(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121446
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】表示装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20240830BHJP
E04H 1/02 20060101ALI20240830BHJP
E04F 17/08 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
E04F19/08 Z
E04H1/02
E04F17/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028564
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博之
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA13
(57)【要約】
【課題】表示装置を好適に取り付けることができる表示装置の取付構造を提供する。
【解決手段】建物(住宅2)の壁面において凹むように形成された壁面収納部21と、前記壁面収納部21において、壁厚さ方向に向く面(前面部21a)に設けられる固定部材30と、前記固定部材30に固定されると共に、画像を表示可能な表示部(タッチパネル11)を有する表示装置10が取り付けられる取付部材40と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面において凹むように形成された壁面収納部と、
前記壁面収納部において、壁厚さ方向に向く面に設けられる固定部材と、
前記固定部材に固定されると共に、画像を表示可能な表示部を有する表示装置が取り付けられる取付部材と、
を具備する表示装置の取付構造。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記表示装置の前記壁面に対する角度を調整可能な角度調整部を具備する、
請求項1に記載の表示装置の取付構造。
【請求項3】
前記壁面収納部は、
前記壁面収納部において、前記壁厚さ方向に向く面とは異なる面に設けられるコンセント部と、
前記壁面に対向する位置から見て、前記コンセント部を覆うように形成された目隠し部と、を具備する、
請求項1に記載の表示装置の取付構造。
【請求項4】
前記固定部材は、
前記壁厚さ方向に向く面に埋め込まれると共に、前記壁厚さ方向に開口するように形成され、
前記取付部材を取り外した状態で、前記固定部材の開口を覆うカバー部を取付可能である、
請求項1に記載の表示装置の取付構造。
【請求項5】
前記壁面収納部は、
前記建物のうち、ダイニング又は前記ダイニングに隣接する空間の壁面に形成される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の表示装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示可能な表示装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を表示可能な表示装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、ディスプレイを備えるスマートスピーカーが記載されている。上記スマートスピーカーは、ユーザーが入力した情報に基づいて処理を行い、処理の結果をディスプレイに表示してユーザーに提示する。上記スマートスピーカーは、例えば住宅のキッチンカウンター等に設置することができる。
【0004】
ここで、上記スマートスピーカーのような表示装置は、ディスプレイの大型化が望まれる。大型のディスプレイを備える表示装置は、キッチンカウンター等には設置し難いため、壁面に取り付けられることが想定される。しかしながら、この場合は、表示装置が壁面から出っ張ることで、壁面において表示装置が邪魔になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、表示装置を好適に取り付けることができる表示装置の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物の壁面において凹むように形成された壁面収納部と、前記壁面収納部において、壁厚さ方向に向く面に設けられる固定部材と、前記固定部材に固定されると共に、画像を表示可能な表示部を有する表示装置が取り付けられる取付部材とを具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記取付部材は、前記表示装置の前記壁面に対する角度を調整可能な角度調整部を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記壁面収納部は、前記壁面収納部において、前記壁厚さ方向に向く面とは異なる面に設けられるコンセント部と、前記壁面に対向する位置から見て、前記コンセント部を覆うように形成された目隠し部と、を具備するものである。
【0011】
請求項4においては、前記固定部材は、前記壁厚さ方向に向く面に埋め込まれると共に、前記壁厚さ方向に開口するように形成され、前記取付部材を取り外した状態で、前記固定部材の開口を覆うカバー部を取付可能であるものである。
【0012】
請求項5においては、前記壁面収納部は、前記建物のうち、ダイニング又は前記ダイニングに隣接する空間の壁面に形成されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
本発明においては、表示装置を好適に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の取付構造を示した正面図。
【
図5】(a)固定部材を示した正面図。(b)取付部材を示した正面図。
【
図6】表示装置の取付構造を示した分解側面断面図。
【
図7】(a)固定部材にカバーを設けた状態の壁部を示した側面断面図。(b)固定部材にカバーを設けた状態の壁部を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の一実施形態に係る表示装置10の取付構造1(以下では単に「取付構造1」と称する)について説明する。また、以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。
【0017】
取付構造1は、住宅2の室内に表示装置10を取り付けるための構造である。以下では、まず
図4を用いて、表示装置10が取り付けられる住宅2の一例について説明する。住宅2は、複数の部屋(空間)を有する。図例では、戸建住宅である住宅2の1階部分を示している。なお、住宅2は戸建住宅に限らず、集合住宅でもよい。住宅2は、西側に玄関3が設けられ、玄関3に対して廊下4を挟んで東側にリビング5、ダイニング6及びキッチン7が設けられている。以下では、リビング5、ダイニング6及びキッチン7を「LDK」と称して説明する場合がある。
【0018】
キッチン7の西側には、一階と二階との間を昇降するための階段8が配置されている。また、住宅2の玄関3とLDKの間には、廊下4に面する収納スペース9が配置されている。収納スペース9は、LDKに面する壁(後述する壁部20)を含む、複数の壁により形成される。また、
図4に示すように、住宅2には、玄関3から廊下4を経てキッチン7(LDK)に至る、居住者がよく使用する通路(動線)が形成される。図例では、上記動線を破線で示している。
【0019】
次に取付構造1について説明する。取付構造1は、LDKにいる居住者が視認可能な位置に、表示装置10を取り付けることができる。取付構造1は、表示装置10、壁部20、固定部材30及び取付部材40を具備する。なお、以下で参照する断面図(
図2、
図3、
図6及び
図7)では、説明の便宜上、壁部20及び固定部材30のみを断面で示している(表示装置10及び取付部材40については断面を示していない)。
【0020】
図1から
図3までに示す表示装置10は、各種の画像を表示するものである。表示装置10は、略板形状(薄型)のタブレット型の端末を構成する。表示装置10は、正面視略矩形状に形成される。表示装置10は、液晶ディスプレイ等により形成されたタッチパネル11を有する。タッチパネル11は、利用者(居住者)の指やタッチペン(スタイラスペン)が触れることにより、情報の入力や適宜の操作を行うことが可能である。
【0021】
図1に示すタッチパネル11は、スマートフォンや小型のタブレット端末等、持ち運び可能な端末のタッチパネルと比べて大型に形成される。具体的には、タッチパネル11は、15インチから20インチ程度の大きさに形成される。なお、タッチパネル11の大きさとしては上述した例に限られず、20インチを超える大きさも採用可能である。
【0022】
表示装置10は、タッチパネル11に画像を表示させる制御部(不図示)を備える。制御部は、主としてCPU等の演算処理装置や、RAMやROM、HDD等の記憶装置等により構成される。また、表示装置10は、インターネット等を介した各種の情報の通信を実行可能な通信部や、音声の情報を入力可能なマイク、音を出力可能なスピーカ等を備える。また表示装置10は、電力を用いて動作する。表示装置10の左側(左側面)には、電力を供給するための充電ケーブル12のコネクタが差し込まれる差込口(不図示)が形成されている(
図3を参照)。また、充電ケーブル12のうちコネクタの反対側の端部は、アダプタ13に接続される。
【0023】
表示装置10は、制御部により各種プログラム(アプリケーション)を動作させることで、記憶装置に保存された情報や、通信部により外部の機器(例えばサーバ等)から取得した情報を、タッチパネル11に画像として表示することができる。表示装置10が表示する画像の例としては、写真やスケジュール、気象情報、住宅2の消費電力量、タッチペン等により入力されたメモ、外部からのメッセージ等が挙げられる。なお、表示装置10が表示する画像としては上述したものに限定されず、種々の画像を表示可能である。
【0024】
図1から
図4までに示す壁部20は、表示装置10の取り付け対象となる壁である。壁部20は、LDK(ダイニング6)の壁を構成する。
図4に示すように、本実施形態では壁部20として、ダイニング6(LDK)と、収納スペース9と、を区画する壁を採用している。また以下の説明では、壁部20の厚さ方向を前後方向とすると共に、壁部20のLDK側に向く壁面を前方に向く面(前面)と称して説明する。
【0025】
壁部20は、合板等の下地材20aの表面に、石膏ボード等の面材20bが設けられることで形成される(
図2及び
図3を参照)。面材20bにはクロス等の化粧材(不図示)が貼られる。壁部20は、壁面収納部21、凹部22、コンセント部23及び目隠し部24を具備する。
【0026】
壁面収納部21は、壁部20の前面において凹むように形成された部分である。壁面収納部21は、正面視略矩形状に形成される。壁面収納部21は、LDK側に向く面である前面部21aと、内側面を構成する側面部21bと、を具備する。
図1に示すように、壁面収納部21は、正面視において表示装置10よりも大きく形成される。壁面収納部21の奥行寸法(前後寸法)としては、一般的な壁面に埋め込まれる収納(ニッチ収納)の奥行寸法(例えば10cm程度)を採用可能である。また、壁面収納部21は、床面から900mm~1000mm程度の高さに下端部が位置するように形成される。
【0027】
図2、
図3及び
図6に示す凹部22は、前面部21aにおいて凹む部分である。凹部22は、前面部21aから下地材20aに至るまで形成される。凹部22は、正面視略矩形状に形成される。本実施形態では、凹部22を正面視略正方形状に形成している(
図5(a)を参照)。
【0028】
コンセント部23は、電力を取り出し可能な差込口を構成するものである。コンセント部23は、左側の側面部21bにおける下部に、一部を除いて埋め込まれるように取り付けられている。コンセント部23は、スイッチボックス等の部材を介して側面部21bに固定される。コンセント部23には、充電ケーブル12のアダプタ13が差し込まれる。コンセント部23にアダプタ13が差し込まれることで、表示装置10に電力を供給することができる。
【0029】
図1及び
図3に示す目隠し部24は、コンセント部23を前方から覆う部分である。目隠し部24は、左側の側面部21bにおける前部から、右方に向けて延出する袖壁状に形成される。目隠し部24の前面は、壁部20の前面(壁面収納部21を除く部分の前面)と同一平面状に形成される。目隠し部24は、正面視において、コンセント部23やアダプタ13、充電ケーブル12の一部と重複するように形成される(
図1を参照)。
【0030】
目隠し部24の延出方向先端部は、左側以外の側面部21b(上側、下側及び右側の側面部21b)と共に、壁面収納部21の開口部21cを構成する。
図1に示すように、開口部21cは、正面視において表示装置10の側面に対してある程度(例えば10mm~50mm程度)の隙間が開くように形成される。
【0031】
図2、
図3及び
図5(a)に示す固定部材30は、壁面収納部21の前面部21aに固定されると共に、後述する取付部材40が取り付けられるものである。固定部材30は、壁面収納部21の凹部22に固定されることで、前面部21aに埋め込まれる。固定部材30は、ビス等の止具を用いて、下地材20aに対して固定される。固定部材30は、前方に向けて開口する略箱形状に形成される。固定部材30は、凹部22に応じた形状に形成される。本実施形態では、固定部材30の各種寸法(前後寸法、左右寸法及び上下寸法)と、凹部22の各種寸法と、を概ね同寸法に形成している。
【0032】
固定部材30としては、壁部20にコンセントを固定するための部材である一般的なコンセント用金物(スイッチボックス)を採用可能である。本実施形態では、固定部材30として、並列する2つのコンセントを固定可能な、2連(2口)のコンセント用金物を採用している。固定部材30は、固定部31及びカバー固定部32を具備する。
【0033】
固定部31は、後述する取付部材40が固定される部分である。固定部31は、固定部材30の底部を構成する。固定部31には、ビス等の止具を用いて取付部材40を固定するための孔が適宜形成されている。
【0034】
カバー固定部32は、後述するカバー部33が固定される部分である。カバー固定部32は、固定部材30の開口の縁部から、上記開口の中心側に延出するように形成される。図例では、固定部材30の開口の上側部分及び下側部分のそれぞれに一対(合計4つ)のカバー固定部32を形成している。なお、本実施形態のように固定部31としてコンセント用金物を採用した場合には、コンセントを固定するための部分をカバー固定部32として利用可能である。
【0035】
図1から
図3まで、及び
図6に示す取付部材40は、表示装置10が取り付けられるものである。取付部材40は、固定部材30を介して壁面収納部21に固定される。取付部材40は、被固定部41、支持部42、チルト部43及び取付部44を具備する。
【0036】
被固定部41は、固定部材30に固定される部分である。
図2及び
図3に示すように、被固定部41は、厚さ方向を前後方向に向けた略板形状に形成される。被固定部41の左右寸法は、固定部材30の開口(開口の縁部)の左右寸法よりも小さく形成される。また、被固定部41の上下寸法は、上下のカバー固定部32の間の寸法よりも小さく形成される。被固定部41は、固定部材30の固定部31に対して、ビス等の止具を用いて固定される。被固定部41には、上記止具による固定のための孔(不図示)が適宜形成されている。
【0037】
支持部42は、固定部材30の前方において表示装置10を支持する部分である。支持部42は、被固定部41の前面から前方に突出するように形成される。支持部42の後端部は、被固定部41に対して一体的に固定されている。
【0038】
チルト部43は、表示装置10の壁部20に対する角度を調整可能な部分である。チルト部43は、支持部42の突出方向先端部(前端部)に対して、左右方向に軸線を向けた回動軸43aを中心として回動可能に設けられる。チルト部43の前部は、後述する取付部44を介して、表示装置10が取り付けられる。支持部42に対してチルト部43を回動させることで、壁部20に対して表示装置10を前後に回動させることができる。これにより、表示装置10の回動軸43a回りの角度調整が可能となる(
図2を参照)。
【0039】
また、チルト部43には、取付部材40に取り付けられた表示装置10を所望の回動位置で保持可能な保持機構(不図示)が設けられている。保持機構としては、例えば利用者の操作により、チルト部43の回動を許容する位置と、回動を規制する位置と、に切り替えるものを採用可能である。また、保持機構としては、例えば一定以上の力が掛かった場合にチルト部43を回動させるように、チルト部43に抵抗を付与するものを採用可能である。
【0040】
図2、
図3及び
図5(b)に示す取付部44は、表示装置10が取り付けられる部分である。
図5(b)に示すように、取付部44は、正面視において略H型形状に形成される。取付部44の前面には、表示装置10の背面(反タッチパネル11側の面)が固定される。取付部44には、表示装置10の固定に用いられる複数(4つ)の取付孔44aが形成されている。本実施形態では、取付孔44aを、ディスプレイ等の取り付けに用いられる規格(例えばVESA規格)に応じた位置に形成している。
【0041】
また、取付部44の後面は、チルト部43の前面に対して着脱自在に係合可能に形成される。取付部44とチルト部43との係合態様としては、例えば取付部44をチルト部43に上方から差し込んで係合する態様(ドッコ式の係合態様)等を採用可能である。なお、取付部44とチルト部43との係合態様しては、上述した例に限定されず、チルト部43に対して取付部44を着脱自在に係合可能な種々の態様を採用可能である。上述のように本実施形態では、取付部材40を、取付部44と、他の部材(被固定部41、支持部42及びチルト部43)と、の2部材により形成している。
【0042】
図2及び
図3に示すように、取付部材40を固定部材30に固定した状態では、取付部材40の概ね全体が、壁面収納部21内に位置する。より詳細には、取付部材40は、取付部44の前端側の部分を除いて、壁面収納部21内に位置する。換言すれば、取付部材40は、取付部44の後端側の部分(背面)が、壁部20の前面よりも後方に位置するように配置される。
【0043】
以上、本実施形態に係る取付構造1について説明した。以下では、
図6を用いて取付構造1の取付態様について説明する。
【0044】
まず、取付構造1の取付作業を行う作業者は、壁部20の凹部22に固定部材30を取り付けると共に、止具を用いて固定部材30の固定部31を下地材20aに固定する。
【0045】
次に、作業者は、固定部材30に対して取付部材40を固定する。具体的には作業者は、ビス等の止具を用いて、取付部材40の被固定部41を固定部材30の固定部31に対して固定する。なお、この時点では、取付部材40に取付部44を設けていない。
【0046】
次に、作業者は、表示装置10の背面に取付部44を固定すると共に、取付部44をチルト部43に対して係合させる。これにより、壁部20に対する表示装置10の取り付けが完了する。
【0047】
図2及び
図3に示すように、取付構造1により表示装置10を取り付けた状態では、表示装置10は、概ね表示装置10の厚さ寸法程度、壁部20に対して前方に突出する。上記取付構造1によれば、壁部20に対する表示装置10の突出寸法を比較的小さくすることができる。すなわち、仮に壁部20の壁面に、適宜の固定用の部材を介して表示装置10を壁掛け状に設置した場合には、表示装置10は、自身の厚みに加えて固定用の部材分、壁面に対して前方に突出することになる。この場合、表示装置10の設置場所を通行する居住者の衣服等に表示装置10が引っ掛かる等、表示装置10が居住者の通行の邪魔になるおそれがある。
【0048】
本実施形態に係る取付構造によれば、壁面収納部21内に設けられた取付部材40に対して表示装置10を取り付けているので、壁部20に対する表示装置10の突出寸法を比較的小さくすることができる。これにより、居住者がよく使用する通路(動線)上に表示装置10を配置した場合でも、表示装置10が通行の邪魔になることを抑制することができる。このように、本実施形態に係る取付構造1によれば、比較的大型の表示装置10を好適に取り付けることができる。
【0049】
また、本実施形態では、取付部材40にチルト部43を設けたことで、表示装置10の壁部20に対する角度を調整することができる。これにより、例えばタッチペン等を用いてタッチパネル11に入力を行う際に、入力を行い易い角度になるように、表示装置10の角度を調整することができる(
図2を参照)。このように、本実施形態に係る表示装置10の操作性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、壁面収納部21に目隠し部24を設けたことで、コンセント部23やアダプタ13、充電ケーブル12の一部を、目隠し部24により前方から覆うことができる。これにより、見栄えを向上させることができる。
【0051】
次に、
図7を用いて、壁部20から表示装置10及び取付部材40を取り外した場合について説明する。
【0052】
取付部材40を取り外す際には、作業者は、上述した取り付けの手順とは逆の作業を行う。具体的には作業者は、表示装置10の背面の取付部44をチルト部43から取り外すことで、表示装置10の取り外しを行う。次に作業者は、固定部材30から、取付部材40(被固定部41、支持部42及びチルト部43)を取り外す。これにより、表示装置10及び取付部材40の取り外しが完了する。
【0053】
本実施形態では、
図7に示すように、表示装置10及び取付部材40を取り外した状態の固定部材30に、カバー部33を設けている。カバー部33は、固定部材30の開口を覆うものである。カバー部33は、厚さ方向を前後方向に向けた略板形状に形成される。また、カバー部33は、正面視における固定部材30に応じた形状(略正方形状)に形成される。カバー部33は、ビス等の止具を用いて、固定部材30のカバー固定部32に着脱可能に固定される。カバー部33としては、一般的な2連のコンセント用金物に用いられるカバー(2連無開口プレート)を採用可能である。
【0054】
上記カバー部33を設けたことで、例えばクロス等を用いた補修を行わずとも、固定部材30(凹部22)を塞ぐことができる。これにより、表示装置10及び取付部材40の撤去後の作業の負担を軽減することができる。
【0055】
図7(b)に示すように、表示装置10及び取付部材40を撤去した後の壁面収納部21は、二点鎖線で示す物品(例えば花瓶等)を載置可能な通常のニッチ収納として使用することができる。この場合、例えばコンセント部23にLED等の薄型照明を組み込むことで、壁面収納部21に間接照明を設けることができる。これによれば、袖壁状に形成された目隠し部24により、目立たないように間接照明を設置することができる。また、本実施形態によれば、壁面収納部21をニッチ収納として使用している状態で、固定部材30からカバー部33を取り外すことで、取付部材40を用いた表示装置10の設置を容易に行うことができる。
【0056】
以上のように、本発明の一実施形態に係る表示装置10の取付構造1は、
建物(住宅2)の壁面において凹むように形成された壁面収納部21と、
前記壁面収納部21において、壁厚さ方向に向く面(前面部21a)に設けられる固定部材30と、
前記固定部材30に固定されると共に、画像を表示可能な表示部(タッチパネル11)を有する表示装置10が取り付けられる取付部材40と、
を具備するものである。
【0057】
このような構成により、表示装置10を好適に取り付けることができる。すなわち、壁面収納部21に固定部材30を介して固定した取付部材40を用いて、表示装置10を取り付けることで、壁部20に対する表示装置10の突出寸法を比較的小さくすることができる。これにより、例えば大型の表示装置10を居住者がよく使用する通路(動線)上に配置した場合でも、表示装置10が通行の邪魔になることを抑制することができる。
【0058】
また、前記取付部材40は、
前記表示装置10の前記壁面に対する角度を調整可能な角度調整部(チルト部43)を具備するものである。
【0059】
このような構成により、表示装置10の操作性を向上させることができる。すなわち、タッチペン等を用いてタッチパネルに入力を行う際に、入力を行い易い角度になるように表示装置10の角度を調整することができる。
【0060】
また、前記壁面収納部21は、
前記壁面収納部21において、前記壁厚さ方向に向く面(前面部21a)とは異なる面(側面部21b)に設けられるコンセント部23と、
前記壁面に対向する位置(前方)から見て、前記コンセント部を覆うように形成された目隠し部24と、を具備するものである。
【0061】
このような構成により、見栄えを向上させることができる。すなわち、コンセント部23を目隠し部24により前方から覆うことで、見栄えを向上させることができる。
【0062】
また、前記固定部材30は、
前記壁厚さ方向に向く面(前面部21a)に埋め込まれると共に、前記壁厚さ方向に開口するように形成され、
前記取付部材40を取り外した状態で、前記固定部材30の開口を覆うカバー部33を取付可能であるものである。
【0063】
このような構成により、取付部材40を取り外した状態での壁面収納部21の見栄えを向上させることができる。
【0064】
また、前記壁面収納部21は、
前記建物(住宅2)のうち、ダイニング6又は前記ダイニングに隣接する空間(リビング5及びキッチン7)の壁面に形成されるものである。
【0065】
このような構成により、表示装置10を、居住者が利用し易い位置に取り付けることができる。
【0066】
なお、本実施形態に係る住宅2は、本発明に係る建物の一形態である。
また、本実施形態に係るタッチパネル11は、本発明に係る表示部の一形態である。
また、本実施形態に係るチルト部43は、本発明に係る角度調整部の一形態である。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、取付構造1を構成する各部材の形状や寸法等は、上述したものに限定されず、適宜変更可能である。また、上記説明で例示した具体的な数値は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0068】
例えば、本実施形態では、表示装置10をダイニング6の壁部20に設置した例を示したが、表示装置10の設置場所としてはダイニング6に限定されず、ダイニング6に隣接する空間(リビング5やキッチン7)を採用可能である。また、表示装置10の設置場所としては、上述した空間に限定されず、建物内の種々の空間を採用可能である。
【0069】
また、本実施形態では、取付部材40の被固定部41を、固定部材30の固定部31(底部)に固定した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば、固定部材30の側部等に取付部材40に固定するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、固定部材30を、合板等の下地材20aに固定した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば固定部材30を、間柱等の下地材に固定するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、壁面収納部21の開口部21cを、表示装置10よりも大きく形成した例を示したが、このような態様に限定されない。例えば開口部21cを、表示装置10よりも小さく形成してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、コンセント部23や目隠し部24を、壁面収納部21の左部に設けた例を示したが、このような態様に限定されない。例えばコンセント部23や目隠し部24を、壁面収納部21の上部や下部、右部に設けるようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、表示装置10の表示部を、情報の入力等が可能なタッチパネル11とした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、表示部を情報の入力等が不能なディスプレイとしてもよい。この場合は、情報の入力等が可能な入力部を別途設けてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、取付構造1の構成に表示装置10を含めた例を示したが、このような態様に限られず、表示装置10を取付構造1の構成に含めなくてもよい。
【0075】
また、本実施形態では、固定部材30を壁面収納部21の前面部21a(凹部22)に埋め込むように設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、凹部22が形成されていない壁面収納部21に対して固定部材30を設けるようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、表示装置10が設置される建物を、住宅2とした例を示したが、このような態様に限られない。表示装置10が設置される建物としては、ホテル等の宿泊施設や商業施設、公共施設を採用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 取付構造
10 表示装置
20 壁部
30 固定部材
40 取付部材