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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121441
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/014 20060101AFI20240830BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20240830BHJP
   A61L 9/18 20060101ALI20240830BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20240830BHJP
   F24F 8/158 20210101ALI20240830BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20240830BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240830BHJP
   F24F 11/75 20180101ALI20240830BHJP
【FI】
A61L9/014
A61L9/00 C
A61L9/18
F24F8/167
F24F8/158
F24F7/003
F24F7/007 B
F24F11/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028558
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 健二
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
4C180
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L260AB18
3L260BA09
3L260CA17
3L260EA07
3L260FC25
4C180AA02
4C180CC03
4C180CC04
4C180CC13
4C180DD01
4C180EA14X
4C180HH05
4C180HH12
4C180HH15
4C180JJ02
4C180KK01
4C180LL04
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】空気中の臭気成分を除去する能力が高くコンパクトな大きさの空気清浄機を提供する。
【解決手段】空気が流れる流路12に配置された吸着剤3と、流路12の吸着剤3より下流側の位置に配置された光触媒フィルタ4と、を備える空気清浄機10であって、吸着剤3及び光触媒フィルタ4に光を照射できる光源5を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流れる流路に配置された吸着剤と、前記流路の前記吸着剤より下流側の位置に配置された光触媒フィルタと、を備える空気清浄機であって、
前記吸着剤及び前記光触媒フィルタに光を照射できる光源を備えることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気清浄機であって、
前記吸着剤と前記光触媒フィルタとの間に配置された臭気センサを備え、
前記臭気センサで検知する臭気濃度が所定の閾値より大きい状態では、前記臭気濃度が前記所定の閾値以下の状態よりも、前記光源の明るさを強くすることを特徴とする空気清浄機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気清浄機であって、
前記流路を流れる風量を調整できる送風機を備え、
前記臭気センサで検知する前記臭気濃度が前記所定の閾値より大きい状態では、前記臭気濃度が前記所定の閾値以下の状態よりも、前記流路を流れる風量を大きくすることを特徴とする空気清浄機。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の空気清浄機であって、
前記吸着剤の前記光源から光が照射される領域に光触媒が添加されていることを特徴とする空気清浄機。
【請求項5】
請求項4に記載の空気清浄機であって、
前記吸着剤が活性炭を含むことを特徴とする空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤及び光触媒を備える空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気の流路の上流側に配置される吸着剤と、吸着剤より下流側に配置される光触媒と、吸着剤を加熱できる加熱体と、光触媒に光を照射できる光源によって構成される脱臭装置が開示されている。この脱臭装置では、加熱体で吸着剤を加熱することによって、吸着剤に吸着している臭気物質を吸着剤から脱離させ、光源から照射した光で光触媒の酸化分解反応を促進させて光触媒の分解反応を効率的に行うことによって、吸着剤から脱離した臭気物質を効率よく分解除去することができる。
【0003】
特許文献2には、吸着剤に光触媒材料を担持した光触媒担持吸着剤を、空気の流路の流入側から流出側にかけて配設し、光触媒担持吸着剤に光を照射できる光源を備えた空気清浄機が開示されている。この空気清浄機では、光触媒担持吸着剤を流路の流入側から流出側にかけて徐々に温度が高くなるようにして、流路に流入したガスを光触媒担持吸着剤で吸着し、吸着したガスを光触媒担持吸着剤の流入側から流出側へ拡散移動しつつ、拡散移動したガスを光源からの光照射により分解する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-279493号公報
【特許文献2】特開2007-007584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された脱臭装置では、吸着剤と光触媒の間に、加熱体と光源の2種類の装置を設置する必要がある。そして、加熱体と光源は、一定の距離を空けて配置する必要がある。そのため、特許文献1に開示された脱臭装置は、コンパクトな設計が困難となっている。
【0006】
また、特許文献2に開示された空気清浄機のように吸着剤と光触媒が一体となった方式では、空気清浄機の浄化率を上げたい場合、吸着剤の吸着能を上げるためには吸着剤を加熱しない方が良いため、光源から光を照射しない方が良いが、光触媒の浄化率向上のためには光源から強い光を照射した方が良いという背反が生じる。つまり、吸着剤と光触媒が一体となった方式の空気清浄機は、吸着剤として最大の能力を発揮させることと、光触媒として最大の能力を発揮させることを同時に実現できず、吸着剤と光触媒をそれぞれ有効に活用することができない。そのため、この方式の空気清浄機は、空気中の臭気成分を除去する能力に限界がある。
【0007】
そこで、本発明は、空気中の臭気成分を除去する能力が高くコンパクトな大きさの空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空気清浄機は、空気が流れる流路に配置された吸着剤と、前記流路の前記吸着剤より下流側の位置に配置された光触媒フィルタと、を備える空気清浄機であって、前記吸着剤及び前記光触媒フィルタに光を照射できる光源を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明は、光源が光を照射することによって、吸着剤を加熱して吸着剤から臭気成分を脱離すると共に、光触媒の反応を促進することが可能であり、吸着剤と光触媒の間に加熱体を配置する必要がないため、空気中の臭気成分を除去する能力が高くコンパクトな大きさの空気清浄機を提供することができる。
【0010】
本発明に係る空気清浄機の一態様において、前記吸着剤と前記光触媒フィルタとの間に配置された臭気センサを備え、前記臭気センサで検知する臭気濃度が所定の閾値より大きい状態では、前記臭気濃度が前記所定の閾値以下の状態よりも、前記光源の明るさを強くしてもよい。
【0011】
この態様によれば、臭気濃度をモニターしながら臭いを感じない濃度域で光源が明るさを強くして臭気成分を脱離できるため、吸着剤の吸着効果の繰り返し耐久性を向上することができる。
【0012】
本発明に係る空気清浄機の一態様において、前記流路を流れる風量を調整できる送風機を備え、前記臭気センサで検知する前記臭気濃度が前記所定の閾値より大きい状態では、前記臭気濃度が前記所定の閾値以下の状態よりも、前記流路を流れる風量を大きくしてもよい。
【0013】
この態様によれば、臭気濃度をモニターしながら臭いを感じない濃度域で流路を流れる風量を大きくして臭気成分を脱離できるため、吸着剤の吸着効果の繰り返し耐久性を向上することができる。
【0014】
本発明に係る空気清浄機の一態様において、前記吸着剤の前記光源から光が照射される領域に光触媒が添加されていてもよい。
【0015】
この態様によれば、光源から吸着剤へ照射される光によって吸着剤の端部で光触媒反応が起こり、更に効率的に空気中から臭気成分を除去することができる。
【0016】
本発明に係る空気清浄機の一態様において、前記吸着剤が活性炭を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、空気中の臭気成分を除去する能力が高くコンパクトな大きさの空気清浄機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施形態の空気清浄機の構成と制御装置の制御系統を示す図である。
図2】本実施形態の空気清浄機の制御装置が実行する制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図3】吸着剤へ導入される空気の臭気濃度と吸着剤から排出される空気の臭気濃度の変動の一例を示す図である。
図4】吸着剤から排出される空気の臭気濃度の変動の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1~4を参照しながら、本開示の実施形態の空気清浄機10について説明する。図1は、空気清浄機10の構成と制御装置11の制御系統を示す図である。図1に示すように、空気清浄機10は、本体ケース1、ファン2、吸着剤3、光触媒フィルタ4、第1光源5、第2光源6、臭気センサ7及び制御装置11を備える。本体ケース1の内側には、空気が流れる流路12が形成されている。そして、ファン2が回転することにより、空気が流路12を図1の左側から右側へ向かって流れる。ファン2は、流路12に空気を流すための送風機として機能する。
【0020】
吸着剤3は、流路12内の上流側(図1の左側)に配置される。吸着剤3は、断面が正六角形の管を隙間なく並べたハニカム構造を有する活性炭である。これらの管は、いずれも図1の左側から右側へ向かって延びている。図1の左側から流路12へ流入した空気は、これらの管を通り抜けて、吸着剤3から図1の右側へ向かって排出される。
【0021】
光触媒フィルタ4は、流路12内の吸着剤3より下流側(図1の右側)の位置に配置される。吸着剤3と光触媒フィルタ4の間には空間13が形成されており、空間13内には、第1光源5及び臭気センサ7が配置されている。吸着剤3を通り抜けて空間13内に流入した空気は、全て光触媒フィルタ4を図1の左側から右側へ向かって通り抜ける。第2光源6は、流路12内の光触媒フィルタ4より下流側(図1の右側)の位置に配置される。そして、ファン2は、流路12内の吸着剤3より下流側(図1の右側)の位置に配置される。なお、本実施形態では、ファン2は最も下流側に配置されているが、流路12に空気の流れを形成できる位置に配置すればよい。例えば、ファン2は最も上流側に配置してもよい。
【0022】
第1光源5は、吸着剤3と光触媒フィルタ4の両方へ光を照射することができる。第1光源5が発光すると、吸着剤3の下流側の端面32と光触媒フィルタ4の上流側の端面41に光を照射する。第2光源6が発光すると、光触媒フィルタ4の下流側の端面42に光を照射する。第1光源5から吸着剤3へ光が照射されると、吸着剤3の下流側の端面32が加熱され、吸着剤3に吸着している臭気物質が吸着剤3から脱離する。第1光源5及び第2光源6から光触媒フィルタ4へ光が照射されると、光触媒フィルタ4は、光触媒の酸化分解反応を促進させて光触媒の分解反応を効率的に行うことによって、吸着剤3から脱離した臭気物質を効率よく分解除去することができる。なお、本実施形態では、1つの第1光源5が吸着剤3と光触媒フィルタ4の両方へ光を照射しているが、複数の第1光源5を備え、複数の第1光源5が吸着剤3と光触媒フィルタ4へそれぞれ個別に光を照射してもよい。
【0023】
臭気センサ7は、空間13内の空気の臭気濃度を検出する。そして、臭気センサ7の出力信号は、制御装置11に入力される。また、制御装置11は、第1光源5及び第2光源6の発光を制御し、ファン2の回転を制御する。制御装置11は、演算処理部であるCPUと、RAM、ROM等の記憶部を有し、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、空気清浄機10を制御する。図2は、制御装置11の制御ルーチンを示すフローチャートである。図2の制御ルーチンのプログラムは制御装置11のROMに保持されており、例えば数msec程度の短いサイクルタイムで繰り返し実行される。
【0024】
図2に示す制御ルーチンでは、空気清浄機10の電源を入れて制御装置11が動作開始すると、まずステップS1において、通常浄化モードとなる。通常浄化モードでは、制御装置11は、第1光源5を発光させず、第2光源6のみを発光させた状態でファン2を回転させる。そして、ステップS1からステップS2へ進み、ステップS2において、制御装置11は、通常浄化モードの状態で24時間を経過したか判定する。通常浄化モードの状態で24時間を経過していない場合は、ステップS3へ進む。通常浄化モードの状態で24時間を経過した場合は、ステップS7へ進み、脱離モードへ移行する。つまり、脱離モードは24時間に1回は必ず実施される。なお、脱離モードについては後述する。
【0025】
ステップS2からステップS3へ進んだ場合、制御装置11はステップS3で、臭気センサ7から臭気濃度を検知する。そして、ステップS3からステップS4へ進む。ステップS4へ進むと、制御装置11は、ステップS3で検知した臭気濃度が所定の閾値以下であるか判定する。そして、臭気濃度が閾値以下である場合は、ステップS1へ戻って通常浄化モードを継続する。臭気濃度が閾値より大きい場合は、ステップS5へ進み、制御装置11は、臭気濃度が下がっていないか確認するため、臭気センサ7から臭気濃度を検知する。そして、ステップS5からステップS6へ進み、ステップS5で検知した臭気濃度が閾値以下であるか判定する。ステップS6で臭気濃度が閾値以下である場合は、ステップS7へ進み、脱離モードへ移行する。ステップS6で臭気濃度が閾値より大きい場合は、通常浄化モードを継続したままステップS5へ戻り、臭気センサ7から臭気濃度を検知する。
【0026】
ステップS6からステップS7へ進んだ場合、ステップS7において、脱離モードへ移行する。脱離モードでは、制御装置11は第1光源5と第2光源6を両方とも発光させる。第1光源5が発光すると、吸着剤3の端面32と光触媒フィルタ4の端面41へ光が照射される。第2光源6が発光すると、光触媒フィルタ4の端面42へ光が照射される。そのため、吸着剤3の下流側の端面32が加熱され、吸着剤3に吸着している臭気物質が吸着剤3から脱離する。そして、光触媒フィルタ4への光の照射により、光触媒フィルタ4は、吸着剤3から脱離した臭気物質を効率よく分解除去することができる。なお、脱離モードの状態では、制御装置11は、第1光源5と第2光源6を発光させるだけでなく、更にファン2の回転速度を上げて通常浄化モードより風量を大きくしてもよい。このように通常浄化モードより風量を大きくすることにより、吸着剤3から臭気物質を脱離する効果を更に大きくすることができる。
【0027】
このようにステップS7において脱離モードとなると、ステップS8へ進み、制御装置11は、脱離モードの状態で所定期間を経過したか判定する。脱離モードの状態で所定期間を経過した場合は、ステップS1の通常浄化モードへ戻る。つまり、脱離モードは最長でも所定期間を経過すると終了する。所定期間は、例えば1時間とすることができる。所定期間を1時間とした場合、脱離モードは最長でも1時間で終了する。ただし、所定期間は1時間でなくてもよく、1時間より短くても長くてもよい。
【0028】
そして、脱離モードの状態で所定期間を経過していない場合は、ステップS8からステップS9へ進み、制御装置11は臭気センサ7から臭気濃度を検知する。そして、ステップS9からステップS10へ進み、制御装置11は、ステップS9で検知した臭気濃度が所定の閾値以下であるか判定する。ステップS10で臭気濃度が閾値以下の場合は、ステップS10からステップS7へ戻り、制御装置11は脱離モードの状態を継続する。ステップS10で臭気濃度が閾値より大きい場合は、ステップS1の通常浄化モードへ戻る。
【0029】
なお、ステップS4、S6、S10における所定の閾値は、人が臭気を感じない臭気濃度の値以下に設定することが好適である。
【0030】
図3は、吸着剤3へ導入される空気の臭気濃度と吸着剤3から排出される空気の臭気濃度の変動の一例を示す図である。吸着剤3から排出される空気の臭気濃度は、臭気センサ7で検出することができる。図3では、吸着剤3へ導入される空気の臭気濃度を実線で示し、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度を点線で示し、臭気濃度の閾値を破線で示している。
【0031】
図3に示すように、空気中に臭気が生じて、吸着剤3へ導入される空気の臭気濃度が上昇すると、吸着剤3で全ての臭気成分を吸着できない場合は、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度も上昇する。そして、臭気発生が一時的であれば、時間の経過と共に吸着剤3から排出される空気の臭気濃度は下降する。しかし、一度吸着剤3に臭気物質が吸着すると、一般的には、空気でパージするだけでは吸着剤3の脱離は不十分である。そのため、制御装置11は通常浄化モードから脱離モードに移行させる。
【0032】
吸着剤3から排出される空気の臭気濃度が閾値より大きくなった時点を図3の(a)に示す。そして、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度が閾値以下となった時点を図3の(b)に示す。図3の(a)の時点から(b)の時点までの期間は、図2のステップS5とステップS6を往復し、制御装置11は通常浄化モードを継続する。そして、図3の(b)の時点以降は、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度が閾値より大きくなるか脱離モードの状態が所定期間を経過するまで、図2のステップS7からステップS10の間を往復し、制御装置11は脱離モードの状態を継続する。
【0033】
図4は、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度の変動の一例を示す図である。図4では、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度を点線で示し、臭気濃度の閾値を破線で示している。吸着剤3から排出される空気の臭気濃度が閾値以下となった時点を図4の(b)、(d)及び(f)に示す。そして、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度が閾値より大きくなった時点を図4の(c)及び(e)に示す。
【0034】
図4の(b)の時点に至るまでは、図2のステップS5とステップS6を往復し、制御装置11は通常浄化モードを継続する。そして、図4の(b)の時点で制御装置11は脱離モードに移行し、図4の(b)の時点から(c)の時点まで図2のステップS7からステップS10の間を往復し、脱離モードの状態が継続する。このように脱離モードの状態を継続すると、吸着剤3から臭気物質の脱離が進むため、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度は増加に転じる。そして、図4の(c)の時点で制御装置11は通常浄化モードに移行し、図4の(c)の時点から(d)の時点まで図2のステップS5とステップS6を往復し、通常浄化モードの状態が継続する。このように通常浄化モードの状態を継続すると、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度は減少に転じる。そして、図4の(d)の時点で制御装置11は脱離モードに移行し、図4の(d)の時点から(e)の時点まで図2のステップS7からステップS10の間を往復し、脱離モードの状態が継続する。このように脱離モードの状態を継続すると、吸着剤3から臭気物質の脱離が進むため、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度は増加に転じる。そして、図4の(e)の時点で制御装置11は通常浄化モードの状態に移行し、図4の(e)の時点から(f)の時点まで図2のステップS5とステップS6を往復し、通常浄化モードの状態が継続する。このように通常浄化モードの状態を継続すると、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度は減少に転じる。
【0035】
このように図2に示す制御ルーチンで制御装置11が空気清浄機10を制御することによって、図4に示すように、吸着剤3から排出される空気の臭気濃度を閾値より大幅に超えない状態で維持することができる。吸着剤3から排出される空気の臭気濃度を閾値より大幅に超えない状態で維持できれば、光触媒フィルタ4による浄化も行われているため、空気清浄機10から排出される空気の臭いを人が感じずに徐々に吸着剤3を浄化することができる。
【0036】
空気清浄機10は、第1光源5が光を照射することによって、吸着剤3を加熱して吸着剤3から臭気物質を脱離すると共に、光触媒フィルタ4の反応を促進することが可能であり、吸着剤3と光触媒フィルタ4の間に加熱体を配置する必要がないため、特許文献1に開示された脱臭装置と比較してコンパクトな大きさにすることができる。
【0037】
また、空気清浄機10は、第1光源5から光を照射される領域は吸着剤3の下流側の端面32のみであって、吸着剤3の表面全体が加熱される訳ではないため、吸着剤3の吸着能を確保しつつ光触媒フィルタ4の浄化率を向上することができる。そのため、空気清浄機10は、特許文献2に開示された空気清浄機と比較して、空気中の臭気成分を除去する能力を向上することができる。
【0038】
更に、図2に示す制御ルーチンで制御装置11が空気清浄機10を制御することにより、空気清浄機10は、臭気濃度をモニターしながら人が臭いを感じない濃度域で臭気成分を吸着剤3から脱離できるため、吸着剤3の吸着効果の繰り返し耐久性を向上させることができる。
【0039】
なお、臭気センサ7で検出した臭気濃度の検出値にかかわらず脱離モードを実施する頻度は、24時間に1回でなくてもよい。臭気センサ7で検出した臭気濃度の検出値にかかわらず脱離モードを実施する頻度は、例えば吸着剤3や光触媒フィルタ4の基本特性や空気清浄機10の使用条件など、実情に合わせて設定すればよい。また、図2のステップS4、S6、S10において判定に用いる臭気濃度の閾値は、人の在室の有無によって変化させてもよいし、人が在室していない時のみ脱離モードを実施する等の条件を適宜加えてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、通常浄化モードと脱離モードの2種類のモードを備え、2種類のモードから1つのモードを選択している。しかし、3種類以上のモードを備え、3種類以上のモードの中から1つのモードを選択する形態であってもよい。3種類以上のモードを備える場合は、第1光源5や第2光源6が照射する光の強度や、流路12を流れる風量を、モード毎に数段階に分けて切り替えてもよい。各モードにおける第1光源5や第2光源6が照射する光の強度や流路12の風量は、吸着剤3の脱離や光触媒フィルタ4の光触媒反応の基本特性を取得することにより、任意に調整することができる。
【0041】
<実施形態の補足>
本発明の空気清浄機は、上述した形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、吸着剤3の下流側の端面32に光触媒を担持処理した形態であってもよい。このような形態では、吸着剤3の下流側の端面32へ第1光源5から光が照射されると、端面32で光触媒反応が起こり、より効率的に浄化を行うことができる。ただし、光触媒を担持した部分は、吸着能が低下する可能性があるため、光触媒を担持するのは第1光源5から光が照射される端部の一部に留めておくことが好適である。
【0042】
[発明の構成]
[構成1]
空気が流れる流路に配置された吸着剤と、前記流路の前記吸着剤より下流側の位置に配置された光触媒フィルタと、を備える空気清浄機であって、
前記吸着剤及び前記光触媒フィルタに光を照射できる光源を備えることを特徴とする空気清浄機。
[構成2]
構成1に記載の空気清浄機であって、
前記吸着剤と前記光触媒フィルタとの間に配置された臭気センサを備え、
前記臭気センサで検知する臭気濃度が所定の閾値より大きい状態では、前記臭気濃度が前記所定の閾値以下の状態よりも、前記光源の明るさを強くすることを特徴とする空気清浄機。
[構成3]
構成1又は2に記載の空気清浄機であって、
前記流路を流れる風量を調整できる送風機を備え、
前記臭気センサで検知する前記臭気濃度が前記所定の閾値より大きい状態では、前記臭気濃度が前記所定の閾値以下の状態よりも、前記流路を流れる風量を大きくすることを特徴とする空気清浄機。
[構成4]
構成1~3のいずれか1項に記載の空気清浄機であって、
前記吸着剤の前記光源から光が照射される領域に光触媒が添加されていることを特徴とする空気清浄機。
[構成5]
構成1~4のいずれか1項に記載の空気清浄機であって、
前記吸着剤が活性炭を含むことを特徴とする空気清浄機。
【符号の説明】
【0043】
1 本体ケース、2 ファン、3 吸着剤、4 光触媒フィルタ、5 第1光源、6 第2光源、7 臭気センサ、10 空気清浄機、11 制御装置、12 流路、13 空間、32,41,42 端面。
図1
図2
図3
図4