(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121461
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】押送装置、移送装置および移送方法
(51)【国際特許分類】
B65B 35/52 20060101AFI20240830BHJP
B65G 57/03 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B65B35/52
B65G57/03 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028584
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 涼太郎
【テーマコード(参考)】
3E054
3F029
【Fターム(参考)】
3E054AA04
3E054BA09
3E054CA06
3E054DB04
3E054DB18
3E054EA03
3E054FA07
3E054FB09
3E054GA02
3E054GA07
3E054GB01
3E054GC05
3E054HA03
3E054HA08
3E054JA02
3F029BA01
3F029CA10
3F029CA91
3F029CA92
(57)【要約】
【課題】 鉛直方向の占有スペースを縮小することが可能な、押送装置及びこれを備える移送装置、移送方法を提供する。
【解決手段】
押送装置200は、鉛直方向VTに起立して段積物品XA1の一部に当接可能な押込み部205と、押込み部205を、送り出し部103上における物品XA2の移動方向に沿う押送方向Tに進退させる駆動部206と、押込み部205および駆動部206の動作を制御する押送制御部520と、を有し、押送制御部520は、押込み部205が段積物品XA1を押送していない場合に該押込み部205の少なくとも一部を送り出し部103上における物品XA2の搬送を妨げない位置に退避させる退避処理部522と、退避処理部522によって退避させた押込み部205の少なくとも一部を復帰させて、段積物品XA1を押送する押送時処理部521と、を有し、段積物品XA1を下流工程に押送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段積物品を下流工程に押送する押送装置であって、
前記段積物品は、送り出し部上を移動する複数の物品を、該送り出し部の下流に設けられた段積位置において鉛直方向に積み重ねたものであり、
鉛直方向に起立して前記段積物品の一部に当接可能な押込み部と、
前記押込み部を、前記送り出し部上における前記物品の移動方向に沿う押送方向に進退させる駆動部と、
前記押込み部および前記駆動部の動作を制御する押送制御部と、を有し、
前記押送制御部は、
前記押込み部が前記段積物品を押送していない場合に該押込み部の少なくとも一部を前記送り出し部上における前記物品の移動を妨げない位置に退避させる退避処理部と、
前記退避処理部によって退避させた前記押込み部の少なくとも一部を復帰させて、前記段積物品を押送する押送時処理部と、
を有する、
ことを特徴とする押送装置。
【請求項2】
前記押込み部は変形可能に構成され、
前記退避処理部は、前記押込み部の少なくとも一部を変形させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の押送装置。
【請求項3】
前記押込み部は、鉛直方向に起立した状態から少なくとも一部が可倒するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の押送装置。
【請求項4】
前記退避処理部は、前記押込み部の少なくとも一部を折り倒し、前記送り出し部の下流端部に揃うように前記押込み部を移動させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の押送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の押送装置と、
前記送り出し部と、鉛直方向に昇降可能な載置部を含み、該送り出し部の上流に設けられた供給位置から前記載置部まで該物品を移動し、該載置部において段積みする物品段積部とを有し、
前記押送装置は前記送り出し部の下方に配置され、
前記退避処理部は前記押込み部の上方部位を前記送り出し部の下端に並ぶように折り倒し、
前記段積処理部は前記送り出し部と該上方部位を利用して前記物品を前記載置部に移動させる、
ことを特徴とする移送装置。
【請求項6】
送り出し部上を移動する複数の物品を、該送り出し部の下流に設けられた段積位置において鉛直方向に積み重ねて段積物品とし、該段積物品を下流工程に移送する移送装置による移送方法であって、
前記移送装置は、
鉛直方向に起立して前記段積物品の一部に当接可能であり、前記送り出し部上における前記物品の移動方向に沿う押送方向に進退可能な押込み部と、
前記送り出し部と、鉛直方向に昇降可能な載置部を含む物品段積部と、を備え、
前記段積物品を押送していない期間において、前記押込み部の少なくとも一部を、前記送り出し部上における前記物品の移動を妨げない位置に退避させる退避処理工程と、
供給位置に供給される前記物品を前記載置部に移動し、載置される前記物品の数の増加に伴い該載置部を降下させて前記段積物品とする段積処理工程と、
前記送り出し部の下流において、退避させた前記押込み部の少なくとも一部を復帰させて、押送方向に進出させて前記段積物品を押送する押送時処理工程と、を有する、
ことを特徴とする移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を下流工程に押送する押送装置、移送装置および移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個々に搬送される物品(製品パッケージ)を集積部において複数積み重ねて(段積みして)製品パッケージ群とし、当該製品パッケージ群を挿入プッシャーにて押送し、包装箱に箱詰めする箱詰め装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の箱詰め装置は、製品パッケージ供給コンベアによって1個ずつ搬送される製品パッケージを、製品パッケージ整列台上に複数個整列させ、リフターにより製品パッケージ列を押し上げて段積み台の上面に段積みする。そして所定段数積み重ねられると、リフターが、製品パッケージ群を渡し板と略同じ高さまで持ち上げる。その後、製品パッケージの(製品パッケージ供給コンベア)の上方で待機する挿入プッシャーの押圧により製品パッケージ群を一括して横方向にスライドし、空包装箱の開口内に挿入し、箱詰めするように構成されている。
【0004】
また、
図11は、従来の箱詰め装置600の他の例を示す側面概要図である。段積物品XA1の箱詰め装置600として例えば、押送装置650として物品XA2の送り出し部(搬送路)601を挟んで鉛直方向VTの上下2段に、プッシャー(第1プッシャー602,第2プッシャー603)を配置するものも知られている。
【0005】
図11の例では、上流から例えば第1プッシャー602等で押送される物品XA2を載置部604に載置し、載置部604を下降させながら、複数の物品XA2を受け入れて段積みし、段積みされた物品群(段積物品XA1)を、第1プッシャー602の下方に配置された第2プッシャー603にて纏めて押送する。
【0006】
図11(A)は、送り出し部601上で段積みされる最初の物品XA2を第1プッシャー602にて押送している状態を示す。そして送り出し部601の下流には鉛直方向VTに昇降可能な載置部604が設けられている。載置部604は、1段目の物品XA2の搬送を待機している状態では、送り出し部601とほぼ同等の高さの位置にある。また、送り出し部601の下方には、第2プッシャー603が待機している。
【0007】
図11(B)に示すように、第1プッシャー602により物品XA2が載置部604に移載されると、第1プッシャー602は次の物品XA2を押送するため上流に移動し、載置部604は物品XA2の高さH0の1段分、下降する。
【0008】
同図(C)に示すように、第1プッシャー602で押送される2段目の物品XA2は1段目の物品XA2の上に積み置かれ、これにより1組(この例では2段)の段積物品XA1が準備される。
【0009】
段積物品XA1が準備されると、同図(D)に示すように載置台604がさらに物品XA2の1段分の高さH0下降する。この高さ(鉛直方向VTの高さ)は、同図(E)に示すように、送り出し部601の高さよりも低い位置である。その後、送り出し部601の下方に待機していた第2プッシャー603が、物品XA2の押送方向Tに平行となる方向に進出し、載置台604上の段積物品XA1を押し出し、押送する。そして同図(F)に示すように箱Bの側方開口から箱B内に収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、例えば
図11に示す従来の箱詰め装置600では、鉛直方向VTの占有スペースが大きくなってしまう問題がある。具体的に、
図11の例では送り出し部601の上方に、少なくとも押送される物品XA2の段数(例えば1段)分の高さH0のスペースが必要であり、さらに送り出し部601の下方に、少なくとも段積物品XA1の高さ(この例では2段分の物品XA2の高さ、H0×2)のスペースが必要である。
【0012】
すなわち、箱詰め装置600における物品XA2の段積みに必要な段積み必要高さ(載置台604が最も下方に移動した場合の下降位置PU(下面)から、送り出し部601上を搬送される物品XA2の最上面までの高さ)Hxは、段積位置(載置部604)まで押送される物品XA2の段数分と、段積物品XA1の段数分の合計の高さ(この例では高さH0×3)が少なくとも必要であり、箱詰め装置600の配置する領域において、鉛直方向VTに余裕がない場合には装置を配置に制約を受ける問題がある。あるいは段積みする数を減らすなどの対応をする必要があり、ラインの効率が悪くなる問題がある。
【0013】
これらの問題は、箱詰め装置に限らず、段積物品XA1を例えば下流工程に移送する(例えば下流の包装機などに供給する)場合などであっても同様に生じる。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、鉛直方向の占有スペースを縮小することが可能な、押送装置及びこれを備える移送装置、移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、段積物品を下流工程に押送する押送装置であって、前記段積物品は、送り出し部上を移動する複数の物品を、該送り出し部の下流に設けられた段積位置において鉛直方向に積み重ねたものであり、鉛直方向に起立して前記段積物品の一部に当接可能な押込み部と、前記押込み部を、前記送り出し部上における前記物品の移動方向に沿う押送方向に進退させる駆動部と、前記押込み部および前記駆動部の動作を制御する押送制御部と、を有し、前記押送制御部は、前記押込み部が前記段積物品を押送していない場合に該押込み部の少なくとも一部を前記送り出し部上における前記物品の移動を妨げない位置に退避させる退避処理部と、前記退避処理部によって退避させた前記押込み部の少なくとも一部を復帰させて、前記段積物品を押送する押送時処理部と、を有する、
ことを特徴とする押送装置に係るものである。
【0016】
また、本発明は、上記の押送装置と、前記送り出し部と、鉛直方向に昇降可能な載置部を含み、該送り出し部の上流に設けられた供給位置から前記載置部まで該物品を移動し、該載置部において段積みする物品段積部とを有し、前記押送装置は前記送り出し部の下方に配置され、前記退避処理部は前記押込み部の上方部位を前記送り出し部の下端に並ぶように折り倒し、前記段積処理部は前記送り出し部と該上方部位を利用して前記物品を前記載置部に移動させる、ことを特徴とする移送装置に係るものである。
【0017】
また、本発明は、送り出し部上を移動する複数の物品を、該送り出し部の下流に設けられた段積位置において鉛直方向に積み重ねて段積物品とし、該段積物品を下流工程に移送する移送装置による移送方法であって、前記移送装置は、鉛直方向に起立して前記段積物品の一部に当接可能であり、前記送り出し部上における前記物品の移動方向に沿う押送方向に進退可能な押込み部と、前記送り出し部と、鉛直方向に昇降可能な載置部を含む物品段積部と、を備え、前記段積物品を押送していない期間において、前記押込み部の少なくとも一部を、前記送り出し部上における前記物品の移動を妨げない位置に退避させる退避処理工程と、供給位置に供給される前記物品を前記載置部に移動し、載置される前記物品の数の増加に伴い該載置部を降下させて前記段積物品とする段積処理工程と、前記送り出し部の下流において、退避させた前記押込み部の少なくとも一部を復帰させて、押送方向に進出させて前記段積物品を押送する押送時処理工程と、を有する、ことを特徴とする移送方法に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鉛直方向の占有スペースを縮小することが可能な、押送装置及びこれを備える移送装置、移送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る箱詰め装置の全体構成を示す図であり、(A)上面図、(B)側面図である。
【
図2】本実施形態に係る押送装置を説明する側面概要図である。
【
図3】本実施形態に係る押送装置を説明する側面概要図である。
【
図4】本実施形態に係る箱詰め装置の機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る箱詰め装置の動作を説明する側面概要図である。
【
図6】本実施形態に係る箱詰め装置の動作を説明する側面概要図である。
【
図7】本実施形態に係る箱詰め装置の動作を説明する側面概要図である。
【
図8】本実施形態に係る押送装置の他の例を示す概要図である。
【
図9】本実施形態に係る押送装置の他の例を示す概要図である。
【
図10】本実施形態に係る押送装置の他の例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
【0021】
<移送装置/全体構成>
図1は、本実施形態に係る押送装置200を備えた移送装置100の一例を示す概要図である。
図1(A)が移送装置100の上面図であり、同図(B)が側面図である。
【0022】
以下、本実施形態の説明における方向の定義として、段積みされる物品XA2が上流(供給位置P1)から下流(段積位置P2)に移動する第1方向を押送方向T、押送方向Tと直交する第2方向を押送幅方向W、押送方向Tと押送幅方向Wに直交する第3方向を押送高さ方向Hとする。ここでは押送高さ方向Hは鉛直方向VTであり、押送方向Tおよび押送幅方向Wは水平方向HRである。
図1(B)は
図1(A)を押送幅方向Wから見た側面図である。
【0023】
本実施形態の移送装置100は、物品段積部101と、制御部500と、押送装置200とを有し、複数の物品XA2を鉛直方向VT(押送高さ方向H)に積み重ねて段積物品XA1とし、該段積物品XA1を下流工程に移送する。ここでは、移送装置100が、箱詰め装置である場合を例に説明する。移送装置(箱詰め装置)100は、押送装置200の下流に箱Bを搬送する箱搬送手段210を備え、押送装置200によって段積物品XA1を押送し箱B内に収容する装置である。
【0024】
物品段積部101は、例えば、物品移動部102と、昇降リフト108を含む。物品移動部102は、物品XA2を供給位置P1から段積位置P2に移動させる手段であり、この例では、送り出し部103と、第1プッシャー104を含む。送り出し部103は、供給位置P1から段積位置P2に向かう物品XA2の移動経路(搬送路)となる例えば板状部材である。本実施形態では、一例として、箱詰め装置100の上流に配置される物品搬送手段300(例えば、ベルトコンベア)により物品XA2が上流から下流に(
図1(A)では上方から下方に)搬送され、箱詰め装置100に供給される。搬送手段300の搬送面301は第2方向(箱詰め装置100における押送幅方向W)に延在し、その下流端部に、第1方向(箱詰め装置100における押送方向T)に延在する送り出し部103が設けられる。搬送手段300(搬送面301)の下流端部と送り出し部103の上流端部は(重畳して)物品XA2の供給位置P1となる。
【0025】
第1プッシャー104は、押送高さ方向H(鉛直方向VT)に起立する例えば板状部材である第1押込み部105と、第1押込み部105を送り出し部103上で押送方向Tに進退させる第1駆動部106を有する。
【0026】
第1駆動部106は、第1押込み部105を保持する支持体107を含む例えばアクチュエータである。これにより、第1プッシャー104は、搬送手段300の搬送面301上を搬送され、供給位置P1に供給される物品XA2の側方に、第1押込み部105を当接させ第1駆動部106により第1押込み部105を押送方向Tに進出させて、物品XA2を段積位置P2まで押送する。
【0027】
このように、物品段積部101は、第1プッシャー104(第1押込み部105)により送り出し部103上の物品XA2を移動させる。なお、物品移動部102は、供給位置P1から段積位置P2まで物品XA2を移動させる手段であればよい。例えば、物品移動部102はベルトコンベアやフィンガーコンベア等の搬送手段または移載手段であってもよく、その場合送り出し部103はそれらの搬送面または移載面となる。
【0028】
昇降リフト108は、送り出し部103の下流端部に設けられ、載置部109と該載置部109の昇降駆動手段110(例えばエアシリンダなど)を有し、載置部109を昇降駆動手段110により昇降させることで、複数の物品XA2を押送高さ方向Hに積み重ねて段積物品XA1とする。つまりこの例では、平面視における載置部109の位置が段積位置P2である。
【0029】
図1(B)に示すように、押送装置200は、この例では物品移動部102(送り出し部103)の押送高さ方向H下方に設けられ、第2押込み部201および第2駆動部203を含む第2プッシャー204と、押送制御部を備える。押送制御部は後述するが、制御部500に含まれる。押送装置200は載置部109上で押送高さ方向Hに積み重ねられた複数の物品XA2からなる段積物品XA1を下流の箱B内に収容するように押送する。押送装置200の詳細については後述する。
【0030】
物品段積部101の下流には箱搬送手段210が設けられる。箱搬送手段210は、箱搬送面211を有し、箱Bを第2方向(箱詰め装置100における押送幅方向W)に沿って上流から下流(
図1(A)では下方から上方)に連続的に搬送する例えばベルトコンベアである。箱Bは例えば六面体の段ボール箱であって、押送幅方向Wに対向する2つの側面と、押送方向Tに対向する2つの側面を有する。押送方向Tに対向する2つの側面のうち、少なくとも押送方向Tの上流側の側面が開放された状態で(開口して)箱搬送手段210の上流から搬送される。そして、段積位置P2(昇降リフト108の下流)において、開口を介して、押送装置200が押送する段積物品XA1を受け入れる。
【0031】
制御部500は、CPU、記憶手段(RAM、及びROM等)等から構成され、箱詰め装置100の各部を構成するハードウェアと協働して箱詰め装置100の各部の動作を制御する(箱詰め制御が行われる)。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。制御部500による箱詰め制御については後述する。
【0032】
<押送装置>
図2および
図3を参照して押送装置200について説明する。
図2(A)は押送装置200が段積物品XA1を押送している状態を示す、押送幅方向Wから見た側面図であり、
図2(B)は押送装置200が段積物品XA1を押送していない状態を示す側面図である。
図3は押送装置200の第2押込み部205付近を抽出して示す側面図である。
【0033】
押送装置200は第2プッシャー204を有する。第2プッシャー204は、押送高さ方向H(鉛直方向VT)に起立可能な板状部材からなる第2押込み部205と、第2押込み部205を押送方向Tに進退させる第2駆動部206を有する。第2押込み部205はその少なくとも一部が、固定配置される送り出し部103に対して移動可能に構成されている。
【0034】
第2駆動部206は、第2押込み部205を保持する支持体207と、支持体207に伝達機構を介して接続するモータ(いずれも不図示)を有する例えばアクチュエータであり、モータの回転運動を直線運動に変換して支持体207に伝達するように構成される。これにより、第2押込み部205が押送方向Tに進退する。なお、モータに代えてエアシリンダーであってもよい。
【0035】
本実施形態の押送装置200は、
図2(A)に示す段積物品XA1の押送時には、送り出し部103の下流において、第2押込み部205が、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げる状態にして(物品XA2が送り出し部103上を移動していた場合には干渉するであろう状態にして)押送方向Tに進出させる。この例では、第2押込み部205が押送高さ方向H(鉛直方向VT)に沿って送り出し部103の上方から下方に亘る状態としている。ここで、「第2押込み部205が押送高さ方向H(鉛直方向VT)に沿って送り出し部103の上方から下方に亘る状態」とは、第2押込み部205の上端205Tが押送高さ方向Hにおいて送り出し部103の上面(同図(A)に破線で示す高さ)より上方にあり、第2押込み部205の下端205Dが押送高さ方向Hにおいて送り出し部103より下方にある状態をいう。第2押込み部205がこの様な状態の場合では、仮に送り出し部103上を物品XA2が移動した場合、第2押込み部205と干渉する。そしてこの状態で段積物品XA1を押送し、段積物品XA1をここでは不図示の箱B内に向かって押し込む。
【0036】
また押送装置200は、
図2(B)に示すように第2押込み部205が段積物品XA1を押送していない場合には、第2押込み部205の少なくとも一部を送り出し部103上における物品XA2の搬送を妨げない位置に退避させる。第2押込み部205は、少なくとも一部が送り出し部103に対して移動可能に構成されている。
【0037】
具体的に、
図3に示すように、第2押込み部205は例えば変形可能に構成され、変形することで、その一部を送り出し部103上における物品XA2の搬送を妨げない位置に退避させる。一例を挙げると、第2押込み部205は、破線で示すように押送高さ方向Hに起立した状態から少なくとも一部が折り倒されるように構成される。第2押込み部205は例えば、いずれも略矩形状の板状部材であって、押送高さ方向Hの上方部位となる上方押込み部205Aと、押送高さ方向Hの下方部位となる下方押込み部205Bを有する。上方押込み部205Aと下方押込み部205Bとは、蝶番(ヒンジ)205C等によって一方が他方に対して垂直となるように折り倒しが可能に連結されている。より詳細に、この例では、上方押込み部205Aが起立状態から略直角に押送方向Tの上流側に(起立状態における上端205Tが押送方向Tの上流に移動するように)折り倒し可能に構成される。更に上方押込み部205Aが折り倒された状態では、送り出し部103の下流端部と、押送高さ方向Hにおける高さが揃うように構成される。ここで、「押送高さ方向Hにおける高さが揃う」とは、折り倒された上方押込み部205Aの上面の高さが送り出し部103の下流端部の上面の高さと同等かあるいは僅かに低い(上方押込み部205Aの上面の高さは送り出し部103の下流端部の上面の高さを超えない)ことをいう。
【0038】
一例として例えば蝶番205Cは不図示のモータ等で開閉可能に構成され、制御部500は、段積物品XA1の状態(段積みの高さや重量等)をセンサ等により検知し、自動で蝶番205Cを操作して上方押込み部205Aを起立させ、あるいは折り倒す。あるいは、例えばスライダと従動リンク(いずれも不図示)等より支持体207と上方押込み部205Aとが接続されてリンク機構を構成し、第2プッシャー204の進退に連動して当該リンク機構により上方押込み部205Aが起立、折り倒される構成であってもよい。
【0039】
押送装置200は、上方押込み部205Aの起立、折り倒しの動作とは独立して、あるいは連動させて、第2プッシャー204(第2押込み部205)を押送方向Tに進退させることが可能に構成されている。
【0040】
この例では、第2押込み部205の押送方向Tにおける最上流位置は、
図3に示す押送開始位置P3であり、それ以上上流に移動することは規制されている。押送開始位置P3は、送り出し部103の下流端部と載置部109の間の位置である。また、第2押込み部205の押送方向Tにおける最下流位置は、押送終了位置であって箱内の位置であるが、これについては後述する。
【0041】
そして、上方押込み部205Aが折り倒された状態で押送開始位置P3にある場合、上方押込み部205A(上端205T)と送り出し部103(の下端部)とは近接する。両者が最も近づいた場合の離間距離L1は、物品XA2の押送方向Tに沿う長さL2より小さい距離である。このような構成により、上方押込み部205Aが折り倒された場合、その上方押込み部205Aは、送り出し部103とともに、物品XA2の移動経路(搬送路)として機能する。
【0042】
また、上方押込み部205Aが起立状態では、第2押込み部205は、段積物品XA1の一部、具体的には押送方向T上流側の側面に当接可能に構成される(
図2(A)参照)。そして、押送装置200は、段積位置P2に集積された段積物品XA1を押送方向Tに押し出し、下流の箱B内に収容する。
【0043】
引き続き
図3を参照して、昇降リフト108は、送り出し部103の下流に設けられ、載置部109と該載置部109の昇降駆動手段110(例えばエアシリンダなど)を有し、載置部109を昇降駆動手段110により押送高さ方向Hに昇降させることで、複数の物品XA2を押送高さ方向Hに積み重ねて段積物品XA1とする。具体的に、段積みの開始時には
図3の実線で示すように、載置部109を上昇位置P5に移動する。この場合載置部109の上面は送り出し部103の上面(および上方押込み部205Aの上面)と同等以下の高さとなる。そして、第1プッシャー104により押送される1段目の物品XA2を載置部109に受け入れる。その後、昇降リフト108は破線で示すように押送高さH方向において物品XA2の1個の高さ分、載置部109を降下させる(
図2(B))。この例では段積物品XA1は2個(2段)の物品XA2で構成される。つまり、この載置部109の降下位置は、載置部109の下降位置P6となる。そして、1段目の物品XA2に重ねて(その上に)、第1プッシャー104により押送される2段目の物品XA2を受け入れる(
図2(A))。
【0044】
<箱詰め制御部>
図4は本実施形態の箱詰め装置100の機能を説明する機能ブロック図である。箱詰め装置100は上述の各種ハードウェアと制御部500に含まれるソフトウェアの協働により、箱詰め処理を行う。本実施形態の箱詰め処理は、例えば段積み処理、箱搬送処理、押送時処理、退避処理を含む。具体的には、記憶手段に記憶された箱詰めプログラムがCPUによって実行される。箱詰めプログラムの実行により、制御部500の一部が箱詰め制御部510として機能する。
【0045】
箱詰め制御部510は、段積処理機能を実現する段積処理部511と箱搬送処理機能を実現する箱搬送処理部512と押送制御部520を含む。押送制御部520は、押送時処理機能を実現する押送時処理部521と退避処理機能を実現する退避処理部522を含む。
【0046】
図4に示す箱詰め制御部510の機能ブロックは、箱詰めプログラムの機能ブロックともいえるが、箱詰めプログラムのソフトウェアのみならず、上述した箱詰め装置100の各部(ハードウェア)も協働してこれらの機能が実現される。あるいは
図4に示す機能ブロックの一部または全部が、ソフトウェアのみで実現されてもよいし、ハードウェアのみで実現されてもよい。
【0047】
また、
図4に示す機能ブロックは説明の便宜上、複数ブロックに分けているが、段積処理部511、箱搬送処理部512、押送時処理部521、退避処理部522の少なくとも何れかが一体的に構成されていてもよい。例えば、1つの箱詰めプログラムとして構成されてもよいし、複数のプログラムの集合により箱詰めプログラムが構成されてもよい。また、例えば、本実施形態の箱詰め装置100は押送装置200を含むが、例えば、箱詰め装置100から押送装置200のみを単独で分離させて(例えば別の装置に)使用することも可能である。この場合、押送装置200は、箱詰め装置100の箱詰め制御部510とは分離した(別体で)押送制御部520を備えることとなる。一方、押送装置200を含む箱詰め装置100の場合、箱詰め制御部510として押送制御部520が分離していなくてもよく、以下に説明する段積処理部511、箱搬送処理部512、押送時処理部521,退避処理部522の機能を実現する一つまたは複数の制御部として構成されてもよい。
【0048】
以下、
図1も参照して説明する。段積処理部511は、箱詰め装置100の供給位置P1に供給される物品XA2を物品移動部102により載置部109に移動し、載置される物品XA2の数の増加に伴い載置部109を降下させて、所定数の物品XA2からなる段積物品XA1とする。段積処理部511は、物品XA2を移動させる際、送り出し部103と、押送装置200の第2押込み部205の一部(上方押込み部205A)を物品XA2の移動経路(搬送路)として利用して、物品XA2を段積位置P2(載置部109)に移動する。
【0049】
押送制御部520の押送時処理部521は、段積処理部511による所定数の物品XA2の段積みが完了し、段積位置P2に段積物品XA1が準備されると、第2プッシャー204の第2押込み部205を押送方向Tに進出させる。押送時処理部521はこの時、送り出し部103の下流(押送開始位置P3)において、第2押込み部205を、送り出し部103の押送高さ方向Hの上方から下方に亘る状態とする。具体的に、段積物品XA1の押送時には、押送時処理部521は上方押込み部205Aを起立させる。これにより上方押込み部205Aは送り出し部の上方に位置し、下方押込み部205Bは送り出し部103の下方に位置することとなる。この結果、第2押込み部205は送り出し部103の上方から下方に亘る状態となる。これにより段積物品XA1を押送し、箱Bの開口から該箱B内に向かって押し込む。(
図2(A)参照)。押送時処理部521は第2押込み部520を押送終了位置P4まで移動させる(
図1(B)参照)。
【0050】
退避処理部522は、第2押込み部205が段積物品XA1を押送していない場合(押送していない状態になると)、第2押込み部205を押送開始位置P3に移動させるとともに、第2押込み部205の少なくとも一部を送り出し部103上における物品XA2の搬送を妨げない位置に退避させる。具体的には、押送時処理部521によって段積物品XA1が箱B内に収容され、第2押込み部205が段積物品XA1を押送していない状態になると、退避処理部522は、第2押込み部205の少なくとも一部を変形させる。この例では、退避処理部522は、上方押込み部205Aを押送方向Tの上流側に向かって折り倒し、第2押込み部205を押送開始位置P3に移動させる。上方押込み部205Aを折り倒した状態で第2押込み部205を押送開始位置P3に移動すると、上方押込み部205Aは送り出し部103の下流端部に近接して並び、且つ押送高さ方向Hの位置が揃う状態となる(
図2(B)参照)。
【0051】
退避処理部522は、段積処理部511による一組の段積物品XA1を構成する物品XA2の段積みが行われている期間、上方押込み部205Aが送り出し部103の下端に並ぶように折り倒して、退避させている。
【0052】
そして押送時処理部521は、退避処理部522によって退避させた押込み部の少なくとも一部を復帰させて、段積物品XA1を押送する。すなわち上述したように、段積物品XA1の押送時には、押送時処理部521は上方押込み部205Aを起立させる。
【0053】
箱搬送処理部512は、
図1に示す箱搬送手段210に供給される箱Bを上流から下流に向けて搬送する。箱Bは押送方向Tの上流側の側面が開放された状態で箱搬送手段210に供給される。そして押送装置200により押送される段積物品XA1を受け入れ、段積物品XA1が収容された箱Bを下流に向けて搬送する。あるいは、箱Bは折り畳まれた状態で箱搬送手段210に供給され、その後、起函されて段積物品XA1を受け入れるように構成されてもよい。
【0054】
このように、本実施形態の箱詰め装置100は、第2押込み部205の一部(この例では上方押込み部205A)を可倒式とし、物品移動部102上で物品XA2が押送されている間(段積処理部511による一組の段積物品XA1を構成する物品XA2の段積みが行われている期間)は、上方押込み部205Aが折り倒され、送り出し部103上の物品XA2の移動を妨げないように(送り出し部103に対して)退避するように構成されている。
【0055】
したがって、押送高さ方向Hにおいて上方押込み部205Aの高さH3分のスペースを、物品移動部102と共用することができる。従って、物品移動部102(送り出し部103)の下方に、押送装置200の第2プッシャー204を配置し、且つ物品移動部102の第1プッシャー104と第2プッシャー204が同じ押送方向Tに進退する構成でありながら、押送高さ方向H(鉛直方向VT)の占有スペースを小さくすることができる。
【0056】
具体的に、
図11に示す従来構成と同じ条件、すなわち、物品XA2の押送高さ方向Hの高さを、
図11に示す従来構成の高さH0と同じとし、第1プッシャー104により移動する物品XA2の段数を1,載置台109上における段積物品XA1の段数を2とした場合、箱詰め装置100における物品XA2の段積みに必要な段積み必要高さ(載置台109が最も下方に移動した場合の下降位置P6(下面)から、送り出し部103上を搬送される物品XA2の最上面までの高さ)Hxは、2×H0となる。つまり従来構成と比較して物品XA2の1段分、低くすることができる。
【0057】
この結果、鉛直方向VTにスペース的な余裕がないラインであっても効率を落とすことなく、段積物品XA1の箱詰めが可能となる。
【0058】
また、折り倒した状態の上方押込み部205Aの上面を送り出し部103の上面と同程度(送り出し部103の上面を超えない高さ)とし、送り出し部103の下流端部に近接して押送を待機させる。これにより、送り出し部103に物品XA2を移動させる際、上方押込み部205Aを物品XA2の搬送路として活用できる。
【0059】
<箱詰め制御(箱詰め方法)>
次に、箱詰め装置100による箱詰め方法(箱詰めプログラム)について説明する。箱詰め方法は、退避処理工程と、段積処理工程と、押送時処理工程と、箱搬送処理工程を有する。
【0060】
退避処理工程では、第2プッシャー204が段積物品XA1を押送していない期間において、第2押込み部205の少なくとも一部(上方押込み部205A)を、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避させる。
【0061】
段積処理工程では、上流工程から供給位置P1に供給される物品XA2を、第1プッシャー104により昇降リフト108の載置部109に移動し、載置される物品XA2の数の増加に伴い載置部109を降下させて段積物品XA1とする。
【0062】
押送時処理工程では、第2プッシャー204により段積物品XA1を押送する。具体的に、送り出し部103の下流において、退避させた第2押込み部205の少なくとも一部を復帰させて、押送方向Tに進出させる。ここでは、第2プッシャー204の第2押込み部205は送り出し部103の上方から下方に亘る状態となる。これにより段積物品XA1を押送し、箱Bの開口から該箱B内に向かって押し込み、収容する。
【0063】
箱搬送処理工程では、上流工程から供給される箱Bを、箱搬送手段210によって搬送し、押送装置200の第2押込み部205により押送される段積物品XA1を受け入れ、段積物品XA1が収容された後の箱Bを下流に搬送する。以下、
図5から
図7を参照して時系列で説明する。
【0064】
まず、
図1(A)に示すように、箱詰め装置100の上流に配置される物品搬送手段300(例えば、ベルトコンベア)によって物品XA2が搬送される。物品XA2は物品搬送手段300の下流端部に設けられた供給位置P1において、箱詰め装置100に受け渡される。すなわち、
図5(A)に示すように、段積処理部511は、物品移動部102の第1プッシャー104により物品XA2を押送方向Tに押し出す。段積処理部511は、物品XA2の側方に、第1押込み部105を当接させ、第1駆動部106により第1押込み部105を押送方向Tに進出させて、物品XA2を段積位置P2まで押送する(
図2(B))。
【0065】
このとき、押送装置200は、段積物品XA1を押送しない状態(段積物品XA1を押送しない期間)となる。退避処理部522は、第2押込み部205を押送開始位置P3に移動するとともに上方押込み部205Aを、押送方向Tの上流側に折り倒し、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避させる。折り倒された上方押込み部205Aは送り出し部103の下流端部に近接する。また折り倒された状態の上方押込み部205Aの上面と送り出し部103の上面は押送高さ方向Hの高さが揃っている(上方押込み部205Aの上面は送り出し部の上面を超えない高さにある。以下同様。)。これにより上方押込み部205Aの上面が送り出し部103とともに物品XA2の搬送路となる。
【0066】
段積処理部511は、第1プッシャー104により1段目となる物品XA2を送り出し部103と上方押込み部205A上において移動させ、段積位置P2において昇降リフト108の載置部109に載置する。段積処理部511は載置部109に1段目の物品XA2を載置する場合、載置部109を上昇位置P5に位置させる。上昇位置P5は、載置部109の上面が、送り出し部103と上方押込み部205Aと同等の(これらを超えない)高さの位置である。
【0067】
これにより、
図5(B)に示すように、第1プッシャー104によって載置部109上に1段目の物品XA2が載置される。段積処理部511は、載置部109に1段目の物品XA2を載置すると、第1プッシャー104(第1押込み部105)を供給位置P1の上流に戻す。そして載置部109を物品XA2の高さH0の一段分、降下させる。
【0068】
この例では
図5(C)に示すように、載置部109が物品XA2の高さH0の一段分降下した場合、下降位置P6に位置する。このとき、送り出し部103の上面と、上方押込み部205Aの上面、および1段目の物品XA2の上面が概ね同等の高さに揃っている(物品XA2の上面は上方押込み部205Aの上面を超えない高さにある)。
【0069】
図6(A)に示すように、段積処理部511は、第1プッシャー104により2段目となる物品XA2を送り出し部103と上方押込み部205A上において移動させ、段積位置P2において載置部109の1段目の物品XA2の上方に載置する。
【0070】
図6(B)に示すように、段積処理部511は、載置部109に2段目の物品XA2を載置すると、第1プッシャー104(第1押込み105)を供給位置P1の上流に戻す。段積位置P2には、段積物品XA1が配置される。
【0071】
また、押送装置200の押送時処理部521は、段積位置P2に段積物品XA1が準備されると、第2プッシャー204の第2押込み部205を押送方向Tに進出させる。押送時処理部521はこの時、送り出し部103の下流(押送開始位置P3)において、第2押込み部205を、送り出し部103の押送高さ方向Hの上方から下方に亘る状態とする。つまり、折り倒されていた上方押込み部205Aを起立させて下方押込み部205Bと共に押送高さ方向Hに面が揃う第2押込み部205に変形する。上方押込み部205Aは送り出し部103の上方に位置し、下方押込み部205Bは送り出し部103の下方に位置する。第2押込み部205の高さは、段積物品XA1の高さと同程度に設定されている。
【0072】
図6(C)に示すように、押送時処理部521は第2駆動部206によって第2押込み部205を押送方向Tに進出させ、段積物品XA1の側面(押送方向Tにおける上流側の側面)に第2押込み部205を当接させ、段積物品XA1を箱Bの開口から該箱B内(押に向かって押し込む。
【0073】
図7(A)に示すように、第2押込み部205は箱B内の押送終了位置P4まで移動する。段積物品XA1を箱B内に収容すると、押送装置200は再び、段積物品XA1を押送しない状態(期間)となる。
【0074】
退避処理部522は、
図7(B)、同図(C)に示すように第2押込み部205を押送開始位置P3に移動するとともに上方押込み部205Aを、押送方向Tの上流側に折り倒し、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避させる。なお、上方押込み部205Aの折り倒し動作は、押送開始位置P3への移動前、移動中、移動後、のいずれに行われてもよい。
【0075】
このように、箱詰め方法では、段積処理工程の少なくとも一部の期間、具体的には、段積物品XA1を押送しない場合(期間)において、退避処理工程を実行する。これを繰り返し、箱詰めが行われる。
【0076】
このようにして、本実施形態の箱詰め方法(箱詰めプログラム)によれば、送り出し部103上を移動する複数の物品XA2を、送り出し部103の下流に設けられた段積位置P2において押送高さ方向Hに積み重ねて段積物品XA1とし、段積物品XA1を下流の箱B内に収容する。
【0077】
また、第2プッシャー204の第2押込み部205の一部(上方押込み部205A)を可倒式とし、段積物品XA1を押送する場合(期間)以外(押送の待機中)は、上方押込み部205Aを押送方向Tの上流側に折り倒し(退避させ)、第2押込み部205を送り出し部103の下流端部に待機させる。
【0078】
このようにすることで、上方押込み部205Aが起立した場合の押送高さ方向Hの高さ(例えば、物品XA2の高さH0と同等の高さ)分、段積み必要高さHxを低くでき、箱詰め装置100の鉛直方向VTにおける省スペース化が図れる。
【0079】
また、折り倒した状態の上方押込み部205Aの上面を送り出し部103の上面と同程度(送り出し部103の上面を超えない高さ)とし、送り出し部103の下端に近接して押送を待機させる。これにより、送り出し部103に物品XA2を移動させる際、上方押込み部205Aを物品XA2の搬送路として活用できる。
【0080】
<変形例>
図8から
図10を参照して、第2押込み部205の他の例について説明する。第2押込み部205は、上記の例に限らず、第2押込み部205が段積物品XA1を押送していない場合(以下、「非押送時」という。)には第2押込み部205の少なくとも一部を変形させて、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避させ、段積物品XA1の押送時には第2押込み部205を送り出し部103の上方から下方に亘る状態になるように構成されていればよい。以下、第2押込み部205の変形の一例を示す。
【0081】
図8(A)~同図(C)は、第2押込み部205の全体が折り倒される一例である。
図8(A)は、第2押込み部205により段積物品XA1を押送する場合の状態である。この例では、
図8(A)に示すように、第2押込み部205が1枚の板状部材で構成され、その全体が押送方向Tの上流側に向かって倒れる。この例では第2プッシャー204(第2駆動部206)の支持体207を、固定部207Aと可倒部207Bで構成する。固定部207Aは第2駆動部206本体に対して押送方向Tの進退のみ可能に固定されており、押送方向Tの下流側先端に、回動軸207Cを介して可倒部207Bが回動可能に取り付けられる。可倒部207Bと第2押込み部205は相対移動不可に、互いに略直交するように固定される。
【0082】
そして非押送時には
図8(B)に示すように、退避処理部522が可倒部207Bを、押送高さ方向H沿うようにこの例では折り上げる。これに伴い、起立状態の第2押込み部205は、その上端205Tが押送方向Tの上流に向かうように倒伏する。この場合も、倒された第2押込み部205の上面と送り出し部103の上面が略同じ高さに設定される。つまり第2押込み部205は送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避する。なお、この場合、第2押込み部205の下端205Dは回動軸207Cを中心に回動(揺動)する際、載置部109等と干渉しないように構成されている。
【0083】
図8(C)は、
図8(A)における可倒部207Bが第2押込み部205の下端205D付近に固定されている例である。非押送時には実線で示すように、退避処理部522が可倒部207Bを、押送高さ方向H沿うようにこの例では折り上げる。これに伴い、起立状態の第2押込み部205は、その上端205Tが押送方向Tの上流に向かうように破線で示すように倒伏する。この場合も、倒された第2押込み部205の上面と送り出し部103の上面が略同じ高さに設定されており、第2押込み部205は送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避する。
【0084】
図8(D)~同図(F)は、支持体207が可倒部を有さず、支持体207に対して第2押込み部205が倒伏する構成の一例である。
図8(D)は、第2押込み部205により段積物品XA1を押送する場合の状態である。同図(D)に示すように支持体207は第2駆動部206本体に対して押送方向Tの進退のみ可能に固定されており、押送方向Tの下流側先端に、回動軸207Cを介して第2押込み部205の下端205Dが回動可能に取り付けられる。第2押込み部205の例えば中央付近の側方端部に従動リンク207Dの一端が固定され、従動リンク207Dの他端は支持体207に取り付けられたスライダ207Eに固定される。スライダ207Eは支持体207に対して押送方向Tに進退自在に固定される。
【0085】
そして非押送時には、同図(E)、同図(F)に示すように退避処理部522がスライダ207Eを押送方向Tの上流側に移動させる。これにより、起立状態の第2押込み部205は、回動軸207Cを中心にその上端205Tが押送方向Tの上流に向かうように倒伏する。この場合は例えば、倒された第2押込み部205の上面は、送り出し部103より下方に位置するように設定される。なお、回動軸207Cは、第2押込み部205の中間に設けてもよい。
【0086】
図8の構成はいずれも、起立状態(段積物品XA1の押送時)の第2押込み部205は、押送高さ方向Hにおいて送り出し部103の上方から下方に亘る状態となり、倒伏時(非押送時)の第2押込み部205は、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避する。
【0087】
また、
図8の構成はいずれも、段積物品XA1の状態等をセンサ等により検知し、自動で回転軸207Cを回転させて第2押込み部205を起立、倒伏させる構成であってもよいし、第2プッシャー204の進退に連動して回転軸207Cや従動リンク207Dが動作して第2押込み部205を起立、倒伏させる構成であってもよい。
【0088】
図9は、第2押込み部205の少なくとも一部が押送高さ方向Hに移動する構成の一例である。例えば、
図9(A)、同図(B)に示す構成は、支持体207の押送方向Tの下流端部に1枚の板状の第2押込み部205が支持体207の延在方向に略直交するように取り付けられる。第2押込み部205は、支持体207に対して、押送高さ方向Hにスライド自在に取り付けられる。そして押送時には、
図9(A)に示すように押送高さ方向Hにおいて送り出し部103の上方から下方に亘る状態となっており、非押送時には、同図(B)に示すように第2押込み部205の全体が、押送高さ方向Hの下方にスライドする。この時、第2押込み部205の上端205Tは、送り出し部103の上面より低い位置まで移動し、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避する。なお、第2押込み部205の上端205Tに、物品XA2との摩擦抵抗を減少させるための回転体を設けてもよい。
【0089】
図9(C)~同図(F)は、第2押込み部205の一部が押送高さ方向Hに移動し、その結果第2押込み部205の形状が変化(面積が拡縮)する構成である。
図9(C)、同図(D)が押送幅方向Wから見た側面図であり、同図(E)、同図(F)が押送方向Tから見た正面図である。
【0090】
図9(C)に示すように、第2押込み部205は、例えば上方押込み部205Aと下方押込み部205Bを有する。上方押込み部205Aは例えば同図(E)、同図(F)に示すように複数の短冊状部材からなり、下方押込み部205Bの内部(または押送方向Tの前面あるいは後面)に収納可能に構成されている。そして段積物品XA1の押送時には、
図9(C)、同図(E)に示すように、上方押込み部205Aは下方押込み部205Bから押送高さ方向Hに突出し、第2押し出し部205は送り出し部103の上方から下方に亘る状態となる。非押送時には、
図9(D),同図(F)に示すように上方押込み部205Aは下方押込み部205Bの内部に収容される。第2押込み部205の上端205Tは、送り出し部103の上面より低い位置まで移動し、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避する。なおこの場合、上方押込み部205Aは隙間のない1枚の板部材(下方押込み部205Bの内部(または前面あるいは後面)に収容可能)であってもよい。
【0091】
なお、上方押込み部205Aを複数の短冊状部材とする構成に限らず、例えば、上方押込み部205Aと下方押込み部205Bは、互いに噛み合う櫛状部材(フィンガープレート)でもよい。すなわち、上方押込み部205Aと下方押込み部205Bは各々が有する複数のフィンガーを互いに対向させ、一方のフィンガーが他方のフィンガーの間に挿入可能に配置する。この場合、段積物品XA1の高さに応じて(合わせて)、第2押込み部205の高さを変更してもよい。
【0092】
図9に示す構成はいずれも、段積物品XA1の状態等をセンサ等により検知し、自動で第2押込み部205の少なくとも一部を移動させる。またこれに限らず、第2プッシャー204の進退に連動して例えば不図示のリンク機構などにより第2押込み部205の少なくとも一部が押送高さ方向Hに移動する構成であってもよい。
【0093】
図10は、第2プッシャー204が、送り出し部103(第1プッシャー104)の押送高さ方向Hの上方に設けられる構成である。
図10(A)は、例えば
図3と同様に、第2押込み部205の一部が折り倒される構成である。この場合の構成は、
図3等と上下が逆転したものであり説明は省略するが、下方押込み部205Bが可倒するように構成される。
【0094】
そして第2押込み部205が集積物品XA1を押送する場合は、下方押込み部205Bが破線で示すように起立状態(上方押込み部205Aから垂下する状態)となる。この場合、起立した下方押込み部205Bは送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げる(物品XA2と干渉する)状態となる。
【0095】
このように、本実施形態では、第2押込み部205が段積物品XA1を押送する場合、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げる状態(物品XA2が送り出し部103上を移動していた場合には干渉するであろう状態)になっていればよく、第2押込み部205が押送高さ方向H(鉛直方向VT)に沿って送り出し部103の上方から下方に亘る状態となっていなくてもよい。
【0096】
一方、非押送時には下方押込み部205Bは、下方押込み部205Bはその下端205Dが押送方向Tの上流に移動するように折り倒され、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避する。
【0097】
図10(B)は例えば、
図9(A)、
図9(B)と同様に第2押込み部205の全体が押送高さ方向Hにスライドする構成である。段積物品XA1の押送時には、第2押し出し部205を押送高さ方向Hの下方にスライドし、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げる状態(物品XA2が送り出し部103上を移動していた場合には干渉するであろう状態)とする。また、非押送時は、第2押し出し部205を押送高さ方向Hの上方にスライドし、第2押込み部205を、送り出し部103上における物品XA2の移動を妨げない位置に退避させる。
【0098】
なお、
図10では一例を示したが上記の実施形態の全ての構成において、第2プッシャー204が、送り出し部103(第1プッシャー104)の押送高さ方向Hの上方に設ける構成が適用可能である。
【0099】
上記実施形態のいずれの場合も、起立状態の第2押込み部205の全体が押送終了位置P4(箱Bの内部)まで到達する必要があり、つまり第2押込み部205はその全体が箱Bの内部に収容されるサイズに設定されている。
【0100】
なお、上記実施形態では、第2押込み部205の一部が変形する構成の場合、上方押込み部205Aおよび下方押込み部205Bの2つに分割されている構成を例に説明した。しかしこれに限らず、例えば第2押込み部205が3以上に分割されていてもよい。また、第2押込み部205が3分割以上に分割されている場合、折り倒される(倒伏する)あるいは移動する分割された押込み部の数は1以上の任意の数でよい。
【0101】
具体的に、例えば第2押込み部205が押送高さ方向Hにおいて、上押込み部205A、中押込み部205B、および下押込み部205Cの3つに分割され、可倒式の場合、上押込み部205Aのみが折り倒される、上押込み部205Aと中押込み部205Bが折り倒される、あるいは上押込み部205A、中押込み部205B、および下押込み部205Cの全てが折り倒される、のいずれの構成であってもよい。
【0102】
また、昇降リフト106を例えばモーター駆動にし、箱搬送面211よりも下降位置P6を下方の位置とし、押送する前に箱搬送面211まで持ち上げるような動作をできるように構成してもよい。このようにすることで、箱搬送面211に対する送り出し部103の設置高さを、箱Bの内部に収容されるサイズの中で任意にすることができる。すなわち、上記の実施形態(物品XA2の段積み数が2)から、段積み数を3に変更する場合であっても、箱搬送面211に対して段積み数が2の場合と同じ送り出し部103の設置高さで(維持して)3段積みをすることができる。
【0103】
以上、本実施形態では、移送装置100が箱詰め装置である場合を例に説明したが、移送装置100はこの例に限らない。例えば、移送装置100は、押送装置200の下流工程に包装装置(例えば、ピロー包装機や深絞り包装機など)等を備え、段積物品XA1を押送装置200により押送して包装装置に供給する装置などであってもよい。
【0104】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0105】
100 箱詰め装置
101 物品段積部
102 物品移動部
103 送り出し部
107 支持体
108 昇降リフト
109 載置部
110 昇降駆動手段
200 押送装置
205 押込み部
205A 上方押込み部
205B 下方押込み部
205C 回動軸
205T 上端
205D 下端
207 支持体
207A 固定部
207B 可倒部
207C 回動軸
207D 従動リンク
207E スライダ
210 箱搬送手段
211 箱搬送面
300 搬送手段
500 制御部
510 制御部
511 段積処理部
512 箱搬送処理部
520 押送制御部
521 押送時処理部
522 退避処理部
B 箱
P1 供給位置
P2 段積位置
P3 押送開始位置
P4 押送終了位置
P5 退避位置
T 押送方向
W 押送幅方向
VT 鉛直方向
XA1 段積物品
XA2 物品