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特開2024-121440扉開閉装置、これを備えた処理装置、及び扉開閉方法
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  • 特開-扉開閉装置、これを備えた処理装置、及び扉開閉方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121440
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】扉開閉装置、これを備えた処理装置、及び扉開閉方法
(51)【国際特許分類】
   F27D 1/18 20060101AFI20240830BHJP
   F27B 5/06 20060101ALI20240830BHJP
   A23L 3/10 20060101ALN20240830BHJP
【FI】
F27D1/18 N
F27B5/06
A23L3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028557
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】櫛部 光央
(72)【発明者】
【氏名】三堂 由健
【テーマコード(参考)】
4B021
4K051
4K061
【Fターム(参考)】
4B021LT04
4K051AA03
4K051AB07
4K051MB13
4K061AA01
4K061GA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開閉扉を停止位置に精度良く停止させることが可能な扉開閉装置を提供する。
【解決手段】処理槽本体の開口部に設けられた開閉扉を開閉する扉開閉装置4であって、開閉駆動手段40と、減速位置検知手段41と、停止位置検知手段42と、減速位置被検知部43と、停止位置被検知部43と、制御手段とを備え、開閉駆動手段40は、開閉扉をスライド移動させて停止位置に停止させるよう構成され、減速位置検知手段41は、処理槽本体側と開閉扉側のいずれか一方に設置されるとともに、開閉扉を停止位置までスライド移動させるスライド動作中において、開閉扉が停止位置に到達する手前の位置である減速位置に到達したことを検知するよう構成され、停止位置検知手段42は、処理槽本体側と開閉扉側のいずれか一方に設置されるとともに、スライド動作中において開閉扉が停止位置に到達したことを検知するよう構成される、扉開閉装置4が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽本体の開口部に設けられた開閉扉を開閉する扉開閉装置であって、
開閉駆動手段と、減速位置検知手段と、停止位置検知手段と、減速位置被検知部と、停止位置被検知部と、制御手段とを備え、
前記開閉駆動手段は、前記開閉扉をスライド移動させて停止位置に停止させるよう構成され、
前記減速位置検知手段は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか一方に設置されるとともに、前記開閉扉を前記停止位置までスライド移動させるスライド動作中において、前記開閉扉が前記停止位置に到達する手前の位置である減速位置に到達したことを検知するよう構成され、
前記停止位置検知手段は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側の前記いずれか一方に設置されるとともに、前記スライド動作中において前記開閉扉が前記停止位置に到達したことを検知するよう構成され、
前記減速位置被検知部は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか他方に設置されるとともに、前記減速位置において前記減速位置検知手段に検知されるよう構成され、
前記停止位置被検知部は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側の前記いずれか他方に設置されるとともに、前記減速位置において前記停止位置検知手段に検知されるよう構成されており、
前記制御手段は、前記開閉駆動手段による前記スライド動作を制御するとともに、前記減速位置検知手段の検知信号に基づいて前記開閉扉を減速させ、前記停止位置検知手段の検知信号に基づいて前記開閉扉を停止させる、扉開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の扉開閉装置であって、
前記減速位置被検知部は、前記スライド動作中において、前記開閉扉が前記減速位置に到達してから前記停止位置に到達するまで、前記減速位置検知手段に検知されるよう構成される、扉開閉装置。
【請求項3】
請求項2に記載の扉開閉装置であって、
前記減速位置被検知部は、前記開閉扉の開閉方向に沿って伸びるよう構成される、扉開閉装置。
【請求項4】
請求項3に記載の扉開閉装置であって、
前記減速位置検知手段は、第1発光部と第1受光部とを備え、
前記停止位置検知手段は、第2発光部と第2受光部とを備えており、
前記減速位置被検知部は、前記第1発光部と前記第1受光部の間を通過するよう配置され、
前記停止位置被検知部は、前記第2発光部と前記第2受光部の間を通過するよう配置される、扉開閉装置。
【請求項5】
請求項4に記載の扉開閉装置であって、
前記減速位置被検知部及び前記停止位置被検知部はジグとして一体的に形成されている、扉開閉装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の扉開閉装置であって、
前記減速位置検知手段及び前記停止位置検知手段は、前記処理槽本体側に設置され、
前記減速位置被検知部及び前記停止位置被検知部は前記開閉扉側に設置される、扉開閉装置。
【請求項7】
処理槽内において被処理物を処理する処理装置であって、
前記処理槽は、前記被処理物を収容する前記処理槽本体と、当該処理槽本体の前記開口部を開閉する前記開閉扉とを備え、
請求項1~請求項5のいずれかに記載の扉開閉装置をさらに備えた、処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の処理装置であって、
前記開閉扉は、前記停止位置において、前記開口部を密閉可能に構成される、処理装置。
【請求項9】
処理槽本体の開口部に設けられた開閉扉を開閉する扉開閉方法であって、
前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか一方には、前記開閉扉が停止位置に到達する手前の位置である減速位置に到達したことを検知する減速位置検知手段と、前記開閉扉が前記停止位置に到達したことを検知する停止位置検知手段が設置され、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか他方には、前記減速位置において前記減速位置検知手段に検知される減速位置被検知部と、前記停止位置において前記停止位置検知手段に検知される停止位置被検知部が設置されており、
前記開閉扉を前記停止位置までスライド移動させるスライド動作中において、前記減速位置検知手段が前記減速位置被検知部を検知したことを示す検知信号に基づいて前記開閉扉を減速させ、前記停止位置検知手段が前記停止位置被検知部を検知したことを示す検知信号に基づいて前記開閉扉を停止させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理物の加熱処理や冷却処理等に用いられる処理装置の扉開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理槽内に被処理物を収容して加熱や冷却等の処理を行う処理装置がある。例えば、特許文献1には、被処理物を殺菌装置内(処理槽内)に搬入し、処理槽の出入口(開口部)を上下方向にスライド移動可能な蓋(開閉扉)により閉止した状態で処理槽内において処理を行う処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭62-025674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される開閉扉には、扉が閉止されたことを検知するセンサのみが設けられており、開閉扉を停止位置に精度良く停止させることができないおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、開閉扉を停止位置に精度良く停止させることが可能な扉開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]処理槽本体の開口部に設けられた開閉扉を開閉する扉開閉装置であって、開閉駆動手段と、減速位置検知手段と、停止位置検知手段と、減速位置被検知部と、停止位置被検知部と、制御手段とを備え、前記開閉駆動手段は、前記開閉扉をスライド移動させて停止位置に停止させるよう構成され、前記減速位置検知手段は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか一方に設置されるとともに、前記開閉扉を前記停止位置までスライド移動させるスライド動作中において、前記開閉扉が前記停止位置に到達する手前の位置である減速位置に到達したことを検知するよう構成され、前記停止位置検知手段は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側の前記いずれか一方に設置されるとともに、前記スライド動作中において前記開閉扉が前記停止位置に到達したことを検知するよう構成され、前記減速位置被検知部は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか他方に設置されるとともに、前記減速位置において前記減速位置検知手段に検知されるよう構成され、前記停止位置被検知部は、前記処理槽本体側と前記開閉扉側の前記いずれか他方に設置されるとともに、前記減速位置において前記停止位置検知手段に検知されるよう構成されており、前記制御手段は、前記開閉駆動手段による前記スライド動作を制御するとともに、前記減速位置検知手段の検知信号に基づいて前記開閉扉を減速させ、前記停止位置検知手段の検知信号に基づいて前記開閉扉を停止させる、扉開閉装置。
[2][1]に記載の扉開閉装置であって、前記減速位置被検知部は、前記スライド動作中において、前記開閉扉が前記減速位置に到達してから前記停止位置に到達するまで、前記減速位置検知手段に検知されるよう構成される、扉開閉装置。
[3][2]に記載の扉開閉装置であって、前記減速位置被検知部は、前記開閉扉の開閉方向に沿って伸びるよう構成される、扉開閉装置。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の扉開閉装置であって、前記減速位置検知手段は、第1発光部と第1受光部とを備え、前記停止位置検知手段は、第2発光部と第2受光部とを備えており、前記減速位置被検知部は、前記第1発光部と前記第1受光部の間を通過するよう配置され、前記停止位置被検知部は、前記第2発光部と前記第2受光部の間を通過するよう配置される、扉開閉装置。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の扉開閉装置であって、前記減速位置被検知部及び前記停止位置被検知部はジグとして一体的に形成されている、扉開閉装置。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の扉開閉装置であって、前記減速位置検知手段及び前記停止位置検知手段は、前記処理槽本体側に設置され、前記減速位置被検知部及び前記停止位置被検知部は前記開閉扉側に設置される、扉開閉装置。
[7]処理槽内において被処理物を処理する処理装置であって、前記処理槽は、前記被処理物を収容する前記処理槽本体と、当該処理槽本体の前記開口部を開閉する前記開閉扉とを備え、[1]~[5]のいずれかに記載の扉開閉装置をさらに備えた、処理装置。
[8][7]に記載の処理装置であって、前記開閉扉は、前記停止位置において、前記開口部を密閉可能に構成される、処理装置。
[9]処理槽本体の開口部に設けられた開閉扉を開閉する扉開閉方法であって、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか一方には、前記開閉扉が停止位置に到達する手前の位置である減速位置に到達したことを検知する減速位置検知手段と、前記開閉扉が前記停止位置に到達したことを検知する停止位置検知手段が設置され、前記処理槽本体側と前記開閉扉側のいずれか他方には、前記減速位置において前記減速位置検知手段に検知される減速位置被検知部と、前記停止位置において前記停止位置検知手段に検知される停止位置被検知部が設置されており、前記開閉扉を前記停止位置までスライド移動させるスライド動作中において、前記減速位置検知手段が前記減速位置被検知部を検知したことを示す検知信号に基づいて前記開閉扉を減速させ、前記停止位置検知手段が前記停止位置被検知部を検知したことを示す検知信号に基づいて前記開閉扉を停止させる、方法。
【0007】
本発明によれば、スライド動作中において、減速位置検知手段の検知信号に基づいて開閉扉を減速させてから停止位置検知手段の検知信号に基づいて開閉扉を停止させるため、開閉扉を停止位置に精度よく停止させることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の位置実施形態に係る殺菌装置1を模式的に示す側面図である。
図2図2Aは、図1の殺菌装置1の開閉扉3を開いた様子を示す正面図であり、図2Bは、同殺菌装置1の開閉扉3を閉じた様子を示す正面図である。
図3図1の殺菌装置1の扉開閉装置4が備える減速位置検知手段41、閉位置検知手段42及びジグ43を示す斜視図である。
図4】開閉扉3がスライド移動する際の減速位置検知手段41、閉位置検知手段42及びジグ43の位置関係を示す説明図である。
図5】比較例において、開閉扉3がスライド移動する際の減速位置検知手段41、閉位置検知手段42及びジグ43の位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.殺菌装置1の構成
本発明の一実施形態に係る処理装置としての殺菌装置1は、搬送ラックRに積載された被処理物を加熱殺菌するための装置である。被処理物の種類は特に問わないが、食品、特に缶詰、レトルトパウチ食品、成形容器食品、瓶詰食品等の容器包装詰食品に好適に用いられる。
【0011】
本実施形態の殺菌装置1は、図1及び図2に示すように、処理槽本体2と、開閉扉3と、扉開閉装置4とを備える。以下、各構成について具体的に説明する。
【0012】
処理槽本体2は、図1及び図2に示すように、円筒状の容器であり、内部に被処理物が積載された複数の搬送ラックRを収納可能に構成される。処理槽本体2は、その長手方向の一端側に搬送ラックRを搬入する開口部20を備える。また、処理槽本体2の内部には、搬送ラックRを搬送するための搬送手段21が設けられている。なお、処理槽本体2に収容可能な搬送ラックRの個数は、図示の2つに限られず、1つだけであっても、3つ以上であっても良い。また、搬送ラックRを用いずに、直接被処理物を搬入するものであっても良い。
【0013】
開閉扉3は、扉開閉装置4により上下方向にスライド移動可能とされ、処理槽本体2の開口部20を開放及び閉止可能に構成される。開閉扉3は、処理槽本体2とは反対側が球面状に形成されている。また、図2A及び図2Bに示すように、開閉扉3の球面状の部分には、一対のアーム部30が固定される。一対のアーム部30は、開閉扉3の左右両側から水平方向にそれぞれ延びるよう形成される。
【0014】
扉開閉装置4は、開閉扉3を図2Aに示す開位置と図2Bに示す停止位置としての閉位置との間で開閉させる装置である。以下、扉開閉装置4の構成及び動作について、詳細に説明する。
【0015】
2.扉開閉装置4の構成
扉開閉装置4は、具体的には、開閉駆動手段40と、減速位置検知手段41と、停止位置検知手段としての閉位置検知手段42と、減速位置被検知部及び停止位置被検知部としてのジグ43と、制御手段44とを備える。
【0016】
開閉駆動手段40は昇降モータ40aの駆動力により、開閉扉3を一対の昇降ガイド40bに沿うようスライド移動させる。具体的には、開閉駆動手段40は、昇降モータ40aと、一対の昇降ガイド40bと、駆動軸40cと、一対のボールねじ40d(図3参照)と、一対のボールナット40e(図3参照)とを備える。ここで、各昇降ガイド40bは、上下方向に延在するよう配置され、内部にボールねじ40dを支持する。また、各ボールナット40eは、開閉扉3のアーム部30を支持する。なお、図3ではボールナット40eを模式的に表しており、アーム部30との接続部分についても省略している。そして、昇降モータ40aの駆動力が駆動軸40cを介して各ボールねじ40dに伝達され、ボールねじ40dの回転によりボールナット40eが上下することで、開閉扉3がスライド移動するようになっている。
【0017】
加えて、開閉扉3が閉位置に移動した際に、開閉扉3を処理槽本体2に向かって水平移動させるような機構や、開閉扉3をロックする機構を有していることも好適である。ただし、本実施形態において、水平移動させる前とさせた後、ロックする前と後の開閉扉3は、全て「閉位置(停止位置)」にあるとみなすことができる。
【0018】
なお、開閉駆動手段40は、開閉扉3を開閉可能であればどのような構成であってもよく、従来既知の任意の構成を適用することができる。
【0019】
減速位置検知手段41は、開閉扉3を停止位置としての閉位置までスライド移動させるスライド動作中(閉動作中)において、開閉扉3が停止位置に到達する手前の位置である減速位置に到達したことを検知するよう構成される。本実施形態において、減速位置検知手段41は、処理槽本体2側、具体的には開閉扉3とともに動作しない側である開閉駆動手段40の昇降ガイド40bに設置される。また、本実施形態において、減速位置検知手段41は、第1発光部41aと第1受光部41bとを備え、第1発光部41aと第1受光部41bの間の光軸を減速位置被検知部としてのジグ43が遮ることでジグ43を検知する透過型の光電センサとされる。
【0020】
閉位置検知手段42は、開閉扉3を停止位置としての閉位置までスライド移動させるスライド動作中(閉動作中)において、開閉扉3が停止位置に到達したことを検知するよう構成される。本実施形態において、閉位置検知手段42は、減速位置検知手段41と同様、処理槽本体2側、具体的には開閉扉3とともに動作しない側である開閉駆動手段40の昇降ガイド40bに設置される。また、本実施形態において、閉位置検知手段42は、第2発光部42aと第2受光部42bとを備え、第2発光部42aと第2受光部42bの間の光軸を停止位置被検知部としてのジグ43が遮ることでジグ43を検知する透過型の光電センサとされる。
【0021】
なお、本実施形態の減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42は、閉動作中の開閉扉3の位置を検知するものであるため、減速位置検知手段41は閉位置検知手段42よりも上方に配置される。また、減速位置検知手段41と閉位置検知手段42の上下方向の距離は、開閉扉3の減速位置と閉位置の間の距離と一致する。ここで、開閉扉3の減速位置(減速を開始するべき位置)は、開閉扉3が停止位置において精度良く停止できるよう、開閉扉3の重量や昇降モータ40aの性能等に応じて適宜設定される。
【0022】
ジグ43は、減速位置被検知部として減速位置において減速位置検知手段41に検知され、且つ停止位置被検知部(閉位置被検知部)として閉位置において閉位置検知手段42に検知されるよう構成される。すなわち、本実施形態において、減速位置被検知部及び閉位置被検知部はジグ43として一体的に形成されていると言える。本実施形態において、ジグ43は、開閉扉3側、具体的には、図3に示すように、開閉扉3とともに動作する側であるボールナット40eに固定される。
【0023】
ジグ43の形状は、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42に検知される形状であれば任意であるが、例えば、図3に示すように、板状部材を上下方向に沿った折り目が2つ形成されるようジグザグに折り曲げることで構成することができる。この場合、ジグ43は折り曲げ方向に沿った一端側(基端側)においてボールナット40eに固定され、他端側(先端側)が減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42に検知される被検知部位43aとなる。
【0024】
本実施形態において、ジグ43の被検知部位43aは、減速位置検知手段41の第1発光部41aと第1受光部41bの間を通過するとともに、閉位置検知手段42の第2発光部42a及び第2受光部42bの間を通過するよう配置される。また、本実施形態では、ジグ43のうち、少なくとも被検知部位43aが、開閉扉3の開閉方向、すなわち上下方向に沿って伸びるよう構成される。具体的には、被検知部位43aの上下方向の長さは、減速位置検知手段41と閉位置検知手段42の上下方向の距離よりも長くなっている。また、被検知部位43aは、開閉扉3が閉位置となった際に、その下端側がちょうど閉位置検知手段42に検知されるとともに、上端側も減速位置検知手段41に検知されている状態となるよう位置決めされる(図3の位置関係参照)。このような配置により、本実施形態のジグ43(被検知部位43a)は、減速位置検知手段41に初めて検知されてから閉位置検知手段42に検知されるまでの間、常に減速位置検知手段41に検知され続けることにっている。
【0025】
制御手段44は、開閉駆動手段40による開閉扉3のスライド動作を制御するとともに、減速位置検知手段41の検知信号に基づいて開閉扉3を減速させ、閉位置検知手段42の検知信号に基づいて開閉扉3を停止させる。具体的には、制御手段44は、後述する所定の手順(プログラム)に従い、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42の検知信号に基づいて開閉駆動手段40の昇降モータ40aを制御するよう構成される。
【0026】
ここで、上記構成の制御手段44は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段44の上記各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段44の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。なお、制御手段44は、殺菌装置1自体の制御装置と一体的に構成することも好適である。
【0027】
3.扉開閉装置4の動作
次に、本実施形態の扉開閉装置4の動作について説明する。本実施形態の扉開閉装置4は、制御手段44の制御により動作する。制御手段44は、所定の手順(プログラム)に従い、開閉駆動手段40の昇降モータ40aを制御して、開閉扉3をスライド動作、具体的には、閉動作及び開動作させる。
【0028】
<閉動作>
以下、扉開閉装置4の閉動作、具体的には、開閉扉3を図2Aの開位置にある状態から図2Bの閉位置にある状態まで移動させる動作について説明する。
【0029】
まず、ユーザによる操作入力等により、開位置にある開閉扉3を閉止する指示を受け付けると、扉開閉装置4の制御手段44は、開閉駆動手段40の昇降モータ40aを一方向に駆動させる。すると、昇降モータ40aの駆動力が駆動軸40cを介して一対のボールねじ40dに伝達され、ボールねじ40dの回転によりボールナット40eが下方に移動することで、開閉扉3が閉方向にスライド移動する。
【0030】
ここで、本実施形態の扉開閉装置4は、閉動作中において開閉扉3が減速位置に到達したことを検知する減速位置検知手段41と、開閉扉3が閉位置に到達したことを検知する閉位置検知手段42と、これらに検知されるジグ43とを備えている。そして、ジグ43が減速位置検知手段41に検知されることで開閉扉3が減速位置に到達したことを検知すると、制御手段44は、減速位置検知手段41の検知信号に基づいて昇降モータ40aの回転速度を下げ、開閉扉3を減速させる。なお、ここでいう「減速」には、通常速度より遅い一定の速度で閉動作させることと、徐々に速度を減速させながら閉動作させることとを共に含むものとする。
【0031】
その後、開閉扉3が減速した状態で閉動作を継続し、ジグ43が閉位置検知手段42に検知されることで開閉扉3が閉位置に到達したことを検知すると、制御手段44は、閉位置検知手段42の検知信号に基づいて昇降モータ40aを停止させ、開閉扉3を停止させる。これにより、開閉扉3は閉位置で停止し、処理槽本体2の開口部20が閉止される。
【0032】
ところで、本実施形態において、ジグ43は、上下方向に沿って伸びるよう構成されており、減速位置検知手段41に初めて検知されてから閉位置検知手段42に検知されるまでの間、常に減速位置検知手段41に検知され続けるようになっている。具体的には、図4に示すように、段階(1)に示すジグ43が減速位置検知手段41に検知されていない状態から、閉動作により段階(2)に示す減速位置検知手段41に検知された状態に達すると、その後は段階(3)を経て段階(4)に示す閉位置検知手段42に検知される状態に至るまで、減速位置検知手段41は常にジグ43を検知し続けることになる。
【0033】
この点、比較例として、図5に示すジグ43'が上下方向に沿って伸びていない場合を検討する。この比較例の場合、図5の段階(2)においてジグ43'が減速位置検知手段41に検知されてから段階(4)に示す閉位置検知手段42に検知される状態に至るまでの間、段階(3)において、減速位置検知手段41がジグ43を検知しない状態が存在する。このような場合、もし段階(2)において減速位置検知手段41の不具合やノイズとの混同等によりジグ43'を検知できなかった場合、段階(1)の減速が不要な位置と段階(3)の減速する必要がある位置とを判別できなくなってしまう。また、段階(3)において、何らかの不具合により閉動作を緊急停止した場合も、その後閉動作を再開する場合に、開閉扉3を減速状態で動作させるべきか通常の速度で動作させるべきかの判断をすることができない。
【0034】
一方、本実施形態に係るジグ43は、減速位置検知手段41に初めて検知されてから閉位置検知手段42に検知されるまでの間、常に減速位置検知手段41に検知され続けるため、このような不具合を避け、開閉扉3を確実に減速させることが可能となっている。
【0035】
<開動作>
扉開閉装置4の開動作、具体的には、開閉扉3を図2Bの閉位置にある状態から図2Aの開位置にある状態まで移動させる動作は、上記とは逆に、扉開閉装置4の制御手段44が開閉駆動手段40の昇降モータ40aを他方向に駆動させることで実行される。開動作における各部材の作用については、閉動作に準じるため、その説明を省略する。
【0036】
なお、本実施形態の扉開閉装置4は、図示はしないが、開閉扉3が開位置に到達したことを検知し、開位置において開閉扉3を停止させるための停止位置検知手段としての開位置検知手段を設けることが好ましい。この場合、開位置において、上記ジグ43の上端側が開位置検知手段に検知されるようにすることが好適である。また、扉開閉装置4が、開動作中において開閉扉3が減速すべき位置に到達したことを検知する減速位置検知手段を別途設けることも好適である。ただし、殺菌装置1においては、開閉扉3の開位置は、その閉位置と比較して精度が要求されないため、開動作における減速位置検知手段は必須ではない。
【0037】
4.作用効果
(1)本実施形態の扉開閉装置4は、閉位置検知手段42に加えて減速位置検知手段41を備えており、制御手段44は、スライド動作中において、減速位置検知手段41の検知信号に基づいて開閉扉3を減速させてから閉位置検知手段42の検知信号に基づいて開閉扉3を停止させるよう構成されている。これにより、制御手段44が閉位置検知手段42の検知信号を取得してから、開閉駆動手段40の制御により開閉扉3を実際に停止させるまでに移動する距離を減少させることができ、開閉扉3を停止位置に精度よく停止させることが可能となっている。また、開閉扉3を停止させる前に減速させることから、開閉扉3が減速位置に到達する前は、閉動作を行う速度を従来より上げることも可能となる。
【0038】
(2)本実施形態のジグ43は、上下方向に沿って伸びるよう構成され、減速位置検知手段41に検知されてから閉位置検知手段42に検知されるまでの間、減速位置検知手段41に検知され続けるようになっている。これにより、減速位置を確実に検知するとともに、閉動作が途中で停止した後に再開した場合でも、開閉扉3を適切に減速させることが可能となっている。
【0039】
(3)本実施形態の減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42は、それぞれ第1発光部41aと第1受光部41bの間、第2発光部42aと第2受光部42b間の光軸をジグ43が遮ることでジグ43を検知する透過型の光電センサとなっている。これにより、検知範囲が広い近接センサ等よりも精度良くジグ43の位置を検知することが可能となっている。
【0040】
(4)本実施形態の扉開閉装置4は、減速位置被検知部と閉位置被検知部とがジグ43として一体的に形成されていることから、これらを別々に設ける場合と比較して、部品点数を削減することが可能となっている。
【0041】
(5)本実施形態の扉開閉装置4では、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42が動作しない側である処理槽本体2側に設置され、ジグ43が動作する側である開閉扉3側に設置されている。これにより、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42が有線のケーブルにより制御手段44等と接続されている場合であっても、ケーブルを容易に取り回すことが可能となっている。
【0042】
(6)本実施形態の扉開閉装置4を備えた殺菌装置1によれば、減速位置検知手段41の検知信号に基づいて開閉扉3を減速させてから停止させるため、開閉扉3を精度良く停止させることが可能である。したがって、処理槽本体2において被冷却物の加熱処理や冷却処理を行う場合に、開口部20を高精度で密閉することが可能となっている。
【0043】
5.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0044】
上記実施形態において、開閉扉3は処理槽本体2に1つだけ設けられていたが、開閉扉3を2つ以上設けても良い。例えば、開閉扉3を両側に一対設け、搬送ラックRの搬入と搬出を処理槽本体2の別々の側から行うようにしても良い。この場合、各開閉扉3に対し、それぞれ本発明の扉開閉装置4が設けられることになる。
【0045】
上記実施形態において、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42は処理槽本体2側に設けられ、減速位置被検知部及び停止位置被検知部としてのジグ43は開閉扉3側に設けられていた。しかしながら、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42を開閉扉3側に設け、ジグ43を処理槽本体2側に設けるようにしても良い。
【0046】
上記実施形態において、減速位置被検知部及び停止位置被検知部はジグ43として一体的かつ連続的に構成されていた。しかしながら、減速位置被検知部と停止位置被検知部とを開閉扉3の開閉方向に沿って別々に設けても良い。この場合であっても、停止位置被検知部が減速位置検知手段41により検知されることで、スライド動作中において、減速位置検知手段41の検知信号に基づいて開閉扉3を減速させてから閉位置検知手段42の検知信号に基づいて開閉扉3を停止させ、開閉扉3を停止位置に精度よく停止させることが可能である。
【0047】
なお、減速位置被検知部と停止位置被検知部とを別々に設ける場合であっても、減速位置被検知部を開閉扉3の開閉方向に沿って伸びるよう構成し、スライド動作中において、開閉扉3が減速位置に到達してから停止位置に到達する直前まで、なるべく長い区間、断続的に減速位置検知手段41に検知されるようにすることが好適である。ただし、減速位置被検知部を開閉扉3の開閉方向に沿って非連続的に複数個設けるようにしても良い。例えば、減速位置被検知部を、開閉扉3が減速位置に到達してから停止位置に到達する直前までの50%以上の区間で減速位置検知手段41に検知されるよう構成することが好ましい。また、減速位置被検知部を、60,70,80,90%以上の区間で検知されるよう構成することがより好ましい。
【0048】
上記実施形態において、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42は、ジグ43の位置を精度良く検知するため、ジグ43が第1発光部41aと第1受光部41b、第2発光部42aと第2受光部42bの間をそれぞれ通過するよう配置される透過型の光電センサであった。しかしながら、減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42を、発光部と受光部が一体的に設けられる反射型又は回帰反射型の光電センサや、近接センサとすることも可能である。
【0049】
上記実施形態において、減速位置被検知部及び停止位置被検知部はジグ43として開閉扉3とは別体として設けられていた。しかしながら、ジグ43を別途設けることなく、開閉扉3自体を減速位置被検知部及び停止位置被検知部として減速位置検知手段41及び閉位置検知手段42に検知されるようにしても良い。
【0050】
上記実施形態では、被処理物を処理する処理装置として、被処理物を殺菌処理する殺菌装置1の例を説明したが、処理装置は、殺菌装置1に限られない。例えば、処理装置は、処理槽本体2内において被処理物を冷却する冷却装置であっても良い。
【0051】
上記実施形態において、開閉扉3は上下方向にスライドすることで開閉する構成であった。しかしながら、開閉扉3は、例えば水平方向にスライドすることで開閉する構成であっても良い。
【0052】
上記実施形態において、減速位置検知手段41は閉動作における減速位置を検知するために設けられていた。しかしながら、扉開閉装置4は、開動作における減速位置を検知する手段のみを備え、閉動作における減速位置は検知しない構成であっても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 :殺菌装置(処理装置)
2 :処理槽本体
3 :開閉扉
4 :扉開閉装置
20 :開口部
21 :搬送手段
30 :アーム部
40 :開閉駆動手段
40a :昇降モータ
40b :昇降ガイド
40c :駆動軸
40d :ボールねじ
40e :ボールナット
41 :減速位置検知手段
41a :第1発光部
41b :第1受光部
42 :閉位置検知手段(停止位置検知手段)
42a :第2発光部
42b :第2受光部
43 :ジグ(減速位置被検知部、停止位置被検知部)
43a :被検知部位
44 :制御手段
R :搬送ラック
図1
図2
図3
図4
図5