンをいう。
【0053】
この実施形態では、ポリシリコンゲート56は、両側部のn型ポリシリコンからなるn型部分71と、これらのn型部分71の間のノンドープポリシリコンからなるノンドープ部分72とからなる。n型部分71に含まれるn型不純物は、この実施形態ではP(リン)である。この実施形態では、ノンドープ部分72が主要部に相当する。なお、ポリシリコンゲート56の全体が、ノンドープポリシリコンから構成されていてもよい。
【0054】
n型ソース領域52およびn型ドレイン領域53とポリシリコンゲート46との間、すなわち、サイドウォール57の直下の領域には、n型低濃度層58,59が形成されている。こうして、LDD構造が形成されている。n型低濃度層58,59は、n型ソース領域52およびn型ドレイン領域53よりも低濃度に形成され、かつ、これらよりも浅く不純物イオンを注入して形成された領域である。
【0055】
n型低濃度層58,59は、ポリシリコンゲート56に対して自己整合的に形成されており、n型ソース領域52およびn型ドレイン領域53はサイドウォール57に対して自己整合的に形成されている。n型低濃度層58,59は、n型ドレイン領域53の近傍における電界を緩和して、ホットエレクトロン効果を抑制する。
【0056】
第1実施形態では、Ref回路領域8においてデプレッション型MOSFET4のチャネル領域45の不純物濃度と、エンハンスメント型MOSFET5のチャネル領域55の不純物濃度とは等しい。一方、デプレッション型MOSFET4のポリシリコンゲート46の主要部がn型ポリシリコンで構成されているのに対し、エンハンスメント型MOSFET5のポリシリコンゲート56の主要部がノンドープポリシリコンで構成されている。
【0057】
これにより、デプレッション型MOSFET4におけるポリシリコンゲート46とチャネル領域45との間の仕事関数差と、エンハンスメント型MOSFET5におけるポリシリコンゲート56とチャネル領域55との間の仕事関数差との間には、差が設けられている。これにより、デプレッション型MOSFET4のしきい値電圧Vth_Dとエンハンスメント型MOSFET5のしきい値電圧Vth_Eとを異ならせている。たとえば、しきい値電圧Vth_Dは-1.0V~-0.2Vであり、しきい値電圧Vth_Eは0.2V~1.0Vである。
図1においては、このしきい値電圧の差(Vth_E-Vth_D)に相当する大きさの電圧を増幅回路3に送ることができる。
【0058】
半導体基板6上には、図示しないが、各ポリシリコンゲート26,36,46,56を一括して被覆する層間絶縁膜が積層される。層間絶縁膜上には、図示しないが、複数のソース領域22、32、42および52にそれぞれ対応した複数のソース電極と、複数のドレイン領域23、33、43および53にそれぞれ対応した複数のドレイン電極と、複数のバックゲート領域24、34、44および54にそれぞれ対応した複数のバックゲート電極とが形成される。
【0059】
層間絶縁膜には、図示しないが、複数のソース領域22、32、42および52を、それに対応するソース電極に接続するためのビアと、複数のドレイン領域23、33、43および53を、それに対応するドレイン電極に接続するためのビアと、複数のバックゲート領域24、34、44および54を、それに対応するバックゲート電極に接続するためのビアとが形成される。デプレッション型MOSFET4のソース電極とエンハンスメント型MOSFET5のドレイン電極とは、層間絶縁膜上において一体的に形成されて接続される。
【0060】
次に、第1比較例に係る半導体装置101(以下、単に、「第1比較例101」という。)について説明する。第1比較例101は、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、CMOS領域とRef回路領域とを備えている。第1比較例101のCMOS領域の構成は、第1実施形態に係る半導体装置1のCMOS領域7の構成と同じである。
【0061】
図5は、第1比較例101におけるRef回路領域108を示す断面図であって、
図4に対応する断面図である。
図5において、
図4の各部に対応する部分には、
図4と同じ符号を付して示す。
【0062】
第1比較例101のRef回路領域108は、デプレッション型MOSFET4と、エンハンスメント型MOSFET105とを備えている。第1比較例101のデプレッション型MOSFET4の構成は、第1実施形態に係る半導体装置1のデプレッション型MOSFET4の構成と同じである。
【0063】
第1比較例101のエンハンスメント型MOSFET105は、第1実施形態に係る半導体装置1のエンハンスメント型MOSFET5に対して、次の点(A1),(A2)において異なる。
【0064】
(A1)第1比較例101のエンハンスメント型MOSFET105では、チャネル領域155にn型不純物が注入されていない。したがって、第1比較例101では、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45のn型不純物濃度と、エンハンスメント型MOSFET105のチャネル領域155のn型不純物濃度が異なる。
【0065】
(A2)第1比較例101のエンハンスメント型MOSFET105では、ポリシリコンゲート156は、n型ポリシリコンから構成されている。ポリシリコンゲート1562含まれるn型不純物は、この例ではP(リン)である。つまり、第1比較例101では、デプレッション型MOSFET4のポリシリコンゲート46と、エンハンスメント型MOSFET105のポリシリコンゲート156は、共にn型ポリシリコンから構成されている。
【0066】
第1比較例101では、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45のn型不純物濃度と、エンハンスメント型MOSFET105のチャネル領域155のn型不純物濃度との間に差を設けることにより、デプレッション型MOSFET4のしきい値電圧Vth_Dとエンハンスメント型MOSFET105のしきい値電圧Vth_Eとを異ならせている。
【0067】
第1比較例101では、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45のn型不純物濃度と、エンハンスメント型MOSFET105のチャネル領域155のn型不純物濃度とが異なる。このため、
図6に示すように、デプレッション型MOSFET4のVg-Id特性(ゲート電圧-ドレイン電流特性)の傾きと、エンハンスメント型MOSFET105のVg-Id特性の傾きが異なる。このため、
図6に示すように、両者の閾値電圧の差である基準電圧Vrefが、温度によって変化する。
【0068】
次に、第2比較例に係る半導体装置201(以下、単に、「第2比較例201」という。)について説明する。第2比較例201は、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、CMOS領域とRef回路領域とを備えている。第2比較例201のCMOS領域の構成は、第1実施形態に係る半導体装置1のCMOS領域7の構成と同じである。
【0069】
図7は、第2比較例201におけるRef回路領域208を示す断面図であって、
図4に対応する断面図である。
図7において、
図4の各部に対応する部分には、
図4と同じ符号を付して示す。
【0070】
第2比較例201のRef回路領域208は、デプレッション型MOSFET4と、エンハンスメント型MOSFET205とを備えている。第2比較例201のデプレッション型MOSFET4の構成は、第1実施形態に係る半導体装置1のデプレッション型MOSFET4の構成と同じである。
【0071】
第2比較例201のエンハンスメント型MOSFET205は、第1比較例101のエンハンスメント型MOSFET105に対して、次の点(B1),(B2)において異なる。
【0072】
(B1)第2比較例201のエンハンスメント型MOSFET205では、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、チャネル領域55にn型不純物が注入されている。そして、第2比較例201では、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、エンハンスメント型MOSFET205のチャネル領域55の不純物濃度は、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45の不純物濃度と等しい。
【0073】
(B2)第2比較例201のエンハンスメント型MOSFET205では、ポリシリコンゲート256の主要部は、n型ポリシリコンではなく、p型ポリシリコンから構成されている。具体的には、ポリシリコンゲート256は、両側部のn型ポリシリコンからなるn型部分271と、これらのn型部分271の間のp型ポリシリコンからなるp型部分272とからなる。p型部分2722に含まれるp型不純物は、この例ではB(ボロン)である。p型部分272のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上である。
【0074】
第2比較例201では、デプレッション型MOSFET4におけるポリシリコンゲート46の仕事関数と、エンハンスメント型MOSFET205におけるポリシリコンゲート256の仕事関数との間には、差が設けられている。これにより、デプレッション型MOSFET4におけるポリシリコンゲート46とチャネル領域45との間の仕事関数差と、エンハンスメント型MOSFET205におけるポリシリコンゲート256とチャネル領域55との間の仕事関数差との間には、差が設けられている。これにより、デプレッション型MOSFET4のしきい値電圧Vth_Dとエンハンスメント型MOSFET5のしきい値電圧Vth_Eとを異ならせている。
【0075】
第2比較例201では、エンハンスメント型MOSFET205のチャネル領域255のn型不純物濃度は、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45のn型不純物濃度と等しい。このため、
図8に示すように、デプレッション型MOSFET4のVg-Id特性の傾きと、エンハンスメント型MOSFET205のVg-Id特性の傾きはほぼ等しくなる。これにより、
図8に示すように、第2比較例201では、第1比較例101に比べて、温度による基準電圧Vrefの変化を抑制することができる。
【0076】
しかしながら、第2比較例201では、エンハンスメント型MOSFET205におけるポリシリコンゲート256の主要部(p型部分272)には、p型不純物で(この例ではボロン(B))が含まれているので、以下のような問題が生じるおそれがある。すなわち、製造過程等においてエンハンスメント型MOSFET205のポリシリコンゲート256内のp型不純物が拡散し、ゲート絶縁膜13内に固定電化やトラップサイトが形成されたり、チャネル領域255の不純物濃度を変化させたりする。これにより、製造ばらつきや経時劣化が起こりやすくなる。
【0077】
第1実施形態に係る半導体装置1では、エンハンスメント型MOSFET5のチャネル領域55のn型不純物濃度は、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45のn型不純物濃度と等しい。このため、デプレッション型MOSFET4のVg-Id特性の傾きと、エンハンスメント型MOSFET5のVg-Id特性の傾きはほぼ等しくなるので、第1比較例101に比べて、温度による基準電圧Vrefの変化を抑制することができる。
【0078】
また、第1実施形態に係る半導体装置1では、エンハンスメント型MOSFET5のポリシリコンゲート56の主要部(ノンドープ部分72)には、p型不純物が含まれていないので、第2比較例のように、エンハンスメント型MOSFET205のポリシリコンゲート256内のp型不純物が拡散するといったことを抑制でまたは防止できる。これにより、第1実施形態に係る半導体装置1では、第2比較例201に比べて、製造ばらつきや経時劣化が起こりにくくなる。
【0079】
図9A~
図9Gは、
図2の半導体装置1の製造工程の一部を工程順に説明するための模式図である。
【0080】
まず、
図9Aに示すように、半導体基板6、素子分離部11、n型埋め込み層14、p型ウェル21、n型ウェル31、p型ウェル41、p型ウェル51、チャネル領域45,55用のn型不純物拡散領域345,355、フィールド絶縁膜12およびゲート絶縁膜13を含む半導体装置が製造される。半導体基板6は、ベース基板61と、ベース基板61上に形成されたn型エピタキシャル層62とからなる。
【0081】
図9Aに示すような半導体装置は、例えば次のようにして製造される。すなわち、まず、p型のベース基板61が形成される。次に、ベース基板61の表面にn型不純物とp型不純物とが選択的に注入される。そして、n型不純物を添加しながら、ベース基板61のシリコンをエピタキシャル成長させる。これにより、p型のベース基板61上にn型エピタキシャル層62の一部が形成される。
【0082】
ベース基板61のエピタキシャル成長に際して、ベース基板61に注入されたn型不純物およびp型不純物は、n型エピタキシャル層62の成長方向に拡散する。これにより、ベース基板61とn型エピタキシャル層62との境界部に埋め込み層14が形成される。また、これにより、p型の素子分離部11の一部が形成される。この後、n型エピタキシャル層62の一部に、p型不純物が選択的に注入される。そして、n型不純物を添加しながら、ベース基板61のシリコンを、さらにエピタキシャル成長させる。これにより、p型のベース基板61とn型エピタキシャル層62とからなる半導体基板6が形成される。
【0083】
この後、n型エピタキシャル層62の表層領域にn型不純物が選択的に注入されることにより、n型ウェル31が形成される。また、n型エピタキシャル層62の表層領域にp型不純物が選択的に注入されることにより、p型ウェル21,41,51が形成される。次に、半導体基板6上に、フィールド絶縁生膜12が形成される。次に、n型エピタキシャル層62の表層領域にn型不純物が選択的に注入されることにより、n型不純物拡散領域345,355が形成される。この後、ゲート絶縁膜13が形成される。
【0084】
次に、
図9Bおよび
図9Cに示すように、ポリシリコンゲート26,36,46,56に対応したノンドープポリシリコンからなるノンドープゲート326,336,346,356の形成工程が行なわれる。
【0085】
具体的には、まず、
図9Bに示すように、ノンドープのポリシリコン膜81が、半導体基板6における第1主面62a側の表面全域に形成される。次に、ポリシリコン膜81が、フォトリソグラフィによってパターニングされる。これにより、
図9Cに示すように、ノンドープゲート326,336,346,356がそれぞれ対応するゲート絶縁膜13上に形成される。
【0086】
次に、
図9Dに示すように、n型エピタキシャル層62に、n型不純物イオン(たとえば、P
+イオン)が注入されることにより、n型低濃度層28,29,48,49,58,59がノンドープゲート326,346,356に自己整合的に形成される。これにより、チャネル領域45,55が形成される。また、n型エピタキシャル層62に、p型不純物イオン(たとえば、B
+イオン)が注入されることにより、p型低濃度層38,39がノンドープゲート336に自己整合的に形成される。なお、低濃度層28,29,38,39,48,49,58,59の形成のために、イオンが注入される際には、ノンドープゲート356はレジスト膜(図示略)によって覆われる。
【0087】
次に、CVD法によって、半導体基板6における第1主面62a側の表面全域に、酸化シリコン膜等の絶縁膜が形成された後、その絶縁膜がドライエッチングによってエッチバックされる。このエッチバックが、各ノンドープゲート326,336,346,356が露出するまで行われることにより、それらの両側面にサイドウォール27,37,47,57が形成される。
【0088】
次に、
図9Eに示すように、各p型バックゲート領域24,44,54の形成予定領域と、p型ソース領域32の形成予定領域と、ノンドープゲート336と、サイドウォール37と、p型ドレイン領域33の形成予定領域と、ノンドープゲート356の上面におけるその両側部を除いた領域とを覆うように、レジスト膜82が形成される。
【0089】
そして、当該レジスト膜82を介して、n型不純物イオン(たとえば、P+イオン)が、ノンドープゲート326,346と、ノンドープゲート356の両側部と、n型エピタキシャル層62とに注入される。この後、レジスト膜82が除去される。
【0090】
これにより、
図9Fに示すように、n型ソース領域22,42,52と、n型ドレイン領域23,43,53と、n型バックゲート領域34と、n型のポリシリコンゲート26,46と、n型部分71およびノンドープ部分72を有するポリシリコンゲート56とが形成される。
【0091】
次に、
図9Gに示すように、各n型ソース領域22,42,52と、各n型ドレイン領域23,43,53と、n型バックゲート領域34と、n型のポリシリコンゲート26,46およびそれらのサイドウォール27,47と、ポリシリコンゲート56およびそのサイドウォール57と覆うように、レジスト膜83が形成される。そして、当該レジスト膜83を介して、p型不純物イオン(たとえば、B
+イオン)が、ノンドープゲート336およびn型エピタキシャル層62に注入される。この後、レジスト膜83が除去される。
【0092】
これにより、p型のポリシリコンゲート36、p型ソース領域32、p型ドレイン領域33およびp型バックゲート領域24,44,54が形成される。これにより、
図2に示すような半導体装置1が得られる。
【0093】
図10は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置401の模式的な断面図である。
図11は、
図10のRef回路領域8を拡大して示す拡大断面図である。
【0094】
図10において、
図2の各部に対応する部分には、
図2と同じ符号を付して示す。
図11において、
図4の各部に対応する部分には、
図4と同じ符号を付して示す。
【0095】
本開示の第2実施形態に係る半導体装置401の回路図は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置1の回路図(
図1)と同様である。
【0096】
本開示の第2実施形態に係る半導体装置401は、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、CMOS領域とRef回路領域とを備えている。第2実施形態に係る半導体装置401のCMOS領域7の構成は、第1実施形態に係る半導体装置1のCMOS領域7の構成と同じである。
【0097】
第2実施形態に係る半導体装置401のRef回路領域408は、デプレッション型MOSFET4と、エンハンスメント型MOSFET405とを備えている。第2実施形態に係る半導体装置401のデプレッション型MOSFET4の構成は、第1実施形態に係る半導体装置1のデプレッション型MOSFET4の構成と同じである。
【0098】
第2実施形態に係る半導体装置401のエンハンスメント型MOSFET405では、ポリシリコンゲート456の主要部がp型ポリシリコンから構成されている点が、第1実施形態に係る半導体装置1と異なる。
【0099】
具体的には、ポリシリコンゲート456は、両側部のn型部分471と、これらのn型部分471の間のp型部分472とからなる。n型部分471は、n型ポリシリコンから構成されている。p型部分472は、p型ポリシリコンから構成されている。p型部分4722に含まれるp型不純物は、この実施形態では、ボロン(B)である。
【0100】
p型部分472のp型不純物濃度は、第2比較例201のp型部分272(
図7参照)のp型不純物濃度よりも低い。p型部分472のp型不純物濃度は、1×10
17cm
-3以下であることが好ましい。なお、第2比較例201のp型部分272のp型不純物濃度は、1×10
19cm
-3以上である。
【0101】
第2実施形態に係る半導体装置401においても、第1実施形態に係る半導体装置1と同様に、エンハンスメント型MOSFET405のチャネル領域55のn型不純物濃度は、デプレッション型MOSFET4のチャネル領域45のn型不純物濃度と等しい。このため、デプレッション型MOSFET4のVg-Id特性の傾きと、エンハンスメント型MOSFET405のVg-Id特性の傾きはほぼ等しくなるので、第1比較例101に比べて、温度による基準電圧Vrefの変化を抑制することができる。
【0102】
また、第2実施形態に係る半導体装置401では、エンハンスメント型MOSFET5のポリシリコンゲート456の主要部(p型部分472)にp型不純物が含まれているが、そのp型不純物濃度が、第2比較例201のポリシリコンゲート256の主要部(p型部分272)のp型不純物濃度よりも低い。これにより、エンハンスメント型MOSFET405のポリシリコンゲート456内のp型不純物の拡散が第2比較例に比べて抑制されるので、第2比較例201に比べて、製造ばらつきや経時劣化が起こりにくくなる。
【0103】
なお、ポリシリコンゲート456全体が、p型ポリシリコンから構成されている。この場合においても、ポリシリコンゲート456に含まれるp型不純物濃度は、1×1017cm-3以下であることが好ましい。
【0104】
【0105】
まず、
図12Aに示すように、半導体基板6、素子分離部11、n型埋め込み層14、p型ウェル21、n型ウェル31、p型ウェル41、p型ウェル51、チャネル領域45,55用のn型不純物拡散領域345,355、フィールド絶縁膜12およびゲート絶縁膜13を含む半導体装置が製造される。半導体基板6は、ベース基板61と、ベース基板61上に形成されたn型n型エピタキシャル層62とからなる。
【0106】
次に、
図12Bに示すように、ノンドープのポリシリコン膜81が、半導体基板6における第1主面62a側の表面全域に形成される。
【0107】
次に、
図12Cに示すように、ポリシリコン膜81上に、ポリシリコンゲート456の形成予定領域を含みかつ当該形成予定領域の両側のフィールド絶縁膜12それぞれの一部を含む領域に対向する領域に開口84aを有するレジスト膜84が形成される。そして、レジスト膜84を介してp型不純物イオン(たとえば、B
+イオン)がポリシリコン膜81に注入される。この後、レジスト膜84が除去される。これにより、ポリシリコン膜81における開口84aに対向する部分は、p型ポリシリコンから構成されることになる。
【0108】
次に、ポリシリコン膜81が、フォトリソグラフィによってパターニングされる。これにより、
図12Dに示すように、ポリシリコンゲート426,436,446に対応したノンドープゲート326,336,346と、ポリシリコンゲート456に対応したp型ゲート356Aが形成される。
【0109】
次に、
図12Eに示すように、n型エピタキシャル層62に、n型不純物イオン(たとえば、P
+イオン)が注入されることにより、n型低濃度層28,29,48,49がノンドープゲート326,346に自己整合的に形成されるとともに、n型低濃度層58,59がp型ゲート356Aに自己整合的に形成される。また、n型エピタキシャル層62に、p型不純物イオン(たとえば、B
+イオン)が注入されることにより、p型低濃度層38,39がノンドープゲート336に自己整合的に形成される。なお、低濃度層28,29,38,39,48,49,58,59の形成のために、イオンが注入される際には、p型ゲート356Aはレジスト膜(図示略)によって覆われる。
【0110】
次に、CVD法によって、半導体基板6における第1主面62a側の表面全域に、酸化シリコン膜等の絶縁膜が形成された後、その絶縁膜がドライエッチングによってエッチバックされる。このエッチバックが、各ノンドープゲート326,336,346およびp型ゲート356Aが露出するまで行われることにより、それらの両側面にサイドウォール27,37,47,57が形成される。
【0111】
次に、
図12Fに示すように、各p型バックゲート領域24,44,54の形成予定領域と、p型ソース領域32の形成予定領域と、ノンドープゲート336と、サイドウォール37と、p型ドレイン領域33の形成予定領域と、p型ゲート356Aの上面におけるその両側部を除いた領域とを覆うように、レジスト膜85が形成される。
【0112】
そして、当該レジスト膜85を介して、n型不純物イオン(たとえば、P+イオン)が、ノンドープゲート326,346と、p型ゲート356Aの両側部と、n型エピタキシャル層62に注入される。この後、レジスト膜85が除去される。
【0113】
これにより、
図12Gに示すように、n型ソース領域22,42,52と、n型ドレイン領域23,43,53と、n型バックゲート領域34と、n型のポリシリコンゲート26,46と、n型部分471およびp型部分472を有するポリシリコンゲート456とが形成される。
【0114】
次に、
図12Hに示すように、各n型ソース領域22,42,52と、各n型ドレイン領域23,43,53と、n型バックゲート領域34と、n型のポリシリコンゲート26,46およびそれらのサイドウォール27,47と、ポリシリコンゲート456およびそのサイドウォール57とを覆うように、レジスト膜86が形成される。そして、当該レジスト膜86を介して、p型不純物イオン(たとえば、B
+イオン)が、ノンドープゲート336およびn型エピタキシャル層62に注入される。この後、レジスト膜86が除去される。
【0115】
これにより、p型のポリシリコンゲート36、p型ソース領域32、p型ドレイン領域33およびp型バックゲート領域24,44,54が形成される。これにより、
図10に示すような半導体装置401が得られる。
【0116】
図13は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置501を示す断面図であり、
図2に対応する断面図である。
図13において、
図2の各部に対応する部分には、
図2と同じ符号を付して示す。
【0117】
第1変形例に係る半導体装置501(以下、「第1変形例501」という。)では、半導体基板6の構成および内部構造が第1実施形態に係る半導体装置1と異なっている。
【0118】
第1変形例501では、半導体基板6は、ベース基板61と、p型エピタキシャル層63と、n型領域65と、n型領域66とを含む。p型エピタキシャル層63は、ベース基板61とは反対側の第1主面63aと、その反対側の第2主面63bとを有している。
【0119】
p型エピタキシャル層63は、半導体基板6上に形成されている。CMOS領域7において、n型埋め込み層14は、ベース基板61とp型エピタキシャル層63との境界を跨ぐように形成されている。Ref回路領域8において、n型埋め込み層14は、ベース基板61とp型エピタキシャル層63との境界を跨ぐように形成されている。
【0120】
n型領域65は、CMOS領域7においてp型エピタキシャル層63の表層領域であってn型埋め込み層14の上方に形成されている。n型領域66は、Ref回路領域8においてp型エピタキシャル層63の表層領域であってn型埋め込み層14の上方に形成されている。素子分離部11は、p型エピタキシャル層63によって形成されている。
【0121】
n型領域65の表層領域にp型ウェル21およびn型ウェル31が形成され、n型領域66の表層領域にp型ウェル41およびp型ウェル51が形成されている。
【0122】
第1変形例501における半導体基板6の構成および内部構造は、第2実施形態に係る半導体装置401に対しても適用することができる。
【0123】
図14は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置601を示す断面図であり、
図2に対応する断面図である。
図14において、
図2の各部に対応する部分には、
図2と同じ符号を付して示す。
【0124】
第2変形例に係る半導体装置601(以下、「第2変形例601」という。)では、半導体基板6の構成および内部構造が第1実施形態に係る半導体装置1と異なっている。
【0125】
第2変形例601では、半導体基板6は、ベース基板61と、ベース基板61上に形成されたp型エピタキシャル層67とを含む。p型エピタキシャル層67は、ベース基板61とは反対側の第1主面67aと、その反対側の第2主面67bとを有している。
【0126】
CMOS領域7において、p型エピタキシャル層67の厚さ中間部には、ディープn型ウェル(DNW)91が形成されている。CMOS領域7において、ディープn型ウェル91とp型エピタキシャル層67の第1主面67aとの間の領域に、p型ウェル21および、n型ウェル31が形成されている。
【0127】
また、ディープn型ウェル91とp型エピタキシャル層67の第1主面67aとの間の領域には、p型ウェル21におけるn型ウェル31とは反対側の側面を覆うn型領域92が形成されている。
【0128】
Ref回路領域8において、p型エピタキシャル層67の厚さ中間部には、ディープn型ウェル(DNW)93が形成されている。Ref回路領域8において、ディープn型ウェル93とp型エピタキシャル層67の第1主面67aとの間の領域に、p型ウェル41およびp型ウェル51が形成されている。
【0129】
また、ディープn型ウェル93とp型エピタキシャル層67の第1主面67aとの間の領域には、p型ウェル41におけるp型ウェル51とは反対側の側面を覆うn型領域94と、p型ウェル41とp型ウェル51の間に形成されたn型領域95と、p型ウェル51におけるp型ウェル41とは反対側の側面を覆うn型領域96とが形成されている。
【0130】
第2変形例601における半導体基板6の構成および内部構造は、第2実施形態に係る半導体装置401に対しても適用することができる。
【0131】
図15は、第1実施形態の第3変形例に係る半導体装置701を示す断面図であり、
図2に対応する断面図である。
図15において、
図2の各部に対応する部分には、
図2と同じ符号を付して示す。
【0132】
第3変形例に係る半導体装置701(以下、「第3変形例701」という。)では、半導体基板6の構成および内部構造が第1実施形態に係る半導体装置1と異なっている。
【0133】
第2変形例601では、半導体基板6は、p型半導体基板68のみから構成されている。p型半導体基板68は、p型ウェル21,41,51およびn型ウェル31が形成されている第1主面68aと、その反対側の第2主面68bとを有している。
【0134】
CMOS領域7において、p型半導体基板68(半導体基板6)の厚さ中間部には、ディープn型ウェル(DNW)91が形成されている。CMOS領域7において、ディープn型ウェル91とp型半導体基板68の第1主面68aとの間の領域に、p型ウェル21および、n型ウェル31が形成されている。
【0135】
また、ディープn型ウェル91とp型半導体基板68の第1主面68aとの間の領域には、p型ウェル21におけるn型ウェル31とは反対側の側面を覆うn型領域92が形成されている。
【0136】
Ref回路領域8において、p型半導体基板68の厚さ中間部には、ディープn型ウェル(DNW)93が形成されている。Ref回路領域8において、ディープn型ウェル93とp型半導体基板68の第1主面68aとの間の領域に、p型ウェル41およびp型ウェル51が形成されている。
【0137】
また、ディープn型ウェル93とp型半導体基板68の第1主面68aとの間の領域には、p型ウェル41におけるp型ウェル51とは反対側の側面を覆うn型領域94と、p型ウェル41とp型ウェル51の間に形成されたn型領域95と、p型ウェル51におけるp型ウェル41とは反対側の側面を覆うn型領域96とが形成されている。
【0138】
第3変形例701における半導体基板6の構成および内部構造は、第2実施形態に係る半導体装置401に対しても適用することができる。
【0139】
以上、第1実施形態、第2実施形態、第1変形例、第2変形例および第3変形例について説明したが、本開示は他の形態でも実施することができる。
【0140】
前述の第1実施形態では、エンハンスメント型MOSFET5のポリシリコンゲート56は、両側部のn型部分71と、これらの間のノンドープ部分72とを含む。両側部のn型部分71が形成されている理由について説明する。
【0141】
エンハンスメント型MOSFET5のn型ソース領域52およびn型ドレイン領域53を形成するには、
図16の左側に示すように、ノンドープゲート356上にレジスト膜82(
図9F参照)が形成される。そして、このレジスト膜82を介して、n型不純物イオン(たとえば、P
+イオン)がp型ウェル51に注入される。
【0142】
この際、レジスト膜82の一側または両側がサイドウォール57よりも外側に突出して形成された場合には、n型ソース領域22およびn型ドレイン領域23の一方また両方がサイドウォール27に対して自己整合的に形成されなくなる。そうすると、エンハンスメント型MOSFET5の特性が変化してしまう。
【0143】
そこで、レジスト膜82の両側がサイドウォール57よりも外側に突出しないようにするために、
図16の左側に示すように、レジスト膜82は、その両側が、ポリシリコンゲート56の上面の対応する両側よりも内方に後退するように形成される。このようにすると、
図16の右側に示すように、n型ソース領域22およびn型ドレイン領域23がサイドウォール27に対して自己整合的に形成されるので、エンハンスメント型MOSFET5の特性にばらつきが生じにくくなる。このような理由から、ポリシリコンゲート56の両側部には、n型部分71が形成される。
【0144】
第1実施形態に係る半導体装置1において、ポリシリコンゲート56の両側部にn型部分71が形成されないようにしてもよい。つまり、ポリシリコンゲート56の全体がノンドープポリシリコンから構成されてもよい。このような構成にするためには、エンハンスメント型MOSFET5の構造を次のような構造にすることが好ましい。
【0145】
例えば、
図17に示すように、ゲート絶縁膜13の両側にゲート絶縁膜13よりも膜厚が厚いゲート絶縁膜801,802を形成する。ゲート絶縁膜801の一端は、ゲート絶縁膜13におけるn型ソース領域52側の側縁に接続され、ゲート絶縁膜801の他端は、n型ソース領域52側のサイドウォール57を所定長さだけ超えたところまで延びている。同様に、ゲート絶縁膜802の一端は、ゲート絶縁膜13におけるn型ドレイン領域53側の側縁に接続され、ゲート絶縁膜802の他端は、n型ドレイン領域53側のサイドウォール57を前記所定長さだけ超えたところまで延びている。ノンドープゲート356は、その両側部がそれぞれ対応する側のゲート絶縁膜801,802上に乗り上がるように形成されている。
【0146】
エンハンスメント型MOSFET5のn型ソース領域52およびn型ドレイン領域53を形成するには、レジスト膜82の両側が、対応する側のサイドウォール57の外側縁と、対応する側のゲート絶縁膜801,802の外側縁との間に位置するように、レジスト膜82が形成される。このレジスト膜82を介してn型不純物イオン(たとえば、P+イオン)がp型ウェル51に注入される。
【0147】
この場合、ノンドープゲート356全体がレレジスト膜82によって覆われているので、ノンドープゲート356の両側部にn型部分71は形成されない。また、この場合、n型ソース領域52およびn型ドレイン領域53が、ゲート絶縁膜801,802に対して自己整合的に形成されるので、エンハンスメント型MOSFET5の特性にばらつきが生じにくい。
【0148】
なお、
図18に示すように、
図17のゲート絶縁膜801,802に代えてLOCOS(Local oxidation of silicon)酸化膜803,804を形成するようにしてもよい。また、
図19に示すように、
図18のゲート絶縁膜801,802に代えてSTI(Shallow Trench Isolation) 酸化膜805,806を形成するようにしてもよい。
【0149】
図18、
図19および
図20の構成は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置401に対しても適用することができる。
【0150】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本開示の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本開示はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本開示の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0151】
この明細書および図面の記載から以下に付記する特徴が抽出され得る。
【0152】
[付記1-1]
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域にp型領域(51)を有する半導体層(62)と、
前記p型領域(51)の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域(52)およびn型のドレイン領域(53)と、
前記ソース領域(52)および前記ドレイン領域(53)の間に形成されたチャネル領域(55)と、
前記チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜(13)と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲート(56)とを含み、
前記ポリシリコンゲート(56)は、少なくともその主要部(72)が、ノンドープポリシリコンから構成されている、エンハンスメント型MOSFET(5)。
【0153】
[付記1-2]
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域にp型領域(51)を有する半導体層(62)と、
前記p型領域(51)の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型のソース領域(52)およびn型のドレイン領域(53)と、
前記ソース領域(52)および前記ドレイン領域(53)の間に形成されたチャネル領域(55)と、
前記チャネル領域上に配置されたゲート絶縁膜(13)と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコンゲート(456)とを含み、
前記ポリシリコンゲート(456)は、少なくともその主要部に、p型ポリシリコンからなるp型部分(472)を含み、
前記p型部分(472)のp型不純物濃度が1×1017cm-3以下である、エンハンスメント型MOSFET(405)。
【0154】
[付記1-3]
前記チャネル領域(55)は、n型不純物を含む、[付記1-1]または[付記1-2]に記載のエンハンスメント型MOSFET(5,405)。
【0155】
[付記1-4]
前記ポリシリコンゲート(56,456)は、その両側部に、n型ポリシリコンからなるn型部分(71,471)を含む、[付記1-1]~[付記1-3]のいずれかに記載のエンハンスメント型MOSFET(5,405)。
【0156】
[付記1-5]
前記p型領域(51)の表層領域において、前記ソース領域(52)と前記ポリシリコンゲート(56,456)との間および前記ドレイン領域(53)と前記ポリシリコンゲート(56,456)との間に、前記ソース領域(52)および前記ドレイン領域(53)よりもn型不純物濃度が低い2つのn型低濃度領域(58,59)を含み、
前記チャネル領域(55)は、前記2つのn型低濃度領域(58,59)の間領域に形成されている、[付記1-1]~[付記1-4]のいずれかに記載のエンハンスメント型MOSFET(5,405)。
【0157】
[付記1-6]
前記ポリシリコンゲート(56,456)の両側面を覆う、絶縁物からなるサイドウォール(57)をさらに含む、[付記1-1]~[付記1-5]のいずれかに記載のエンハンスメント型MOSFET(5,405)。
【0158】
[付記1-7]
前記2つのn型低濃度領域(58,59)は、前記サイドウォール(57)の直下の領域に形成されている、[付記1-6]に記載のエンハンスメント型MOSFET(5,405)。
【0159】
[付記1-8]
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域に互いに間隔を空けて形成された第1p型領域(41)および第2p型領域(42)を有する半導体層(62)と、デフレッション型MOSFET(4)と、エンハンスメント型MOSFET(5)とを含み、
前記デフレッション型MOSFET(4)は、
前記第1p型領域(41)の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第1ソース領域(42)およびn型の第1ドレイン領域(43)と、
前記第1ソース領域(42)および前記第1ドレイン領域(43)の間に形成された第1チャネル領域(45)と、
前記第1チャネル領域上に配置された第1ゲート絶縁膜(13)と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、p型不純物を含む第1ポリシリコンゲート(46)とを含み、
前記エンハンスメント型MOSFET(5)は、
前記第2p型領域(51)の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第2ソース領域(52)およびn型の第2ドレイン領域(53)と、
前記第2ソース領域(52)および前記第2ドレイン領域(53)の間に形成され、前記第1チャネル領域(45)と同じ不純物濃度を有する第2チャネル領域(55)と、
前記第2チャネル領域上に配置された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ポリシリコンゲート(56)とを含み、
前記第2ポリシリコンゲート(56)は、少なくともその主要部(72)が、ノンドープポリシリコンから構成されている、半導体装置(1)。
【0160】
[付記1-9]
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、前記第1主面側の表層領域に互いに間隔を空けて形成された第1p型領域(41)および第2p型領域(42)を有する半導体層(62)と、デフレッション型MOSFET(4)と、エンハンスメント型MOSFET(5)とを含み、
前記デフレッション型MOSFET(4)は、
前記第1p型領域(41)の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第1ソース領域(42)およびn型の第1ドレイン領域(43)と、
前記第1ソース領域(42)および前記第1ドレイン領域(43)の間に形成された第1チャネル領域(45)と、
前記第1チャネル領域上に配置された第1ゲート絶縁膜(13)と、
前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、p型不純物を含む第1ポリシリコンゲート(46)とを含み、
前記エンハンスメント型MOSFET(405)は、
前記第2p型領域(51)の表層領域に互いに間隔を空けて形成されたn型の第2ソース領域(52)およびn型の第2ドレイン領域(53)と、
前記第2ソース領域(52)および前記第2ドレイン領域(53)の間に形成され、前記第1チャネル領域(45)と同じ不純物濃度を有する第2チャネル領域(55)と、
前記第2チャネル領域(55)上に配置された第2ゲート絶縁膜(13)と、
前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ポリシリコンゲート(456)とを含み、
前記第2ポリシリコンゲート(456)は、少なくともその主要部に、p型ポリシリコンからなるp型部分(472)を含み、
前記p型部分(472)のp型不純物濃度が1×1017cm-3以下である、半導体装置(401)。
【0161】
[付記1-10]
前記第2ポリシリコンゲート(56,456)は、その両側部に、n型ポリシリコンからなるn型部分(71,471)を含む、[付記1-8]または[付記1-9]に記載の半導体装置。
【0162】
[付記1-11]
前記第2p型領域(51)の表層領域において、前記第2ソース領域(52)と前記第2ポリシリコンゲート(56,456)との間および前記第2ドレイン領域(53)と前記第2ポリシリコンゲート(56,456)との間に、前記第2ソース領域(52)および前記第2ドレイン領域(53)よりもn型不純物濃度が低い2つの第2n型低濃度領域(58,59)を含み、
前記第2チャネル領域(55)は、前記2つの第2n型低濃度領域(58,59)の間領域に形成されている、[付記1-8]~[付記1-10]のいずれかに記載の半導体装置。
【0163】
[付記1-12]
前記第2ポリシリコンゲート(56,456)の両側面を覆う、絶縁物からなる第2サイドウォール(57)をさらに含む、[付記1-11]に記載の半導体装置。
【0164】
[付記1-13]
前記2つの第2n型低濃度領域(58,59)は、前記第2サイドウォール(57)の直下の領域に形成されている、[付記1-12]に記載の半導体装置。
【0165】
[付記1-14]
前記第1p型領域(41)の表層領域において、前記第1ソース領域(42)と前記第1ポリシリコンゲート(46)との間および前記第1ドレイン領域(43)と前記第1ポリシリコンゲート(46)との間に、前記第1ソース領域(42)および前記第1ドレイン領域(43)よりもn型不純物濃度が低い2つの第1n型低濃度領域(48,49)を含み、
前記第1チャネル領域(45)は、前記2つの第1n型低濃度領域(48,49)の間領域に形成されている、[付記1-8]~[付記1-10]のいずれかに記載の半導体装置。
【0166】
[付記1-15]
前記第1ポリシリコンゲート(46)の両側面を覆う、絶縁物からなる第1サイドウォール(47)をさらに含む、[付記1-14]に記載の半導体装置。
【0167】
[付記1-16]
前記2つの第1n型低濃度領域(48,49)は、前記第1サイドウォール(47)の直下の領域に形成されている、[付記1-15]に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0168】
1,101,201,401,501,601,701 半導体装置
2 基準電圧発生回路
3 増幅回路
4 デプレッション型MOSFET
5,105,205,405 エンハンスメント型MOSFET
6 半導体基板
7 CMOS領域
8,108,208 Ref回路領域
9 n型MOSFET
10 p型MOSFET
11 素子分離部
12 フィールド絶縁膜
13 ゲート絶縁膜
14 n型埋め込み層
21 p型ウェル
22 n型ソース領域
23 n型ドレイン領域
24 p型バックゲート領域
25 チャネル領域
26 ポリシリコンゲート
27 サイドウォール
28 n型低濃度層
29 n型低濃度層
31 n型ウェル
32 p型ソース領域
33 p型ドレイン領域
34 n型バックゲート領域
35 チャネル領域
36 ポリシリコンゲート
37 サイドウォール
38 p型低濃度層
39 p型低濃度層
41 p型ウェル
42 n型ソース領域
43 n型ドレイン領域
44 p型バックゲート領域
45 チャネル領域
46 ポリシリコンゲート
47 サイドウォール
48 n型低濃度層
49 n型低濃度層
51 p型ウェル
52 n型ソース領域
53 n型ドレイン領域
54 p型バックゲート領域
55,155 チャネル領域
56,156,256,456 ポリシリコンゲート
57 サイドウォール
58 n型低濃度層
59 n型低濃度層
61 ベース基板
62 エピタキシャル層
63 p型エピタキシャル層
65,66 n型領域
67 p型エピタキシャル層
68 p型半導体基板
71 n型部分
72 ノンドープ部分
81 ポリシリコン膜
82,83,84,85,86 レジスト膜
63 p型エピタキシャル層
65,66 n型領域
67 p型エピタキシャル層
68 p型半導体基板
91,93 ディープn型ウェル
92,94,95,96 n型領域
271 n型部分
272 p型部分
326,336,346,356 ノンドープゲート
356A p型ゲート
471 n型部分
472 p型部分
801,802 ゲート絶縁膜
803,804 LOCOS酸化膜
805,806 STI酸化膜